JP4175506B2 - 送信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信システムの携帯電話端末等に好適な送信装置であり、特にスプリアス特性の劣化を低減可能とする送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、携帯電話端末に代表される無線通信機器は、特定周波数の電波を用いて情報の送受信を行うようになされている。一例として、携帯電話システムの場合、携帯電話端末は、先ず基地局から使用すべきチャネルが指定され、その指定されたチャネルの周波数帯域の電波を使用して、当該基地局との間で通信を行う。
【0003】
ここで、例えば、互いに近接した位置に二つの携帯電話端末A,Bが存在し、一方の携帯電話端末Aには基地局から周波数faのチャネルが割り当てられ、他方の携帯電話端末Bには周波数fbのチャネルが割り当てられているとした場合において、例えば携帯電話端末Aが上記周波数fa以外に周波数fbの電波も発射しているとすると、当該携帯電話端末Aから発射された周波数fbの電波は、元々周波数faが割り当てられている携帯電話端末Bにとって妨害波となる。この場合、上記携帯電話端末Aから発射された周波数fbの電波(つまり妨害波)により、携帯電話端末Bでは、通信品質の劣化やその他の不具合が発生してしまうことになる。このため、携帯電話システムでは、それぞれ各携帯電話端末に割り当てられたチャネル以外の周波数の電波の発射量が規定されており、例えばPDC(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話システムの規格である「ディジタル方式自動車電話システム標準規格 RCR STD−27」では送信スプリアスとして規定されている。
【0004】
上記送信スプリアスは、割り当てられたチャネル周波数である希望波以外の不要波の発射である。このため、従来の携帯電話端末は、希望波周波数を通過帯域とし、それ以外の周波数成分を減衰させる帯域通過フィルタや、不要波周波数が予めわかっている場合には当該不要波周波数を減衰帯域として、それ以外の周波数成分を減衰無く伝達する帯域阻止フィルタ等を内部の送信回路に設け、それらフィルタにて上記不要波周波数成分を除去することで、前記スプリアス規格を満足するように設計が行われている。なお、不要波周波数成分を減衰させる帯域阻止フィルタについては、例えば同軸共振器にキャパシタンス手段を直列接続した共振回路を複数個キャパシタンス手段又はインダクタンス手段で並列接続してフィルタを形成するとともに、同軸共振器の特性インピーダンスを短絡端から開放端に向かって変化させてフィルタの高次の並列共振周波数がスプリアス放射のおこる周波数と略等しくなるように調整したバンドエリミネーションフィルタが知られている。(例えば特許文献1参照)
また、上記スプリアス規格は、最大電力送信時のみならず、送信電力制御を行って送信電力を変化させた場合でも満足する必要がある。上記PDC方式の場合、移動局である携帯電話端末におけるスプリアス規格は、「送信出力に対して−60dB以下、又は0.25μW以下」であることが要求されている。つまりこのことは、ある一定値以下の送信電力の場合には、その送信電力値によらずスプリアス規格が一定であることを意味している。
【0005】
上記スプリアスの発生原因としては、例えば、送信回路の周波数変換器(ミキサ)の出力信号(希望波信号)に、局部発振信号(ローカル信号)が漏れ出して後段の増幅器にて増幅される場合や、送信回路と局部発振回路とが空中を介して結合してしまう場合などが考えられる。すなわちこの場合、局部発振周波数のスプリアスが発生することになる。例えば、電力制御を行う素子の前段の周波数変換器の出力信号に局部発振信号が漏れ出ることにより生じたスプリアスの場合、漏れ出る電力が一定であれば、後段の増幅器が線形動作している限り、例え送信出力が変化したとしても、スプリアス強度と送信出力との比は一定であるから、最大電力送信時に前記スプリアス規格を満足しているのであれば、送信電力制御により出力を下げた場合でも依然として当該スプリアス規格を満足することになる。
【0006】
しかしながら、実際のところ、携帯電話端末の送信回路が備えている増幅器のうち、特に最終段の増幅器(以下、最終段増幅器と呼ぶ)は、最大送信電力まで線形動作するものは使われていない。すなわち一般に、増幅器は、線形動作している場合には歪みは生じないが効率が悪く、非線形動作させると歪み特性は劣化するが高効率で動作させることができるものとなっている。ここで、増幅器が高効率で動作するということは、低消費電流ということであり、このことは携帯電話端末の待ち受け時間や通話可能時間と密接に関わってくる。一方で、増幅器の歪み特性は、隣接チャネル漏洩電力規格を満足できるものでなければならない。このようなことから、従来より、携帯電話端末は、特に電力消費量の大きい最終段増幅器を、隣接チャネル漏洩電力規格を満足しながら、できる限り非線形領域で動作するような増幅器にすることで、電力消費の効率化を図り、待ち受け時間や通話可能時間を延ばすように設計されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−200101号公報(第5図、第6図、第7図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記最終段増幅器が、最大送信電力にて非線形動作している状態から、送信電力制御により出力電力が下げられた結果、線形動作するようになったとすると、当該最終段増幅器の利得(線形利得)は、上記非線形動作をしている場合の利得より大きくなる。このとき、スプリアス周波数における当該最終段増幅器の利得の変化の仕方によっては、スプリアス特性が劣化することになる。
【0009】
すなわち、一般に、スプリアスとなる不要波レベルは、希望波レベルに比べて小さい為に、例えば最大電力送信時であっても、当該不要波により最終段増幅器が飽和して非線形動作することはない。しかしながら、最大電力送信時には、希望波により当該最終段増幅器は非線形動作している。したがって、この時の不要波周波数の利得と、上記送信電力制御により送信電力が低下して最終段増幅器が線形動作している場合の不要波周波数の利得とは異なる。さらに、その変化量も希望波周波数に対するそれとは異なってくる。ここで、最大送信電力状態から送信電力制御により送信電力を低下させた場合の利得の増し分が、希望波に対するものより不要波に対するものの方が大きかった場合、その差の分だけスプリアス特性は劣化することになる。このため、従来の携帯電話端末では、当該スプリアス特性の劣化分を見込んで、上述した帯域通過フィルタや帯域阻止フィルタを追加し、また、それらフィルタ特性を規定していた。
【0010】
しかしながら、近年は、携帯電話端末の小型化への要求が著しく、その要請に応じて構成を小型化するにつれて、各回路が密接することとなり、その結果、空間を介して回路同士が結合することによるスプリアスが発生し易くなっている。
【0011】
一方、各種フィルタや増幅器を接続した時のスプリアスのレベルダイヤを考える時、空間を介した回路の結合までを考慮することはできず、実際には、回路基板が出来上がってから初めてスプリアスの評価ができることになる。したがって、実際に回路基板が出来上がってからスプリアス特性の劣化が判明した場合には、例えば新たなフィルタを追加する等の修正が必要になり、試作回数の増加による開発費の増大や回路の大規模化を招くことになる。
【0012】
また、送信電力制御時のスプリアス特性の劣化を考慮したフィルタの場合、最大電力送信時にはオーバースペックとなる。このように、不必要に急峻な特性をもったフィルタを準備することは、そのフィルタの実現性や歩留まりに影響を与え、結局、フィルタが高価になってしまうという問題がある。
【0013】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、電力消費量の少ない非線形動作の増幅器を使用し、構成の大規模化やコストの上昇を抑えつつ、スプリアス特性の劣化を低減可能な、送信装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、送信電力制御を行う送信装置であり、増幅利得と出力電力との関係特性が、最大送信電力で非線形になる非線形動作範囲と当該最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲とを有する電力増幅手段と、増幅利得と出力電力との関係特性を設定するためのパラメータを制御する制御手段とを有し、制御手段は、送信電力に応じてパラメータを制御することで、電力増幅手段において最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲の少なくとも一部を非線形動作させる。
【0015】
特に、電力増幅手段は電界効果トランジスタからなり、制御手段は当該電界効果トランジスタのバイアス電圧(具体的にはゲート電圧)を制御する。
【0016】
すなわち本発明によれば、送信電力に応じて、電力増幅手段において最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲を非線形動作させることにより、送信電力制御時の不要波レベルが所定のレベル以下になるように調整している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の送信装置が適用される一実施の形態として、携帯電話端末の送受信回路部分の構成を示す。
【0019】
図1において、アンテナ1にて無線電波を受信すると、その受信信号は共用器2を介して受信部3へ送られる。受信部3は、受信信号の増幅、周波数変換、帯域制限、復調等の処理を行う。当該受信部3から出力された受信データは、CPU(Central Processing Unit)4へ送られる。
【0020】
CPU4は、受信データが音声データであるかその他のデータであるのかに応じて、その受信データを図示しない音声信号処理系やデータ処理系等へ端子9を介して送出する。
【0021】
また、本実施の形態の携帯電話端末は、送信電力制御が行われる端末であり、したがってCPU4は、基地局から送られてきた送信電力制御データに応じて、送信部10の送信電力制御を行う。具体例としてPDC方式を挙げて説明すると、当該PDC方式の場合、送信電力が4dBステップで制御される。このため、図1に示すように、本実施の形態の携帯電話端末には、4dBステップの各送信電力制御値を格納している制御値格納メモリ5が備えられており、CPU4は、上記基地局からの送信電力制御データに応じたアドレスデータを生成し、そのアドレスデータにより、上記制御値格納メモリ5から送信電力制御値を読み出す。当該制御値格納メモリ5から読み出されたディジタルの送信電力制御値は、D/A(to Digital/Analog)変換器6によりアナログの電圧値に変換される。当該D/A変換器6の出力電圧値は、利得制御電圧として可変利得増幅器7へ送られる。
【0022】
上記可変利得増幅器7には、局部発振器(シンセサイザ)8から局部発振信号(送信ローカル信号)が供給されている。当該可変利得増幅器7は、上記D/A変換器6からの利得制御電圧に応じて、上記局部発振信号の利得を調整して出力する。この可変利得増幅器7の出力信号は、変調器22へ送られる。
【0023】
変調器22には、図示しない送信データ生成部から端子21を介して供給された、送信データが入力されている。当該変調器22は、上記端子21から供給された送信データを直交変調し、所望の中心周波数(具体的には局部発振信号の送信周波数)を有する希望波信号を出力する。当該変調器22の出力信号は、可変利得増幅器23に入力される。なお、本実施の形態の携帯電話端末において、上記可変利得増幅器7は、当該変調器22と可変利得増幅器23との間に設けられていても良い。
【0024】
上記可変利得増幅器23には、後述する方向性結合器27から検波回路28、振幅調整回路29、ステップ利得調整回路30、比較回路31、サンプルホールド回路32を介して当該可変利得増幅器23に至るAPC(Automatic Power Control)ループにより生成される、利得微調整制御信号も供給される。当該可変利得増幅器23は、上記APCループの利得微調整制御信号により、上記変調器22の出力信号の利得を微調整して出力する。なお、当該APCループは、各構成要素の温度特性や周波数特性のズレ分や電源電圧変動分を吸収するために設けられている。この可変利得増幅器23の出力信号は、最終段増幅器26へ送られる。
【0025】
上記最終段増幅器26は、固定利得のFET(Field Effect Transistor)であり、上記可変利得増幅器23の出力信号をその固定利得分だけ増幅させて出力する。詳細については後述するが、本実施の形態の場合、当該最終段増幅器26であるFETは、直流バイアスとして正電源と負電源を必要とするものである。特に本実施の形態では、バイアス電圧として負電圧を用いる。そして、本実施の形態では、特にゲート端子(本発明にかかるバイアス電圧端子)への電圧値(本発明にかかるパラメータであるバイアス電圧、本実施の形態では負電圧)は、本発明の制御手段であるCPU4により、送信電力制御の送信電力値に応じて調整される。
【0026】
上記最終段増幅器26の出力信号は、方向性結合器27に入力される。当該方向性結合器27からは、その結合度に応じた出力信号が検波回路28に入力され、残りの殆ど全ての出力信号は、アイソレータ32に送られ、さらに共用器2を介してアンテナ1から空気中へ電波として放射される。
【0027】
上記検波回路28は、方向性結合器27からの入力信号(RF信号)を検波し、当該検波に応じた電圧信号を出力する。
【0028】
当該検波回路28の出力電圧信号は、振幅調整回路29にて予め決められた値だけ振幅調整がなされた後、ステップ利得調整回路30に送られる。
【0029】
ステップ利得調整回路30は、例えば前記D/A変換器6から出力された送信電力制御のための利得制御電圧に応じて、上記振幅調整回路3の出力信号の利得を調整する。すなわち当該ステップ利得調整回路30は、送信電力制御において例えば4dBだけ利得が上げられた時には、上記振幅調整回路3の出力信号の利得を4dBだけ下げて出力する。このステップ利得調整回路30の出力信号は、比較回路31へ送られる。
【0030】
比較回路31は、このAPCループにおいて調整される温度特性,周波数特性のズレ分や電源電圧変動分の基準となる理想値と、上記ステップ利得調整回路30の出力信号との差分を出力する。当該比較回路31の出力信号は、サンプルホールド回路32へ送られる。
【0031】
サンプルホールド回路32は、上記比較回路31の出力信号を適当なタイミングでサンプルホールドし、そのサンプルホールド信号を、上記可変利得増幅器23への利得制御信号として出力する。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態の携帯電話端末がPDC方式の端末である場合、図1の送信部10では、可変利得増幅器7にて、局部発振器8からの局部発振信号のレベルを変化させることにより、変調器22の出力信号のレベルを大まかに4dBずつ変化させるとともに、当該変調器22の出力信号のレベルを、上記APCループにより微調整している。このことにより、可変利得増幅器23は、送信電力レベルによらず、略々一定の動作点にて動作することになる。
【0033】
次に、携帯電話端末において、スプリアスが発生した場合の信号レベルについて考えてみる。本実施の形態の携帯電話端末を例に挙げると、局部発振器8の局部発振信号が、可変利得増幅器23の出力信号と空間的に結合し、可変利得増幅器23の出力信号に局部発振信号が重畳された場合などが考えられる。
【0034】
ここで、もしも携帯電話端末の送信回路系が線形動作(リニア動作)しているとすると、変調器以降の利得は出力電力によらず一定であるから、例えば最大電力送信時に絶対規格を満足しているのであれば、出力電力が変化しても依然として規格を満足していることになる。それ故、送信回路系の特性を確認する場合には、例えば送信電力のある一点で特性を確認するだけで良く、各送信電力に対してそれぞれ特性を確認する必要はない。
【0035】
しかしながら、実際の送信回路系は、線形動作はしていない。すなわち、特に最終段増幅器が使用する電流は、送信時に送信回路系が使用する電流の大半を占めており、既に述べたように当該最終段増幅器を線形動作させることは消費電力の点で好ましくないためである。
【0036】
一方、送信回路系が線形動作していない場合には、出力電力によって変調器以降の利得は変化することになり、このことからスプリアス特性の劣化を招く危険性がある。すなわち、例えば最終段増幅器を非線形動作(ノンリニア動作)させると歪みが生じ、この歪みは出力スペクトルの広がりとなって現れ、当該スペクトルの広がりは隣接チャネルに対して妨害波となる。
【0037】
これらのことから、携帯電話端末の送信回路系を設計する場合には、隣接チャネル漏洩電力規格を満足する範囲内で、出来るだけ最終段増幅器の特性を歪ませて消費電力を低減させるようになされている。
【0038】
ところで、増幅器が非線形動作すると、前述したように、その利得は線形動作しているときの利得よりも小さくなる。つまり、最大電力送信時とそれ以外の電力送信時(最大送信電力より低い送信電力時)とを比較した場合、後者の方が増幅器の利得は大きくなっている。また、増幅器の入力信号として、希望波の他に不要波が存在する場合を考えると、最大電力送信時とそれ以外の電力送信時(最大送信電力より低い送信電力)における希望波と不要波に対する利得の変化量の違いによっては、後者の時に不要波出力が大きくなってしまうことになる。さらに、希望波と不要波とでは、周波数が異なる為に、歪み度合いも異なる。
【0039】
一例として、増幅器が線形動作している時の利得に対して、最大送信電力で送信を行う際に増幅器が非線形動作している時の利得が、希望波で3dB低下し、不要波で10dB低下したとした場合を考えてみる。この条件において、例えば、最大電力送信時の希望波出力と不要波出力の比が60dBであり、送信電力制御により送信電力を20dB低下させた場合、希望波に対する増幅器の利得は3dB大きくなり、不要波に対する利得は10dB大きくなる。スプリアスの規格は、送信回路系の出力電力が規定値以上の場合には、不要波電力と希望波電力の比で規定され、出力電力が規定値以下の場合には不要波電力の絶対値で規定される。また、上記条件でのスプリアスは、電力比では27dB劣化、絶対値では7dBの劣化となる。勿論、このような劣化は、最終段増幅器に入力される不要波レベルが希望波レベルによらず一定である場合である。具体的には、最終段増幅器の入力端に空中を介して不要波が重畳された場合や、前段の送信電力調整用の可変利得増幅器の電源ライン経由で、当該可変利得増幅器の出力に不要波が重畳された場合に相当する。
【0040】
このようなスプリアス特性の劣化は、最大電力送信時には増幅器が非線形動作するのに対して、送信電力制御により送信電力が低下した場合には線形動作となることに起因している。
【0041】
以上のようなことから、本発明実施の形態の携帯電話端末においては、以下に説明する構成を備え、送信部10の最終段増幅器26を、最大電力送信時のみならず、それ以外の送信電力制御時にも非線形動作させることで、上述のようなスプリアス特性の劣化の発生を無くしている。
【0042】
すなわち本実施の形態の携帯電話端末において、最終段増幅器26は、図2に示すようなFET回路から構成され、このFET回路の負電源電電圧を調整することで、当該最終段増幅器26を最大電力送信時以外の送信電力制御時にも非線形動作させるようにしている。
【0043】
図2において、最終段増幅器26は、入力端子41が図1の可変利得増幅器23の出力端子に接続され、出力端子48が図1の方向性結合器27の入力端子に接続されている。入力端子41に供給された信号は、入力整合回路42によりインピーダンス整合が図られた後、コンデンサ43を介してFET44のゲートに供給される。また、当該FET44のドレインには、バイアス回路45により安定化された正電源Vdが供給され、ソースには、共通電位Vsが供給されている。そして、当該FET44のドレインとバイアス回路45との接続点の信号は、コンデンサ46を介して出力整合回路47に送られ、当該出力整合回路47によりインピーダンス整合が図られた後、出力端子48から出力される。
【0044】
本実施の形態では、このような構成の最終段増幅器26において、FET44のゲート電圧Vg(負電圧)を、図1のCPU4が制御する。すなわち、FET44は、負電源であるゲート電圧Vgを大きくする(つまり0Vに近づける)とドレイン電流は増大し、その結果、当該最終段増幅器26は、より高い出力電力レベルまで線形動作するようになる。逆に、ゲート電圧Vgを小さくする(0Vから遠ざける)とドレイン電流は減少し、その結果、当該最終段増幅器26は、線形動作する出力電力範囲が狭まることになる。このような負電源(ゲート電圧Vg)の値は、最終段増幅器26の出力電力と歪み、ドレイン電流のバランスを考慮して決定される。本実施の形態の携帯電話端末の場合、具体的には、上記出力電力と歪み、及びドレイン電流のバランスを考慮した負電圧調整値が調整値格納メモリ24に格納されており、CPU4が、基地局からの送信電力制御値に基づいて当該調整値格納メモリ24のアドレスデータを生成する。なお、調整値格納メモリ24には、最大電力送信時用の負電圧調整値と、送信電力制御の際のいくつかの負電圧調整値(好ましくは送信電力制御の4dBステップ毎の負電圧調整値)が格納されている。そして、上記アドレスデータに応じて調整値格納メモリ24から読み出された負電圧調整値は、D/A変換器25によりアナログの電圧値に変換される。当該D/A変換器25の出力電圧値は、図2のゲート電圧Vgとなされ、RFチョーク49により交流成分が除去された後、FET44のゲートに供給される。これにより、本実施の形態の携帯電話端末によれば、最終段増幅器26を最大電力送信時以外の送信電力制御時にも非線形動作させることを可能にしている。
【0045】
図3には、希望波周波数を例えば1.44GHzとし、不要波周波数を1.15GHzとしたとき、上記希望波と不要波の電力利得の、最終段増幅器26の出力電力に対する依存性を示す。なお、図3の例は、最終段増幅器26への入力として、希望波(図中の希望波/Vg=標準の曲線Ca)と、その希望波レベルに対して−60dBにレベルを設定した不要波(図中の不要波/Vg=標準の曲線Cb)とを入力し、各々の出力電力になるように入力レベルを調整して測定を行った場合の図である。またこの図3には、本実施の形態の携帯電話端末において、前記負電圧を例えば−0.2V調整した時の希望波(図中の希望波/Vg=標準−0.2の曲線Cc)と不要波(図中の不要波/Vg=標準−0.2の曲線Cd)も示している。この図3において、図中の曲線Ca,Cbからわかるように、最終段増幅器26は、送信電力制御により線形動作している時に、不要波に対する利得の変化分が大きく、したがって当該送信電力制御が行われている場合には前述したようなスプリアス特性の劣化が発生することになる。これに対し、図中の曲線Cc、Cdのように、前記負電圧を調整した場合、最終段増幅器26は、負電圧調整前に線形動作していた部分において非線形動作するようになり、したがって不要波に対する利得の変化分が小さくなり、このため送信電力制御が行われている際のスプリアスマージンが増大し、前述したようなスプリアス特性の劣化が発生し難くなっていることがわかる。なお、スプリアスマージンとは、送信電力を評価する規定ポイントにおける、各々のパワーに対するスプリアスの規格値に対するスプリアス特性との比である。
【0046】
図4には、本実施の形態の最終段増幅器26の前記負電圧のレベルを変化させた時のスプリアスマージンの変化を測定したときの一例を示す。この図4において、最大電力送信時の最適値から負電圧(ゲート電圧Vg)を小さくするほど、スプリアスマージンが増大していくことがわかる。
【0047】
なお、最終段増幅器26の負電圧(ゲート電圧Vg)レベルを小さくすることにより、その増幅器自体の利得は僅かに減少するが、例えばPDC方式の場合、送信電力制御時には最大送信電力よりも、4dB以上、変調器22の出力レベルは小さくなっており、当該変調器22の出力レベルを最終段増幅器26の利得低下分だけ増加させることは問題無い。また、最終段増幅器26の負電圧を小さくする場合、隣接チャネル漏洩電力特性も劣化することになるが、送信電力制御時には、元々隣接チャネル漏洩電力レベルは充分なマージンを持っているため問題無い。
【0048】
以上説明したように、本発明実施の形態の携帯電話端末によれば、スプリアス特性を、物理的な回路の付加などのような回路規模の増大を伴わずに改善することが出来るので、回路規模の小型化、コストの低減が可能になる。特に、FETからなる最終段増幅器のゲート電圧を小さくする場合には、ドレイン電流が減少することになるので、送信電力制御時の低消費電力化にも寄与する。
【0049】
なお、上述した実施の形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、送信電力に応じて、電力増幅手段において最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲の少なくとも一部を非線形動作させることにより、電力消費量の少ない非線形動作の電力増幅器を使用しつつ、構成の大規模化やコストの上昇を抑えて、スプリアス特性の劣化を低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態の携帯電話端末の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】送信部の最終段増幅器の具体的構成を示す回路図である。
【図3】希望波と不要波の電力利得の、最終段増幅器の出力電力に対する依存性を示す特性図である。
【図4】最終段増幅器の負電圧のレベルを変化させた時のスプリアスマージンの変化の測定例を示す図である。
【符号の説明】
1…アンテナ、2…共用器、3…受信部、4…CPU、5…制御値格納メモリ、6,25…D/A変換器、7,23…可変利得増幅器、8…局部発振器、10…送信部、22…変調器、24…調整値格納メモリ、26…最終段増幅器、27…方向性結合器、28…検波回路、29…振幅調整回路、30…ステップ利得調整回路、31…比較回路、32…サンプルホールド回路、42…入力整合回路、44…FET、45…バイアス回路、47…出力整合回路、49…RFチョーク

Claims (4)

  1. 送信電力制御を行う送信装置において、
    増幅利得と出力電力との関係特性が、最大送信電力で非線形になる非線形動作範囲と、上記最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲とを有する電力増幅手段と、
    上記電力増幅器の、上記増幅利得と出力電力との関係特性を設定するためのパラメータを制御する制御手段とを有し、
    上記制御手段は、必要とされる送信電力に応じて上記パラメータを制御することにより、上記電力増幅手段の上記最大送信電力よりも低い送信電力領域で線形になる線形動作範囲の少なくとも一部を非線形動作させる
    ことを特徴とする送信装置。
  2. 上記電力増幅手段は電界効果トランジスタからなり、
    上記制御手段は、上記電界効果トランジスタのバイアス電圧を、上記パラメータとして制御する請求項1記載の送信装置。
  3. 上記制御手段は、複数の送信電力値に個々に対応した複数の電圧値データを格納する電圧値データ格納手段と、上記必要とされる送信電力に応じて上記電圧値データ格納手段から電圧値データを読み出す読み出し手段と、上記読み出し手段が読み出した電圧値データをディジタル/アナログ変換して上記電界効果トランジスタのバイアス電圧端子に供給するディジタル/アナログ変換手段とを有する請求項2記載の送信装置。
  4. 上記電力増幅手段の出力信号から、送信電力を微調整するための微調整信号を生成する微調整信号生成手段と、
    上記微調整信号生成手段が生成した微調整信号により、送信電力を微調整する可変利得増幅手段とを有する請求項1記載の送信装置。
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