JP4175209B2 - ガスタービン用高温部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコバルト基合金よりなるガスタービン用高温部材に関する。本発明の部材は、ガスタービン燃焼器におけるトランジションピース額縁(ピクチュア フレーム)とタービン初段静翼との間をシールするシール板、或いは複数のガスタービン燃焼器におけるトランジションピース額縁同士の隙間をシールするシール板に用いるのに適する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンは、稼動中に、ロータの高速回転,燃焼ガスの発生、あるいは圧縮された冷却空気の流れ等に起因して振動が発生する。この振動の作用により、ガスタービンを構成する高温部材のうち、はめ込み等で他の部材と接触している個所に摩耗損傷が生ずる場合がある。摩耗損傷が生じやすい部材には耐摩耗性に優れた材料の適用が必要であり、コバルト基合金,鉄基合金或いはニッケル基合金のいずれかの合金中に、炭化物,ほう化物等の硬質粒子を分散させた材料が使用されている。なお、コバルト基合金をガスタービン用部材として用いた技術として下記特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−240394号公報(段落番号[0004])
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
既存の高温耐摩耗材料は、多数の硬質粒子を含むため延性が低い。従って、機械加工による複雑形状部品の作製や、室温での圧延,プレス加工等による薄板製品の作製は困難であり、適用される部材の形状や、部材の製造プロセスが制限されてしまうという課題がある。耐摩耗材料中の硬質粒子の含有量を下げれば、複雑形状部材の作製が可能になるが、この場合には耐摩耗性の低下が避けられなくなる課題がある。
【0005】
本発明の目的は、硬質粒子の含有量を下げてもすぐれた耐摩耗性が得られるようにしたコバルト基合金部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、既存の耐摩耗コバルト基合金について調査し、コバルト基合金の耐摩耗性は硬質粒子のほかにコバルト基合金マトリックスの特性によって影響を受けることを明らかにした。すなわち、コバルト基合金は高温で相手部材との摺動等により摩耗を受けた際に、摺動面の変形を受けた領域で大きな加工硬化を生じる。この作用により、摺動面下部のマトリックスに硬質の加工変形層が形成されると、それ以降の材料の変形が抑制されて摩耗減量は低下する。この加工硬化にともなう加工変形層は、金属コバルト相特有の性質である421℃における六方構造(低温相)から面心立方構造(高温相)への結晶相変態によって生ずる。従って、相手部材との摺動等により摩耗を受けた際にコバルト基合金のマトリックスに加工変形層が形成されるようにすれば、硬質粒子の含有量を少なくしても耐摩耗性を確保でき、延性を高めることが可能になる。
【0007】
コバルト基合金中に、クロム,モリブデン,ニオブ,タングステン,タンタル,レニウム,シリコン或いはゲルマニウム等の元素(以下「グループ1」と称する)を含有すると、加工硬化を受けた際にマトリックスに硬質の加工変形層が形成されやすくなることが分かった。一方、ニッケル,マンガン,鉄或いは炭素等の元素(以下「グループ2」と称する)は、加工硬化特性を低下させて加工変形層を形成されにくくすることがわかった。
【0008】
以上の知見をもとに、重量比でクロム:15〜35%,シリコン:0.02 〜1.5% 及び炭素:0.01〜0.2%を含有し、ニオブ:0.3 〜8%とタングステン:1〜20%とタンタル:1〜10%及びレニウム:0.3 〜10%からなる高融点金属4種類のうち1元素以上を含有し、ニッケルとマンガン及び鉄から選ばれた1種以上を総量で1〜9%の範囲で含有し、残部がコバルト及び不可避の不純物よりなるコバルト基合金を見出した。尚、このコバルト基本合金は、前記高融点金属4種類の総含有量が炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにすることが必要であり、またニッケルは5%を超えないようにすることが必要である。
【0009】
このコバルト基合金には、更にモリブデンを重量比で0.5 〜12%の範囲で含有することができる。但し、モリブデンを含有する場合には、前記高融点金属4種類に更にモリブデンを加えた5種類の元素の総含有量が、炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにすることが望ましい。
【0010】
また、本発明のコバルト基合金には、更にゲルマニウムを重量比で0.1 〜4%の範囲で含有することができる。
【0011】
本発明のコバルト基合金は、炭素の含有量を少なくして炭化物粒子の形成を抑制しているので優れた延性を有する。その結果、室温での圧延,プレス加工が可能であり、薄板形状や複雑形状の部材でも容易に製造することができる。
【0012】
前記コバルト基合金により構成されたガスタービン部材の表面、特に相手部材との摺動部表面にショットピーニング等の手法により予備硬化層を導入した場合には、高温下での耐摩耗特性が飛躍的に高められることがわかった。
【0013】
純コバルトでは、既述のように421℃で六方晶構造(Hexagonal Structure)(低温相)から面心立方晶構造(Face-Centered Cubic Structure)(高温相)への結晶相変態が生じる。実用されているコバルト基合金のほとんどは室温において、マトリックスの結晶構造は面心立方晶となるが、これは合金化により六方晶への相変態が抑制されているためである。
【0014】
金属が変形する際には、格子欠陥の転位(Dislocation)の運動によるすべり変形が進行する。しかし面心立方晶金属では、転位の幅が拡張するため転位の交差すべり(Cross Slip)が減少し加工硬化を起こしやすくなる。面心立方金属中の転位が拡張した部分の原子配列は六方晶構造に等しいため、コバルト基合金が有する低温で六方晶構造へ変化しやすい性質は、転位の拡張幅を広げることで交差すべりを減少させ、加工硬化を促進する。本発明の高温部材では、コバルト基合金が本来有する加工硬化特性を有効に発揮するように、合金組成を最適化することで優れた高温耐摩耗性を示す。
【0015】
本発明の高温部材において、他の部材との摺動面では、摺動の初期に部材表面に局部的な変形が生じ、加工硬化による大きな圧縮応力が蓄積される。圧縮残留応力が十分に蓄積された個所では変形抵抗が増加して、摩耗による減肉が減少する。この加工硬化による残留応力の大部分は、部材表面から200μmまでの深さの領域に蓄積される。一方、本発明の高温部材は通常、実製品形状に加工,成形した後に、熱処理による加工ひずみの除去を実施するが、その際に未使用状態の部材表面には残留応力は存在しない。従って、本発明の高温部材が摩耗損傷への抵抗力を発揮するには、実機使用中に部材の摺動部において、一定量の変形が生じることによる圧縮応力の蓄積が必要となる。
【0016】
摺動部表面の加工硬化層に蓄積される圧縮応力の大きさは、合金の微細組織、特に結晶粒サイズや個々の結晶粒方位の差に起因して、場所により少しずつ異なる。その結果、摺動部の一部に局部的なくぼみや微小クラックが生じ、それを基点として摩耗減肉が加速される場合がある。この加工硬化層の局部的な劣化を防止する方法として、使用前の部材表面にショットピーニング等を用いて予備硬化層を形成することが有効である。表面が予備硬化されている場合は、摺動初期の変形が小さい場合でも大きな圧縮応力が蓄積されて、摺動部表面はより平滑化する。その結果、加工硬化層の局部劣化が防止されて、高温部材の耐摩耗特性は向上する。
【0017】
加工硬化特性及び予備硬化層の形成によりすぐれた高温耐摩耗性が発揮されるためには、合金の化学組成が重要である。以下に、本発明のコバルト基合金における各元素の効果について説明する。なお、本明細書において特に明示の無い限り含有量は重量%を示している。
【0018】
クロムには、加工硬化による耐摩耗性の向上と、高温大気中で合金表面に安定なクロム酸化物の保護皮膜を形成して耐酸化性を向上する効果がある。これら効果が発揮されるには、少なくとも15%以上の含有が必要であるが、35%を超える含有は有害相を析出し材料の脆化を生じるため好ましくない。より適切なクロムの含有量は18〜30%の範囲である。
【0019】
高融点金属元素であるタングステン,ニオブ,タンタル,レニウムの添加は、加工硬化の促進による耐摩耗性の向上と、固溶強化による高温強度を増加する効果がある。この4種類の元素はそれぞれ単独でも、2種類以上の元素を同時に添加しても良い。但し、複数の元素を添加する場合には、4種類元素の総添加量が炭素を除いた全合金元素の総量に対して原子比で10%を超えると、有害な化合物が生成し材料が脆化するため、総添加量は原子比で10%以下とすることが好ましい。
【0020】
タングステンは単独で添加する場合、20%を超えると有害相が生成して脆化が生じるため、20%以下にて含有することが望ましい。また、モリブデンを加えた高融点金属元素5種類のうちタングステンのみを添加する場合には、タングステン含有による効果を有効に発揮させるために2%以上含有するのがよい。タングステンの望ましい含有量は3〜18%の範囲である。他のニオブ,タンタル及びレニウムよりなる高融点金属元素の少なくとも1種と同時に含有する場合には、タングステンの下限量は1%とすることができる。
【0021】
ニオブは単独で添加する場合、0.5% 未満であるとその効果は小さく、8%を超えると有害相が生成し脆化が生じるため、0.5 〜8%の範囲とする。より望ましくは1〜6%の範囲である。他のタングステン,タンタル及びレニウムよりなる高融点金属元素の少なくとも1種と同時に添加する場合は、0.3% 以上の含有量とすることが好ましい。
【0022】
タンタルは単独で添加する場合、1%未満であるとその効果は小さく、10%を超えると有害相が生成し脆化が生じるため、1〜10%の範囲とする。望ましくは2〜8%の範囲である。他のタングステン,ニオブ及びレニウムよりなる高融点金属元素の少なくとも1種と同時に添加する場合でも1%以上含有することが好ましい。
【0023】
レニウムは単独で添加する際には、0.3% 未満であるとその効果は小さく、10%を超えると、材料コストが上昇し好ましくない。0.5 〜7%の範囲で添加するのが好ましい。他のタングステン,ニオブ及びタンタルよりなる高融点金属元素の少なくとも1種と同時に添加する場合でも、0.3% 以上含有することが好ましい。
【0024】
モリブデンは、加工硬化の促進による耐摩耗性の向上と、固溶強化による高温強度の増加に寄与する。モリブデンはその含有量が0.5% 未満であると効果が小さく、12%を超えると有害相が生成して脆化が生じるため、0.5 〜12%の範囲とすることが好ましい。また、モリブデンを加えた高融点金属5種類の総添加量が、炭素を除いた全合金元素の総量に対して原子比で10%を超えると、有害な化合物が生成し材料が脆化するため、前記総添加量は原子比で10%以下とすることが好ましい。
【0025】
シリコンの添加は、積層欠陥エネルギーを低下して加工硬化の向上に寄与し、同時に材料の融点を下げることで製造性の向上に寄与する。0.02% 未満の含有量ではその効果が小さく、1.5% を超えると材料の延性を低下させてしまうため、0.02〜1.5%の範囲とする。0.1〜1.2%の範囲がより好ましい。
【0026】
ゲルマニウムはシリコンと同様に、加工硬化の向上と融点低下による製造性の向上に寄与する。但し0.1% 未満ではその効果は小さく、4%を超えると合金の強度低下が大きくなるため0.1 〜4%の範囲とする。0.2〜2.5%の範囲がより好ましい。
【0027】
ニッケル,マンガン及び鉄の添加は、コバルト基合金マトリックスの加工硬化を抑制し、合金の耐摩耗特性を低下させる。これら3つの元素の総和が重量比で9%を超えると、高温耐摩耗特性が大きく低下するため、この値を超える含有は避けるべきである。一方、これら3元素の総量が1%未満になると、合金の延性が大きく低下する。したがって、これら3元素の総量は1〜9%とする。これら3元素の総量は特に2〜7%の範囲が好ましい。
【0028】
ニッケルは、延性を向上すると共に高温強度を向上する作用がある。但し5%を超えて含有すると耐摩耗性を低下させてしまう。ニッケルの望ましい量は0.2〜5%の範囲であり、特に0.5〜4%の範囲がよい。
【0029】
マンガン及び鉄は合金の延性を向上する作用がある。しかし、いずれも5%を超えると耐摩耗性を低下させてしまう。従って、各5%以下にて含有することが望ましい。また、いずれも0.2% 未満ではその効果が乏しい。マンガン及び鉄ともにそれぞれ0.5 〜4%の範囲で含有することが好ましい。
【0030】
炭素は、結晶粒界の強化と延性向上のため微量の添加が必要である。0.01%未満では結晶粒界強化の作用を保つことができず、一方、0.2% を超えて含有すると炭化物の増加による延性低下及び加工硬化特性の低下が生じるため好ましくない。0.05〜0.15%の範囲が好ましい。
【0031】
本発明のガスタービン高温部材は、以下に述べる製造方法によって製造することができる。最初に所定の組成のコバルト基合金を真空溶解してインゴットを作製する。次に、1100〜1230℃の範囲で鍛造或いは圧延或いは両方の加工を施す。その後、組成の均質化及び残留ひずみ除去のための溶体化熱処理を行う。溶体化熱処理後に更に製品形状を整えるため、室温又は高温で若干の加工を行うことも可能である。
【0032】
最終製品形状に成形したならば、摩耗損傷の発生が予想される他部材との接触部位に対してショットピーニングを実施して、部材表面に予備加工層を形成する。本発明のコバルト基合金では、ショットピーニングによる硬化層は部材表面から200μm程度の深さの範囲に形成することが望ましく、表面に近づくにつれて硬化層の硬さが増加する傾向がある。本発明合金の溶体化熱処理後のビッカース硬さ(HV)はHV300程度となる。したがって、予備硬化層の硬さについては、表面から100μm以内の領域で最大硬さがHV400以上となるように、ショットピーニングの処理条件を設定することが好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
表1に、作製したコバルト基耐摩耗合金の化学組成を示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004175209
【0035】
本発明合金および比較材は、いずれも所定の化学組成比に調整した素材を溶解してインゴットを作製し、数回の鍛造を実施した後、1200℃で2時間の溶体化処理を実施して供仕材とした。組織観察の結果、いずれの合金でも添加元素はコバルトマトリックスにほぼ均一に固溶しており、内部に直径数μmのクロム炭化物が少量析出していることを確認した。ニオブ或いはタンタルを添加したNo.1,3,7,8では、ニオブあるいはタンタルと結合したタイプの炭化物も確認できた。
【0036】
作製した合金素材から試験片を採取して、高温での摩耗評価試験を実施した。摩耗試験には板状の試験片と、先端をナイフエッジ形状に加工したピン状試験片を組合せて使用した。摩耗試験方法は、固定したピン状試験片に対して、板状試験片を平面部がピンのエッジに垂直に接触するように配置し、板状試験片の背面側から荷重を加えて、荷重と垂直方向に板状試験片を往復振動することで実施した。以下、振動する板状試験片を「可動片」、ピン状試験片を「固定片」と呼ぶ。固定片のエッジの先端は半径0.2mm の形状に加工して試験に用いた。可動片の押し付け荷重は5kgとし、往復振動の条件は周波数100Hz,振幅1.0mm とした。試験温度は700℃、試験時間は5時間とし、大気中で試験を実施した。
【0037】
試験の際に組合せる固定片と可動片は同種の合金とした。板状の可動片については、溶体化処理後の摺動面にショットピーニングによる加工硬化層を導入した試験片を作製し、ピーニングを施工しない状態との摩耗量の比較を行った。ショットピーニングの装置には空気式装置を使用し、ショットの材質にはスチール製のものを使用した。試験後の摩耗減量の評価は、表面粗さ測定器により可動片の摺動面形状のプロファイルを測定し、摩耗部の最大減肉深さを摩耗減量として、各合金間で特性を比較した。
【0038】
表2に、本発明合金と比較合金において、700℃で摩耗試験を実施した後に摩耗減量を測定した結果を示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004175209
【0040】
表2において受入後(A)は溶体化処理後の状態での可動片の摩耗量を示す。本発明合金No.1〜8においては、摩耗量の値はおおむね30〜70μmの範囲にあるのに対し、比較材の摩耗量は135μmと開発合金に比べて2〜3倍の大きさとなっている。一方、ショットピーニング後(B)の欄には、可動片にショットピーニング処理した状態での摩耗試験結果を示す。ショットピーニング後(B)の摩耗量はいずれの合金でも、受入後(A)に比べて値が減少しており、ショットピーニングによる耐摩耗特性の向上効果が確認できる。
【0041】
表2右端のB/Aの欄には、各合金のショットピーニング後の摩耗量(B)を受入後(ピーニング前)の摩耗量(A)で割った値を示しており、この値が小さいほどショットピーニングにより耐摩耗特性が向上することになる。本発明合金のB/Aの値はいずれも0.7 程度か或いはそれ以下の小さな値であるのに対して、比較材のB/Aの値は0.92 と本発明合金よりも大きく、ショットピーニングによる改善効果は小さい。このように本発明合金は700℃において、溶体化処理を実施した状態(受入後)でも比較材に比べて優れた耐摩耗性を示すと同時に、ショットピーニングを施工した場合の耐摩耗特性の改善効果も、比較材よりも大きくなる特徴を有することがわかる。
【0042】
本発明合金No.1〜No.8はいずれも、高温あるいは室温でのプレス、又は圧延と熱処理を数回繰り返すことにより、割れ等の損傷を生じることなく板厚2mmの薄板まで容易に加工することが出来た。これにより本発明合金は、良好な加工性,成形性を備えることを確認した。
【0043】
(実施例2)
ガスタービン燃焼器ライナで点火した高温ガスをタービン部に導くトランジションピースと呼ばれる筒状の部材の構造を図1及び図2に示す。トランジションピース本体1において、前方のガス入口部は燃焼器ライナと嵌合するために円筒形状となっており、後方のガス出口部は矩形状となっている。矩形の額縁2と呼ばれる部分の側面には高温ガスを封止するためのシール板4,5が取付けられる。シール板4は、図3に示すガスタービンの初段静翼6と額縁2を勘合するものである、シール板5は、トランジションピース額縁同士を勘合するものである。シール板5は平板状であるが、初段静翼と額縁を勘合するシール板4はプレス加工により端部が曲げられている。シール板4は、一端が静翼シール溝7に勘合され、他端がシール板の湾曲部を額縁シール溝3に引っ掛ける形で嵌合される。図3にシール板4を額縁2と初段静翼6に取付けた状態の断面構造を示している。摩耗損傷が生じるのは主にシール板5の表面と、図2に示すシール板4の湾曲部の内面である。
【0044】
表1のNo.5のコバルト基合金を用いて、シール板4,5を製造した。シール板の製造工程は、鍛造,溶体化処理後に冷間プレスにより製品形状に成型し、1100℃でひずみ除去のための熱処理を実施した後、シール板摺動部8にショットピーニングを施工して製品とした。実機ガスタービンによる燃焼試験の結果では、既存コバルト基合金製のシール板においては、シール板5の表面やシール板4の湾曲部内面に摩耗による減肉が生じていたが、本発明のコバルト基合金によるシール板の場合はいずれも、摩耗減肉の深さは既存コバルト基合金に較べて1/3〜1/4以下の値まで減少していた。従って、本発明の予備硬化層を有するコバルト基合金部材の適用が、ガスタービン燃焼器の摩耗損傷低減に非常に有効であることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、高温環境下で優れた耐摩耗性を発揮させることができた。本発明の高温部材の適用により、ガスタービン運転中の高温部材の摩耗損傷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランジションピースの形状と、額縁部へのシール板の取付け状態を示す側面図。
【図2】トランジションピースの形状と、額縁部へのシール板の取付け状態を出口側から見た正面図。
【図3】トランジションピース額縁へのシール板を取付けた状態を示す断面図。
【符号の説明】
1…トランジションピース本体、2…額縁、3…額縁シール溝、4,5…シール板、6…初段静翼、7…静翼シール溝、8…シール板摺動部。

Claims (4)

  1. 重量比でクロム:15〜35%,シリコン:0.02〜1.5%及び炭素:0.01〜0.2%を含有し、ニオブ:0.3〜8%とタングステン:1〜20%とタンタル:1〜10%及びレニウム:0.3〜10%からなる高融点金属4種類のうち1種以上を含有し、但し該4種類の総含有量が炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにし、ニッケルとマンガン及び鉄から選ばれた1種以上を総量で1〜9%の範囲で含有し、但しニッケルが0 . 2〜2 . 86%、かつマンガンが0 . 2〜0 . 63%以下とし、残部がコバルトよりなるコバルト基合金により構成された部材の少なくとも他の部材が接触する表面部にショットピーニング処理による硬化層を形成したことを特徴とするガスタービンのシール用部材。
  2. 請求項1において、更にモリブデンを重量比で0.5〜12%含有し、モリブデンとニオブとタングステンとタンタル及びレニウムよりなる5種類の総含有量が、炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにしたことを特徴とするガスタービンのシール用部材。
  3. 重量比でクロム:15〜35%,シリコン:0.02〜1.5%及び炭素:0.01〜0.2%を含有し、ニオブ:0.3〜8%とタングステン:1〜20%とタンタル:1〜10%及びレニウム:0.3〜10%からなる高融点金属4種類のうち1種以上を含有し、但し該4種類の総含有量が炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにし、ニッケルとマンガン及び鉄から選ばれた1種以上を総量で1〜9%の範囲で含有し、但しニッケルが5%を超えないようにし、更にゲルマニウムを重量比で0 . 1〜4%含有し、残部がコバルトよりなるコバルト基合金により構成された部材の少なくとも他の部材が接触する表面部にショットピーニング処理による硬化層を形成したことを特徴とするガスタービン用高温部材。
  4. 請求項3において、更にモリブデンを重量比で0 . 5〜12%含有し、モリブデンとニオブとタングステンとタンタル及びレニウムよりなる5種類の総含有量が、炭素を除く合金総量に対して原子比で10%を超えないようにしたことを特徴とするガスタービン用高温部材。
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