JP4171169B2

JP4171169B2 - Ultra-high-strength steel pipe with seam welds with excellent cold cracking resistance and manufacturing method thereof

Info

Publication number: JP4171169B2
Application number: JP2000310935A
Authority: JP
Inventors: 卓也原; 均朝日
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 2000-10-11
Filing date: 2000-10-11
Publication date: 2008-10-22
Anticipated expiration: 2020-10-11
Also published as: JP2002115032A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガス・原油輸送用ラインパイプとして広く使用でき、かつ高圧化・高効率輸送、小外径・低重量での高効率の現地施工が可能となる超高強度鋼管およびその製造方法に関し、特に耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する引張強さ（ＴＳ）が９００ＭＰａ以上の超高強度鋼管およびその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、原油・天然ガスの長距離輸送方法としてパイプラインの重要性がますます高まっている。現在、長距離輸送用の幹線ラインパイプとしては米国石油協会（ＡＰＩ）規格Ｘ６５が設計の基本になっており、実際の使用量も圧倒的に多い。
【０００３】
しかし、（１）高圧化による輸送効率の向上、（２）ラインパイプの外径・重量の低減による現地施工能率の向上のため、より高強度ラインパイプが要望されている。これまでにＸ８０（引張強さ６２０ＭＰａ以上）までのラインパイプの実用化がされているが、さらに高強度のラインパイプに対するニーズが強くなってきた。現在、超高強度ラインパイプ製造法の研究は、従来のＸ８０ラインパイプの製造技術（たとえばＮＫＫ技報No.138(1992), pp24-31 およびThe 7th Offshore Mechanics and Arctic Engineering (1988), Volume V, pp179-185) を基本に検討されているが、これではせいぜい、Ｘ１００（引張強さ７６０ＭＰａ以上）ラインパイプの製造が限界と考えられる。Ｘ１００を越える超高強度ラインパイプについても、既に鋼板製造の研究は行われている（ＰＣＴ／ＪＰ９６／００１５５、００１５７）が、強度・低温靱性バランスを始めとして、溶接熱影響部（ＨＡＺ）および溶接金属の靱性、現地溶接性、継手軟化、バースト試験による管体破断が可能な溶接部特性などの多くの問題を抱えており、これらを克服した超高強度（Ｘ１００超）ラインパイプの製造技術の早期開発が要望されている。
【０００４】
一方、ＨＴ８０、ＨＴ１００クラスの高張力鋼管のシーム溶接効率を向上する目的で、シーム溶接を従来の小入熱の多層溶接から大入熱による両面１パス溶接で行う方法が検討されている。しかしながら、このような超高強度鋼管のシーム溶接を大入熱１パス溶接する場合には、溶接金属の低温割れが発生しやすくなり、従来、このような低温割れを防止するために、溶接部の予熱あるいは後熱処理を行わざるを得なかった（溶接学会誌49（1980）p.572）。
【０００５】
実際の超高強度ラインパイプ製造ラインのシーム溶接時にこのような予熱あるいは後熱処理を適用すると、その装置のために多大な費用がかかるだけではく、予熱、後熱のための処理時間を考慮すると必ずしも生産性向上のための抜本的解決策とは言えなかった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の問題点を鑑みて、本発明は、引張強さ９００ＭＰａ以上（ＡＰＩ規格Ｘ１００超）の超高強度ラインパイプの製造方法において、大入熱での両面１パスシーム溶接を行う際に、溶接金属の低温割れがない超高強度鋼管および溶接金属の低温割れを防止できる超高強度鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その要旨とするところは、以下の通りである。
（１）シーム溶接部の溶接金属において、本シーム溶接で形成される内面および外面本溶接金属の成分が、質量％で、Ｃ：０．０４〜０．１４％、Ｓｉ：０．０５〜１％、Ｍｎ：１．２〜２．２％、Ｐ：≦０．０１％、Ｓ：≦０．０１％、Ｎｉ：１．３〜６％、Ｔｉ：０．０１８〜０．０５％、Ａｌ：≦０．０１０％、Ｂ：≦０．００５％を含有し、さらに、ＣｒおよびＭｏの２種を合計量で１〜２．５％含有し、あるいはＣｒ、ＭｏおよびＶの３種を合計量で１〜２．５％含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、前記内面および外面本溶接金属の内の少なくとも内面本溶接金属の組織中に残留オーステナイト相を１％以上含有することを特徴とする耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼管。
（２）前記溶接金属のベイナイト・マルテンサイト分率が５０％以上であることを特徴とする上記（１）に記載の耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼管。
（３）前記溶接金属の引張り強度が９００ＭＰａ以上であることを特徴とする上記（１）または（２）に記載の耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼
管。
（４）質量％で、Ｃ：０．０３〜０．１％、Ｓｉ：≦０．６％、Ｍｎ：１．７〜２．５％、Ｐ：≦０．０１５％、Ｓ：≦０．００３％、Ｎｉ：０．１〜１％、Ｍｏ：０．１５〜０．６％、Ｎｂ：０．０１〜０．１％、Ｔｉ：０．００５〜０．０３％、Ａｌ：≦０．０１３４％、Ｎ：０．００１〜０．００６％、Ｍｇ：≦０．００６％を含有し、さらに、Ｂ：≦０．００５％、Ｖ：≦０．１％、Ｃｕ：≦１％、Ｃｒ：≦０．８％、Ｃａ：≦０．０１％、およびＲＥＭ：≦０．０２％の内の１種または２種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼板をＵＯ工程で管状に成形し、開先加工が施された鋼板端部を突き合わせた後、その突き合わせ開先部を、仮付け溶接を行った後、質量％で、Ｃ：０．０１〜０．１２％、Ｓｉ：≦０．３％、Ｍｎ：１．２〜２．４％、Ｎｉ：４〜８．５％、Ｃｒ、ＭｏおよびＶの内の１種または２種以上の合計量：３〜５％、Ｔｉ：０．０６０〜０．１５％を含有し、Ａｌ：≦０．０３３％に規制し、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶接ワイヤ−と焼成型フラックスもしくは溶融型フラックスを用いて内面側および外面側からサブマージアーク溶接により本溶接を行い、その後、拡管を行うことを特徴とする耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼管の製造方法。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
本発明が目的とする９００ＭＰａ以上の引張強さ（ＴＳ）を有する耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼管において、この強度レベルの超高強度鋼管では、従来の主流であるＸ６５と較べて約２倍の圧力に耐えるため、同じサイズで約２倍のガスを輸送することが可能になる。一方、Ｘ６５を用いて上記超高強度ラインパイプと同等なガス輸送効率を達成する場合は、圧力を高めるために肉厚を厚くする必要があり、材料費、輸送費、現地溶接施工費が高くなってパイプライン敷設費が大幅に上昇する。これが９００ＭＰａ以上の引張強さ（ＴＳ）を有する超高強度ラインパイプが必要とされる理由であるが、このような超高強度ラインパイプでは、極端に鋼管の製造が困難になる。
【０００９】
特に、鋼管の製造時のシーム溶接において発生する溶接金属の低温割れは、溶接金属の強度およびシーム溶接時の入熱量に依存してその発生頻度が高くなる傾向がある。溶接金属の強度低下は、母材との強度バランスを確保するために限界があり、シーム溶接時の入熱量低下（小入熱多層盛溶接化）は、生産性低下の問題がある。したがって、従来、超高強度鋼管のシーム溶接を大入熱両面１パス溶接で行う場合には、溶接部の予熱、後熱処理によって溶接金属の低温割れを防止していた。
【００１０】
本発明者らは、引張強さが９００ＭＰａ以上の超高強度鋼管の製造時の大入熱両面１パスシーム溶接において、従来の溶接部の予熱、後熱処理を行わずとも溶接金属の低温割れを防止できる生産性に優れた超高強度鋼管の製造方法を実験等により鋭意検討した。
図１に超高強度鋼管のシーム溶接部を示す。通常の鋼管製造時のシーム溶接は、管状に成形した鋼板両端部を付き合わせた後、付き合わせ部を最初に外面からＭＡＧアーク溶接等で仮付け溶接を行い、その後、その仮付け溶接部をさらに内面、次ぎに外面からサブマージドアーク溶接等で本溶接を行う。通常、図１に示すように仮付け溶接時に形成された仮付け溶接金属部４と重複するように、内面から本溶接を行って内面本溶接金属部２を形成し、この内面本溶接金属部２と重複すし、かつ仮付け溶接金属部４を溶融するように、外面から本溶接を行って外面溶接金属部１を形成する。
【００１１】
発明者らは、種々の溶接条件にてシーム溶接を行って、その溶接金属の組織と耐低温割れ性との関係を詳細に検討した。その結果、超高強度の溶接金属の低温割れは、図１に示される外面からの本溶接後の内面本溶接金属２中で生じ、この内面本溶接金属２の組織中に残留オーステナイト相が多く存在した場合に、耐低温割れ性が良好となり、特に残留オーステナイト相の含有量が１％以上でその効果は顕著に発揮されることを見いだした。
【００１２】
これは、この内面本溶接金属２中に残留オーステナイトが多く存在すると、溶接金属中の水素がトラップされ、見かけの水素の拡散定数が下がり、溶接金属の低温割れが生じない許容限界水素量が増加するためと考えられる。
本発明は、これらの知見をもとになされたものであり、シーム溶接部中の本溶接時に形成される内面本溶接金属および外面本溶接金属の内の少なくとも内面本溶接金属の組織中に残留オーステナイト相を１％以上含有することを特徴とする耐低温割れ性に優れたシーム溶接部を有する超高強度鋼管である。
【００１３】
本発明では、内面本溶接金属および外面本溶接金属の内の少なくとも内面本溶接金属の組織中に残留オーステナイト相を１％以上含有する必要があるが、これは、残留オーステナイト相を１％未満になると、溶接金属中の水素トラップによる低温割れが生じない許容限界水素量を増加させる効果が充分発揮されず、引張強さ（ＴＳ）：９００ＭＰａ以上の超高強度の溶接金属の低温割れを防止することができなくなるためである。
【００１４】
また、溶接金属の引張り強度を９００ＭＰａ以上とするためには、溶接金属のベイナイト・マルテンサイト組織においてベイナイト・マルテンサイト分率が５０％以上とすることが必要がある。
また、本発明では、溶接金属の成分を以下のように規定する。
なお、以下に示す％は、特に説明がない限りは質量％を意味する。
【００１５】
Ｃ量は０．０４〜０．１４％に限定する。Ｃは鋼の強度向上に極めて有効であり、マルテンサイト組織において目標とする強度を得るためには、最低０．０４％は必要である。しかし、Ｃ量が多すぎると溶接低温割れが発生しやすくなり、現地溶接部とシーム溶接が交わるいわゆるＴクロス部のＨＡＺ最高硬さの上昇を招くので、その上限を０．１４％とした。さらに、望ましくは、上限値は０．１％がよい。
【００１６】
Ｓｉは低温割れを抑制するための残留オーステナイトを形成させるために０．０５％以上は必要であるが、含有量が多いと低温靱性を著しく劣化させ、内外面本溶接の低温靱性を確保するために上限を１％とした。
Ｍｎは優れた強度・低温靱性のバランスを確保する上で不可欠な元素であり、また、Ｍｎ含有硫化物の介在物を生成し、それを核として粒内ベイナイトを生成させて溶接金属の低温靱性を向上させる。特に粒内に陽イオン空孔型のＴｉ含有酸化物が存在すると、そのＴｉ含有酸化物の周囲にＭｎ含有硫化物が析出し、粒内のＭｎ含有硫化物の生成を促進し、粒内ベイナイトが生成が促進される。また、Ｍｎは本発明の目的とする低温割れを抑制するための残留オーステナイトを形成するためにも必要な成分である。これらの効果を得るために、その添加量の下限を１．２％とする。しかし、Ｍｎが多すぎると偏析が助長され低温靱性を劣化させるだけでなく、溶接材料の製造も困難になるので上限を２．２％とした。
【００１７】
Ｐ、Ｓは、溶接金属の低温靭性の劣化、低温割れ感受性の低減のために、その含有量は低くすることが好ましく、それぞれの上限量を０．０１０％と規定した。
Ｎｉは、焼入れ性を高めて強度を確保し、さらには、低温靱性向上させ、かつ低温割れを抑制するための残留オーステナイトを形成させるために必要である。１．３％以下では目標の強度・低温靭性を得ることが難しいため、下限を１．３％とする。一方、含有量が多すぎると高温割れの危険があるため上限は６％とした。
【００１８】
Ｃｒ、Ｍｏ、Ｖは、いずれも焼入れ性を高め、高強度を得るために必要な元素であり、ＣｒおよびＭｏの２種を合計量で１〜２．５％の範囲で添加するか、あるいはＣｒ、ＭｏおよびＶの３種を合計量で１〜２．５％の範囲で添加する。その含有量の合計量が１％未満では効果が十分でなく、一方、過度に多量添加すると低温割れの危険が増すため上限を２．５％とした。Ｂは微量で焼入れ性を高め、溶接金属の低温靭性向上に有効な元素であるが、含有量が多すぎると却って低温靭性が低下するので含有範囲を０．００５％以下とした。
【００１９】
Ａｌは、脱酸成分として知られ、Ａｌ₂Ｏ₃等の酸化物を生成するが、その酸化物は、陰イオン空孔型酸化物であり、ＭｎＳ等のＭｎ含有硫化物との結合性が悪いため、粒内でのＭｎ含有硫化物の生成を阻害しないために極力低くすることが好ましい。そのために、本発明では、その含有量の上限を０．０２％に規定する。なお、溶接金属のＡｌ量の上限は、本発明の実施例の表４の実施Ｎｏ．１のＡｌ量の０．０１０％に基づいて、０．０１０％以下とする。
【００２０】
Ｔｉは、粒内ベイナイトを生成させるＴｉ含有酸化物やこの酸化物とＭｎ含有硫化物の複合粒子の介在物を生成させるために必須な成分であり、粒内にこれらの介在物を核として粒内ベイナイトを生成させて溶接金属の低温靱性を向上させる。これらの効果を得るためにその含有量の下限は０．００３％とする。また、Ｔｉが過度に多すぎるとＴｉ炭化物が多く生成し、低温靱性を劣化させるので上限を０．０５％にした。なお、溶接金属のＴｉ量の下限は、本発明の実施例の表４の実施Ｎｏ．２のＴｉ量の０．０１８％に基づいて、０．０１８％以上とする。
【００２１】
また、本発明では、上記成分の他に、溶接時の精錬・凝固を良好に行わせるために必要に応じて、さらに、溶接金属中にＺｒ、Ｎｂ、Ｍｇ等の元素を含有させても良い。なお、溶接金属に含まれる酸素量は、２０ｐｐｍ以上であることが好ましい。
次に本発明の超高強度鋼管の製造方法について、以下に説明する。
【００２２】
本発明の超高強度鋼管は、鋼板をＵ形次いでＯ形に成形するＵＯ工程で管状に成形した後、この突き合わせ部をアーク溶接にて仮付けシーム溶接後、内外面から大入熱で１パスのサブマージドアーク溶接により本シーム溶接を行い、その後、拡管して真円度を高める鋼管の製造方法にて効率良く製造することができる。このようなサブマージドアーク溶接による本シーム溶接は、溶接効率に優れるが、母材の希釈率が大きいため、所望の溶接金属組成および特性を得るためには、母材からの成分希釈を考慮して溶接材料を選択する必要がある。また、本シーム溶接の前に行う仮付けシーム溶接は、本シーム溶接に比べてその溶接面積が少なく溶接金属部の品質への影響が小さい。したがって、本発明においては、本シーム溶接に用いる溶接ワイヤーの成分は規定する必要があるが、仮付けシーム溶接に用いる溶接ワイヤーの成分は特に規定する必要はない。
【００２３】
以下に、本発明の鋼管製造時の本シーム溶接に用いる溶接ワイヤーの化学組成の限定理由を述べる。なお、以下に示す％は、特に説明がない限りは、質量％を示すものとする。
Ｃは、溶接金属で必要とされるＣ量の範囲を得るために、母材成分による希釈および雰囲気からＣの混入を考慮して０．０１〜０．１２％とした。
【００２４】
Ｓｉは、溶接金属で必要とされるＳｉ量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して０．３％以下とした。
Ｍｎは、溶接金属で必要とされるＭｎ量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して１．２％〜２．４％とした。
Ｎｉは、溶接金属で必要とされるＮｉ量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して４％〜８．５％とした。
【００２５】
Ｃｒ、Ｍｏ、Ｖは、これらの成分のうちの１種又は２種以上の合計量が溶接金属で必要とされる含有量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して３〜５％とした。Ｔｉは溶接金属で必要とされるＴｉ量の範囲を得るために、母材成分による希釈を考慮して０．００５〜０．１５％とした。なお、溶接ワイヤのＴｉ量の下限は、本発明の実施例の表３の実施Ｎｏ．２のＴｉ量の０．０６０％に基づいて、０．０６０％以上とする。
【００２６】
また、Ｐ、Ｓ、Ａｌは、不可避的不純物成分であり、本発明では、溶接金属の低温靱性の劣化を抑制するために、極力少ない方が望ましく、ＰおよびＳはそれぞれ０．０１％以下とし、Ａｌは、０．０２％以下に規制することが好ましい。なお、溶接ワイヤのＡｌ量は、本発明の実施例の表３の実施Ｎｏ．１のＡｌ量の０．０３３％に基づいて、０．０３３％以下に規制する。また、溶接ワイヤ中のＢ含有量は、本発明では、特に規定する必要はないが、焼き入れ性成分として、強度調整の必要に応じて添加しても良い。
【００２７】
また、溶接ワイヤ中に脱酸材として、Ｚｒ、Ｎｂ、Ｍｇ等添加させても良い。なお、本発明では、仮付けシーム溶接及び本シーム溶接を単極だけでなく、複数電極を用いて溶接することも可能である。溶接効率を考慮すると、とくに本シーム溶接は、複数電極でのガスシールドアーク溶接またはサブマージアーク溶接が好ましい。複数電極での溶接の場合は各種ワイヤーの組み合わせが可能であり、個々のワイヤーが上記成分範囲にある必要はなく、それぞれのワイヤー成分と消費量からの平均組成が上記成分範囲にあれば良い。
【００２８】
また、本発明の鋼管製造時のサブマージアーク溶接による本シーム溶接に使用される充填フラックスは、焼成型フラックスと溶融型フラックスに大別される。焼成型フラックスは合金材添加が可能で拡散性水素量が低い利点があるが、粉化しやすく繰り返し使用が難しい欠点がある。一方、溶融型フラックスはガラス粉状で、粒強度が高く、吸湿しにくい利点があり、拡散性水素がやや高い欠点がある。本願発明の目的である超高強度の溶接金属の低温割れ低減の点からは、焼成型フラックスがより望ましいが、コストが高いという問題がある。一方、溶融型フラックスは回収して繰り返し使用が可能であり、大量生産に向きコストが低いが、工業的に対処可能な範囲ではあるが厳密な品質管理が必要である点で問題がある。したがって、本発明では、特にフラックスの種類を限定する必要はなくどちらでも使用可能である。
【００２９】
次ぎに本発明の鋼管製造時に用いられる鋼板成分の限定理由を述べる。
Ｃ量は、０．０３〜０．１％に限定する。Ｃは、鋼の強度向上に極めて有効であり、マルテンサイト組織において目標とする強度を得るためには、最低０．０３％は必要である。しかし、Ｃ量が多すぎると母材、ＨＡＺの低温靱性や現地溶接性の著しい劣化を招くので、その上限を０．１％とした。さらに、望ましくは上限値は０．０７％が好ましい。
【００３０】
Ｓｉは、脱酸や強度向上のために添加する元素であるが、多く添加するとＨＡＺ靱性、現地溶接性を著しく劣化させるので、上限を０．６％とした。鋼の脱酸はＡｌでもＴｉでも十分可能であり、Ｓｉは必ずしも添加する必要はない。
Ｍｎは、本発明鋼のミクロ組織をマルテンサイト主体の組織とし、優れた強度・低温靱性のバランスを確保する上で不可欠な元素であり、その下限は１．７％である。しかし、Ｍｎが多すぎると鋼の焼入れ性が増してＨＡＺ靱性、現地溶接性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼片の中心偏析を助長し、母材の低温靱性をも劣化させるので上限を２．５％とした。
【００３１】
Ｎｉを添加する目的は低炭素の本発明鋼を低温靱性や現地溶接性を劣化させることなく向上させるためである。Ｎｉ添加はＭｎやＣｒ、Ｍｏ添加に比較して圧延組織（とくに連続鋳造鋼片の中心偏析帯）中に低温靱性に有害な硬化組織を形成することが少ないばかりか、０．１％以上の微量Ｎｉ添加がＨＡＺ靱性の改善にも有効であることが判明した（ＨＡＺ靱性上、とくに有効なＮｉ添加量は０．３％以上である）。しかし、添加量が多すぎると、経済性だけでなく、ＨＡＺ靱性や現地溶接性を劣化させるので、その上限を１％とした。また、Ｎｉ添加は連続鋳造時、熱間圧延時におけるＣｕ割れの防止にも有効である。この場合、ＮｉはＣｕ量の１／３以上添加する必要がある。
【００３２】
Ｍｏは、鋼板の焼入れ性を向上させ、目的とするマルテンサイト主体の組織を得るために、０．１５％以上添加する。特にＢ添加鋼においてはＭｏの焼入れ性向上効果が高まり、また、ＭｏはＮｂと共存させることにより制御圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制し、オーステナイト組織の微細化にも効果がある。しかし、過剰に添加すると、ＨＡＺ靱性や現地溶接性を劣化させ、さらにＢの焼入れ性向上効果を低減させるため、その上限を０．６％とする。
【００３３】
Ｎｂは、上記のＭｏと共存させることにより制御圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制して組織を微細化するだけでなく、析出硬化や焼入れ性増大にも寄与し、鋼を強靱化する。特にＮｂとＢが共存すると焼入れ性向上効果が相乗的に高まる。これらの効果を得るために本発明では、Ｎｂを０．０１％以上添加する。しかし、Ｎｂ添加量が多すぎると、ＨＡＺ靱性や現地溶接性に悪影響をもたらすので、その上限を０．１％とした。
【００３４】
Ｔｉは、鋼中で微細なＴｉＮを形成し、スラブ再加熱時およびＨＡＺのオーステナイト粒の粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびＨＡＺの低温靱性を改善する。また、Ｂの焼入れ性向上効果に有害な固溶ＮをＴｉＮとして固定する役割も有する。この目的のために、Ｔｉ量は３．４Ｎ（各々重量％）以上添加することが望ましい。また、Ａｌ量が少ない時（たとえば０．００５％以下）、Ｔｉは酸化物を形成し、ＨＡＺにおいて粒内フェライト生成核として作用し、ＨＡＺ組織を微細化する効果も有する。このようなＴｉＮの効果を発現させるためには、最低０．００５％のＴｉ添加が必要である。しかし、Ｔｉ量が多すぎると、ＴｉＮの粗大化やＴｉＣによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるので、その上限を０．０３０％に限定した。
【００３５】
Ｐ、Ｓは、不可避的不純物元素であり、本発明では、母材およびＨＡＺの低温靱性をより一層向上させるために、Ｐ、Ｓの含有量をそれぞれ０．０１５％、０．００３％以下に規制する。Ｐ含有量の低減は連続鋳造スラブの中心偏析を軽減するとともに、粒界破壊を防止して低温靱性を向上させる。また、Ｓ含有量の低減は熱間圧延で延伸化するＭｎＳを低減して延靱性を向上させる効果がある。
Ａｌは、通常脱酸材として鋼に含まれる元素で、組織の微細化にも効果を有する。しかし、Ａｌ量が０．０６％を越えるとＡｌ系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、上限を０．０６％とした。なお、鋼板のＡｌ量の上限は、本発明の実施例の表１の実施Ｎｏ．９のＡｌ量の０．０１３４％に基づいて、０．０１３４％以下とする。
Ｎは、ＴｉＮを形成しスラブ再加熱時およびＨＡＺのオーステナイト粒の粗大化を抑制して母材、ＨＡＺの低温靱性を向上させる。このために必要な最小量は０．００１％である。しかし、Ｎ量が多すぎるとスラブ表面疵や固溶ＮによるＨＡＺ靱性の劣化、Ｂの焼入れ性向上効果の低下の原因となるので、その上限は０．００６％に抑える必要がある。
Ｍｇは、微細分散した酸化物を形成し、溶接熱影響部の粒粗大化を抑制して低温靭性を向上させる。０．００６％を超えて添加すると、粗大酸化物を生成し逆に靭性を劣化させるために、その含有量の上限を０．００６％とする。
【００３６】
以上が本発明で使用する鋼板の基本成分であるが、さらに、選択的に以下のような成分を以下の範囲で添加する。
【００３７】
Ｂは、極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高め、目的とするマルテンサイト主体の組織を得るために、非常に有効な元素である。さらに、ＢはＭｏの焼入れ性向上効果を高めると共に、Ｎｂと共存して相乗的に焼入れ性を増す。一方、過剰に添加すると、低温靱性を劣化させるだけでなく、かえってＢの焼入れ性向上効果を消失せしめることもあるので、その上限を０．００５％とした。
【００３９】
Ｖ、Ｃｕ、Ｃｒ、Ｃａ、ＲＥＭは、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強度・靱性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大をはかるため以下のように適量添加することが可能である。
Ｖは、Ｎｂとほぼ同様の効果を有するが、その効果はＮｂに比較して弱い。しかし、超高強度鋼におけるＶ添加の効果は大きく、ＮｂとＶの複合添加は本発明鋼の優れた特徴をさらに顕著なものとする。上限はＨＡＺ靱性、現地溶接性の点から０．１％まで許容できるが、特に０．０３〜０．０８％の添加が望ましい範囲である。
【００４０】
Ｃｕは、母材、溶接部の強度を増加させるが、多すぎるとＨＡＺ靱性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためＣｕ量の上限は１％である。
Ｃｒは、母材、溶接部の強度を増加させるが、多すぎるとＨＡＺ靱性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためＣｒ量の上限は０．８％である。
ＣａおよびＲＥＭは、硫化物（ＭｎＳ）の形態を制御し、低温靱性を向上（シャルピー試験の吸収エネルギーの増加など）させる。Ｃａ含有量が０．０１％、ＲＥＭ含有量が０．０２％を越えてると、ＣａＯ−ＣａＳまたはＲＥＭ−ＣａＳが大量に生成して大型クラスター、大型介在物となり、鋼の清浄度を害するだけでなく、現地溶接性にも悪影響をおよぼす。このためＣａ添加量の上限を０．０１％またはＲＥＭ添加量の条件を０．０２％に制限した。
【００４１】
なお、超高強度ラインパイプでは、Ｓ、Ｏ量をそれぞれ０．００１％、０．００２％以下に低減し、以下に示すＭｎＳのクラスターの形状を制御するための指標であるＥＳＳＰ（ＥｆｆｅｓｔｉｖｅＳｕｌｐｈｉｄｅＳｈａｐｅＣｏｎｔｒｏｌｌｉｎｇＰａｒａｍｅｔｅｒ）が０．５≦ＥＳＳＰ≦１０．０を満足するようにＣａ、Ｓ、Ｏを調整することがとくに有効である。
ＥＳＳＰ＝（Ｃａ）〔１−１２４（Ｏ）〕／１．２５Ｓ・・・（１）
上記のＥＳＳＰが０．５未満になるとＣａＯ−ＣａＳが大量の生成して粗大なクラスター、粗大介在物となり溶接割れ等の溶接性を悪化させ、上記ＥＳＳＰが１０．０を越えると、ＭｎＳの形状制御の効果がなくなるため、ＥＳＳＰを０．５〜１０．０に規定する。
【００４２】
以上の個々の添加元素の限定に加えて、強度・靱性バランスを達成するために、さらに以下に示す焼き入れ性指標であるＰ値を１．９≦Ｐ≦４．０に制限することが望ましい。なお、Ｐ値が高くなるほど強度は大きくなり、金属組織がベイナイト・マルテンサイト組織になりやすいことを示す。
Ｐ＝２．７Ｃ＋０．４Ｓｉ＋Ｍｎ＋０．８Ｃｒ＋０．４５（Ｎｉ＋Ｃｕ）＋（１＋β）Ｍｏ−１＋β ・・・（２）
但し、Ｂ≧３ｐｐｍではβ=１、Ｂ＜３ｐｐｍではβ=０とする。
【００４３】
Ｐ値を上記のように制限する理由は、目的とする強度・低温靱性バランスを達成するためである。Ｐ値の下限を１．９としたのは９００ＭＰａ以上の強度と優れた低温靱性を得るためである。また、Ｐ値の上限を４．０としたのは優れたＨＡＺ靱性、現地溶接性を維持するためである。
また、本発明の超高強度鋼管用の鋼板（母材）は、引張強さを９００ＭＰａ以上とするために、鋼板組織をマルテンサイト・ベイナイト等の低温変態組織主体のミクロ組織とする必要がある。このために、上記成分を規定した鋼を鋳造後、熱間加工し、その後急冷したり、場合によっては焼戻しを行って製造され、鋼板組織は、フェライト組織を抑制し、マルテンサイト・ベイナイト等の低温変態組織主体のミクロ組織にする必要がある。
【００４４】
【実施例】
次に、本発明の実施例について述べる。
３００トン転炉で表１に示す化学成分の超高強度鋼管用鋼を溶製後、連続鋳造鋼片とし、その後１１００℃加熱後８００〜９００℃での累積圧下量が８０％の仕上げ圧延を行い、その後、８００℃から２００℃までを水冷して９００ＭＰａ以上の引張り強度を有する１６ｍｍの鋼板を作製した。この鋼板を用いて、ＵＯ工場で管状に成形し、８０％Ａｒ＋２０％ＣＯ₂のシールドガスでＭＡＧアーク溶接を用いて仮付け溶接後、表２に示す種々の成分の溶接ワイヤ−およびフラックスを用いて、３電極、１．７５ｍ／分、入熱量２．２ＫＪ／ｍｍの溶接条件で内外面から各１パスのサブマージドアーク溶接を行い、その後１％の拡管を行った。表３に得られた鋼管の溶接部の溶接金属の化学成分、組織および特性を示す。表３において、比較例Ｎｏ．１５〜２２は、本シーム溶接時に用いたワイヤの化学成分、溶接金属の組織および化学成分が本発明範囲外であり、本発明の溶接金属の低温靱性（−２０℃でのシャルピー吸収エネルギーが８０Ｊ以上）を満足していないか、もしくは溶接時に低温割れが生じている例である。
【００４５】
Ｎｏ．１５、１７、１９、２１は、ワイヤ成分が本発明の範囲を外れているために溶接金属中のＣ、Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ含有量がそれぞれ本発明範囲より低くなり、溶接金属強度はＴＳで９００ＭＰａ以上を満足しているが、内面本溶接金属中の残留オーステナイトが１％未満と少なすぎるために、溶接金属の低温割れが発生した。
【００４６】
Ｎｏ．１６、１８、２０、２２は、ワイヤ成分が本発明の範囲を外れているために溶接金属中のＣ、Ｍｎ、Ｓｉ、Ｎｉ含有量がそれぞれ本発明範囲より大幅に高くなり、溶接金属の低温靱性が著しく低下し、溶接金属に低温割れあるいは高温割れが生じた。一方、本発明例であるＮo．１〜９、１１、１３、１４では、鋼板およびワイヤ成分が本発明の範囲内であり溶接金属中の成分および組織も本発明範囲であるため、溶接金属の引張り強度、低温靱性の機械特性が良好であり、かつ溶接金属の低温割れも発生しなかった。
【００４７】
【表１】

【００４８】
【表２】

【００４９】
【表３】

【００５０】
【表４】

【００５１】
【表５】

【００５２】
【発明の効果】
本発明によれば、引張強さ９００ＭＰａ以上（ＡＰＩ規格Ｘ１００超）の超高強度鋼管製造時の大入熱での内外面１パスシーム溶接を行う際に、従来のような溶接部の予熱、後熱処理を行わずに溶接金属の低温割れを防止することができ、強度・低温靱性に優れた超高強度鋼管を高生産性かつ低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】鋼管シーム溶接部の溶接金属を示す図である。
【符号の説明】
１…外面本溶接金属
２…内面本溶接金属
３…鋼管母材
４…仮付け溶接金属[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is an ultra-high-strength steel pipe that can be used widely as a line pipe for transporting natural gas and crude oil, and that enables high-pressure, high-efficiency transport, and high-efficiency local construction with a small outer diameter and low weight, and a method for manufacturing the same In particular, the present invention relates to an ultra-high strength steel pipe having a seam welded portion excellent in cold cracking resistance and having a tensile strength (TS) of 900 MPa or more and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
In recent years, pipelines have become increasingly important as long-distance transportation methods for crude oil and natural gas. Currently, the American Petroleum Institute (API) standard X65 is the basic design for trunk line pipes for long-distance transportation, and the actual usage is overwhelmingly large.
[0003]
However, in order to (1) improve transportation efficiency by increasing pressure and (2) improve local construction efficiency by reducing the outer diameter and weight of the line pipe, a higher strength line pipe is required. Up to now, line pipes up to X80 (tensile strength of 620 MPa or more) have been put into practical use, but the need for higher-strength line pipes has become stronger. Currently, research on ultra-high-strength line pipe manufacturing methods is based on conventional X80 line pipe manufacturing techniques (eg NKK Technical Report No. 138 (1992), pp24-31 and The 7th Offshore Mechanics and Arctic Engineering (1988), Volume V , pp. 179-185), but it is considered that the production of X100 (tensile strength of 760 MPa or more) line pipe is the limit. For ultra-high-strength line pipes exceeding X100, steel plate production has already been studied (PCT / JP96 / 00155, 00157), but the balance between strength and low-temperature toughness, welding heat affected zone (HAZ) and welding We have many problems such as metal toughness, on-site weldability, joint softening, weld properties that can break the pipe by burst test, etc. Early development is desired.
[0004]
On the other hand, in order to improve the seam welding efficiency of HT80 and HT100 class high-tensile steel pipes, a method of performing seam welding by double-sided one-pass welding with large heat input from conventional multi-layer welding with small heat input has been studied. However, when seam welding of such an ultra-high strength steel pipe is performed with one pass of high heat input, cold cracking of the weld metal is likely to occur. Conventionally, in order to prevent such cold cracking, It was necessary to preheat or postheat the steel (Journal of the Japan Welding Society 49 (1980) p.572).
[0005]
If such preheating or post heat treatment is applied during seam welding in an actual ultra high strength line pipe production line, it will not only cost a lot for the equipment, but also considering the processing time for preheating and postheating. It was not necessarily a fundamental solution for improving productivity.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the problems of the above prior art, the present invention provides a method for producing an ultra-high-strength line pipe having a tensile strength of 900 MPa or more (API standard X100 or more) when performing double-sided one-pass seam welding with large heat input. It is an object of the present invention to provide an ultra-high strength steel pipe free from cold cracking of weld metal and a method for producing an ultra-high strength steel pipe capable of preventing cold cracking of weld metal.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
  This invention solves said subject and the place made into the summary is as follows.
(1) In the weld metal of the seam welded portion, the components of the inner and outer surfaces of the weld metal formed by the seam welding are mass%, C: 0.04 to 0.14%, Si: 0.05 to 1. %, Mn: 1.2-2.2%, P: ≦ 0.01%, S: ≦ 0.01%, Ni: 1.3-6%, Ti:0.018~ 0.05%, Al: ≦0.010%, B: ≦ 0.005%In addition, 2 types of Cr and Mo are contained in a total amount of 1 to 2.5%, or 3 types of Cr, Mo and V are contained in a total amount of 1 to 2.5%, with the balance being iron. And a seam weld having excellent low-temperature cracking resistance, comprising at least 1% of the retained austenite phase in the structure of at least the inner surface of the inner and outer surface of the weld metal, the inevitable impurities. Having ultra high strength steel pipe.
(2The above-mentioned (1), wherein the weld metal has a bainite martensite fraction of 50% or more.)An ultra-high-strength steel pipe having a seam welded portion having excellent cold cracking resistance as described.
(3(1) The tensile strength of the weld metal is 900 MPa or more.Or(2)Ultra high strength steel with seam welds with excellent cold crack resistance
tube.
(4)% By mass, C: 0.03-0.1%, Si: ≦ 0.6%, Mn: 1.7-2.5%, P: ≦ 0.015%, S: ≦ 0.003% Ni: 0.1-1%, Mo: 0.15-0.6%, Nb: 0.01-0.1%, Ti: 0.005-0.03%, Al: ≦0.0134%N: 0.001 to 0.006%, Mg: ≦ 0.006%, B: ≦ 0.005%, V: ≦ 0.1%, Cu: ≦ 1%, Cr: ≦ A steel plate containing one or more of 0.8%, Ca: ≦ 0.01%, and REM: ≦ 0.02%, the balance being iron and unavoidable impurities is formed into a tubular shape in the UO process After shaping | molding and butting | matching the steel plate edge part to which the groove processing was given, after performing the tack welding of the butted groove part, C: 0.01-0.12%, Si: ≦ 0.3%, Mn: 1.2 to 2.4%, Ni: 4 to 8.5%, total amount of one or more of Cr, Mo and V: 3 to 5%, Ti :0.060Containing ~ 0.15%,Al: ≦ 0.033%,Low temperature resistance characterized in that main welding is performed by submerged arc welding from the inner surface and outer surface using a welding wire consisting of iron and inevitable impurities and the firing-type flux or fusion-type flux, and then tube expansion is performed. A method for producing an ultra-high-strength steel pipe having a seam welded portion with excellent crackability.
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the contents of the present invention will be described in detail.
The ultra-high strength steel pipe having a seam welded portion having a tensile strength (TS) of 900 MPa or more and excellent in low-temperature cracking resistance, which is an object of the present invention. Because it withstands about twice the pressure compared to X65, it can transport about twice as much gas at the same size. On the other hand, when using X65 to achieve the same gas transport efficiency as the above ultra-high-strength line pipe, it is necessary to increase the wall thickness in order to increase the pressure, resulting in high material costs, transport costs, and local welding costs. As a result, the pipeline laying costs will rise significantly. This is the reason why an ultra-high-strength line pipe having a tensile strength (TS) of 900 MPa or more is required, but with such an ultra-high-strength line pipe, it is extremely difficult to manufacture a steel pipe.
[0009]
In particular, the low-temperature cracking of weld metal that occurs in seam welding during the manufacture of steel pipes tends to occur more frequently depending on the strength of the weld metal and the amount of heat input during seam welding. The decrease in the strength of the weld metal has a limit in order to ensure the strength balance with the base metal, and the decrease in the heat input during seam welding (small heat input multi-layer welding) has the problem of a decrease in productivity. Therefore, conventionally, when performing seam welding of an ultra-high strength steel pipe by high heat input double-sided one-pass welding, cold cracking of the weld metal has been prevented by preheating and post heat treatment of the welded portion.
[0010]
The present inventors prevent cold cracking of weld metal without performing preheating and post heat treatment of conventional welds in large heat input double pass 1-pass seam welding when manufacturing ultra-high strength steel pipes with a tensile strength of 900 MPa or more. The production method of the super high strength steel pipe with excellent productivity was studied by experiments.
FIG. 1 shows a seam weld of an ultra high strength steel pipe. In seam welding at the time of normal steel pipe manufacturing, after attaching both ends of a steel plate formed into a tubular shape, the attachment portion is first tack welded from the outer surface by MAG arc welding or the like, and then the tack welded portion is attached. Further, main welding is performed from the inner surface and then from the outer surface by submerged arc welding or the like. Usually, as shown in FIG. 1, the inner surface main weld metal part 2 is formed by performing main welding from the inner surface so as to overlap with the tack weld metal part 4 formed at the time of tack welding. The outer surface weld metal portion 1 is formed by performing main welding from the outer surface so as to overlap with 2 and melt the tack weld metal portion 4.
[0011]
The inventors conducted seam welding under various welding conditions and examined in detail the relationship between the structure of the weld metal and the cold cracking resistance. As a result, the low-temperature cracking of the ultra-high-strength weld metal occurs in the inner surface main weld metal 2 after the main welding from the outer surface shown in FIG. 1, and there are many residual austenite phases in the structure of the inner surface main welding metal 2. When present, it has been found that the low temperature cracking resistance is good, and that the effect is remarkably exhibited especially when the content of the retained austenite phase is 1% or more.
[0012]
This is because if there is a lot of retained austenite in the inner surface of the main weld metal 2, hydrogen in the weld metal is trapped, the apparent hydrogen diffusion constant decreases, and the allowable limit hydrogen amount that does not cause cold cracking of the weld metal increases. It is thought to do.
The present invention has been made based on these findings, and remains in the structure of at least the inner surface main weld metal and the inner surface main weld metal formed during the main welding in the seam weld. An ultrahigh strength steel pipe having a seam welded portion excellent in cold cracking resistance, characterized by containing 1% or more of an austenite phase.
[0013]
In the present invention, it is necessary that at least 1% of the retained austenite phase is contained in the structure of at least the inner surface main weld metal of the inner surface main weld metal and the outer surface main weld metal. This means that the residual austenite phase is less than 1%. Then, the effect of increasing the allowable limit hydrogen amount that does not cause low temperature cracking due to hydrogen trap in the weld metal is not sufficiently exerted, and the tensile strength (TS): preventing low temperature cracking of the super high strength weld metal of 900 MPa or more. It is because it becomes impossible.
[0014]
In order to make the tensile strength of the weld metal 900 MPa or more, the bainite / martensite fraction needs to be 50% or more in the bainite / martensite structure of the weld metal.
Moreover, in this invention, the component of a weld metal is prescribed | regulated as follows.
In addition,% shown below means the mass% unless there is particular description.
[0015]
The amount of C is limited to 0.04 to 0.14%. C is extremely effective for improving the strength of steel, and at least 0.04% is necessary to obtain the target strength in the martensite structure. However, if the amount of C is too large, cold cracking is likely to occur, leading to an increase in the HAZ maximum hardness of the so-called T-cross portion where the on-site weld and seam welding intersect, so the upper limit was made 0.14%. Furthermore, the upper limit is preferably 0.1%.
[0016]
Si needs to be 0.05% or more in order to form retained austenite to suppress low temperature cracking, but if the content is large, the low temperature toughness will be significantly deteriorated, and the low temperature toughness of inner and outer surface main welding will be ensured. The upper limit was 1%.
Mn is an indispensable element for ensuring an excellent balance between strength and low-temperature toughness. In addition, Mn-containing sulfide inclusions are generated and intragranular bainite is generated as a core to produce low-temperature toughness of weld metals. To improve. In particular, when a cation vacancy type Ti-containing oxide is present in the grain, Mn-containing sulfide is precipitated around the Ti-containing oxide, and the generation of Mn-containing sulfide in the grain is promoted. Generation is promoted. Further, Mn is a component necessary for forming retained austenite for suppressing the low-temperature cracking that is the object of the present invention. In order to obtain these effects, the lower limit of the addition amount is set to 1.2%. However, too much Mn not only promotes segregation and deteriorates low-temperature toughness, but also makes it difficult to produce a welding material, so the upper limit was made 2.2%.
[0017]
The content of P and S is preferably low in order to reduce the low temperature toughness of the weld metal and reduce the low temperature cracking susceptibility, and the upper limit of each is defined as 0.010%.
Ni is necessary for increasing the hardenability to ensure strength, further improving low-temperature toughness and forming retained austenite for suppressing low-temperature cracking. Since it is difficult to obtain the target strength and low temperature toughness at 1.3% or less, the lower limit is set to 1.3%. On the other hand, if the content is too high, there is a risk of hot cracking, so the upper limit was made 6%.
[0018]
  Cr, Mo, and V are all elements that are necessary for improving the hardenability and obtaining high strength.Add 2 types of Cr and Mo in the range of 1 to 2.5% in total amount, or 3 types of Cr, Mo and V in total amountAdd in the range of 1-2.5%. If the total content is less than 1%, the effect is not sufficient. On the other hand, if excessively added, the risk of cold cracking increases, so the upper limit was made 2.5%. B is an element that enhances the hardenability in a small amount and is effective for improving the low temperature toughness of the weld metal. However, if the content is too large, the low temperature toughness is lowered, so the content range is set to 0.005% or less.
[0019]
  Al is known as a deoxidizing component and Al₂O_ThreeThe oxide is an anion vacancy type oxide and has poor bonding with Mn-containing sulfides such as MnS. In order not to inhibit, it is preferable to make it as low as possible. Therefore, in this invention, the upper limit of the content is prescribed | regulated to 0.02%.In addition, the upper limit of the amount of Al of the weld metal is the implementation No. in Table 4 of the examples of the present invention. Based on 0.010% of the Al content of 1, the content is made 0.010% or less.
[0020]
  Ti is an essential component for generating inclusions of Ti-containing oxides that generate intragranular bainite and composite particles of this oxide and Mn-containing sulfide, and these inclusions serve as nuclei in the grains. Inner bainite is generated to improve the low temperature toughness of the weld metal. In order to obtain these effects, the lower limit of the content is 0.003%. Further, if the Ti content is excessively large, a large amount of Ti carbide is generated and the low temperature toughness is deteriorated, so the upper limit was made 0.05%.In addition, the lower limit of the amount of Ti of the weld metal is the implementation No. in Table 4 of the examples of the present invention. Based on 0.018% of the Ti content of 2, it is set to 0.018% or more.
[0021]
Further, in the present invention, in addition to the above components, elements such as Zr, Nb, and Mg may be further contained in the weld metal as necessary in order to improve refining and solidification during welding. . In addition, it is preferable that the oxygen amount contained in a weld metal is 20 ppm or more.
Next, the manufacturing method of the ultra high strength steel pipe of this invention is demonstrated below.
[0022]
The ultra high strength steel pipe of the present invention is formed into a tubular shape in the UO process in which the steel sheet is formed into a U shape and then into an O shape. This seam welding is performed by submerged arc welding of a pass, and thereafter, it can be efficiently manufactured by a method of manufacturing a steel pipe that is expanded to increase the roundness. This seam welding by submerged arc welding is excellent in welding efficiency, but since the dilution rate of the base metal is large, in order to obtain the desired weld metal composition and characteristics, dilution of the component from the base material is considered. It is necessary to select a welding material. Further, the tack seam welding performed before the seam welding has a smaller welding area and less influence on the quality of the weld metal part than the seam welding. Therefore, in this invention, although the component of the welding wire used for this seam welding needs to be prescribed | regulated, the component of the welding wire used for temporary seam welding does not need to prescribe | regulate in particular.
[0023]
The reason for limiting the chemical composition of the welding wire used for the present seam welding at the time of manufacturing the steel pipe of the present invention is described below. In addition, unless otherwise indicated,% shown below shall show the mass%.
C was set to 0.01 to 0.12% in consideration of dilution with the base material component and mixing of C from the atmosphere in order to obtain a range of C amount required for the weld metal.
[0024]
In order to obtain a range of Si amount required for the weld metal, Si is set to 0.3% or less in consideration of dilution by the base material component.
Mn is set to 1.2% to 2.4% in consideration of dilution by a base material component in order to obtain a range of Mn amount required for the weld metal.
In order to obtain a range of Ni amount required for the weld metal, Ni is set to 4% to 8.5% in consideration of dilution by the base material component.
[0025]
  In order to obtain a range of contents in which the total amount of one or more of these components is required for the weld metal, Cr, Mo, and V are 3 to 3 in consideration of dilution by the base material components. 5%. In order to obtain a range of Ti amount required for the weld metal, Ti takes into account 0.005 to 0.005 in consideration of dilution by the base material component.0.15%It was.In addition, the lower limit of the Ti amount of the welding wire is the implementation No. in Table 3 of the examples of the present invention. Based on 0.060% of the Ti amount of 2, it is made 0.060% or more.
[0026]
  P, S, and Al are unavoidable impurity components. In the present invention, P, S, and Al are desirably as small as possible in order to suppress deterioration of the low temperature toughness of the weld metal. P and S are each 0.01% or less. , Al is preferably regulated to 0.02% or less.Note that the Al amount of the welding wire is the same as that in Table 3 of the embodiment of the present invention. Based on 0.033% of the Al content of 1, the content is regulated to 0.033% or less.Further, in the present invention, the B content in the welding wire is not particularly required to be specified, but may be added as a hardenability component according to the necessity of adjusting the strength.
[0027]
Moreover, you may add Zr, Nb, Mg, etc. as a deoxidizer in a welding wire. In the present invention, the temporary seam welding and the main seam welding can be welded using not only a single electrode but also a plurality of electrodes. In consideration of welding efficiency, the seam welding is particularly preferably gas shielded arc welding or submerged arc welding with a plurality of electrodes. In the case of welding with a plurality of electrodes, it is possible to combine various wires, and it is not necessary for each wire to be in the above component range, and it is sufficient that the average composition from each wire component and consumption is in the above component range.
[0028]
Moreover, the filling flux used for this seam welding by the submerged arc welding at the time of manufacturing the steel pipe of the present invention is roughly classified into a firing type flux and a melting type flux. Firing-type fluxes have the advantage that alloy materials can be added and the amount of diffusible hydrogen is low, but they have the disadvantage of being easily pulverized and difficult to use repeatedly. On the other hand, the melt-type flux is in the form of glass powder, has the advantages of high grain strength and is difficult to absorb moisture, and has the disadvantage that diffusible hydrogen is slightly high. From the viewpoint of reducing the low temperature cracking of the ultra-high strength weld metal, which is the object of the present invention, a calcined flux is more desirable, but there is a problem of high cost. On the other hand, molten flux can be recovered and used repeatedly, and it is suitable for mass production and has a low cost. However, there is a problem in that strict quality control is required although it can be handled industrially. Therefore, in the present invention, it is not particularly necessary to limit the type of flux, and either can be used.
[0029]
Next, the reasons for limiting the steel plate components used in manufacturing the steel pipe of the present invention will be described.
The amount of C is limited to 0.03 to 0.1%. C is extremely effective for improving the strength of steel, and at least 0.03% is necessary to obtain the target strength in the martensite structure. However, if the amount of C is too large, the base metal, HAZ low temperature toughness and on-site weldability are significantly deteriorated, so the upper limit was made 0.1%. Furthermore, the upper limit is preferably 0.07%.
[0030]
Si is an element added for deoxidation and strength improvement, but if added in a large amount, the HAZ toughness and on-site weldability are remarkably deteriorated, so the upper limit was made 0.6%. Steel can be deoxidized with either Al or Ti, and Si does not necessarily have to be added.
Mn is a martensite-based microstructure of the steel of the present invention, and is an indispensable element for ensuring an excellent balance between strength and low temperature toughness, and its lower limit is 1.7%. However, if Mn is too much, not only the hardenability of the steel will increase and the HAZ toughness and on-site weldability will deteriorate, but also the center segregation of the continuously cast steel slab will be promoted and the low temperature toughness of the base metal will also deteriorate, so the upper limit is set. 2.5%.
[0031]
The purpose of adding Ni is to improve the low carbon steel of the present invention without deteriorating the low temperature toughness and on-site weldability. Compared with the addition of Mn, Cr and Mo, the addition of Ni is less likely to form a hardened structure harmful to low temperature toughness in the rolled structure (especially the central segregation zone of the continuous cast steel slab). It has been found that the addition of a trace amount of Ni is also effective for improving the HAZ toughness (in particular, the effective Ni addition amount is 0.3% or more in terms of HAZ toughness). However, if the addition amount is too large, not only the economy but also the HAZ toughness and on-site weldability are deteriorated, so the upper limit was made 1%. Ni addition is also effective for preventing Cu cracking during continuous casting and hot rolling. In this case, Ni needs to be added by 1/3 or more of the amount of Cu.
[0032]
Mo is added in an amount of 0.15% or more in order to improve the hardenability of the steel sheet and to obtain a target martensite-based structure. In particular, in the B-added steel, the effect of improving the hardenability of Mo is enhanced, and when Mo coexists with Nb, recrystallization of austenite during controlled rolling is suppressed, and the austenite structure is refined. However, if added in excess, the upper limit is made 0.6% in order to degrade the HAZ toughness and field weldability and further reduce the effect of improving the hardenability of B.
[0033]
By coexisting with the Mo described above, Nb not only suppresses austenite recrystallization during controlled rolling and refines the structure, but also contributes to precipitation hardening and hardenability, thereby strengthening the steel. In particular, when Nb and B coexist, the effect of improving hardenability increases synergistically. In order to obtain these effects, 0.01% or more of Nb is added in the present invention. However, if the amount of Nb added is too large, the HAZ toughness and on-site weldability are adversely affected, so the upper limit was made 0.1%.
[0034]
Ti forms fine TiN in the steel, suppresses coarsening of austenite grains during slab reheating and HAZ, refines the microstructure, and improves the low temperature toughness of the base material and HAZ. Moreover, it has a role which fixes solid solution N harmful to the hardenability improvement effect of B as TiN. For this purpose, it is desirable to add Ti in an amount of 3.4 N (each by weight%) or more. Further, when the amount of Al is small (for example, 0.005% or less), Ti forms an oxide, acts as an intragranular ferrite formation nucleus in the HAZ, and has an effect of refining the HAZ structure. In order to exhibit such an effect of TiN, it is necessary to add at least 0.005% Ti. However, if the amount of Ti is too large, TiN coarsening and precipitation hardening due to TiC occur and the low temperature toughness is deteriorated, so the upper limit was limited to 0.030%.
[0035]
  P and S are unavoidable impurity elements. In the present invention, in order to further improve the low temperature toughness of the base material and the HAZ, the contents of P and S are respectively 0.015% and 0.003% or less. regulate. The reduction of the P content reduces the center segregation of the continuously cast slab, prevents the grain boundary fracture and improves the low temperature toughness. Moreover, the reduction of the S content has an effect of improving the ductility by reducing MnS that is stretched by hot rolling.
  Al is an element usually contained in steel as a deoxidizing material, and has an effect on refinement of the structure. However, if the amount of Al exceeds 0.06%, Al-based non-metallic inclusions increase to impair the cleanliness of the steel, so the upper limit was made 0.06%.In addition, the upper limit of the amount of Al of the steel plate is the implementation No. Based on 0.0134% of the Al content of 9, the content is made 0.0134% or less.
  N forms TiN and suppresses coarsening of the austenite grains of HAZ during reheating of the slab and improves the low temperature toughness of the base material and HAZ. The minimum amount required for this is 0.001%. However, if the amount of N is too large, it will cause deterioration of the HAZ toughness due to slab surface defects and solute N, and decrease in the effect of improving the hardenability of B, so the upper limit must be limited to 0.006%.
  Mg forms finely dispersed oxide and suppresses the coarsening of the weld heat-affected zone to improve the low temperature toughness. If over 0.006% is added, a coarse oxide is formed and, on the contrary, the toughness is deteriorated, so the upper limit of the content is made 0.006%.
[0036]
  The above are the basic components of the steel sheet used in the present invention, and the following components are selectively added in the following ranges.
[0037]
B is an extremely effective element for dramatically increasing the hardenability of steel in a very small amount and obtaining the target martensite-based structure. Further, B enhances the hardenability improvement effect of Mo, and synergistically increases the hardenability by coexisting with Nb. On the other hand, if added excessively, not only the low temperature toughness is deteriorated, but also the effect of improving the hardenability of B may be lost, so the upper limit was made 0.005%.
[0039]
  V, Cu, Cr, Ca, REM isIn order to further improve the strength and toughness and expand the size of the steel material that can be manufactured without impairing the excellent characteristics of the steel of the present invention, it is possible to add an appropriate amount as follows.
  V has almost the same effect as Nb, but the effect is weaker than Nb. However, the effect of V addition in the ultra high strength steel is great, and the combined addition of Nb and V makes the excellent characteristics of the steel of the present invention even more remarkable. The upper limit is acceptable up to 0.1% in terms of HAZ toughness and on-site weldability, but 0.03 to 0.08% is particularly desirable.
[0040]
Cu increases the strength of the base metal and the welded portion, but if too much, the HAZ toughness and on-site weldability deteriorate significantly. For this reason, the upper limit of the amount of Cu is 1%.
Cr increases the strength of the base metal and the weld, but if too much, the HAZ toughness and on-site weldability deteriorate significantly. For this reason, the upper limit of the Cr content is 0.8%.
Ca and REM control the form of sulfide (MnS) and improve low-temperature toughness (such as an increase in absorbed energy in the Charpy test). If the Ca content exceeds 0.01% and the REM content exceeds 0.02%, a large amount of CaO-CaS or REM-CaS is generated, resulting in large clusters and large inclusions, which only harms the cleanliness of the steel. In addition, it adversely affects on-site weldability. For this reason, the upper limit of the Ca addition amount is limited to 0.01% or the condition of the REM addition amount is limited to 0.02%.
[0041]
In the ultra-high-strength line pipe, the amount of S and O is reduced to 0.001% and 0.002% or less, respectively, and ESSP (Effective Sulphide Shape) is an index for controlling the shape of the MnS cluster shown below. It is particularly effective to adjust Ca, S, and O so that Controlling Parameter) satisfies 0.5 ≦ ESSP ≦ 10.0.
ESSP = (Ca) [1-124 (O)] / 1.25S (1)
When the above ESSP is less than 0.5, a large amount of CaO-CaS is formed, resulting in coarse clusters and coarse inclusions, which deteriorate weldability such as weld cracks. When the ESSP exceeds 10.0, the shape of MnS Since the effect of control is lost, ESSP is specified to be 0.5 to 10.0.
[0042]
  Less thanIn addition to the limitations of the individual additive elements above, it is desirable to further limit the P value, which is a hardenability index shown below, to 1.9 ≦ P ≦ 4.0 in order to achieve a strength / toughness balance. . In addition, intensity | strength becomes large, so that P value becomes high, and it shows that a metal structure tends to become a bainite martensite structure.
P = 2.7C + 0.4Si + Mn + 0.8Cr + 0.45 (Ni + Cu) + (1 + β) Mo-1 + β (2)
However, β = 1 when B ≧ 3 ppm, and β = 0 when B <3 ppm.
[0043]
The reason for limiting the P value as described above is to achieve the desired balance between strength and low temperature toughness. The lower limit of the P value is set to 1.9 in order to obtain a strength of 900 MPa or more and excellent low temperature toughness. The upper limit of the P value is set to 4.0 in order to maintain excellent HAZ toughness and on-site weldability.
In addition, the steel sheet (base material) for the ultra-high-strength steel pipe of the present invention needs to have a steel sheet structure of a microstructure mainly composed of a low-temperature transformation structure such as martensite and bainite in order to set the tensile strength to 900 MPa or more. . For this purpose, the steel having the above-mentioned components is cast, then hot worked, and then rapidly cooled, or in some cases, tempered and manufactured, and the steel sheet structure suppresses the ferrite structure, such as martensite and bainite. It is necessary to make the microstructure mainly composed of low-temperature transformation structures.
[0044]
【Example】
Next, examples of the present invention will be described.
After the ultra high strength steel pipe steel having the chemical composition shown in Table 1 is melted in a 300 ton converter, it is made into a continuous cast steel piece, and then heated at 1100 ° C. and then subjected to finish rolling with a cumulative reduction of 80% at 800-900 ° C. After that, a 16 mm steel plate having a tensile strength of 900 MPa or more was produced by water cooling from 800 ° C. to 200 ° C. Using this steel plate, it is formed into a tube at a UO factory, and 80% Ar + 20% CO₂After tentative welding using MAG arc welding with various shielding gases, welding with 3 electrodes, 1.75 m / min, heat input 2.2 KJ / mm using welding wires and fluxes of various components shown in Table 2 Under conditions, submerged arc welding was performed for each pass from the inner and outer surfaces, and then 1% pipe expansion was performed. Table 3 shows the chemical composition, structure and characteristics of the weld metal of the welded portion of the steel pipe obtained. In Table 3, Comparative Example No. 15-22, the chemical composition of the wire used in the seam welding, the structure and chemical composition of the weld metal are outside the scope of the present invention, and the low temperature toughness of the weld metal of the present invention (Charpy absorbed energy at −20 ° C. is 80 J). This is an example that does not satisfy the above) or that cold cracking occurs during welding.
[0045]
No. 15, 17, 19 and 21, the wire component is outside the scope of the present invention, so the contents of C, Mn, Si and Ni in the weld metal are lower than the scope of the present invention, respectively, and the weld metal strength is TS. Although 900 MPa or more was satisfied, since the retained austenite in the inner surface main weld metal was too low, less than 1%, cold cracking of the weld metal occurred.
[0046]
  No. Nos. 16, 18, 20, and 22 show that the content of C, Mn, Si, and Ni in the weld metal is significantly higher than the range of the present invention because the wire component is out of the range of the present invention. The toughness was significantly reduced and cold cracking or hot cracking occurred in the weld metal. On the other hand, No. which is an example of the invention. 1 to9, 11, 13,No. 14, the steel plate and wire components are within the scope of the present invention, and the components and structures in the weld metal are also within the scope of the present invention. Therefore, the tensile strength and low temperature toughness of the weld metal are good, and the weld metal Cold cracking did not occur.
[0047]
[Table 1]

[0048]
[Table 2]

[0049]
[Table 3]

[0050]
[Table 4]

[0051]
[Table 5]

[0052]
【The invention's effect】
According to the present invention, when performing one-pass seam welding on the inner and outer surfaces with high heat input when manufacturing an ultra-high strength steel pipe having a tensile strength of 900 MPa or more (API standard X100 or more), Cold cracking of the weld metal can be prevented without heat treatment, and an ultra-high strength steel pipe excellent in strength and low temperature toughness can be produced at high productivity and at low cost.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a weld metal in a steel pipe seam weld.
[Explanation of symbols]
1 ... Outside real weld metal
2 ... Inner main weld metal
3. Steel pipe base material
4 ... Temporary weld metal

Claims

In the weld metal of the seam weld portion, the components of the inner and outer surfaces of the weld metal formed by the present seam welding are mass%, C: 0.04 to 0.14%, Si: 0.05 to 1%, Mn : 1.2 to 2.2%, P: ≤ 0.01%, S: ≤ 0.01%, Ni: 1.3 to 6%, Ti: 0.018 to 0.05%, Al: ≤ 0 0.010%, B: ≦ 0.005% , and further, 2 types of Cr and Mo are contained in a total amount of 1 to 2.5%, or 3 types of Cr, Mo and V are 1 in a total amount. -2.5%, the balance is made of iron and inevitable impurities, and at least 1% of the retained austenite phase is contained in the structure of at least the inner surface of the inner and outer surface weld metals. Super high strength steel pipe with seam welds with excellent cold cracking resistance.

The ultrahigh strength steel pipe having a seam welded portion having excellent cold crack resistance according to claim 1, wherein the weld metal has a bainite-martensite fraction of 50% or more.

The tensile strength of the weld metal is 900 MPa or more, and the ultra high strength steel pipe having a seam welded portion having excellent cold crack resistance according to claim 1 or 2 .

In mass%, C: 0.03-0.1%, Si: ≦ 0.6%, Mn: 1.7-2.5%, P: ≦ 0.015%, S: ≦ 0.003%, Ni: 0.1-1%, Mo: 0.15-0.6%, Nb: 0.01-0.1%, Ti: 0.005-0.03% , Al: ≦ 0.0134% N: 0.001 to 0.006%, Mg: ≦ 0.006%, B: ≦ 0.005%, V: ≦ 0.1%, Cu: ≦ 1%, Cr: ≦ 0 .8%, Ca: ≦ 0.01%, and REM: ≦ 0.02% containing one or more of them, the balance being iron and inevitable impurities formed into a steel sheet in the UO process Then, after the end portions of the steel sheets subjected to the groove processing are butted, the butted groove portions are subjected to tack welding, and then in mass%, C: 0.01 to 0.12%, Si: ≦ 0.3 , Mn: 1.2~2.4%, Ni: 4~8.5%, Cr, 1 or two or more of the total amount of Mo and V: 3~5%, Ti: 0.060 ~ Containing 0.15%, Al: ≦ 0.033%, the balance is submerged arc from the inner and outer surfaces using a welding wire consisting of iron and unavoidable impurities and a calcined or molten flux A method for producing an ultra-high-strength steel pipe having a seam welded portion excellent in cold cracking resistance, characterized in that main welding is performed by welding and then pipe expansion is performed.