JP4170591B2 - 調整可能心房心室遅延を使った心臓ペーシング - Google Patents
調整可能心房心室遅延を使った心臓ペーシング Download PDFInfo
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Description
(発明の分野)
本発明は全体として心臓ペーシングのための方法および装置、特に各種心臓機能パラメータを改善するため調整可能心房心室時間遅延を行うペーシングシステムに関する。
【0002】
本特許出願は、早期に出願した1998年5月8日出願の米国暫定特許出願第60/084,703号および35USC第119条(e)による1998年5月8日出願の米国特許出願シリアル番号第09/075,278号の利益を主張する。
【0003】
(発明の背景)
心臓は循環系統の中心である。これは、2つの大きなポンピング機能を実行し、右および左の心臓「ポンプ」に分けることのできる器官である。左の心臓ポンプは酸素の入った血液を肺から引出し、身体器官に送り出す。右の心臓ポンプは身体器官から血液を引出し、肺に送り出す。人間の心臓では、右の心臓ポンプは患者の右側に、左の心臓ポンプは患者の左側にある。図1のような本書の図面に心臓の「上面」図を示すが、これは医師が心臓切開手術中に観察する図である。そのため、左の心臓ポンプは図1の右側に、右心臓ポンプは図1の左側にある。各心臓ポンプは心房と呼ばれる上室と心室と呼ばれる下室とを含む。そのため、左心臓ポンプは僧帽弁と呼ばれる弁で分離された左心房(LA)と左心室(LV)とを含む。右心臓ポンプは、三尖弁と呼ばれる弁で分離された右心房(RA)と右心室(RV)とを含む。
【0004】
血液は次の経路で循環系を流れる。抹消静脈系(身体器官を通じて移動された血液)からRA、RAから三尖弁を通じてRV、RVから肺動脈弁を通じて肺動脈へ流れる。肺からの酸化血液は肺静脈から引き出されてLAへ、LAから僧帽弁を通じてLVへ、最終的にLVから大動脈弁を通じて抹消動脈系へ流れる(血液を身体器官へ移動させる)。
【0005】
通常、心臓ポンプは同期して動き、正しいポンピングアクションによって肺から身体器官へ酸素の入った血液を供給できるようにする。正常な心臓は、電気パルスを心筋組織に伝播させ必要な心房および心室収縮を行わせる複雑な伝導システムによってこの同期を提供する。心拍は、リズミックな心臓ポンピングを提供するための心臓の正しい部分への規則的な電気パルスの結果である。心筋は電気信号の受信によって筋肉組織を収縮させることでポンピングを行い、ポンピングアクションは血流を一方向に流す心臓弁のシステムによって可能となる。そのため、心臓は複雑な電気的機械的ネットワークを含む。
【0006】
循環系を通じて血液をポンピングするため、収縮する心臓は心臓サイクルを実行する。心臓サイクルは、収縮期と拡張期とから成る。収縮中は、心室筋肉細胞が収縮して、肺動脈循環および系統循環両方を通じて血液を送り出す。拡張中は、心室筋肉細胞は弛緩して、心室内の圧力が心房内より下がり、心室に血液が再充填され始める。
【0007】
正常状態では、心臓ポンピングは非常に効率的である。この高効率の一態様は、逐次的な心房―心室収縮による。拡張終了近くには、心房が収縮し、余分な血液量を強制的に心室に送る。そのため、心室はより多くの血液(プレロード)を次の拡張中に送り出す。血液ポンピングのこの高効率の別の態様は、ネットワークまたは高速心室伝導システムによる。図1に示すように、このシステムは、ヒス束および心室の心臓内面の大半を覆う高速伝導のプルキンエ繊維の大規模ネットワークから延びる伝導組織の右および左束分岐を含む。心房からの電気信号は束分岐を通じてプルキンエ繊維に中継され、プルキンエ繊維のネットワークによって心室の各領域に中継される。そのため、心室筋肉細胞全体が拡張中、同期して収縮することができる。この同期収縮によってポンピング力が強化される。
【0008】
心臓機能を評価するため、心臓が系統循環を通じて血液をポンピングする能力を直接決定するLV収縮性能を調べることが重要である。心臓の機能評価には様々な方法がある。1つの方法は、LVのポンプとしての効果を判断するためLVがどのくらいうまく収縮するかを調べるものである。図2からわかるように、左束分岐を下に伝播する電気信号が中隔壁Mおよび横壁Nの筋肉細胞を刺激した後、LVが収縮を始める。図3では、壁MおよびNは互いに対して押しつけられ心室の血液を送り出すよう収縮している。LV収縮効果の1つの尺度は「収縮率(contractility)」と呼ばれる。左心室収縮率はLV筋肉細胞の収縮力の全体強度の尺度である。これは、LV筋肉組織の健康度と、壁MおよびNを含むLV全体の収縮の調整との関数である。このような調整は左束分岐の健康度と高速伝導のプルキンエ繊維網の健康度とに依存する。LV収縮率は、収縮中のLV圧のピークの正の変化率を測定することによって推定する。数学用語では、これはLV圧の最大の正の導関数で、「LV+dp/dt」によって表される。
LV収縮機能はまた、1収縮あたりにLVから送り出される血液量である拍動量によって測定する。拍動量は心房脈圧(PP)を測定することによって推定できる。
【0009】
心筋細胞は、機械的収縮を行うにはその前に電気的に励起される必要がある。励起(減極)中、電気信号が生成され、これを心臓内および心臓外で記録することができる。記録された信号は一般に心電図(ECG)と呼ばれる。心臓内で記録されたECGは電位図ともよばれ、心房もしくは心室の心臓内または心臓外に配置した電極から記録される。心臓外で記録したECGは、通常は身体の皮膚に取りつけた2個以上の電極から記録されるため、しばしば表面ECGと呼ばれる。完全な表面ECG記録は12リード構成によるものである。
【0010】
ECGの特長は、電気的活動の起点によりラベル付けされる。心房および心室内の内在的な脱分極に対応する信号はそれぞれ、P波およびQRS合成と呼ばれる。QRS合成自身はQ波、R波およびS波から構成される。P波からR波までの時間間隔はPR間隔と呼ばれる。これは、心房および心室の電気的励起間の遅延尺度である。
【0011】
心臓が正常に作動するのを妨害するいくつかの心臓疾患について研究されている。このような疾患の1つに、電気信号が高速伝導のプルキンエ繊維網の一部または全部を通じた電気信号の伝播をブロックする、LV伝導システムの変質がある。LVの高速伝導のプルキンエ繊維網を通じた励起信号を受け取らない部分は、筋肉組織伝導を介してしか励起できず、これは低速で逐次的なものである。その結果、LVのこれら部分の収縮は、同期せず段階的に発生することになる。例えば、壁Nが伝導異常の影響を受けると、正常伝導の影響を受ける壁Mより遅く収縮する。LV壁のこのような非同期伝導はLVの収縮率(ポンピング力)を低下させ、LV+dp/dt(LV圧の最大の正の導関数)も下げる。
【0012】
心臓の別の疾患は、LV中の血液がLAに逆流する時であり、これによって拍動量および心臓出力が低下する。この疾患は僧帽弁逆流と呼ばれ、僧帽弁の不全、拡張心室またはLV圧とLA圧との異常な関係によって起こることがある。逆流量は、僧帽弁の状態、LVおよびLA内の圧力、左心臓ポンプを通じた血液流量の複合関数である。
【0013】
これら疾患は、患者の中で別途または組み合わせて発見されることがある。例えば、うっ血性心不全(CHF)を示す患者に両方の疾患が見られる。うっ血性心不全(CHF)は心臓血管系の疾患である。一般に、CHFは心不全の結果として異常循環性うっ血が存在する心臓疾患状態を指す。循環性うっ血は、心臓内の血液量が増加するが拍動量は低下する状態である。心臓出力低下は、僧帽弁逆流(LVからLAへの血液の逆流)と内在心室伝導疾患(心室筋肉細胞の非同期収縮)とを含む複数の疾患による場合があるが、これらはCHF患者の二大疾患である。
【0014】
心臓疾患を持つ患者は、心臓ペーシングで利益を享受することができる。例えば、ペーシングシステムはLV収縮率、(収縮中の正のLV圧変化)または拍動量(心房脈圧)を改善するペーシングを提供できるが、周知のシステムは複雑な測定が必要で、これら心臓機能パラメータを自動的に最適化することができない。さらに、測定は患者固有で、動作の間、実質的な監視および較正が必要である。Sholderの米国特許第5,690,689号は、移植可能なディユアルチャンバ心臓刺激装置に関し、これによると、患者の自然の状態のときの値に所定の少量値をプラスもしくはマイナスして心房心室時間間隔を設定する。しかしながら、LV収縮率、(収縮中のピークの正のLV圧変化、LV+dp/dt)、心臓拍動量(脈圧)を限定せずに含む各種心臓パラメータの最適化のため容易に適応可能なシステムが未だ必要とされる。このシステムはプログラムが簡単で単純な患者固有の測定を使って動作するものでなければならない。
【0015】
(発明の概要)
本特許出願は、心室機能を最大限にする最適タイミングの心室ペーシングの送り出しに対し予測可能なタイミング関係を持つ心房または心室の内在的電気的または機械的イベントを判断することによって、心室ペーシングに最適化したタイミングを提供するための複数の方法を説明する。この関係によって、最適ペーシングタイミングを設定するため心房の感知された電気的P波に対する心室ペーシングパルスの送り出しに使われる心房心室遅延の予測が可能になる。また、これらイベントを測定し、上記タイミング関係を導出するための実施例が提供される。
【0016】
いくつかの実施例では、これら測定値を使って収縮中の圧力変化の最大率で測定する心室収縮率を最適化する。他の実施例では、これら測定値を使って心房脈圧で測定する拍動量を最適化する。他の実施例では、ペーシングの簡易タイミングを利用して収縮中のピークの正の圧変化と心房脈圧の両方をほぼ最適に改良する。ある実施例では、このペーシングは心房心室遅延時間間隔を調整することによって行うが、これは所望の心臓パラメータ最適化を達成するため、ペーシングパルスを送り出す感知されたP波の後の時間間隔である。
【0017】
(詳細な説明)
【0018】
本書で示す実施例の一部は、移植可能心臓ペースメーカー内で説明するが、これは当業で周知の多数のペーシングモードを含むことができる。但し、これら実施例は本システムの用途の一部を示すもので、全てまたは排他的な意味ではない。例えば、本システムは広範囲の移植可能および外部装置において実施できる。
【0019】
本システムは様々な心臓機能測定に基づく心臓収縮機能を最適化するための手段を提供する。この開示は、なかでも特に心臓ポンピング強度および拍動量を最適化するために有益な多数の実施例を提供する。本書で説明する概念は、この説明を読んで理解すれば当業者が容易に理解するであろう多数の用途で用いることができる。本書で明示的に提供する心臓機能測定には、収縮率、ピークの正の心室圧変化、拍動量および脈圧が含まれる。これら概念は左心室に関して明示的に説明するが、本発明から逸脱することなく当業者によって容易に理解される。
【0020】
本内容の発明者らは、心臓疾患の処置に使えるペーシングシステム開発のため多数の試験および実験を実施した。このシステムには、心室収縮率、収縮期中の最大圧力変化率、拍動量、および脈圧を限定せずに含む様々な心臓機能パラメータの最適化に有利である方法および装置を含む。本書の実施例は、心臓機能パラメータの最適化のため左心室(LV)、右心室(RV)または両方(BV)のペーシングをタイミングするのに右心房(RA)イベント感知を利用する。但し、これらは他のペーシング構成にも適用可能であることが理解される。本書の教えは、中でも特に様々な心臓疾患の取り扱いに選択可能な最適ペーシングである。異常には、うっ血性心不全(CHF)、僧帽弁逆流、心室伝導異常が限定せずに含まれる。本書に示す最適ペーシングには、圧力、血流または一般に移植可能ペーシング装置によって行われない測定等、患者固有の血流力学パラメータの測定値を使わない実施例が含まれ、本システムは特定の患者のニーズを満たすため自動調整が可能である。
【0021】
AVD時間間隔
ペースメーカー等の移植可能なリズム管理装置は、異常心臓機能を持つ患者の処置に有益である。あるペーシング療法はDDDペーシングモードと呼ばれる。DDDペーシングモードでは、ペーシング電極は心房(例えばRA)および心室の一方または両方に配置する。これら電極は、心房および心室からの電気信号の感知にも使える。装置は、心房中の信号を感知すると、心房へのペーシングパルスの送り出しを禁止するか、あるいは所定期間終了後に心房をペーシングする。装置が心房を感知あるいはペーシングする時は常に、イベントマーカーを生成し、同時に心房心室遅延(AVD)時間間隔を開始する。この遅延間隔終了時、装置が心室からの信号を感知しないと、装置は心室をペーシングする。心電図信号のP波に対して心室ペーシング信号を提供するシステムとは、感知したP波から心室ペーシング信号の送り出しまでの時間遅延としての心房心室時間遅延間隔(AVD時間間隔)を指す。LV伝導システムの変性がある患者は、LVの影響を受ける部分(例えば横壁N)のペーシングを、内在伝導(例えば壁M)によって励起されるLVの他の部分と収縮を協調させるだけ早く行う必要があるため、CHF状態等の心室伝導疾患を示す患者では、PR時間間隔より短いAVD時間間隔を使った療法が収縮率を改善できる。正しいタイミングの心室ペーシングは両壁MおよびNの収縮を協調させて収縮率を増加することができる。
【0022】
拍動量が低下している患者は、短いAVD時間間隔から、僧帽弁逆流効果を減らし、心房脈圧を上げるという利益を得る。さらに、うっ血性心不全(CHF)患者については、そのPR間隔を延ばしてAV同期をある程度減らすことができる。AV同期をこのように減らすことで僧帽弁逆流をさらに増やし、LVのプレロードの効果を減らすことができる。LV収縮を初期に強制することによって僧帽弁逆流の影響を減らすことで、短いAVD時間間隔を使うことは脈圧を上げることになる。
【0023】
収縮期の心臓心室収縮率および最大左心室圧変化の最適化
収縮期の左心室収縮率(ポンピング力)と左心室圧のピークの正の変化率(「LV+dp/dt」と省略)とは関連する心臓機能パラメータである。例えば、LV収縮率の増加は、収縮期の左心室圧変化の増加として測定において観察される。
【0024】
図4Aは、P波を追う内在またはペーシングしていない左心室圧曲線を示す。Yイベントは内在LV圧増加の始まりである。図4BはP波を追うQRS合成である内在左心室電位図を示す。Q*はQRS合成の始まりに発生する電気信号である。RはQRS合成の最大ピークである。図4Bで、Q*イベントは図4AのYイベントをリードする。図4Cは、LV収縮率を最大限にした最適ペーシング状態のタイミング図を示す。AVDc時間間隔はP波マーカーと心室ペーシングマーカーVとの間の時間に等しく、そのペーシングは最大LV収縮率を提供する。そのため、これは収縮率について最適な心房心室遅延と呼ばれる。図4Cにおいて、図4Aおよび4Bで内在心臓活動から発生するPiマーカーに対し、Ppマーカーはペーシング状態からのものであることに注意する。そのため、PpはP1−とは異なる時間に発生する。なお、図は縮尺通りではない。
【0025】
実験において、発明者らは最大収縮率のためのペーシング時、Q*、YおよびRイベントは、AVDc−で最適タイミングしたVペーシング信号に対し比較的予測可能なタイミング関係を持つことを発見した。さらに発明者らは、最大収縮率であるAVDc−について最適心房心室遅延に対しPQ*間隔(PイベントとQ*イベントとの間の時間差)をマッピングした線形モデルを作成できることを発見した。さらに、AVDc−に対するPYとPRとの線形マッピングは可能だが、マッピングによって係数が異なる。
【0026】
ある実施例では、内在PQ*時間間隔を患者について測定する。これは、ペーシング信号を適用しない時のP波とQ*イベントとの時間間隔である。PQ*時間間隔を記録・平均した後、LV+dp/dt(ピークの正の左心室圧変化)を監視しながら心房心室遅延を変化させペーシング信号を適用する。そして最大LV+dp/dt(最適収縮率)を発生した心房心室遅延AVDcを決定し、患者のPQ*時間間隔と組み合わせる。PQ*、AVDc組を多数の他の患者について生成し、データをプロットする。ある実施例では、PQ*の関数としてAVDcの直線近似を決定するため線形回帰方法を用いる。式は:AVDc=K1(PQ*)−K2である。内在PQ*間隔を測定するプログラム可能装置はこの式を使ってAVDcを推定できる。そのため、K1およびK2が決定されたら、装置の較正が完了する。すなわち、その後の患者は圧力測定および追加の較正段階を必要とせずに最適の収縮率ペーシングを行うことができる。以下に述べるように、PYまたはPRで同じ手順を用いることができるが、前述のように、係数は異なる。
【0027】
すなわち、PQ*を測定する場合、患者はP波およびQ*の測定値を使って左心室の最適収縮率ペーシングを受けることができる。PQ*の代わりにPYを用いる場合、測定値はP波およびYイベントのものとなり、これは左心室収縮の圧力増加の始まりである。PR間隔を用いる場合、測定値はP波およびQRS合成のR波のものとなる。
【0028】
そのため、患者の内在PQ*またはPYまたはPR時間間隔およびそれぞれのマッピングについてAVDcを計算する。このAVDcはマッピング方法を使った実際のAVDcの近似である。
【0029】
最適タイミングのVペーシング信号(AVDcを使ったペーシング)に関して比較的一定のイベントを本システムに用いる予想可能イベントとして使えることに注意する。ある実施例では、比較的一定のイベントは20msまたは母集団平均の25パーセントの小さい方の間に偏差を持つものである。
【0030】
P波信号
実施例のいずれかの基準として電子P波信号を用いる時、P波信号は、心電図を作成するためカテーテルまたは外部プローブを限定せずに含む装置を使って検出可能である。ある実施例では、P波は右心房から感知し、時間間隔測定とペーシング送り出しのための基準として用いる。患者の心房をペーシングする場合、P波ペーシングマーカーを内在P波の代わりに用いる。
【0031】
PQ*測定とマッピング
前述のように、発明者らは「イベント」が最適タイミングの心室ペーシング信号に対し予測可能な関係を持つと判断した。Q*イベントは、最大収縮率のための最適タイミングにおいてLVペーシングマーク、Vに対して比較的一定であるため、候補として定義された。Q*はQRS合成の初めに発生する電気信号である。そのため、本システムのある実施例では、P波とQ*イベントとの間の時間遅延を用いてAVDcを計算する線形変数を提供する。この実施例において、式は次の通りとなる:AVDc=K1(PQ*)−K2。
【0032】
さらに、本システムの発明者らは、PQ*間隔が定数K1およびK2を決定するための単一の較正手順を使ってAVDcの推定に用いることのできる線形変数を提供することを理解した。AVDc、PQ*組を線形でマッピングし、K1およびK2を提供するある種の較正を上述した。そしてPQ*およびAVDc情報を二次元チャートにプロットし、線形回帰方法を実施してサンプルポイント組に適合する最良のラインを提供する。この線形適合はK1およびK2係数を提供する。
【0033】
13人の患者を使ったある研究では、0.94ミリ秒に等しいK1および55.7ミリ秒に等しいK2を提供するAVDcの式が生成された。この式で、PQ*はミリ秒で測定する。この式は次のように表される:AVDc=0.94PQ*−55.7ミリ秒。係数は変化し、推定AVDcは実際の最適AVDcより約20%逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数によってわずかに変化する。そのため、本書で提供する係数は本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0034】
ある実施例では、P波は閾値検出器を使って検出され、右心房の最大P波振幅の約20%でP波を示した。図5Aに示すある実施例では、2ミリ秒のサンプリング時間を持つ5ポイントローパス・デジタル・フィルタに左心室からサンプリングしたQRS合成を通し、波のQ部分を検出し、Q波の傾斜の最大絶対値を計算し、傾斜の絶対値がQ波の絶対値傾斜の2%に等しいフィルタ済みのQ波上のポイントを示すことによってQ*イベントを決定する。当業者は、PおよびQ*に本システムから逸脱しない他の決定方法を使えることを容易に理解する。測定技術および傾斜基準の変形は本システムから逸脱しない。
【0035】
他の実施例では、PQ*、K1の係数は単一であると想定し、最適AVDc−を予測または推定する係数K2はPQ*間隔からのオフセット時間遅延に相当する。この実施例において、PQ*およびAVDcは広範囲の患者について広範囲のPQ*間隔および広範囲のAVDcでサンプリングし、多数の患者について平均オフセット時間遅延K2を生成する。この実施例において、式は次の通りである:AVDc推定=PQ*−Waミリ秒。13人の患者に関する以前のデータを使った式は次の通りである:AVDc推定=PQ*−67ミリ秒。この実施例は、浮動小数点数を使った減算は乗算よりプロセッサ集約的でないため、計算が早くなる。但し、近似ではある程度の精度が失われる。
【0036】
係数は変化可能で、推定AVDcが約20%だけ実際の最適AVDcから逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数に応じてわずかに変化可能である。そのため、本書に示す係数は本発明から逸脱することなく変化可能である。
当業者であれば、データへの他の適合を生成するため、本発明の範囲から逸脱しない他の方法を利用できることを容易に理解するであろう。
【0037】
ある実施例では、P波およびQ*の測定値は右心房に移植した電極と左心室に移植した電極とを使って提供する。プログラム可能パルスジェネレータを使ってP波を感知し、感知したP波および感知したQ*イベントの発生間の時間を測定する。Q*イベントは、必要な傾斜および比較演算でQ*を決定するパルスジェネレータのエレクトロニクスで決定する。PQ*時間間隔決定後、本書に記述する実施例のいずれかを使ってAVDcを決定する。AVDc決定後、これを次のペーシング間隔に用いて、PQ*時間間隔に基づく最適化した心房心室遅延を提供することができる。
【0038】
Q*イベントは様々に定義可能で、異なるパラメータセット、K1およびK2で実質的に同じ結果を出すことが理解される。さらに、内在LV電位図信号の始まりに対して予測可能な関係を持つ電気信号イベントをQ*の代わりに用いることができる。例えば、ある実施例では、RV電位図の始まりをQ*の代わりに用いることができる。あるいは別の実施例では、Q*は信号平均化QRS合成の始まりとして表面ECGによって測定する。さらに、1個以上のリードからの情報を使ってより正確にQ*を決定することができる。
【0039】
PR測定とマッピング
別の実施例では、R波ピークは内在LV電位図のQRS合成の最大ピークであるが、最大収縮率について最適にタイミングした心室ペーシングの送り出しに対し予測可能な関係を持つため、これを使うことができる。特に、線形時間関係は収縮中の最適左心室圧変化について最適心房心室遅延のPR間隔として導出できる。この場合、式は次の通りになる:AVDc=N1PR−N2で、AVDcはLVのペーシングに関するもので、PRは右心房感知マーカーから内在LV電位図のQRS合成の最大ピークまでの時間間隔である。ある実施例では、N1およびN2係数は、収縮期の最適左心室圧変化について多数の患者の最適AVDcに対してPR時間間隔をマッピングすることで決定する。13人の患者を使ったある研究では、係数N1は0.82ミリ秒に等しく、係数N2は112ミリ秒に等しい。この較正の式は次の通りである:AVDc=0.82PR−112ミリ秒。係数は変化可能で、推定AVDcは約20%だけ実際の最適AVDcから逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数に応じてわずかに変化可能である。そのため、本書で示す係数は、本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0040】
別の実施例では、N1係数は単一と想定され、PR、AVDcデータ組は平均してN2に等しいオフセットで線形依存を提供する。減算は浮動小数点数を使った乗算よりプロセッサ集約的でないため、この実施例は計算が容易である。しかし、近似について何らかの精度が失われる。例えば、前の研究のデータを使って:AVDc=PR−159ミリ秒である。ある実施例では、R波信号は、内在LV電位図のQRS合成の最大ピークを検出することによって測定する。そのため、この実施例では電気信号を使ってPR時間間隔、ひいては収縮中の最適左心室圧変化の最適心房心室遅延を提供する。係数N1およびN2が初期較正段階に提供されるが、これは、この実施例を使ったこれ以降の読み取りが、PR時間間隔の検出によって自動的に最適AVDcを生成することを意味する。さらに、N1およびN2変数は、本書の教えから逸脱することなく値が変化する。
【0041】
QRS合成の他の特長を測定に用いることができる。上述のように、これらイベントは最適収縮率のため送り出されたペーシングに対する予測可能なタイミング関係を持つ限り利用することができる。係数は変化可能で、推定AVDcは約20%だけ実際の最適AVDcから逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数に応じてわずかに変化可能である。そのため、本書で示す係数は、本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0042】
PY測定およびマッピング
別の実施例では、電気的イベントの代わりに機械的イベントを基準として提供する。ある実施例では、機械的イベント、Yは内在LV圧展開の初めに決定する。すなわち、マイクロマノメータ等の圧力変換器が左心室で瞬間的圧力データを提供できる。この実施例では、収縮期の最大左心室圧変化について最適化した心房心室遅延は次のようになる:AVDc=M1PY−M2。ある実施例では、マイクロマノメータをLVに配置して収縮期に左心室圧変化を測定する。PY時間間隔は、P波の右心房感知から内在LV圧展開の初めまでの時間間隔であるが、これを収縮期の最大左心室圧変化について記録したAVDc値に対してマッピングする。このマッピングをプロットして、係数M1とM2を決定するため線形回帰を実行する。ある研究では、M1は0.96ミリ秒に、M2は139ミリ秒に等しい。そのため、この研究では、AVDc=0.96PY−139ミリ秒である。係数は変化可能で、推定AVDcは実際の最適AVDcから約20%だけ逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数に応じてわずかに変化できる。そのため、本書に示す係数は本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0043】
別の実施例では、M1係数は単一として近似し、PYおよびAVDc組を使って次に相当する線形化したマッピングを決定する:AVDc=PY−Na、但し、Naは取ったサンプルの平均オフセット遅延である。ある実施例では、AVDc=PY−150ミリ秒である。この実施例は、浮動小数点数を使った減算は乗算よりプロセッサ集約的でないため、計算が早くなる。ただし、近似についてはある程度の精度が失われる。ここでも、係数は変化すること、推定AVDcは約20%だけ実際の最適AVDcから逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数によってわずかに変化する。そのため、本書で提供する係数は本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0044】
他の機械的イベントは、Yイベントに関して比較的予測可能な限り用いることができる。Yイベントは、心室圧、心臓フォノグラム、心臓音響信号(移植可能装置の外部もしくは内部の加速度計から記録されたような)、心房心室弁動作のドップラー記録、および心室壁動作のMモード、2Dもしくは3Dエコー画像を限定せずに含む信号から選択する。
【0045】
心房心室系遅延を使った拍動量最適化
拍動量は脈圧に関連する。発明者らは、最大脈圧(拍動量)について、最適に送り出された心室パルス、Vと左心房収縮のピーク、Xとの間に予測可能なタイミング関係があることを発見した。そのため、最大脈圧の最適心房心室遅延、AVDsは、図4Eに示すようにPX時間間隔測定によって決定する。
【0046】
ある実施例では、拍動量は最大心房脈圧、AVDsについて心房心室遅延を決定することで最適化する。ある実施例では、XイベントはLA内部に圧力感知カテーテルを配置することで測定する。別の実施例では、LA収縮は前収縮要素によるLV圧力曲線に見られるため、XイベントはLV圧を測定することによって検出する。LA収縮のピークは、LV圧曲線の前収縮圧と同じとみなされる。PおよびLV圧の前収縮要素との間の時間間隔は線形の式を提供する。そのため、AVDsに対するPXの線形マッピングを生成するには、可変PXについて最大心房脈圧を測定することで多数のPX、AVDs組を生成する。線形関係は次のように表される:AVDs=M3PX−M4ミリ秒。ある実施例では、較正手順を実行して多数のPX、AVDs組を生成したが、これらをマッピングして最適線適合を実施し、M3およびM4を決定した。ある実施例では、M1は1.22に等しく、M2は132ミリ秒に等しい。そのため、AVDs関係は次の通りになる:AVDs=1.22PX−132ミリ秒。係数は変化すること、推定AVDsは約20%だけ実際の最適AVDsから逸脱し、最大収縮率の80%以内でほぼ最適の機能を提供し続けることに注意する。さらに、係数は較正段階のサンプル数によってわずかに変化する。そのため、本書で提供する係数は本発明から逸脱することなく変化可能である。
【0047】
ある実施例では、P波イベントは、P波を最大P波振幅の20%と決定する閾値検出を使って測定する。本システムから逸脱することなくP波の他の検出方法を用いることができる。Xイベントは、次を限定せずに含むいくつかの方法によって決定できる:最大心房圧のポイント確認、ドップラー測定、加速度測定のS4要素。
【0048】
本システムから逸脱せずM3およびM4について別の値を用いた他の実施例が可能である。さらに、ある実施例で示すPX時間間隔に直接関連する他のマーカーを用いることができる。
【0049】
最適タイミングのVペーシング信号(AVDsを使ったペーシング)に関して比較的一定のあらゆるイベントを本システムで予測可能イベントとして用いることができることに注意する。ある実施例では、比較的一定のイベントは20msまたは母集団平均の25パーセントの小さい方の間に偏差を持つものである。そのため、本書に明示的に記述しないイベントを組み込む他の実施例は本システムから逸脱することなく用いることができる。
【0050】
収縮率改善と拍動量に関する心房心室遅延の選択
心臓およびその異常の条件に応じて、最大収縮率のための最適心房心室遅延が特に非最適拍動量を提供することがある。同様に、最大拍動量の最適心房心室遅延が非最適収縮率となることがある。そのため、収縮率と拍動量との両方にとってほぼ最適の心房心室遅延を提供する簡易心房心室遅延、AVDcsを与えるには、ほぼ最適収縮率およびほぼ最適拍動量を持つ心房心室遅延が望ましい。本システムの発明者らは、最適収縮率と最適拍動量との間を妥協させる関係を導いた。ある実施例では、最適化した心房心室遅延、AVDcsは次のようなPR時間間隔の線形関係である:AVDcs=K3PRm−K4ミリ秒。PRmは右心房感知マーカーPから右心室感知マーカーRmまで測定した時間間隔である。ある実施例では、簡易AVDcsは、多数のPR値および多数の患者についてAVDcとAVDsを決定することによって与えられる。そして線形回帰が収縮率と拍動量との両方について最良ライン適合を提供する。ある実施例では、AVDcsは0.5PRm−15ミリ秒に等しく、AVDcsは少なくとも1個の心室のペーシング用で、時間間隔PRmは右心房感知マーカーPから右心室感知マーカーRmまで測定する。この実施例において、結果として生じる心房心室遅延は収縮期の最適左心室圧変化の90%以内の左心室圧変化を与える。さらに、この実施例は最適心房脈圧の80%以内の大動脈脈圧を与える。係数は変化しながらも、AVDcsの妥当な近似を与えることに注意する。例えば、この実施例では、K3は0.4から0.6の範囲にあり、K2は0から30msの範囲にある。そのため、本システムは係数の選択に柔軟性があり、与えられたものは例示的なもので、係数の排他的セットではない。
【0051】
ある実施例では、左心室イベントを使ってAVDcsの計算に時間間隔を与える。あるケースではLVイベントはLV R波である。LV R波マーカー信号もイベントとして用いることができる。ほぼ最適タイミングのVペーシング信号に関して比較的一定なイベントを、本システムの予測可能イベントに用いることができることに注意する。ある実施例では、比較的一定のイベントは20msまたは母集団平均の25パーセントの小さい方の間に偏差を持つものである。そのため、本書に明示的に記述しないイベントを組み込む他の実施例は本システムから逸脱することなく用いることができる。
【0052】
ある実施例では、左心室R波を使ってPR間隔(PイベントとRイベントとの時間間隔およびAVDcsとの間の関係を開発する。特定の患者について、内在PR間隔を測定する。さらに、心房心室遅延の掃引を患者のペーシングに適用し、LV+dp/dtと脈圧を各心房心室遅延について測定する。LV+dp/dtデータは心房心室遅延の正規化値に対してプロットする。さらに、脈圧も心房心室遅延の正規化値に対してプロットする。ある実施例では、心房心室遅延はPR−30msによって割り、遅延を正規化する。多数の追加患者について試験を実施し、正規化したプロットをマッピングする。そして各種LV+dp/dt対正規化した心房心室遅延データの平均を実行する。脈圧データ対正規化心房心室遅延データの平均も実行する。LV+dp/dt曲線ピークの心房心室遅延(正規化値)を最適平均心房心室遅延として用いる。脈圧曲線のピークも決定する。ある例では、両曲線の最適平均正規化心房心室遅延は、正規化PR時間間隔の約0.50倍、0.50(PR−30)ミリ秒と決定された。
【0053】
ある研究で、5個のAV遅延(0m秒からPR−30m秒の間で等しく間隔をあける)のうち1つにおいて3つのサイト(RV、LVおよびBV)の1つから一連の間欠ペーシング(15洞拍毎に5ペーシング拍)を使ってデータを取った。各ペーシングサイト/AV遅延の組み合わせをランダム順に5回繰り返した。圧力および電位図データを心室から記録した。LV+dp/dtおよびPPを、拍ベースでLVおよび心房圧記録から測定した。各ペーシング拍につき、LV+dp/dtおよびPPの値を先行する6拍平均洞ベースラインと比較した。そしてペーシング構成に対する応答を平均した。ただし、必要な情報を得るため他の測定値を取ることができる。
【0054】
切り替え可能ペーシング療法
本書の教えのいずれも、図5B〜5Eに示すような移植可能ペーシング装置を含む広範囲な心臓装置に採用できる。ある実施例では、移植可能装置はまた、最大収縮率、最大拍動量またはほぼ最適の収縮率および拍動量を提供する簡易調整するための心室ペーシングを変更する手段を含む。このような実施例では、ペーシングシステムは心臓患者への療法を調整するため様々な最適心房心室遅延をすべて利用することを想定している。ある実施例では、AVDcsをデフォルトの心房心室ペーシング遅延に用いているが、これを必要な療法に応じて後に維持または修正できる。例えば、システムのある実施例では、ペーシングはAVDcsに等しい心房心室遅延によって始まる。最適収縮率が必要な時は常に、心房心室ペース遅延はAVDcに変更される。さらに、最適拍動量が必要な時は常に、心房心室遅延はAVDsに変更される。本発明から逸脱せず他のバリエーションおよび組み合わせが可能である。さらに、ペーシング療法の切り替えは、プログラマー等の外部指示、または適切な療法を選択するための内部実行ソフトウェアによって行われる。本システムを逸脱せず療法を切り替える他の方法もある。
【0055】
実験の所見
詳細な実験の所見は、米国暫定特許出願シリアル番号60/084,704号にアブストラクトの後の補遺として添付される。ここで図5Fを参照すると、うっ血性心不全(CHF)の患者の左心室QRS合成200の心電図トレースが示される。QRS合成200は患者の左心室の自由壁領域から心外的に記録された。図5Fは、Rポイント202のピークまたは最大歪みを合わせたQRS合成200を示す。このデータは、QRS合成200が非常に似た持続期間を持つため、CHF患者の左心室の電気減極に統一パターンを示している。各患者からの感知したP波204も表示する。データが示すように、Rポイント202の最大歪みポイントを合わせることで、心房感知またはP波204のペーシングマークとQRS合成200の始まり206との時間間隔が患者によって異なることがわかる。Rポイント202の位置を合わせたため、PR間隔、心房感知または感知したP波204のペーシングマークと感知したRポイント202の最大歪みポイントとの時間間隔も患者によって異なることになる。
【0056】
ここで図6を参照すると、心電図300の略図が示される。心電図300は、正常な心臓サイクル中に発生する心臓イベントの表示を含む。この表示を図6に示すが、ここで302はP波の心房感知またはペーシングマークを表し、304はQ*ポイントであるQRS合成の始まりを表し、306はQポイントの発生であるRポイントの始まり前の最大ポイントを表し、308はRポイントの発生である洞内リズムのQRS合成の最大歪みポイントを表し、310はSポイントの発生であるRポイントの後の最大ポイントを表し、312はS*ポイントであるQRS合成の終了を表す。ある実施例では、これら心電図300に表示される心臓イベントは、移植可能リズム管理装置の使用によって検出される。
【0057】
心電図300は、心臓イベント間の広範囲な時間間隔も表す。PQ*時間間隔314は感知されたP波302とQ’ポイント304との時間間隔である。PQ時間間隔316は、感知されたP波302と感知されたQポイント306との時間間隔である。PR時間間隔318は、感知されたP波302と感知されたRポイント308との時間間隔である。PS時間間隔320は、感知されたP波302と感知されたSポイント310との時間間隔である。PS’時間間隔322は、感知されたP波302とS’ポイント312との時間間隔である。ある実施例では、マイクロプロセッサ58は感知されたP波とQRS合成とを受け、心臓サイクルの波部分の時間間隔を決定する。別の実施例では、2ポイントリード表面ECGを使って表面ECG測定を行い、そこから心臓サイクルの波部分の時間間隔を決定する。
【0058】
ここで図7を参照すると、心臓のモデルを決定するための本発明のある実施例のフローチャートが示される。ある実施例では、心臓のモデルを使って推定最適AV時間遅延間隔を決定する。ステップ350では、複数の患者を試験するが、患者のそれぞれが患者の心臓の心室に心臓ペーシングパルスを送り出す。心臓ペーシングパルスは複数の所定のAV時間遅延間隔で送り出す。ある実施例では、AV時間遅延間隔は患者のP波の発生から測定する。各患者について、試験する複数のAV時間遅延間隔のそれぞれについてLV+dp/dt値を測定・記録する。別の実施例では、試験する複数のAV時間遅延間隔のそれぞれについて大動脈脈圧を測定・記録する。ある実施例では、左心室自由壁に異なる5つのAV遅延時間間隔でペーシングされた患者からデータを取得したが、ここではAV遅延時間間隔はランダム順で送り出された。
【0059】
ある実施例では、この種の試験は一般的な心臓条件を示す患者について実行する。例えば、本実施例では、試験した患者は全てCHF患者だった。さらに、モデル決定に用いた心臓ペーシングパルスは、心臓の心室領域のあらゆる数の場所に送り出すことができる。ある実施例では、心臓ペーシングパルスは前述のように患者の左心室自由壁等の左心室の心外膜位置に送り出す。別の実施例では、心臓ペーシングパルスは患者の左心室に隣接する心内膜位置に送り出す。さらに別の実施例では、心臓ペーシングパルスは患者の右心室の心内膜位置に送り出す。さらに、右心室および左心室ペーシングの様々な組み合わせを、最大左心室収縮機能の決定または試験に用いることができる。
【0060】
心臓の心室領域の多数の場所での心臓ペーシングパルスの提供に加えて、所定のAV時間遅延間隔の試験中、内在心電図信号も記録する。ある実施例では、内在心電図信号は左心室自由壁から心外的に記録する。ある実施例では、標準的12ポイントリード表面ECG測定を使って内在心電図を測定・記録する。心電図はデジタル化し(サンプリング周波数:500Hz、分解能:14ビット)、特別設計のソフトウェアを使ってオフラインで解析した。
【0061】
ステップ360では、各患者のAV時間遅延間隔の時間と対応する左心室収縮機能測定を分析する。各患者のデータを分析して、最大左心室収縮機能を発生するAV時間遅延間隔を決定する。各患者について、最大左心室収縮機能を発生する所定のAV時間遅延間隔を記録・保存して心臓モデルの決定に用いる。最大左心室収縮機能を生成するAV時間遅延の決定と共に、試験中に記録する心電図信号での所定の機能間の時差も決定する。ある実施例では、試験中に記録する心電図信号を使って、ステップ360で機能時差を決定する。
【0062】
ある実施例では、最大左心室収縮機能を発生した所定のAV時間遅延間隔で配置した各患者の感知されたP波での第1の所定の機能と、感知されたQRS合成での第2の所定の機能との機能時差を決定する。ある実施例では、機能時差は心房感知または感知されたP波のペーシングマークと左心室心電図信号からの感知されたQRS合成(Q*ポイント)の始まり部分とから導く。この値は前に説明したPQ*時間間隔314である。別の実施例では、機能時差は心房感知または感知されたP波のペーシングマークと左心室心電図信号からの感知されたQRS合成のRポイントの最大歪みポイントとから導く。この値は前に説明したPR時間間隔318である。さらに別の実施例では、PR間隔機能時差は右心室心電図信号から導く。測定した正常QRS合成からのPQ’時間間隔314とPR時間間隔318との値を平均して、推定最適AV時間遅延間隔決定のためのモデル導出に用いる。さらに、推定最適AV時間遅延間隔値決定から心臓モデルを決定する際に用いることのできる他の機能時差が存在する。
【0063】
CHF患者については、QRS合成からのQ’ポイント304、Qポイント306、Rポイント308、Sポイント310およびS’ポイント312の値を決定し、PQ’時間間隔314、PQ時間間隔316、PR時間間隔318、PS時間間隔320およびPS’時間間隔322を計算した。そしてPQ’時間間隔314、PQ時間間隔316、PR時間間隔318、PS時間間隔320およびPS’時間間隔322のそれぞれの平均とそれぞれの標準偏差とを計算した。平均から少なくとも1標準偏差離れた測定時間間隔の値を取り除き、残りの時間間隔データポイントを再び平均してPQ’時間間隔314、PQ時間間隔316、PR時間間隔318、PS時間間隔320およびPS’時間間隔322の最終平均を求めた。
【0064】
ステップ370において、最大左心室収縮機能を発生する機能時差と所定のAV時間遅延間隔とから心臓のモデルを生成する。ある実施例では、このモデルは機能時差と患者の所定のAV時間遅延間隔との関係から生成する。この関係を決定する1つの方法は、患者の所定のAV時間遅延間隔データ対対応する機能時差をデカルト座標系にマッピングするものである。マッピングしたデータに基づいて心臓のモデルを導き出し、その後の推定最適AV時間遅延間隔の決定に用いる。ある実施例では、推定最適AV時間遅延間隔を決定する心臓モデルは線形モデルである。ある実施例では、このモデルを電気パルス生成装置に用いて、CHF患者の心臓出力効率を改善するためペーシングパルスを提供するような心臓に対する療法を設ける。
【0065】
ここで図8A、8B、8Cおよび8Dを参照すると、CHF患者のPQ’時間間隔314、PQ時間間隔316、PR時間間隔318、PS時間間隔320およびPS’時間間隔322の組の間の相関を立証するプロットが示される。CHF患者から集めたデータは、PQ’時間間隔314およびPQ時間間隔316(図8A)、PR時間間隔318およびPQ時間間隔316(図8B)、ならびにPS時間間隔322およびPR時間間隔318(図8C)、の間に強い相関を示す。これら相関は、Q’ポイント304からQポイント306、Qポイント306からRポイント308、Rポイント308からSポイント310への時間間隔がPQ’時間間隔314、PQ時間間隔316、PR時間間隔318、PS時間間隔320およびPS’時間間隔322からほぼ独立していることを示す。言いかえると、P波302の位置はQ’ポイント304、Qポイント306、Rポイント308およびSポイント310との差に限られた影響しか与えない。
【0066】
図5Fおよび図8のデータは、左心室の電気的活性化パターンは、試験した患者によく似ていることを示す。QRS合成の始まりと心室の刺激に一致する心臓信号がプルキンエ網と心室内に移動すると、心臓サイクルの残余は調査対象の患者に似ていた。このような観察に基づき、最適LV同時性達成に必要な特定の電気的活性化パターンが患者間で似ていることがわかった。(Q’で示す)LVの電気的活性化の始まりとペーシングマークとの間の時間間隔は、LV同時性の最適AV時間遅延間隔では患者間で似ている可能性がある。その結果、P波から左心室の電気的活性化の始まりまで(すなわち、PQ’)の差のため、LV同時性の最適AV時間遅延間隔の差は大きくなる。
【0067】
ここで図9を参照すると、機能時差に対する所定のAV時間遅延間隔値をマッピングするためのデカルト座標系が示される。各患者について集めた実際のデータポイント400を座標系にマッピングする。座標系にマッピングした実際のデータポイント400に基づき、データポイント400を表すモデルを生成する。ある実施例では、生成したモデルは実際のデータポイント400に線形回帰を実行して決定する線形モデルである。この線形モデルを使って座標系にトレンドライン410を生成する。ある実施例では、トレンドライン410は実際の最適AV時間遅延間隔値と機能時差の値との最良全体関係を表す。ある実施例では、線形回帰によるデータのモデル化により、実際および最小限にする推定AV遅延との間の平均二乗差420ができる。実際のデータとデータポイントを表すモデルとの相関がよいほど、トレンドライン410がデータ間の関係をよりよく表すようになる。
【0068】
図10を参照すると、本発明のある実施例のフロー図が示される。移植可能心臓ペースメーカー22内に収納した心臓信号回路は患者の心電図信号の発生を感知する。ステップ500において、マイクロプロセッサは感知した心電図信号の機能からの時間間隔を決定する。ある実施例では、マイクロプロセッサは感知したP波とQRS合成からの時間間隔を決定する。ステップ510では、マイクロプロセッサは、推定最適AV時間遅延間隔を生成する線形モデル等、モデルの時間間隔を利用する。そしてステップ520で、移植可能心臓ペースメーカー22のペーシング出力回路を使って推定最適AV時間遅延間隔に基づきペーシングパルスを生成し、左心室収縮率を強化する(LV+dp/dt)。
【0069】
ここで図11Aおよび11Bを参照すると、心電図信号の機能時差と、試験した患者に最大左心室収縮機能(LVdp/dt)を生成した所定のAV時間遅延間隔との関係のマッピングが示される。これらマッピングから、推定最適AV時間遅延間隔に対する機能タイミング差の関係を表すモデルが生成される。ある実施例では、図11Aおよび11Bに基づくモデルは実際の最適AV時間遅延間隔とPQ’時間間隔314およびPR時間間隔318のそれぞれの値との最良全体関係を表す。
【0070】
ある実施例では、図11AはPQ’時間間隔314と、最大左心室収縮機能を発生する所定のAV時間遅延間隔との相関のマッピングを示す。図11Aのライン600は、プロットしたデータポイントに基づく線形回帰から導いた。ライン600は直線なので、LV dp/dtの推定最適AV時間遅延間隔はPQ’時間間隔314の線形関数として次のように書くことができる。
【数1】
但し、AVDは推定最適AV時間遅延間隔、klは第1係数、k2は第2係数、PQ*は心電図信号の機能から導いた時間間隔である。ある実施例では、PQ*はPQ*時間間隔314である。さらに、第1係数および第2係数は、時間間隔(この例ではPQ*時間間隔)および最適AV時間遅延間隔のマッピングから経験的に導かれる。
【0071】
ある実施例では、式(1)を移植可能心臓ペースメーカー22の電子制御回路50内で利用して、患者の感知された心電図信号からの推定最適AV時間遅延間隔を決定する。ある実施例では、式(1)を使って、心房および左心室位置から感知した患者の心電図に基づき、最適AV時間遅延間隔を決定する。ある実施例では、移植可能心臓ペースメーカー22内に収納した心臓信号回路は心臓サイクル中、患者のP波およびQ*ポイント両方の発生を感知する。マイクロプロセッサ58は感知したP波およびQ*ポイントを受け取り、これら2つの機能間の時間間隔を決定する。そして時間間隔を式(1)で用いてAV時間遅延間隔を生成する。移植可能心臓ペースメーカー22は、計算したAV時間遅延間隔で患者の心臓の少なくとも1つの心室にペーシングパルスを提供し、左心室ピーク排出圧を強化する。ある実施例では、左心室位置でのペーシングは、心室カテーテル26または152を利用して行う。別の実施例では、式(1)に基づき移植可能心臓ペースメーカーの生成するペーシングパルスは、患者の感知された心電図信号からリアルタイムに生成される。
【0072】
ある実施例では、式(1)を使って推定最適AV時間遅延間隔を決定し、ペーシングパルスを左心室位置に送り出し、第1係数、K1は0.93にほぼ等しい値を持ち、第2係数、K2は55.8にほぼ等しい値を持つ。これら係数値は示す値に限られず、実際の最適AV時間遅延間隔と心電図信号の機能との関係から導かれるあらゆる係数値が本発明の範囲内と考えられる。
さらに別の実施例では、図11BはPR時間間隔318と、最大左心室収縮機能を発生した所定のAV時間遅延間隔との相関のマッピングを示す。図11Bのライン610は、プロットしたデータポイントに基づく線形回帰から導いた。ライン610は直線であるため、LV dp/dtの推定最適AV時間遅延間隔はPR時間間隔318の線形関数として次のように書くことができる。
【数2】
但し、AVDは推定最適AV時間遅延間隔、klは第1係数、k2は第2係数、PRは心電図信号で機能から導いた時間間隔である。ある実施例では、PRはPR時間間隔318である。さらに、第1係数および第2係数は時間間隔(この例ではPR時間間隔)および最適AV時間遅延間隔のマッピングから経験的に導かれる。
【0073】
ある実施例では、式(2)を移植可能心臓ペースメーカー22の電子制御回路50内で利用して、患者の感知された心電図信号からの推定最適AV時間遅延間隔を決定する。ある実施例では、式(2)を使って、心房および左心室位置から感知した患者の心電図に基づき、最適AV時間遅延間隔を決定する。そして、式(2)の推定最適AV遅延間隔を使って患者の左心室にペーシングパルスを送り出すタイミングを計る。ある実施例では、左心室位置でのペーシングは、心室カテーテル26または152を利用して行う。別の実施例では、式(2)に基づき移植可能心臓ペースメーカーの生成するペーシングパルスは、患者の感知された心電図信号からリアルタイムに生成される。
【0074】
ある実施例では、式(2)を使って推定最適AV時間遅延間隔を決定し、ペーシングパルスを左心室位置に送り出し、第1係数、K1は0.82にほぼ等しい値を持ち、第2係数、K2は112.4にほぼ等しい値を持つ。これら係数値は示す値に限られず、実際の最適AV時間遅延間隔と心電図信号の機能との関係から導かれるあらゆる係数値が本発明の範囲内と考えられる。
【0075】
ここで図12Aおよび12Bを参照すると、実際の最適AV時間遅延間隔の関数としての推定最適AV時間遅延間隔のプロットが示される。推定最適AV時間遅延間隔値は、式(1)および(2)を使って計算するが、機能時差は患者の感知された心房および左心室心電図から決定した。表1に、CHF患者について式(1)を使って決定した推定最適AV時間遅延間隔とPQ*時間間隔314を使った実際の最適AV時間遅延間隔との差を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表2は、CHF患者について式(2)を使って決定した推定最適AV時間遅延間隔とPR時間間隔318を使った実際の最適AV時間遅延間隔との差を示す。
【表2】
【0078】
ある実施例では、式(1)および式(2)の第1係数および第2係数はライン430およびライン440からそれぞれ決定するため、ラインを引くデータポイントに依存する。係数の感受性をデータグループのサイズの変化に関して試験した。様々な数のデータポイント(すなわち患者数)を使って、実際の最適AV時間遅延間隔対PQ’時間間隔314のプロットにライン430を生成し、実際の最適AV時間遅延間隔対PR時間間隔318のプロットにライン440を生成した。第1係数、K1、および第2係数、K2の値は、PQ’のプロットのライン430式およびPRのプロットのライン440式から求めた。
【0079】
【表3】
【0080】
5個のデータポイント後、式(1)のK1およびK2値は大きく変化しない。K1の値は0.904から0.974の間を動き、K2は48.3から61.9の間を動く。一方、式(2)のK1とK2の値は、データポイント数が増えるに連れて連続的遅延を経験する。その結果、式(1)に使われるK1とK2の値は、式(2)に使われるK1およびK2の値よりデータポイントの数に対し感受性が低くなる。そのため、ある実施例では、式(1)で用いるPQ’時間間隔314はより式(2)のPR時間間隔318を使うより最適AV時間遅延間隔の予測に関して正確かつ堅牢である。さらに、PQ’時間間隔314を使った表1および2の実際と推定の最適AV時間遅延間隔の間で平均差を観察すると、PR時間間隔318を使ったものより正確な結果が出る。但し、PR時間間隔318は、前述の移植可能心臓ペースメーカー22または移植可能除細動器等の移植可能医療システム20を使って、PQ’時間間隔314より簡単に測定される。
【0081】
別の実施例では、式(2)は、心電図信号を心房と少なくとも右心室位置から感知する時に推定最適AV時間遅延間隔を決定するのにも用いる。右心室心電図信号のPR時間間隔機能時差と、試験する患者にとって最大左心室収縮機能(LV dp/dt)を発生した所定のAV時間遅延間隔との関係のマッピングに基づき、式(2)の形式を持つ線形モデルを生成した。この線形モデルを表すラインは、プロットしたデータポイントに基づき、線形回帰で導いた。
【0082】
ある実施例では、式(2)を移植可能心臓ペースメーカー22の電子制御回路50内で利用して患者の感知された心電図信号から推定最適AV時間遅延間隔を決定する。ある実施例では、式(2)を用いて、心房および少なくとも右心室位置から感知した患者の心電図に基づき最適AV時間遅延間隔を決定する。そして式(2)からの推定最適AV遅延間隔を使って患者の右心室にペーシングパルスを送り出すタイミングを計る。ある実施例では、右心室位置でのペーシングは心室カテーテル100または150を利用して行う。別の実施例では、式(2)に基づき移植可能心臓ペースメーカーが生成するペーシングパルスは患者の感知された心電図信号からリアルタイムに生成される。
【0083】
別の実施例では、式(2)を使って決定した最適AV遅延間隔を使って、左心室位置からの心臓のペーシングのタイミングを計る。さらに別の実施例では、式(2)を使って決定した最適AV遅延間隔を使って、右心室および左心室位置両方からの心臓のペーシングのタイミングを計る。ある実施例では、前述の医療装置システム20を使って心臓の右心室および左心室の少なくとも1つにペーシングパルスを送る。
【0084】
ある実施例では、式(2)を使って推定最適AV時間遅延間隔を決定し、ペーシングパルスを少なくとも右心室と左心室位置に送り出す時、第1係数、K1は0.5にほぼ等しい値を持ち、第2係数、K2は、30.0にほぼ等しい値を持つ。これら係数値は表示の値に限定されず、実際の最適AV時間遅延間隔および心電図信号での機能との関係から導いたあらゆる係数値が本発明の範囲内と考えられる。
【0085】
結論
本ペーシングシステムは、移植可能ペーシング装置を含む広範囲なペーシング装置に採用できる。本システムは1個以上の心室のペーシングに用いることができる。1つの心室に複数のペーシングサイトを含む広範囲なペーシング電極構成が、本発明から逸脱せずに採用できるが、必要な電気的あるいは機械的イベントがモニタされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 室および神経伝導系を示す心臓の図である。
【図2】 収縮を始める心室の図である。
【図3】 収縮した心室の図である。
【図4A】 内在P波イベントと呼ばれる時間の関数としての左心室内在圧の図である。
【図4B】 内在P波イベントと呼ばれる時間の関数としての左心室内在電位図のグラフである。
【図4C】 ペーシングしたP波イベントと呼ばれる最大LV収縮率について最適にタイミングした内在P波のマーカーと心室ペーシングパルスのマーカーを示すタイミング図である。
【図4D】 内在P波イベントと呼ばれる時間の関数としての左心房内在圧のグラフである。
【図4E】 ペーシングしたP波イベントと呼ばれる最大拍動量について最適にタイミングした内在P波のマーカーと心室ペーシングパルスのマーカーを示すタイミング図である。
【図5A】 Qイベントの検出のためのフロー図である。
【図5B】 詳細を示すため部分を取り除いた患者の心臓に移植された移植可能医療装置システムの実施例である。
【図5C】 本発明の1実施例による移植可能リズム管理装置のブロック図である。
【図5D】 詳細を示すため部分を取り除いた患者の心臓に移植された移植可能医療装置システムの実施例である。
【図5E】 詳細を示すため部分を取り除いた患者の心臓に移植された移植可能医療装置システムの実施例である。
【図5F】 人間の心臓アクション電流を示す心電図の実施例である。
【図6】 心臓アクション電流を示す心電図の略図の実施例である。
【図7】 本発明の1実施例を示すフロー図である。
【図8A】 感知された心臓時間間隔の間の相関の実施例を示すプロットである。
【図8B】 感知された心臓時間間隔の間の相関の実施例を示すプロットである。
【図8C】 感知された心臓時間間隔の間の相関の実施例を示すプロットである。
【図8D】 感知された心臓時間間隔の間の相関の実施例を示すプロットである。
【図9】 感知された心臓時間間隔の関数としての最適AV時間遅延間隔の実施例を示すプロットである。
【図10】 本発明の1実施例を示すフロー図である。
【図11A】 感知された心臓時間間隔の関数としての最適AV時間遅延間隔の実施例を示すプロットである。
【図11B】 感知された心臓時間間隔の関数としての最適AV時間遅延間隔の実施例を示すプロットである。
【図12A】 実際の最適AV時間遅延間隔の関数としての推定最適AV時間遅延間隔の実施例を示すプロットである。
【図12B】 実際の最適AV時間遅延間隔の関数としての推定最適AV時間遅延間隔の実施例を示すプロットである。
【図13】 本発明の1実施例による最適血流力学心臓パラメータ間での選択を示す。
Claims (63)
- 測定された時間間隔から計算された心房心室遅延で心室ペーシングパルスを送るプログラム可能パルスジェネレータを備える装置であって、前記測定された時間間隔は、プログラム可能パルスジェネレータによって非ペーシング収縮サイクル中に測定される、心房収縮に関連する第1イベントと心室収縮に関連する第2イベントとの間隔である装置において、
前記プログラム可能パルスジェネレータによって提供される前記計算された心房心室遅延は、複数の患者からサンプルされたデータに基づき、前記測定された時間間隔と各最適心房心室間隔との関係についての予め決定されたマッピングを使って最適心房心室遅延についての近似として決定され、
前記サンプルされたデータは、心室機能パラメータを最大化する各前記最適心房心室間隔と、前記複数の患者のそれぞれに対して測定された各時間間隔とを含み、前記最適心房心室遅延は、前記最大化された心室機能パラメータに対する心室遅延であることを特徴とする装置。 - 前記最適心房心室遅延は、収縮中における最大ピークの正の左心室圧の変化に最適な心房心室遅延AVDcである請求項1に記載の装置。
- 前記第1イベントはP波であり、前記第2イベントはQRS合成の始まり(Q*)であり、前記測定された時間間隔は、前記P波と前記QRS合成の始まり(Q*)との間の間隔(PQ*)である請求項2に記載の装置。
- 前記心房心室遅延AVDcは線形式:AVDc=K1(PQ*)−K2から計算する請求項3に記載の装置。
- K1は0.94ミリ秒であり、K2は55.7ミリ秒である請求項4に記載の装置。
- K1は1.0ミリ秒であり、K2は67ミリ秒である請求項4に記載の装置。
- 前記P波と前記QRS合成の始まり(Q*)との間の間隔(PQ*)は、右心房に電極を持つ前記プログラム可能パルスジェネレータと左心室からの信号を感知する電極とを使って測定する請求項4に記載の装置。
- 前記P波は、右心房で最大P波振幅の20%に達した時に検出される請求項7に記載の装置。
- 前記QRS合成の始まり(Q*)を検出するためのローパスフィルタを備える請求項7に記載の装置。
- 前記QRS合成の始まり(Q*)は、Q波傾斜が該Q波傾斜の最大絶対値の2%に達した時に検出される請求項9に記載の装置。
- 前記P波と前記QRS合成の始まり(Q*)との間の間隔(PQ*)は、表面EKGを使って測定される請求項4に記載の装置。
- 前記第1イベントはP波であり、前記第2イベントはR波のピーク(R)であり、前記測定された時間間隔は、前記P波と前記R波のピークとの間の間隔(PR)である請求項2に記載の装置。
- 前記心房心室遅延AVDcは線形式:AVDc=N1(PR)−N2から計算する請求項12に記載の装置。
- N1は0.82ミリ秒であり、N2は112ミリ秒である請求項13に記載の装置。
- N1は1.0ミリ秒であり、N2は159ミリ秒である請求項13に記載の装置。
- 前記P波と前記R波のピークとの間の間隔(PR)は、右心房に電極を持つ前記プログラム可能パルスジェネレータと左心室からの信号を感知する電極とを使って測定する請求項13に記載の装置。
- 前記P波は、右心房で最大P波振幅の20%に達した時に検出される請求項16に記載の装置。
- 前記第1イベントはP波であり、前記第2イベントは収縮中に心室圧の始まりの信号を送る電気的信号(Y)であり、前記測定された時間間隔は、前記P波と前記電気的信号(Y)との間の間隔(PY)である請求項2に記載の装置。
- 前記心房心室遅延AVDcは線形式:AVDc=M1(PY)−M2から計算する請求項18に記載の装置。
- M1は0.96ミリ秒であり、M2は139ミリ秒である請求項19に記載の装置。
- M1は1.0ミリ秒であり、M2は150ミリ秒である請求項19に記載の装置。
- 前記P波と前記電気的信号(Y)との間の間隔(PY)は、右心房に電極を持つ前記プログラム可能パルスジェネレータと左心室のマイクロマノメータとを使って測定する請求項18に記載の装置。
- 前記P波は、前記右心房で最大P波振幅の20%に達した時に検出される請求項22に記載の装置。
- 前記電気的信号(Y)は、心臓フォノグラムによって提供される請求項18に記載の装置。
- 前記電気的信号(Y)は、加速度計によって提供される請求項18に記載の装置。
- 前記電気的信号(Y)は、ドップラー記録によって提供される請求項18に記載の装置。
- 前記電気的信号(Y)は、エコーイメージャによって提供される請求項18に記載の装置。
- 非ペーシング条件での各心臓サイクルを繰り返す心臓基準イベントと最適心房心室遅延に関連する心臓機能パラメータの関数として変化する心臓可変イベントとの内在時間間隔を心臓信号回路によって測定することと、
前記心臓機能パラメータの最大化のため前記最適心房心室遅延をマイクロプロセッサによって決定することと、
多数の患者について前記最適心房心室遅延に対する複数の内在時間間隔組をマイクロプロセッサによって収集することと、
前記内在時間間隔と前記最適心房心室遅延との間に数学的関係をマイクロプロセッサによって生成することとを備える方法。 - 前記数学的関係と特定の患者の特定の測定済み内在時間間隔から生成した推定最適心房心室遅延を使って移植可能心臓ペースメーカーがペーシングパルスを生成することを備える請求項28に記載の方法。
- 前記心臓機能パラメータは収縮率である請求項28に記載の方法。
- 前記心臓機能パラメータは最大脈圧または拍動量である請求項28に記載の方法。
- 前記心臓基準イベントは電気的心臓イベントである請求項28に記載の方法。
- 前記心臓基準イベントは機械的心臓イベントである請求項28に記載の方法。
- 前記心臓可変イベントは電気的心臓イベントである請求項28に記載の方法。
- 前記心臓可変イベントは機械的心臓イベントである請求項28に記載の方法。
- 第2の心臓機能パラメータを最適化するための第2の最適心房心室遅延をマイクロプロセッサが決定することと、
多数の患者について第2の最適心房心室遅延に対する複数の内在時間間隔組をマイクロプロセッサが集めることと、
前記内在時間間隔である前記最適心房心室遅延と前記第2の最適心房心室遅延との間に、第2の数学的関係をマイクロプロセッサが生成することとを備える請求項28に記載の方法。 - 前記第2の数学的関係を用いて、心臓機能パラメータと第2の心臓機能パラメータを最適化するための最適心房心室遅延がマイクロプロセッサにより生成される請求項36に記載の方法。
- 前記心臓機能パラメータは収縮率であり、前記第2の心臓機能パラメータは拍動量である請求項36に記載の方法。
- 前記数学的関係はAVDcs=K3PRm−K4ミリ秒である請求項38に記載の方法。
- 前記数学的関係はAVDcs=0.5PRm−15ミリ秒である請求項39に記載の方法。
- 前記心房心室遅延は多数の異なる最適心臓機能パラメータおよび心臓機能パラメータの組み合わせについてプログラム可能パルスジェネレータにおいて切り替え可能である請求項36〜40のいずれか一項に記載の方法。
- 前記最適心房心室遅延は、前記測定された時間間隔と収縮中における最大ピークの左心室圧の変化に最適な心房心室遅延との関係と、脈圧と正規化された心房心室遅延との関係と、についての予め決定されたマッピングを使って決定される心房心室遅延(AVDcs)を備える請求項1に記載の装置。
- 前記第1イベントはP波であり、前記第2イベントは右心房感知マーカーRmであり、前記測定された時間間隔は前記P波と前記右心房感知マーカーRmとの間の間隔(PRm)である請求項42に記載の装置。
- 前記心房心室遅延AVDcsは、線形式:AVDcs=K3PRm−K4ミリ秒から計算する請求項43に記載の装置。
- K3は0.5ミリ秒であり、K4は15ミリ秒である請求項44に記載の装置。
- K3は0.4〜0.6ミリ秒の範囲内であり、K4は0〜30ミリ秒の範囲内である請求項44に記載の装置。
- 前記最適心房心室遅延は、最大脈圧に対する心房心室遅延AVDsであり、前記最大脈圧は、前記測定された時間間隔と収縮中における最大ピークの左心室圧の変化に最適な最適心房心室遅延との関係についての予め決定されたマッピングから、前記プログラム可能パルスジェネレータによって計算され、心室をペーシングするための前記心房心室遅延の近似を提供し最適な拍動量を提供する請求項1に記載の装置。
- 前記第1イベントはP波であり、前記第2イベントは脈圧Xであり、前記測定された時間間隔は前記P波と前記脈圧Xとの間の間隔(PX)である請求項47に記載の装置。
- 前記心房心室遅延AVDsは、線形式:AVDs=K3PX−K4ミリ秒から計算する請求項48に記載の装置。
- K3は1.22ミリ秒であり、K4は132ミリ秒である請求項49に記載の装置。
- 前記プログラム可能パルスジェネレータは、心室の電気的活動を表す信号をモニタする電気的イベントセンサを有し、前記プログラム可能パルスジェネレータは、ピークの正の心室圧変化を最大限にする心室ペーシングの送り出しに対しほぼ一定のタイミング関係を持つ心室の電気的イベントZを決定し、前記イベントZのタイミングを使ってペーシングパルスを送り出す請求項1に記載の装置。
- 前記心室の電気的活動を表す信号は、心室から心内もしくは心外的に記録された心臓内電位図を備える請求項51に記載の装置。
- 前記心室の電気的活動を表す信号は12リード表面ECGからなる請求項51に記載の装置。
- 前記イベントは、QRS合成の始まりQ*である請求項51に記載の装置。
- 前記イベントは、外部もしくは移植可能装置が送り出すマーカー信号である請求項51に記載の装置。
- 前記プログラム可能パルスジェネレータは、心房の機械的活動を表す信号をモニタする電気的イベントセンサを有し、前記プログラム可能パルスジェネレータは、心房収縮のピークに対し一定のタイミング関係を持つ心房の機械的イベントXを決定し、前記イベントXのタイミングを使ってペーシングパルスを送り出す請求項1に記載の装置。
- 前記プログラム可能パルスジェネレータは、
収縮中における最大ピークの左心室圧の変化に対応する心房心室遅延AVDCを使って収縮率を最大化する心室ペーシングパルスを送り出すこと、
最大脈圧に対応する心房心室遅延AVDSを使って拍動量を最大化する心室ペーシングパルスを送り出すこと、および
収縮中におけるピークの正の左心室圧の変化に対応する心房心室遅延AVDCSを使って収縮率および拍動量を最大化する心室ペーシングパルスを送り出すこと、
を切り替えるように構成される請求項1に記載の装置。 - PQ*をP波とQRS合成の始まり(Q*)との間の測定された時間間隔とし、K1およびK2を複数の患者からサンプルされるデータから得られる定数としたとき、心房心室遅延AVDCは、線形式:AVDC=K1(PQ*)−K2から計算される請求項57に記載の装置。
- PRをP波とR波のピークとの間の測定された時間間隔とし、N1およびN2を複数の患者からサンプルされるデータから得られる定数としたとき、心房心室遅延AVDCは、線形式:AVDC=N1(PR)−N2から計算される請求項57に記載の装置。
- PYをP波と収縮中の心室圧の始まりとの間の測定された時間間隔とし、M1およびM2を複数の患者からサンプルされるデータから得られる定数としたとき、心房心室遅延AVDCは、線形式:AVDC=M1(PY)−M2から計算される請求項57に記載の装置。
- PXをP波と脈圧との間の測定された時間間隔とし、K3およびK4を複数の患者からサンプルされるデータから得られる定数としたとき、心房心室遅延AVDSは、線形式:AVDS=K3(PX)−K4から計算される請求項57〜60のいずれか一項に記載の装置。
- PRmをP波と右心房感知マーカーとの間の測定された時間間隔とし、K3およびK4を複数の患者からサンプルされるデータから得られる定数としたとき、心房心室遅延AVDCSは、線形式:AVDCS=K3(PRm)−K4から計算される請求項57〜61のいずれか一項に記載の装置。
- 前記プログラム可能パルスジェネレータは、心房心室遅延AVDCSをデフォルトに設定し、収縮率を改善するために心房心室遅延AVDCに切り替え、拍動量を改善するために心房心室遅延AVDSに切り替える請求項57〜62のいずれか一項に記載の装置。
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