JP4170476B2 - 水銀の除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水銀の除去方法に関し、より詳しくは、水銀を含有する液状炭化水素から簡便な手段で、効率よく水銀を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ガス田から液化石油ガスを除いて回収されるNGL(天然ガス液、また天然ガスコンデンセートともいう)中には、産地により異なるが数十〜数百ppbの水銀が含まれている。このような水銀を含んだ液状炭化水素をエチレン原料等化学原料として用いる場合、水銀はパラジウム,白金,銅,アルミニウムなどとアマルガムを生成して、水添触媒の劣化原因となったり、装置材料の腐食や強度低下につながることは知られており、水銀の除去技術の開発が強く望まれている。
【0003】
ところで、特公平7−91544号公報には、活性白土等の担体に銅ハロゲン化物を担持した吸着剤を使用する方法が記載されている。しかし、処理後の水銀濃度は4〜6ppbまで低下しているが、大部分は60〜80ppb程度であり満足すべき値ではない。また、水銀の吸着剤の調製は、担持,乾燥,焼成とステップの多い作業工程を必要としており、さらに種々の因子により吸着剤の物性が変化し、その結果、炭化水素からの水銀除去工程に影響を与え、安定した水銀吸着のための吸着剤の調製は困難である。
【0004】
特開平4−331287号公報には、水に対して3容量%以上溶解する多価アルコールを抽出剤として使用する方法が記載されている。しかし、処理後の水銀濃度は、10ppb以下のものもあるが、通常10〜30ppb程度であり満足すべき値ではない。また、炭化水素及び水溶液からの多価アルコールの回収、再精製が必要となり莫大なエネルギーが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、水銀を含有する液状炭化水素から簡便な手段で、効率よく水銀を除去する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、原油と接触した水分及びスラッジと接触させることにより上記の目的を効果的に達成しうることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、水銀を含有する液状炭化水素を、原油に接触した水分及びスラッジと接触させることを特徴する液状炭化水素中の水銀の除去方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明において処理される水銀を含む液状炭化水素としては、常温で液体の炭化水素であればよく特に限定されない。
例えば原油,直留ナフサ,灯油,軽油,減圧留出油,常圧残渣油,天然ガスコンデンセートなどを挙げることができるが、特に天然ガスコンデンセート(NGL)が好ましい。
【0008】
本発明の方法で除去される水銀の形態は、単体状水銀,イオン状水銀どちらでも可である。
液状炭化水素中の水銀濃度は、特に限定されるものではないが、通常2〜1,000W/Vppb、好ましくは5〜100W/Vppbである。
本発明は、上記の、水銀を含有する液状炭化水素を、原油に接触した水分及びスラッジと接触させることを特徴するものである。
【0009】
上記の原油としては、特に限定されるものでなく、例えばサウジアラビア産原油,アラブ首長連邦産原油,ナイジェリア産原油,カナダ産原油,メキシコ産原油,イラン産原油,イラク産原油,中国産原油,クウェート産原油,マレーシア産原油,ベネズエラ産原油,アメリカ産原油,オーストラリア産原油,ロシア産原油,リビア産原油,フィリッピン産原油,インドネシア産原油,ノルウェー産原油,タイ産原油,カタール産原油,アルゼンチン産原油,イギリス産原油,日本産原油及びこれらの混合原油を挙げることができる。
【0010】
上記の水分は、原油と接触した水分をいい、原油に元から存在する水分でもよいし、海水や一般の水を積極的に原油に接触させた水分でもよい。その水分は、通常、Cl- ,NO3 - ,SO3 2- ,SO4 2- ,Na+ ,NH4 + ,K+ ,Ca,Mg,Fe等を含有している。一方、スラッジは、原油と接触したスラッジをいい、一般には原油に元から存在するスラッジをいう。そのスラッジは元素分析値からみて、Fe,Si,Na,Al,P,Zn,Cu,Ca,Mg,V,K,Cr,Mn,Ni,C,H,N,S,O等の元素を含有している。該スラッジは、乾燥したものを使用してもよいし、若干前記の水分を含んでいるものを使用してもよい。
【0011】
原油と接触した水分及びスラッジは原油から一度分離し、その後水銀を含有する液状炭化水素と接触させてもよいし、分離することなく接触させてもよい。
前記水分と、水銀を含む液状炭化水素の接触の際の割合は、重量で、0.01:1,000〜1,000:0.1の範囲を任意に選択できるが、好ましくは1:1,000〜500:1,000の範囲である。スラッジについては原油と接触して存在する水分と、水銀を含む液状炭化水素の混合液に存在していれば特に量は限定されるものではないが、通常、前記スラッジ(乾燥状態基準)と、水銀を含む液状炭化水素の割合は、重量で0.000001:1,000〜0.01:1の範囲であればよい。
【0012】
温度については、常圧においては炭化水素の液状性を維持していればよく、通常0〜100℃、圧力下においてもその液状性を保っていればよい。例えば1MPaであれば0〜180℃の範囲を選択すればよい。
原油と接触した水分及びスラッジと、水銀を含む液状炭化水素の接触方法は、例えば、攪拌羽根による槽内での攪拌、ラインミキサーによる攪拌、容器自体の回転,振動による攪拌等が採用できる。また、その接触時間は3秒〜24時間であり、24時間を超えても問題ないが経済的に不利である。
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
原油(5種類)と水を1,000:1(重量部)で接触させ、その後分離した水分1重量部と水銀を27W/Vppbを含有するNGL3重量部及び原油と接触したスラッジ(乾燥)0.0006重量部を100mlのテフロン容器に入れ、常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置した。静置後、NGL中の水銀濃度を測定したところ、いずれも1W/Vppb以下であった。
〔実施例2〕
原油と水を1,000:1(重量部)で接触させ、その後分離した水分1重量部と27W/Vppb,18W/Vppb,5W/Vppbの水銀を含有する3種類のNGLを3重量部及び原油と接触したスラッジ(乾燥)0.0006重量部を100mlのテフロン容器に入れ、常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置した。静置後NGL中の水銀濃度を測定したところ、いずれも1W/Vppb以下であった。
【0014】
〔実施例3〕
実施例1において、原油と水を1,000:1(重量部)で接触させ、その後分離した水分量を0.001重量部に代えたこと以外は同様にして実施したところ、NGL中の水銀濃度は1W/Vppb以下であった。
〔実施例4〕
実施例1において、原油と水を1,000:1(重量部)で接触させ、その後分離した水分量を0.01重量部に代えたこと以外は同様にして実施したところ、NGL中の水銀濃度は1W/Vppb以下であった。
【0015】
〔実施例5〕
実施例1において、NGLの代わりに30W/Vppbの金属水銀をn−ヘキサンに溶解させたものを用いたこと以外は同様にして実施したところ、n−ヘキサン中の水銀濃度は1W/Vppb以下であった。
〔実施例6〕
実施例1において、NGLの代わりに95W/Wppbの塩化水銀をn−ヘキサンに溶解させたものを用いたこと以外は同様にして実施したところ、n−ヘキサン中の水銀濃度は1W/Vppb以下であった。
【0016】
〔実施例7〕
実施例1において、NGLの代わりに220W/Wppbのジn−ドデシルチオ水銀をn−ヘキサンに溶解させたものを用いたこと以外は同様にして実施したところ、n−ヘキサン中の水銀濃度は1W/Vppb以下であった。
〔実施例8〕
原油に存在する水分1重量部と27W/Vppbの水銀を含有するNGLを3重量部及び原油と接触したスラッジ(乾燥)0.0006重量部を100mlのテフロン容器に入れ、常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置した。静置後NGL中の水銀濃度を測定したところ1W/Vppb以下であった。
【0017】
〔比較例1〕
実施例1において、水分としてイオン交換水を用いたこと以外は同様にして実施した。常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。さらに、24時間攪拌した後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。
〔比較例2〕
実施例1において、水分として海水を用いたこと以外は同様にして実施した。常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。さらに、24時間攪拌した後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。
【0018】
〔比較例3〕
実施例1において、水分としてトリエチレングリコールの10重量%水溶液を用いたこと以外は同様にして実施した。常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。さらに、24時間攪拌した後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。
〔比較例4〕
実施例1において、水分として酢酸の1重量%水溶液を用いたこと以外は同様にして実施した。常温で7時間マグネチックスターラーで攪拌後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。さらに、24時間攪拌した後、静置してNGL中の水銀濃度を測定したところ、27W/Vppbのままであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、極めて簡便な手段により、液状炭化水素中の水銀濃度を1W/Vppb以下に低減できる。
Claims (1)
- 水銀を含有するNGLを、原油と接触した水分及びスラッジと接触させることを特徴とし、該水分と該NGLとの重量比が1:1000〜500:1000の範囲であるNGL中の水銀の除去方法。
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