JP4168350B2 - アリールピペリジン誘導体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、抗精神病作用を有するアリールピペリジン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗精神病薬は、精神分裂病の治療及び脳血管障害・老年期痴呆における問題行動(攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄など)の治療にも用いられている。しかしながら、従来の抗精神病薬であるドーパミンD2 受容体拮抗剤は、副作用である錐体外路障害が強く、大きな問題となっている。
一方、近年発見されたドーパミンD4 受容体の構造及び性質はドーパミンD2 受容体に近く、大きな違いはその脳内分布にある。ドーパミンD4 受容体の脳内分布は精神分裂病発症と関係する大脳皮質前頭葉に高濃度に存在し、錐体外路障害の発現に関与する線条体では少ない。従って、ドーパミンD4 受容体拮抗剤はドーパミンD2 受容体拮抗剤と異なり、副作用である錐体外路障害を伴わない新規精神分裂病治療薬となる可能性が極めて大きい(Nature, 350 ,610-614(1991) ;Nature,358 ,109(1992) ;Nature,365 ,393(1993) ;Nature,365 , 441-445(1993))。
【0003】
この種の化合物としてはクロザピン(clozapine)がある。クロザピンのドーパミンD4 受容体への親和性はドーパミンD2 受容体への親和性よりも高いことが報告されている(Nature,350 ,610-614(1991))。更にクロザピンの臨床治験では、ドーパミンD2 受容体拮抗剤と異なり、薬物抵抗性の精神分裂病及び陰性症状に有効であり、錐体外路障害が少ないことが報告されている(Arch. Gen.Psych.,45,789-796(1988))。しかしながら、クロザピンは無顆粒球症という血液障害が発現し、死亡例も報告されており(Summary and Clinical Data.Sandoz,Canada Inc.(1990))、大きな欠点となっている。
従って、このような副作用を持たないドーパミンD4 受容体拮抗剤は、錐体外路障害を生じる可能性が極めて低い精神分裂病などの治療薬としての有用性が高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、錐体外路障害を生ずることなく抗精神病作用を有するドーパミンD4 受容体拮抗化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはアリールピペリジン誘導体について鋭意検討した結果、ドーパミンD4 受容体に高い親和性を示す新規なアリールピペリジン誘導体を見出し、本発明を完成させたものである。
本発明は、一般式(I)
【化6】
〔式中、Dは炭素原子又は窒素原子を示し、EはCH基又は窒素原子を示し、Gは酸素原子、イオウ原子、窒素原子又はNH基を示し、Yは水素原子又はハロゲン原子を示し、nは1〜4の整数を表し、
【0006】
R1 は、式(i) ;
【化7】
(式中、R2 は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜5のモノアルキルアミノ基、水酸基、炭素数の総和が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシル基又はカルボキシル基の金属塩を示し、Arは非置換フェニル基、又はハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はトリフルオロメチル基から任意に選択される1又は2個の置換基を有するフェニル基若しくはチエニル基を示す。)を示す。〕
で表されるアリールピペリジン誘導体(但し、D及びEが窒素原子を示す化合物を除く。)又はその医薬上許容される塩に関するものである。
参考化合物として、一般式(I)〔式中、D、E、G、Y、nは前記に同じくし、R 1 は、式(ii);
【化8】
(式中、R3 は炭素数1〜5のアルキル基を示し、X1 及びX2 は互いに異なって窒素原子又はNH基を示し、Arは前記に同じ。)、
式(iii) ;
【0007】
【化9】
(式中、X3 及びX4 は、互いに異なって窒素原子又はNH基を示し、Arは前記に同じ。)、
又は式 (iv) ;
【化10】
(式中、R4 は水素原子、メルカプト基、炭素数1〜5のアルキルチオ基を示し、Arは前記に同じ。)を示す。〕
で表されるアリールピペリジン誘導体又はその医薬上許容される塩に関するものである。
【0008】
本発明において、置換フェニル基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はトリフルオロメチル基から任意に選択される1又は2個の置換基を有するフェニル基を示し、例えば2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基等を示し、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を、炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピルメチル基、ペンチル基、イソペンチル基等を示すものである。
【0009】
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、3−メチルブトキシ基等を、炭素数1〜5のモノアルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基等を、炭素数1〜5のアルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基等を、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を示すものである。
又、本発明における医薬上許容される塩としては、例えば硫酸、塩酸、燐酸などの鉱酸との塩、酢酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、フマール酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、パモ酸、デカン酸、エナント酸等の有機酸との塩類である。
【0010】
一般式(I) で表されるアリールピペリジン誘導体は、例えば以下に例示する方法により製造することができる。
製造方法1.
【化11】
(式中、Ar、n、D、E、G及びYは前記に同じくし、R5 は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基、炭素数1〜5のモノアルキルアミノ基を示し、Zは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
【0011】
一般式(VI)で表されるケトン誘導体を不活性溶媒中、ハロゲン化剤によりハロゲン化し、次いで一般式(V) で表されるチオ尿素誘導体又はチオアミド誘導体と不活性溶媒中で反応させるか、又は一般式(IV)で表されるで尿素誘導体又はアミド誘導体を硫化剤とともに反応させることにより一般式(III) で表される化合物とし、該化合物(III) を単離し、又は単離せずして一般式(II)で表されるピペリジン誘導体を不活性溶媒中、塩基の存在下又は不存在下に反応させることにより一般式(I-1) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えば酢酸等の有機カルボン酸類、クロロホルム、四塩化炭素等の有機ハロゲン化合物類、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒等を例示することができる。ハロゲン化剤としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、塩化スルフリル等を、硫化剤としては、例えば五硫化リン、ローソン試薬等を例示することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、ナトリウムエトキサイド等のアルコラート類、ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、又は酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができる。
【0012】
製造方法2.
【化12】
(式中、Ar、n、D、E、G、Y及びZは前記に同じくし、M1 はナトリウム、カリウム又はNH4 を示す。)
【0013】
一般式(VI)で表されるケトン誘導体を製造方法1と同様にハロゲン化剤によりハロゲン化し、次いで一般式(VIII)で表されるチオシアン酸塩類と不活性溶媒中で反応させ、更に酸で処理することにより一般式(VII) で表される2−ヒドロキシチアゾール誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えば酢酸等の有機カルボン酸類、四塩化炭素、クロロホルム等の有機ハロゲン化合物類、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒などである。次いで酸処理としての酸としては、例えば塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トシル酸等の酸類を単独又はこれらを混合して使用し、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジオキサン等のエーテル類又は水中で反応すれば良い。
更に、一般式(VII) で表される2−ヒドロキシチアゾール誘導体を単離し、又は単離せずして一般式(II)で表されるピペリジン誘導体と不活性溶媒中、塩基の存在下又は不存在下反応させることにより一般式(I-2) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒等を例示することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、ナトリウムエトキサイド等のアルコラート類、ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができる。
【0014】
製造方法3.
【化13】
(式中、R3 、Ar、n、D、E、G、Y及びZは前記に同じ。)
【0015】
一般式(VI)で表されるケトン体誘導を製造方法1と同様にハロゲン化剤によりハロゲン化し、次いで一般式(X) で表されるチオアミド誘導体と不活性溶媒中で反応させることにより一般式(IX)で表されるチアゾール誘導体類とし、該チアゾール誘導体類(IX)を単離し、又は単離せずして一般式(II)で表されるピペリジン誘導体類と不活性溶媒中、塩基の存在下又は不存在下に反応させることにより一般式(I-3) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒等を例示することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、ナトリウムエトキサイド等のアルコラート類、ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができる。
更に本発明の一般式(I-3) で表されるアリールピペリジン誘導体を不活性溶媒中、アンモニアで処理することにより一般式(I-4) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル又は水等を例示することができる。
【0016】
製造方法4.
【化14】
(式中、R3 、Ar、n、D、E、G及びYは前記に同じくし、M2 はナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又は水素原子を示す。)
【0017】
一般式(I-3) で表されるアリールピペリジン誘導体は、そのエステル基を不活性溶媒中、塩基又は酸の存在下に加水分解することにより一般式(I-5) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸等の有機カルボン酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、水等を例示することができる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩基を例示することができ、酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、トリフルオロ酢酸、蟻酸、トシル酸、メタンスルホン酸等の有機酸類を例示することができる。
【0018】
製造方法5.
【化15】
(式中、R3 、X1 、X2 、Ar、n、D、E、G、Y及びZは前記に同じ。)
【0019】
一般式(VI)で表されるケトン誘導体を製造方法1と同様にハロゲン化剤によりハロゲン化し、一般式(XII) で表されるS−アルキルイソチオウレア誘導体と不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより一般式(XI)で表されるイミダゾール誘導体を製造することができる。更に該イミダゾール誘導体(XI)を一般式(II)で表されるピペリジン誘導体と不活性溶媒中、塩基の存在下又は不存在下に反応させることにより一般式(I-6) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する不活性溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒等を例示することができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、ナトリウムエトキサイド等のアルコラート類、ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができる。
【0020】
製造方法6.
【化16】
(式中、R3 、X3 、X4 、Ar、n、D、E、G、Y及びZは前記に同じくし、R6 及びR7 はメチル基又は隣接する窒素原子と一緒になってピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、N−メチルピペラジノ基などを示す。)
【0021】
一般式(VI)で表されるケトン誘導体と一般式(II)で表されるピペリジン誘導体とを塩基の存在下又は不存在下、不活性溶媒の存在下又は不存在下に反応させることにより一般式(XIV) で表されるアミノケトン誘導体を製造することができる。本反応で使用する塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができ、不活性溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、エタノール等のアルコール類を例示することができる。
次いで、一般式(XIV) で表されるアミノケトン誘導体と一般式(XIII)で表されるN,N−ジメチルホルムアミドジアルキルアセタール誘導体とを環状アミン類の存在下又は不存在下、不活性溶媒中で反応させることにより一般式(XV)で表されるエナミン誘導体とし、該エナミン誘導体(XV)をヒドラジンと反応させることにより一般式(I-7) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本反応で使用する環状アミン類としては、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジン等を例示することができ、不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等を例示することができる。又、ヒドラジンとの反応時の不活性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒等を例示することができる。
【0022】
製造方法7.
【化17】
(式中、R3 、R6 、R7 、Ar、n、D、E、G、Y及びZは前記に同じ。)
【0023】
一般式(XV)で表されるエナミン誘導体をホルムアミド及び蟻酸アンモニウムの混合物、チオウレア又は一般式(XII) で表されるS−アルキルイソチオウレアと、塩基の存在下又は不存在下に不活性溶媒中で反応することにより一般式(I-8) で表されるアリールピペリジン誘導体を製造することができる。
本発明で使用する塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を例示することができ、不活性溶媒としては、例えば酢酸等の有機カルボン酸類、四塩化炭素、クロロホルム等の有機ハロゲン化合物類、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水又はこれらの混合溶媒を例示することができる。
【0024】
以下に本発明の代表的な中間体化合物の製造例、本発明の一般式(I) で表されるアリールピペリジン誘導体の実施例及び試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1. 2−アミノ−5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール臭化水素酸塩( 化合物番号A−01)の製造
4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン10.03gを酢酸40mlに溶解し、47%臭化水素酸水溶液を1滴加え、臭素8.07gの酢酸10ml溶液を30分間で滴下した。この反応混合物を室温で1.5時間攪拌後、酢酸を減圧下留去し、得られた残渣にエタノール50mlとチオ尿素3.81gを加え、5時間加熱還流した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた結晶をエタノールより再結晶して、2−アミノ−5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール臭化水素酸塩11.62gを得た。
m.p.185.0〜187.0℃。
【0025】
製造例2. 5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール塩酸塩(化合物番号A−10)の製造
4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン10.03gを四塩化炭素50mlに溶解し、臭素8.68gを15分間で滴下した。この反応混合物を室温下に1.5時間攪拌後、減圧下濃縮した。得られた残渣を、予め1.5時間100℃に加熱下攪拌したホルムアミド2.36gと五硫化二リン2.53gのジオキサン100mlの懸濁溶液中に加え、5時間100℃に加熱下攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、目的物を酢酸エチルで抽出した。抽出液は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、濾液を減圧下濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲルC200、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=10:1)にて精製した。このフリー塩基を4規定塩化水素酢酸エチル溶液で処理後、イソプロパノールより再結晶し、5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール塩酸塩3.10gを得た。
m.p.114.5〜116.5℃。
【0026】
製造例3. 2−ヒドロキシ−5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール( 化合物番号A−11)の製造
4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン20.08gをクロロホルム80mlに溶解し、臭素5.2mlのクロロホルム10mlの溶液を30分間で滴下した。この混合物を室温で1時間攪拌後、減圧下濃縮した。得られた残渣をエタノール120mlに溶解し、チオシアン酸カリウム9.80gを加えて1時間攪拌下加熱還流した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣に水を加え、目的物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥剤を濾別し、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸140ml、水40mlと硫酸15mlからなる混液中、3時間攪拌下加熱還流した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣を氷中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥剤を濾別した。濾液を減圧濃縮後、得られた残渣にイソプロピルエーテルを加え結晶化し、n−ヘキサン−酢酸エチルより再結晶し、2−ヒドロキシ−5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール16.40gを得た。
m.p.140.0〜141.5℃。
【0027】
製造例4. 5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2−チアゾールカルボン酸エチル( 化合物番号A−12)の製造
4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン50.00gを四塩化炭素250mlに溶解し、臭素41.30gを30分間で滴下した。この混合物を室温で1時間攪拌後、減圧下濃縮した。得られた残渣とチオオキサム酸エチル33.20gとをエタノール250ml中で15時間加熱還流下攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲルC200、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=10:1〜9:1)にて精製後、ジイソプロピルエーテルより再結晶し、5−(2−クロロエチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2−チアゾールカルボン酸エチル29.14gを得た。
m.p.81.5〜82.5℃。
【0028】
製造例5. 2−メチルチオ−4(5)−(2−クロロエチル)−5(4)−(4−フルオロフェニル)イミダゾール( 化合物番号A−15)の製造
4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン2.00gをクロロホルム5mlに溶解し、臭素0.52mlのクロロホルム1mlの溶液を5分間で滴下した。この反応混合物を室温で1時間攪拌後、減圧下濃縮した。得られた残渣をN,N−ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、S−メチルイソチオウレア塩酸塩3.50g、無水炭酸カリウム2.76gとヨウ化ナトリウム0.15gを加え、80℃に加熱し1時間攪拌した。反応溶液を氷水中に注ぎ、目的物をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、乾燥剤を濾別し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲルC200、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=2:1)にて精製後、イソプロピルエーテルにて再結晶し、2−メチルチオ−4(5)−(2−クロロエチル)−5(4)−(4−フルオロフェニル)イミダゾール1.13gを得た。
m.p.134.0〜135.0℃。
【0029】
製造例1〜5と同様にして製造した中間体化合物である下記一般式(A) で示される化合物の代表例を表1に示す。尚、フリーの塩基は水酸化ナトリウム水溶液又は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和することによって得た。また、必要に応じシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
一般式(A) :
【化18】
【0030】
【表1】
【0031】
実施例1. 2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール(化合物番号B−01)の製造
2−アミノ−5−(2−ブロモエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール臭化水素酸塩0.917g、4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン塩酸塩0.511g、ジイソプロピルエチルアミン1.5ml及びメタノール3mlの混合物を加熱還流下12時間攪拌した。室温まで冷却後、反応混合物を水中に注ぎ、クロロホルムにて目的物を抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、得られた残渣にエーテルを加えて結晶を濾取した、エタノールより再結晶することにより、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール0.57gを得た。
m.p.162.0〜164.0℃。
【0032】
実施例2. 2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール( 化合物番号B−23)の製造
2−アミノ−5−(2−ブロモエチル)−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール臭化水素酸塩0.917g、4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン0.441g、ジイソプロピルエチルアミン1ml及びメタノール4mlの混合物を加熱還流下12時間攪拌した。室温まで冷却後、反応混合物中にエタノールを加えて結晶を濾取した。得られた結晶をクロロホルム−エタノールより再結晶し、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール0.56gを得た。
m.p.234.0〜235.0℃
【0033】
実施例3. 2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール(化合物番号B−06)の製造
5−(2−クロロエチル)−2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)チアゾール0.134g、4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン塩酸塩0.11g、ジイソプロピルエチルアミン0.28ml及びメタノール0.5mlの混合物を加熱還流下15時間攪拌した。室温まで冷却後、減圧下に溶媒留去し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:メルクキーゲルゼル60、230〜400メッシュ、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=2:1)にて精製した。酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、2−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾフラン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール0.066gを得た。
m.p.186.0〜188.0℃
【0034】
実施例1〜3と同様にして得た下記一般式(B) で表されるアリールピペリジン誘導体の代表例を表2に示す。
一般式(B) :
【化19】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
実施例4. 2−メチルチオ−4(5)−(4−フルオロフェニル)−5(4)−〔2−〔4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール(化合物番号C−03)の製造
2−メチルチオ−4(5)−(2−クロロエチル)−5(4)−(4−フルオロフェニル)イミダゾール0.141g、4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン0.095g、ジイソプロピルエチルアミン0.19ml及びメタノール0.6mlの混合物を加熱還流下に17時間攪拌した。室温まで冷却後、減圧下溶媒留去し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:クロマトレックスNHDM1020、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=1:3)にて精製した。エタノール−ヘキサンより再結晶し、2−メチルチオ−4(5)−(4−フルオロフェニル)−5(4)−〔2−〔4−(5−フルオロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕チアゾール0.104gを得た。
m.p.223.0〜224.0℃
【0038】
実施例4と同様にして得た一般式(C) で表されるアリールピペリジン誘導体の代表例を表3に示す。
一般式(C) :
【化20】
【0039】
【表4】
【0040】
実施例5. 5(3)−(4−フルオロフェニル)−4(4)−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾ〔B〕チオフェン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕ピラゾールの製造
(1). 2−(4−フルオロフェニル)−2−(3−クロロプロピル)−1,3−ジオキソラン1.5g、4−(6−フルオロベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)ピペリジン塩酸塩1.5g、ジイソプロピルエチルアミン3.3ml及びメタノール2.5mlの混合物を加熱還流下に25時間攪拌した。反応液をクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液し、水層をさらにクロロホルムにて抽出した。有機層を合わせ、水、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:メルクキーゼルゲル60 230−400メッシュ、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=1:2)にて精製し、2−(4−フルオロフェニル)−2−〔3−〔4−(6−フルオロベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕プロピル〕−1,3−ジオキソラン0.71gを得た。
これを1規定塩酸3mlとテトラヒドロフラン4mlの混液中、室温にて20時間攪拌した。減圧下に溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて分液し、水層を更に酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル20mlに溶解し、4規定塩化水素/1,4−ジオキサン溶液1mlにて処理し、6−フルオロ−3−〔1−〔4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル〕ピペリジン−4−イル〕ベンゾ〔b〕チオフェン塩酸塩0.54gを得た。
【0041】
(2). 6−フルオロ−3−〔1−〔4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル〕ピペリジン−4−イル〕ベンゾ〔b〕チオフェン塩酸塩0.15g、無水炭酸カリウム0.05g、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.36g、ピロリジン0.25g及びN,N−ジメチルホルムアミド0.5mlの混合物を120℃の油浴中で3.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、酢酸エチルと水にて分液し、水層を更に酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水にて3回洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、粗6−フルオロ−3−〔1−〔3−(1−ピロリジノメチレン)−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル〕ピペリジン−4−イル〕ベンゾ〔b〕チオフェンを得た。
これをメタノール2mlに溶解し、80%ヒドラジン水溶液0.3mlを加え、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルにて分液し、水層を更に酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせ、水、飽和食塩水にて洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロマトレックスNHDM1020、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=1:2)にて精製し、酢酸エチル−エーテルより再結晶し、5(3)−(4−フルオロフェニル)−4(4)−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕ピラゾール0.02gを得た。
m.p.162.0〜163.0℃
【0042】
実施例6. 6−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕ピリミジンの製造
6−フルオロ−3−〔1−〔4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル〕ピペリジン−4−イル〕ベンゾ〔b〕チオフェン塩酸塩0.35gより実施例5と同様な操作により得た粗6−フルオロ−3−〔1−〔3−(1−ピロリジノメチレン)−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル〕ピペリジン−4−イル〕ベンゾ〔b〕チオフェンにホルムアミド3.6ml、蟻酸アンモニウム0.4g及び水0.1mlを加え、180℃にて1.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルにて分液し、水層を更に酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせ、水、飽和食塩水にて洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:クロマトレックスNHDM1020、展開溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=2:1)にて精製し、エーテルより再結晶し、6−(4−フルオロフェニル)−5−〔2−〔4−(6−フルオロベンゾ〔b〕チオフェン−3−イル)ピペリジン−1−イル〕エチル〕ピリミジン0.04gを得た。
m.p.123.0〜124.0℃
【0043】
試験例[レセプタ−結合実験]
1.ドーパミンD4 受容体結合実験
受容体標品としてヒトD4.2 受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞膜を用いた。
[3H]標識リガンドとして[3H]スピペロンを用いた。
[3H]標識リガンドを用いた結合反応は、Eur. J. Pharmacol.,233, 173(1993)に記載された以下の方法で行った。
ヒトD4.2 受容体結合試験:ヒトD4.2 受容体を発現させたCHO細胞膜、[3H]スピペロン(0.5nM)及び被験薬を、5mMのEDTA、1.5mMの塩化カルシウム、5mMの塩化カリウム及び120mMの塩化ナトリウムを含む50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)中、27℃で2時間反応させた。
反応終了後、ガラスフィルター(GF/B)に吸引濾過し、濾紙の放射能を液体シンチレーションスペクトルメーターにて測定した。
10μMのハロペリドール存在下で反応させたときの結合を、[3H]スピペロンの非特異結合とし、総結合と非特異結合との差を特異的結合とした。一定濃度の[3H]スピペロンと濃度を変えた被験薬を上記の条件で反応させることで抑制曲線を得、この抑制曲線から[3H]スピペロン結合を50%抑制する被験薬の濃度(IC50) 求め、結果を表4に示した。
【0044】
2.ドーパミンD2 受容体結合実験。
受容体標品としてラット線条体膜を用いた。
[3H]標識リガンドとして[3H]ラクロプリドを用いた。
[3H]標識リガンドを用いた結合反応は、Mol. Pharmacol. ,43,749(1993) に記載された以下の方法で行った。
受容体標品の調製:ラット線条体を50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)でホモジナイズし、48,000xgで遠心分離し、沈渣をトリス塩酸緩衝液で1度洗浄した。沈渣を120mMの塩化ナトリウム、5mMの塩化カリウム、2mMの塩化カルシウム及び1mMの塩化マグネシウムを含む50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁し、膜標品とした。
ドーパミンD2 受容体結合実験:膜標品(0.5mgタンパク質/ml)、[3H]ラクロプリド(1nM)及び被験薬を、25℃で1時間反応させた。
反応終了後、ガラスフィルター(GF/B)に吸引濾過し、濾紙の放射能を液体シンチレーションスペクトルメーターにて測定した。
10μMのハロペリドール存在下で反応させたときの結合を、[3H]ラクロプリドの非特異結合とし、総結合と非特異結合との差を特異的結合とした。
一定濃度の[3H]ラクロプリドと濃度を変えた被験薬を前記の条件で反応させることで抑制曲線を得、この抑制曲線から[3H]ラクロプリド結合を50%抑制する被験薬の濃度(IC50) を求め、結果を表4に示した。
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】
本発明の一般式(I) で表されるアリールピペリジン誘導体は、ドーパミンD4 受容体に対しては優れた親和性を示す一方、ドーパミンD2 受容体に対する親和性は低く、優れた分離性を示すので、精神分裂病及び脳血管障害や老年期痴呆に伴う問題行動等の疾患の予防及び治療剤として有用であり、かつ副作用である錐体外路障害を伴わない薬剤として有用である。
Claims (3)
- 一般式(I)
で表されるアリールピペリジン誘導体又はその医薬上許容される塩。 - 請求項1で示されるアリールピペリジン誘導体又はその医薬上許容される塩を含んでなるドーパミンD4受容体に対して優れた親和性を示し、ドーパミンD2受容体に対する親和性は低く、優れた分離性を示す抗精神病薬。
- 請求項1で示されるアリールピペリジン誘導体又はその医薬上許容される塩を含んでなるドーパミンD4受容体に対して優れた親和性を示し、ドーパミンD2受容体に対する親和性は低く、優れた分離性を示すドーパミンD4受容体結合剤。
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