JP4167797B2 - 反転式架台及びこの架台を用いた噴霧送風装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主として豚舎その他の家畜を飼育する畜舎または植物栽培ハウス等で送風ないし水を噴霧して室内の温度を下げるための噴霧送風機を取付ける反転式架台およびこの反転式架台に噴霧送風機を取付けた噴霧送風装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、豚舎その他の家畜を飼育する畜舎の温度上昇を抑制して、適度の温度を維持調整するために、畜舎の天井に扇風機または噴霧器を取り付ける等の対策が講じられていた。例えば、実開昭63−31922号公報によれば、エロフィン管に水を通してファンによって下向きに送風し、併せてノズルから下向きに水を噴霧して室内温度を低下させる装置が開示されている。近年、より繊細な細霧を横方向にファンによって吹き飛ばす細霧器が実用化されているが、前記に例示したものは何れも下向きないし横向きの一定方向に吹付けるのみで、局所的に温度を低下させる効果は有るものの、噴霧を全方向に行き渡らせることによって室内全体の温度を低下させる効果に乏しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、従来の噴霧送風器では一定方向にしか噴霧ないし送風がなされないため、特に、最近の豚舎のように多数の仕切を設け、その仕切の中で飼育する畜舎にあっては、家畜が受ける風や噴霧の方向も一方向からの偏ったものとなり、家畜にとって必ずしも快適な環境と言えないばかりでなく、飼育する場所によって生育に差が発生する等の飼育ムラが生じる可能性があり問題であった。かかる問題点は植物栽培ハウスでの植物の栽培においても言える。そこで、この発明の課題とするところは、360度正逆回転する反転基板を有する反転式架台及びこの架台を取付けた噴霧送風装置によって、仕切の中で飼育する家畜が両方向から噴霧ないし送風が受けられるようにして、且つ、室内全体に噴霧送風が行き渡るようにして前記のような問題点を解消するとともに家畜や植物にとって最適な飼育環境や栽培環境を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、この発明は、室内用の噴霧送風機を取付ける架台において、上基板及び下基板を有する本体と、該本体の下基板を貫通し、上基板の内側に回転可能に枢着するシャフトと、モーターと、該モーターの回転をシャフトに伝導する歯車と、前記シャフトの先端に固着され、噴霧送風機を取付けるための反転基板と、前記モーターの回転を正逆回転させる回転切換手段と、を備え、前記反転基板を略360度任意の範囲で正逆回転させることが可能な反転式架台とする(請求項1)。
【0005】
また、前記の課題を解決するために、この発明は、前記回転切換手段は、所定の時間ないし回転角度に達したときにオン(ON)オフ(OFF)する切換スイッチと、タイマーと、該切換スイッチのオン(ON)オフ(OFF)信号によって結線が交互に切り換わる切換手段と、を備え、前記反転基板が所定の時間ないし回転角度に達したときに前記スイッチが作動し、所定の間をおいてモーターの回転が正逆回転するに伴って反転基板の回転が正逆切換わることを特徴とする前記の反転式架台とすることが好ましい(請求項2)。
【0006】
また、前記の課題を解決するために、この発明は、前記の反転式架台において、前記反転基板の反シャフト側に噴霧送風機を取着して、該噴霧送風機を略360度任意の範囲で正逆回転させることが可能な噴霧送風装置とすることが好ましい(請求項3)。
【0007】
【実施例】
次に、この発明の実施例について、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例を例示する構成図であり、図2および図3は、回転切換手段の説明図である。図1において、1は、反転式架台であり、上基板11、下基板12及び支持柱24に囲まれた箱型の本体13と、該本体の下基板を貫通し、上基板の内側に回転可能に枢着されたシャフト14と、モーター15と、該モーターの回転をシャフトに伝導するかさ歯車16と、前記シャフトの先端に固着され、噴霧送風機を取付けるための反転基板17と、を備え、前記かさ歯車16に突起18が取付けられており、かさ歯車が1回転する毎に正転リミットスイッチ19と逆転リミットスイッチ19’を交互にオンまたはオフするように構成されている。シャフト14は、各基板の回転支持部にベアリングを介して支持されており、本体の支持柱の上方には、吊下げ具25が取付けられている。
【0008】
図2において、2は、回転切換手段であって、正転リミットスイッチ19および逆転リミットスイッチ19’と、リミットスイッチに連動する正転伝導接触器(MC1)20および逆転伝導接触器(MC2)20’と、交互リレー21と、タイマー22と、から主に構成される。本実施例においては、モーターの正回転および逆回転をそれぞれ3分間、切換に要する時間を1分間として予めタイマーに設定されている。
【0009】
最初、交互リレーが正転位置A1にあって、そのとき正転伝導接触器(MC1)20の作用によってモーターは正回転に結線されている。モーターが始動して3分間経過すると、タイマーが作動してスイッチがオフする。しかし、惰性によってモーターはそのまま回転を続けるが、1分経過近くで回転が略停止する。1分後に交互リレーが逆転位置B1に切換り、モーターは逆回転に結線される。そしてモーターは逆回転して3分間経過すると、タイマーが作動してスイッチがオフし、モーターは惰性で回転し続けるが、1分後に今度は交互リレーが最初の正転位置A1に戻って正回転する。順次この一連の動作が繰返される。以上のようにして4分間で反転基板が正回転で略1回転し、次ぎの4分間で逆回転で略1回転する。反転基板が1回転に要する時間はモーターに連動しているかさ歯車の回転比を変えることによって調整することができる。
【0010】
正回転と逆回転の切換時間はタイマーによって任意に設定することが可能である。切換時間を反転基板が1回転する時間よりも短く設定すると、反転基板は1回転せずに、例えば、回転1分間、準備1分間の合計2分間に設定すれば1/2回転ずつ交互に正逆回転を繰返すこととなる。また、切換時間を反転基板が1回転する時間よりも長く設定すると、かさ歯車16に取付けられた突起18が正転リミットスイッチ19と逆転リミットスイッチ19’に交互に接触してオン、オフし、このオン、オフ信号に基づいて正転伝導接触器(MC1)20および逆転伝導接触器(MC2)20’が交互に導通して、モーターは反転し、反転基板は同様に正逆回転を繰返す。この場合、モーターの通電がオフした後の惰性回転を考慮して正逆回転の切換に時間差を設けてモーターの発熱による故障を防ぐ必要がある。この時間差はリミットスイッチがオン、オフした後、伝導接触器が導通するまでの時間をタイマーにて設定し調整することができる。
【0011】
図3は、前記の回転切換手段を無接点シーケンス制御回路とした回路図であり、図4は、実行動作を示すタイムチャートである。本実施例においては、図3に示すように、タイマー機能を有するPC(プログラマブルコントローラー)である三菱電気(株)製の三菱汎用シーケンサF1−30MR型シーケンサ27を用いて行った。正転電磁接触器21および逆転電磁接触器21’をPCの出力端子Y431およびY432にそれぞれ接続し、PC中の記憶装置に予め記憶された所定のラダープログラムに従って実行した結果、図5に示す動作が確認された。
【0012】
図4において、Y431が3分間出力した後、PC中のタイマーT451およびT452の作用によって1分間後にY432が3分間出力する。Y431およびY432の出力に基づいて正転電磁接触器21および逆転電磁接触器21’が交互に導通して、モーターは、3分間正逆回転するとともに、略1分間不導通な状態のまま惰性で回転する。つまり、前記のタイマー22と組合せた有接点制御と同様に4分間の間隔で正回転と逆回転を交互に繰返すこととなる。反転切換時間の設定はラダープログラムを変更するだけで簡単にできる。たま、前記のPCは、本実施例に用いたシーケンサ27の他にタイマー機能を有する汎用のPCまたはPLCによっても同様に実施することができる。無接点シーケンス制御においては、前記のリミットスイッチ19、19’は、回転切換えのために直接機能するものでないが、安全装置として取付けておくことが好ましい。
【0013】
図5は、前記の反転式架台1の反転基板17の反シャフト側に噴霧送風機23を取着した噴霧送風装置3を例示した斜視図である。この噴霧送風装置を豚舎等の畜舎やハウスの天井に吊下げて、噴霧送風機を360度反転しつつ回転させながら送風ないし細霧を噴霧することによって、特に夏場の暑い室内の温度を5ないし10度下げることができる。水を噴霧する以外に消毒液等を噴霧することもできる。また、噴霧送風機を温度センサーや湿度センサーと連動させて、室温が所定温度以上になったときに噴霧を開始し、室温が所定温度に下がったときに噴霧を停止して送風に切換えるように設定することもできる。ここに使用する噴霧送風機は、通常市販されている機器であれば特に限定されず、反転基板にボルト等によって取付けることが可能である。
【0014】
【発明の効果】
この発明に係る反転式架台及びこの架台を用いた噴霧送風装置は、前記のように反転基板ないし噴霧送風機を略360度任意の範囲で正逆回転させることが可能に構成したので、畜舎の中に仕切を設けて、その仕切の中で家畜を飼育する場合に、家畜に対して両方向から送風ないし噴霧することができるとともに、室内全体に風を行き渡らせて快適な飼育環境が維持できる。消毒液を散布して害虫や病気を予防する効果を奏する。温度センサー等と連動させてより快適な室内環境の整備と経済的な運用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を例示する構成図である。
【図2】この発明の実施例における回転切換手段の説明図である。
【図3】この発明の実施例における回転切換手段の説明図である。
【図4】この発明の実施例における実行動作を示すタイムチャートである。
【図5】この発明の実施例における噴霧送風装置を例示した斜視図である。
【符号の説明】
1:反転式架台、2:回転切換手段、3:噴霧送風装置、11:上基板、12:下基板、13:本体、14:シャフト、15:モーター、16:かさ歯車、17:反転基板、18:突起、19:正転リミットスイッチ,19’:逆転リミットスイッチ、20:正転電磁接触器、20’:逆転電磁接触器逆転、21:交互リレー、22:タイマー、23:噴霧送風機、24:支持柱、25:吊下げ具、26:電源、27:シーケンサ
Claims (3)
- 室内用の噴霧送風機を取付ける架台において、上基板及び下基板を有する本体と、該本体の下基板を貫通し、上基板の内側に回転可能に枢着するシャフトと、モーターと、該モーターの回転をシャフトに伝導する歯車と、前記シャフトの先端に固着され、噴霧送風機を取付けるための反転基板と、前記モーターの回転を正逆回転させる回転切換手段と、を備え、前記反転基板を略360度任意の範囲で正逆回転させることが可能な反転式架台。
- 前記回転切換手段は、所定の時間ないし回転角度に達したときにオン(ON)オフ(OFF)する切換スイッチと、タイマーと、該切換スイッチのオン(ON)オフ(OFF)信号によって結線が交互に切り換わる切換手段と、を備え、前記反転基板が所定の時間ないし回転角度に達したときに前記スイッチが作動し、所定の間をおいてモーターの回転が正逆回転するに伴って反転基板の回転が正逆切換わることを特徴とする請求項1記載の反転式架台。
- 請求項1または2記載の反転式架台において、前記反転基板の反シャフト側に噴霧送風機を取着して、該噴霧送風機を略360度任意の範囲で正逆回転させることが可能な噴霧送風装置。
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