JP4167596B2 - 認知機能のテスト装置及びコンピュータ可読媒体 - Google Patents

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関連出願への相互参照
本出願は、2001年9月6日出願の仮出願第60/317,639号、名称「微小進行性認識機能障害の診断及びモニタ」及び2001年9月6日出願の仮出願第60/317,571号、名称「微小進行性認識機能障害の治療」の恩恵を受けるものである。
背景
発明の分野
本発明の諸相は概して認知機能のテストに関するものであり、特に、認識機能障害の発生診断及び進行モニタそしてその治療効果の分析を行う装置及びコンピュータ可読媒体に関する。
関連技術の説明
深刻な認識機能障害及び痴呆症は、全世界において、そのように診断を下され治療を受けている障害症例の率を増加しつつあるもので、とりわけ世界的に平均寿命が延び人々が高齢となっているため、痴呆症患者の数の増加が予想される。65歳以上の人口の10%、80歳以上の人口の50%に影響を及ぼしているとされるアルツハイマー病(AD)は、痴呆症の無数の原因のうちで最もよく知られていると一般に考えられる。痴呆症の他の形態には、血管性痴呆、レーヴィ体形成に伴う痴呆、前頭側頭型痴呆、外傷後痴呆、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による痴呆、非定型痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、薬物乱用あるいは薬物副作用による中毒、が含まれる。
現在ADや他の痴呆症は概して、一つ又はそれ以上の警戒症状が現れるまで診断を下せない。発生の最も初期にはこうした症状が、近年米神経学学会によって定義を受けた軽度認識障害(MCI)として知られる症候群をもたらすもので、MCIとは、年相応の標準データと比較すると記憶障害を有するもののそれ以外は問題なく機能しており痴呆の臨床基準に合致しない人々の臨床状態を意味する(例えば、ピーターソン、R.C.、スティーブナス、J.C.、ガングリー、M.、タンガロス、E.G.、カミングス、J.L.及びデコスキー、S.T.著、プラクティスパラメーター:痴呆の早期発見:軽度認識障害、神経学56 1133−1142(2001)を参照)。
記録にあるケースの約50%においてMCIがADの前兆であることが一般に認められている。それに加え、あるいはそれに代わり、MCIは他の病的原因から生じる痴呆の前兆でもあり得る。まず最初にMCI自体の診断が下った場合、MCIのこうした代替的原因をADと臨床的に区別するのは困難である。
MCIは、Mini Mental Status Exam、Memory Impairment Screen、及び他の種々の神経心理学的スクリーニングバッテリー等、従来の認知スクリーニングテストを用いて発見できるもので、もしも実行結果が一般的とされる標準データの範囲外であればMCIと診断される。こうした診断法は以下の点で十分とはいえないものである。
比較的近年に至るまで、認知欠損を含む状態の治療は一般的には受けられなかったもので、いったんそういう状態であると診断が下されると、痴呆へと悪化することは必然的結果であると一般的に思われていた。可能なものは支持治療のみであった。種々の認知機能エンハンサーは近年になって利用可能となったものである。こうしたエンハンサーは一般にADや他の認知機能障害を引き起こす根本的病理を解決するものではないが、認知機能低下を遅らせるのにかなり効果があると思われている。
さらにADの原因についての徹底的な研究は、例えば、アミロイド蛋白に対するモノクローナル抗体、クリオキノール又は他の金属キレート化剤、蛋白質分解酵素抑制剤、抗酸化剤、アダクト破壊剤(adduct breaking agents)、発育因子、抗炎症剤、エストロゲン、あるいはスタチン等の、おそらく治療に役立つ数多くの物質の開発に結びついた。現在いくつかの治療法が利用可能であることは、痴呆に繋がる状態を早期に診断することが非常に重要であることを示しており、こうした状態から引き起こされるダメージが大きくなり実際の障害を生じてしまう前に治療が開始されなくてはならない。
変性した認知状態向けの従来の診断方法は、一度のみの実施用に作られたあるいは一度のみの実施に最適化されたテストを採用しているが、伝統的なテストは、もしも二度以上実施されると、テストを受けた対象者の用いる戦略に変化が生じることで大きな練習効果を示してしまう。すなわち、テストを受けた対象者は特定のテスト方法に対する達成度を向上するよう戦略を練り上げてしまう。
上述したように、現在の認知力評価のシステム及び方法によると、症候性欠陥が検知されたときには既に認知機能の低下が始まってしまっている。
要約
例えば本発明の一つの側面によると、認知機能を評価する方法は、認知機能障害を診断可能なテストを実施すること、及び、言語ベースの指導等、文化教養的手掛かりを与えることなくテストのルールに関して対象者に指導を行うこと、からなるものである。テストは選択的に反復可能である。
同様に、テストシーケンスを実施する方法は概して、複数のテストトライアルからなり且つ認知機能障害の状態を診断可能なものであるテストを選択し、複数のテストトライアルへの応答ルールについて、文化教養的手掛かりを与えることなく対象者に指導し、テストを実施し、テスト実施中に表示された複数のテストトライアルへの応答を記録し、さらなるテストにおいて前述の作業を選択的に反復する、ことからなる。
参照結果又は記録済応答データに対して、特定のテスト又はテストシーケンス結果が認知機能にある程度の低下を示したということは、症状発現前の認知機能障害を暗示している。
当然ながら前記方法は、治療薬又はその他の治療法の有効性をモニタするのに好適である。ある実施の形態においては、該方法はさらに、さらなるテスト結果を入手してテスト結果が変化したかどうかを判定する前に、対象者の症状発現前の認知機能障害状態の治療を含むものである。
したがって、認知機能障害治療のための治療法の有効性を評価する方法は概して、認知機能を評価可能なテストを選択し、テストのルールについて、文化教養的手掛かりを与えることなく対象者に指導し、テストを実施し、テスト実施中に表示された複数のテストトライアルに対する応答を記録し、認知機能障害の状態を測定し、治療法に基づいて対象者を治療し、テストを選択的に反復し、選択的反復に応じ、テストの連続的反復中に得られた結果の比較によって治療法を評価する、ことからなる。
治療には対象者を、コリンエステラーゼ阻害薬、例えばアリセプト、エキセロン、レミニル、コグネックス、等の認知機能エンハンサーで治療することも含まれる。こうしたエンハンサーは現在、AD等の状態の対症療法に使用可能であり、その他にも幾つかのエンハンサーが前臨床試験又は臨床試験中である。それに加え、あるいはそれに代わり、治療には、ADの原因機構を正すための物質、例えば、アミロイド蛋白に対するモノクローナル抗体、クリオキノール又は他の金属キレート化剤、蛋白質分解酵素抑制剤、発育因子、抗酸化剤、アダクト破壊剤、抗炎症剤、エストロゲン、あるいはスタチン等で対象者を治療することが含まれるものであってもよい。
テストされる認知機能には、記憶力、記憶タスクでのスピード、意思決定、集中、注意、及び問題解決が含まれるもので、認知機能のスコアは、スピード及び正確性測定に基づいている。
ある実施の形態では、認知機能のテスト方法は、対象者が練習や繰り返しによって達成度、スピード又は正確性を高めることがないようにしており、したがって対象者は、戦略その他によってテストを「誤魔化す」ことを学習できない。
テスト対象者は、テストを何度も行うことで参照結果を生じる。テストは目的によっては広い時間間隔で実施可能であり、例えば、対象者のうち障害のないグループと障害のあるグループを区別するため、同日又は続けざまに、テストを3回又は4回実施してもよい。認知機能障害の進行をモニタするため又は治療の有効性を評価するために、同じ又は同様なテストが例えば3〜6ヶ月の間隔で実施されてもよい。
認知機能のテストは、対象者の記憶タスク実行における正確性に関係する、対象者の記憶機能の基準を作るために、対象者の記憶力を評価する。対象者の記憶機能の基準はまた、対象者の記憶タスク実行におけるスピードにも関係する。
認知機能のテストは概して、認知機能障害の記憶の諸相を評価または定量化するための複数または一組の個別のテストからなる。一組のテストは標準形式で提示され、多くのテストにまたがった指標を抜き出し可能とする。
認知機能のテストはまた、対象者の意思決定、集中、注意、及び問題解決の機能を評価する。分析には、テスト応答データを参照テストデータセットと比較することが含まれ、比較結果は、前述又はそれ以外の認知機能における低下の判定に用いられる。
症状発現前の認知機能障害とはコンディションの指標にあたり、これは、AD、血管性痴呆、レーヴィ体形成に伴う痴呆、前頭側頭型痴呆、外傷後痴呆、HIVによる痴呆、非定型痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、または薬物乱用あるいは薬物副作用による中毒、等が原因の進行性認知機能低下の前兆である。それに加え、あるいはそれに代わり、症状発現前の認知機能障害自体がそうしたコンディションである。
ある例では、症状発現前の認知機能障害が、「微小」進行性認識機能障害(MPCI)として特徴付けられている。
ある実施の形態では前記方法のいくつか又はすべてが、認知機能障害を診断又はモニタする他の方法と併せて使用されている。例えば、嗅覚障害はADの非常に早い段階での特徴的な症状であることが報告されており、嗅覚機能の非侵略的診断テストが現在利用可能である。例えば神経糸蛋白の検出に基づいた、所期症状の他のテストもまた利用可能である。
本発明の様々な実施の形態は、症状発現前の認知機能障害検出において大きな利点をもたらすものである。とりわけ、認知機能障害のテストシステム及び方法は、症状発現前の認知機能障害及びMPCIのより正確でより確実な検出を可能とするもので、さらにこうしたコンディションに、逐次研究という点で、これまで可能であったよりもずっと迅速に診断が下せる。
本発明の他の諸相によると、例えば、システム、装置、コンピュータ可読媒体が前述の方法を実行又は実施するために用いられる。認知機能障害を評価可能な装置又はシステムは概して、テストを実施可能なテストモジュールと、前記テストのルールについて、文化教養的手掛かりを与えることなく対象者に指導可能な指導モジュール、とからなる。こうした装置又はシステムは、応答及びそれに関連したデータを記憶可能なデータ構造を含むことができ、それに加え、あるいはそれに代わり、データ伝送インターフェースが、ネットワークを介してのリモート装置との通信を可能とする又は許容することもできる。ある実施の形態では、前述の動作がテストコーディネータモジュールにより制御又は管理される。
本発明の様々な実施の形態の前述又はその他の諸相は、添付の図面と関連した以下の詳細な説明の例から明らかとなろう。
詳細な説明
本発明の実施の形態は、従来の技術における上述及び他の種々の欠点を解消するものであり、認知機能をテストし、認知機能障害の発生及び進行を特定する装置及びコンピュータ可読媒体を提供するものである。
さて図面へと目を向けると、図1Aは心理テストシステムの一実施例が採用されたデータ通信ネットワーク環境を例示する略図である。一例としての図1Aの実施例では、システム100が、通信ネットワーク199を介してサーバ130等の一つ又はそれ以上のサーバに接続されたネットワーククライアント110、120等のリモートコンピュータ又は端末を有する。システム100はまた、それぞれ参照数字140、150で示されるデータ記憶媒体及び周辺機器を有する。
分かり易くするため、図1Aには一つのサーバ130と二つのクライアントと110、120しか描かれていない。図1Aに例示された配置が例示のみを目的として示されたもので、さらなるサーバ、クライアント、又は他の要素をいくつ備えてもシステム100は実施可能であり、ネットワーク199に接続された各装置の数及び種類がシステム要求に応じて変わり得るものであることは、当業者であれば理解できるものである。ある実施例では、例えば周辺装置150等の装置の機能が、サーバ130等の別の装置に存在、あるいはそれによって使用可能とされる。
作動中、クライアント110、120は通信ネットワーク199を介して双方向データ通信が可能である。ここでクライアント110は、ネットワーク199を介して、又はネットワーク199に接続された一つ又はそれ以上のさらなるネットワーク(図示せず)を介して、クライアント120、サーバ130、周辺装置150、及びデータ記憶媒体140と通信する。クライアント110、120、サーバ130、そして図1Aに描かれた他の要素を多数のさらなるネットワークを介して接続することに発明の才を必要としないことは、当業者であれば理解できるものである。
ある実施例では、クライアント110、120はパソコン、あるいはワークステーション、携帯情報端末(PDA)、無線電話、あるいはその他のネットワーク対応コンピュータデバイス、電子装置、あるいはコンピュータシステムである。作動中、クライアント110、120はコンピュータ可読記憶媒体にコード化したソフトウエア又は他のプログラミング命令を実行し、さらにモニタ及び制御のためにサーバ130、データ記憶媒体140、周辺装置150と通信する。クライアント110は例えばサーバ130に問い合わせを行い、サーバ130に接続された、あるいはこれによりアクセス可能なデータ記憶媒体131に保持されたデータの伝送を要求する。それに加え、あるいはそれに代わり、クライアント110は制御信号又は要求を伝送し、これが装置150に何らかの動作を生じせしめ、あるいは特定の機能又はプログラムルーチンを実行せしめる。
当該技術分野においては当然なことだが、ネットワーク199にはさらに、本開示の本質から逸脱することなく、装置150等の周辺機器を幾つでもあるいは何種類でも接続することができる。こうした周辺装置の例としては、サーバ、コンピュータ、ワークステーション、端末、入出力装置、実験装置、プリンタ、プロッタ、ルータ、ブリッジ、カメラ又はビデオモニタ、センサ、アクチュエータ、又は当該技術分野で公知のその他のネットワーク対応装置、があるが、これに限定されるものではない。周辺装置150は図1Aに例示するようにネットワーク199に直接接続されてもよいし、あるいは、例えばサーバ130を介して、装置150の機能性又は動作がハードウエア又はサーバ130にあるソフトウエアに影響を受ける又は制御されるよう間接的に接続されてもよい。
当該技術分野で公知なように、サーバ130は例えば単一の物理的機械、あるいは分散し協働する複数の物理的機械に具体化又は実施可能である。作動中、サーバ130はファイルサーバ又はアプリケーションサーバの機能性全てを取り入れ、さらにデータ記憶媒体131へと接続される。よってデータ記憶媒体131に保持された情報及びデータレコードは、ネットワーク199を介したサーバ130との双方向データ通信によりクライアント110、120にアクセス可能になる。
ネットワーク199は当該技術分野で公知のいかなる通信ネットワークであってもよく、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、あるいはクライアント110、120、サーバ130、記憶媒体140、周辺装置150の間にデータ通信可能性をもたらす何らかのシステム、を含むものである。さらにネットワーク199は当該技術分野で公知のいかなるトポロジーに基づいて構成されていてもよく、これはスター形、リング形、バス形、あるいはその組み合わせを含む。
一例として、図1の要素間のデータ接続はシリアルリンク又はパラレルリンクとして実施可能である。あるいはデータ接続が、コンピュータネットワークを介してデータを通信又は伝送するために当該技術分野で公知のいかなるタイプであってもよく、こうしたネットワーク接続及びプロトコルの例には、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、イーサネット、光ファイバーケーブルを利用した分散型データインターフェース(FDDI)、アークネット、トークンバス又はトークンリングネットワーク、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続、及び米国電子電気学会(IEEE)規格1394(一般的には「ファイヤーワイヤー」と呼ばれる)接続、が含まれるが、これに限定されるものではない。
他のタイプのデータ網インターフェース及びプロトコルも、本開示の範囲及び意図の内にある。とりわけクライアント110、120は、例えば赤外線(IR)又は無線周波数(RF)信号等の無線データ通信技術、又は他の形態の無線通信を用いてネットワークで結ばれた他の要素にデータを伝送又はそこからデータを受信するものとして構成できる。よってネットワーク199がRFパーソナルエリアネットワーク(PAN)として実施し得ることは、当業者であれば理解できるものである。
記憶媒体131及び140は、磁気ディスクドライブ、光磁気ドライブ、光ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、読み出し専用コンパクトディスク(CD−ROM)ドライブ、読み出し専用デジタル多用途ディスク(DVD−ROM)ドライブ、デジタル多用途ディスクランダムアクセスメモリ(DVD−RAM)ドライブ、トランジスタ基盤メモリ(transistor-based memory)、又はデータの記憶及び読み出し用のコンピュータ可読記憶装置等、従来からの読取書き込み記憶装置とできる。
図1Bは、図1Aに描かれた実施例の要素を例示する略図である。図1Bの要素配置は一般に、上述の各機能性全てを組み込み得るものである。例えば下記のようにクライアント110からの要求又は命令に応答し、サーバ130が、記憶媒体131からデータ又は情報を読み出すように動作可能である。記憶媒体131は例えばデータベース、又は他のデータ構造を有するもので、認識力分析を実行するのに必要なソフトウエアコード、ファイル、データ等を全体又は一部保持するものとして構成できる。
したがって、認識機能障害の発生診断及び進行モニタの方法、ならびに認知欠損の治療効果分析の方法は、コンピュータ実行可能命令、又はクライアント110、サーバ130、記憶媒体131、又はその組み合わせに存在する他のプログラムコードによって遂行される。
例えばある実施例では、クライアント110に存在するソフトウエアコードが、認知機能障害の診断又は認知機能障害の進行測定用の一連の対話式テストを行うように構成され、診断又は予想データ、あるいはそのデータを代表する情報が、図1Aに示すデータ通信ネットワークを介してサーバ130へと伝送される。それに加え、あるいはそれに代わり、テストの機能性のうち一部あるいは全てをサーバ130に存在するソフトウエアコードに組み込んでもよく、こうした実施例の場合例えば、テストデータ又は結果は、ネットワークを介してクライアント110へとその全て又は一部が伝送される。
図2は心理テスト装置の一実施例を例示する簡略化したブロック図である。図2に描かれた簡略化したテスト装置210は概ね、図1A、図1Bを参照して例示し先に説明したネットワーククライアント110に相当するものである。なお、装置210を上述の種々のタイプの装置に具体化し、先に詳述した機能性及び動作特性の全てを取り入れてもよい。当然ながら、装置210はアイソレートシステム、すなわちネットワークに非接続なものとして実施可能である。よって装置210を例えばコンピュータワークステーションやデスクトップコンピュータとして具体化し、当該技術分野で公知なようにマルチタスクオペレーティングシステム(OS)217を作動させるものとして構成可能である。
図示のように、図2の実施例は概して、プロセッサ211、メモリ212、システムバス299に接続されたデータ記憶媒体216からなる。コンピュータシステムの技術分野において公知なように、装置210の前述及びその他の要素の動作はOS217から影響を受け、あるいは制御される。入力装置ポート213及び出力装置ポート215は概して、装置210と当該技術分野で公知の種々の周辺装置との間の双方向データ通信を可能とするものである。
プロセッサ211は当該技術分野で公知のいかなるマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであってもよい。プロセッサ211の機能性を制御するためのソフトウエアコード又はプログラミング命令は、メモリ212にコード化又は記憶媒体216に記憶される。メモリ212と記憶媒体216は当該技術分野で公知のいかなるコンピュータ可読メモリであってもよい。それに加え、あるいはそれに代わり、プロセッサ211の動作に関するソフトウエア又は命令コードは、図1A及び図1Bを参照して先に説明したように、ネットワーク199を介してアクセス可能なリモートサーバ130又は記憶媒体131に存在するものであってもよい。ネットワークインターフェース214がこうしたネットワーク通信を可能とするものであり、これはコンピュータネットワークを介しての通信又はファイル伝送のための、当該技術分野で公知の、あるいは公知の原理に基づいて開発され作動する、いかなるインターフェースであってもよい。
プロセッサ211は、上述のように双方向ネットワークデータ通信を可能とする、例えばネットワークインターフェース214を含む複数の周辺機器と、バス299を介して通信する。なおネットワークソフトウエア218は、上述のように適当なネットワークプロトコル及びデータフォーマットを提供し、システム要求に応じたネットワークデータ伝送を可能とする。
コンピュータシステムと通信するよう構成され作動する周辺装置は当該技術分野では公知であり、こうした機器には、出力装置ポート215に接続されたディスプレイ又はスピーカ(図示せず)、入力装置ポート213に接続された手動入力装置又はマイクロフォン(図示せず)、等が含まれる。ある実施例では、装置210が、ブラウン管(CRT)モニタ、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、タッチセンシティブスクリーン、あるいはイメージ及びテキストを表示するための当該技術分野で公知の他のモニタ装置、等の表示装置に接続される。装置210は同じく、従来型のキーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、あるいは他の入力装置、等の手動入力装置に接続される。当然ながら、装置210、上記の装置群の幾つかあるいは全て、又はその組み合わせは、デジタル/アナログ変換及びアナログ/デジタル変換回路を必要に応じて有するものである。
作動中、装置210は、認知能力又はその低下の評価用に構成され作動する、テストソフトウエア219で表されたプログラム命令又はソフトウエアコードを実行する。テストソフトウエア219はデータ記憶媒体216に保持されているデータレコード、プロファイルデータ等と協働し、認知機能に関する診断又は予想結果をもたらす。以下に詳述する実施例においては、対話型テスト方法により認知機能が測定又は評価され、この間、入力は入力装置ポート213を介して受信され、この入力は概して、出力装置ポート215を介して表示又は他の方法で表された例えば視覚刺激等の出力に応答したものである。
先に簡単に述べたように、テストソフトウエア219又はその種々の要素は、二つ以上の物理的機械に存在するものとできる。図2の実施例は装置210に存在するテストソフトウエア219を例示しているが、本開示は図2の例示によって限定されるものではまったくない。装置210のネットワーク構成が、テストソフトウエア219の機能性の一部又は大部分を他の場所、例えば上述のようにサーバ130に存在可能とすることは、当業者であれば理解できるものである。装置210等のネットワーククライアントにおけるテストソフトウエア219の機能性実行の程度は、とりわけ現在の処理負荷とプロセッサ211及びメモリ212の全性能の相関関係、バス299のクロック速度、ネットワークインターフェース214が接続されるネットワーク199の帯域幅、等である。負荷処理及びアプリケーション機能の分散化は当該技術分野において公知である。
図3は心理テスト装置の一実施例の要素を例示する簡略化したブロック図である。図3に示すテストソフトウエア319は概ね、図2を参照して例示し先に説明したテストソフトウエア219に相当するものである。テストソフトウエア319は概して、指導モジュール322、テストモジュール324、及び分析モジュール326からなり、その動作はテストコーディネータモジュール321により管理又は調整される。ネットワークソフトウエアインターフェース329は、テストソフトウエア319とネットワークソフトウエアの間の通信を容易とし、図2を参照して上述したリモートサーバ又は他の装置とのデータ通信を可能とする。
さらにテストソフトウエア319は、データベース、ライブラリーファイル、あるいは他の好適なデータ構造に具体化可能なデータ記憶媒体328を組み込んだあるいはそこにアクセスなもので、データ媒体328に保持されたデータは、直接あるいは間接的に認知テスト法、結果、分析等へと関連付けられる。例えば、ある集団又はテスト対照群についての平均的テスト結果に関する標準データをデータ媒体328に記憶し、受け取ったテスト応答との比較を容易とすることが可能である。将来の分析又は比較のために永久的に、あるいは検査及び分析のためのリモート装置への伝送待ちの間一時的に、過去及び現在のテスト応答データとそこから得られた情報もまたデータ媒体328に記憶可能である。
テストコーディネータモジュール321が全てのテスト動作を組織管理する。ここで、モジュール322、324、326はテストコーディネータ321に中間結果又は現在の進行状況を伝送するよう構成され、これにより、個々のテストにおけるあるいは一連のテストからなる特定の順序のテスト手順における経過をモニタ及び評価するものとできる。テストコーディネータ321はさらにネットワーク通信要求をネットワークソフトウエアインターフェース329へと伝え、分散テストを容易とするものとできる。よってテストコーディネータ321は、局所的あるいは世界的規模のいずれであろうと行われるテストシーケンスを制御できる。
指導モジュール322はテスト手順及びテスト対象者に期待されているテスト状況への応答方法に関して有用な指導を行うよう構成される。図3の実施例で指導モジュール322は、現在のテストのシミュレーションを行い種々のテスト刺激又はテストトライアルへの正しい応答を示す働きのあるテストシミュレータ323を有する。作動中、テストシミュレータ323は、テスト手順及び複数のテストトライアルへの正しい応答方法を示す視覚的手掛かりを与える。ここでテストシミュレータ323は例示によって指導を行うものであり、よって書き言葉又は他の言語ベースの指導パラダイムを除外できる。
指導モジュール322を用いた実施例では、適切な指導手続きが終了するとテストシーケンスの制御がテストモジュール324へと移る。例えばある実施例では、テストコーディネータ321が一つ又はそれ以上のテストシミュレーションの終了について(指導モジュール322によって)通知を受け、その後テストモジュール324でソフトウエアコード又は他の実行可能命令又はルーチンを開始し、これによりテストエグゼキュータ325が特定のテスト動作を開始可能とする。テストエグゼキュータ325は所定のテストプロトコルに従い、テストトライアルを提供し、(例えばデータ媒体328に)応答データを記録する。
分析モジュール326はテストコーディネータ321からの命令又は制御信号に応答し、例えばテストモジュール324から受け取ったテスト応答及びその他のデータに関する分析動作を初期化及び実行する働きがある。それに加え、あるいはそれに代わり、分析モジュール326の機能性の一部をテストモジュール324へと組み込み、テストオペレーションと平行した分析タスクの能力を高めること、すなわち、テストエグゼキュータ325により実行されたテスト手続き中に、テスト応答及び関連データを受け取るとともに分析することが可能である。
いずれにせよ、分析モジュール326と関連する能力エバリュエータ327はテスト応答データとそこから得られた情報を解釈する。ある実施例では、データ媒体328に保持された標準的、特徴的、又は過去のデータレコードが、テストエグゼキュータ325により得られた現テスト応答及びデータと比較される。全体のシステム構成及び必要に応じて、テスト応答データ及び他の情報は能力エバリュエータ327によって完全に分析されるか、あるいはさらなる分析のためにリモート装置へと伝送され、こうした伝送は上述のようにネットワークソフトウエアインタフェース329によって容易とされる。
上述のように、テストソフトウエア319は概して、例えばシステム要求、処理能力、及びローカルな又はシステム全体の負荷特性に応じて、一つ又はそれ以上の物理的機械に分散される。例えばある実施例では、テストコーディネータ321がネットワーククライアントに存在し、図3に例示するその他の要素の大半又は全てがリモートサーバに存在するものである。図3の実施例が単に一例として挙げられたに過ぎず、種々のシステムソフトウエア構成が可能であることは、当業者であれば理解できるものである。
図4Aは、心理テスト方法の一実施例の一般動作を例示する簡略化したフローチャートである。図4Aに示すように、実施されるテストがブロック411で表されるように特定される。例えばある実施例では、とりわけ複数の別々のテストが順に実施される場合に、この特定は、図3を参照して例示し先に且つ述べたようにテストコーディネータによって行われ、それに加え、あるいはそれに代わり、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の一部としてコンピュータディスプレイ上に一般的に表示されるアイコン、メニュー、ファイルリスト、又は他の選択可能要素とのインタラクションを介して具体的にテストが特定され選択される。
テストの指導フェーズはブロック412に示されるように初期化され、この指導フェーズは概して、図3を参照して上述したように指導モジュールによって制御される。例えば、コンピュータディスプレイ上に「スタート」すなわち初期配置図が表示される。こうしたスタート配置図は、テスト動作中に個々のテストトライアルを具体化するアイテム又は刺激の全体レイアウト又は構成を表す。例えば、トランプ一組あるいは多くの一般的なドミノのこまが特殊な相互配置で表示されている。スタート配置図に表示されたアイテムの数、種類、方向、ならびにそれらの相対的位置及び描かれたグラフィカルな要素の全体配置が概して、その実行されるテストの機能を果たす。
テスト対象者は例示、すなわちブロック413に示すようなタスクシミュレーションを通して指導を受ける。具体的には、図3を参照して先に詳述したように、指導モジュールはテストシミュレータを含んでいる。図4Aの実施例では、こうしたテストシミュレータが複数のテストトライアルを表示し且つそれに対する正しい応答をシミュレートするものであり、ここでテストシミュレータはさらに、一つ又はそれ以上の入力装置との適切なインタラクションに関してテスト対象者に指導する働きのある視覚的又はそれ以外の手掛かりを与えるものである。したがって、指導モジュールとテストシミュレータは後続のテストに関して指導を行うが、これは書き言葉又は他の言語ベースのフィードバックに頼らない。
テストは例えば一般的なトランプのランダム又は擬似ランダム表示への対象者の応答を評価するものとして作られたもので、典型的なテストでは、赤の組札(ダイヤ及びハート)からのカードの表示に応じてある反応が、黒のカード(スペード及びクラブ)の表示に応じて異なる反応が求められる。この例でスタート配置図は、裏向きに描かれたカードデッキ一つとコンピュータキーボード、マウス、あるいは応答を入力するのに必要な他の装置の様式化したイメージの図からなる。
上記例では例えば、赤のカードへの正しい応答がコンピュータキーボード上のあるキー(例えば「R」キー)の選択であり、黒のカードへの正しい応答が異なるキー(例えば「B」キー)の選択である。ブロック413によって表されたシミュレーションを通しての指導中、シミュレートした各テストトライアルは、それへの正しい応答の表示を伴う。模擬デッキの一番上から赤いカードが選ばれると、キーボードの表示イメージ中において「R」キーがハイライト表示又はそれ以外のやり方で強調され、同様に、デッキの一番上から選ばれた黒いカードに対しては「B」キーがハイライト表示される。赤(red)を表すのに「R」を、黒(black)を表すのに「B」を用いることは指導中に言語ベースの偏向を持ち込んでしまうかもしれないので、よって、それ自体には言語的関連性のないキー(例えば、赤に「K」、黒に「D」)を用いて特定のカード色への応答を求めることが望ましい。上述のように、シミュレーションを通しての指導中にカードが表示されたとき、適切な応答キーはハイライト表示又は強調される。
実施されるテストの複雑さや種々のテストトライアルイベントに求められる正しい応答に基づき、当然ながら、ブロック413に示したタスクシミュレーションによる指導は様々な形をとることができ、異なるタイプの応答及びその例示が考えられる。例えば、テストトライアルへの正しい応答があるマウスボタンの選択を含み、この応答を求める模擬テストトライアルが、例えばハイライト表示された適当なボタンを有するマウスの例示、あるいは正しいマウスボタンを押す指のグラフィカルな表現を伴うものである。入力装置の要素を例示する又はハイライト表示する様々な方法が当該技術分野で知られている。
上述のように、実施されるテストには様々なトライアルが含まれ、それぞれが特定の応答を求める。決定ブロック414で表されるように、指導フェーズには反復ループが含まれ、可能性のあるテストトライアルの全て及び所与のテストへの適当な各応答がシミュレートされ例示されるまでテストシミュレーションを繰り返す。前記例において例えば、可能性のある二つのテストトライアルイベント、すなわち赤のカードか黒のカードかをシミュレートするには、少なくとも二度のインタラクションが必要である。ある実施例では、ブロック413及び決定ブロック414によって表されるようなタスクシミュレーションを通しての指導は、各タイプのテストトライアルイベントが所定回数シミュレートされるまで続く。
ブロック415で、指導は(決定ブロック414での決定により)完了し、実行されるテストが初期化される。テストの開始を表すスタート配置図が表示されるが、先に述べたように、スタート配置図は各テストトライアルを具体化するアイテム又は刺激の全体レイアウト又は構成を表す。さらにテストトライアルに対する正しい応答の指示がスタート配置図表示に含まれる。以下により詳細に説明する実施例においては、テストトライアルに対する正しい応答の説明又は指示がテストフェーズの間中、所定回数の正しい応答が成し遂げられるまで提供される。
ブロック416に示すように、テストの初期化及びスタート配置図の表示に引き続き、選択されたテストが実行される。テストの初期化及び実行(それぞれブロック415、416)は、図3を参照して例示し先に詳細に説明したように、テストエグゼキュータを含むテストモジュールによって行われる。例えば図3と図4Aの双方を参照すると、テストコーディネータ321はテストシーケンスの制御を、指導の完了(ブロック414)を示す信号に反応して指導モジュール322からテストモジュール324へと移し、指導モジュール322からのこうした信号がテストコーディネータ321でプログラムコードを開始し、これは次にテストを初期化(ブロック415)し、所定のテスト課題及びプロトコルに従ってテストを実施(ブロック416)するようにテストエグゼキュータ325を呼び出す。
図4Aの実施例によると、指導の初期化(ブロック412)及び実行(ブロック413、414)ならびにテストの初期化(ブロック415)及び実行(ブロック416)は概して、テストシーケンス又は一連の複数テストから独立して特定又は選択(ブロック411)される特定のテストに関して実施される。しかしある例では複数のテストを順々に実施することが望ましい。
図4Bは、テストシーケンスの処理を容易とする心理テスト方法の一実施例の一般動作を例示する、簡略化したフローチャートである。ブロック421に示すように、テスト装置又はシステムは、順に実施される複数又は一連の個別のテストを特定する命令を受け取る。一例としては、テストコーディネータ321が例えばローカルプロセッサから、あるいはリモートサーバ又はクライアントから、命令を受け取り、特定のテストシーケンスを実施するように要求又は命令を出す。受け取った命令はテストプロトコルあるいは指示からなり、それに加え、あるいはそれに代わり、受け取った命令はテストコーディネータ321に、例えば図3に示したデータ媒体328等の特定のデータソース又はアドレスから必要なテスト情報及びプロトコルデータを検索するように単純に指示する。
ある実施例では、テストシーケンスに、管理上の、ロジスティカルな、あるいは他の理由によるタイムリミットが含まれる。こうした例では、ブロック422に示すようにクロック又はタイマ機構を設けることが適当であり、当然ながら、図4Bの実施例に設けられたタイマはテストシーケンス全体用の包括的タイミング装置を表している。それに加え、あるいはそれに代わり、テスト群又はシーケンスの要素であるの個別のテストの各々には、一つ又はそれ以上のタイムリミットが含まれる。例えば、各テストトライアルへの応答は所定時間枠に制限され、一回のテストにおいて特定回数のトライアルの完了に割り当てられるトータルタイムも同様に制限されている。図4Bに示すように、所与のテストシーケンスにおける前記複数のテストの完了に割り当てられるトータルタイムも同様に、要求に応じて選択的に制限されている。
テストシーケンスの時間がまだ終わっておらず(決定ブロック427で測定)且つテストシーケンスの全てのテストがもう完了したわけでもない(決定ブロック426で判定)間、ブロック423乃至427は、選択されたテスト群におけるテストシーケンス完了に向けての反復アプローチを例示する。完了しなくてはならないテスト(シーケンスにおける第一の又はその後のテスト)はブロック423で特定され、これは上述のブロック411での動作に概ね相当するものである。
シーケンスにおける各個別のテストについての指導フェーズ(ブロック424)は概ねブロック412〜414に相当するものであり、図5を参照して以下により詳細に説明する。同様に、シーケンスにおける各テストについてのテストフェーズ(ブロック425)は概ねブロック415、416に相当するものであり、図6を参照して以下により詳細に説明する。
決定ブロック426での判定によりシーケンスにおける全てのテストが完了すると、あるいは決定ブロック427での測定によりタイマが終了すると、全テストトライアルへの応答はブロック428でコンパイルされる。ブロック429に示すように、トライアルへの応答、この応答の諸相に関するデータ、及び両者から得られた情報が分析され、それに加え、あるいはそれに代わり、応答データ及びそこから得られた情報は、初期分析又は付加的分析のために(ブロック499に示すように)リモート装置へと伝送される。伝送の前にどれだけトライアル応答及びこの応答を表すデータを分析するかは、ローカルコンピュータのプロセッサの能力、データ伝送帯域幅、セキュリティ又はプライバシーに対する懸念、等にかかっている。
図5は、テスト対象者を指導する方法の一実施例の一般動作を例示する簡略化したフローチャートである。図5の実施例の諸相は図4Aを参照し先に述べてある。当然ながら、図5に例示したような方法は、図4Bの指導フェーズ(ブロック424)に組み込み可能である。ブロック501に示すように、指導を初期化し、先に述べたようにスタート配置図を表示することが可能である。
スタート配置図は概ね、個々のテストトライアルを具体化する視覚刺激の構成を表したもので、こうした視覚刺激には、通常のあるいは様式化されたトランプ、ドミノ、又は他の識別可能物の視覚表現が含まれる。上記したように、選択したテストプロトコルに応じ、種々の刺激が独特の配置で表示される。
ブロック502では、ランダムなタスクシミュレーションを通して実例によってテスト対象者が指導を受ける。より詳しく言えば、テストシミュレータは、テストトライアルを例示(ブロック502)し、ブロック503に示されるようにそれへの正しい応答をシミュレートするものであり、テストシミュレータは、正しい応答を入力するのに必要な一つ又はそれ以上の入力装置との正しいインタラクティブを表す視覚的な又はその他の手掛かりを提供するものである。
図4Aを参照して先に述べた赤と黒のトランプの例に戻れば、あるカード(例えば、スペードのエース)の表示が、ブロック502での模擬ランダムテストトライアルイベントを表す。この例では、例えば正しいキーボードキー又はマウスボタンをハイライト表示又は他の方法で強調することが、テストトライアルイベントに対する正しい応答入力の指示となり(ブロック503)、この例では、「H」キー(一例)がキーボードのイメージ中でハイライト表示され、黒のカードが表示されたときに「H」キーを押すことが適切な応答であることを示す。
決定ブロック504によって表されるように、指導フェーズには反復ループが含まれ、可能性のあるテストトライアルイベントの全て及びそれぞれの適切な応答がシミュレートされ例示されるまでテストシミュレーションを繰り返す(ブロック502、503)。上記の例に戻れば、二度目の反復は赤のカード(例えば、ハートのクイーン)を表示する。このような赤のカード表示とともに、テストシミュレータは「A」キー(一例)をキーボードのイメージ中でハイライト表示し、赤のカードが表示されたときの正しい応答を例示する。
上述のように、タスクシミュレーションを通しての指導強化は、各タイプのテストトライアルイベントが所定回数シミュレートされるまで続く。赤と黒のカードによるテストでは、例えば、黒のカードについて反復が一度、赤のカードについて反復が一度だけだと指導内容が明瞭でないことがある。十分な反復を通しての強化がテストのルールを確固たるものとし、選択されたテストについてのプロトコルの理解を促す。
ブロック505では指導は完了しており、実行されるテストが初期化される。各テスト動作の制御(図4A)は、例えばブロック415へと進み、一方、複数テストシーケンスの制御(図4B)はブロック425へと進む。以下により詳細に説明する実施例では、テストトライアルイベントに対する正しい応答の説明又は指示が、テストフェーズの少なくとも一部期間中、すなわち所定回数の正しい応答が記録されるまで与えられる。
図6は、テストの実行方法の一実施例の一般動作を例示する簡略化したフローチャートである。当然ながら、図6に例示されるような方法は図4Bのテストフェーズ(ブロック425)へと組み込むことが可能である。ブロック601でのテストの初期化及びスタート配置図の表示に続いて、選択されたテストが実行される。図3を参照して先に詳細に述べたように、テストの初期化及び実行は、テストエグゼキュータを含むテストモジュールによって行われるものであり、この両者はソフトウエアコード又は他のコンピュータ実行可能命令を有する。
ブロック601で表示されたスタート配置図は、個々のテストトライアルを具体化するアイテム又は刺激(例えば、トランプ、ドミノ等)の構成を例示する。さらに、テストトライアルへの正しい応答の指示もスタート配置図表示中に含まれる。上記したように、テストトライアルに対する正しい応答の説明又は指示は、テストフェーズの少なくとも一部期間中与えられるものであり、実施例によってはこうしたプロンプティング、すなわち正しい応答の指示が所定回数の正しい応答が入力されるまで続く。
したがって決定ブロック661に示されるように、テストの実行方法は、正しい応答の数をモニタし、その数と、実施中の特定のテストのプロトコルにより規定された所定の閾値とを比較するものである。正しい応答の閾値数は、例えば連続しての正しい応答に基づくもの、あるいは、誤った応答の介在のいかんを問わず単純に正しい応答の総数に基づくものである。
他の実施例では、決定ブロック661における正しい応答の評価が、例えば、正しい応答の例示又はシミュレーションが所定のあるいはランダムな期間後に終了するよう、タイマによって取って代わられている。
図6の実施例では、正しい応答の閾値数に達していないという判定が、さらなる指導が必要であることを示すものであると解釈され、よってテスト手順は611へと移る。応答を要求するテストトライアルは、応答に必要な入力装置のグラフィカルな又はそれ以外の表現とともにブロック611で表示される。ブロック612ではテストトライアルイベントに対する正しい応答を指示する視覚的手掛かりも与えられ、この視覚的手掛かりは指導フェーズ中に与えられたものと同様なものとできる。上記したように、611で表示されるテストトライアルイベントに対する視覚的指導手掛かりは、入力装置を表現したものの上での正しい入力機構(例えば、キーボードキー、マウスボタン等)のハイライト表示、あるいはそれ以外の方法での特定、からなる。
テストトライアルイベントへの応答は関連情報とともにブロック613で記録される。図6の実施例に示すように、反応時間が応答とともに記録され、関連反応時間とともに正しい応答及び誤った応答がコンパイルされ、必要に応じて一緒にあるいは別々に分析される。
記録された応答の適切性に関する視覚的表示は、ブロック614に示すようにフィードバックの形でもたらされる。ある実施例では、音声又は他の知覚可能な手掛かりが視覚フィードバックに伴うか、あるいはこれに取って代わる。テストプロトコルのこの部分では、テスト対象者によるテストのルール及び手順の理解達成が一目標であり、よってブロック614での動作が、正しい応答を理解させ且つ誤った入力を阻むのに十分なフィードバックを与える。
正しい応答の閾値数に達したあるいはこれを越えたとの判定は、さらなる指導が不要であることを示すものであると解釈され、よってテスト手順はブロック621へと移る。フローチャートに示すように、ブロック621では応答を要求するテストトライアルが表示されるが、テストのこの期間中は正しい入力応答を表す視覚的手掛かり又は指導が省略される。
ブロック622では、テストトライアルイベントに対する応答が、例えば反応時間等の関連情報とともに記録される。
決定ブロック662では、テスト対象者が誤った応答を相当数入力したとの判定が、さらなる指導が必要であることを示すものであると解釈される。よって、誤った応答があまりに多いと、テストに割り当てられた、すなわち許された時間が残っている場合(決定ブロック663で判定)、テスト手順はブロック611へと戻ることになる。決定ブロック662での評価は、例えば連続しての誤った応答に基づくもの、あるいは、正しい応答の介在のいかんを問わず単純に誤った応答の総数に基づくものであり、決定ブロック661での判定と同じく、ブロック662で測定された誤った応答の閾値数はテストプロトコルの関数である。
誤った応答の閾値数に達していない場合、図6の実施例によるテスト実施方法は、決定ブロック664でテストが完了しているかどうかを判定する。テストプロトコルに基づき、あるテストの完了は、例えば正しい応答の閾値数又はパーセンテージの記録を要求、あるいは所定数のテストトライアルを要求する。テストが完了していない場合、テストに割り当てられた時間が残っている場合(決定ブロック665で判定)、テスト手順はブロック621に戻って次のテストトライアルを表示する。
テストが完了又は時間切れとなると、例えば、応答データ及び関連情報がブロック631で示すようにコンパイルされ、テストが終了する(ブロック699)。複数テストのシーケンス又は群が図4Bに例示した実施例でのように実施されているときは、例えばテスト手順は決定ブロック426へと進む。
当然ながら、図6に例示された方法の単一テストの実施例において、様々な代案及び変更が本開示の範囲内及び予想内に含まれる。例えば、ブロック631での結果コンパイルが例えば連続処理であって、ブロック613、622での応答データ及び他の情報の記録中に行われるものであってもよい。さらに、応答データ及び関連情報の分析及び伝送がブロック699でのテスト終了の前あるいは後に行われるものであってもよい。
図7は、トライアルのスケジュール(time line)の一実施例を例示する略図である。図7の一例としてのトライアルスケジュールに描かれた種々のイベントは、例えば図6のブロック611〜614又はブロック621及び622に例示されたそれぞれの動作に関連するものである。
なお、上述したようなテストエグゼキュータは、図7に示すようなテストトライアルを構築するためのテストトライアルアルゴリズムを用いる。テストトライアルの基礎となるアルゴリズムは十分に柔軟で、異なるテストパラダイム及びプロトコルを受け入れ可能であり、よって図7の実施例は、多種多様な刺激表示及びテスト要求を満足できるテストトライアルを作る。
図4〜6を参照して上述したように、テストは概して複数のトライアルからなり、そのそれぞれが構成要素からなるもので、異なる構成要素はトライアルスケジュールにおける異なるステージで使用中となる。トライアルセッティング又はプロファイルデータレコードは、一つ又はそれ以上のトライアルスケジュール基準に関連した情報を記憶するもので、こうしたセッティング又はプロファイルデータは、図3を参照して例示し先に説明したデータ記憶媒体328に保持される。このデータは上述のテストエグゼキュータ又はトライアル構造アルゴリズムがアクセス可能である。
例えば、テストエグゼキュータで実施されたトライアルエンジン又はトライアル構造アルゴリズムはブールフラグをモニタしてスケジュールのどの部分に到達したかを判断する。時限区間が経過すなわち特定の時間視野(time horizon)に達すると、対応する関数又はソフトウエア手続きが開始され、テストエグゼキュータに、適切且つテストプロトコルに一致した実施詳細を決定可能とする。
トライアルの開始(図7ではtで表す)から測った特定の区間は全トライアルで一定であるが、こうした各区間の持続時間はテストプロトコル及び他の要因により変化する。
固定の刺激間区間(ISI)は、tとトライアル刺激の開始(刺激開始)の間の固定期間を表し、この固定ISIは、一つのテストの特定の管理下にある全トライアルを通して一定(すなわち「固定」)である。この固定ISIの値又は持続時間は、当然ながら、テスト間あるいは同一テストでも異なる管理間では異なるものとできる。
最短反応時間(RT)フィルタを導入し、有効応答が記録され得る最早時間を全般的に制限、すなわちこの最短RTよりも先に検知された応答入力を「先行反応」とし、無視することができる。例えば刺激開始前に受け取った入力は、こうした入力はどれも明らかにテストトライアルイベントに応答したものではないため、先行するものである。テスト結果又はデータ分析からこうした応答を無視又は排除する代わりに、先行反応が病気や他の認知機能障害を潜在的に示すものであると考えることもでき、この場合、後の分析のために全てのキー操作あるいは失敗したトライアルイベントを記録することもできる。
反応時間は刺激開始から有効な応答の検知までで計測されるが、上記のように、テストトライアルへの反応時間は、認知機能に関する重要なデータをもたらす。図7の実施例では、テストトライアルの最長持続時間が切れていない場合に反応時間が測定される。
刺激持続時間は刺激開始から刺激終了までで計測される。例えば図7に例示したような実施例においては、刺激持続時間は固定すなわち所定の期間であり、よって刺激持続時間は、そのテストトライアルにおける反応時間とは無関係に、一つのテストの特定の管理下にある全トライアルを通して一定である。あるいは、テスト設計及びプロトコルに基づいて刺激持続時間が変更され、反応時間に応じて全体的に変化してもよい。
とりわけ、一つのトライアルにおける刺激終了は、反応の時間と一致していてもよいし、あるいはそのすぐ後であってもよく、よって図7に例示の刺激持続時間は、反応時間と実質的に等しい。さらに例えば、あるテストプロトコルに従えば、トライアル刺激が終了次第フィードバックを始めてもよく、すなわちフィードバック開始は刺激終了と一致していてもよいし、あるいはそのすぐ後であってもよく、これもまた応答入力と一致可能である。応答の記録とフィードバックの開始の間の遅延期間を圧縮することで、こうしたテストトライアルスケジュール構造は所与の期間に可能なトライアルの数を増やすことができること、それに加え、あるいはそれに代わり、図7に例示の遅延時間の圧縮は所与のテストの全持続時間を短縮可能であることは、当業者であれば理解できるものである。
さらに、フィードバック持続時間が図7に示され上述されているが、当然ながら、テスト手順によってはトライアルスケジュールのフィードバック部分を必要としないものもある。例えば、図6のブロック621、622を参照して例示し先に説明したテスト動作は、設計によりフィードバックを省略しており、よって、こうした場合のテストトライアルのフィードバック持続時間はゼロにセットされる。
ランダムな刺激間区間(ISI)は、フィードバック(もしあれば)の終了からトライアルの終了までで測定され、ランダムISIのランダム性はテスト次第又はトライアル次第である。例えばある場合、一つのテストの全トライアルに関しランダムISIは同一であるが、ただしその値はテストの開始時にランダムに選択され、あるいは、一つのテスト中の個々のトライアルに対してそれぞれランダムに、ランダムISIが選択又は決定される。ランダムISIの持続時間は実行時間で決定され、ゼロから所定の最長持続時間(例えば、1000ms)の間で変化する。
各トライアルは最長トライアル持続時間に制限され、これはtからトライアル終了までの最長経過許可時間として規定される。
ある実施例のトライアルスケジュールでは、応答入力はトライアル中であればいつでも受け取り可能である。上述のように最短RTよりも早い入力は、先行扱いの応答になる。刺激開始の後で且つ最長トライアル時間よりも前に発生した入力については、有効反応時間が記録され、もしもこうした入力がフィードバック開始の後に起きた場合は、応答は全て「フィードバック後」として扱われ、これはテスト結果がコンパイルされ分析される際の解釈に影響を及ぼす。図7に例示される原理に基づき動作するある実施例では、先行する応答及びフィードバック後の応答が複数計測され得るが、反応時間は一つしか記録されない。
上記のように、刺激開始とフィードバック開始の間の経過時間は非固定であるが、これはこの持続時間が応答入力の時間及びその有無次第であるためである。図7のトライアルの総持続時間は、最長トライアル時間よりも長くないことが保証されており、当然ながらトライアルは、反応時間、フィードバック持続時間(なければゼロ)、そして固定及びランダムISIの総和程度の短さである。間隔はテストエグゼキュータ又はテストトライアルアルゴリズムによりそのいずれか又はその全てがゼロにセット可能であるが、もし全てがゼロ又は人間の知覚の最小閾値より小さいものとしてセットされると、トライアルの発生が早すぎて役に立たなくなる。様々な目標及びテスト目的が、図7の実施例にとって適切な間隔を決定付ける。
図8は、心理診断法の一実施例の一般動作を例示する簡略化したフローチャートである。当然のことだが、テストシーケンスの特定(ブロック801)、テストシーケンス中の個別のテストに関する指導及びテスト(それぞれブロック802及び803)、テスト結果のコンパイル(ブロック805)、テストデータ及び関連情報の分析(ブロック806)の諸動作は概ね、図4Bを参照して例示し先に詳細に説明したテスト実施例に対応するものである。決定ブロック804及びブロック802へのループバックは複数の別個のテスト手順からなるテスト群又はシーケンスの反復性を表す。
決定ブロック807では、先のテスト結果がこのテスト対象者に関して得られたものであるかどうか、図8の方法が判定する。もし現テストシーケンスが、このようなテスト群としてそのテスト対象者により完遂された最初のものであれば、診断手順はブロック821へと進み、ここでは応答データ、結果、関連情報が記録される。こうしたデータは、例えば媒体328又はその他のアクセス可能なデータ記憶媒体に保持されたデータベースに一つ又はそれ以上のデータ記録として記憶される。あるテスト対象者により完遂された最初のテストシーケンスからの参照データの記録は、同じ個人により完遂された連続するテストシーケンス中に得られたさらなるテスト結果との後の比較を容易とする。さらに、最初のテストシーケンス中に集められたデータ及び情報のいくつか又はその全てを、標準集団データセットを作成又は補強するのに用いることもできる。
ブロック822に示すように、最初のテストシーケンスを介して得られた参照データは標準又は指標データと比較され、この比較が診断上の推定に用いられる。当然ながら、標準又は指標データセットは、あるカテゴリーに入る、すなわち特定のプロファイル基準を満たすテスト対象者にとって、平均的な、予想される、「ノーマル」な、すなわち、普通のテスト結果を表すものである。他にも要因はあるが、年齢、性別、教育水準、記録された頭部外傷、処方薬又は気晴らし用の麻薬の常用、様々な性格特性、等がすべて、図8の実施例で予期されるように、こうした標準データセットの構築及び適用に影響を与える。上記したように、あるテスト対象者に関する参照データセットは、診断及び一般的評価のために記録された標準データと比較される。
当然ながら、ブロック821、822に例示された動作は実質的に同時に行われ、例えば、各応答データがメモリに書き込まれる際に標準データセットからの対応する記録との比較がなされる。あるいは、ブロック822での比較がブロック821での記録に先んじて行われてもよい。
例えば、以前のテストシーケンス結果が特定のテスト対象者についての参照データとして記憶されている場合、診断手続きがブロック831に示すように連続する。この例では、現テストシーケンス(例えば、ブロック801〜806)からの応答データ、結果、及び他の情報が、もっと早い時間又は段階で記録された参照データと比較される。ある実施例では、後の比較に使用される参照データセットが最近のテストシーケンス中に得られた応答データ及び結果によって(ブロック832で示すように)アップデートされる。ブロック833に示すように、上記比較は、テストプロトコル及び診断パラダイムに従い、認知機能障害又は病気の診断を容易ならしめる。
ブロック822及び831での比較動作に加え、あるいはそれに代わり、応答データ及びテストシーケンス結果は、最初の又はさらなる分析のために、ブロック899に示すようにリモート装置へと伝送される。診断手続き及びデータ操作がブロック822、831及び833で表すように実行された場合、その結果生じた全データ又は診断に関連するその他の比較情報もまたブロック899でリモート装置へと伝送される。ローカルデータ処理及び分散処理のためのデータ伝送の相対的重視は、先により詳細に述べたように、システムハードウエア構成、ネットワーク帯域幅、及びその他の要因に主に基づくものである。
図9は、治療法の有効性を確かめる方法の一実施例の一般動作を例示する簡略化したフローチャートである。ブロック911〜913で例示する動作は概ね、上述の種類に対応している。図9の実施例では、一つ又はそれ以上のテストシーケンス結果が、テストシーケンスデータと標準テストデータセットもしくは先に得た参照データセットとの比較に基づき認知機能障害が現れているか否かを判定する(ブロック914)ものであり、ある実施例では、ブロック913での比較が、例えば図8を参照して先に説明した比較と同様である。応答データ、テスト結果、及び中間診断情報は、最初の又はさらなる分析のために、例えば専用コンピュータサーバ又はワークステーション等のリモート装置へと(998に示すように)伝送され、決定ブロック914での判定を容易とする。
機能認知障害が現れていない場合、図9の実施例は適切な期間(ブロック915)の後、ブロック911へと戻る。例えば6〜18ヶ月の期間が、図9の頂部に例示されるようにテストシーケンスの実施間に経過するもので、ブロック915の待機期間は特定のテスト対象者の要求に合致するようカスタマイズされたもので、認知機能障害、認知機能の現在の状態、家族歴、等に関する特有の危険因子の相関関係によるものである。例えばある実施例では、テストシーケンスは上記の6〜18ヶ月間隔よりも頻繁に実施されるもので、とりわけ前記因子のいくつか又は全てに基づき、毎月、毎週、ある状況下では毎日、一つ又はそれ以上のテストシーケンスを実施することが有益又は望ましい。
決定ブロック914で認知機能障害が現れた場合、治療の有効性を確かめる方法はテスト対象者の治療を含むものであり、よって、ブロック921に示すように治療が実施される。様々なタイプの認知機能障害又は機能不全に対する治療の、様々なタイプ及び方法については既に述べてある。治療法が完了後もしくはその少なくとも一部が経過した後、さらなるテストシーケンスがブロック922に示すように完遂される。
さらなるテスト(ブロック922)、テスト結果と標準又は参照データセットとの比較(ブロック923)、そして比較結果の診断分析(ブロック924)は、図4B及び図8を参照して先に詳述した諸動作に概ね対応している。最近のテスト結果と標準又は参照データセットとの比較は、ブロック925に示すように治療の有効性に関する指標をもたらす。
認知機能障害は徐々に衰弱するように進行するものであると当該分野では一般に認められている。ブロック925での分析は、対照グループデータ又は他の共通基準に対する認知機能の低下率を測定しようとするものである。例えば、ブロック921での治療中又は治療後において認知機能低下が予想より緩やかであることは、成功した又は有効な治療法に関するものであり、一方、認知機能の低下率が通常あるいは上昇するものは、効果の薄い治療であることを示す。ブロック925での測定ならびにブロック914での認知機能障害の初期診断には無数の因子が影響を及ぼすことは、当業者であれば理解できるものである。本開示は、決定ブロック914又はブロック925で説明した経験的、実験的、臨床的、あるいは他のいかなる診断方法によっても限定されるものではなく、ブロック921で実施される治療もまた、いかなる限定的意味にも解釈されるものではない。
図9に例示された認知治療の有効性の典型的評価方法は、適切な間隔(ブロック926)の後ブロック921へと戻る。例えば、テストシーケンス実行の間には6〜18ヶ月の期間が経過する。あるいは、例えば数時間又は丸一日のコース中の20分毎にテストシーケンスが実行されるものであってもよい。ブロック926での待機期間は特定のテスト対象者の要求に応じてカスタマイズされたもので、以下の因子:家族歴、認知機能障害に関する特定の危険因子、認知機能障害の現在の状態、診断された認知機能低下率、治療法の一般的持続時間及びリハビリテーション時間、等の幾つか又は全ての相関関係によるものである。上記リストはブロック926で示される期間に影響を及ぼし得る幾つかの因子を挙げたものだが、このリストは完全なものを意図したものではない。
当然ながら、本方法の実施例に関しては様々な代案及び変更が実施可能であり、各ブロックの現在の並びは、他の可能性を除外する動作の特定の順序を意味するものではない。特定用途及び全システム要求が、図4〜6、8、9に示した動作の最も効率のよい又は望ましいシーケンスを決定する。
前記実施例が、ADの前駆段階において予想される種類の極めて初期の認知機能低下に対する初期診断及び治療モニタを容易ならしめることは、当業者であれば理解できるものである。以下の記載においては、こうした初期状態の認知機能低下、すなわち症状発現前の状態を、微小進行性認識機能障害(MPCI)と称する。ここに記載の認知機能障害のテストシステム及び方法は、MPCIの進行を検知しモニタすることに適合されたコンピュータ認知機能スクリーニング装置及び方法をもたらすものである。
以下の記載がAD及びその同類への限定を意図したものでないことは極めて明らかであり、早期発見の原理は進行性認識機能障害と関連した全ての状態へと等しく当てはまり、これは前頭側頭型痴呆、非定型痴呆、HIV痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、薬物乱用による中毒、及び薬物副作用、を含むがこれに限定されるものでもない。さらに、図1〜9を参照して例示し先に説明したシステム、装置、及び方法を用いて異常が検知された場合、異常なテスト結果の一つ又はそれ以上の具体的原因を特定するためにさらなる調査が必要となる。
実施例によっては、同等な選択的形式を用いることで図4〜9に例示のテストを反復可能なものとしてもよい。よってテストは、テスト対象者の相関能力のみに基づいたパフォーマンスを容易に最高ならしめる。スピード及び応答の正確性の生理的限界を超えた向上は有り得ないため、パフォーマンスの向上は、テスト実行に関する対象者の能力のみを反映したものである。すなわち、以下に述べる典型的テストは、テストトライアルイベントへの応答手順の習熟度に基づいてそのテスト対象者がパフォーマンス向上の戦略を練り上げてしまわないように作られている。
上記したように、意思決定、集中、問題解決技術、ならびにその顕著な低下は、認知機能障害のさらなる指標となる。さらに、標準的あるいは一般的形式(例えば、トランプ等)を有するテスト群は、テスト形式の違いに起因する潜在的偏向を排除もしくは減少しながら認知機能の諸相を評価するように作られており、逆に言えば、もし様々な形式のテストが一つのテストシーケンス内にあると、その群の個々のテストの形式における相違により、結果に偏向又は例外が生じる。
さらに、ここで説明する認知機能障害のテストシステム及び方法は、例えば語学力等の文化教養的影響をテスト結果から排除した又は大幅に低下させたテスト又はテスト群を容易ならしめる。先に詳述したように、テスト実行に関する指導又は指示は、実例又はテストシミュレーションにより行われ、言語ベースの指導を必要としない。あるいは言語ベースの指導を少なくとも図5に例示したような指導フェーズ中に随意に行ってもよく、こうした口頭もしくは書き言葉による指導はテスト成績及び結果に最初影響を及ぼすものの、最適化(すなわち、対象者がテストのルール、プロトコル、及び手順に完全に精通する)まで対象者に再テストを許すことで、言語障壁、誤伝達、又は誤解に起因する負の残留効果を排除又は実質的に減少することができる。
上述の様々な方法は、認知機能障害を認定又は診断された対象者の状態のモニタを容易とするもので、とりわけ重要なことには、再テストが対象者の認知機能の低下率又は向上率を正確に測定可能とするものである。ここで、認知機能障害に対する治療法の有効性は、図9を参照して先に説明したように評価及びモニタされる。典型的実施例に基づいて発展させた方法を、症状発現前の認知機能障害の治療又は防止のための薬と考えられているものの選別に利用可能である。認識機能障害と診断された患者に適切な治療計画のもとで候補薬を投与し、その後再テストを受けさせるもので、先に述べたように認知機能障害のテストシステム及び方法は、低下率が下がったか、停止したか、それとも逆になったかを突き止めることができる。
MPCIの説明
先に簡単に述べたように、MPCIは前駆すなわち臨床前の症状と位置づけられるもので、ここで用いられるとき、MPCIは概して以下の臨床基準を特徴とする:
患者又はテスト対象者は、認知機能上の顕著な症状は何も示していない;
患者又はテスト対象者は、日常生活活動において機能的に他に依存するものではない;
患者又はテスト対象者と親しい情報提供者から、認知機能上の目立った問題の報告はなく、ここで各情報提供者は、テスト対象者の現在の障害又は将来的な低下の危険性について気付いていてもいなくてもよい;
単一テスト式で行った場合はどれでも、客観的認知機能テストでのテスト対象者のパフォーマンスが概ねノーマルな範囲に収まる(すなわち、横断的評価を用いた場合、パフォーマンスがノーマルな対象者と区別できない);及び
テスト対象者は、ここに説明のシステム及び方法を用いた逐次テストで進行性の悪化を示す。
先に述べたように、テスト群は、複数だが等価な選択的形式を有する。本システム及び方法の要素である情報提供式心理テストは少なくとも以下の関連特性を有する:
客観的パフォーマンスに基づくスピード及び正確性の測定;
テスト全体にわたる刺激の等価性、例えば、ゲームの道具(トランプ、ドミノ、サイコロ、チェス駒、等)といった見慣れた刺激の有限集合からの標本;
前記利用可能な刺激の集合内からのランダムな刺激選択;
統計的検出力を大きくするための各タスク内での刺激の多重実施;
応答の最適化を促進する戦略依存(strategy-dependent)練習効果が極小もしくは皆無;及び
例えば、単純及び複雑な注意(simple and complex attention)、記憶、適応問題解決、を含んだ認知機能分野の広範囲なサンプリング。
上記テスト特性は、認知能力の確実な連続的評価を容易ならしめ、個々の要因又はテスト関連要因による結果異常すなわち例外を最低限に抑えることができる。変化の確実な検知は、神経生理学的能力によってのみ制限される最適な個人能力の影響を受ける。よって、以下に説明する典型的テストは、各テストセッションで対象者が能力を最適化できるように各再考セッションで十分な練習機会を与えるものとされている。
従来型の神経生理学的テストでは、標準データ範囲との比較に基づいた能力の正常度についての推定を、著しい評価前練習すなわち能力最適化が無効としてしまうものであり、こうした従来型の神経生理学的テストは一度のみ実施されるものとして作られている。
上述のMPCIの特徴の一つは、その状態を特定できるのが、連続的テストが進行性の低下を認知機能の一つ又はそれ以上において示したときだけ、ということである。微妙な変化はさらに、例えば同日に、あるいは数週間又は数ヶ月空けて行われる複数回の観察の後にだけ認識可能である。認知機能障害のない人々において、連続的能力測定は、正規スコア分布の平均値への逆戻りである。全ての人々にとってこのように、正常な能力の反復は、その人が誤って障害者と分類される危険性を著しく減少させる(すなわち、偽陽性診断又は第一種の過誤)。上述の特性を有するテストは、ノーマルな人をアブノーマルな人から区別するために同日のテスト反復すら許容する。連続的評価もまた、個人の変動性内での信頼性の高いMPCIの推測を可能とするものである。
MPCIの検知
以下の検討は、非常に緩やかな認知機能低下の検知における、本システム及び方法の実際的使用の例を示すものである。当該分野で一般的に知られるように、現在の概念化では軽度認識障害(MCI)を進行性の認知機能低下とみなし、一方、加齢による記憶障害(AAMI)は一般に、アブノーマルではあるが急激な低下はほとんどなく静的ですらある認知機能障害とみなされている。はっきりした認知機能障害としてはAAMIが実際には存在しないことは当業者であれば理解できるものであり、とりわけ、AAMIの特徴と一般に理解されているものは、先に概説した連続的評価に関するそれ自体の限定を考慮に入れない昔ながらの神経心理学的方法に基づくものである。したがって、AAMIが実際には、全くの認知機能低下を被っていないノーマルな対象者と実際に衰えつつあるMPCI対象者の混ざったものを表しているということが起こり得る。
認知機能評価は、認知の機能的障害が疑われるようになってから行われる。先に述べたように、MPCIは連続的テストによってのみ検知可能な症状発現前の低下として規定されている。
評価では、MCI又はAAMIである人間は、境界域アブノーマル範囲である程度のパフォーマンスを示すものと思われる。しかしこの一度の評価に基づいてでは、アブノーマルなパフォーマンスがMCI、AAMIのどちらを反映したものか判定できない。さらに、神経心理学的テスト装置及び技術の大半の信頼性が低いことを考えると、境界域アブノーマルパフォーマンスもまたエラーとみなされかねない。よってこうした一度の評価に基づくとき、臨床医は一般的に、パフォーマンスが曖昧であり再評価を後日、例えば6又は12ヶ月後に行うようアドバイスする。もしその人間が実際に認知機能障害を抱えていると、それが低下傾向にあるにせよ静止しているにせよ、患者管理のプランニング又は病気の進行を防ぐための薬物療法の実施という点から見て、テストの合間は時間の浪費を意味する。
前述の実施例に従い、認知機能の低下に関する決定を左右するための、伝統的な神経生理学的テストの特質上不十分な能力を、以下によって修正する:
(1)認知能力を評価するために用いられるテストの信頼性を高める。
これは、個人が健康である場合の偽陽性分類を最低限に抑えるとともに、個人が実際にアブノーマルな認知能力で苦しんでいる場合の偽陰性分類を最低限に抑える。テストパフォーマンスに対する練習効果をテスト方法論及びプロトコルにより排除もしくは実質的に減少できるなら、信頼性の向上はテストの反復により達成可能である。テストの反復実施の戦略それだけでは、MPCIがMCI、AAMI(AAMIが存在すればだが)のどちらを原因としているのか識別できない。
(2)認知機能の定期的予想評価。
これは、認知機能の障害の当初水準又は相対的安定性とは無関係に、認知機能が実際に低下傾向にあるかどうかの正確な判定を可能とする。顕著な認知機能低下の客観的証拠は、MPCIがMCIへとつながることを示唆し、一方非常に緩やかに低下する又は静止した、しかし損傷を受けてもいる能力は、AAMIを示唆し、あるいはもしかしてそれを反証する。
(3)記憶障害が疑われる以前からの客観的データの利用可能性。
これは、現在及び以前の評価又はテストデータ及び結果の統計学的比較を可能とし、こうした統計学的データ及び比較結果は、異常性及び悪化率に関する判定を容易とする。
重要なことは、仮に評価中のテストシーケンス又は群内の所与のテストに対するその個人のパフォーマンスが通常の範囲に納まるものであっても、MPCI又はMCIが識別可能であるということである。認知能力の長期間にわたる確実な顕著な低下からは異常性が推測できる。認知テストが複式又は反復テストセッションを許容する場合、その個人がMCIに関する臨床基準を満たす以前であっても認知機能低下の検知が可能であり、これがMPCIシンドロームである。
テストプロトコル
図1〜3を参照して先に詳述したように、テスト装置は概して、コンピュータハードウエアとプログラムソフトウエア又は他のコンピュータ実行可能命令とからなり、コンピュータワークステーション、パーソナルラップトップ、ポータブルコンピュータ、等に具体化されるものであり、装置はさらに、モニタ又はディスプレイ及びキーボードやマウス等の一つ又はそれ以上の入力装置を含むかあるいはこれらに接続されている。当然ながら、実施例によっては、入力及び出力機能が例えばタッチセンシティブスクリーン等の単一装置に統合されているものであってもよい。コンピュータ実行可能命令は装置にプリインストールされてもよいし、あるいは、例えばJava(登録商標)アプレットの形式でインターネット等のネットワークからダウンロードされてもよい。
図4、5を参照して先に詳述したように、対象者テスト方法は指導を行い、様々なテストトライアルイベントのシミュレーションをモニタ又はディスプレイ上に表示し、さらにシミュレートされた各テストトライアルイベントへの適切な応答の指示を表示し、対象者はシミュレーションを観察することでテスト実行の方法を学ぶ。
例示した実施例のうち、図3に描いたような装置は一度に一人の対象者しかテストできない。所与のテストは約15〜20分間続くように作成され実施される。テスト又はテストシーケンスは、例えばディスプレイ上の関連アプリケーションアイコンを選択することにより開始される。
図10は、認知機能のテストシステム及び方法に関連して用いられるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の一実施例を例示する略図である。ダイアログボックス1000は操作可能なアイコン又はボタン1010を有し、これはプログラムアプリケーションが初期化されたときに利用可能なオプションを示す。当然ながら、ダイアログボックス1000は単なる一例としてあげたものであり、システム要求及び求められる機能特性に基づいて、利用可能なオプションの表示ならびにオプションそれ自体へと変化及び変更を加えることが可能である。
典型的な図10の実施例において、オプションには、新規テストの開始(「新規テスト…」1011)、これまでに少なくとも一度テストを受けたことのある対象者の再テスト(「再テスト…」1012)、ヘルプ情報の閲覧(「ヘルプ…」1013)、分析のために完了テスト結果の伝送(「メールテスト…」1014)、プログラムセッティング又はパラメータの調整(「セッティング…」1015)、あるいは、即座のプログラム終了(「終了」1016)が含まれる。コンピュータインターフェースの分野で一般的に知られるように、ダイアログボックス1000に表したアイテムはメニューにも対応するものがあり、これを選択することでダイアログボックス1000とのインタラクション無しに同様もしくは同等な働きを行い得る。
各ユーザ又はテスト対象者には、個人情報又は特徴的プロフィール情報に関する一つ又はそれ以上のデータ記録(例えば、図3のデータ媒体328に記憶されている)が与えられている。当該技術分野で一般的に知られるところの標準的「セーブファイル」ダイアログボックスが、関連、要求、あるいは必須のプロフィールデータのエントリを促す。プロフィールデータ記録に記憶される情報は以下、名前又はその他の何らかの識別子、肩書き、会社名、自宅又は職場住所、電話番号、Eメールアドレスあるいはその他の連絡情報、生年、等のうちの幾つか、あるいはその全てを含むが、これに限定されるものではない。さらに、対象者によってもたらされプロフィールデータとして記憶された特徴的情報がテスト方法、テストデータ及び結果の分析、又はその両方に影響を及ぼす。こうした情報は以下、性別、利き手、教育レベル、等のうちの幾つか、あるいはその全てを含む。テストを管理する会社又は事務所によって課せられる全システム要求又は制度上の規則に基づき、特定のフィールドが必須となり得る。
実施例によっては、パスワード保護、暗号化技術、あるいは個人情報の機密保持を保証するためのその他の手段を用いることがふさわしい。テスト応答データ及び関連情報(例えば、反応時間、時間に関して測定した正確性の傾向、等)が、対象者にはアクセス不可のログもしくはメモリの他のブロックに記録される。適切なテストデータ記録技術は当業者には明らかであって、ここでさらに詳しく説明することはしない。
複数の一般的又は全体的(すなわち、テスト別ではない)指導を含んだ指導導入画面は、テスト方法の概要、及びテスト実施中に期待される適切な応答の指示を提供するが、この導入画面は個々のテストをどのように行うべきかについては説明せず、なぜならば各テストのシミュレーション中にそうしたテスト別の説明が得られるためである。
先に詳述したように、テストシーケンス又は群における各テストは概ね二つの別個のフェーズ:その間に対象者へとテストが例示されるシミュレーション又は指導フェーズ;その間にシミュレーション中に与えられたルールに従い対象者がテストを行うテストフェーズ、からなる。以下の例では各テストが視覚刺激として仮想トランプの表示を伴うが、先に述べたように、本開示はそれに限定されるものではない。
トランプは概して非文化教養的(acultural)でありまた様々なレベルの情報を含んでいるため、認知機能のテストシステム及び方法に関連して用いるには、トランプがとりわけ適切な刺激である。典型的なテストには、ディスプレイ上のトランプを様々に提示あるいは配列することが含まれるが、これは一つには評価対象となっている認知力の諸相に基づくものである。
図11は、認知機能のテストシステム及び方法によって表示されたスタート配置図を例示する略図である。
シミュレーションフェーズ(図5)の間、スタート配置図表示1100には、手1122が上に乗ったキーボード1121の表示が含まれている。いくつかのテストプロトコルに従い、テスト又はシミュレーションフェーズの一部分中、応答メータ1130は応答スピードに関しフィードバックを行う。この典型的テストのシミュレーションフェーズには、カード1140を特定の方法で表示し、テストトライアルイベントに対してテスト対象者がどのように応答することを求められているかを指示することが含まれており、ここでキーボード表示の関連箇所がハイライト表示され正しい応答を示す。応答メータ1130はユーザが十分な早さで応答しているかどうかをさらに指示するもので、全体的には、例えば時計文字盤、砂時計、目盛盤、計量器、等の当該技術分野で公知の様々な形態に具体化可能である。
一般的には、裏向きの一つ又はそれ以上のカードデッキ1141がコンピュータモニタのディスプレイ中央に現れる。時間内のある時点(刺激スタート、例えば図7参照)において、一枚又はそれ以上のカード1142が、デッキの上又は傍らで表が上になるように反転する。先に詳述したように各カードは、例えばキーボードのキーの一つを押すといった特定の応答、すなわちテスト対象者側の行動を要求する。テスト対象者の利き手あるいは他の要因によっては、例えば別のキーを「当たり」又は「外れ」とすることも可能であり、実施例によっては、利き手が確実に「当たり」状態の応答に使われるようキーを選択することも可能である。もしテストプロトコル及び評価対象の認知能力に関して適切であるなら、(例えば、二つ又は三つより多くの)たくさんのキーとのインタラクションを必要とする、より複雑なテストを考案してもよい。
上記したように、キーボード1121の表示は指導フェーズ中に現れるものだが、こうした表示はさらにまた、誤った応答が継続的に連続した後に再度現れてもよい。さらに、一つにはその応答が正しいか誤っているかに基づき、視覚フィードバックが変化するものであってもよく、例えば、正しい応答に対しては誤った応答に対するものとは異なった様式で、カード1142がデッキ1141へと戻る、あるいはそこに差し戻されるものとして描かれるものであってもよい。あるテスト実施例では、誤った応答には音が出るようにしてもよい。
以下のテストプロトコルは単なる一例としてであって、限定のために挙げたものではない。様々な変更及び改変が本開示の範囲内及び予想内に含まれることは、当業者であれば理解できるものである。
1.キーボードキーテスト
目的:キーボードを用い、応答の正確性及びスピードに関して対象者を訓練する。
応答入力に使用されるキーが赤で縁取りされた状態でキーボード及び応答メータが現れるもので、種々のキーを組み合せて用意に使用可能である。これらのキーはまず連続的に二度点滅してそこへと注意を惹き付け、次に手1122が現れ、正しい手の位置へとスライドする。そして特定のキーが順不同にハイライト表示される。対象者はできるだけ早くハイライト表示されたキーを押すことを求められる。キーは、1500〜1700ms毎にハイライト表示される。応答メータ1130に関連したグラフィクス1131が一定速度で上昇し、ユーザが応答すべきであることを知らせる。応答メータ1130はユーザの入力に応じて停止し、テスト対象者は応答スピードの指標としてグラフィクス1131の色を調べる。他の実施例では目盛盤あるいはその他の視覚的タイミングインジケータを用いることもできる。誤った応答(例えば、間違ったキーを押す、あるいは時間切れ)に対しては、エラーブザーが鳴る。このテストにカードは現れず、キーボード表示は部分テストの間中そのままであり続ける。
各キーが三度ずつ又は少なくとも一度ずつ押され且つ全部で九つのキーが正しく押されるまで、あるいは、総テスト時間(例えば、60秒)が過ぎ去るまで、テストは続く。先行及び刺激後のフィードバックエラー(キー応答)もまた記録される。
トライアル設定:
所要総成功数=9
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜200ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
2.単純反応テスト
目的:他の認知反応時間テストのための基準線として単純反応時間をテストする。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、スペースバーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、中央の裏向きのカードデッキ、及び応答メータを表している。ランダムな時間間隔(例えば、1500〜2500ms)でカードが表向きに現れ、スペースバーがハイライト表示される(これは、キーを押す音、すなわちクリック音等の聴覚手掛かりを伴うものであってもなくてもよい)。対象者は正しいキー(すなわち、この例ではスペースバー)を押すことで応答する。応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、黄色い影付きの矢印の絵を伴ったブザー音につながり、この矢印は表向きカードの基部から現れてスペースバーへと伸びる。スペースバーを指し示す矢印は、カードが反転し表向きになったらすぐにスペースバーを押さなくてはならないことを教える役目を果たす。これは指導フェーズが終了しテストフェーズが始まるまでに合計三回繰り返す。対象者は例えばエスケープキーを押すこと、又はその他のキャンセルシーケンスに入ることでシミュレート指導を打ち切ることができる。
テストフェーズ:対象者は必ず応答せねばならずキーボードキーのハイライト表示は遅くなるが、テストは指導フェーズと全く同一な形式である。片手又は両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボード、応答メータが一瞬消え去り、再描画される。
ここで裏向きのカードデッキが一つ中央に現れるが、これはシャッフル音を伴ってもよいしそうでなくてもよい。可変期間(例えば、1500〜2500ms)の後、ランダムに選ばれたカードが中央のデッキの上に、表向きに現れる。対象者が所定期間内に応答しなかった場合、キーが押されるまでスペースバーがハイライト表示される。このとき反応時間が記録され、視覚フィードバックが始まる。このテストの視覚フィードバックには:スペースバーがハイライト表示されない;対象者が正しい応答を行った場合、カードが右側に移動し、反転して裏向きになり、デッキの下にスライドする;あるいは、間違ったキーが押された場合、カードは最初左側へと移動し、エラーブザーが鳴る、ことが含まれる。ISIを1500〜2500ms中で変化させてテストトライアルを繰り返し、最初、多くのテストトライアルにおいて同じカードが表示される。トライアルが5000msよりも長くかかる場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
キーボードは、三回連続して正しいトライアル応答を行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。この同じカードに対して正しい応答が12回行われ、さらに、どちらが先でも良いのだが、これに続けてランダムに出されたカードに対して正しい応答が3回行われるか60秒の総テスト時間が過ぎると、テストが終了する。したがって、12回の正しい応答後、表示のカードはランダムに変化し始め、カードが反転し表向きになったときに応答することだけが重要であること、すなわちカードの数や組はテストに関係ないことに、対象者が確実に気が付くようにする。
この単純反応時間テストは、テストの進行につれて対象者が疲労していないかすなわち集中力が低下していないかを測定するために、全テストシーケンス又は群を通してもう2回繰り返される(例えば、一回は複合モニタタスク後、もう一回は連合学習タスク後の最後の最後)。
トライアル設定:
所要総成功数=12(+3追加)
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
3.選択反応テスト
目的:単純選択反応タスク、この例では赤と黒の選択肢の間での選択、における対象者の能力を評価する。この単純な選択要素を加えることでおよそ50〜150ms反応時間が延びることが予想される。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、当たりキーと外れキーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、及び中央の裏向きのカードデッキを表しており、この外見はちょうど終了したところの単純反応時間タスクと非常に似ている。1500〜2500msのランダムな時間間隔でカードが表向きに現れ、正しい応答キーがさらにキーを押す音、すなわちクリック音を伴ってハイライト表示される。対象者は正しいキーを押すことで応答する。応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、黄色い影付きの矢印の絵を伴ったブザー音につながり、この矢印は表向きカードの基部から現れて正しいキーへと伸びて、特定のカードが表向きに現れたときにどのキーを押さなくてはならないのか教える。指導フェーズのカードは正式なカードではないが、赤又は黒色で塗りつぶした四角形を含んでいる。これらはシミュレーションでの表示順に無作為化されており、各色のカードが少なくとも2枚提示されるまで指導フェーズが続き、その後テストフェーズが始まる。
テストフェーズ:対象者は必ず応答せねばならずキーボードキーのハイライト表示は遅くなるが、テストは指導フェーズと全く同一な形式であり、普通の外見をしたトランプを用いている。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボードが一瞬消え去り、再描画される。
裏向きのカードデッキが一つこのとき中央に現れるが、これもまたシャッフル音を伴っていてよい。1500〜2500msの可変期間の後、ランダムに選ばれた表向きのカードが中央のデッキ上に現れる。対象者が所定期間内に応答しなかった場合、キーが押されるまで正しい当たり/外れキーがハイライト表示される。このとき反応時間が記録され、視覚フィードバックが始まる。このテストの視覚フィードバックには:正しいキーがハイライト表示されない;対象者が正しいキーを押した場合、カードが右側に移動し、反転して裏向きとなり、デッキの下にスライドする;あるいは、対象者が間違ったキーを押した場合、カードは最初左側へと移動し、エラーブザーが鳴る、ことが含まれる。常にランダムに選ばれたカードを示しながら、ISIを1500〜2500ms中で変化させてテストトライアルを繰り返す。トライアルが5000msよりも長くかかる場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
キーボードは、三回連続して正しいトライアル応答を行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。どちらが先でも良いのだが、赤又は黒のカードに対して対象者が正しい応答を14回行うか60秒の総テスト時間が過ぎると、テストが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=黒7+赤7(あるいは総計14)
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
4.一致テスト
目的:より複雑な選択反応タスク、この例では上下に並んだ二枚の表向きカードと対面した際の一致する組札の色間での選択、における対象者の能力を評価する。このより複雑な選択要素を加えることで、前記選択反応時間に加え、およそ50〜150ms反応時間がさらに延びることが予想される。複雑さを増したテストのデータ記録は、回帰線を、刺激要求の増加とともに反応時間が長くなることを示すものと解釈可能にする。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、当たりキーと外れキーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、及び中央の裏向きのカードデッキを表しており、中央のデッキはその後二つに分かれ、最初のものの隣へともう一方の裏向きのカードデッキをスライドさせる。この外見はちょうど終了したところの選択反応時間タスクと似ているが、テストレイアウトは追加の裏向きカードデッキの分だけ違っている。
1500〜2500msのランダムな時間間隔で二枚のカードがそれぞれ各デッキ上で表向きに現れ、正しい応答キーがハイライト表示される。対象者は正しいキーを押すことで応答する。応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、黄色い影付きの矢印の絵を伴ったブザー音につながり、この矢印は表向きカードの一方の基部から現れて正しいキーへと伸びて、この特定のカードの組み合わせが表向きに現れたときにどちらのキーを押さなくてはならないのか教える。シミュレーションのカードは正式なカードではないが、同じ赤又は黒色で塗りつぶした四角形のカードが選択反応時間タスクで用いられている。これらの表示もまた指導フェーズ中、無作為化されている(すなわち、二枚のカードの色が一致するか異なるか)。各構成が少なくとも二つ提示されるまで指導フェーズが続き、その後テストフェーズが始まる。
テストフェーズ:対象者は必ず応答せねばならず矢印は現れないが、テストは全く同一な形式であり、通常のトランプを用いている。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボードが一瞬消え去り、再描画される。シャッフル音を伴って裏向きのカードデッキが二つ中央に再び現れる。
1500〜2500msの可変期間の後、ランダムに選ばれたカードがそれぞれ各デッキ上に、同時に表向きに現れる。猶予後、対象者が応答するまで正しい当たり/外れキーがハイライト表示される。このとき反応時間が記録され、視覚フィードバックが始まる。このテストの視覚フィードバックには:正しいキーがハイライト表示されない;対象者が正しいキーを押した場合、カードが両方とも右側に移動し、反転して裏向きになり、それぞれのデッキの下にスライドする;あるいは、対象者が間違ったキーを押した場合、カードは最初左側へと移動し、エラーブザーが鳴る、ことが含まれる。常にランダムに選ばれたカードを示しながら、ISIを1500〜2500ms中で変化させてテストトライアルを繰り返す。そのトライアルが5000msよりも長くかかる場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
キーボードは、三回連続して正しいトライアルを行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。どちらが先でも良いのだが、一致又は非一致のカードペアに対して対象者が正しい応答を14回行うか60秒の総テスト時間が過ぎると、テストが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=一致7+非一致7(あるいは総計14)
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
5.連続モニタテスト
目的:これはリンクした三つのテストのうちの最初のものである。これは注意力を評価するものであり、連続能力タスクである。テストは、分割注意(divided attention)をテストするために別の選択決定タスクと後で組み合わされる将来のモニタタスクに関して、対象者を訓練するものである。適切な応答は、カードが白いラインに接触したときにスペースバーを押すことからなる。白いラインは、元の裏向きのデッキ位置から垂直方向上下に等距離離れ、水平方向に配置されている。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、スペースバーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、垂直方向中心に置かれた五枚の表向きカード、及び二本の水平ラインを表している。一本の水平ラインは五枚のカードの上方に配置され、一本の水平ラインはディスプレイ上の五枚のカードの下方に配置されている。カードは上下動し、表面上ランダムな様子で連続的に振動する。
個々のカードは時間内のある時点にディスプレイ上で上方へと漸次移動し、同じ近接位置で彷徨い、あるいは漸次下方へと移動する。特定のカードがどちらに動くのか確実に予測することは不可能である。全てのカードが常に動き続け、そしてシミュレーションのある時点でカードの一枚が上側あるいは下側いずれかの限界ラインに接触する。対象者はスペースキーを押すことで応答する。
応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、ブザー音につながる。指導のこの時点でカードは動くのをやめ、ラインに接触しているカードの基部から黄色い矢印が現れてスペースバーへと伸び、これは同時にハイライト表示される。短い猶予後、指導は再開し、ラインに接触していたカードは垂直方向中心に置かれ、スペースバーはハイライト表示されなくなる。指導フェーズは少なくとも一枚のカードが上側のラインに接触し、少なくとも一枚のカード(同じカードである必要はない)が下側のラインに接触するまで続く。指導フェーズ中に表示されるカードは正式なカードである。
テストフェーズ:対象者は必ず応答せねばならずキーボードキーのハイライト表示は遅くなるが、正式なテストは全く同一な形式である。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カード及びキーボードの表示が一瞬消え去り、再描画される。
テストトライアルの最初に、五枚の表向きカードがシャッフル音を伴って再び現れ、垂直方向中心に置かれる。カードは上述した擬似ランダム振動で動き始める。可変期間の後、一枚のカードがラインに接触し、対象者から応答を引き出す筈のイベントを示す。対象者が所定の持続時間後に応答していない場合、スペースバーがハイライト表示される。
ラインに接触したカードは、ラインを越えたかどうかについて最早疑いようのないようにディスプレイの中心から離れて進む(ただし、上下の白いラインをカード垂直方向寸法の半分以上越えることはない)。対象者が応答するまで、カードは中心から離れる移動を続けるか最大許容限度にとどまる。このとき反応時間が記録され、視覚フィードバックが始まる。このテストの視覚フィードバックには概して:スペースバーがハイライト表示されない;対象者が正しくスペースバーを押した場合、逸脱したカードはディスプレイ中心へと戻る;あるいは、対象者が正しい応答をできなかった場合、エラーブザーが鳴り逸脱したカードは位置を変えようとしない。さらに、カードがラインに触れておらず又は越えてもいないのにスペースバーが押された場合、同じくエラーブザーが鳴り先行エラーが記録される。
所定持続時間(例えば、2秒以上)カードがラインを越えていても対象者が応答しない場合、カードは中心に向けてカード半分の距離だけ飛び戻り、再び外に向かってじわじわと動く。この特殊なフィードバック戦略は、ずっと見逃されているカードへと注意を喚起することを目的としている。
このテストでは、例えばそれぞれ最低で6ピクセルを特徴とする増分で漸増的にカードが動くもので、移動増分一つ当たり0〜6ピクセルの付加的可変ステップもまた含み得る。一枚の「優遇」カード(この優遇カードがラインに到達すると無作為に別のカードへと選ばれる)は、更なるゲイン係数(±4ピクセル)をその動きへと加えられている。正のゲイン係数は動きを下側のラインへと偏向させ、逆にゲイン係数が負であると、カードは上側のラインへと偏向させられる。キーボードは、三回連続して正しいトライアルを行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。
どちらが先でも良いのだが、(上側又は下側のいずれかに移動するカードに関する)14の異なるライン接触イベントに対して対象者が正しい応答を行うか60秒の総テスト時間が過ぎると、テストが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=14
刺激開始=0ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=0ms
ISI後のランダム範囲=0ms
最短反応時間開始=0ms
トライアル最長時間=99999999ms(約27.8時間)
6.一戻りテスト
目的:これは分割注意を評価するためにつくられた三つテストのうちの二番目のものである。このテストは、応答時に対象者が前のカードを憶えておかなくてはならないという作業記憶タスクを提供するものであり、対象者は一つだけ前のカード、すなわち直前に示されたものを記憶することが求められるため、これを「一戻り(one-back)」テストと称する。これも次の複合テストのための訓練タスクでもある。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、当たりキーと外れキーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、及びキーボードに隣接した、中央の、裏向きの一組のカードデッキを表している。この外見は選択反応時間タスクと似ている。1500〜2500msのランダムな時間間隔でカードがデッキ上に表向きに現れ、正しい応答キーがハイライト表示される。対象者は正しいキーを押すことで応答する。
応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、黄色い影付きの矢印の出現を伴ったブザー音につながり、この矢印は表向きカードの基部から現れて正しいキーへと伸びて、表示されているカードのタイプによってどちらのキーが正しい応答であるのかを教える。シミュレーションのカードは正式なカードである。ルールは、表向きカードがその前の表向きカードと同一、あるいは同じ値であるかどうかに基づく。
指導は、連続するカードにあり得る全バリエーションの間中続く。現在表示されている表向きカードが最も最近に表示されたカードと同一、あるいは例えば同じ値である場合、当たりキーがハイライト表示され、反対に、連続するカードが異なる場合、外れキーがハイライト表示される。前記指導手続きを数回反復することで大抵の対象者は応答ルールを十分に理解できると思われるが、これはこれまでのテストほど易しくはない。指導フェーズは、可能性のあるシーケンスの各々の少なくとも一つが現れるまで続き、その後テストフェーズが始まる。
テストフェーズ:テストフェーズは指導フェーズと全く同一な形式であり、すなわち通常のトランプを用いているが、対象者は必ず応答せねばならずキーボードキーのハイライト表示は遅くなる。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボードの表示が一瞬消え去り、シャッフル音を伴って再描画される。
例えば1500〜2500msの可変期間の後、ランダムに選ばれたカードが表向きに現れる。猶予後、対象者がキーを押すことで応答しなければ正しい当たり/外れキーがハイライト表示される。このとき反応時間が記録され、視覚フィードバックが始まる。このテストと関連した視覚フィードバックには以下が含まれる:正しいキーがハイライト表示されない;対象者が正しいキーを押して応答した場合、カードが右側に移動し、反転して裏向きになり、デッキの下にスライドする;あるいは、対象者が間違ったキーを押した場合、カードは最初左側へと移動し、エラーブザーが鳴る。常にランダムに選ばれたカードを表示しながら、可変ISIを1500〜2500ms中で変化させて、前記シーケンスを有するテストトライアルを繰り返す。そのトライアルが例えば5000msの所定の最長トライアル持続期間よりも長くかかる場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
キーボードの表示は、三回連続して正しいトライアルイベント応答を行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。どちらが先でも良いのだが、異なる14のテストイベント、すなわち逐次的なペア又は非ペアのカードに対象者が正しく応答するか90秒の総テスト時間が過ぎると、テストフェーズが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=14
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
7.モニタ/一戻り複合テスト
目的:これは、上述の5番目及び6番目のテストの組み合わせであり、分割注意の評価を目的とする。テストは、エラー又は反応時間の遅延が当たり前となることが予想される難しいタスクを与える。対象者は、二本の白い水平ライン間で各々往復運動している全部で5枚のカードを観察しながら、中央のカードに発生する一戻りタスクをこなさなくてはならない。
指導フェーズ:先の二つのテストで必要な指導が既になされているため、このテストに対して特にシミュレーション又は指導要素はない。しかしながらテストが孤立状態で実行又は実施された場合、先に示したルールを組み合せた指導フェーズを提供することが望ましい。
先のテストから一戻りテストが引き続くが、加えてスタート配置図には水平ラインが含まれ、さらに中央の一枚のカードの垂直往復運動を表示する。正しい応答が数度記録された後、さらに4枚の往復運動する(周辺)カードがモニタタスクの場合と同様、最初のものの両側に現れる。これら4枚の周辺カードはチェンジせず、またその種類はテストにおいて重要ではない。ディスプレイには指導用のキーボード表示は含まれない。テストフェーズが始まったとき対象者は、どのキーを使うべきかを先のテストから思い出すことが求められる。
テストフェーズ:先のテストと同じ形式でテストフェーズが連続する。可変期間の後、1枚又はそれ以上のカードが白のラインに接触する。ラインに接触したカードはその後、ラインを越えたかどうかについて最早疑いようのないようにディスプレイの中心から離れて進む(ただし、ラインをカード垂直方向寸法の半分以上越えることはない)。対象者がスペースバーを押して応答するまで、カードは中心から離れる移動を続けるか最大許容限度にとどまる。
このときモニタタスクに関して反応時間が記録され、先に述べたように視覚フィードバックが始まる。対象者が正しくスペースバーを押した場合、逸脱した一枚又は複数枚のカードはディスプレイ中心へと戻る。間違ったキー(例えば、一戻りタスクに関連のないキー)が押された場合、エラーブザーが鳴り逸脱したカードは位置を変えようとしない。さらに、カードがラインに接触していないのにスペースバーが押された場合、エラーブザーが鳴り先行応答エラーが記録される。所定期間(例えば、2秒以上)カードがラインを越えていても対象者が応答しない場合、ラインに接触しているカードはディスプレイ中心に向けてカード半分の距離だけ飛び戻り、再び外に向かって移動し始める。この特殊なフィードバック戦略は、ずっと見逃されているカードへと注意を喚起することを目的としている。
先に述べたように、カードは漸増的に動くもので、このテストでのカードの動きは、モニタテストを関して上述した動きと実質的に同じである。
テストフェーズの一戻りタスク部分は、普通の外見をしたトランプを用い、同時且つ独立して実行する。例えば1500〜2500msの可変期間の後、中央の裏向きのカードが表向きに反転し、ランダムに選ばれたカードを晒し、当たりキー又は外れキーのいずれかが押されるまでカード表示が続く。このとき反応時間が記録され、一戻りテストにおいて上述したのと実質的に同様に、視覚フィードバックが始まる。
常にランダムに選ばれたカードを表示しながら、例えばISIを1500〜2500ms中で変化させて、テストトライアルを繰り返す。カードが所定期間(例えば、5000ms)よりも長時間表向きのままの場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
三回連続して間違った応答を行うとキーボードの表示が現れる。どちらが先でも良いのだが、二つのテストタスク両方で14のテストトライアルイベントに対象者が正しく応答するか90秒の総テスト時間が過ぎると、テストフェーズが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=一戻り14且つライン越え14
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
8.(偶発記憶を伴う)ペアカード照合テスト
目的:照合技能におけるスピードと正確性を評価する。異なるカードが6ペア、裏向きのカードのデッキ二つの上方に現れるが、これら6ペアは標本(legend)である。これらのデッキ上にカードが表向きに現れ、対象者は、表向きのカードが6ペアの標本のいずれかであるかどうかの判断を求められる。複数回カードが照合された後、これらのペアの偶発学習がテストされる。この記憶テストフェーズ中にはフィードバックは行われない。記憶力の良くない対象者は、偶発記憶要素においてとりわけ成績が悪いことが予期される。
指導フェーズ:シミュレーション要素はまず、対象者に求められているものを見せる。スタート配置図は最初、当たりキーと外れキーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、及びキーボードに隣接した、中央の、裏向きの一組のカードデッキを表している。このデッキは二つに割れ、片割れがスライドして最初からのデッキの隣にくる。その後、カードが反転し、ディスプレイ上方へと動き、三つのカードペアからなる2列を形成し、これらは裏向きのデッキ上方で水平方向中央に位置する。
1500〜2500msのランダムな時間間隔で2枚のカードがデッキ上に表向きに現れ、正しい応答キーがハイライト表示される。対象者は正しいキーを押すことで応答する。応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことは、黄色い影付きの矢印の出現を伴ったブザー音につながり、この矢印は表向きカードの基部から現れて正しいキーへと伸び、表示されている表向きのカードの組み合わせに応じてどちらのキーを押すべきであるかを教える。シミュレーションのカードは正式なカードである。
指導テストトライアルは、当たりと外れ両方の状態を説明する。したがって、6枚のカード標本にも示されているペアが現れると、これは当たりの状態とされ、逆に6枚のカード標本に示されていないペアが現れると、外れの状態となる。ペアの学習を促進するため、曖昧なペア(すなわち、カードの「当たり」標本ペアの2枚のカードうちの1枚を有するペア)は指導フェーズ中には決して現れない。視覚フィードバックはこれらの状態によって相違する。当たりペアの場合、カードは、揃いのカードへと素早くスライドする。外れ状態の場合、カードは反転し、デッキの下へとスライドする。このフィードバック戦略が対象者に応答のルールを理解させる。対象者には記憶要素の指導刺激を見せない。当たり状態及び外れ状態のそれぞれが少なくとも二度現れるまで(時間がかかりすぎる場合促進される)指導フェーズは続き、その後テストフェーズが始まる。
テストフェーズ:テストは指導フェーズと同一な形式であるが、対象者は必ず応答せねばならず、キーボードキーのハイライト表示は遅くなり、今度は三つではなく六つのカードペアとなるもので、よってテストフェーズ中の標本は、六つのペアに並べられた12枚のカードからなる。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボードの表示が一瞬消え去り、シャッフル音を伴って再描画される。
六つのカードペアは二つの裏向きデッキから反転し、テストフェーズで標本として用いられることになるカードの組を示す。例えば1500〜2500msの可変期間の後、ランダムに選ばれた2枚のカードが表向きに表示される。特定の猶予後、正しい当たり/外れキーがハイライト表示され、対象者がキーを押すことで応答するまでハイライト表示され続ける。このとき反応時間が記録され、上述したように視覚フィードバックが始まる。応答が間違っている場合、エラーブザーが鳴る。
テスト対象者はテストの記憶要素について予め警告されることはないが、何度かテストを受けた後には対象者が標本ペアの暗記の必要性に気が付くことが期待されている。ISIを1500〜2500ms中で変化させて、各標本ペアが2度表示され且つ非標本ペアが少なくとも6度表示されるまでテストトライアルを繰り返す。トライアルが5000msよりも長く続いた場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。
キーボードの表示は、三回連続して正しいトライアルを行うと消え、三回連続して間違った応答を行うと再び現れる。学習要素が完了すると、偶発記憶要素が始まる。例えば特定の持続時間(例えば、80秒以上)が過ぎると記憶要素が始まるように学習要素の時間を決める。
テストの記憶要素中、標本は消え(あるいは標本ペアは裏返り)、カードペアは反転し続ける。エラーフィードバックは行われず、カードは常に右に反転し、キーが押されたかどうかは関係なくそれぞれのデッキの下にスライドする。エラーブザーも鳴らない。そのテストトライアルが5000msより長くかかると、エラーフィードバックが行われる。このテストの終了には約30の正しい応答が必要とされる。全ての標本カードペアが少なくとも1度示され且つ同様の数の非標本カードペアが表示される、あるいは両テスト要素に関し総計150秒が経過する、このいずれかまで、およそ1500〜2500msの時間間隔でカードペアは表向きに反転する。
トライアル設定:
所要総成功数=標本ペア12、フォイル(foil)6、そして記憶要素において各6
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
9.連合学習テスト
目的:この最後のテストは、学習及び永久記憶の両方の評価を可能とするもので、照合能力制御テストを含む。このテストは、一つのペア以外の標本全てが裏向きであることを除けば、レイアウトがペアカード照合テストと似ている。対象者は隠された、すなわち裏向きのペアとなっているカードを記憶しておかなければならない。表向きのペアはそれを記憶する必要なしに比較によって直接照合できる。この表向きペアは対照用のペアであり、なぜなら初期の記憶障害を有する対象者は、たとえ彼らが隠されたカードを思い出すことができなくても対照ペアは照合できなくてはならないためである。偽りの記憶力減退を抱えた対象者らは、隠されたものと表示されたもの両方のペア照合に(偶然のレベルを超えた)問題があるものと予想される。これは記憶と集中力に関して差異を見分けることに優れた、厳しいテストであり、さらには、疲労すなわち集中力不足の有害作用を極大化する最終テストとして出されるものである。また、対象者らは最初の表示で四つのペア全てを正しく思い出すことはないものの、その後に続くフィードバックでエラーが正されるように学習曲線が生じることが予想されている。
指導フェーズ:シミュレーションはまず、対象者に求められているものを見せる。これはペアカード照合テストに酷似したものである。スタート配置図は最初、当たりキーと外れキーを赤で縁取りしたキーボード(手は無し)、及び中央の、裏向きの一組のカードデッキを表示している。このデッキは二つに割れ、片割れがスライドして最初からのデッキの隣にくる。その後、カードが表向きに反転し、ディスプレイ上方へと動き、3枚のカードからなる2列を形成し、これらは裏向きのデッキ上方で水平方向中央に位置する。
上記したのと実質的に同様に、1500〜2500msのランダムな時間間隔で2枚のカードがデッキ上に表向きに現れ、正しい応答キーがハイライト表示される。指導フェーズは、フォイル表示をランダムに散りばめながら、記憶しなくてはならない三つのペアをそれぞれ、連続して2回表示する。表向きに表示されたペアが標本に存在する場合、当たりキーを選ばなくてはならない。対象者が最初の指導フェーズで応答すると、ペアカードはディスプレイを上方にスライドし、二つのカードデッキの表示の上方にある標本へと加わる。全ての標本カードペアを示し終わったときに外側の二つのペアが概ね裏向きで中央のペアがずっと表向きであるように、指導中の標本カードペアの一回目の表示後、表示された標本ペアのカードが裏向きに反転する。
対象者が応答を入力した後にペアカードが反転すると、正しいキーがハイライト表示され、視覚フィードバックが始まる。表示されたカードペアが記憶しなくてはならないものの一つであり且つその標本カードペアが既に裏向きであれば、標本の一致カードペアは表向きに反転し、刺激カードは(左から右へと)一致グリッド位置へとスライドしてカードが新しいペアと同一であることが対象者に分かるようにし、例えば約0.5秒の短い猶予後、カードは裏向きになるよう元の状態へと反転する。ただし、視覚フィードバックの他の諸相が十分な指導を与えてはいるが、標本の中央のペアは決して裏向きには反転しない。
全てのシミュレーションカードペア(6枚のカード)が2回現れると、標本に一致するペア又は標本に一致しないペアのいずれかが現れるように指導フェーズはランダムなペアのカードを示す。表示のペアが標本中のペアに一致する場合、当たりキーがハイライト表示される。対象者は正しいキーを押すことで応答する。応答失敗、すなわち誤ったキーを押すことはブザー音につながり、正しいキーが例えば矢印によってハイライト表示される。矢印はその後除かれ、標本カードが表向きに反転し、表示ペアのカードが正しい位置までスライドする。表示のペアが標本のペアのどれとも正確に一致しない場合、外れキーがハイライト表示され、ペアのカードが反転し、それぞれのデッキの下へとスライドする。
各標本ペアの両カードを完全に正確なものとして対象者が偽りなく思い出すように、明確なものと曖昧なもの両方のフォイル(すなわち、当たり標本ペアのカードのうち、それぞれどちらもないものと1枚だけあるもの)が任意の順で現れる。指導及びシミュレーション戦略が対象者に応答のルールを理解させる。全ての標本カードが示された後に当たり状態及び外れ状態のそれぞれが少なくとも二度現れるまで指導フェーズは続き、その後テストフェーズが始まる。
テストフェーズ:テストも実質的に同一な形式であるが、対象者は必ず応答せねばならず、キーのハイライト表示は遅くなり、今度は五つのカードペアとなる(すなわち、裏向きの四つのカードペアと中央に置かれた表向きの一つのペア)。両手が出現し、対象者が応答開始に備えなければならないことを教える。さらに、カードデッキ、キーボードの表示が一瞬消え去り、シャッフル音を伴って再描画されるが、標本は完全に消え去る。
指導フェーズと同様に標本は、標本の全てのカードペアをそのグリッド位置へと反転させ、その後新たなカードのペアを表示することで構築される。カードペアはこのとき、1500〜2500msの可変期間の後に表示される。カードペアは、繰り返しのカードがないように且つトライアル間で同じペアがないように、ランダムに選ばれる。カードペア表示に続く猶予後、正しい当たり/外れキーがハイライト表示され、対象者が応答を入力するまでそのままとなる。
このとき反応時間が記録され、指導フェーズに関して上述したように視覚フィードバックが始まるが、テストフェーズ中はいったん裏向きに反転すると、標本中の対応裏向きペアがフィードバック中に反転することはない。表示のカードペアは適切なパイルへと移動し、その後裏向きに反転する。表示のペアが標本の一つではない場合、カードは反転してそれぞれのデッキの下へとスライドする。応答入力が間違っている場合、エラーブザーが鳴る。
常にランダムに選ばれたカードペア(標本中のカードペアの一つと一致したりしなかったりする)を表示しながら、ISIを1500〜2500ms中で変化させて、各標本ペアが5度表示され且つ非標本ペアが同じ回数表示されるまでテストトライアルを繰り返す。各トライアルが特定期間(例えば、5000ms)よりも長く続いた場合、対象者が応答しようがしまいがエラーフィードバックが行われる。3回連続して正しい応答の場合キーボード表示が消え、3回連続して間違った応答の場合再び現れる。5分以上経過するとテストが終了する。
トライアル設定:
所要総成功数=標本ペア20、非標本ペア20
刺激開始=1500ms
刺激停止時間=0ms
フィードバック持続時間=200ms
ISI後のランダム範囲=0〜1000ms
最短反応時間開始=1600ms
トライアル最長時間=5000ms
個々のテスト、あるいはテスト群又はシーケンス全体は、所定のコマンドを用いることでいつでもキャンセル可能である。テストあるいはテスト群がキャンセルされるとデータが失われる旨、対象者は警告を受ける。先に述べたように、テストシーケンス完了時には、テストデータ及び結果を分析のために中央サーバへと伝送するよう対象者が促される。
標準データを集めることもできる。実施された全てのテストに関し単純記述統計が、平均応答又はスコア、ならびにこの平均に関する変動指標を算出し、よって精神運動のスピード及び一貫性の指示又は指標が算出される。さらに、いくつかのテストデータはグループ化され、テストの横断的比較を可能とする。
本願発明をここまで特定の実施例を参照して示し且つ詳述したが、例示のみを目的とし、限定を意図してはいない。開示の実施例に対する様々な変更がここに述べた発明の範囲及び意図内に含まれることは、当業者であれば理解できるものである。よって本発明は、付属のクレームの範囲によってのみ限定されるものとみなされるべきである。
心理テストシステムの一実施例が用いられたデータ通信ネットワーク環境を示す略図、 図1Aに示された実施例の要素を示す略図、 心理テスト装置の一実施例を示す簡略化したブロック図、 心理テスト装置の一実施例の要素を示す簡略化したブロック図、 心理テスト方法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 テストシーケンスの実施を容易とする心理テスト方法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 テスト対象者を指導する方法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 テストの実行方法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 トライアルのスケジュールの一実施例を示す略図、 心理診断法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 治療法の有効性を確かめる方法の一実施例の一般動作を示す簡略化したフローチャート、 認知機能のテストシステム及び方法のためのグラフィカルユーザーインターフェースの一実施例を示す略図、及び 認知機能のテストシステム及び方法によって表示されたスタート配置図を示す略図。

Claims (15)

  1. 画像表示機と入力装置からなる、コンピュータ処理された認知テスト装置であって、(1)〜(5)の手段を有することを特徴とする認知テスト装置。
    (1)認知機能障害を検知するテストを選択する手段と、
    (2)被験者に前記テストを正しく行うための(a)〜(b)のステップからなる指導を行う手段と、
    (a)前記画像表示機に少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (b)前記画像表示機上に、前記入力装置をグラフィカルに描写した上に入力された、前記少なくとも1つの指示に対する正しい応答のシミュレーションを表示するステップにおいて、前記指導は文化教養的手掛かりを与えることなく行われており、
    (3)(c)〜(f)のステップからなるテストを与える手段と、
    (c)前記画像表示機上にランダムに作り出された少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (d)前記被験者によって前記入力装置上に入力された応答を受け取るステップ、
    (e)正しい応答が入力されたか否かを決定するステップ、
    (f)前記決定の結果を記録するステップにおいて、前記記録された結果は参照結果として記録されており、
    (4)所定の時間経過した後に前記指導またはテスト、または両方を繰り返し、前記繰り返されたテストの結果を比較結果として記録する手段と、
    (5)比較結果を参照結果と比較する手段であって、前記比較結果は前記被験者の認知機能の変化を定量化するものである。
  2. 前記指導手段は、言語ベースの手掛かりを与えることなく対象者を指導するものである請求項1記載の装置。
  3. 前記指示は、トランプ、ドミノ、サイコロ、チェス駒からなる群から選ばれるゲームの道具である請求項1記載の装置。
  4. 前記テスト手段及び前記指導手段は、前記画像表示機及び前記入力装置がコンピュータソフトウエアに基づいて制御されることにより実現される請求項1記載の装置。
  5. 前記応答及び前記応答に関連するデータのリモート装置への伝送を可能とするネットワークインターフェースをさらに含む請求項1記載の装置。
  6. データ及びコンピュータ実行可能命令をコード化したプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記データ及び命令はコンピュータが画像表示機および入力装置に(11)〜(15)からなる認知テストを実行させるものであることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
    (11)認知機能障害を検知するテストを選択し、
    (12)被験者に前記テストを正しく行うための(g)〜(h)のステップからなる指導を行い、
    (g)前記画像表示機に少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (h)前記画像表示機上に、前記入力装置をグラフィカルに描写した上に入力された、前記少なくとも1つの指示に対する正しい応答のシミュレーションを表示するステップにおいて、前記指導は文化教養的手掛かりを与えることなく行われており、
    (13)(i)〜(l)のステップからなるテストを与え、
    (i)前記画像表示機上にランダムに作り出された少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (j)前記被験者によって前記入力装置上に入力された応答を受け取るステップ、
    (k)正しい応答が入力されたか否かを決定するステップ、
    (l)前記決定の結果を記録するステップにおいて、前記記録された結果は参照結果として記録されており、
    (14)所定の時間経過した後に前記指導またはテスト、または両方を繰り返し、前記繰り返されたテストの結果を比較結果として記録し、
    (15)比較結果を参照結果と比較し、前記比較結果は前記被験者の認知機能の変化を定量化するものである。
  7. 前記指導は、言語ベースの手掛かりを与えることなく対象者へと指導するものである請求項記載のコンピュータ可読媒体。
  8. 前記指示は、トランプ、ドミノ、サイコロ、チェス駒からなる群から選ばれるゲームの道具である請求項記載のコンピュータ可読媒体。
  9. データ及びコンピュータ実行可能命令をコード化したプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムは、コンピュータに画像表示機および入力装置に(21)〜(25)の手段を手段として機能させることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
    (21)認知機能障害を検知するテストを選択する手段と、
    (22)被験者に前記テストを正しく行うための(m)〜(q)のステップからなる指導を行う手段と、
    (m)前記画像表示機に少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (n)前記画像表示機上に、前記入力装置をグラフィカルに描写した上に入力された、前記少なくとも1つの指示に対する正しい応答のシミュレーションを表示するステップにおいて、前記指導は文化教養的手掛かりを与えることなく行われており、
    (23)(o)〜(r)のステップからなるテストを与える手段と、
    (o)前記画像表示機上にランダムに作り出された少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (p)前記被験者によって前記入力装置上に入力された応答を受け取るステップ、
    (q)正しい応答が入力されたか否かを決定するステップ、
    (r)前記決定の結果を記録するステップにおいて、前記記録された結果は参照結果として記録されており、
    (24)所定の時間経過した後に前記指導またはテスト、または両方を繰り返し、前記繰り返されたテストの結果を比較結果として記録する手段と、
    (25)比較結果を参照結果と比較する手段を有しており、前記比較結果は前記被験者の認知機能の変化を定量化するものである。
  10. 前記指導は、言語ベースの手掛かりを与えることなく対象者を指導するものである請求項記載のコンピュータ可読媒体。
  11. 前記指示は、トランプ、ドミノ、サイコロ、チェス駒からなる群から選ばれるゲームの道具である請求項記載のコンピュータ可読媒体。
  12. 画像表示機と入力装置からなり、認知テストを行うようプログラムされたコンピュータ制御装置であって、前記プログラムは装置に(31)〜(34)を行わせることを特徴とするコンピュータ制御装置。
    (31)被験者に前記テストを正しく行うための(s)〜(t)のステップからなる指導を行い、
    (s)前記画像表示機に少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (t)前記画像表示機上に、前記入力装置をグラフィカルに描写した上に入力された、前記少なくとも1つの指示に対する正しい応答のシミュレーションを表示するステップにおいて、前記指導は文化教養的手掛かりを与えることなく行われており、
    (32)(u)〜(x)のステップからなるテストを与え、
    (u)前記画像表示機上にランダムに作り出された少なくとも1つの指示を表示するステップ、
    (v)前記被験者によって前記入力装置上に入力された応答を受け取るステップ、
    (w)正しい応答が入力されたか否かを決定するステップ、
    (x)前記決定の結果を記録するステップにおいて、前記記録された結果は参照結果として記録されており、
    (33)所定の時間経過した後に前記指導またはテスト、または両方を繰り返し、前記繰り返されたテストの結果を比較結果として記録し、
    (34)比較結果を参照結果と比較し、前記比較結果は前記被験者の認知機能の変化を定量化するものである。
  13. 前記指導は、言語ベースの手掛かりを与えることなく対象者を指導するものである請求項12記載の装置。
  14. 前記指示は、トランプ、ドミノ、サイコロ、チェス駒からなる群から選ばれるゲームの道具である請求項12記載の装置。
  15. 前記応答及び前記応答に関連するデータのリモート装置への伝送を可能とするネットワークインターフェースをさらに含む請求項12記載の装置。
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