JP4167120B2 - 非接触icカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置 - Google Patents
非接触icカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触ICカードとリーダライタ間において、複数のデータ伝送方式で通信が為されている場合に、伝送路を流れる信号を取得し、その信号を用いてデータ伝送方式を判別する非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、非接触ICカードとリーダライタ間のデータ伝送方式として、複数の方式が提案され、標準化されてきている。また、このような複数のデータ伝送方式による通信に対応した非接触ICカードも開発されてきている。
【0003】
しかし、非接触ICカードシステムを開発する場合においては、システムのデバッグ等のため、非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる通信信号をモニタする必要があるが、この場合は、予め決められたデータ伝送方式を指定した上でモニタする必要があり、指定されていないデータ伝送方式で通信が行われた場合には、指定を切り替えてモニタする必要があった。
【0004】
以下に、非接触ICカードシステムにおける、データ伝送方式を判別する従来の方式を説明しておく。まず、伝送路から読み取った信号をデコードし可読情報としてから、通信内容の伝送方式について記載してある位置を参照し、データ伝送方式を判別する方法である。図22、図23にISO/IEC14443(International Organization Standardization/International Electrotechnical Commission 14443)で規定されている非接触ICカードの通信規約に基いたTypeA、TypeBのリーダライタ側からのリクエストコマンドの一例を示す。以下、先ず、この図に付き説明する。
【0005】
図22は、ISO/IEC14443で規格されているTypeAのリーダライタからのリクエストコマンドを示している。本図において、SはTypeAの非接触ICカードにおけるブロック先頭ビット、b1〜b7はデータビット、EはTypeAの非接触ICカードにおけるブロック終了ビットである。REQAはTypeAのリーダライタからのリクエストコマンドであり、図22には、ビットコリジョンとタイムスロットとがコマンドとして例示されている。
【0006】
図23は、TypeBのリーダライタからのリクエストコマンドを示している。本図において、ApfはTypeBのリーダライタからのリクエストコマンドであるREQBで使用されるパラメータであり、AFIは応用分野識別子、PARAMは属性情報のパラメータ、CRC_Bは巡回冗長検査符号Bである。b1〜b7及びb8はデータビットである。REQBは前述の通り、TypeBのリーダライタからのリクエストコマンドであり、本図では、スロットマーカーとタイムスロットとがコマンドとして例示されている。
【0007】
データ伝送方式が異なる場合には、図22、図23をみればわかるとおり、通信を開始する前にリーダライタから発信される非接触ICカードへのリクエストコマンドが異なる。このとき、TypeA、TypeBのそれぞれの非接触ICカードは各々に対応するリクエストコマンドのみにレスポンスを返すため、これによりデータ伝送方式を判別することは可能であった。
【0008】
また、データ伝送方式が同じでも、アンチコリジョンの方式が異なる場合には、図22、図23の○で囲った部分を見ればわかるとおり、リクエストコマンドのパラメータが異なるので、受信したコマンドの内容が自己の目的のものとなっているかどうかに付いては判別することは可能であった。
【0009】
以下に、これら従来技術につき参考となる文献情報を列挙しておく。
【非特許文献】
“JICSAP ICカード仕様V2.0 第2部近接型ICカード”、[online]、[2003年4月21日検索]、インターネット <URL:http://www.jicsap.com/stdwork/kinsetsu.pdf>
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来方式では、非接触ICカードとリーダライタ間のデータ伝送方式が不明な場合には、伝送路を流れる信号を符号化できないため、モニタができなかった。したがって、特に複数のデータ伝送方式に対応した非接触ICカードをモニタしようとした場合には、データ伝送方式が特定できず、特に顕著な問題となっていた。
【0011】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の目的は、複数のデータ伝送方式で通信が可能である非接触ICカードとリーダライタ間の信号を取得し、その信号波形を解析することによりデータ伝送方式を判別する非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置を提供せんとするものである。
【0012】
本発明の第2の目的は、通信が行われている最中であっても、データ伝送方式を判別することを可能とする非接触ICカード/リーダライタ間の伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置を提供せんとするものである。
【0013】
本発明の第3の目的は、読み取った信号をデコードすることなく、信号データそのものを解析することからデータ伝送方式を判別するため、非常に高速に判別を行うことを可能とする非接触ICカード/リーダライタ間の伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置を提供せんとするものである。
【0014】
本発明の第4の目的は、判別したいデータ伝送方式を特に指定することにより、その指定の範囲内のみで判別することを可能とする非接触ICカード/リーダライタ間の伝送方式判別方法及び伝送路モニタ装置を提供せんとするものである。
【0015】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に特許請求の範囲の各請求項の記載から自ずと明らかとなろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明方法は、上記課題の解決に当たり、非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する方法であって、先ず、前記非接触ICカードと前記リーダライタ間の前記伝送路を流れる信号を取得し、次に、当該取得した信号の波形の電圧値を用いて2値化処理し、引続き、当該2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となりうる特徴点の抽出開始位置を検出し、その上で、当該特徴点の抽出開始位置を起点として、予め記憶されている特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報にしたがって前記特徴点の信号値を抽出し、特徴点群を形成していき、最終的に、当該特徴点群の値が、予め記憶されている複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報と比較して、データ伝送方式を判別するという手法を講じる。
【0017】
本発明装置は、上記課題の解決に当たり、非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する伝送路モニタ装置であって、前記伝送路を流れる信号を取得し、当該信号を2値化し、2値化された信号データとして出力する電圧取得手段と、当該電圧取得手段からの2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となり得る特徴点の抽出開始位置を特定する特徴点抽出開始位置特定手段と、前記特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報が記憶されている特徴点抽出タイミング情報記憶手段と、前記2値化された信号データから前記特徴点抽出タイミング情報に従って、特徴点の値を抽出し、特徴点群を形成していく特徴点抽出手段と、複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報が記憶されているデータ伝送方式判別条件記憶手段と、前記特徴点群と前記データ伝送方式判別条件情報を対比し、データ伝送方式を判別する伝送方式判別手段と、当該判別されたデータ伝送方式を出力する伝送路モニタ手段と、を具備するという手段を講じる特徴を有する。
【0018】
更に、具体的詳細に述べると、当該課題の解決では、本発明が次に列挙する上位概念から下位概念に亙る新規な特徴的構成手法又は手段を採用することにより、前記目的を達成するように為される。
【0019】
本発明方法の第1の特徴は、非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する方法であって、先ず、前記非接触ICカードと前記リーダライタ間の前記伝送路を流れる信号を取得し、次に、当該取得した信号の波形の電圧値を用いて2値化処理し、引続き、当該2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となりうる特徴点の抽出開始位置を検出し、その上で、当該特徴点の抽出開始位置を起点として、予め記憶されている特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報にしたがって前記特徴点の信号値を抽出し、特徴点群を形成していき、最終的に、当該特徴点群の値が、予め記憶されている複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報と比較して、データ伝送方式を判別してなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0020】
本発明方法の第2の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における2値化処理が、前記伝送路を流れる搬送波信号からフィルタを通して副搬送波信号を抽出し、当該副搬送波信号の波形の頂点の電圧値の高低をしきい値を基準として2値化してなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0021】
本発明方法の第3の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における2値化処理が、前記伝送路を流れる無変調の搬送波信号の波形の頂点の電圧値の高低をしきい値を基準として2値化してなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0022】
本発明方法の第4の特徴は、上記本発明方法の第2の特徴における2値化処理が、前記副搬送波信号の波形の各頂点の電圧値を予め指定した回数サンプリングし、当該サンプリングされた電圧値からキャリブレーションにより当該電圧値の平均値を求め、当該平均値から所定の割合を減算した値をしきい値としてなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0023】
本発明方法の第5の特徴は、上記本発明方法の第3の特徴における2値化処理が、前記無変調の搬送波信号の波形の各頂点の電圧値を予め指定した回数サンプリングし、当該サンプリングされた電圧値からキャリブレーションにより平均値を求め、当該平均値から所定の割合を減算した値をしきい値としてなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0024】
本発明方法の第6の特徴は、上記本発明方法の第1、第2、第3、第4又は第5の特徴における特徴点の抽出開始位置を検出する処理が、前記2値化された信号データの信号の計測を開始した位置での値を取得し、当該取得された値が予め決められた特徴点の抽出開始位置の値と等しい場合には、当該値と異なる値となるまで順次前記2値化された信号データの値を取得していき、再度取得された値が前記予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しくなった場合に、当該位置を特徴点の抽出開始位置と決定してなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0025】
本発明方法の第7の特徴は、上記本発明方法の第1、第2、第3、第4、第5又は第6の特徴における特徴点抽出タイミング情報が、判別したい前記データ伝送方式の組合せとその組合せを判別する際の前記特徴点を抽出するタイミングである非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0026】
本発明方法の第8の特徴は、上記本発明方法の第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7の特徴におけるデータ伝送方式判別条件情報が、前記各データ伝送方式で通信を行う前記リーダライタ及び前記非接触ICカード毎の各ビット信号の組合せから抽出される特徴点群の取り得る値の範囲である非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0027】
本発明方法の第9の特徴は、上記本発明方法の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の特徴におけるデータ伝送方式判別条件情報が、誤判別に備え、前記特徴点群の信号値の取りうる値の範囲外の例外値情報をも有してなる非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法の構成採用にある。
【0028】
一方、本発明装置の第1の特徴は、非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する伝送路モニタ装置であって、前記伝送路を流れる信号を取得し、当該信号を2値化し、2値化された信号データとして出力する電圧取得手段と、当該電圧取得手段からの2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となり得る特徴点の抽出開始位置を特定する特徴点抽出開始位置特定手段と、前記特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報が記憶されている特徴点抽出タイミング情報記憶手段と、前記2値化された信号データから前記特徴点抽出タイミング情報に従って、特徴点の値を抽出し、特徴点群を形成していく特徴点抽出手段と、複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報が記憶されているデータ伝送方式判別条件記憶手段と、前記特徴点群と前記データ伝送方式判別条件情報を対比し、データ伝送方式を判別する伝送方式判別手段と、当該判別されたデータ伝送方式を出力する伝送路モニタ手段と、を具備してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0029】
本発明装置の第2の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴における電圧取得手段が、前記伝送路を流れる信号を受信するアンテナと、当該受信した信号から搬送波信号を濾波し副搬送波信号のみを取得するローパスフィルタと、当該副搬送波信号の波形の各頂点の電圧値の高低をしきい値を基準として2値化する2値化手段と、を有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0030】
本発明装置の第3の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴における電圧取得手段が、前記伝送路を流れる信号を受信するアンテナと、当該受信した信号の無変調の搬送波信号波形の各頂点の電圧値の高低をしきい値を基準として2値化する2値化手段と、を有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0031】
本発明装置の第4の特徴は、上記本発明装置の第2の特徴における2値化手段が、前記副搬送波信号の波形の各頂点の電圧値を取得し、当該取得した各頂点での電圧値から平均値を求めるキャリブレーションを行い、当該平均値から所定の割合を減算した値をしきい値として2値化する機能構成を有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0032】
本発明装置の第5の特徴は、上記本発明装置の第3の特徴における2値化手段が、当該無変調の搬送波信号の波形の各頂点の電圧値を取得し、当該取得した各頂点での電圧値から平均値を求めるキャリブレーションを行い、当該平均値から所定の割合を減算した値をしきい値として2値化する機能構成を有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0033】
本発明装置の第6の特徴は、上記本発明装置の第1、第2、第3、第4又は第5の特徴における特徴点抽出開始位置特定手段が、前記2値化された信号データの信号の計測を開始した位置での値を取得し、当該取得された値が予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しい場合には、当該値と異なる値となるまで順次前記信号データの値を取得していき、再度取得された値が前記予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しくなった場合に、当該位置を特徴点の抽出開始位置と決定する機能構成を有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0034】
本発明装置の第7の特徴は、上記本発明装置の第1、第2、第3、第4、第5又は第6の特徴における特徴点抽出タイミング情報が、判別したい前記データ伝送方式の組合せとその組合せを判別する際の前記特徴点を抽出するタイミングである伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0035】
本発明装置の第8の特徴は、上記本発明装置の第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7の特徴におけるデータ伝送方式判別条件情報が、前記各データ伝送方式で通信を行う前記リーダライタ及び前記非接触ICカード毎の各ビット信号の組合せから抽出される特徴点群の取り得る値の範囲である伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0036】
本発明装置の第9の特徴は、上記本発明装置の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の特徴におけるデータ伝送方式判別条件情報が、誤判別に備え、前記特徴点群の取りうる値の範囲外の例外値情報をも有してなる伝送路モニタ装置の構成採用にある。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を装置例及び方法例につき詳細に説明する。まず、本発明の装置例を具現化する基本ハードウェア構成につき、簡単に説明しておく。
【0038】
(基本ハードウェア構成)
図1に、本発明の特徴である伝送路モニタ装置1、リーダライタ2及びISO/IEC14443で規定されている非接触ICカード3で構成されるシステムを示す。4は、リーダライタ2から非接触ICカード3への伝送路を流れる信号を示し、5は、それとは逆の非接触ICカード3からリーダライタ2への伝送路を流れる信号を示している。
【0039】
リーダライタ2/非接触ICカード3間の信号は、伝送路モニタ装置1の構成要素であるアンテナ6で取得される。当該アンテナ6の仕様等の詳細については後述する。アンテナ6で受信された信号は、RF(高周波)部7で受信され、CPU(中央処理装置)又はFPGA(Field Programmable Gate Array )8の解析等の処理に供される。RAM(Ramdom Access Memory)11は、信号情報を一時的に記憶する等に利用され、ROM(Read Only Memory)12は、モニタ装置の起動処理を行うための命令等が格納されている記憶手段である。入出力装置9は、処理の入力や処理結果の出力に供され、キーボードやCRT(Cathode Ray Tube)等により実現されるものである。
【0040】
また、HDD(Hard Disk Drive )10は、CPU11がリーダライタ2と非接触ICカード3間の信号を解析する際の命令や実行形式を保存するために供される記憶手段である。本発明の特徴である伝送路モニタ装置1の構成要素である各手段は、このHDD10の内容によって具現化されるものである。
【0041】
次に、本発明の対象としているISO/IEC14443で規定されているリーダライタ2と非接触ICカード3間の通信について、その原理を簡単に説明しておく。なお、ISO/IEC14443についての詳細は、上述した文献に委ねることとする。
【0042】
(ISO/IEC14443規格のリーダライタ/非接触ICカードの通信規約)
リーダライタ2と非接触ICカード3間の通信は、13.56MHzの搬送波が利用されている。そして、リーダライタ2から非接触ICカード3への信号送信4は振幅変調方式が採用され、非接触ICカード3からリーダライタへの信号返信5は847.5kHzの副搬送波を利用した負荷変調方式が採用されている。
【0043】
図2に、ISO/IEC14443に規定されている信号の波形を示す。前述したように、ISO/IEC14443には信号インターフェースとしてTypeAとTypeBと呼ぶ方式が規定されている。これらは、それぞれ変調方式がそれぞれ異なるものである。また、リーダライタ2から送信する信号の変調方式と非接触ICカード3から送信する信号の変調方式も異なる。
【0044】
したがって、図2に示しているとおり、TypeAとTypeBのそれぞれのリーダライタ2と非接触ICカード3により、波形が異なっている。なお、本図の波形の右にある英数字は、その信号のビット値を表したものである。
【0045】
図3に図2にしめした波形の説明を詳細に示している。本図は、搬送波信号の波形を示し、図に示すように1ビット128波長からなっている(但し、本図においては64波長しかないが、図面作成の便宜上のため省略したものである。)。一方、副搬送波信号は1ビット16波長からなり、搬送波波長の8波長分である。すなわち、搬送波波長の8波長分である。そして、図3は、1ビット128波長の搬送波信号を副搬送波の波数16個で区切り、各部に1から16の番号を付すことを表している。図2は、このようにして得られた波形を、データ伝送方式、ビット毎に並べたものである。
【0046】
以上の基本ハードウェア構成、及びリーダライタ/非接触ICカード間のデータ伝送方式を踏まえて、本発明の装置例1を図4を参照しながら説明することとする。
【0047】
(装置例1)
図4に、本発明の装置例1に係る伝送路モニタ装置1の内部構成を示す。図に示すとおり、伝送路モニタ装置1は伝送路4、5を流れる信号を取得しデータ伝送方式を判別する機能を有するデータ伝送方式判別装置13と、当該データ伝送方式判別装置13の実行結果を表示する伝送路モニタ手段15からなる。
【0048】
データ伝送方式判別装置13の構成に付き、以下、詳細に説明する。データ伝送方式識別装置13は、伝送路4、5を流れる電磁波を受信し、時間とともに変化する電圧値に変換する機能を有する電圧取得手段14と、電圧取得手段14からの出力値から各種処理を行い、伝送方式を判別する各手段とから構成されている。
【0049】
まず、電圧取得手段14の構成について説明する。アンテナ16は、伝送路4、5を流れるリーダライタ2から送信される信号と、非接触ICカード3から送信される信号波形を受信する。当該アンテナ16は、例えば13.56MHzと共振するループアンテナ等が用いられ、伝送路内に設置される。
【0050】
信号増幅回路17は、アンテナ16で受信した電磁波の高周波電流を増幅するものであり、例えば、アンプなどにより構成される。ここで、アンプは受信した信号の大きさにあわせてゲインを自動的に調整する手段等を有していてもよい。
【0051】
信号増幅回路17から出力された増幅された信号波形は、ローパスフィルタ18に入力される。ローパスフィルタ18は、当該信号から13.56MHzの搬送波をマスクし、847.5kHzの副搬送波の信号電圧を出力する。図5、図6、図7にローパスフィルタ18の動作として、フィルタリングについての一例を示す。図5は、信号増幅回路17によって増幅された生信号波形の例であり、ここでは、非接触ICカード3からの信号を示しており、サンプリングレート66MS/s(MegaSamples/second)でサンプリングされている。
【0052】
図6は、ローパスフィルタによって、フィルタリングされた後の信号波形を示す。そして、最終的に、適当なしきい値で変換することにより、図7に示されるような方形波を得ることができる。
【0053】
このときの方形波は、例えば、最大値の電圧が1Vで、最小値の電圧が0Vの波形等であるが、最大値及び最小値の電圧は実装方法によって異なってもよい。
【0054】
ここでは、ローパスフィルタとして、サンプリング周波数が3.39MHz、カットオフ周波数が0.3MHzの窓関数にHammingを使った20次のFIRフィルタを適用している。図8に適用したローパスフィルタの減衰特性の例を示しておく。なお、図7に示されるような方形波が得られれば、使用されるフィルタやそのフィルタリングについてはこれに限られない。
【0055】
以上のフィルタリングによって得られた方形波は、2値化手段19に入力されて2値化される。2値化手段19は、この方形波をサンプリングし、適当なしきい値を基準として電圧の大小により2値化する。図9に、この2値化過程の図を示す。図9(a)は、生信号波形であり、これをローパスフィルタにより方形波へ変換されたのが図9(b)、図9(c)は(b)に示す波形をしきい値を0.5Vとして、これを基準に電圧の大小から2値化している。ここでは、しきい値よりも電圧値が高いときは「1」((a)の信号波形において振幅が低いところ)を、しきい値よりも電圧値が低いときは「0」((a)の信号波形において振幅が高いところ)を与えている。その結果、2値化された信号データとして「000101010101」が得られる。
【0056】
また、2値化手段19は、信号増幅器17からの昇圧され出力された搬送波信号をローパスフィルタ18に入力し、その出力として得られた副搬送波信号からキャリブレーションを行う機能を有する。これは、アンテナ16と図1に示す伝送路4、5との距離の相違により受信する信号のレベルが異なるためである。具体的には、信号増幅器17によって昇圧された、伝送路4を流れる信号をローパスフィルタ18に入力し、その出力として得られた副搬送波信号の信号波形の頂点値を数ポイントづつ取得し、その電圧の平均値を信号計測のための基準値とする。これら信号電圧値はRAM等のメモリに一時的に記憶される。
【0057】
そして、取得した信号電圧の最大値と最小値の差を測定し、その範囲から無変調の搬送波であることを確認すると、先に算出された平均値を使ってしきい値を算出する機能を有する。
【0058】
ここで、平均値の求め方は、RAM等の一時記憶装置に保存した電圧を全て加算し、取得回数で除算する方法であってもよい。平均値から所定の割合(電圧値を「0」と「1」との2値データに分けるのに適当な割合)を減算した値がしきい値となる。
【0059】
また、このときのサンプリングレートは66MS/s(Mega-Samples per second )程度としてある。本発明実施の形態に示した13.56MHzの搬送波信号を判別するためには、サンプリング定理から、最小で13.56×2=27.12MS/sのサンプリングレートで信号電圧をサンプリングすればよいが、より高いS/N比(信号雑音比)を得るため、66MS/sで信号電圧をサンプリングしている。
【0060】
一方で、クロック生成回路20は、信号増幅回路17によって増幅された搬送波又はローパスフィルタ18からフィルタリングされた副搬送波の信号波形から頂点を検出して、各頂点の時間間隔を周期とするタイミングを参照クロックとして生成する。このとき、PLL(位相同期ループ)等が用いられる。また、信号増幅回路17によって増幅された信号のゼロクロス点を求めて、そのタイミングを参照クロックとしてもよい。
【0061】
以上が、電圧取得手段14内の各部の機能であり、最終的には、2値化された信号データと、クロックが出力され、データ伝送方式判別装置13のその他の各手段の処理に供される。
【0062】
次に、本発明の特徴である2値化された信号データから特徴点を抽出する過程を実現する各手段につき説明することとするが、前提となる各用語の意味に付き、図10を用いて先に説明しておく。
【0063】
本図においては、TypeAの非接触ICカード3の[01]ビットの信号を例として示している(この信号波形は、図2のTypeA非接触ICカード3の[0]ビットと[1]ビットの信号波形を用いて得られるものである。)。本発明では、信号2ビット分のデータでデータ伝送方式が異なるリーダライタ2及び非接触ICカード3からの信号を判別することができるため、2ビット分の信号が必要となる。
【0064】
ここで、信号の下に付された「10101010000000000000000010101010」という数字列はアナログ−デジタル変換によりデジタルデータとされたものであり、信号の電圧値を示すものである。以下、この信号を例として各用語の説明をする。
【0065】
先ず、「特徴点」とは、図示されているように、伝送路を流れる信号の中から、値を取得するタイミングを示すものである。本図においては、特徴点は、特徴点1〜特徴点5として矢印で示される5点と特徴点抽出開始位置として矢印で示される1点である。また、このタイミングは、判別したいデータ伝送方式の信号波形毎に予め定まっているものである。
【0066】
そして、この特徴点の信号値(図10における「1」、「0」、「0」、「0」、「0」、「0」)は、選択された特徴点の位置の信号の電圧値である。「特徴点抽出開始位置」とは、特徴点を取得する一番最初のタイミングであり、本発明の実施形態では最初に「1」が出現したときとしてある。この点の詳細は後述する。
【0067】
「特徴点群」とは、これら特徴点の電圧値を並べた時の値であり、本図においては、「100000」である。この値が、判別条件値と比較するための値となる。
【0068】
「判別条件値」は、判別するデータ伝送方式の信号の特徴点群の電圧値の取る値の範囲であり、本図においては、TypeAの非接触ICカード3の信号を用いているため、その範囲は「100000」([01]ビット信号)≦TypeAカード≦「101010」([10]ビット信号)である。
【0069】
ここで、[10]ビット信号の場合は、上述したように、最初に「1」が出現したときを「特徴点抽出開始位置」としているため、図2においてTypeAの非接触ICカード3の[1]ビット信号と[0]ビット信号を並べたものを図10で示したものと同様の方法に従い特徴点を抽出することにより得られたものである。
【0070】
本図においては、抽出された特徴点群が「100000」であるため、100000≦TypeAカード≦101000の範囲にあり、判別対象の信号は、TypeAの非接触ICカード3からリーダライタ2へ返信された信号であることがわかる。
【0071】
以上の各用語の定義を元にして、図4の残りの各手段に付き説明する。特徴点抽出開始位置特定手段21は、電圧取得手段14の2値化手段19より出力された2値化された信号データから特徴点抽出開始位置の検出を開始する。このとき、2値化された信号データの値が「0」か「1」かを判別することによって検出が行われる。本発明の実施形態では、最初に「1」を検出した位置を特徴点抽出開始位置としている。
【0072】
ここで、測定を開始した位置の値が「1」であったときは誤判別が生じうる可能性がある。この点を図11を参照しながら説明する。本図においては、信号振幅が小さい点(これに「1」というデジタルデータを付している。)から計測を開始している。この場合、上述した特徴点を抽出するタイミングで特徴点を抽出していくと、得られた特徴点群は正規の判別条件値に適合するものではない。
【0073】
したがって、このような誤判別を防ぐために、図11に示すように、一度信号振幅が上がった後、一番最初に下がった点を特徴点抽出開始位置としている。
【0074】
特徴点抽出開始位置特定手段21は、上記した誤判別を以下のように防止する機能を有している。即ち、測定を開始した位置が「1」であるというフラグをRAMなどの一時記憶に記憶し、特徴点抽出開始位置を検出している間はフラグが未だ存在しているかどうかを適時確認する。
【0075】
フラグが立っている間は、「1」を検出してもそれが正当な特徴点抽出開始位置とはならないため、何も処理せず、検出を続ける。そして、「0」が検出されると、フラグをRAMなどから消去する。次に「1」が検出されると、当該位置を特徴点抽出開始位置であると認識し、特徴点抽出開始位置を決定する。ここで、このフラグは一時記憶に保存される変数であってもよく、実現する手段の別を問うものではない。
【0076】
特徴点抽出タイミング情報記憶手段23は、特徴点を抽出するときのタイミング間隔の情報を記憶している。この特徴点抽出タイミング情報は、特徴点抽出開始位置特定手段21によって特定された特徴点抽出開始位置を起点として、どのタイミングで信号を取得していくかが記載されているものである。当該タイミング情報を例示すると以下のようになる。
【0077】
例えば、TypeAリーダライタ2及びTypeA非接触ICカード3と、TypeBリーダライタ2及びTypeB非接触ICカード3とを判別したい場合には、図3で示した1番目の部分を特徴点抽出開始位置とすると、続く2、9、10、17、18番目の各部を特徴点抽出タイミングとし、これらの番号を付された位置の信号を順次取得していくように情報が構成されている。ここで、上述したように、データ伝送方式の判別には2ビット分の信号が必要であるため、17、18番目の値は続くビットの最初の1、2を示すものである。図12に他のデータ伝送方式に従うリーダライタ2や非接触ICカード3の信号波形から特徴点群を抽出する流れを示す。本図において棒線は特徴点の位置を示す。
【0078】
また、TypeBリーダライタ2及びTypeB非接触ICカード3を判別したい場合には、1の次に2を取得すれば、判別が可能であるため、これらの特徴点抽出タイミングが情報として構成されている。
【0079】
従って、実際の情報形式は、「判別対象の伝送方式の組合せ、特徴点」として、
「TypeAリーダライタ・TypeA非接触ICカード・TypeBリーダライタ・TypeB非接触ICカード:2、9、10、17、18
TypeBリーダライタ・TypeB非接触ICカード:2
…」
のように保存されている。
【0080】
なお、保存形式は、テキスト形式やCSV形式等、後述する特徴点抽出手段22によって可読であればよく、特に限定されるものではない。
【0081】
特徴点抽出手段22は、特徴点抽出開始位置特定手段21から取得した特徴点抽出開始位置と特徴点抽出タイミング情報記憶手段23に格納される特徴点抽出タイミング情報を用いて特徴点を抽出していく。ここで、特徴点を抽出していく際の信号周期のタイミングは、電圧取得手段14のクロック生成回路20にて生成されたクロックが用いられる。このようにして、特徴点抽出手段22は、特徴点の信号値を取得していく。ここで、図13、図14にTypeAリーダライタ2、TypeBリーダライタ2、TypeA非接触ICカード3及びTypeB非接触ICカード3のそれぞれの2ビットデータ分の特徴点群の値を示しておく。本図において、棒線は特徴点の位置(1、2、9、10、17、18)を示している。
【0082】
伝送方式判別条件記憶手段25には、伝送方式を判別するときの条件である伝送方式判別条件情報が記憶されている。当該条件の情報は、例えば、以下のように記述されている。
【0083】
「100000≦x≦101000:TypeA非接触ICカード
101001≦x≦101010:TypeB非接触ICカード
110000≦x≦110011:TypeAリーダライタ
111100≦x≦111111:TypeBリーダライタ」
【0084】
ここで、xは特徴点抽出手段22から得られた特徴点群であり、xが上記の4条件の内の範囲のどれかに該当すれば、該当する信号を発した媒体が判別できるというものである。なお、保存形式は、テキスト形式やCSV形式等、後述する伝送方式判別手段24によって可読であればよく、特に限定されるものではない。これにより、判別したいデータ伝送方式の変更に対応して無駄な処理を行うことなく高速にデータ伝送方式を判別することが可能となる。
【0085】
伝送方式判別手段24は、特徴点抽出手段22から得られた特徴点群をこの伝送方式判別条件情報と比較し、データ伝送方式を判別する。最終的には、伝送路モニタ手段3によって判別結果が出力される。
【0086】
以下、例外的な処理について説明しておく。例外的な処理としては2点あり、(1)TypeBリーダライタ2からの信号でビットが「1」から始まるものについては、無変調の信号と見分けがつかず、(2)特徴点抽出開始位置が信号の途中であった場合には、他の信号方式と誤判別してしまう場合がある。
【0087】
上記(1)の問題点の場合には、ビットが「0」が出現してから判別を開始することで解決できるため、特徴点開始位置特定手段21は特段の処理を行うことなく、この問題点に対処できる。
【0088】
上記(2)の問題点の場合については、図15を参照して説明する。本図において、TypeBの非接触ICカードで[01]ビットの信号の途中で計測を開始しており、開始位置の次の状態が[0]の値を取るため、この点を特徴点抽出開始位置として特徴点を抽出している。
【0089】
その結果、抽出された特徴点群は「100101」という値になり、信号を送信した対象がTypeBの非接触ICカードであるにもかかわらず、上記した伝送方式判別条件情報と比較するとTypeAの非接触ICカードとなってしまい、誤判別となる(「100000≦x≦101000」)。
【0090】
しかし、図15をみてわかるとおり、「100101」という条件値はTypeAの非接触ICカードには存在しないので、この状態をTypeBの非接触ICカードに対する例外値として含めるによって、問題を回避できる。同様にして、全ての誤判別のケースを考慮して、TypeBの非接触ICカードの許容範囲を「101101」まで広げ、「110100」を例外値として含めることで、TypeAリーダライタ2、TypeA非接触ICカード3、TypeBリーダライタ2及びTypeB非接触ICカード3の判別が可能となる。
【0091】
以上の例外処理を考慮し、データ伝送方式判別条件記憶手段25に、TypeB非接触ICカード3に対する例外値として「100101」と「110100」を判別条件として記憶させておく。これにより、通信の途中であってもデータ伝送方式を判別することが可能となる。
【0092】
以上、本発明の実施形態に係る装置例1について説明してきたが、装置構成は本発明の目的を達成する範囲内においては適宜変更して実施可能である。
【0093】
(方法例1)
続いて、前記の装置例1を用いたデータ伝送方式判別方法につき、図16を参照しながら説明する。図16は、本発明の実施形態に係る方法例1の処理を表すフロー図である。
【0094】
先ず、電圧取得手段14内のアンテナ16が伝送路を流れる信号4、5を受信し(ST1)、信号増幅回路17により、当該信号を認識可能な電圧まで昇圧する(ST2)。
【0095】
次に、増幅された信号をローパスフィルタ18によりフィルタリングする(ST3)。このフィルタリング処理は、上述したように、13.56MHzの搬送波をマスクし、847.5kHzの副搬送波の電圧信号を取り出す。そして、ローパスフィルタ18から出力される波形は、最大値が1Vで最小値が0Vの方形波となる。前述した通り、この時の最大値及び最小値の電圧は実装方法によって異なってもよい。
【0096】
次に、ローパスフィルタ18によって出力された方形波を、2値化手段19によって2値化する(ST4)。このときのしきい値は、最大値が1Vで最小値が0Vの方形波にあっては、例えば0.5Vとする。この結果、2値化されたデータは、例えばTypeAリーダライタ2の[01]ビットを表す信号にあっては、図12から読み取れるように、「11100000000000000000000011100000」となる(ここでは、振幅が大きい部分を「0」とし、振幅が小さい部分を「1」としている。)。
【0097】
また、クロック生成回路20は、信号増幅回路17によって増幅された搬送波又はローパスフィルタ18からの副搬送波の周期を利用してクロックを生成する(ST5)。当該クロックは、特徴点抽出手段22が特徴点を抽出していく処理に供されるものである。クロックの生成は、前述のとおり、PLLなどを用いる。
【0098】
以上の処理の結果として、電圧取得手段14からは2値化されたデータとクロックが出力され、これらを用いてリーダライタ2、非接触ICカード3間のデータ伝送方式を判別するための特徴点を抽出していくことになる。
【0099】
電圧取得手段14から出力された2値化された信号データは、特徴点抽出開始位置特定手段21に入力され、当該データから特徴点抽出開始位置が決定される(ST6)。図17に当該処理を具体的に説明してある。以下、本図につき説明していくことにする。
【0100】
先ず、入力された2値化されたデータの計測開始点の信号値を取得する(ST61)。この2値化されたデータは、例えばTypeAのリーダライタ2からの[01]ビット信号である場合には、上記した通り「11100000000000000000000011100000」である。
【0101】
次に、当該計測開始点の信号値が「0」であるか「1」であるかの判断処理が行われる(ST62)。本発明の実施形態では、最初に「1」が出現したときを特徴点抽出開始位置と規定しているため、計測開始点の信号値が「0」である場合と、「1」である場合とで、別処理を行わなければならないからである。
【0102】
信号値が「0」の場合には、次の処理として、計測開始点の次の信号値の値を取得する(ST63)。そして、この信号値が「0」である場合には、さらに次の信号値を取得する(ST63)。この処理は、信号値が「1」となるまで繰り返すことになる(ST64)。
【0103】
最終的に、ST64の判断処理で、信号値が「1」であると判断された場合には、次の処理に移り、この信号値の対応する点が特徴点抽出開始位置であると認定される(ST69)。
【0104】
また、計測開始点での信号値を取得した結果、信号値が「1」であると判断された場合には(ST62)、これを特徴点抽出開始位置と判定すると、他のデータ伝送方式と誤判別する可能性があるので、一度「0」が出現してから、その後に「1」が出現した点を特徴点抽出開始位置とするようにする。
【0105】
この処理につき説明する。ST62で信号値が「1」と判断されると、RAM等の一時記憶装置に、計測開始点としてふさわしくないことを意味するフラグを立てる(ST65)。続いて、次の信号値を取得し(ST66)、この信号値が「0」であるか「1」であるかを判断する(ST67)。「1」と判断された場合には、さらに次の信号値を取得し(ST66)、ST67の判断処理を受けることになる。これらの処理は、「0」の信号値が得られるまで、繰り返される。
【0106】
ST67の処理で、信号値が「0」であると判断されると、フラグは消去される(ST68)。以後の処理は、ST62で信号が「0」であると、判断された場合の処理と同じ処理が実行されるため(ST63)、説明は省略する。
【0107】
以上の特徴点抽出開始位置特定処理(ST6)の実行後、特徴点抽出開始位置が特定され、特徴点抽出手段22は、この特徴点抽出開始位置を起点として、特徴点抽出タイミング情報記憶手段23に格納された特徴点抽出タイミング情報に記述されたタイミングで特徴点を抽出していく(ST7)。ここで、信号の周期間隔のタイミングはクロック生成回路から生成されたクロックが用いられる(ST7)。
【0108】
また、特徴点抽出タイミング情報記憶手段23に格納された特徴点抽出タイミング情報は、前述したように、
「TypeAリーダライタ・TypeA非接触ICカード・TypeBリーダライタ・TypeB非接触ICカード:2、9、10、17、18
TypeBリーダライタ・TypeB非接触ICカード:2
…」
という形式で格納されている。
【0109】
特徴点抽出処理(ST7)の例として、TypeAリーダライタ2、TypeA非接触ICカード3、TypeBリーダライタ2、TypeB非接触ICカード3のデータ伝送方式を判別したい場合につき、説明する。
【0110】
ISO/IEC14443で規定されているTypeAリーダライタ2の[0]ビット+[1]ビットの信号値は、図12に示すとおり、「11100000000000000000000011100000」である。したがって、特徴点抽出開始位置は「1」となる。
【0111】
そして、特徴点抽出タイミング情報は、「2、9、10、17、18」であるから、特徴点抽出開始位置を1番目の信号値として、順次2番目、9番目、10番目、17番目、18番目の信号値を取得していくことになる。したがって、実行においては、まず、特徴点抽出開始位置の信号値である「1」をCPU内のレジスタに代入し、それから1ビットシフトして「10」として、次の特徴点抽出位置である2番目の信号値「1」を代入して特徴点群として「11」を得る。この処理を、9番目、10番目、17番目、18番目の信号値についても繰り返すと、結果として特徴点群「110000」を得る。
【0112】
この例以外の特徴点抽出処理は、各データ伝送方式のリーダライタ2や非接触ICカード3にビットデータの信号値や特徴点群が図13、図14に示されているので、上述した例と同様に実行されるため、説明は省略する。
【0113】
このように、判別したいデータ伝送方式の変更に対応して、無駄な処理を行うことなくデータ伝送方式を判別できるので、高速な判別が可能となる。
【0114】
特徴点抽出処理(ST7)により、特徴点群が抽出されると、伝送方式判別手段24は、当該特徴点群とデータ伝送方式判別条件記憶手段に記憶されているデータ伝送方式判別条件とを比較して、データ伝送方式を判別する(ST8)。ここで、データ伝送方式判別条件は上記したように、以下のような形式で保存されている。
【0115】
「100000≦x≦101000:TypeA非接触ICカード
101001≦x≦101010:TypeB非接触ICカード
110000≦x≦110011:TypeAリーダライタ
111100≦x≦111111:TypeBリーダライタ」
ここで、xは特徴点抽出手段22から得られた特徴点群であり、xが上記の4条件の内の範囲のどれかに該当すれば、該当する信号を発した媒体が判別できるというものである。
【0116】
そして、先の例で得られたTypeAのリーダライタ2の[01]ビットの特徴点群は「110000」であるため、データ伝送方式判別条件と照らし合わせると110000≦x≦110011の条件式を満たしているため、データ伝送方式判別対象となる媒体はTypeAリーダライタ2であることがわかる。
【0117】
これにより、読み取った信号をデコードすることなく、低レイヤでデータ伝送方式を判別することができるので、非常に高速な判別が実現される。
【0118】
以下、前述した例外的な処理についての本方法例1による回避策につき説明する。前述した通り、例外的な処理としては2点あり、(1)TypeBリーダライタ2からの信号でビットが「1」から始まるものについては、無変調の信号と見分けがつかず、(2)特徴点抽出開始位置が信号の途中で会った場合には、他の信号方式と誤判別してしまう場合がある。
【0119】
上記(1)の問題点の場合には、ビットが「0」が出現してから判別を開始することで解決できる。TypeBのリーダライタ2のビット[0]の信号値の1番目の値は1であるため、次に0が出現するときに判別を開始すればよく、ST6による処理を特段変更することなく、この問題に対処できる。
【0120】
また、上記(2)の問題点の場合については、前述した通り、データ伝送方式判別条件として、TypeB非接触ICカード3に対する例外値として「100101」と「110100」をも判別条件として含めることにより、ST8の処理は特段の変更も無く、この問題に対処できることになる。これにより、通信の途中であってもデータ伝送方式を判別することが可能となる。
【0121】
以上、本発明の実施形態にかかる方法例1につき説明してきたが、フィルタリング処理(ST3)、2値化処理(ST4)や特徴点抽出開始位置特定処理(ST6)等は、前述した例にとらわれるもので無く、本方法例1の実施により得られる効果を奏する範囲内で、適宜実施変更可能である。
【0122】
(装置例2)
以下に、本発明の実施形態に係る装置例2を図18を参照しながら説明する。装置例2は、装置例1に係る電圧取得手段14においてローパスフィルタ18を設けていない点が異なっているものである。すなわち、本装置例2は、装置例1と2値化する手段が異なっている。したがって、この点のみ説明し、重複する構成手段についてはその説明を省略することとする。
【0123】
アンテナ16が伝送路を流れる電磁波信号4、5を受信すると、当該信号は信号増幅回路17により、信号電圧が他の手段によって認識可能となるまで昇圧される。
【0124】
クロック生成回路20は、信号増幅器17からの昇圧された搬送波信号を受信し、クロックを生成する。クロックは、搬送波信号の頂点値を取得していき、頂点値群の周期からクロックを生成していくことになる。また、クロック生成回路20は、生成したクロックを特徴点抽出手段22と2値化手段19´に出力する。
【0125】
一方、2値化手段19´は、信号増幅器17からの昇圧された搬送波信号からキャリブレーションを行う機能を有する。これは、アンテナ16と図1に示す伝送路4、5との距離の相違により受信する信号のレベルが異なるためである。具体的には、信号増幅器17によって昇圧された、伝送路4を流れる信号の信号波形の頂点値を数ポイントづつ取得し、その電圧の平均値を信号計測のための基準値とする。これら信号電圧値はRAM等のメモリに一時的に記憶される。
【0126】
そして、取得した信号電圧の最大値と最小値の差を測定し、その範囲から無変調の搬送波であることを確認すると、先に算出された平均値を使ってしきい値を算出する機能を有する。
【0127】
ここで、平均値の求め方は、RAM等の一時記憶装置に保存した電圧を全て加算し、取得回数で除算する方法であってもよい。また、無変調の搬送波周波数を使うのは、取得した信号に含まれる無変調の信号と変調された信号の割合によってしきい値が変化してしまうことを避けるためである。そして、取得した最大値と最小値の差が測定誤差範囲内である場合に取得した値群は無変調であると認識され、平均値から所定の割合(電圧値を「0」と「1」との2値データに分けるのに適当な割合)を減算した値がしきい値となる。
【0128】
また、2値化手段19´は、クロック生成手段20´から入力されたクロックを用いて、搬送波信号のサンプリングを行う。この時のサンプリングレートは装置例1で説明した通り、66MS/s程度でよい。最終的に、特徴点を抽出していく際に必要となる2値化されたデータは、128波の搬送波を1ビット当たりの副搬送波の波数である16で区切ったものである点は、装置例1と同様である(図3参照)。そのため、クロックを利用して、搬送波8波毎に信号を取得していく。
【0129】
最終的に、2値化手段19´は、サンプリングされた信号を先に求めたしきい値により、2値化する。即ち、しきい値よりも電圧が高ければ「0」とし、電圧が低ければ「1」と判断する。この作業は、図19に示している。本図において、(a)は生信号波形を示し、(b)はこの信号波形の頂点値を適当なしきい値(ここでは、125mVとしている。)を基準として2値化している。結果として、「…010…」という2値化されたデータが得られる。
【0130】
ここで、信号増幅回路17を実現するアンプが信号の大きさを自動的に調整する機能を有する場合には、キャリブレーションを行わなくてもよく、その場合は、予め設定されたしきい値が用いられる。
【0131】
このようにして、2値化されたデータが電圧取得手段14´から出力され、以後、特徴点抽出開始位置特定手段21や特徴点抽出手段22の処理の用に供される。これら手段は、装置例1と同様であるため説明は省略する。
【0132】
以上、装置例2につき説明してきたとおり、伝送路4、5を流れるリーダライタ2又は非接触ICカード3からの搬送波信号を直接2値化することで、ローパスフィルタを介さずとも、装置例1と同様な効果を奏することが可能となる。
【0133】
(方法例2)
続いて、前記の装置例2を用いたデータ伝送方式判別方法につき、図20を参照しながら説明する。図20は、本発明の実施形態に係る方法例2を処理を表すフロー図であるが、2値化する処理が方法例1と異なるのみであるので、2値化する処理のみ詳細に説明することとする。
【0134】
先ず、伝送路4、5を流れる搬送波信号をアンテナによって取得し(ST1)、当該搬送波信号は認識可能な電圧まで増幅される(ST2)。その後、この増幅された信号は、クロック生成回路により、信号電圧の頂点値群を検出し周期を取得することにより、クロックが生成される(ST5)。
【0135】
次に、増幅された搬送波信号は、2値化手段19´によりキャリブレーション過程に供される。2値化処理の詳細を図21に示す。先ず、信号増幅回路17により増幅された搬送波信号の波形から頂点値群を取得していく(ST4´1)。このとき、頂点値群はRAM等の一時記憶装置に保存する。次に、頂点値群からキャリブレーションの基準値とされる平均値を算出する(ST4´2)。平均値は、頂点値群の電圧値をすべて加算し、取得回数で除算する方法を採用するが、算出方法はとくに、これに限られるものではない。
【0136】
次に、取得した頂点値群の電圧値の最大値と最小値の差から、取得した信号の範囲が無変調の搬送波であることを確認する(ST4´3)。この確認は、上述したとおり、後にしきい値を求める際に、取得した信号に含まれる無変調の信号と変調された信号の割合によってしきい値が変化してしまうことを避けるためである。
【0137】
次に、平均値から2値化するに最適となる程度に所定の割合を減算して、しきい値を算出する(ST4´4)。
【0138】
続いて、2値化手段19´は、信号増幅回路17からの増幅された搬送波信号の波形をクロック生成回路20´により入力されたクロックを用いてサンプリングする(ST4´5)。この時のサンプリングレートは、前述したとおり、66MS/s程度である。このサンプリングは、クロックを利用して、搬送波8波毎に信号を取得していく。
【0139】
最終的に、2値化手段19´は、ST4´4で求めたしきい値をもとにサンプリングされた信号を2値化する(ST4´6)。ここでは、しきい値よりも信号電圧が高ければ「0」とし、信号電圧が低ければ「1」とする。
【0140】
以上の処理を順次実施することにより、2値化されたデータが出力され、以後の特徴点開始位置特定処理(ST6)、特徴点抽出処理(ST7)が順次実施されていく。
【0141】
以上、本発明の実施形態に係る装置例1及び方法例1並びに装置例2及び方法例2について説明してきたが、本発明を実施する際には、必ずしも上記した手段、手法に限定されるものではなく、下記する効果を奏する範囲において適宜変更実施することが可能なものである。
【0142】
例えば、2値化手段での処理は、特徴点を抽出した後でもよい。この場合には、特徴点群抽出開始位置特定手段に包絡線の検波をする機能を持たせ、特徴点抽出手段は当該信号電圧を受信し、特徴点を抽出できるように機能構成をしておくことで対処でき、その後に2値化することを除けば、特段の変更無く本発明の実施形態に係る各装置例で実施することができる。本方法例についても同様である。
【0143】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、伝送路を流れる信号を取得し、データ伝送方式に特有な信号値である特徴点を取得し、これを予め記憶されているデータ伝送方式に特有の判別条件と比較することが可能となるため、複数のデータ伝送方式のいずれで通信が行われているか不明なリーダライタ及び非接触ICカードのデータ伝送方式を適切に判別することができる。
【0144】
また、特徴点を抽出する開始位置が不適切であった場合には、特徴点抽出開始位置を再度変更したり、抽出された例外値を予め判別条件として記憶させることで、通信の途中であってもデータ伝送方式を判別することが可能となる。
【0145】
また、本発明では、取得した信号をデコードすることなく、判別のためのデータとして使用することができるので、低レイヤでデータ伝送方式を判別することができ、また、判別処理も非常に高速なものとなる。
【0146】
また、判別条件は、判別したいデータ伝送方式の組合せという形式で記述されているため、判別したいデータ伝送方式の変更に対応してデータ伝送方式を判別することができるようになるため、無駄な処理を行うことがなく非常に高速に判別することを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る伝送路モニタ装置の基本ハードウェア構成を示す図である。
【図2】ISO/IEC14443に規定されるTypeA、TypeBのリーダライタ及び非接触ICカードの信号1ビット分の波形を示す図である。
【図3】リーダライタ、非接触ICカードの搬送波を副搬送波の波数分で区切り、各部分に番号を付す際の説明を示している図である。
【図4】本発明の実施形態に係る装置例1の伝送路モニタ装置のブロック図である。
【図5】ローパスフィルタによってフィルタリングされていく過程の各段階での信号波形を示すものであり、非接触ICカードからリーダライタへ送信される生信号波形である。
【図6】図5に示す波をローパスフィルタを通した後の波形を示す。
【図7】図6に示す波を適当なしきい値により方形波に変換された後の波形を示す。
【図8】各ローパスフィルタの減衰特性を示す図である。
【図9】ローパスフィルタを通した信号から2値化された信号データを生成する過程のイメージを示す図である。
【図10】本発明の各用語の定義を説明する図である。
【図11】特徴点抽出開始位置を検出する方法を示す図である。
【図12】特徴点を抽出する方法を示す図である。
【図13】TypeA、TypeBそれぞれのリーダライタの2ビット信号の組合せの特徴点群を示す図である。
【図14】TypeA、TypeBそれぞれの非接触ICカードの2ビット信号の組合せの特徴点群を示す図である。
【図15】TypeBの非接触ICカードの特徴点抽出開始位置を誤って決定してしまった場合に発生する誤判別を説明するための図である。
【図16】本発明の実施形態に係る方法例1のフローを示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る方法例1の特徴点抽出開始位置特定処理の詳細を示すフロー図である。
【図18】本発明の実施形態に係る装置例2の伝送路モニタ装置のブロック図である。
【図19】信号の頂点値群から2値化された信号データを生成する過程のイメージを示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る方法例2のフローを示す図である。
【図21】本発明の実施形態に係る方法例2の2値化処理の詳細を示すフロー図である。
【図22】ISO/IEC14443で規定されるTypeAのリーダライタから非接触ICカードへのリクエストコマンドの一例を示す図である。
【図23】ISO/IEC14443で規定されるTypeBのリーダライタから非接触ICカードへのリクエストコマンドの一例を示す図である。
【符号の説明】
1、1´…伝送路モニタ装置
2…リーダライタ
3…非接触ICカード
4…リーダライタから非接触ICカードへの伝送路を流れる信号
5…非接触ICカードからリーダライタへの伝送路を流れる信号
6…アンテナ
7…RF部
8…CPUまたはFPGA
9…入出力装置
10…HDD
11…RAM
12…ROM
13…データ伝送方式判別装置
14、14´…電圧取得手段
15…伝送路モニタ手段
16…アンテナ
17…信号増幅回路
18…ローパスフィルタ
19、19´…2値化手段
20…クロック生成回路
21…特徴点抽出開始位置特定手段
22…特徴点抽出手段
23…特徴点抽出タイミング情報記憶手段
24…伝送方式判別手段
25…データ伝送方式判別条件記憶手段
Claims (6)
- 非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する方法であって、
先ず、前記非接触ICカードと前記リーダライタ間の前記伝送路を流れる信号を取得し、次に、当該取得した信号の波形の電圧値を用いて2値化処理し、
引続き、当該2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となりうる特徴点の抽出開始位置を検出し、
その上で、当該特徴点の抽出開始位置を起点として、予め記憶されている特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報にしたがって前記特徴点の信号値を抽出し、特徴点群を形成していき、
最終的に、当該特徴点群の値と、予め記憶されている複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報とを比較して、データ伝送方式を判別しており、
前記特徴点の抽出開始位置を検出する処理は、
前記2値化された信号データの信号の計測を開始した位置での値を取得し、
当該取得された値が予め決められた特徴点の抽出開始位置の値と等しい場合には、当該値と異なる値となるまで順次前記2値化された信号データの値を取得していき、
再度取得された値が前記予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しくなった場合に、当該位置を特徴点の抽出開始位置と決定する、
ことを特徴とする非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法。 - 前記特徴点抽出タイミング情報は、
判別したい前記データ伝送方式の組合せとその組合せを判別する際の前記特徴点を抽出するタイミングである、
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法。 - 前記データ伝送方式判別条件情報は、
前記各データ伝送方式で通信を行う前記リーダライタ及び前記非接触ICカード毎の各ビット信号の組合せから抽出される特徴点群の取り得る値の範囲であり、
前記データ伝送方式判別条件情報は、
誤判別に備え、前記特徴点群の信号値の取りうる値の範囲外の例外値情報をも有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の非接触ICカード/リーダライタ間のデータ伝送方式判別方法。 - 非接触ICカードとリーダライタ間の伝送路を流れる信号からデータ伝送方式を判別する伝送路モニタ装置であって、
前記伝送路を流れる信号を取得し、当該信号を2値化し、2値化された信号データとして出力する電圧取得手段と、
当該電圧取得手段からの2値化された信号データから前記データ伝送方式を判別する際の特徴となり得る特徴点の抽出開始位置を特定する特徴点抽出開始位置特定手段と、
前記特徴点を抽出するタイミングが記述された特徴点抽出タイミング情報が記憶されている特徴点抽出タイミング情報記憶手段と、
前記2値化された信号データから前記特徴点抽出タイミング情報に従って、特徴点の値を抽出し、特徴点群を形成していく特徴点抽出手段と、
複数の前記データ伝送方式に特有の信号値が記述されたデータ伝送方式判別条件情報が記憶されているデータ伝送方式判別条件記憶手段と、
前記特徴点群と前記データ伝送方式判別条件情報を対比し、データ伝送方式を判別する伝送方式判別手段と、
当該判別されたデータ伝送方式を出力する伝送路モニタ手段と、
を具備しており、
前記特徴点抽出開始位置特定手段は、
前記2値化された信号データの信号の計測を開始した位置での値を取得し、
当該取得された値が予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しい場合には、当該値と異なる値となるまで順次前記信号データの値を取得していき、
再度取得された値が前記予め決められた特徴点抽出開始位置の値と等しくなった場合に、当該位置を特徴点の抽出開始位置と決定する機能構成を有する、
ことを特徴とする伝送路モニタ装置。 - 前記特徴点抽出タイミング情報は、
判別したい前記データ伝送方式の組合せとその組合せを判別する際の前記特徴点を抽出するタイミングである、
ことを特徴とする請求項4に記載の伝送路モニタ装置。 - 前記データ伝送方式判別条件情報は、
前記各データ伝送方式で通信を行う前記リーダライタ及び前記非接触ICカード毎の各ビット信号の組合せから抽出される特徴点群の取り得る値の範囲であり、
前記データ伝送方式判別条件情報は、
誤判別に備え、前記特徴点群の取りうる値の範囲外の例外値情報をも有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の伝送路モニタ装置。
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