JP4166335B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両走行抵抗の低減のためのスラントノーズ化や車室内居住空間の確保のニーズからエンジンルームは近年ますます狭小化しており、車両用交流発電機の搭載スペースに余裕がなくなってきている。また、燃費向上のためエンジン回転数は下げられ車両用交流発電機の回転も下がっているが、その一方で安全制御機器等の電気負荷の増加が求められ、ますます発電能力の向上が求められている。更にエンジンが小型・軽量化されつつパワーアップされてきた結果、振動が大きくなり、エンジンに搭載される発電機に加わる振動も増大してきた。
【0003】
また、車外騒音低減の社会的要請や車室内静粛性向上による商品性向上の狙いから近年ますますエンジン騒音が低下してきており、とりわけ発電に伴う車両用交流発電機の磁気騒音が耳につきやすい状況となってきた。
以上のことを背景として、小型、高出力、かつ耐振性に優れ、騒音の低い車両用交流発電機を安価に提供することが求められている。
【0004】
ところで、従来の一般的な車両用交流発電機では、固定子をフロント、リアの両フレームに挟持固定するにあたり、固定子鉄心に当接するフレームの開口部端面近傍に、両フレームの対向する位置に複数個のつば部を外径方向に設け、このつば部にボルト穴やねじ穴を形成し、通しボルトによって締着固定を行っている。
【0005】
この時、図11に示すように、フレーム104、105の外径位置にあるつば部142、152を通しボルト113によって軸方向に締め付けるため、モーメント分力Mが加わり、椀状のフレームの開口部端面が歪み、固定子鉄心132とフレーム104、105との当接面積は減少する。これにより、当接面の面圧力が局部的に上昇するので、一般にアルミ製のフレームが、鉄製の固定子鉄心の端面縁部によって削られ磨耗する。
【0006】
上述の様に発電機に加わる外部からの振動が増加する近年の環境の下では、更にこの磨耗が加速される。磨耗が進行すると、フレーム間の軸方向距離が短くなるため、固定子鉄心とフレームを軸方向に締着固定している通しボルトにゆるみが発生するので、以下の問題に至る。即ち、回転子と固定子との中心軸がずれることにより、回転子外周と固定子内周とのエアギャップが不均一となるため、エアギャップを介して発生する両者の磁気吸引力も不均一となるので、磁気騒音が増加する。
【0007】
また、通しボルトのゆるみにより、発電機全体の剛性が低下するので外部振動と共振現象を生じる場合もあり、これにより固定子鉄心がフレームとの間で周方向に相対移動する回動現象が生じ、固定子巻線と整流器との接続線が断線し、発電停止に至る危険性がある。また、共振による発電機全体の振動急増により、整流器などの各種部品に過大なストレスが加わり、破損する可能性も高まる。
【0008】
一方、安価な車両用交流発電機を提供するために、図9に示すように、固定子鉄心132には帯状の鋼板を螺旋状に巻き取り形成されるヘリカル型鉄心が一般的に用いられる。よって、分離された鋼板を積層した鉄心に対して、ヘリカル型固定子鉄心は螺旋状巻き取りを容易とするため鋼板が薄いとともに、巻き取られた鋼板の中でも外周部に近いほど薄くなるため、剛性が低下する。これにより、通しボルトによる締着力によって固定子鉄心が変形し易く、内周の真円度悪化により磁気騒音増大の問題もある。
【0009】
上記の問題点の対策として、フレームと固定子鉄心との固定を通しボルトの締め付けによるものではなく、フレームをあらかじめ加熱し、フレーム内周に固定子鉄心をはめ込むホットインサート方式を採用した車両用交流発電機が従来から知られている。
このようなホットインサート方式においては、そのための生産工数、設備が増えるので安価な発電機の供給を阻害する要因となる。また、発電時に発電機の温度が上昇すると、フレーム材料であるアルミと固定子鉄心材料である鉄との膨張率の違いによってはめあいはゆるむ方向となり、その状態でもなお充分なしまりばめを確保しようとすると、逆に車両停止時には常にフレームに大きな引っ張り応力が負荷されることとなり、寒冷地域においてフレーム割れの問題さえ生ずる。フレームを固定子鉄心と同じ鉄で作れば、膨張率の違いによるはめあいのゆるみは無くなるが、磁束漏れによる出力低下や、加工費および重量の大幅増加の問題がある。ヘリカル型固定子鉄心を使用する場合は、前述のように剛性が低下するのでフレームとのしまりばめによる変形が大きくなり、内周真円度悪化とその結果としての磁気騒音の増大という問題もある。
【0010】
また、図12に示すように、ヘリカル型の固定子鉄心132の軸方向端面の外周部に断面L字状の切り欠き312を切削加工など適宜な機械加工によって形成することによって、固定子鉄心132とフレーム104、105との当接面を軸方向と共に径方向にも確保した構造が従来から知られている。
しかし、固定子鉄心の軸方向端面の外周部に断面L字状の切り欠きを形成する方法においては、加工費増加はさることながら、切削等の加工中に固定子コイルの絶縁皮膜が傷つけられて絶縁不良が生じる原因ともなる。特に、近年の小型、高出力化のために固定子鉄心の軸方向にある固定子コイルエンドの外径は拡大し、逆に固定子鉄心の外径は小さく設定されるので、上記の固定子コイルへの損傷はますます発生しやすい。
【0011】
また、通しボルトの軸方向締着力を上げることにより、固定子鉄心とフレーム間の固定力を上げることも考えられる。しかし、この場合には、モーメント分力Mも増加し、椀状のフレーム開口部端面が更に歪むので、これを低減すべくフレーム円筒外周部を厚肉化してフレームの剛性を上げる必要がある。この時、フレーム開口部の変形歪みを低減するため厚肉化してフレーム剛性を高めることにより、充分な効果を得るためには、つば部を含めフレーム全体の外径厚を相当増大させる必要があり、エンジンへの搭載スペース上、および重量増加の問題がある。
【0012】
また、モーメント分力Mが増加することにより、通しボルト近辺の固定子鉄心が内周側に変形して鉄心内周の真円度が悪化するため、回転子外周と固定子内周とのエアギャップが不均一となり、磁気騒音が増大するという新たな問題も生ずる。これを解決するために、特開平7−245901号公報に記載のように、通しボルトを締め付けるフレームつば部の近傍に切り欠きを設け、固定子鉄心の変形を防止するものがある。
【0013】
しかし、特開平7−245901号公報の方法では、剛性の低いヘリカル型固定子鉄心を使用することによる内周真円度悪化による磁気騒音増大の問題は、依然として存在する。
また、特開平8−163798号公報や特開平7−31086号公報に開示された各種の回転電機のように、通しボルトによって締め付けるヨークや固定子の最外周よりも内径側に通しボルトの中心位置を自由に設定することができれば、上述したモーメント分力Mを低減することができるが、車両用交流発電機に用いられている固定子鉄心は、小型化や巻き線の高占積率化によってスロット部外周側に余裕がないため、これらの公報に開示された手法をそのまま車両用交流発電機に適用することは難しい。また、車両用交流発電機の固定子鉄心の外周側に通しボルト用の凹部を形成して通しボルトの中心位置を回転中心に近づけようとすると、特に最近のように高出力化に伴って回転子によって生じた起磁力の磁路面積を確保しながらこのような凹部を形成することは容易ではなく、車両用交流発電機の出力の低下を伴うことになるため、不用意に通しボルトの位置を回転中心に近づけることは好ましくない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一対のフレームの間に固定子鉄心を挟持する構成において、それらフレームを締め付ける通しボルトのゆるみを防止することを目的とする。
本発明は、小型高出力化を図った場合でも、優れた耐振動性を実現し、低騒音の車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、一対のフレームを締め付けるボルトの組付性を改善することを目的とする。
本発明は、一方のフレームに形成した雌ねじへの通しボルトの組付性を改善することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の発電機は、ヘリカル型固定子鉄心の外周部に軸方向に沿った凹部を持ち、凹部にガイドされた通しボルトの軸中心位置を規定することにより、通しボルトの軸方向締着の際のモーメント分力を大幅に低減し、フレームと固定子鉄心との当接面の磨耗を抑制し、通しボルトのゆるみ発生を防止するとともに、ヘリカル型固定子鉄心の変形を抑制して磁気騒音の増加を防止したものである。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、軸方向端部の少なくとも片側にファンを有する界磁回転子と、前記回転子の外周に対向配置され、内径側の複数のスロット部と外径側の継鉄部を有する固定子鉄心と前記スロット部内に収納された固定子コイルを備えた固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持する一対の椀形状のフレームと、前記固定子を前記一対のフレームによって軸方向に締着固定している通しボルトとを備えた車両用交流発電機において、前記固定子鉄心は、帯状の鋼板を螺旋状に巻き取り、その結果外周部に近いほど薄い鋼板が積層され略円筒状を為し、前記継鉄部の軸方向端面は外周端部に切り欠きを形成することなく前記フレームの椀状部の開口部端面に当接されており、略円筒状の前記固定子鉄心の外周面には軸方向に複数本の窪んだ凹部が形成され、前記通しボルトの軸中心が前記固定子鉄心の外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の1だけ半径の大なる同心円の内側と、前記固定子鉄心の外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の2だけ半径の小なる同心円の外側との領域に配置されると共に、前記凹部は略半円状であり、前記通しボルトが断面円状であるとともに、前記通しボルトが略半円状の前記凹部にガイドされることで、前記通しボルトの軸中心が前記凹部における前記固定子鉄心の仮想最外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の1だけ半径の大なる同心円内に配置され、かつ前記固定子コイルは、その少なくとも前記スロット部内に位置する部分がスロット部形状に沿った略矩形形状の導体からなるものであり、複数のコイルによって前記スロット部内は略充填されていることを特徴としている。これにより、磁気回路上の磁路断面の減少による出力低下を抑えることができる。
【0018】
これにより、通しボルトの軸方向締着力によるモーメント分力が大幅に低減され、フレーム開口部端面の歪みが抑制されるので、固定子鉄心とフレームとの軸方向の当接面積が確保でき、フレーム当接面の磨耗進行が防止されて、通しボルトの軸方向締着力が保持されるとともに、軸方向締着力はほとんどが固定子鉄心とフレームの固定のために作用するので、発電機全体の剛性が向上し、近年のエンジンからの外部振動条件の厳しい環境下に対応できるようになる。
【0019】
これにより、通しボルトの外径が凹部に沿ってガイドされるので、通しボルトを組み付ける時に雄ねじを雌ねじ部に挿入し易くなり、雌ねじ部の開口部に大きなガイドを施す必要もなく、組み付け性と加工性が向上する。また、固定子全体の剛性が向上するので、通しボルトの締め付けによる固定子鉄心の変形とそれに伴う固定子鉄心内周の真円度不良が防止され、磁気騒音の増加を防ぐことができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、請求項1もしくは2において、前記固定子鉄心は前記凹部表面において、軸方向に沿った溶接により接合されていることを特徴としている。これにより、通しボルトの締め付けによって圧縮力が働く当該凹部の剛性がより高まり、固定子鉄心の変形が防止されるので内周の真円度不良による磁気騒音の増大も無くなるとともに、鉄心とフレームの当接面近傍に溶接の盛り上がり等が無いため、組付け作業性も向上する。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、請求項1もしくは2において、前記通しボルトの外周面は、前記凹部と対向した部分において前記凹部と極近接していることを特徴としている。このようにして通しボルト内にも磁力線を通過させることにより、近接していない場合に比べ、固定子鉄心内の磁路拡大の役割を担うことができるので、出力が向上する。なお、ここでの極近接とは0.4mm以下の距離を表す。
【0025】
なお、通しボルトの材質としては、磁性材料を用いることができる。また、両フレームには、固定子鉄心の外周面に対向する内周面を形成することが望ましい。この構成にあっては、内周面がつば部に対応して径方向外側に拡大されることで上記ガイド部が形成される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら説明する。
図1から図3は本発明の第一の実施形態を示したもので、図1は本実施形態の自動車用交流発電機の主要部の軸方向断面図、図2は本実施形態の固定子周辺の軸方向断面図(回転子を除く)、図3は本実施例の固定子周辺の径方向断面図(回転子を除く固定子コイルの一部)を示している。車両用交流発電機1は、界磁として働く回転子2、電機子として働く固定子3、回転子2と固定子3を支持するフレーム4、5、固定子3に電気的に接続されて交流電力を直流に変換する整流器6等から構成されている。
【0027】
回転子2は、シャフト6と一体になって回転するものであり、1組のランデル型ポールコア7、冷却ファン9、フィールドコイル8、スリップリング11等によって構成されている。シャフト6は、プーリ12に連結され、車両に搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回転駆動される。
固定子3は、固定子鉄心32、固定子コイル33、及び固定子鉄心32と固定子コイル33の間を電気絶縁するインシュレータ34で構成されている。固定子鉄心32は磁極歯部35と継鉄部36よりなり、磁極歯部35と継鉄部36に囲まれたスロット部37に固定子コイル33及びインシュレータ34が収容される。また、図4に示すように、固定子鉄心32は帯状の鋼板材39を螺旋状に巻き取り、継鉄部36の外周が略円筒形状になるように形成される。外周面には軸方向に沿って略半円形状の凹部38が複数形成されており、凹部38の周方向巾の中心線は磁極歯部35の巾の中心線とほぼ一致している。なお、図4に示すように凹部38は、あらかじめ帯状の鋼板材39を形成する行程でプレス加工などにより形成されている。
【0028】
フレーム4、5は、アルミ製である。フレーム4、5は、ほぼ椀型の形状をもっている。フレーム4、5の開口部には、固定子鉄心32の外周面と対向する内周面40、50が十数mmの深さにわたって設けられている。さらに、その奥側には、軸方向に面した端面41、51が形成されている。これら端面41、51は、固定子鉄心32の継鉄部36の外径寄りの端面と当接している。さらに、フレーム4、5の開口部には、対をなすつば部が複数の対、フレーム4、5の外周に等間隔で設けられている。この実施形態では、つば部42、52が、4対、90度間隔で設けられている。一方のつば部42には、通しボルト13の雄ねじと螺合する雌ねじ孔42aが形成され、他方のつば部52には、通しボルト13が貫通して配置される貫通孔52aが形成されている。さらに、つば部42には、ガイド部42bが設けられている。このガイド部42bは、内周面40をつば部42に対応して径方向外側に凹状に拡大して形成されている。このガイド部42bは、固定子鉄心32に形成された凹部38と共同して、雌ねじ孔42aと同軸状のガイド通路42cを区画する。複数対のつば部42、52に対応した位置に固定子鉄心32の凹部38が合致するようにフレーム4、5と固定子3が相互配置され、つば部42、52のいずれか一方に形成された貫通穴から差し込まれた通しボルト13は、固定子鉄心32の外周面に形成された凹部38にガイドされて、つば部42、52のいずれか他方に形成された対向するねじ穴に挿入組み付けされている。通しボルト13の軸方向の締着力により、固定子鉄心32の軸方向両端面はフレーム4、5に挟持されて固定子鉄心32が固定される。この実施形態では、通しボルト13の直径をφdとして、その中心は、固定子鉄心32の外径直径φDよりも、約φd/7だけ外側に配置されている。図2、3に示すように、固定子鉄心32の外径をφD、通しボルト13の軸断面の最大内接円直径をφd、通しボルト13の軸中心と外径φDとの外径方向に沿った距離をXとしたときに、Xはdの3分の1以下になるように通しボルト13の位置が設定されている。また、通しボルト13の外周と凹部38との距離は0.35mmに設定した。
【0029】
図5は、通しボルトの径方向位置のみを変えたフレームを用意し、比率X/dを変化させて車両用交流発電機単体での振動試験を実施した後の通しボルト13のトルクを測定し、試験前の所定の締め付けトルク値に対する比率を求めた結果を示している。振動試験は、フレームに形成された取り付け穴43を使ってボルト、ナットによって車両用交流発電機を加振盤上の取り付け治具に締付固定して行った。また、振動条件は、実際にエンジンに搭載されている車両用交流発電機に加わる振動環境を考慮して、加速度を200m/s2 とし、周波数を100Hzから400Hzまでを5分間で往復させ、車両用交流発電機の径方向と軸方向にそれぞれ10時間加振した。通しボルト13は、車両用交流発電機に一般的に用いられているM5ねじとし、固定子3は、通しボルト4本によって両フレーム間に狭持した。その結果、Xをdの3分の1(X/d=0.33)以下に設定すれば、通しボルト13のトルク低下は大幅に改善されることが判明した。即ち、上記の設定により、通しボルト13のゆるみによる磁気騒音の増加や固定子回動によるコイル断線、及び各部の振動による破損を防止できる。
【0030】
X/d比率が大きいと通しボルトのゆるみが大きくなる理由を、従来の構造事例を示した図11を参照しながら、以下に説明する。
図11に示すように、通しボルト113が固定子鉄心132の外周よりも径方向外側に位置する場合には、通しボルト113によってつば部142、152を軸方向に締め付けると、固定子鉄心132の軸方向両側面縁部321を支点とした大きなモーメント分力Mが生じ、フレーム開口部端面141、151が傾き、その結果、開口部端面141、151と固定子鉄心132とは、側面縁部321でのみ当接する。よって当接部の面圧力は高い状態となる。加えて、固定子は車両用交流発電機の中でも大きな重量を占めるので振動による荷重も大きく、エンジンから軸方向の振動を受けるので上記当接面の面圧力は更に大きくなる。以上により、固定子鉄心132よりも材料硬度の低いフレームの開口部端面141、151が削られ、磨耗する。磨耗によってつば部142、152間の距離が短くなり、通しボルト113の軸方向締着力が低下し、その結果通しボルト113のゆるみが発生する。また径方向の外部振動によって、上記の磨耗がフレームの当接面全体に波及していき、更に車両用交流発電機の振動が増幅され、磨耗を促進させる。Xをdの3分の1以下に設定すれば、これらの問題点が解決できる。
【0031】
また、本実施形態ではモーメント分力Mを大幅に減少させてフレーム開口部の歪みを抑制しているため、固定子鉄心32の内周側への変形も抑えられ、固定子鉄心32内周の真円度不良による磁気騒音の増加もない。
本実施形態では、冷却ファン9を車両用交流発電機1内部に配置させた高冷却構造とすることによって熱損失を低減して高出力化を達成できたので、ヘリカル型固定子鉄心32の外周部に凹部38を形成しても、車両ニーズを充分満足する出力を確保することができる。
【0032】
更に、本実施形態では、通しボルト13を凹部38と極近接させて配設しているので、通しボルト13内にも磁力線を通過させることができ、近接していない場合に比べ固定子鉄心32内の磁路面積拡大の役割をある程度担うことができるので、出力が向上する効果もある。
〔その他の実施形態〕
上述した第一の実施形態では、固定子コイル33をスロット部37内に隙間をもって充填していたが、図6に示すように、断面がスロット部37の形状に沿った矩形形状の導体からなる固定子コイル133を用い、スロット部37内部をほぼ完全に充填するようにしてもよい。これにより、スロット部37も継鉄部36と一体となり、固定子3全体の剛性が高まるので、通しボルト13の締め付けによる固定子鉄心32の変形に対する耐力が向上し、固定子鉄心32内周の真円度不良による磁気騒音の増加を抑止できる。
【0033】
第一の実施形態では、凹部38は巻き取り前にあらかじめ帯状の鋼板材39の段階でプレス加工などで形成されているが、巻き取り後の除去加工で形成しても構わない。また、凹部38は略半円形状の軸方向断面を持つものとしたが、通しボルト13のガイドとなるのであれば、軸方向断面形状が三角形や四角形などの多角形であってもよい。
【0034】
第一の実施形態では、通しボルト13のゆるみ防止のために、通しボルト13の中心軸が固定子鉄心32の外周より外側にある場合の位置を規定しているが、通しボルト13の中心軸が固定子鉄心32外周よりも内側に配置された場合には、いかに通しボルト13が磁路として働くとしても空隙が存在するので、空隙増加による出力低下の問題は残る。そこで、図7に示すように、固定子鉄心32の外径をφD、通しボルト13の軸断面の最大内接円直径をφd、通しボルト13の軸中心と外径φDとの内径方向に沿った距離をYとし、比率Y/dを変化させて、車両用交流発電機の出力値の変化を調査した。定格出力が70A、100A、130Aクラスのそれぞれの車両用交流発電機について、周囲温度20°C、5000rpmでの飽和出力を測定し、Y/d=−0.5、即ち凹部38が無い場合の出力値を1として、Yの増加による出力値比率を測定した結果を図8に示す。なお、通しボルト13には、このクラスの車両用交流発電機に標準的に用いられているM5サイズを4本使用した。図8に示した測定結果から、Yをdの3分の2(Y/d=0.66)以下に設定すれば、出力低下を抑制できることが判った。よって、高出力保持の面から、通しボルト13の軸中心と凹部38における固定子端面の仮想最外径との内径方向に沿った距離が、通しボルト13の断面の最大内接円直径の3分の2以下とすることが望ましい。したがって、通しボルトの中心は、φD−φd×2/3以上であって、φD+φd/3以下の円内に配置されることが望ましい。
【0035】
また、通しボルト13は軸方向断面は円形状が一般的であるが、多角形の断面を有するものでもよい。この場合、本発明で規定した通しボルトの直径φdとしては、多角形の最大内接円の直径を用いればよい。
また、フレーム4、5のいずれか一方のつば部42あるいは52に通しボルト13の貫通穴を設け、他方のつば部42、52にねじ穴を設けたが、両方に貫通穴を設けてボルトとナットを使って固定子鉄心32を両端面から締着固定してもよい。
【0036】
更に、フレーム4、5のそれぞれのつば部42、52は、フレーム外周から径方向に突出している場合が一般的であるが、このつば部42、52が車両用交流発電機1をエンジンに搭載するためにフレーム外周に突出している取り付けステー部に近接している場合は、このステー部の一部をつば部42、52と兼用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態の車両用交流発電機の主要部断面図である。
【図2】第一の実施形態の車両用交流発電機の固定子周辺の軸方向断面図である。
【図3】第一の実施形態の車両用交流発電機の固定子周辺の径方向断面図である。
【図4】固定子鉄心の製作方法を示す図である。
【図5】通しボルトの径方向位置とボルトのトルクの関係を示す図である。
【図6】固定子コイルがスロット部形状に沿った略矩形状とした場合の固定子の部分的な断面図である。
【図7】その他の実施形態における固定子周辺の径方向断面図である。
【図8】通しボルトの径方向位置と出力の関係を示す図である。
【図9】従来の固定子鉄心の制作方法を示す図である。
【図10】ヘリカル型の固定子鉄心をフレームに挟持した状態の説明図である。
【図11】従来の固定子締着固定時における作用を表す軸方向断面図である。
【図12】ヘリカル型の固定子の端面外周部に切り欠きを設け、フレームに挟持した場合の説明図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 回転子
3 固定子
4、5 フレーム
13 通しボルト
31 段差部
32 固定子鉄心
33 固定子コイル
35 磁極歯部
36 継鉄部
37 スロット部
38 凹部
39 鋼板材
41、51 端面
42、52 つば部

Claims (3)

  1. 軸方向端部の少なくとも片側にファンを有する界磁回転子と、前記回転子の外周に対向配置され、内径側の複数のスロット部と外径側の継鉄部を有する固定子鉄心と前記スロット部内に収納された固定子コイルを備えた固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持する一対の椀形状のフレームと、前記固定子を前記一対のフレームによって軸方向に締着固定している通しボルトとを備えた車両用交流発電機において、
    前記固定子鉄心は、帯状の鋼板を螺旋状に巻き取り、その結果外周部に近いほど薄い鋼板が積層され略円筒状を為し、前記継鉄部の軸方向端面は外周端部に切り欠きを形成することなく前記フレームの椀状部の開口部端面に当接されており、略円筒状の前記固定子鉄心の外周面には軸方向に複数本の窪んだ凹部が形成され、前記通しボルトの軸中心が前記固定子鉄心の外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の1だけ半径の大なる同心円の内側と、前記固定子鉄心の外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の2だけ半径の小なる同心円の外側との領域に配置されると共に、
    前記凹部は略半円状であり、前記通しボルトが断面円状であるとともに、前記通しボルトが略半円状の前記凹部にガイドされることで、前記通しボルトの軸中心が前記凹部における前記固定子鉄心の仮想最外径よりも前記通しボルトの径方向断面直径の3分の1だけ半径の大なる同心円内に配置され、かつ
    前記固定子コイルは、その少なくとも前記スロット部内に位置する部分がスロット部形状に沿った略矩形形状の導体からなるものであり、複数のコイルによって前記スロット部内は略充填されていることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1において、
    前記固定子鉄心は前記凹部表面において、軸方向に沿った溶接により接合されていることを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項1もしくは2において、
    前記通しボルトの外周面は、前記凹部と対向した部分において前記凹部と極近接していることを特徴とする車両用交流発電機。
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