JP4165985B2 - ガスメーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、離散型に測定される瞬時流量を測定する瞬時流量測定手段を備えたガスメーターであって、測定される瞬時流量から利用流量等を導出するガスメーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスメーターに使用される流量計としては、膜式のものが主流であるが、その利便性等との関係から、現今、超音波を利用したメーター、熱伝導式流量センサーを利用したメーターが提案されている。
このようなメーターにあっては、その測定原理から、取り込まれる流量は、時間的に離散して得られる瞬時流量であり、そのデーター列は離散型である。
【0003】
一方、メーター下流側に供給されるガス流量を検出するためのガスメーターにあっては、流量の不感帯が設けられる。
この不感帯は、原則的には、測定原理等との関係から、測定の信頼性が確保できない場合に、この不安定な領域を零出力とするものである。
通常、この不感帯の上限は、上記のようにして設定され、ガスメーターの機種、号数(メーターにより測定される標準流量によって設定される)によって、予め設定される一定値とされる。
更に、従来、この不感帯は常時設定されており、上記の一定値より低い流量が検知された場合は、検知流量がないものとされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、この不感帯に関しては、以下のような事象が発生する。
(1) 不感帯の上限の設定値が低すぎる場合にあっては、メーターを取り付けた各客先にあって、本来の使用量より大きなガス流量を測定する、所謂、オーバーカウント状態を起こす。
(2) 不感帯の上限の設定値が高すぎる場合にあっては、ガス供給が行われているにもかかわらず、ガス供給が無いと測定する不測定ガス量が発生する。
(3) 更に、本来、メーターは、季節、経時変化等によって、その測定精度等が変化し、一般的な意味での誤差項を発生することとなるが、従来、不感帯は、一定に設定されていたために、このような変化に追随せず、不感帯が広い側に設定される。
(4) 流量の測定原理が、離散的に瞬時流量を求め、測定される多数の瞬時流量から利用流量等を求める構成のものにあっては、流れに脈動がある場合、この脈動と離散化された測定タイミングとの関係に起因する誤差が、流量の微小領域の流量測定結果に影響を与える場合があり、このような誤差の影響をも加味して、本来、不感帯は設定されるべきであるが、このような要因は、これまで、何ら顧みられていない。
【0005】
本発明の目的は、離散型に測定される瞬時流量を測定する瞬時流量測定手段を備えたガスメーターにおいて、上記のような問題に対応できる合理的な不感帯を備えたガスメーターを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明による流量導出方法の特徴手段は、請求項1に記載されている様に、瞬時流量のバラツキを表す統計関数、連続する前記瞬時流量の差分からなる数列の統計関数、もしくは単位時間あたりの瞬時流量の変化量からなる数列の統計関数のいずれか1種以上に基づいて、前記不感帯の上限値を設定する不感帯上限設定手段を備えたことにある。
不感帯上限設定手段を備えたものにあっては、不感帯の上限が、前記統計関数のいずれかに基づいて設定される。このような設定にあたっては、不感帯の基底となる一定値の上に、統計関数分が乗るものとしても良いし、統計関数自体から不感帯の幅が決まるものとしてもよい。
さて、本願において使用する統計関数の性質であるが、基本的には、離散化されて測定される瞬時流量のバラツキ、ゆらぎ等を代表できる物理量であり、瞬時流量を離散的に測定する場合に発生しうる誤差を含んだものと見なすことができる。例えば、流量に脈動成分が含まれており、瞬時流量の測定タイミングを乱数化して分散設定する場合に、瞬時流量の測定所要時間は分散処理の対象とできないため、この分の誤差要因が残る。例えば、一定の積算時間T内で、n回の測定を行う場合、一回の測定に要する測定所要時間をΔtとすると、T−n×Δtの時間帯は分散可能で誤差要因は低いが、n×Δtの時間は分散の対象とできない。よって、この時間分の誤差がでる可能性が高い。
このような誤差要因は、本来メーターが測定すべき流量に影響すると共に、同時に、不感帯の信頼性にも影響を与える。従って、不感帯の上限(下限は当然0である)の設定にあたって、これを考慮するものとする。このようにすることで、例えば、測定の誤差要因を除去した状態での流量測定が可能となり、結果的に、不測定流量が過大でない状態でオーバーカウントのない流量測定を精度よく行うことが可能となる。ここで、瞬時流量のバラツキを表す統計関数、連続する前記瞬時流量の差分からなる数列の統計関数、もしくは単位時間あたりの瞬時流量の変化量からなる数列の統計関数のいずれかは、上記のようなゆらぎ等の影響を見るうえで好ましい物理量であるため、好適に採用できる。
【0007】
上記の請求項1記載の導出方法において、請求項2に記載されているように、使用期間内においてメーター下流側に供給された流量である使用流量を、前記使用期間中に測定される前記瞬時流量から求めるに、
前記使用期間内に測定される前記瞬時流量に対して前記不感帯の上限値を適応して、前記使用流量を求めることが好ましい。
この構成を採用することで、利用流量として、過不足の無い流量を得ることができる。
【0008】
さて、上記構成において、前記瞬時流量を測定するための平均測定タイミング間隔が予め設定されており、前記瞬時流量を測定した瞬時流量測定完了時点と後続する瞬時流量開始時点との間の時間である離散間隔に関して、多数の離散間隔の平均値と、前記瞬時流量の測定に要する測定所要時間との和が、前記平均測定タイミング間隔となるように、前記離散間隔をバラツキ処理する離散間隔分散手段を備え、前記統計関数から前記不感帯の上限値を設定するに、前記平均測定タイミング間隔及び前記測定所要時間に基づいて前記上限値を設定することが好ましい。
【0009】
先にも説明したように、離散型の測定構造を有する場合、測定タイミングを乱数化処理等に基づいて分散させたとしても、乱数化できない測定に要する時間分(測定所要時間)に起因する誤差が発生する。そして、測定対象に脈動等があり、この脈動の周期が、平均測定タイミング間隔と一致していると、この脈動分が誤差要因となる前述の統計関数にかなり寄与することとなる。
従って、この寄与分を見越して、誤差としての性質を有する統計関数に基づいて、不感帯の上限を求める場合に、この影響を加味する意味から、平均測定タイミング間隔及び測定所要時間に基づいて上限値を設定すると、完全な分散処理が行えない場合の誤差要因を不感帯の上限値の設定で良好に反映させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本願の実施の形態を、図1に基づいて説明する。
ガスメーター1は、超音波を使用して所定の流れに関する情報を得るための測定管2と、この測定管2からの情報に基づいて、本願にいう瞬時流量を求める系及び得られた瞬時流量から本願にいう使用流量、安全機能用流量を求める系を備えて構成されている。
即ち、ガスメーター1は、前述の測定管2と、この測定管2の出力端2aが接続されるメーター本体7とを備えており、コンピュータとして構成されるメーター本体7内には、前述の両者の処理系が、様々な手段として格納されている。
【0013】
測定管2において、測定対象のガスfは、導入部3から測定管2内に流入し、導出部4より排出される。同図において、測定管2内でのガスfの流れ方向は、大矢印で示すように、図上、左から右である。左側が上流側、右側が下流側である。
測定管2には、この測定管2に対して所定の方向に位置づけて設けられる一対の送受波器5が備えられている。これら送受波器5の離間距離Lは一定とされる。
この送受波器5は、それぞれ、超音波の送波器5aと受波器5bとを備えており、本体側からの指令に従って、一方側の送波器5aでは、超音波を一方側から他方側へ送信可能に構成されていると共に、他方側の受波器5bでは、一方側から所定のタイミングで送信された超音波を受信することにより、その超音波の伝播時間(一方側の送波器5aにおける送信タイミングと他方側の受波器5bにおける受信タイミングの時間差)を割り出すことが可能に構成されている。
この操作は、流れ方向に対して逆転した位置関係にある送波器5aと受波器5bに関しても同様に実行可能とされ、流れ方向に沿った順方向(図上、左から右)と、逆方向(図上右から左)との両方向で、超音波が伝播され、各超音波の伝播時間を求めることができる構成が採用されている。
【0014】
上記構造において、伝播時間の測定は、超音波が、音の伝播方向が流れに沿った方向である順方向に伝播されて、その順方向で超音波が送受波器間を伝播する順方向伝播時間t10を求める動作と、流れに逆らった方向である逆方向に伝播させ、その逆方向で超音波が送受波器間を伝播する逆方向伝播時間t20とを求める動作とを一対として、瞬時流量測定手段6によって実行される。
【0015】
瞬時流量測定手段6は、出力されてくる順方向伝播時間t10と逆方向伝播時間t20とに基づいて、ガスの流速Vx(これは超音波の伝播方向に沿った流速成分)を求めると共に、測定部の断面積S1と、測定部の流量係数βを考慮して、単一回の流量を求める。
流速Vx、瞬時流量Qは、下記式で与えられる。
【0016】
【数1】
Vx=L×(1/t10−1/t20)/2
Q=Vx×S1×β×cos(θ)
【0017】
この瞬時流量Qは、一回の測定により得られる値であり、離散的に測定される。瞬時流量の測定タイミングは、個々に、クロック8a及び分散手段8bを備えた測定時間制御手段8によって与えられる。
この測定時間制御手段8の働きを、図2、図3を参考にしながら説明する。図において、横軸上に離散点として個々の測定タイミングを示した。
個々の測定タイミングの指令を発するのが、この手段8の役割であるが、相互の測定タイミングの設定も、この手段8によって制御される。この制御は、分散手段8bにより以下のようなシーケンスを採用して実行される。
積算時間Tは、ガスメーターの用途等を考慮して、数十分〜数時間等、適切な一定値として予め設定される。また、この積算時間T内における測定タイミングの数(サンプリング数n)も、使用目的等との関係から100〜30000に設定されている。従って、基準となるサンプリング間隔は、1秒程度である。
さて、各測定タイミングは、積算時間をT、超音波による順方向および逆方向を一対とした1回の測定に必要な時間(この測定時間は純粋に測定に必要な時間だけでなく、CPU内の他の演算との兼ね合い等で発生する磁界測定に入れない禁止時間を含む)をΔt、測定タイミングの設定毎に毎回発生される一桁の乱数をNとして以下の式に基づいて設定される。
この場合、ある一回の測定タイミングから次の測定タイミングまでの時間は次のようになる。
【0018】
【数2】
Δt+(T/n−Δt)×N/{(1+Nmax)/2}
ここで、乱数Nは1からNmaxまでの整数の範囲で発生する乱数で、各数の発生する確率が同一のものとする。
このシーケンスを、順次、繰り返す。
【0019】
即ち、分散手段8bにおける処理にあっては、瞬時流量を測定するための平均測定タイミング間隔T/nが予め設定されており、瞬時流量を測定した瞬時流量測定完了時点と後続する瞬時流量開始時点との間の時間である測定タイミング間隔(これを離散間隔と呼び、上記の場合はT/n−Δtである)に関して、多数の離散間隔の平均値と、瞬時流量の測定に要する測定所要時間Δtとの和が、前記平均測定タイミング間隔T/nとなるように、離散間隔をバラツカせることとなる。
従って、この構成を採用することにより、積算時間T内でのサンプリング数nを統計的に確保できると共に、タイミングをバラツカせることで、論理的共鳴による誤差の発生確率を大幅に下げることができる。
図2、3にあっては、実測流量と記載したアナログ表示の流量線上に各点として瞬時流量の測定値を示している。
【0020】
このようにして所定の積算時間T内における複数の瞬時流量Qが得られることとなる。
【0021】
先ず、先に説明した瞬時流量Qから安全機能用流量Qsaを求める系に関して説明する。この系で求まる誤差関数が、後に説明するように、本願の特徴である不感帯の設定に使用される。
【0022】
安全機能用流量Qsaを導出する部位には、積算時間T内に測定される複数の瞬時流量Qから、複数の瞬時流量Qのバラツキを表す第一統計関数を求める第一統計関数導出手段9と、積算時間T内に測定される複数の瞬時流量Qに関して、連続する瞬時流量の差分の統計関数である第二統計関数を求める第二統計関数導出手段10とを備えている。
そして、第一統計関数導出手段9によって求められる第一統計関数と、第二統計関数導出手段10によって求められる第二統計関数との、一方あるいは双方の関数である誤差関数を求める誤差関数導出手段11が備えられている。
更に、誤差関数導出手段11によって求められる誤差関数と、積算流量導出手段12によって求められる積算流量とに基づいて、安全機能用の安全機能用流量Qsaを求める安全機能用流量導出手段13を備えている。
この安全機能用流量導出手段13により得られた安全機能用流量Qsaは、ガスメーター1が備えられている管路(図外)の遮断等の判断用に使用され、必要な場合は、管路の遮断が行われる。
【0023】
以下、上記、図1に示す個々の手段に関して説明する。
イ 積算流量導出手段12
瞬時流量測定手段6から、積算時間内に入力されてくる瞬時流量Qの平均と積算時間との積としての積算流量Qsumを導出する。この手段において、後述するように、本願の特徴構成である不感帯の処理が行われるが、この処理に関しては、再度、説明する。この積算流量Qsumは、安全機能用流量導出手段13、不感帯処理、使用流量導出手段16に送られる。
ロ 第一統計量導出手段9
瞬時流量測定手段6から、積算時間内に入力されてくる瞬時流量Qの標準偏差σを導出する。この標準偏差σは、誤差関数導出手段11に送られる。
ハ 第二統計量導出手段10
瞬時流量測定手段6から、積算時間内に入力されてくる連続する瞬時流量Qの差分の絶対値の平均dmを導出する。この差分の平均dmは、誤差関数導出手段11に送られる。
ニ 安全機能用流量導出手段13
第一統計関数としての標準偏差σ、第二統計関数としての差分の平均dmを重み付けをして得られる誤差関数を、誤差関数導出手段11から受け、入力されてくる積算流量Qsumに対して加減算を行って、安全機能用流量Qsaを求める。
この安全機能用流量は、下記のように表現できる。
【0024】
【数3】
Qsa=Qsum+a1×σ+a2×dm
ここで、a1、a2は、積算時間T等とバラツキ指標の種類に基づいて予め設定している定数である。
【0025】
例えば、(a1、a2)として(−2、0)を採用する場合は、図2、図3における低位側の安全機能用流量(長破線で示す)を与え、(2、0)とする場合は、高位側の安全機能用流量(短破線で示す)を与える。
このような低位側の安全機能用流量を採用すると、脈動による誤作動の約90%を防止することができる。
更に、(a1、a2)として、(0、−dm/sqrt(n))としても良い。この場合も、ほぼ、上記と同様な効果を得ることができる。また、この手法にあっては、判断時間を短縮することができる。
【0026】
(a1、a2)として、互いに有効な数字の組み合わせを採用することも可能であるし、例えば、積算時間内をさらに細かな時間に分割し、その分割された時間内の標準偏差と差分の平均との関係を判断して、脈動と機器のON/OFFによるものとを判別し、上記の組み合わせを変更するものとしても良い。
更に、脈動周期と平均測定タイミング間隔との関係において説明すると、脈動周期が平均測定タイミング間隔より小さい図2に示す状況では、瞬時流量の測定は、脈動の位相に対してほぼランダムに行われることになるから、差分の絶対値の平均は脈動振幅に比例するため、この平均値の倍数をとる方法は妥当性を持つ。
一方、脈動周期が平均測定タイミング間隔より大きい図3のような状況では、バラツキの程度を示す標準偏差と前記平均との両者間は有意差は存在しない。
従って、差分の絶対値の平均の倍数は、本願構造において容易且つ有用に選択・使用できる一つの関数である。
【0027】
以上が、安全機能用流量を求めるための部分であるが、この部分とは並列に、所定の利用期間内で、メーターより下流側に供給されるガス流量を求めるための系が備えられている。
この系は、先の安全用の系と同様に、積算流量Qsum、誤差関数を基本に、利用流量ΣQsumを求める系である。
【0028】
不感帯処理は、先の誤差関数を受けて、積算流量導出手段12における積算流量の導出時に、不感帯処理をおこなうかどうかを設定するための情報を出力するようになっている。
即ち、図1に不感帯処理として示すように、前述の誤差関数を受けて不感帯の上限を設定する不感帯上限設定手段14が設けられていると共に、この不感帯上限設定手段14による設定を適応するかどうか(即ち、装置は、不感帯を設ける不感帯設定状態と、不感帯を設けない不感帯非設定状態とに切り換え自在に構成されている)の判断を行う不感帯設定切り換え手段15を備えている。
このような不感帯に関する情報は、積算流量導出手段12に送られ、この積算流量導出手段12における、前述の積算流量Qsumの導出時に使用される。
以下、各手段を順に説明する。
【0029】
ホ 不感帯上限設定手段14
この手段は、連続する前記瞬時流量の差分からなる数列の統計関数(具体的には先の平均dm)に基づいて不感帯の上限を設定する。
この不感帯は、流量0からその上限値ULmaxまでの領域であり、この上限は以下のように設定される。
【0030】
【数4】
ULmax=ULmin+ΔQ
ΔQ=k1×k2×dm
【0031】
ここで、ULminは、不感帯の最低値(0もしくは有限値)、
k1は乱数発生を伴った分散処理における不完全性に依存する1以上の定数、
k2は、積算時間と同じ周期を有するcos(φ)で代表する脈動が入ってくる場合における超音波測定に必要となる時間Δtの影響を代表する定数であり、乱数化されていない位相領域を−θから+θとし、脈動の周期を−πから+πとした場合に、以下のように定義される。
【0032】
【数5】
k2=k21/k22
k21は、積分領域を−θから+θとする∫cos(φ)dφ
k22は、積分領域を−πから+πとする∫cos(φ)dφ
【0033】
従って、誤差関数である統計関数から不感帯の上限値を設定するに、平均測定タイミング間隔(これは−πから+πに包含される)及び測定所要時間(これは−θから+θに包含される)に基づいて、その寄与分を見込んでいることとなる。
【0034】
この構成を採用することにより、不感帯の上限ULmaxは、瞬時流量の状態によって可変設定される。
この不感帯上限情報は、積算流量導出手段12に送られる。
【0035】
へ 不感帯設定切り換え手段15
この手段は、積算流量導出手段12において瞬時流量Qから積算流量Qsumを導出する場合に、不感帯を設定するかどうかに関する切り換えを行うための手段である。先に示したように、メーターは、不感帯を設ける不感帯設定状態と、不感帯を設けない不感帯非設定状態との両状態で動作可能であるが、この切り換え設定をこの手段が受け持ち、切り換え情報を、積算流量導出手段12に送る。さらに、具体的には、この手段は、使用期間の始点にあって、不感帯設定状態とする切り換え情報を出力し、使用期間内に一定流量を超える流量の測定を行った場合に、不感帯非設定状態とする切り換え情報を出力する。
従って、もし、使用期間内に一定流量以下しかガス流量の測定が行われなければ、不感帯が使用期間中常に適応され、実質上、オーバーカウントを防止できる。
一方、一定量以上の使用があった場合は、不感帯の設定が行われなくなり、従来測定していなかった微小流量域まで、有意な流量とする。結果、不測定流量を発生しないようにできる。
【0036】
イ 積算流量導出手段12
さて、先に説明したように、この積算流量導出手段12は、瞬時流量測定手段6から、積算時間内に入力されてくる瞬時流量Qの平均と積算時間との積としての積算流量Qsumを導出し、この積算流量Qsumを、所定の部位に送るのであるが、この積算流量Qsumの算定時に、前記不感帯の上限情報と、切り換え情報が使用される。
この処理は以下のように行われる。
イー1 不感帯非設定状態
不感帯の設定を一切行わず、積算時間内に入力されてくる瞬時流量を全て積算し、平均瞬時流量を求め、この結果に基づいて積算流量Qsumを求める。
イー2 不感帯設定状態
不感帯上限情報に基づいて、この上限より低い瞬時流量をすべて零瞬時流量出力として、平均瞬時流量を求め、この結果に基づいて積算流量Qsumを求める。この場合、不感帯の設定は行われるのであるが、数4において、ULminが有限の値の場合は、本願が対象とするΔQの適応を行う状態と、行わない状態との両状態を選択可能としても良い。
このようにして求められた積算流量Qsumは逐次、使用流量導出手段16へ送られる。
【0037】
ト 使用流量導出手段16
積算流量導出手段12より逐次送られてくる積算流量Qsumを、所定の使用流量期間内で加算し、使用流量ΣQsumを求め、出力する。
以上のように構成することで、不感帯の上限を測定状況によって可変することが可能となると共に、この不感帯を適応する場合と適応しない場合とを選択できる。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1)上記の実施の形態にあっては、超音波による流量測定をおこなうものを例に挙げたが、離散的に測定される瞬時流量から積算流量を求めるものとしては、熱伝導式流量センサーを流量測定の主要部とするものの他、電磁式等もあり、本願は、これら全てに対して適応可能である。
(2)上記の実施の形態にあっては、誤差関数は積算流量に対して定義されるものであるが、積算時間内が経過した後、得られている複数の瞬時流量から、本願の誤差関数に相当する関数を個々に瞬時流量に対して求め、これに基づいて瞬時流量自体を個々に誤差補正処理を施すことも考えられるが、この手法を採る場合は、瞬時流量の補正および、その補正後の値からの流量の導出という迂回手順をとることとなり、最終的には積算流量に対する安全機能用流量を、求めることが必要となるため、実質的に等価なものであると考えられる。
(3)上記の実施の形態にあっては、第一統計関数として標準偏差を採用しているが、積算流量のバラツキを表す統計関数としては、分散等を採用しても良い。(4)上記の実施の形態にあっては、第二統計関数として、連続する瞬時流量の差分の絶対値の平均値を採用したが、連続して測定される瞬時流量の差分からなる数列の平均値等の統計関数を第二統計関数、単位時間当たりの瞬時流量の変化量からなる数列の平均値等の統計関数を第二統計関数としても良い。更に、流量の一次微分に相当する前記関数の他、二次微分に相当する関数等も採用可能である。
(5)上記の実施の形態にあっては、積算流量と誤差関数とを線形に接続することで、安全機能用流量を得るものとしたが、誤差関数の値に対応して、積算流量に対して一定の割合となる流量を安全機能用流量としても良い。即ち、安全機能用流量は、積算流量と誤差関数から決めることができる。
(6)上記の実施の形態にあっては、不感帯の上限の設定にあたり、差分の平均dmを使用したが、先に説明した標準偏差σ等の瞬時流量のバラツキを表す統計関数を使用しても良いし、連続する瞬時流量の差分からなる数列の統計関数、もしくは単位時間あたりの瞬時流量の変化量からなる数列の統計関数のいずれか1種以上、いずれを使用しても良い。
さらに 上記の実施例においては、数4に示す手順により不感帯の上限を設定するものとしたが、以下のような誤差要因を考慮してΔQを設定するものとしても良い。
【0039】
考慮する誤差
1 測定タイミング間隔の乱数化の不完全性に起因する誤差
ΔQ1
この最大値は、平均流量測定間隔に同期する脈動の振幅をAとして、
A×sin(π×Δt×n/T)/πとなる。
2 積算時間内におけるサンプル数が十分に大きくないことによる誤差
ΔQ2=A×/sqrt(n)
3 測定部を流れるガスの流速分布が定常流と異なることによる誤差
ΔQ3
これは、ΔQ1、ΔQ2に対して充分に小さい。
ここで、Aは、これまで説明してきた差分の二乗平均とすることができ、結果的に、この二乗平均を利用して、本願の誤差関数であるΔQ1+ΔQ2を求め、これから不感帯の上限を設定することも可能である。
このようにして設定する場合の具体的な値は以下のようになる。
T/n=1sec,Δt=0.1sec,n=400,差分の二乗平均を1(m3 /h)2 とすると、A=1m3 /hより、ULmin=0として、
ΔQ1=0.028m3 /h、ΔQ2=0.05m3 /hなり、
ΔQ=0.078m3 /hすることができる。この値を不感帯の上限としても良い。
この誤差関数は、実際に現行のメーターに使用される不感帯の値に近い値を与え、本願手法が有効であることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願のガスメーターのシステム構成を示す図
【図2】脈動周期が短い場合の状況を示す説明図
【図3】脈動周期が長い場合の状況を示す説明図
【符号の説明】
1 ガスメーター
2 測定管
3 導入部
4 導出部
5 送受波器
5a 送波器
5b 受波器
6 瞬時流量測定手段
7 メーター本体
8 測定時間制御手段
8a クロック
8b 分散手段
9 第一統計関数導出手段
10 第二統計関数導出手段
11 誤差関数導出手段
12 積算流量導出手段
13 安全機能用流量導出手段
14 不感帯上限設定手段
15 不感帯設定切り換え手段
16 使用流量導出手段
Claims (2)
- 離散型に測定される瞬時流量を測定する瞬時流量測定手段を備えると共に、所定の微小流量域における流量出力を零流量出力とする流量の不感帯を設けたガスメーターであって、
前記瞬時流量のバラツキを表す統計関数、連続する前記瞬時流量の差分からなる数列の統計関数、もしくは単位時間あたりの瞬時流量の変化量からなる数列の統計関数のいずれか1種以上に基づいて、前記不感帯の上限値を設定する不感帯上限設定手段を備えたガスメーター。 - 使用期間内においてメーター下流側に供給された流量である使用流量を、前記使用期間中に測定される前記瞬時流量から求めるに、
前記使用期間内に測定される前記瞬時流量に対して前記不感帯の上限値を適応して、前記使用流量を求める請求項1記載のガスメーター。
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