以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(参考例)
図1は、本発明の参考例に係る固体撮像素子、例えばCCD撮像素子の全体構成を示す概略構成図である。図1において、撮像部11は、センサ部(画素)12が行列状に配置されてなる画素部と、これらセンサ部12の垂直列ごとに配された複数本の垂直転送レジスタ13からなる垂直転送部とを有する構成となっている。センサ部12は、フォトダイオード等を光電変換素子からなり、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。垂直転送レジスタ13の各々は、信号電荷を順次転送する単位となる転送段(レジスタ段)が多数連なってなるCCDからなり、例えば4相のクロックパルスφV1〜φV4によって駆動されることで、センサ部12から読み出された信号電荷を垂直転送し、ライン単位(行単位)で水平転送部14にシフトする。
水平転送部14は、垂直転送レジスタ13の各々からライン単位でシフトされる信号電荷を並行して水平転送する例えば3本の水平転送レジスタ141,142,143と、これら水平転送レジスタ141,142,143間に設けられ、撮像部11に近い方のレジスタ141,142から遠い方のレジスタ142,143に信号電荷を転送するレジスタ間転送ゲート144,145とを有する構成となっている。
図2に、水平転送部14の具体的な構造を概略的に示す。図中、斜線部はチャネルストップ領域を、破線で囲まれた部分は同一(同相)のクロックパルスが与えられる転送電極をそれぞれ示している。水平転送レジスタ141,142,143の各々は、信号電荷を順次転送する単位となる転送段(レジスタ段)が多数連なってなるCCDからなり、各転送段ごとにm個(mは2以上の整数)、例えば2つの転送電極146,147を有する構成となっている。換言すれば、2つの転送電極146,147とその下のチャンネル部分とによって1つの転送段が構成されている。そして、隣り合う3つの転送段に対応する6個の転送電極を単位とし、これら6つの転送電極の各々には6相(=2個×3)のクロックパルスφH1〜φH6が独立に与えられるようになっている。
レジスタ間転送ゲート144は、水平転送レジスタ141と水平転送レジスタ142との間に、2つの転送電極146,147の少なくとも1単位(1画素)おき、本例では2転送段おき、換言すれば3転送段(6転送電極)ごとに1つ設けられ、ゲート電極にゲートパルスφHHG1が印加されることにより、ゲート電極の下のチャネルを通して水平転送レジスタ141中の信号電荷を水平転送レジスタ142に選択的に転送する。具体的には、レジスタ間転送ゲート144のチャネルの入口が、水平転送レジスタ141の5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のチャネルに連通して形成され、チャネルの出口が水平転送レジスタ142の3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のチャネルに連通して形成されている。
レジスタ間転送ゲート145は、水平転送レジスタ142と水平転送レジスタ143との間に、2つの転送電極146,147の3転送段(6転送電極)ごとに1つ設けられ、ゲート電極にゲートパルスφHHG2が印加されることにより、ゲート電極の下のチャネルを通して水平転送レジスタ142中の信号電荷を水平転送レジスタ143に選択的に転送する。具体的には、レジスタ間転送ゲート145のチャネルの入口が、水平転送レジスタ142の5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のチャネルに連通して形成され、チャネルの出口が水平転送レジスタ143の3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のチャネルに連通して形成されている。
すなわち、水平転送部14は、3本の水平転送レジスタ141,142,143を有する3ch出力の構造を採り、垂直転送レジスタ13の各々からライン単位で水平転送レジスタ141に転送される信号電荷を、レジスタ間転送ゲート144,145の作用によって水平転送レジスタ142,143に振り分けた後、3本の水平転送レジスタ141,142,143によって並行して水平転送することになる。
水平転送部14の3ch分の信号電荷は、電荷検出部15によって電気信号に変換されて出力される。電荷検出部15は、水平転送レジスタ141,142,143の各転送先側の端部に設けられた例えばフローティングディフュージョン構成の電荷電圧変換部151,152,153によって構成され、水平転送レジスタ141,142,143によって転送される3ch分の信号電荷を電圧信号に変換して出力する。
タイミングジェネレータ16は図示せぬドライバ等と共に、上記構成の3ch出力のCCD撮像素子を駆動制御する制御手段を構成している。このタイミングジェネレータ16では、垂直転送レジスタ13を転送駆動する4相のクロックパルスφV1〜φV4、水平転送レジスタ141,142,143を転送駆動する6相のクロックパルスφH1〜φH6、レジスタ間転送ゲート144,145を転送駆動するゲートパルスφHHG1,φHHG2を含む各種のタイミングパルスが生成される。図3に、6相のクロックパルスφH1〜φH6およびゲートパルスφHHG1,φHHG2の駆動タイミング例を示す。
次に、上記構成の本実施形態に係る3ch出力のCCD撮像素子の動作について、図3のタイミングチャートを基に、図4〜図10の動作説明図を用いて説明する。ここで、3ch出力の場合は、1ライン分の信号電荷において、隣り合う3画素分の信号電荷を単位とし、これら3画素分の信号電荷を3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分けて並行して水平転送することになる。
期間T0では、奇数相のクロックパルスφH1,φH3,φH5が“H”レベルの状態にあり、偶数相のクロックパルスφH2,φH4,φH6が“L”レベルの状態にある。この状態において、垂直転送レジスタ13の各々から1ライン分の信号電荷が先ず水平転送レジスタ141に転送される。このとき、図4に示すように、垂直転送レジスタ13の各々から転送された1ライン分の信号電荷は、水平転送レジスタ141の転送電極146の下に画素単位で蓄積される。ここで、以下の動作説明をわかりやすくするために、図4の左から3番目〜5番目の3つの信号電荷を、左からそれぞれ信号電荷a、信号電荷b、信号電荷cとし、これら3つの信号電荷a〜cに着目して説明する。
期間T1では1回目のレジスタ間転送を行う。すなわち、先ず始めに、ゲートパルスφHHG1を“H”レベルとすることで、水平転送レジスタ141の5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のチャネル部分と水平転送レジスタ142の3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のチャネル部分との間のレジスタ間転送ゲート144下に転送チャネルが形成される。その後、クロックパルスφH5を“L”レベルとすることで、図5に示すように、レジスタ間転送ゲート144を通して信号電荷cが水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142に転送される。
ゲートパルスφHHG1を“H”レベルとした後に、クロックパルスφH5を“L”レベルとすることにより、水平転送レジスタ141の信号電荷cが蓄積されているチャネル部分のポテンシャルが浅くなるため、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142への信号電荷cの転送が促進される。最後に、ゲートパルスφHHG1を再び“L”レベルにすることで、1回目のレジスタ間転送が完了する。このレジスタ間転送の動作については後でより詳しく説明する。
次に、期間T2において、先ず始めに6相目のクロックパルスφH6を“H”レベルにし、次いで5相目のクロックパルスφH5を“H”レベルにし、次いで1相目のクロックパルスφH1を“L”レベルにし、最後に6相目のクロックパルスφH6を“L”レベルにする。これにより、図6に示すように、水平転送レジスタ141において、信号電荷aが2つ左隣りの転送電極146の下に水平転送される。この水平転送の動作についても後でより詳しく説明する。
次に、期間T3において、先ず始めに2相目のクロックパルスφH2を“H”レベルにし、次いで1相目のクロックパルスφH1を“H”レベルにし、次いで3相目のクロックパルスφH3を“L”レベルにし、最後に2相目のクロックパルスφH2を再び“L”レベルにする。これにより、図7に示すように、水平転送レジスタ141において信号電荷bが、水平転送レジスタ142において信号電荷cがそれぞれ2つ左隣りの転送電極146の下に水平転送される。
次に、期間T4において、先ず始めに4相目のクロックパルスφH4を“H”レベルにし、次いで3相目のクロックパルスφH3を“H”レベルにし、次いで5相目のクロックパルスφH5を“L”レベルにし、最後に4相目のクロックパルスφH4を再び“L”レベルにする。これにより、図8に示すように、水平転送レジスタ141において信号電荷aがさらに2つ左隣りの転送電極146の下に水平転送される。
次に、期間T5において、先ず始めに6相目のクロックパルスφH6を“H”レベルにし、次いで5相目のクロックパルスφH5を“H”レベルにし、次いで1相目のクロックパルスφH1を“L”レベルにし、最後に6相目のクロックパルスφH6を再び“L”レベルにする。これにより、図9に示すように、水平転送レジスタ141において信号電荷bが、水平転送レジスタ142において信号電荷cがさらにそれぞれ2つ左隣りの転送電極146の下に水平転送される。
次に、期間T6で2回目のレジスタ間転送を行う。すなわち、先ず始めに、ゲートパルスφHHG1,φHHG2を共に“H”レベルとすることで、水平転送レジスタ141の5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のチャネル部分と水平転送レジスタ142の3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のチャネル部分との間のレジスタ間転送ゲート144下に転送チャネルが形成され、水平転送レジスタ142の5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のチャネル部分と水平転送レジスタ143の3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のチャネル部分との間のレジスタ間転送ゲート145下にも転送チャネルが形成される。
その後、クロックパルスφH5を“L”レベルとすることで、図10に示すように、レジスタ間転送ゲート144を通して信号電荷bが水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142に転送され、レジスタ間転送ゲート145を通して信号電荷cが水平転送レジスタ142から水平転送レジスタ143に転送される。ゲートパルスφHHG1,φHHG2を“H”レベルとした後に、クロックパルスφH5を“L”レベルとすることで、レジスタ間転送ゲート144を通して信号電荷bが水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142に、レジスタ間転送ゲート145を通して信号電荷cが水平転送レジスタ142から水平転送レジスタ143にそれぞれ転送される。最後に、ゲートパルスφHHG1,φHHG2を共に再び“L”レベルにすることで、水平転送レジスタ142,143に対する信号電荷b,cの振り分けが完了する。
このようにして、撮像部11からライン単位で順次供給される信号電荷を、レジスタ間転送ゲート144,145によるレジスタ間転送により3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分けられた後は、当該水平転送レジスタ141,142,143によって並行して水平転送が行われる。
なお、水平転送動作中において、水平転送レジスタ141,142,143間でのレジスタ間転送ゲート144,145を通しての信号電荷の混合を抑えるために、ゲートパルスφHHG1,2の“L”レベルを、水平転送レジスタ141,142,143のクロックパルスφH1〜φH6の“L”レベルよりも低い電位に設定し、レジスタ間転送ゲート144,145のポテンシャルを、水平転送レジスタ141,142,143の浅いときのポテンシャルよりもさらに浅くなるようにしている。
上述したように、n本(本例では、3本)の水平転送レジスタを有する多ch出力のCCD撮像素子において、水平転送レジスタの各転送段ごとにm個(本例では、2つ)の転送電極146,147を配置するとともに、転送電極146,147の各々をm×n相、本例の場合は6(=2×3)相のクロックパルスφH1〜φH6によって独立に駆動するようにしたことにより、転送電極単位でチャネルのポテンシャルを制御することができるため、送り側のチャネルと受け側のチャネルとの間でのポテンシャルの逆転が生じたり、信号電荷の振り分け中に水平転送が行われたりしないようにすることができる。
これにより、水平転送レジスタが3本以上の多ch出力のCCD撮像素子であっても、確実にレジスタ間転送を行うことができる。したがって、水平転送レジスタの本数を自由に増やすことができるため、多画素化が進んでも水平転送レジスタの本数を増やすことによって高フレームレート化を図ることができるとともに、高フレームレート化によって水平転送の駆動周波数を下げることができ、これに伴ってCCD撮像素子の消費電力を抑えることができる。
また、n本の水平転送レジスタ間での信号電荷の振り分けに際しては、隣り合うn個の信号電荷、本例では3個の信号電荷a,b,cを単位とし、先頭の信号電荷aを一番上の水平転送レジスタに残し、当該信号電荷aに後続する2つの信号電荷b,cについては順にレジスタ間転送ゲート144,145のチャネルの入口まで水平転送してレジスタ間転送し、最終的に3本の水平転送レジスタ141,142,143の同一クロックパルスが印加される転送電極の下に並べるようにすることで、信号電荷の振り分けに要する時間を短くすることができる。
特に、レジスタ間転送ゲート144,145のチャネルの入口を、信号電荷を送る側の水平転送レジスタ141,142間で同じクロックパルス、本例では5相目のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下に形成し、当該チャネルの出口を信号電荷を受ける側の水平転送レジスタ142,143間で同じで、送り側のクロックパルスとは異なるクロックパルス、本例では3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に形成した構成を採っていることにより、2回目のレジスタ間転送では信号電荷b,cを同時に一気に転送することができるため、別々にレジスタ間転送を行う場合に比べて信号電荷の振り分けを短時間で行うことができる。
なお、水平転送レジスタの各転送段ごとにm個ずつ転送電極を配置して、これら転送電極の各々をm×n相のクロックパルスによって独立に駆動することにより、転送電極単位でチャネルのポテンシャルを制御することができるという利点を活かして、本来の一方向の水平転送ではなく、例えば水平転送レジスタの中間を境に互いに逆方向に水平転送する構成を採って水平転送に要する転送時間の短縮を図ることも可能である。
[レジスタ間転送]
次に、先述した期間T1,T6における水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142へ、水平転送レジスタ142から水平転送レジスタ143へのレジスタ間転送について、幾つか実施例を挙げてより具体的に説明する。
なお、先述したように、水平転送動作中における水平転送レジスタ141,142,143相互間での信号電荷の混合を抑えるために、ゲートパルスφHHG1,2の“L”レベルは、水平転送レジスタ141,142,143を駆動するクロックパルスφH1〜φH6の“L”レベルよりも低い電位に設定されている。以下の説明では、ゲートパルスφHHG1,2の“L”レベルを“L′”レベルと記すものとする。
図11は、レジスタ間転送の動作説明に供するタイミングチャートであり、3相目、5相目のクロックパルスφH3,φH5およびゲートパルスφHHG(φHHG1,φHHG2)の期間T1/T6におけるタイミング関係を示している。図12は、レジスタ間転送の動作説明図である。
図3の期間T1,T6において、時刻t11では、クロックパルスφH3,φH5が共に“H”レベル、ゲートパルスφHHGが“L′”レベルの状態にあるため、水平転送レジスタ141,142において、クロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下に信号電荷が蓄積されている。時刻t12では、クロックパルスφH3,φH5およびゲートパルスφHHGが全て“H”レベルにあるため、レジスタ間転送ゲート144,145および水平転送レジスタ142,143のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に信号電荷が流れ込む。
時刻t13では、クロックパルスφH5が“L”レベルにあり、当該クロックパルスφH5が印加される転送電極146の下のポテンシャルが浅くなるため、水平転送レジスタ141,142のクロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下の信号電荷が、レジスタ間転送ゲート144,145および水平転送レジスタ142,143のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に押し出される。
時刻t14では、ゲートパルスφHHGが再び“L′”レベルにあり、レジスタ間転送ゲート144,145のポテンシャルが浅くなるため、レジスタ間転送ゲート144,145の信号電荷が、水平転送レジスタ142,143のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に押し出される。
以上の一連の動作により、1回目のレジスタ間転送および2回目のレジスタ間転送が行われる。このレジスタ間転送の動作により、垂直転送レジスタ13の各々から水平転送レジスタ141に転送された1ライン分の信号電荷が、水平転送レジスタ142,143に振り分けられることになる。
このように、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142へ、また水平転送レジスタ142から水平転送レジスタ143へのレジスタ間転送において、水平転送レジスタ141,142の送り側の転送電極の下のチャネルに1画素分の信号電荷が蓄積されているとき、先ず、レジスタ間転送ゲート144,145のポテンシャルを深くして当該ポテンシャルまで信号電荷の蓄積を広げ、次いで受け側の転送電極の下のポテンシャルを深くして当該ポテンシャルまで信号電荷の蓄積を広げ、その後送り側の転送電極の下のポテンシャルを、次いでレジスタ間転送ゲート144,145のポテンシャルを順に浅くすることにより、信号電荷を後ろから順次押し出す形で転送できるため、転送残しなどを生じさせることなく、確実にレジスタ間転送を行うことができる。
[信号電荷の振り分けに際しての水平転送]
続いて、先述した期間T2での水平転送について、図13のタイミングチャートおよび図14のポテンシャル図を用いてより具体的に説明する。図13には、6相のクロックパルスφH1〜φH6の期間T2におけるタイミング関係を示している。
図3の期間T2において、時刻t21では、1相目のクロックパルスφH1が“H”レベル、2相目〜6相目のクロックφH2〜φH6が“L”レベルの状態にある。この状態では、1相目のクロックパルスφH1が印加される転送電極146−1の下のポテンシャルが深く、ここに信号電荷aが蓄積されている。
なお、期間T2では、本来、3相目のクロックパルスφH3も“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に信号電荷bが蓄積されているが、ここでは、信号電荷aの水平転送についてわかりやすく述べることから、信号電荷b,cについてのタイミング関係については無視するものとする。
時刻t22では、6相目のクロックパルスφH6が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH6が印加される転送電極164−6の下のポテンシャルも深くなるため、転送電極146−1の下に蓄積されている信号電荷aが転送電極164−6の下まで広がる。時刻t23では、5相目のクロックパルスφH5が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH5が印加される転送電極164−5の下のポテンシャルも深くなるため、転送電極146−1,146−6の下に蓄積されている信号電荷aがさらに転送電極164−5の下まで広がる。
時刻t24では、1相目のクロックパルスφH1が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH1が印加される転送電極146−1の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−1の下の信号電荷aが転送電極164−6側へ押し出される。時刻t25では、6相目のクロックパルスφH6も再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH6が印加される転送電極146−6の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−6の下の信号電荷aが転送電極164−5側へ押し出される。
以上の一連の動作により、水平転送レジスタ141において、転送電極146−1の下の信号電荷aが2つ左隣りの転送電極146−5の下まで水平転送される。期間T2,T3,T4,T5での水平転送についても、基本的に、期間T2での水平転送の場合と同じである。
このように、信号電荷の振り分けに際しての水平転送において、ある1つの転送電極の下のチャネルに1画素分の信号電荷が蓄積されているとき、先ず、転送先側の隣りの転送電極の下のポテンシャルを深くしてこれら2つの転送電極の下のチャネルに信号電荷を広げ、次いでその先の転送電極の下のポテンシャルを深くしてこれら3つの転送電極の下のチャネルに信号電荷を広げ、その後最初の転送電極の下のポテンシャルを、次いでその隣りの転送電極の下のポテンシャルを順に浅くすることにより、信号電荷を後ろから順次押し出す形で転送できるため、転送残しや信号電荷の戻りなどを生じさせることなく、確実に水平転送を行うことができる。
[信号電荷の振り分け後の水平転送]
最後に、図3の期間T6以降の水平転送、即ち1ライン分の信号電荷を3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分けた後の水平転送について、図15のタイミングチャートおよび図16のポテンシャル図を用いて説明する。なお、水平転送レジスタ141,142,143においては並行して水平転送が行われ、その動作は同じであるために、ここでは、1つの水平転送レジスタを例に挙げて説明するものとする。図15には、6相のクロックパルスφH1〜φH6のタイミング関係を示している。
時刻t31では、3相目のクロックパルスφH3が“H”レベル、それ以外のクロックパルスφH1,φH2,φH4〜φH6が“L”レベルの状態にある。このタイミング関係は、図3の期間T6が終了した時点のタイミング関係でもある。この状態では、信号電荷a,b,cはいずれも3相目のクロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下に蓄積されている。
時刻t32では、2相目のクロックパルスφH2が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH2が印加される転送電極146−2の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−3の下の信号電荷が転送電極146−2の下まで広がる。時刻t33では、1相目のクロックパルスφH1が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH1が印加される転送電極146−1の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−3,146−2の下の信号電荷が転送電極146−1の下まで広がる。
時刻t34では、6相目のクロックパルスφH6が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH6が印加される転送電極146−6の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−3,146−2,146−1の下の信号電荷が転送電極146−6の下まで広がる。時刻t35では、3相目のクロックパルスφH3が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−3の下の信号電荷が転送電極146−2側に押し出される。
時刻t36では、5相目のクロックパルスφH5が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−2,146−1,146−6の下の信号電荷が転送電極146−5の下まで広がる。時刻t37では、2相目のクロックパルスφH2が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH2が印加される転送電極146−2の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−2の下の信号電荷が転送電極146−1側に押し出される。
時刻t38では、4相目のクロックパルスφH4が“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH4が印加される転送電極146−4の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−1,146−6,146−5の下の信号電荷が転送電極146−4の下まで広がる。時刻t39では、1相目のクロックパルスφH1が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH1が印加される転送電極146−1の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−1の下の信号電荷が転送電極146−6側に押し出される。
時刻t40では、3相目のクロックパルスφH3が再び“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH3が印加される転送電極146−3の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−6,146−5,146−4の下の信号電荷が転送電極146−3の下まで広がる。時刻t41では、6相目のクロックパルスφH6が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH6が印加される転送電極146−6の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−6の下の信号電荷が転送電極146−5側に押し出される。
時刻t42では、2相目のクロックパルスφH2が再び“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH2が印加される転送電極146−2の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−5,146−4,146−3の下の信号電荷が転送電極146−2の下まで広がる。時刻t43では、5相目のクロックパルスφH5が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH5が印加される転送電極146−5の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−5の下の信号電荷が転送電極146−4側に押し出される。
時刻t44では、1相目のクロックパルスφH1が再び“H”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH1が印加される転送電極146−1の下のポテンシャルが深くなるため、転送電極146−4,146−3,146−2の下の信号電荷が転送電極146−1の下まで広がる。時刻t45では、4相目のクロックパルスφH4が再び“L”レベルの状態にあり、当該クロックパルスφH4が印加される転送電極146−4の下のポテンシャルが浅くなるため、転送電極146−4の下の信号電荷が転送電極146−3側に押し出される。
この時刻t45の状態は、時刻t33の状態と同じである。すなわち、時刻t33では、1画素分の信号電荷が3つの転送電極146−3,146−2,146−3の下に溜められた状態にあり、この状態での信号電荷が3画素(6転送電極)分だけ水平転送されて時刻t45の状態になる。以降、時刻t34〜時刻t44の繰り返しにより、信号電荷a,b,cが3本の水平転送レジスタ141,142,143によって並行して水平転送されることになる。
このように、1ライン分の信号電荷を3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分けた後の水平転送において、1画素分の信号電荷を常に最低3つの転送電極の下に溜めた状態を保ちながら転送動作を行うことにより、個々の転送電極の下のチャネル間での信号電荷の転送にかける時間を長くすることができるため、転送残しや信号電荷の戻りなどを生じさせることなく、確実に水平転送を行うことができる。ただし、上述した水平転送における一連の手順は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
(実施例)
図17は、本発明の一実施例に係る固体撮像素子、例えばCCD撮像素子の全体構成を示す概略構成図であり、図中、図1と同等部分には同一符号を付して示している。
本実施例に係るCCD撮像素子においては、基本的に、先述した参考例に係るCCD撮像素子と同様の構成を採っているものの、水平転送部14Aの具体的な構成の点で相違している。水平転送部14Aは、垂直転送レジスタ13の各々からライン単位でシフトされる信号電荷を並行して水平転送する例えば3本の水平転送レジスタ141,142,143と、これら水平転送レジスタ141,142,143間に設けられ、撮像部11に近い方のレジスタ141,142から遠い方のレジスタ142,143に信号電荷を転送するレジスタ間転送ゲート144A,145Aとを有する構成となっている。
そして、本実施例に係るCCD撮像素子は、3本の水平転送レジスタ141,142,143の全てに信号電荷を振り分けて水平転送を行う第1の動作モードと、3本の水平転送レジスタ141,142,143のうちの一部の水平転送レジスタ、例えば2本の水平転送レジスタ141,142にのみ信号電荷を振り分けて水平転送を行う第2の動作モードとを適宜選定し得る構成を採っている。第1,第2の動作モードの切り替えを指令するための動作モード切替信号は外部から与えられる。
本実施例に係るCCD撮像素子では、水平転送部14Aの動作モードの切り替え、即ち第1,第2の動作モードの切り替えをレジスタ間転送ゲート144Aによって実現するようにしている。すなわち、先述した参考例に係るCCD撮像素子と異なるのは、レジスタ間転送ゲート144Aの具体的な構成およびその動作にある。また、タイミングジェネレータ16Aは、レジスタ間転送ゲート144Aにおけるモード切り替えの動作を実現するために、レジスタ間転送ゲート144Aを転送駆動するゲートパルスφHHG1として、3種類のゲートパルスφHHG1A,φHHG1B,φHHG1Cを、第1,第2の動作モードにそれぞれ対応したタイミングで生成し、レジスタ間転送ゲート144Aに与えることになる。
図18は、本実施例に係るCCD撮像素子における水平転送部14Aの具体的な構造を概略的に示した平面パターン図であり、図中、図2と同等部分には同一符号を付して示している。図18において、斜線部はチャネルストップ領域を、破線で囲まれた部分は同一(同相)のクロックパルスが与えられる転送電極をそれぞれ示している。
水平転送レジスタ141,142,143の各々は、信号電荷を順次転送する単位となる転送段が多数連なってなるCCDからなり、各転送段ごとにm個(mは2以上の整数)、例えば2つの転送電極146,147を有する構成となっている。換言すれば、2つの転送電極146,147とその下のチャンネル部分とによって1つの転送段が構成されている。そして、隣り合う3つの転送段に対応する6個の転送電極を単位とし、これら6つの転送電極の各々には6相(=2個×3)のクロックパルスφH1〜φH6が独立に与えられるようになっている。
レジスタ間転送ゲート144Aは、水平転送レジスタ141と水平転送レジスタ142との間に、5転送段おきに、換言すれば6転送段(12転送電極)ごとに1つずつ設けられた第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……と、この第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……相互の中間の位置、具体的には転送チャネル21−1,21−2,……に対して2転送段分だけずれて6転送段ごとに1つずつ設けられた第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……と、この第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……に隣接する両側の転送段に設けられた第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3,……とを有している。
レジスタ間転送ゲート144Aは更に、第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……上に配された第1系統のゲート電極24−1,24−2,……と、第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……上に配された第2系統のゲート電極25−1,25−2,……と、第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3,……上に配された第3系統のゲート電極26−1,26−2,26−3,……と、第1系統のゲート電極24−1,24−2,……に対してゲートパルス(駆動バイアス)φHHG1Aを伝送する第1系統の配線27と、第2系統のゲート電極25−1,25−2,……に対してゲートパルスφHHG1Bを伝送する第2系統の配線28と、第3系統のゲート電極26−1,26−2,26−3,……に対してゲートパルスφHHG1Cを伝送する第3系統の配線29とを有している。
第1系統のゲート電極24−1,24−2,……、第2系統のゲート電極25−1,25−2,……および第3系統のゲート電極26−1,26−2,26−3,……は、対応する転送チャネルごとにポリシリコンによって島状に形成されている。第1,第2,第3系統の各配線27,28,29は、アルミニウムやタングステンなどの金属からなり、水平転送レジスタ141,142の電荷転送方向に沿って配線され、対応する系統のゲート電極24(24−1,24−2,……),25(25−1,25−2,……),26(26−1,26−2,26−3,……)にそれぞれコンタクト部30を介して電気的に接続されている。これらの各配線27,28,29は、ゲート電極24,25,26の裏打ち(シャント)の役目もするシャント配線である。
レジスタ間転送ゲート145Aは、2つの転送電極146,147の3転送段(6転送電極)ごとに1つずつ設けられた転送チャネル31−1,31−2,31−3,……と、これら転送チャネル31−1,31−2,31−3,……に対して共通に配されたゲート電極32と、このゲート電極32に対してゲートパルスφHHG2を伝送する配線33とを有し、配線33がゲート電極32とコンタクト部34にて電気的に接続された構成となっている。そして、ゲート電極32にゲートパルスφHHG2が印加されることにより、ゲート電極32の下の転送チャネル31−1,31−2,31−3,……を通して水平転送レジスタ142中の信号電荷を水平転送レジスタ143に選択的に転送する。
図19は、図18のX−X′矢視断面、即ち電極26−3部分の断面構造の一例を示す断面図である。図19において、電極26−3は、例えばN型のシリコン基板41の基板表面に絶縁膜42を介して1層目のポリシリコンによって島状に形成される。ゲート電極26−3直下の基板41の表層部分は、第3系統の転送チャネル23−3である。ゲート電極26−3の上には、2層目のポリシリコンによって水平転送レジスタ142のφH2の転送電極43が形成され、さらに3層目のポリシリコンによって水平転送レジスタ141のφH3の転送電極44が形成される。そして、最上層にアルミニウムやタングステンなどによってシャント配線27,28,29が形成される。
ここで、シャント配線29をゲート電極26−3に接続するためには、1層目のポリシリコンで構成されるゲート電極26−3が、2層目のポリシリコンで構成される転送電極43と3層目のポリシリコンで構成される転送電極44で隠れてコンタクトがとれなくなることがないように、コンタクト部分に合わせて2層目、3層目のポリシリコン層に孔45が開けられる。そして、この孔45を通してシャント配線29がゲート電極26−3と電気的に繋がれる。なお、ここでは、ゲート電極26−3部分の断面構造を例に挙げて説明したが、他のゲート電極部分の断面構造も基本的に同じ構造となっている。
続いて、上記構成の本実施例に係る3ch出力のCCD撮像素子において、3ch出力の動作モードと2ch出力の動作モードでの各動作について説明する。
先ず、3ch出力の動作モードの動作について、図20のタイミングチャートを基に、図21の動作説明図を用いて説明する。ここで、3ch出力の動作モードの場合は、1ライン分の信号電荷において、隣り合う3画素分の信号電荷を単位とし、これら3画素分の信号電荷を3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分けて並行して水平転送することになる。
期間T0では、奇数相のクロックパルスφH1,φH3,φH5が“H”レベルの状態にあり、偶数相のクロックパルスφH2,φH4,φH6が“L”レベルの状態にある。この状態において、垂直転送レジスタ13の各々から1ライン分の信号電荷が先ず水平転送レジスタ141に転送される。
期間T1では、ゲートパルスφHHG1A,φHHG1Bを共に“H”レベル、ゲートパルスφHHG1Cを“L”レベルにすると、第1系統の電極24−1,24−2,……の下の転送チャネル21−1,21−2,……のポテンシャルおよび第2系統の電極25−1,25−2,……の下の転送チャネル22−1,22−2,……のポテンシャルが深くなり、逆に、第3系統の電極26−1,26−2,26−3,……の下の転送チャネル23−1,23−2,23−3……のポテンシャルが浅くなる。
これにより、第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……および第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……は、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142へ信号電荷を転送する転送ゲートとして動作可能な状態になり、第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3……は、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142への信号電荷の転送を阻止するブロックゲートとして動作可能な状態になる。この状態は、先述した参考例に係るCCD撮像素子の動作説明に供する図3のタイミングチャートにおける期間T1の状態に相当し、この期間T1では1回目のレジスタ間転送が行われる。
以降、参考例に係るCCD撮像素子の場合と同様の動作が行われる。そして、期間T6で、ゲートパルスφHHG1A,φHHG1Bを共に“H”レベル、ゲートパルスφHHG1Cを“L”レベルにし、ゲートパルスφHHG2を“H”レベルにすることで、参考例に係るCCD撮像素子の場合と同様に、水平転送レジスタ141中の信号電荷を第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……および第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……を通して水平転送レジスタ142へ転送するとともに、水平転送レジスタ142中の信号電荷を転送チャネル31−1,31−2,31−3,……を通して水平転送レジスタ143へ転送する2回目のレジスタ間転送が行われる。
このようにして、3ch出力の動作モードでは、撮像部11からライン単位で順次供給される信号電荷を、レジスタ間転送ゲート144,145によるレジスタ間転送により3本の水平転送レジスタ141,142,143に振り分ける処理が行われる。水平転送レジスタ141,142,143に信号電荷が振り分けられた後は、当該水平転送レジスタ141,142,143によって並行して水平転送が行われ、最終的に、3chの出力信号が導出される。
この3ch出力の動作モードでは、参考例に係るCCD撮像素子の場合と同様に、6相のクロックパルスφH1〜φH6による転送電極146,147の独立駆動により、転送電極単位でチャネルのポテンシャルを制御することができるため、送り側のチャネルと受け側のチャネルとの間でのポテンシャルの逆転が生じたり、信号電荷の振り分け中に水平転送が行われたりしないため、水平転送レジスタが3本以上の多ch出力のCCD撮像素子であっても、確実にレジスタ間転送を行うことができる。したがって、多画素化が進んでも水平転送レジスタの本数を増やすことによって高フレームレート化を図ることができるとともに、高フレームレート化によって水平転送の駆動周波数を下げることができ、これに伴ってCCD撮像素子の消費電力を抑えることができる。
次に、2ch出力の動作モードの動作について、図22のタイミングチャートを基に、図23の動作説明図を用いて説明する。ここで、2ch出力の動作モードの場合は、1ライン分の信号電荷において、隣り合う2画素分の信号電荷を単位とし、これら2画素分の信号電荷を2本の水平転送レジスタ141,142に振り分けて並行して水平転送することになる。
期間T0では、奇数相のクロックパルスφH1,φH3,φH5が“H”レベルの状態にあり、偶数相のクロックパルスφH2,φH4,φH6が“L”レベルの状態にある。この状態において、垂直転送レジスタ13の各々から1ライン分の信号電荷が先ず水平転送レジスタ141に転送される。
期間T1では、ゲートパルスφHHG1A,φHHG1Cを共に“H”レベル、ゲートパルスφHHG1Bを“L”レベルにすると、第1系統の電極24−1,24−2,……の下の転送チャネル21−1,21−2,……のポテンシャルおよび第3系統の電極26−1,26−2,26−3,……の下の転送チャネル23−1,23−2,23−3……のポテンシャルが深くなり、逆に、第2系統の電極25−1,25−2,……の下の転送チャネル22−1,22−2,……のポテンシャルが浅くなる。
これにより、第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……および第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3……は、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142へ信号電荷を転送する転送ゲートとして動作可能な状態になり、第2系統の転送チャネル22−1,22−2,……は、水平転送レジスタ141から水平転送レジスタ142への信号電荷の転送を阻止するブロックゲートとして動作可能な状態になる。
この状態において、1相目、3相目、5相目のクロックパルスφH1,φH3,φH5を“L”レベルにすることで、水平転送レジスタ141における転送電極146下のチャネルの信号電荷が第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……および第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3……へ移動する。このとき、2相目、4相目、6相目のクロックパルスφH2,φH4,φH6は“L”レベルの状態にある。
その後、期間T2で1相目、3相目、5相目のクロックパルスφH1,φH3,φH5を“H”レベルにすることで、第1系統の転送チャネル21−1,21−2,……および第3系統の転送チャネル23−1,23−2,23−3……の信号電荷が、水平転送レジスタ142における転送電極146下のチャネルに移動する。以上により、2本の水平転送レジスタ141,142に対する信号電荷の振り分け処理が完了する。
このようにして、2ch出力の動作モードでは、撮像部11からライン単位で順次供給される信号電荷を、レジスタ間転送ゲート144によるレジスタ間転送により2本の水平転送レジスタ141,142に振り分ける処理が行われる。水平転送レジスタ141,142に信号電荷が振り分けられた後は、当該水平転送レジスタ141,142によって並行して水平転送が行われ、最終的に、2chの出力信号が導出される。この2ch出力の動作モードでの水平転送の駆動周波数、即ち6相のクロックパルスφH1〜φH6の周波数は、3ch出力の動作モードでの水平転送の駆動周波数の1.5倍(=3/2)に設定される。
上述したように、n本(本例では、3本)の水平転送レジスタを有する多ch出力のCCD撮像素子において、レジスタ間転送チャネル群の各転送チャネル、本例ではレジスタ間転送ゲート144Aの各転送チャネル上に、3系統のゲート電極21(21−1,21−2,……),22(22−1,22−2,……),23(23−1,23−2,……)を配置し、これらゲート電極の各々に対して適宜駆動バイアス(ゲートパルスφHHG1A,φHHG1B,φHHG1C)を与える、具体的には動作モードに応じて使用する転送レジスタに対応したゲート電極に駆動バイアスを与えることで、当該ゲート電極が配された転送チャネルを使用する水平転送レジスタ141,142間で信号電荷を転送する転送ゲートとして動作させ、それ以外の転送チャネルを使用する転送レジスタ間での信号電荷の転送を阻止するブロックゲートとして動作させる。
これにより、3本の水平転送レジスタ141,142,143の全てに信号電荷を振り分けて転送する3ch出力の動作モードや、3本の水平転送レジスタ141,142,143のうちの任意の本数の水平転送レジスタ、本例では2本の水平転送レジスタ141,142にのみ信号電荷を振り分けて転送する2ch出力の動作モードを選択可能になる。換言すれば、高フレームレート化を目的として水平転送レジスタを複数本設けてなる多チャネル出力のCCD撮像素子において、常に全ての水平転送レジスタを用いて水平転送を行う動作モード以外に、任意の本数の水平転送レジスタを用いて水平転送を行う動作モードを選択できる。
N本の水平転送レジスタのうちの任意のM本の水平転送レジスタを用いる第2の動作モードを選択する場合は、フレームレートをN本の水平転送レジスタ全てを用いる第1の動作モードの場合と同じにするには、水平転送レジスタの駆動周波数を第1の動作モードでの駆動周波数のN/M倍に設定すれば良い。すなわち、第2の動作モードでの駆動周波数が第1の動作モードでの駆動周波数のN/M倍に上がる。このように、動作モードの切り替えによって第2の動作モードでの駆動周波数が上がることで、その分だけ消費電力が上がるものの、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、水平駆動部14Aの駆動周波数が高くなることで、複数のチャンネルの信号をマルチプレックスして映像信号を生成する後段の信号処理系において、当該映像信号を駆動周波数の成分を除去するためのローパスフィルタを通す必要がなくなるため、ローパスフィルタによる限界解像度付近の振幅変調度の低下を防止できる。これにより、映像信号の帯域を落とすことがないため、水平転送の駆動周波数が低いが故に、ローパスフィルタによる限界解像度付近の振幅変調度の低下をきたす第1の動作モードの場合よりも解像度を向上できることになる。
なお、上記実施形態では、3本の水平転送レジスタ141,142,143によって信号電荷を並行して水平転送する多ch出力のCCD撮像素子の場合を例に挙げた説明したが、これに限られるものではなく、2chあるいは4ch以上の多ch出力のCCD撮像素子にも同様に適用可能である。
ただし、3ch出力のCCD撮像素子では、カラー対応の場合に隣り合う3個の信号電荷a,b,cをR(赤),G(緑),B(青)の各信号電荷として取り扱うことができるため、信号処理上、非常に有利となる。その観点からすると、6ch出力など3の倍数の多ch出力とするのが好ましいと言える。6ch出力のCCD撮像素子の場合には、各転送段ごとに2つずつ配された転送電極の各々を独立に駆動するクロックパルスは12(=2×6)相とすれば良いことになる。
また、上記実施形態では、各転送段ごとに転送電極を2つずつ配するとしたが、2つに限られるものではなく、転送電極を3つ以上ずつ配する構成を採ることも可能である。転送電極の数を多く設定すれば、各転送電極ごとの転送距離(転送長)を短くできるため、転送効率の点で有利となる。
さらに、上記実施形態では、光電変換素子を含む画素が行列状に配置されてなるエリアセンサにおける水平転送部に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はエリアセンサへの適用に限られるものではなく、光電変換素子を含む画素が直線状に配置されてなるリニアセンサ(ラインセンサ)の電荷転送部にも同様に適用することが可能である。
11…撮像部、12…センサ部(画素)、13…垂直転送レジスタ、14…水平転送部、15…電荷検出部、16…タイミングジェネレータ、21(21−1,21−2)…第1系統の転送チャネル、22(21−1,21−2)…第2系統の転送チャネル、23(23−1,23−2,23−2)…第3系統の転送チャネル、24(24−1,24−2)…第1系統のゲート電極、25(25−1,25−2)…第2系統のゲート電極、26(26−1,26−2,26−3)…第3系統のゲート電極、141,142,143…水平転送レジスタ、144,144A,145,145A…レジスタ間転送ゲート、146,147…転送電極