JP4162941B2 - 合金型温度ヒューズ及び温度ヒューズエレメント用線材 - Google Patents

合金型温度ヒューズ及び温度ヒューズエレメント用線材 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合金型温度ヒューズ及び温度ヒューズエレメント用線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気機器や回路素子、例えば半導体装置、コンデンサ、抵抗素子等のサーモプロテクタとして合金型温度ヒューズが汎用され、作動温度の面から分類すると、作動温度120℃〜150℃のものが多用されている。
この合金型温度ヒューズは、所定融点の合金をヒューズエレメントとし、このヒューズエレメントにフラックスを塗布し、このフラックス塗布ヒューズエレメントを絶縁体で封止した構成である。
この合金型温度ヒューズの作動機構は次ぎの通りである。
保護しようとする電気機器や回路素子に合金型温度ヒューズが熱的に接触して配設される。電気機器や回路素子が何らかの異常により発熱すると、その発生熱により温度ヒューズのヒューズエレメント合金が溶融され、既溶融フラックスとの共存下、溶融合金がリード導体や電極への濡れにより分断球状化され、その分断球状化の進行により通電が遮断され、この通電遮断による機器の降温で分断溶融合金が凝固されて非復帰のカットオフが終結される。従って、電気機器等の許容温度とヒューズエレメント合金の分断温度とがほぼ等しいことが要求される。
【0003】
前記ヒューズエレメントの要件としては、前述した通り融点が作動温度に適合することの外、加工性、耐熱疲労性、低比抵抗等が要求される。
すなわち、ヒューズエレメントが通常線状の形態で使用されるために線引き加工を容易に行い得ることが要求される。また、ヒートサイクルにより繰返し熱歪を受けても、変形や断線の発生なく初期作動性能を安定に保持し得ることが要求される。更に、ヒューズエレメントのジュール発熱を抑えてヒューズエレメントの平時昇温を防止し、機器温度が所定の許容温度になるまえでの作動を排除することも必要である。
而して、これらの要件を単一乃至は二元の合金で充足させることは難しく、前記ヒューズエレメントには通常多元合金が使用される。
【0004】
作動温度が前記の120℃〜150℃に属する温度ヒューズのヒューズエレメントとして、In−Pb−Sn合金、Sn−Pb−Cd等の三元合金が知られているが、Cdがイタイイタイ病を契機として厳しく規制され、現時点では、Sn−Pb−Cdの使用は環境保全上至難である。
【0005】
作動温度120℃〜150℃の合金型温度ヒューズエレメント用In−Pb−Sn合金としては、20〜35%In−15〜30%Pb−残部Sn(特開平11−73869号)や52〜54%Sn−24〜26%Pb−21〜23%In(特開昭59−8231号)や33〜39%In−13〜19%Pb−残部Sn(特開平3−236130号)が公知である。
【0006】
しかしながら、本発明者等の鋭意検討結果によれば、前記した従来のIn−Pb−Sn合金組成では、Snのある範囲で作動温度のバラツキが大きい。
そこで、その原因を究明するために合金の溶融特性の面から検討した。図12はIn−Pb−Sn三元合金の液相面状態図を示し、前記した従来例(特開平11−73869号、特開昭59−8231号、特開平3−236130号)では、図13に示す斜線の範囲を使用している。
本発明者等は、表1に示す上記三元の多点、a〜kについてDSC測定を行い〔基準試料(不変化)と測定試料を窒素ガス容器内に納め、容器ヒータに電力を供給して両試料を一定の速度で加熱し、測定試料の熱的変化に伴う熱エネルギー入力量の変動を示差熱電対により測定する〕、各点の液相線温度Tl(℃)、固液共存温度巾ΔT(℃)、最大吸熱ピーク温度Tp(℃)、ΔT'(Tl−Tp)(℃)を求めたところ、表1の通りである。
【表1】
Figure 0004162941
【0007】
上記図12に示すの液相面状態図中、曲線I−IIは、Sn−Pb共晶点から三元の各融点に対する相変態点を通ってIn−Sn共晶点に向かう相変態境界線であり、表1における最大吸熱ピーク温度Tpと液相線温度Tlとの差ΔT’が上記境界線を境にしてSnリッチ側ほどSnプア側に較べ広くなっている。これは、In−Sn共晶の影響を強く受けて三元のSn量が変わっても最大吸熱ピーク温度TpがIn−Sn共晶点温度に対しさほど変化せず、かつ、In−Sn二元と同じように境界線I−IIからSnリッチ側に至るほど、同境界線I−IIからSnプア側に至る組成に較べて液相線温度が大きく変化する結果である。
【0008】
上記In−Pb−Sn三元液相面状態図と最大吸熱ピーク温度Tpと液相線温度Tlとの差ΔT’との関係を基礎にして前記従来のIn−Pb−Sn系ヒューズエレメントの温度ヒューズの作動温度状態を考察すると、そのIn−Pb−Sn組成が前記の相変態境界線I−IIに跨っており、その組成(図13の斜線で示した部分)中、同境界線I−IIに対しSnリッチ側では、Snプア側に較べ(表1において、c、d、e、fが図13の斜線部分に属し、c、eがSnリッチ側、d、fがSnプア側)、最大吸熱ピーク温度Tpと液相線温度との差が大きく、その結果、固液共存域温度巾ΔT(液相線温度−固相線温度)が広くなっている。而るに、合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの分断が固液共存域でも、液相状態での分断に較べて低い確率ではあるが、生じる可能性があり、固液共存域温度巾ΔTが広くなるほど作動温度のバラツキが増え、結局、前記した従来例のIn−Pb−Sn合金をヒューズエレメントとする温度ヒューズにおける、Snの範囲如何によって作動温度のバラツキが大きくなる理由は、図13の斜線で示す通り、そのIn−Pb−Sn合金組成の範囲が前記した相変態境界線I−IIを跨いでいるためと推定できる。
【0009】
本発明の目的は、上記の検討結果に基づき、In−Pb−Sn合金を用いた作動温度が120℃〜150℃に属する合金型温度ヒューズにおいて、作動温度のバラツキを合理的に低減することにある。
【0010】
本発明の更なる目的は、上記目的に加え、ヒューズエレメントの比抵抗を充分に低減すると共に機械的強度をよく向上させてヒューズエレメントの細線加工、高い作動精度、ヒートサイクルに対する耐熱安定性を良好に保証することにある。
【0011】
〔課題を解決するための手段〕
請求項1に係る温度ヒューズエレメント用線材は、質量百分率のもとでの合金組成がIn50%〜85%、Pb1%〜40%,残部Snであることを特徴とし、好ましい合金組成をIn36%〜50%、Pb19%〜30%,残部Sn(0を含まず)としている。
請求項2に係る温度ヒューズエレメント用線材は、前記の合金組成100重量部にAg、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sbの1種または2種以上が0.1〜7重量部添加されていることを特徴とする。
請求項3に係る合金型温度ヒューズは、前記の温度ヒューズエレメント用線材をヒューズエレメントとしたことを特徴とし、請求項4では、ヒューズエレメントを溶断させるための発熱体が付設されている。
上記において、各原料地金の製造上及びこれら原料の溶融撹拌上生じる不可避的不純物を含有することが許容される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ヒュ−ズエレメントの合金組成を、In50%〜85%、Pb1%〜40%,残部Snとしたのは、第一に合金組成の固液共存域温度巾ΔTを充分に狭くして作動温度のバラツキを抑えるために、合金組成を図12に示したIn−Pb−Sn三元液相面状態図における相変態境界線I−IIよりもSnプア側に設定することを前提としている。そして、Inを50%〜85%とした理由は、50%未満では図12に示したIn−Pb−Snの三元図からも明らかなように相変態境界線I−IIを基準としてのSn量の減少程度が軽度であり、固液共存域温度巾を充分に狭くし得ずに作動温度のバラツキの効果的な抑制を期待し得ず、85%を越えると延性が過多になり、300μmφといった細線の線引きが困難になるためである。Pbを1〜40%とした理由は、図12に示した融点状態図からも明らかなように40%を越えると液相線温度が高くなり過ぎて作動温度を120℃〜150℃のレベルに設定することができず、1%未満では、In−Sn系に近づきInとSnとの延性が相互に助長し合ってヒートサイクル時の熱応力によるヒューズエレメントの変形や断線が避けられずに長期安定性の保証が困難となるからである。好ましい合金組成は、In55%〜75%、Pb5%〜20%,Sn25%〜15%である。基準組成は、In66%、Pb18%,Sn16%であり、その液相線温度は147℃、固液共存域温度巾2℃である。
この合金の比抵抗は、26μΩ・cmである。
【0013】
本発明において、Ag、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sbの1種または2種以上を前記の合金組成100重量部に対し0.1〜7重量部添加する理由は、合金の比抵抗を低減すると共に結晶組織を微細化させ合金中の異相界面を小さくして加工歪や応力をよく分散させるようにする、すなわち歪や応力に対する吸収性を高めるためであり、0.1重量部未満では満足な効果が得られず、7重量部を越えると、液相線温度を150℃前後に保持することが困難になる。而して、比抵抗を上記よりも低減して22〜25μΩ・cmにでき、更にヒートサイクル時の熱歪に対する合金組織内の異相界面のずれをよく抑えてヒューズエレメントの耐熱安定性を保証し、線引きに対し充分な強度を付与して線径300μmφといった細線への線引き加工を容易にしている。
【0014】
本発明に係る合金型温度ヒュ−ズのヒュ−ズエレメントは、ビレットを製作し、これを押出機で粗線に成形し、この粗線をダイスにより線引きする方法により製造でき、外径は200μmφ〜600μmφ、好ましくは250μmφ〜350μmφとされる。また、最終的にカレンダーロールに通し、扁平線として使用することもできる。
また、冷却液を入れたシリンダーを回転させて回転遠心力により冷却液を層状に保持し、ノズルから噴射した母材溶融ジェツトを前記の冷却液層に入射させ冷却凝固させて細線材を得る回転ドラム式紡糸法により製造することも可能である。
【0015】
本発明は独立したサーモプロテクターとしての温度ヒューズの形態で実施される。その外、半導体装置やコンデンサや抵抗体に温度ヒューズエレメントを直列に接続し、このエレメントにフラックスを塗布し、このフラックス塗布エレメントを半導体やコンデンサ素子や抵抗素子に近接配置して半導体やコンデンサ素子や抵抗素子と共に樹脂モールドやケース等により封止した形態で実施することもできる。
【0016】
図1は、本発明に係るテ−プタイプの合金型温度ヒュ−ズを示し、厚み100〜300μmのプラスチックベ−スフィルム41に厚み100〜200μmの帯状リ−ド導体1,1を接着剤または融着により固着し、帯状リ−ド導体間に線径250μmφ〜500μmφの請求項1〜3何れかのヒュ−ズエレメント2を接続し、このヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを厚み100〜300μmのプラスチックカバ−フィルム41の接着剤または融着による固着で封止してある。
【0017】
図2は筒型ケ−スタイプを示し、一対のリ−ド線1,1間に請求項1〜3何れかのヒュ−ズエレメント2を接続し、該ヒュ−ズエレメント2上にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメント上に耐熱性・良熱伝導性の絶縁筒4、例えば、セラミックス筒を挿通し、該絶縁筒4の各端と各リ−ド線1との間を常温硬化の封止剤5、例えば、エポキシ樹脂で封止してある。
【0018】
図3はケ−スタイプラジアル型を示し、並行リ−ド導体1,1の先端部間に請求項1〜3何れかのヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを一端開口の絶縁ケ−ス4、例えばセラミックスケ−スで包囲し、この絶縁ケ−ス4の開口をエポキシ樹脂等の封止剤5で封止してある。
【0019】
図4は基板タイプを示し、絶縁基板4、例えばセラミックス基板上に一対の膜電極1,1を導電ペ−スト(例えば銀ペ−スト)の印刷焼付けにより形成し、各電極1にリ−ド導体11を溶接等により接続し、電極1,1間に請求項1〜3何れかのヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを封止剤5例えばエポキシ樹脂で被覆してある。
【0020】
図5は樹脂ディツピングタイプラジアル型を示し、並行リ−ド導体1,1の先端部間に請求項1〜3何れかのヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを樹脂液ディッピングにより絶縁封止剤例えばエポキシ樹脂5で封止してある。
【0021】
上記合金型温度ヒューズにおいて、ヒューズエレメントのジュール発熱を無視できるときは、被保護機器が許容温度Tmに達したときのヒューズエレメントの温度TxはTmより2℃〜3℃低くなり、通常ヒューズエレメントの融点が〔Tm−(2℃〜3℃)〕に設定される。
これに対し、ヒューズエレメントのジュール発熱を無視できないときは、ヒューズエレメントの電気抵抗をR、通電電流をI、機器とヒューズエレメント間の熱抵抗をHとすれば、
【数1】
Tx=Tm−(2℃〜3℃)+HRI
が成立し、ヒューズエレメントの融点を上式に基づき設定することが可能である。
【0022】
本発明は、合金型温度ヒューズに発熱体を付設し、例えば抵抗ペースト(例えば、酸化ルテニウム等の酸化金属粉のペースト)の塗布・焼き付けにより膜抵抗を付設し、機器の異常発熱の原因となる前兆を検出し、この検出信号で膜抵抗を通電して発熱させ、この発熱でヒューズエレメントを溶断させる形態で実施することもできる。
この場合、上記発熱体を絶縁基体の上面に設け、この上に耐熱性・熱伝導性の絶縁膜、例えばガラス焼き付け膜を形成し、更に一対の電極を設け、各電極に扁平リード導体を接続し、両電極間にヒューズエレメントを接続し、ヒューズエレメントから前記リード導体の先端部にわたってフラックスを被覆し、絶縁カバーを前記の絶縁基体上に配設し、該絶縁カバー周囲を絶縁基体に接着剤により封着することができる。
【0023】
上記のフラックスには、通常、融点がヒュ−ズエレメントの融点よりも低いものが使用され、例えば、ロジン90〜60重量部、ステアリン酸10〜40重量部、活性剤0〜3重量部を使用できる。この場合、ロジンには、天然ロジン、変性ロジン(例えば、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン)またはこれらの精製ロジンを使用でき、活性剤には、ジエチルアミンの塩酸塩や臭化水素酸塩、アジピン酸等の有機酸を使用できる。
【0024】
【実施例】
以下の実施例及び比較例において、温度ヒューズは基板型とし、ヒユーズエレメントの長さを4mmとし、フラックスには、ロジン80重量部,ステアリン酸20重量部,ジエチルアミン臭化水素酸塩1重量部の組成物を使用し、被覆材には、常温硬化型のエポキシ樹脂を使用した。
ヒューズエレメント合金のDSC測定を行い、液相線温度Tl(℃)、固液共存温度巾ΔT(℃)、最大吸熱ピーク温度Tp(℃)、ΔT'(Tl−Tp)(℃)を求めた。このDSCの昇温速度を5℃/分、サンプリング時間間隔を0.5sとした。
更に、試料数を50箇とし、0.1アンペアの電流を通電しつつ、昇温速度1℃/分のオイルバスに浸漬し、ヒューズエレメント溶断による通電遮断時のオイル温度から温度ヒューズの作動温度を測定した。
また、試料数を50箇とし、30分間115℃加熱、30分間−40℃冷却を1サイクルとするヒートサイクル試験を500サイクル行なったのちの作動温度を測定した。
【0025】
〔実施例1〕
In50%、Pb19%、残部Snの合金組成の母材を1ダイスについて線落率を4%、線引速度20m/minの条件で線引きして直径300μmφの線に加工した。断線は皆無であった。
DSC曲線は図6の通りであり、液相線温度が140.9℃、ΔT'が4.3℃、固液共存域温度巾ΔTが8.2℃であった。
温度ヒューズの作動温度は137℃±2℃であり、バラツキが極めて小であった。
ヒートサイクル試験の後でも、作動温度は実質的に前記に同じであった。
【0026】
〔実施例2〕
In50%、Pb14%、残部Snの合金組成の母材を1ダイスについて線落率を4%、線引速度20m/minの条件で線引きして直径300μmφの線に加工した。断線は皆無であった。
DSCを測定したところ、液相線温度が136℃、ΔT'が3.6℃、固液共存域温度巾ΔTが6.9℃であった。
温度ヒューズの作動温度は134℃±1.5℃であり、バラツキが極めて小であった。
ヒートサイクル試験の後でも、作動温度は実質的に前記に同じであった。
【0027】
〔実施例3〕
In50%、Pb7%、残部Snの合金組成の母材を1ダイスについて線落率を4%、線引速度20m/minの条件で線引きして直径300μmφの線に加工した。断線は皆無であった。
DSCを測定したところ、液相線温度が129.8℃、ΔT'が2.8℃、固液共存域温度巾ΔTが5.8℃であった。
温度ヒューズの作動温度は127℃±1℃であり、バラツキが極めて小であった。
ヒートサイクル試験の後でも、作動温度は実質的に前記に同じであった。
【0028】
〔実施例4〜6〕
表2に示す合金組成の母材を1ダイスについて線落率を4%、線引速度20m/minの条件で線引きして直径300μmφの線に加工した。断線は皆無であった。
液相線温度、固液共存域温度巾ΔTは表2の通りであった。作動温度は表2に示す通りであり、バラッキが極めて小であった。
【表2】
Figure 0004162941
ヒートサイクル試験の後でも、作動温度は実質的に前記に同じであった。
図7は実施例5のヒューズエレメントのDSC曲線を示している。
【0029】
〔実施例7〜9〕
表3に示す合金組成の母材を1ダイスについて線落率を4%、線引速度20m/minの条件で線引きして直径300μmφの線に加工した。断線は皆無であった。
液相線温度、固液共存域温度巾ΔTは表3の通りであった。作動温度は表3に示す通りであり、バラッキが極めて小であった。
【表3】
Figure 0004162941
ヒートサイクル試験の後でも、作動温度は実質的に前記に同じであった。
図8は実施例9のDSC曲線を示している。
【0030】
〔実施例10〕
In50%、Pb19%、Sn31%の100重量部にAg1重量部を添加した合金組成の母材を線引きして直径300μmφの線に加工した。実施例1に較べ加工性に優れ、1ダイスについての引落率を6.5%とし、線引き速度を45m/minとして過酷な線引き条件としたが、断線は皆無であった。また、ヒューズエレメントの応力−歪特性の向上から、ヒートサイクルに対するヒューズエレメントの抵抗値変化も低減できると期待される。
この線の比抵抗を測定したところ、実施例1よりも低い比抵抗であった。
実施例1に対し、液相線温度や固液共存域温度巾ΔTについての変化は僅かであった。
Agの添加量0.1〜7重量部で上記効果が認められることを確認した。
【0031】
〔実施例11〜16〕
In50%、Pb19%、Sn31%の100重量部にそれぞれAu、Cu、Ni、Pd、Pt、Sbを1重量部を添加した各合金組成の母材を実施例10と同様に過酷な条件で線引きして直径300μmφの線に加工したが、何れにおいても断線は皆無であった。また、ヒューズエレメントの応力−歪特性の向上から、ヒートサイクルに対するヒューズエレメントの抵抗値変化も低減できると期待される。
実施例11〜16の比抵抗を測定したところ、実施例1よりも低い比抵抗であった。
実施例11〜16の何れも実施例1に対し、液相線温度や固液共存域温度巾ΔTについての変化は僅かであった。
また、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sbの添加量0.1〜7重量部添加で上記効果が認められることを確認した。
【0032】
〔比較例1〕
In25%、Pb22.5%、残部Snの合金組成とした以外は、実施例1と同様とした。DSC曲線は図9の通りであり、液相線温度が151.3℃、固液共存域温度巾ΔTが約18℃であった。作動温度が142±8℃であり、バラツキが相当に大であった。
【0033】
〔比較例2〕
In35%、Pb30%、残部Snの合金組成とした以外は、実施例1と同様とした。DSC曲線は図10の通りであり、液相線温度が166.2℃、固液共存域温度巾ΔTが33.4℃であった。作動温度が149±12℃であり、バラツキが相当に大であった。
【0034】
〔比較例3〕
In40%、Pb20%、残部Snの合金組成とした以外は、実施例1と同様とした。この合金組成のDSC曲線は図11の通りであり、液相線温度が137.9℃、固液共存域温度巾ΔTが10.2℃であった。作動温度が132±3℃であり、バラツキが上記実施例に較べて大であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る作動温度120℃〜150℃の温度ヒューズエレメント用線材及びそのヒューズエレメントを用いた温度ヒューズでは、有害金属を含まず、かつ線引き加工に必要な延性も備えているIn−Pb−Sn合金組成における固液共存域温度巾ΔTと組成との関係を合理的に把握して合金組成を設定しているから、作動温度のバラツキを充分に小さくでき、しかも、ヒューズエレメントを良好な歩留りで線引き加工できる合金型温度ヒューズを提供できる。
【0036】
特に、請求項2によれば、ヒューズエレメントの加工性の一層の向上、比抵抗の一層の低減、応力/歪特性の一層の向上のために、前記の合金型温度ヒューズに対し、ヒューズエレメントの細線化に基づく小型化、ヒートサイクル時の応力/歪に対する安定性の向上、ヒューズエレメントのジュール発熱に起因する作動温度のずれの一層の低減を有効に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合金型温度ヒュ−ズの一例を示す図面である。
【図2】本発明に係る合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。
【図3】本発明に係る合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。
【図4】本発明に係る合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。
【図5】本発明に係る合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。
【図6】実施例1の合金組成のDSC曲線である。
【図7】実施例5の合金組成のDSC曲線である。
【図8】実施例9の合金組成のDSC曲線である。
【図9】比較例1の合金組成のDSC曲線である。
【図10】比較例2の合金組成のDSC曲線である。
【図11】比較例3の合金組成のDSC曲線である。
【図12】In−Pb−Sn合金の液相面状態図である。
【図13】従来のIn−Pb−Sn合金ヒューズエレメントを用いた温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成を示す図である。
【符号の説明】
1 リード導体または電極
2 ヒューズエレメント
3 フラックス
4 絶縁体
5 封止剤

Claims (4)

  1. 質量百分率のもとでの合金組成がIn50%〜85%、Pbが1%〜40%,残部Sn(0を含まず)であることを特徴とする温度ヒューズエレメント用線材。
  2. 質量百分率のもとでのIn50%〜85%、Pb1%〜40%,残部Sn(0を含まず)の組成100重量部にAg、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sbの1種または2種以上が0.1〜7重量部添加されていることを特徴とする温度ヒューズエレメント用線材。
  3. 請求項1または2記載の温度ヒューズエレメント用線材をヒューズエレメントとしたことを特徴とする合金型温度ヒューズ。
  4. ヒューズエレメントを溶断させるための発熱体が付設されている請求項3記載の合金型温度ヒューズ。
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