JP4162345B2 - ラインセンサ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオードを用いた情報出力装置、ラインセンサ装置及び情報読み取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばOCR装置や、デジタルカメラ等の各種光学装置においては、CCD(charge coupled device;電化結合素子)で列を形成したラインセンサが用いられている。このCCD列を形成したラインセンサでは、CCD画素を一列に並べ、これをラインセンサとして用いている。
【0003】
また、CCD列を形成したラインセンサでは、光源として発光素子であるLED(light emitting diode;発光ダイオード)を用いることが多い。LEDは、民生用ディスプレイ素子として広く用いられており、パイロットランプや表示装置として広く利用されている。表示装置として用いる場合、例えば数字表示装置としては、7セグメントの素子を井形が2つ並んだ状態(8の字状)に組み合わせたものがあり、これは、所定のセグメントに電流を流すことによって所望の数字を表示させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、LEDは発光素子(表示素子)としてのみ用いられており、またCCDは受光素子としてのみ用いられている。このため、上述の光学装置では、これらLEDやCCDをそれぞれ設ける必要があり、装置の小型化に限界が生じている。また、これらLED及びCCDを両方設ける場合、コストも高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、スペース効率が良く、低コスト化できる情報出力装置、ラインセンサ装置及び情報読み取り方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、読み取り対象物に記載された情報を読み取って出力する情報出力装置において、PN接合からなり発光機能を有する発光ダイオードを具備する発光手段と、PN接合からなり発光手段で発光した光を受光する受光機能を有する発光ダイオードを具備する受光手段と、受光手段で得られた受光結果を読み取り対象物の読み取り情報として出力する出力手段と、を具備している。
【0007】
本発明によると、発光手段と受光手段とで、同一の構成を有する発光ダイオードに、それぞれ発光機能と受光機能を奏させることが可能となる。このため、受光手段にCCDを用いる場合と比較して、構成の簡略化による装置の小型化を図ることができる。また、CCDを用いる場合と比較して、低価格化を実現することができる。
【0008】
また、他の発明は、上述の発明に加え、受光手段は複数設けられていると共に、この受光手段と前記出力手段の間には、それぞれの受光手段で得られた受光結果を、異なる時間毎に時分割して出力し、それぞれの受光結果を多重化させる時分割多重化手段が接続されたものである。
【0009】
本発明によると、受光結果を異なる時間毎に時分割して出力し、それぞれの受光結果を多重化させることにより、多重化された情報の出力が可能となる。このため、情報処理が容易となると共に多重化によってライン状の情報を得ることが可能となる。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加え、時分割多重化手段には、特定の受光手段からの受光結果を出力する出力命令を与える制御手段が接続されたものである。
【0011】
本発明によると、制御手段が時分割多重化手段に接続されたことにより、特定の受光手段に対して適切な出力命令を与え、これを多重化させれば、適切な受光結果を出力手段で得ることが可能となる。
【0012】
さらに、他の発明は、読み取り対象物に記載された情報を読み取る情報出力装置において、PN接合を有する発光ダイオードを具備する共に、この発光ダイオードに少なくとも一つの制御信号によって、光を受光した場合にPN接合をバイアスする向きに光起電力を生じさせる受光状態と、発光ダイオードに対して順方向電圧を加え発光させる発光状態とに切り替える切り替え手段を具備した発光兼受光手段と、発光兼受光手段の受光状態で得られた受光結果を出力し、この出力結果を読み取り対象物の読み取り情報として出力する出力手段と、を具備するものである。
【0013】
本発明によると、発光兼受光手段をそれぞれ受光状態と発光状態とに切り替え手段で切り替えることにより、例えば併設配置された発光兼受光手段の一方を発光状態、他方を受光状態とすれば、この発光兼受光手段の機能の切り替えのみで出力手段で良好な受光結果を出力することが可能となる。
【0014】
また、発光兼受光手段を備えたことにより、発光状態と受光状態とを切り替えれば、それぞれ発光状態と受光状態とを別々の装置で実現する場合と比較して、装置の簡略化及びスペース効率の向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、他の発明は、請求項4記載の情報出力装置であって、PN接合を有する発光ダイオードを具備すると共に、発光兼受光手段の発光ダイオードとこの発光ダイオードとが隣り合って設けられ、この発光ダイオードは、光を受光した場合にPN接合をバイアスする向きに光起電力を生じさせる受光状態となる受光手段となり、この受光手段と発光兼受光手段の各受光結果が前記出力手段に出力され、読み取り対象物の読み取り情報として得られるものである。
【0016】
本発明によると、発光兼受光手段の発光ダイオードと受光手段の発光ダイオードとが隣り合って設けられていることにより、発光兼受光手段で発光機能を生じさせたときには受光手段で受光可能となる。また、発光兼受光手段単独でも、受光機能を生じさせることが可能となる。それによって、受光手段と発光兼受光手段が多数ある場合には、受光手段及び発光兼受光手段のどちらでも、光の受光を行うことが可能となる。
【0017】
さらに、他の発明は、上述の発明に加え、発光兼受光手段及び受光手段は、各二つ設けられ、これら二つの発光兼受光手段の各前記発光ダイオードが二つ並設されていると共に、隣り合ったこの発光ダイオードの長手方向両端部には、受光手段の発光ダイオードが並設されることで最小制御ブロックを構成し、この最小制御ブロックを一つ以上一列に並べて配置したものである。
【0018】
本発明によると、これらそれぞれ二つずつの発光兼受光手段及び受光手段を設けたことにより、第1の発光兼受光手段で発光機能を奏させた場合には、その隣に位置する第2の発光兼受光手段で受光機能を奏させて光を受光させると共に、受光手段で光を受光させれば、発光している発光兼受光手段の両隣で光を受光可能となる。
【0019】
そして、この後に、切り替え手段で発光機能と受光機能の切り替えを行い、他方の発光兼受光手段で発光機能を奏させる。そして、その隣に位置する一方の発光兼受光手段で受光機能を奏させて光を受光させると共に、受光手段で光を受光させれば、発光している発光兼受光手段の両隣で光を受光可能となる。すなわち、切り替え手段での一度の切り替え動作により、すべての発光兼受光手段及び受光手段で光をライン状に受光することが可能となる。そのため、発光状態と受光状態との切り替え回数を最小限にすることが可能となる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加え、受光手段と前記出力手段の間には、それぞれの受光手段若しくは発光兼受光手段で得られた受光結果を、異なる時間毎に時分割して出力し、それぞれの受光結果を多重化させる時分割多重化手段が接続されたものである。
【0021】
本発明によると、時分割多重化手段が受光手段と出力手段の間に設けられたことにより、それぞれの受光手段若しくは発光兼受光手段で得られた受光結果を、異なる時間毎に時分割して適切に出力させることが可能となる。それによって、情報処理が容易となると共に、この受光結果の出力を重ね合わせることにより、光のライン状の受光結果を適切に出力させることが可能となる。
【0022】
さらに、他の発明は、上述の発明に加え、時分割多重化手段には、特定の受光手段若しくは発光兼受光手段からの受光結果を出力する出力命令を与える制御手段が接続されていると共に、この制御手段は発光兼受光手段にも接続されて発光兼受光手段の発光状態と受光状態の切り替えを行う切り替え信号を発するものである。
【0023】
本発明によると、制御手段が時分割多重化手段に接続されていることにより、この制御手段からの出力命令によって特定の受光手段若しくは発光兼受光手段から適切に出力させることが可能となる。すなわち、この制御手段での制御によって、発光兼受光手段の発光状態と受光状態とを適切に切り替えれば、受光手段及び発光兼受光手段で良好な受光結果を得ることが可能となる。
【0024】
また、他の発明のラインセンサ装置は、上述の各発明における情報出力装置を、発光ダイオードが同列となるように多数配置して設けたものである。
【0025】
本発明によると、上述の情報出力装置を一ユニットとしてこれを多数同列に配列して設けた構成となるので、情報の読み取りをライン状に行うことが可能となる。このため、ライン状の情報の読み取り状態を移動させれば、良好に面状の情報の読み取りを行うことが可能となる。
【0026】
さらに、他の発明は、読み取り対象物に記載された情報を読み取る情報読み取り方法において、発光ダイオードを具備した第1の発光兼受光手段が発光状態となるように切り替え信号を伝達する第1の信号伝達工程と、第1の発光兼受光手段の発光ダイオードを発光状態とすると共に、第2の発光兼受光手段を受光状態としてこの第2の発光兼受光手段及び第1の受光手段で光を受光して情報の読み取りを行う第1の読み取り工程と、第1の読み取り工程で読み取られた情報を出力する第1の出力工程と、第1の出力工程の後に第1の発光兼受光手段及び第2の発光兼受光手段の発光状態及び受光状態の切り替えを行うように切り替え信号を伝達する第2の信号伝達工程と、第2の発光兼受光手段の発光ダイオードを発光状態とすると共に、第1の発光兼受光手段を受光状態として第1の発光兼受光手段及び第2の受光手段で光を受光して情報の読み取りを行う第2の読み取り工程と、第2の読み取り工程で読み取られた情報を出力する第2の出力工程と、を具備するものである。
【0027】
本発明によると、第1の信号伝達工程及び第2の信号伝達工程で、第1の発光兼受光手段及び第2の発光兼受光手段の発光状態及び受光状態の切り替えを適正に行うと共に、第1の読み取り工程及び第2の読み取り工程で、これに基づいて情報の読み取りを行えば、発光状態にある発光兼受光手段及び受光手段で適切に光を受光して出力することが可能となる。また、この光の受光状態と発光状態を第1の発光兼受光手段と第2の発光兼受光手段との間で切り替えて行うことにより、同列にあるすべての発光兼受光手段及び受光手段から光の受光結果を得ることが可能となる。
【0028】
すなわち、発光兼受光手段において発光状態から受光状態への切り替え動作を行うことで、これらの状態を別々の装置を設けることなく発光兼受光装置で実現することが可能となる。
【0029】
また、他の発明は、上述の情報読み取り方法に加え、第1の出力工程は、最初に第1の受光手段で受光した読み取り情報を出力し、続いて第2の発光兼受光手段で受光した読み取り情報を出力すると共に、第2の出力工程は、最初に第2の受光手段で受光した読み取り情報を出力し、続いて第1の発光兼受光手段で受光した読み取り情報を出力するものである。
【0030】
本発明によると、このように受光した読み取り情報の出力を制御することにより、順次読み取り情報を出力することができる。そして、出力された読み取り情報を重ね合わせれば、適切な出力結果を得ることが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1から図5に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本発明のラインセンサ装置の基本ブロック図を示すものであり、図2は、発光兼受光手段としての発光兼受光回路の基本回路図を示すものである。
【0033】
この図2の発光兼受光回路10において、所定の電位Eを生じさせる電源11が設けられており、この電源電圧を抵抗12及び抵抗13によって分圧している。そして、LED14のカソード側14aにバイアス電圧Vkを与えている。
【0034】
なお、このLED14は、PN接合を有する発光ダイオードである。そして、LED14のアノード側14bには、MOSFET15のゲート15aが接続されており、これと共にトランジスタ16のコレクタ16aが接続されている。
【0035】
また、MOSFET15のドレイン15bには、負荷抵抗17が接続されている。そして、この負荷抵抗17を介して、MOSFET15のドレイン15bが電源11のプラス極に接続されている。また、MOSFET15のソース15cは、帰還抵抗18に接続されている。そして、この帰還抵抗18を介して、MOSFET15のソース15cが電極11のマイナス極に接続されている。
【0036】
ここで、負荷抵抗17とMOSFET15の間には、LED14の受光出力を測定するために分岐した分岐配線19を有しており、この分岐配線19の端部19aで受光出力Vout を測定可能としている。
【0037】
また、トランジスタ16のベース16bには、抵抗20が接続されており、この抵抗20が配線21を介して不図示の制御回路に接続されている。それによって、抵抗20を介して不図示の制御回路から切り替え信号が与えられる構成である。この場合、切り替え信号がhighレベルの時、トランジスタ16はOFFとなり、LED14が受光素子として働くこととなる。また、切り替え信号がlowレベルの時、トランジスタ16はONとなり、LED14が従来どおり発光素子として働くこととなる。
【0038】
なお、これらトランジスタ16及び抵抗20、配線21および後述するCPU34により、切り替え手段が構成されている。それにより、トランジスタ16のON/OFF作動で、LED14を受光素子若しくは発光素子のいずれかに選択的に切りかえることが可能な構成としている。
【0039】
以上のような発光兼受光回路10の作用について、以下に説明する。まず、図1のCPU34により切り替え信号が発せられて、配線21を介してhighレベルの切り替え信号が入力される場合について説明する。
【0040】
PN接合を有するLED14に光が照射されると、PN接合を順方向にバイアスする向きに光起電力を生ずる。この場合、解放光起電力をVoとすると、
Vo=k(T/q)×In(I/Is)
であることが、一般的に知られている。なお、この式において、Isは逆方向の飽和電流、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷、Iは光電流である。
【0041】
一方、光起電力を生ずるためには、エネルギーギャップをEg(ev)としたとき、λ=1240/Eg(nm)の波長以下の光を必要とする。このため、例えばλ=660(nm)の波長で発光する透明部材で封止された赤色LEDを受光素子として使用した場合、660(nm)よりも短波長側に受光感度を持つことになり、660(nm)よりも短波長側ではない赤外領域の波長には感度を持たないことになる。したがって、フォトダイオードにおいて必要とされている視感度補正フィルタを必要とせずに済む。
【0042】
なお、このLED14が赤色の封止部材で封止されている場合は、赤色を選択して受光可能となる。同様に、緑色や青色の封止部材でLED14が封止されている場合は、それぞれ緑色や青色を選択して受光可能となる。このため、赤色LEDを使用し、赤、緑、青の三原色の封止部材でそれぞれ封止したLED14を受光素子として使用したり、LED自体を赤、緑、青のLED14として使用すれば、読み取り対象物の色情報を取り出すことができる。すなわち、図2に示す発光兼受光回路10を3つ併設し、LED14としてそれぞれ異なる色(赤、緑、青)のものを使用することで読み取り対象物の色情報を検出できることとなる。これと共に、この色情報を基にLED14を発光させ、その光を集めることによって、読み取り対象物の色を再現することも可能となる。
【0043】
また、透明部材で封止されたLED14において、異なる発光波長の物を複数使用してその差をとることにより、波長選択を行うことも可能となる。例えば、660nmの赤色LEDと560nmの緑色LEDの2つの受光量の差を取れば、560nmより短い波長の光による受光量は2つの間で同じとなる。このため、その間の受光量の差の変化を利用すれば、560nmと660nmの間の波長の光量を測定することが可能となる。すなわち、560〜660nmの波長を選択的に抽出することが可能となるのである。
【0044】
また、LED14によって発生する解放起電力をVoとし、バイアス電圧をVkとすれば、MOSFET15のゲート15aには、Vo+Vkの電圧が入力電圧として印加される。これによって、MOSFET15が導通可能となり、この入力電圧に比例した電圧がMOSFET15のドレイン15bに出力電圧Voutとして生ずることとなる。
【0045】
ここで、図3に、MOSFET15の入力電圧Vin(v)に対する出力電圧Vout(v)の特性を示す。この図3の結果より、略直線的に変化する領域(Vinの値が2.0弱〜2.4強の間)を使用するように、バイアス電圧Vkを設定すれば、入力電圧に比例した電圧がMOSFET15のドレイン15bに出力電圧として生ずることになり、良好な読み取り結果を得ることが可能となる。
【0046】
また、図4に被写体輝度に対する赤色LEDからなるLED14の出力電圧の特性の一例を示す。ここでは、図3の直線領域となるようにバイアス電圧Vkが設定済となっている。このグラフより、どこまで暗い輝度を測定できるかは、LED14の素子サイズに依存する。すなわち、素子サイズの大きなLED14を用いれば、読み取り対象物の読み取りの許容範囲が広がるが、素子サイズの小さいLED14を用いれば、許容範囲は限られる。
【0047】
ここで、図5に素子サイズの小さいLED14を使用した場合の特性を示す。この図においては、略直線的に変化する領域が限られている。したがって、異なる素子サイズのLED14を組み合わせる等によって選択使用することにより、読み取りの許容範囲を広げると共に、必要とする読み取り許容範囲に切り替えて認識することが可能となる。
【0048】
続いて、図1において切り替え信号がlowレベルでトランジスタ16がONとなり、LED14を発光素子として使用する場合について、以下に説明する。このような使用はLED14の通常の使用に相当する。
【0049】
まず、トランジスタ16がONとなることにより、LED14には抵抗13を介して電流が供給され、発光する。この場合、抵抗13の値は次式によって与えられる。
R2=(E−Vled)/Imax
【0050】
ここで、R2は、抵抗13の抵抗値、Eは電源11の電圧、VledはLED14の順方向電圧、ImaxはLED14に流すことが可能な許容電流である。したがって、抵抗12の抵抗値R1は、
R1=R2×{(E/Vk)−1}
となる。
【0051】
上述の切り替え信号のlowレベルを維持すれば、LED14は連続点灯することになり、切り替え信号のlowレベルとhighレベルを周期的に繰り返せば、LED14は点滅することになる。このように、図2に示した発光兼受光回路10では、LED14の受光と発光とを簡単に切り替えることが可能となる。
【0052】
以上のような発光兼受光回路10を用いて、以下のようなラインセンサ装置30を構成している。これを図1に示す。
【0053】
まず、ラインセンサ装置30の最小制御ブロック31を構成する場合について説明する。最小制御ブロック31は、読み取り情報を出力可能な最小単位の、情報出力装置として機能を備えるものである。この場合、上述の発光兼受光手段としての発光兼受光回路10に設けられているLED14を隣り合うように、2つ並べる。そして、隣り合って設けられた発光兼受光回路10と同列になるように、受光のみを行う受光手段としての受光回路32のLED14をこの列の長手方向両端部に位置するように設ける。
【0054】
すなわち、この配列では、それぞれのLED14が、受光回路32、発光兼受光回路10、発光兼受光回路10、受光回路32の順に、同列に配列されている。
【0055】
なお、以下の説明では、図1に示すように、受光回路32や発光兼受光回路10を受光回路32−1、発光兼受光回路10−2、発光兼受光回路10−3、受光回路32−4というように、この図において上から並べられた順に符号を付して説明する。また、これと同様に、LED14においても上述の順でLED14−1〜LED14−4として符号を付して説明する。
【0056】
これら受光回路32−1,32−4及び発光兼受光回路10−2,10−3は、共に時分割多重化手段としてのマルチプレクサ33に接続されている。マルチプレクサ33は、発光兼受光回路10−2,10−3や受光回路32−1,32−4から発せられた複数の信号を時分割多重方式などで多重化可能な装置である。また、マルチプレクサ33は、制御手段としてのCPU34にも接続されている。CPU34は、マルチプレクサ33や発光兼受光回路10に対して制御信号を発するものである。それによって、マルチプレクサ33が制御信号を受信すると、CPU34に存する出力手段としてのA/D入力端子35で各LED14における出力電圧の取り込みを行えるようになっている。
【0057】
すなわち、このCPU34からの信号に基づいて、発光兼受光回路10−2,10−3や受光回路32−1,32−4から出力された出力電圧を、時分割して受信することを可能としている。また、CPU34からの制御信号によって、発光兼受光回路10においては、発光状態と受光状態との切り替えを行う構成となっている。
【0058】
なお、このようなマルチプレクサ33からの多重化による信号の受信を可能とするために、マルチプレクサ33は、A/D入力端子35にも接続されている。
【0059】
また、CPU34は、発光兼受光回路10−2,10−3の配線21と接続している。このため、CPU34が発した発光・受光切り替え信号を発光兼受光回路10−2,10−3で受信して、発光兼受光回路10−2,10−3の発光機能と受光機能とを切り替えるように構成されている。
【0060】
このような最小制御ブロック31を、それぞれのLED14−1〜14−4が同列となるように、複数並べて設ければ、ラインセンサ装置30としての機能を果たすことが可能となる。
【0061】
以上のような構成を有するラインセンサ装置30の作用について、以下に説明する。
【0062】
まず、CPU34により切り替え信号が発せられて、LED14−2を光源として使用する場合について説明する。この場合、配線21を介してCPU34で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ16がONとなり、LED14−2を発光素子として使用することが可能となる。
【0063】
LED14−2を光源として使用する場合、CPU34はLED14−3にも切り替え信号を同時に伝達し、配線21を介してCPU34からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ16はOFFとなり、LED14−3を受光素子として使用することが可能となる(第1の信号伝達工程)。
【0064】
ここで、LED14−2を光源として使用すると、LED14−1,14−3でこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第1の読み取り工程)。この場合、CPU34はまずマルチプレクサ33に制御信号aを送り、LED14−1の出力電圧をA/D入力端子35に取り込むようにする。これに続いて、制御信号cを送り、LED14−3の出力電圧をA/D入力端子35で取り込むようにする。すなわち、LED14−2を光源として利用した場合には、これの両隣りのLED14−1とLED14−3で光を受光する。そして、受光結果を、LED14−1,LED14−3の順で、A/D入力端子35で取り込むようにする(第1の出力工程)。
【0065】
続いて、LED14−3を光源として使用する場合について、説明する。この場合、上述のLED14−2とLED14−3の、発光機能と受光機能とが逆の関係になる。すなわち、配線21を介してCPU34で発せられたlowレベルの切り替え信号が伝達される。それによって、トランジスタ16がONとなり、LED14−3を発光素子として使用可能となる。
【0066】
この場合、CPU34はLED14−2にも切り替え信号を同時に伝達し、配線21を介してCPU34からhighレベルの切り替え信号が伝達される。それにより、トランジスタ16はOFFとなり、LED14−2が受光素子として使用可能となる(第2の信号伝達工程)。
【0067】
このLED14−3を光源として使用すると、LED14−2,14−4でこの光源として使用された光を取り込む(読み取る)ことが可能となる(第2の読み取り工程)。この場合、CPU34はまずマルチプレクサ33に制御信号bを送り、LED14−2の出力電圧をA/D入力端子35で取り込む。これに続いて、制御信号dを送り、LED14−4の出力電圧をA/D入力端子35で取り込む(第2の出力工程)。それによって、LED14−3の両隣りのLED14−2とLED14−4で光を受光することが可能となる。
【0068】
以上の動作により、LED14−1〜LED14−4までの、計4個の出力電圧を得ることが可能となる。そして、この最小制御ブロック31での動作を、他の最小制御ブロック31でも同時にまたは順次に行う。それによって、所定の長さを有したライン状の情報の読み取りが可能となる。
【0069】
また、このラインセンサ装置30が、紙面等の読み取り対象物に対して所定のピッチだけ進行する毎に、上述の動作を繰り返して行うことによって、面としての読み取り情報を得ることが可能となる。
【0070】
このような構成のラインセンサ装置30によると、発光兼受光回路10−2,10−3を設け、この発光兼受光回路10−2,10−3に発光機能と受光機能を備えさせたことにより、受光手段としてCCD等を別途設ける場合と比較して、構成の簡略化を図ることができる。また、他のCCD等の装置を別途必要としなくなるため、低価格化を実現することもできる。
【0071】
また、マルチプレクサ33を設けたことにより、受光回路32−1,32−4や発光兼受光回路10−2,10−3で受光した受光結果を、異なる時間毎に時分割して出力し、これを多重化させることによってライン状の出力情報を得ることが可能となる。
【0072】
さらに、マルチプレクサ33にはCPU34が接続されているので、このCPU34から制御信号a〜dを制御して伝達すれば、LED14−1〜LED14−4で得られた受光結果を、A/D入力端子35に順次出力させることができる。それによって、適切な読み取り情報を得ることができる。
【0073】
また、発光兼受光回路10−2,10−3を二つ設け、さらに受光回路32−1,32−4を二つ設けて、これらのLED14−1〜LED14−4が同列になるように設けたため、最小制御ブロック31毎にライン状に情報を読み取ることが可能となる。また、最小制御ブロック31が、複数一列に設けられることにより、所定長さを有するライン状の情報の読み取りが可能となる。
【0074】
このように、LED14−1からLED14−4の順番で配列し、さらにLED14−2,14−3は、発光兼受光回路10−2,10−3の一部を構成すると共に、LED14−1,14−4は受光回路32−1,32−4の一部を構成する。そのため、CPU34からの切り替え信号を送る回数を、最小回数の一回にすることが可能となる。また、切り替え信号を送る回数を最小限にすることにより、情報の読み取り欠陥を最小限にすることが可能となる。
【0075】
そして、このラインセンサ装置30を、所定ピッチ進行する毎に、読み取り動作を繰り返すことにより、面としての読み取り情報を得ることが可能となる。
【0076】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。以下、これについて説明する。
【0077】
上記実施の形態では、発光兼受光回路10と受光回路32の各2つで計4つを最小制御ブロックとしたものを説明したが、各1つで計2つを1組(最小制御ブロック)としても良い。また、上述の実施の形態では、発光兼受光回路10を利用したラインセンサ装置30について説明したが、LED14は発光素子としても受光素子としても活用できるため、発光状態と受光状態の切り替えを行わずに、これらの状態を固定的にして、発光回路と受光回路32からなるラインセンサ装置30を構成しても構わない。この場合でも、CCD等を別途必要としなくて済むので、低価格化や装置構成の簡略化を図ることができる。
【0078】
また、ラインセンサ装置30は上述の構成に限られるものではなく、発光兼受光回路10のみによって構成することも可能である。この場合は、最小制御ブロック31を構成する必要はなく、LED14が一つおきに受光状態と発光状態となるように、CPU34から制御信号を伝送すればよい。そして、一方のLED14で光を受光した後に、他方のLED14で光を受光するように、一度制御信号を伝送すれば、適正な読み取り結果を出力することが可能となる。
【0079】
さらに、マルチプレクサ33を設けなくても、各LED14で受光した受光結果の出力電圧を制御調整する等によって、CPU34で受光結果の多重化を行って良好な受光結果を得ることも可能である。
【0080】
また、上述の実施の形態では、ラインセンサ装置30について述べたが、このラインセンサ装置30を応用して、各種の光学装置に本発明を適用することも勿論可能である。その光学装置の例としては、例えばカメラ装置やOCR装置等がある。
【0081】
さらに、上述の実施の形態では、マルチプレクサ33やCPU34の個数は、特に限定していないが、これらマルチプレクサ33やCPU34は、最小制御ブロック31毎に設ける構成としても、或いはラインセンサ装置30全体で一つのみ設ける構成としても、どちらでも構わない。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、発光手段と受光手段とで、同一の構成を有する発光ダイオードに、それぞれ発光機能と受光機能を奏させることが可能となる。このため、受光手段にCCDを用いる場合と比較して、構成の簡略化による装置の小型化を図ることができる。また、CCDを用いる場合と比較して、低価格化を実現することができる。
【0083】
また、他の発明では、発光兼受光手段を設け、この発光兼受光手段をそれぞれ受光状態と発光状態とに切り替え手段で切り替えるようにしている。このため、例えば併設配置された発光兼受光手段の一方を発光状態、他方を受光状態とすれば、この発光兼受光手段の機能の切り替えのみで出力手段で良好な受光結果を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる情報出力装置としてのラインセンサ装置の構成を示す図である。
【図2】図1のラインセンサ装置中の発光兼受光回路を示す図である。
【図3】図2の発光兼受光回路中のMOSFETの入力電圧に対する出力電圧の特性を示す図である。
【図4】図2の発光兼受光回路中の被写体輝度に対するMOSFETの出力電圧特性を示す図である。
【図5】図1の発光兼受光回路中で使用されるLEDの素子サイズが小さい場合における被写体輝度に対するMOSFETの出力特性を示す図である。
【符号の説明】
10,10−2,10−3…発光兼受光回路(発光兼受光手段)
14,14−1,14−2,14−3,14−4…LED(発光ダイオード)15…MOSFET
16…トランジスタ(切り替え手段の一部)
30…ラインセンサ装置(情報出力装置)
31…最小制御ブロック
32,32−1,32−4…受光回路
33…マルチプレクサ
34…CPU
35…A/D入力端子

Claims (1)

  1. PN接合を有する発光ダイオードを具備すると共に、この発光ダイオードに少なくとも一つの制御信号によって、光を受光した場合にPN接合をバイアスする向きに光起電力を生じさせる受光状態と、上記発光ダイオードに対して順方向電圧を加え発光させる発光状態とに切り替える切り替え手段を具備した発光兼受光手段と、
    上記発光兼受光手段の受光状態で得られた受光結果を出力し、この出力結果を読み取り対象物の読み取り情報として出力する出力手段と、
    を具備し、
    上記発光兼受光手段の発光ダイオードが隣接して配置され、
    上記隣接する二つの発光兼受光手段の発光ダイオードが交互に発光ダイオードおよび受光ダイオードとして機能するように発光状態と受光状態の切替を行う切替回路が設けられ、
    上記発光兼受光手段と出力手段との間にそれぞれの受光結果を異なる時間ごとに時分割して出力する時分割多重化手段が接続され、
    この時分割多重化手段で特定の発光兼受光手段の受光結果を出力する出力命令を与える制御手段が接続され、
    上記制御手段は、上記切替回路に上記発光兼受光手段の発光状態と受光状態との切替制御信号を出力する手段を含み、
    上記発光兼受光手段と光を受光した場合にPN接合をバイアスする向きに光起電力を生じさせる受光状態となる受光手段とが、各二つ設けられ、これら二つの発光兼受光手段の各上記発光ダイオードが二つ並設されていると共に、隣り合ったこの発光ダイオードの長手方向両端部に、上記受光手段の発光ダイオードが並設されることで最小制御ブロックを構成し、この最小制御ブロックを一つ以上一列に並べて配置され、
    上記制御手段は、第一の読み取りタイミングでは、上記最小制御ブロックの一つの発光兼受光ダイオードを発光させるとともに、隣接する受光手段と発光兼受光ダイオードを受光素子として動作させ、次の第二の読み取りタイミングでは他方の発光兼受光ダイオードを発光させ、隣接する受光手段と前のタイミングでは発光した発光兼受光ダイオードを受光素子として動作させる
    ことを特徴とするラインセンサ装置
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