上記特許文献1,2に開示されているような温水装置は、貯留手段に湯水や熱媒体を貯留しておくものであり、暖房装置等の負荷端末の熱源として好適に使用できる。しかし、特許文献1,2で採用されている燃焼手段は、液体燃料を噴霧して燃焼するものであり、大きな燃焼室を要する。そのため、特許文献1,2に開示されている温水装置は、装置構成が小型化が困難であり、設置スペース等に大きな制約があった。
そこで、本発明者らは、貯留型温水装置をより一層小型化すべく、燃焼手段として上記特許文献3に開示されている燃焼装置ような所謂気化式の燃焼装置を採用して実験を重ねた。上記特許文献3に開示されている燃焼装置の多くは、燃焼室内に多数の炎孔を形成し、そのそれぞれに火炎を形成するものである。かかる構成の燃焼装置では、十分な燃焼能力を得るために炎孔を高密度に配置することが望ましい。そこで、気化式の燃焼装置の多くは、十分な燃焼能力を得るために開口形状が矩形の燃焼室内に炎孔を直線状に並べて形成している。
一方、上記特許文献1,2のような貯留型の温水装置の多くは、燃焼ガスが通過する燃焼ガス通路が貯留手段を貫通している。貯留型の温水装置では、燃焼ガス通路を通過する燃焼ガスとの熱交換を効率よく行い、貯留している湯水や熱媒体を略均一に加熱すべく、貯留手段の開口形状が略円形となっている。
上記したように、気化式の燃焼装置の燃焼能力を十分に発揮しつつ、効率よく貯留手段内の湯水や熱媒体を加熱するためには、燃焼部の開口形状が略矩形の燃焼手段と、円筒形の貯留手段とを接続した構成とすることが望ましい。
しかし、上記したように、何らかの理由で開口形状や開口領域の異なる燃焼手段および貯留手段を接続する場合は、一方の開口領域中に他方の開口領域の外に出るはみ出し部分ができてしまい、燃焼手段で発生した熱エネルギーを貯留手段側に十分伝達できないという問題がある。
また、本発明者らの実験の結果、上記したように気化式の燃焼手段に対して貯留手段を接続した場合、貯留手段内の湯水や熱媒体が次第に高温になるとこの熱の影響を受けて燃焼手段の炎孔部分がさらに高温になる。そのため、燃焼手段に隣接した位置に貯留手段のように高温になる部位がある場合は、燃焼室内に配置された炎孔が高温となり赤熱等を起こし、燃焼手段の耐久性が低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明では、開口形状や開口領域の異なる燃焼手段と貯留手段とを連結しつつ、燃焼手段で発生した熱エネルギー効率よく回収可能な温水装置、並びに、当該温水装置等の熱源として最適な燃焼装置の提供を目的とした。
そこで、上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、燃料を燃焼する燃焼手段と、当該燃焼手段に接続される熱交換手段と、前記燃焼手段と熱交換手段とを結合する結合手段とを具備しており、前記燃焼手段は、燃焼部を有し、当該燃焼部の下端部に燃焼により発生する燃焼ガスを放出する燃焼側開口端を有し、前記燃焼部が貯留手段側に開口しており、点火により前記燃焼部全体に火炎が広がるものであり、前記熱交換手段は、前記燃焼側開口端に対向し接続される熱交側開口端を有し、当該熱交側開口端は、前記燃焼側開口端と開口形状あるいは開口領域の大きさのいずれか一方または双方が異なり、前記燃焼側開口端の開口領域中には、燃焼手段と熱交換手段とを重ね合わせることにより熱交側開口端の開口領域の外に出るはみ出し部Aが発生し、前記熱交側開口端の開口領域中には、燃焼手段と熱交換手段とを重ね合わせることにより燃焼側開口端の開口領域の外に出るはみ出し部Bが発生し、前記結合手段は、燃焼手段の燃焼側開口端に装着される燃焼側結合部材と、熱交換手段の熱交側開口端に装着される熱交側結合部材とを有し、燃焼側結合部材および熱交側結合部材には、燃焼手段と熱交換手段とを接続した際における燃焼側開口端および熱交側開口端の開口領域の重複部分に相当する形状の連通孔が設けられており、前記燃焼側結合部材には、前記はみ出し部Aに相当する形状の閉塞部があり、当該閉塞部により前記はみ出し部Aが閉塞されており、前記熱交側結合部材には、前記はみ出し部Bに相当する形状の閉塞部があり、当該閉塞部により前記はみ出し部Bが閉塞されていることを特徴とする温水装置である。
本発明の温水装置は、熱交換手段の熱交側開口端および燃焼手段の燃焼側開口端のいずれか一方あるいは双方に、熱交換手段と燃焼手段とを重ね合わせた時に一方の開口領域中に他方の開口領域の外に出るはみ出し部がある。そのため、ただ単に燃焼手段と熱交換手段とを接続するだけでは、燃焼手段と熱交換手段との間にはみ出し部が生じてしまい、当該はみ出し部から燃焼手段において発生した高温の燃焼ガスの一部が漏出してしまうおそれがある。
上記したように、本発明の温水装置は、燃焼手段と熱交換手段との間に発生するはみ出し部を結合手段によって閉塞した構造となっている。そのため、燃焼手段において発生した高温の燃焼ガスや熱エネルギーはもれなく熱交換手段に至る。従って、本発明によれば、燃焼手段および熱交換手段の開口形状や開口領域の大きさが異なる場合であっても、燃焼ガスの持つ熱エネルギーを十分に回収可能な熱回収効率に優れた温水装置を提供できる。
また、本発明の温水装置は、燃料を燃焼する燃焼手段と、当該燃焼手段に接続される熱交換手段と、前記燃焼手段と熱交換手段とを結合する結合手段とを具備しており、前記燃焼手段は、燃焼により発生する燃焼ガスを放出する燃焼側開口端を有し、前記熱交換手段は、前記燃焼側開口端に対向し接続される熱交側開口端を有し、当該熱交側開口端は、前記燃焼側開口端と開口形状あるいは開口領域の大きさのいずれか一方または双方が異なり、前記結合手段には、燃焼手段と熱交換手段とを接続した際における燃焼側開口端および熱交側開口端の開口領域の重複部分に相当する形状の連通孔が設けられていることを特徴とする。
本発明の温水装置は、燃焼手段の燃焼側開口端の開口形状や開口領域が熱交換手段の熱交側開口端のものと異なる。そのため、ただ単に燃焼手段と熱交換手段とを接続するだけでは、燃焼手段と熱交換手段との間にはみ出し部が生じてしまい、当該はみ出し部から燃焼手段において発生した高温の燃焼ガスの一部が漏出してしまうおそれがある。
上記したように、本発明の温水装置は、結合手段に燃焼手段と熱交換手段とを接続した際における燃焼側開口端および熱交側開口端の開口領域の重複部分に相当する形状の連通孔が形成されている。そのため、本発明の温水装置では、燃焼手段と熱交換手段とを重ねあわせた際に発生するはみ出し部が結合手段によって閉塞され、燃焼手段において発生した高温の燃焼ガスが外部に漏れずに熱交換手段に流れ込む。従って、本発明によれば、開口形状や開口領域の異なる燃焼手段および熱交換手段を採用しつつ、燃焼ガスの持つ熱エネルギーを十分に回収可能な熱回収効率に優れた温水装置を提供できる。
本発明の温水装置において、結合手段は、燃焼手段の燃焼側開口端に装着される燃焼側結合部材と、熱交換手段の熱交側開口端に装着される熱交側結合部材とを具備している。
かかる構成によれば、燃焼側開口端および熱交側開口端の開口形状および開口領域に合致した結合手段を容易かつ安価に製造できる。
本発明の温水装置は、結合手段が、燃焼手段の燃焼側開口端に装着され、熱交換手段の開口形状に合わせて燃焼側開口端の開口面積を縮小する燃焼側結合部材と、熱交換手段の熱交側開口端に装着され、燃焼手段の開口形状に合わせて熱交側開口端の開口面積を縮小する熱交側結合部材とを具備していることを特徴とするものであってもよい。
本発明の温水装置は、燃焼側結合手段および熱交側結合手段により、燃焼手段と熱交換手段とを重ね合わせた時に一方の開口領域中に他方の開口領域の外に出るはみ出し部を閉塞されている。そのため、燃焼手段において発生した高温の燃焼ガスは、漏れなく熱交換手段に流れ込み、熱交換を行う。従って、本発明によれば、燃焼手段において発生した熱エネルギーを十分回収可能なエネルギー回収効率の高い温水装置を提供できる。
また、本発明の温水装置は、燃焼側開口端の開口形状や開口領域が熱交側開口端のものと異なるため、結合手段を一体物として作製するには手間がかかり、製造コストが高くなる。しかし、本発明の温水装置では、結合手段が燃焼手段に装着される燃焼側結合部材と、熱交換手段に装着される熱交側結合部材とを具備した構成であるため、結合手段の製造が容易であり、結合手段の製造に要するコストも最小限に抑制できる。
請求項2に記載の発明は、燃焼側開口端および熱交側開口端のいずれか一方又は双方にフランジ部があり、結合手段が、燃焼手段の燃焼側開口端に装着される燃焼側結合部材と、熱交換手段の熱交側開口端に装着される熱交側結合部材と、挟持部材とを有し、当該挟持部材が前記燃焼側結合部材および熱交側結合部材とフランジ部とを挟持することを特徴とする請求項1に記載の温水装置である。
上記した構成によれば、燃焼側結合部材および熱交側結合部材とフランジ部とを挟持部材で挟持でき、燃焼手段と熱交換手段とをしっかりと一体化すると共に、燃焼手段や熱交換手段と結合手段との間や、燃焼側結合部材と熱交側結合部材との間における隙間の発生を防止できる。従って、上記した構成によれば、燃焼手段において発生した燃焼ガスが確実に熱交換手段に供給され、熱エネルギーの回収を十分に行える。
上記請求項1又は2に記載の温水装置は、熱交換手段が、湯水又は熱媒体を貯留する貯留空間と、燃料の燃焼により発生した燃焼ガスが通過する燃焼ガス通路とを具備していることを特徴とするであってもよい。(請求項3)
請求項4に記載の発明は、燃焼手段が、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、当該気化部において生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼し、火炎を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温水装置である。
本発明の温水装置が備える燃焼手段は、液体燃料を気化して発生する燃焼ガスや、この燃焼ガスと空気との混合ガスを燃焼するものであるため、燃料を燃焼室内に噴霧して燃焼するいわゆる噴霧型の燃焼手段を備えたものよりも構成がコンパクトであり、燃焼作動時に発生する騒音も小さい。従って、本発明によれば、小型で燃焼騒音の小さな温水装置を提供できる。
請求項5に記載の発明は、燃焼手段が、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、当該気化部において生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼し、火炎を形成するものであり、前記燃焼部が、前記燃料ガスまたは混合ガスが通過するガス開口に、網状部材を介して炎孔部材を被覆させたものであり、炎孔部材が、燃料ガスまたは混合ガスを噴出して火炎を形成する炎孔を有し、前記網状部材が、エキスパンドメタルにより作製されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温水装置である。
本発明の温水装置は、液体燃料を気化して発生する燃焼ガスや、この燃焼ガスと空気との混合ガスを燃焼するいわゆる気化式の燃焼手段を具備している。気化式の燃焼手段は、いわゆる噴霧型の燃焼手段のように燃料を噴霧するための大きな燃焼空間を必要としない。また、気化式の燃焼手段は、燃料を噴霧する必要がないため、燃焼作動時に発生する騒音も極めて小さい。従って、本発明によれば、装置構成がコンパクトで作動音の小さな温水装置を提供できる。
また、本発明の温水装置において採用されている燃焼手段は、ガス開口に、網状部材を介して炎孔部材を被覆させた構成であるため、燃料ガスまたは混合ガスはガス開口を通過することにより十分混合された後に炎孔から噴出される。そのため、前記燃焼手段は、燃焼状態が安定しており、供給された燃料を完全燃焼できる。
上記したように、燃焼手段は、網状部材を介して炎孔部材を被覆させた構成となっており、炎孔部材の持つ熱が網状部材を介して他部材に伝播して放出される。そのため、燃焼手段は、燃焼手段の炎孔部材が過度に高温とならず、炎孔部材の赤熱等の不具合が起こらない。従って、本発明の温水装置は、燃焼手段の耐久性が高い。
本発明の温水装置では、網状部材としてエキスパンドメタルを採用している。エキスパンドメタルは、薄板に細かい切目を交互に入れたものを引っ張って広げるエキスパンド加工を施したものであり、一般的に細い金属糸等を編んで構成される金網類よりも厚み方向に平坦であり製造コストも安価である。そのため、本発明の温水装置では、網状部材として金網類を採用した場合よりも炎孔部材と網状部材との密着性が高く、炎孔部材の熱をスムーズに放出できる。従って、上記した構成によれば、炎孔部材の過昇温に伴う赤熱等の不具合を解消しつつ、温水装置の製造コストを抑制することができる。
また、本発明の温水装置において網状部材の素材として採用されているエキスパンドメタルは、金属糸等を編んで構成される金網類よりも強度が高い。そのため、本発明の温水装置では、炎孔部材が高温になる条件下であっても網状部材の損傷等が起こらない。
請求項6に記載の発明は、燃焼手段が、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、当該気化部において生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼し、火炎を形成するものであり、前記燃焼部が、前記燃料ガスまたは混合ガスが通過するガス開口に、網状部材を介して炎孔部材を被覆させたものであり、炎孔部材が、燃料ガスまたは混合ガスを噴出して火炎を形成する炎孔を有し、前記網状部材が、エキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものにより作製されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温水装置である。
上記した構成によれば、装置構成がコンパクトで作動音の小さな温水装置を提供できる。また、上記したように、本発明の温水装置が備える燃焼手段は、ガス開口と炎孔部材との間に網状部材が介在した構成となっている。そのため、ガス開口から噴出する燃料ガスや混合ガスは網状部材を通過することにより攪拌された後噴出される。従って、上記した構成によれば、燃焼手段における燃焼状態が安定しており、供給された燃料を完全燃焼可能な燃焼安定性に優れた温水装置を提供できる。
上記したように、本発明の温水装置では、網状部材としてエキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものを採用している。上記したように、エキスパンドメタルは、厚み方向に比較的平坦であるが、薄板に細かい切目を交互に入れたものを引っ張って広げたものであるため厚み方向に僅かに隆起部分がある。本発明の温水装置で採用されている網状部材は、エキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものであるため、前記したような隆起部分が殆どない。そのため、網状部材は、炎孔部材や他部材との密着性が高く、炎孔部材の持つ熱をスムーズに放出できる。従って、本発明によれば、炎孔部材が過度に高温にならず、燃焼手段の耐久性に優れた温水装置を提供できる。
上記請求項6に記載の温水装置において採用されている網状部材は、SUS430製の板体にエキスパンド加工を施したものであってもよい。(請求項7)
本発明において採用されている網状部材は、SUS430製であるため、熱伝導率が極めて高い。そのため、上記した構成によれば、炎孔部材の過昇温およびこれに伴う不具合を確実に防止できる。
請求項8に記載の発明は、燃焼手段が、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部と、当該気化部において生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼し、火炎が形成される燃焼部と、当該燃焼部内に導入された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを点火する点火手段とを具備しており、前記燃焼部が、一以上の長辺と、当該長辺よりも短い一以上の短辺とからなる開口形状を有し、前記気化部の一部または全部が燃焼部内に露出しており、前記点火手段が、燃焼部内であって、前記気化部に対して燃焼部の長辺の延伸方向に外れた位置で点火動作を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温水装置である。
上記したように、本発明の温水装置は、燃焼手段と熱交換手段とを重ね合わせた時に熱交換手段の開口領域中に燃焼手段の開口領域からはみ出す部分が形成される場合がある。この場合、燃焼手段側から前記はみ出し部分に気流が発生し、点火動作後の火移りがうまく進まないおそれがある。従って、本発明の燃焼装置では、前記気流の上流側で点火動作を行うことが望ましい。
本発明の燃焼装置では、上記した気流の上流側に相当する点火手段が気化部に対して燃焼部の長辺の延伸方向に外れた位置で点火動作を行う構成となっている。そのため、本発明の燃焼装置は、点火動作に伴う火移りがスムーズであり、着火不良による未燃成分等の発生が少ない。
本発明の燃焼装置は、液体燃料を気化して燃料ガスを生成する気化部を有し、当該気化部において生成された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを燃焼部へ送出して燃焼し、火炎を形成するものであり、前記燃焼部は、前記燃料ガスまたは混合ガスが通過するガス開口に、網状部材を介して炎孔部材を被覆させたものであり、炎孔部材は、燃料ガスまたは混合ガスを噴出して火炎を形成する炎孔を有し、前記網状部材は、エキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものにより作製されていることを特徴とするものであってもよい。
本発明の燃焼装置は、液体燃料を気化して発生する燃焼ガスや、この燃焼ガスと空気との混合ガスを燃焼するいわゆる気化式の燃焼手段であるため、燃焼騒音が小さく、大きな燃焼空間を必要としない。
本発明の燃焼手段は、ガス開口に、網状部材を介して炎孔部材を被覆させた構成であるため、燃料ガスまたは混合ガスはガス開口を通過する際に十分攪拌され、その後に炎孔から噴出される。そのため、本発明の燃焼装置は、燃焼状態が安定しており、供給された燃料を完全燃焼できる。
上記したように、本発明の燃焼装置は、網状部材を介して炎孔部材を被覆させた構成となっており、炎孔部材の熱が網状部材に直ちに伝播される。また、本発明の燃焼装置では、網状部材としてエキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものを採用している。そのため、前記網状部材は厚み方向に平坦であり、炎孔部材や他部材との密着性が高い。従って、本発明の燃焼装置では、炎孔部材の熱がスムーズに網状部材に伝播し、炎孔部材の過昇温に伴う赤熱等の不具合が起こらない。
上記したように、エキスパンドメタルは金属糸を編み込んで作製される金網類に比べて製造コストが低く、耐久性が高い。そのため、上記した構成によれば、製造コストが安価で耐久性に優れた燃焼装置を提供できる。
請求項9に記載の発明は、燃焼部内に導入された燃料ガスまたは燃料ガスと空気の混合ガスを点火する点火手段を具備しており、燃焼部が、一以上の長辺と、当該長辺よりも短い一以上の短辺とからなる開口形状を有し、前記気化部の一部または全部は燃焼部内に露出しており、前記点火手段が、燃焼部内であって、前記気化部に対して燃焼部の長辺の延伸方向に外れた位置で点火動作を行うことを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の燃焼装置である。
かかる構成によれば、下方に接続される他部材の開口形状や開口領域の大きさにかかわらず点火動作に伴う火移りがスムーズであり、着火不良による未燃成分等の発生が少ない燃焼装置を提供できる。
本発明によれば、小型で湯水や熱媒体の加熱効率が高く、燃焼騒音が小さな貯留型温水装置を提供できる。
続いて、本発明の一実施形態である温水装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の給湯装置(貯留型温水装置)である。給湯装置1は、大別して燃焼手段2と、貯留手段105と、排気手段120とを本体ケース25内に備えたものである。燃焼手段2は、貯留手段105の上方に接続されており、排気手段120は、貯留手段105の下流側に接続されている。
燃焼手段2は、炎孔を下に向けて内蔵されるもので、下方へ向けて火炎を噴出する下方燃焼型(所謂、逆燃焼型)の燃焼形態をとるものである。燃焼手段2は、図2の様に、上から送風機3、駆動機械部4、空気量調節部5、混合部6及び燃焼部7が順次積み重ねられて構成される。混合部6及び燃焼部7の近傍には気化器(気化部)8が設けられ、空気量調節部5と気化器8の間には、流路形成部材13が配されて空気流路が形成されている。
順次説明すると、送風機3は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング20の内部にファン21が回転可能に配されたもので、ハウジング20の中央部には、開口22が設けられている。
駆動機械部4は箱体10を有し、その天板12の中央にモータ30が取り付けられている。モータ30は、両端部から回転軸30a,30bが突出しており、回転軸30a,30bは、燃焼手段2の略全長を上下へ向けて貫通している。上方側の回転軸30aは、ファン21に接続され、下方側の回転軸30bは、気化器8の回転部材74に接続されている。即ち、モータ30の回転駆動により、ファン21が回転駆動されて下方へ向けて送風(空気供給)を行うと共に、回転部材74が同時に回転駆動される。
送風機3のモータ30は、図示しない制御回路部(制御手段)で生成された制御信号によって回転数制御が行われ、燃焼部7側への供給空気量を制御している。
空気量調節部5は、円板状の移動側板状部材41と方形状の固定側板状部材42によって構成され、固定側板状部材42に対して移動側板状部材41が回転可能に取り付けられたものである。移動側板状部材41は円板形であり、中央部に設けられた軸挿通孔41aの周囲には、放射状に開口(不図示)が設けられている。
一方、固定側板状部材42は、方形状であり、移動側板状部材41よりも大きい。固定側板状部材42の中央部に設けられた軸挿通孔の周囲にも、放射状に開口(不図示)が設けられている。
空気量調節部5は、ステップモータ40を駆動して移動側板状部材41を回転させ、移動側板状部材41と固定側板状部材42の開口同士の重なり具合を変化させることができる。これにより、開口同士の重なり具合を変化させ開口面積を変動させて、一次空気(気化器8へ直接供給する空気)および二次空気(後述する炎孔ベース60周辺へ供給する空気)の双方の供給量を最適に調節する構成としている。
流路形成部材13は、図2の様に、薄板を円錐形に曲げて作られており、内部は空洞で上下に連通している。即ち、流路形成部材13は、上部と下部に開口を有し、両者は連通しており、上部の開口は、前記した固定側板状部材42の中心部へ当接し、下部の開口は、後述する一次空気導入筒15へ連通している。
流路形成部材13の内側には、燃料パイプ(燃料供給管)14が固定されている。燃料パイプ14は、図20に示すように燃料タンク16に電磁ポンプ17を介して接続されている。燃料パイプ14は、図2や図5のように流路形成部材13の上部の開口から内部に入り、流路形成部材13および一次空気導入筒15を貫通して気化器8の回転部材74の内部に至るように取り付けられる。
混合部6、燃焼部7及び気化器8は、図3,4の様に、炎孔ベース60を中心として構成され、炎孔ベース60の中央部には、気化器8が設けられている。そしてこれらの構成部品がハウジング11内に収納されている。炎孔ベース60は、アルミダイカストによって作られたものであり、図3に示すように、複雑な枠組と開口及び溝が設けられている。なお、図3では、炎孔ベース60の上部に上面板65を取り付けた状態で示している。
炎孔ベース60の上面側は、図5の様に、主として燃料ガス及び二次空気の流路形成面として機能し、下面側は図3、図4、図6の様に、炎孔取付け面として機能する。即ち、炎孔ベース60の上面側には、図5の様に、多数のループ状の垂直壁62で仕切られた溝63が設けられており、隣接する垂直壁62同士の間には、溝64が設けられている。そして、後述する気化器8で生成された燃料ガスは、上面壁61と垂直壁62との間を通り溝64から下方の炎孔へ向けて噴出して火炎を発生させる。
炎孔ベース60の下面側には、図6の様に、上面側の溝63と連通して二次空気の供給路を形成するスリット状の二次空気開口67が配列されている。この二次空気開口67の配列された列同士の間には、燃料ガスの流路である溝64が配されている。後述するように、炎孔部材9は、隣接する二次空気開口67同士の間に、溝64を覆うようにして炎孔ベース60の下面側に当接させて固定される。
また、炎孔ベース60には、図3、図4に示すように、熱回収壁60aが設けられている。熱回収壁60aは、炎孔ベース60の外側縁に沿って下方へ向けて壁状に設けられている。この熱回収壁60aは、後述する炎孔部材9の炎孔から下方へ向けて噴出する火炎の熱を回収し炎孔ベース60へ伝達して昇温させる機能を有する。熱回収壁60aは金型を用いて炎孔ベース60と一体化してダイキャスト製法により製される。
炎孔ベース60には、図4のように長さおよび形状の異なる3種の第1炎孔部材9a、第2炎孔部材9bおよび第3炎孔部材9cから構成される炎孔部材9が装着され、燃焼部7が形成されている。第1炎孔部材9aは、図4において、気化器8の左右に7本ずつ配されるものでる。また、第2炎孔部材9bは、炎孔ベース60と略同一の長さを有する長尺の部材であり、図4において、上下から気化器8を挟むように炎孔ベース60の長手方向へ向けて1本ずつ配される。また、第3炎孔部材9cは、第2炎孔部材9bと略同一長を有する長尺の部材であり、図4において第2炎孔部材9bの上下に隣接して炎孔ベース60の長手方向へ向けて1本ずつ配されている。第1炎孔部材9a、第2炎孔部材9bおよび第3炎孔部材9cには、いずれもそれぞれの幅方向に伸びる複数の炎孔80が長手方向に所定の間隔で設けられている。
炎孔ベース60に装着された炎孔部材9には、保炎部材86が図6のように被せて固定される。保炎部材86は、炎孔部材9から噴出する火炎へ供給される二次空気によって火炎が煽られることを防止し、安定した二次空気の供給を確保するためのものである。
保炎部材86の外形は炎孔ベース60の熱回収壁60aに沿った形状であり、気化器8に相当する部位が切り欠かれている。この保炎部材86は、図4における炎孔ベース60の上下方向中央部から2分割された左右対称形状であり、気化器8を上下から挟むようにして炎孔ベース60に固定される。
図7に示すように、保炎部材86は、炎孔部材9の炎孔部81の外形に合わせた溝状の複数の開口86aと、当該開口86aから離れる方向へ傾斜させて長手両側縁を切り起こして形成される保炎部86bと、隣接する保炎部86bの間に開口86aに沿って配列された複数の二次空気開口86cとを備えた部材である。
炎孔部材9および保炎部材86は、図6のようにして炎孔ベース60に取付固定される。まず、炎孔ベース60の炎孔部材9が固定される部位全面に渡って予め網状部材50が配される。その後、炎孔部材9は、この網状部材50の上方から、炎孔ベース60の溝64を覆うようにして配列される。そして、配列した炎孔部材9の上から、保炎部材86の開口86aと炎孔部材9の炎孔部81を一致させるように保炎部材86を被せる。保炎部材86と炎孔部材9は、ねじ69によって炎孔ベース60へ共締め固定される。
さらに詳細に説明すると、網状部材50は、SUS430製の薄板に細かい切目を交互に入れたものを引っ張り、金網状に広げるエキスパンド加工を施して多数のメッシュを形成したエキスパンドメタルをさらに厚み方向に圧縮したものを図8のように所定の形状に成型したものである。網状部材50は、26W/m・K程度の熱伝導率を有し、従来の温水装置で多用されているSUS304製の網等よりも熱伝導特性に優れている。網状部材50は、炎孔部材9等の赤熱を防止すべく20W/m・K以上の熱伝導率を有する素材で製作されることが望ましく、24W/m・K以上の素材で製作さることがより一層好ましい。
網状部材50は、図8や図9のように平面視が略菱形のメッシュ51を有し、厚み方向の段差が殆どなく、平坦な形状となっている。さらに具体的には、網状部材50は、厚みtの板体に刻み幅Wで細かい切目を入れて引っ張り加工を施し、短目方向の中心距離がSWで、長目方向の中心距離がLWの菱形の開口形状を有するメッシュ51を多数有している。本実施形態の態様では、網状部材51の厚みtは、1/10ミリメートルオーダーの大きさであることが望ましく、0.15mm〜0.3mm程度であることがより望ましい。厚みtは、0.2mm〜0.25mm程度であることがより一層好ましい。また、網状部材51の刻み幅は、1/10mmオーダーの幅であることが望ましく、0.2mm〜0.3mm程度であることがより望ましい。
さらに、網状部材50のメッシュ51の短目方向の中心距離SWは、ミリメートルオーダー程度の大きさであることが望ましく、0.8〜1.5mm程度であることがより望ましい。さらに、中心距離SWは、0.8mm〜1.2mm程度であることがより一層好ましい。メッシュ51の長目方向の中心距離LWは、ミリメートルオーダーの大きさであることが望ましく、1.8mm〜2.5mm程度であることがより望ましい。中心距離LWは、1.8mm〜2.2mm程度であることがより一層好ましい。なお、網状部材51の厚みt、刻み幅、中心距離がSW,LW等のサイズについては、炎孔部材9や炎孔80の形状等に応じて適宜変更することが望ましい。
網状部材50は、図8のように平面視が略矩形であり、炎孔ベース60と略同一の面積を持つものである。網状部材50には、中央に前記した気化器8を挿通するための開口52があり、開口52の周囲であって炎孔ベース60の溝64に相当する部位には島状の隆起部53が形成されている。隆起部53は、網状部材50に装着される炎孔部材9の裏面に接触するように成型された山状の部位である。さらに具体的には、隆起部53は、上記した第1炎孔部材9a、第2炎孔部材9bおよび第3炎孔部材9cの形状に合わせて3種の隆起部53a,53b,53cが成型されている。
隆起部53aは、炎孔ベース60の溝64に相当する位置であって、第1炎孔部材9aが装着される部位に成型されたものである。隆起部53aは、図8のように気化器8が挿通される開口52の左右に7箇所ずつ形成されている。また、隆起部53b,53cについても隆起部53aと同様に溝64に相当する位置であって、第2炎孔部材9b、第3炎孔部材9cが装着される部位に成型されている。即ち、隆起部53bは、炎孔ベース60と略同一の長さを有し、開口52を挟むように一箇所ずつ配されている。また、隆起部53cは、炎孔ベース60と略同一の長さを有し、図8のように隆起部52bの上下に隣接する位置に一箇所ずつ配されている。網状部材50は、隆起部53,53間にねじ69を挿通するための開口55が形成されている。
上記したようにして炎孔ベース60に対して網状部材50、炎孔部材9および保炎部材をねじ69によって共締め固定すると、図10のように炎孔部材9と網状部材50とが接触する。そのため、炎孔部材9の持つ熱は、網状部材50側に伝達され、アルミダイキャスト製の炎孔ベース60側に伝播され、放熱される。従って、炎孔部材9は、長時間にわたって火炎が形成されてもさほど高熱にならず、赤熱等の現象が起こらない。
図4に示すように、燃焼部7は開口形状が矩形の熱回収壁60aによって囲まれた領域であり、熱回収壁60aの長辺L,Lの中心を結ぶ中心線LCと、短辺S,Sの中心を結ぶ中心線SCとが交差する部分に気化器8が露出している。燃焼部7には、ハウジング11の外側から点火プラグ82および火炎の有無を検知するフレームロッド83とが挿通されている。
本実施形態の温水装置1では、点火特性を向上させるべく点火プラグ82が長辺L,Lを結ぶ中心線LCから外れた位置に挿入されている。また、フレームロッド83は、ほぼ中心線LCに相当する位置に挿入されている。
さらに具体的には、通常、燃焼手段2は、点火プラグ82によって燃焼ガスあるいは混合ガスが点火されると、火炎は図13(a)に示すように送風機2のファン22により発生する気流F1の影響を受けて気化器8を中心として伝播し、燃焼部7全体に拡がる。しかし、本実施形態の温水装置1のように下方に円筒形の貯留手段105を配した場合、図13(b)に示すように燃焼手段2の燃焼部7の開口領域に対する貯留手段105の開口領域のはみ出し部B側にファン22によって発生する気流F2が流れ込む。そのため、例えば図13(b)の点P1のように気化器8の近傍であってもはみ出し部Bに近い位置で点火動作を行っても、気流F2,F3の影響で他の炎孔80への火移りがうまくいかないおそれがある。また、点P1に相当する位置は、図13(b)において短辺Sの中心線SCよりも下方にあり、気化器8に相当する位置を中心として発生する気流F2の下流に相当する位置であるため、短辺Sの中心線SCよりも上方の領域への火移りが困難であり、全ての炎孔80において点火が完了するまでに相当の時間を要すると想定される。
そこで、本実施形態の温水装置1では、図13(c)のように、燃焼室7に対して想定される中心線LCから長辺Lの延伸方向に外れた位置であって、気流F2,F3の上流である中心線SCに近い位置において点火動作を行う構成としている。そのため、燃焼手段2は、点火動作を行うと直ちに燃焼部7全体に火移りする。
炎孔部材9と保炎部材86は上記構造で炎孔ベース60へ固定されているため、溝64を介して供給される燃料ガスは、網状部材50を通過する際に十分攪拌され、炎孔部材9の炎孔80から噴出する。炎孔80から噴出した燃料ガスは、図1のように燃焼部7の側面側から接続された点火プラグ82によって点火され火炎を形成する。また、二次空気開口67を介して供給される二次空気は、保炎部材86の開口86aを介して火炎の両側に供給される。このとき、保炎部86bにより、二次空気が直接火炎を煽ることを防止しつつ火炎に均一に二次空気が供給され、完全燃焼を促進して有害ガスの排出を抑える。
気化器8は、図2、図5に示すように、気化室70と回転部材74によって構成される。気化室70は、底面部71と周部72を持つ円筒体であり、底面部71は閉塞し、上部は開口している。即ち、気化室70は窪んだ形状であり、底面部71及び周部72は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放されている。気化室70は、前記した様に底面部71及び周部72を持ち、あたかもコップの様な形状であり、炎孔ベース60の中央部分に取り付けられている。従って気化器8の一部たる気化室70の外壁部分は燃焼部に露出する。
気化室70の底面部71内には、気化器ヒータ73が内蔵されている。この気化器ヒータ73に通電することにより底面部71が発熱し、さらにこの熱が気化室70の壁を伝導し、気化室70の内壁が全体的に加熱される機能を有する。これにより、回転部材74によって気化室70の内部へ飛散された液体燃料を気化し易くする機能を有している。
回転部材74は、前記したモータ30の回転軸30bに取り付けられて一体的に回転するもので、円板の周縁を切り起こして多数の撹拌羽根74aを設けた形状である。回転部材74は、燃料パイプ14を介して供給(滴下)される液体燃料を回転による遠心力によって飛散させるものである。回転部材74に滴下され飛散した燃料は、気化室70の内部で熱によって気化させて燃料ガスとなる。気化された燃料ガスは、回転部材74によって送風機3から供給される一次空気と撹拌され、均一な混合ガスとなる。気化した燃料ガスは、図5のように炎孔ベース60の上面側の垂直壁62,62間に形成された溝64に流入し、溝64を介して炎孔ベース60の下面側に流れる。燃料ガスは、炎孔ベース60の下面側に溝64を覆うように装着されている炎孔部材9の炎孔80から噴出され、下方に向けて火炎を形成する。そのため、燃焼手段2は、貯留手段105側に開口した燃焼部7全体に均一な火炎を形成する。
上記した燃焼手段2の下方には、図11のような接続部材90(結合手段)を介して貯留手段105が接続されている。接続部材90は、貯留手段105側に装着される枠部材91と、貯留手段105の上端部105b(熱交側開口端)に装着される貯留側接続部材92、燃焼手段2の燃焼部7の下端部7a(燃焼側開口端)に装着される燃焼側接続部材93、係合部材94、並びに、押圧部材104を具備している。枠部材91は、フランジ95によって包囲され、燃焼側接続部材93が嵌め込まれる桝部96を有する。枠部材91は、貯留側接続部材92が嵌め込まれる嵌合部97と筒部98とが桝部96の略中央部から下方(貯留手段105側)に突出した形状となっている。
嵌合部97は、外周が貯留手段105の内周に沿う形状であり、筒部98側に向けて徐々に縮径している。筒部98は、外形が貯留手段105の内径よりも小さく、両端が開口している。枠部材91は、筒部98を貯留手段105の上端部に接続されている。
貯留手段105に装着された枠部材91のフランジ95には、図11のように一対の係合部材94、94が対向するように装着され、一体化されている。係合部材94は、押圧部材104と組み合わせ、燃焼手段2と貯留手段105に接続された枠部材91との接続に使用されるものである。さらに具体的に説明すると、係合部材94は、フランジ95の外周に当接する当接部94aと、当接部94aに対して上方に突出した2つの係合片94b,94bを有する。
また、押圧部材104は、図11のように燃焼手段2の下流端にあるフランジ11aに予め装着されている。押圧部材104は、燃焼手段2のフランジ11aに当接する当接部104aと、係合部材94の係合片94b,94bを挿入するための開口104b,104bとを有する。
燃焼手段2と貯留手段105との接続は、図11,12のように、予め貯留手段105に装着された枠部材91に貯留側接続部材92および燃焼側接続部材93を嵌め込み、この上方に燃焼手段2を重ねると共に、枠部材95に装着された係合部材94,94の係合片94b,94bが燃焼手段2のフランジ11aに装着された押圧部材104,104の
開口104b,104bに嵌るように燃焼手段2を枠部材91の上方から被せる。その後、燃焼手段2およびこれに装着された押圧部材104を図12の矢印Pで示すように押し込むと、当接部材104が枠部材91側に近づく。これにより、枠部材91の桝部96と押圧部材104の当接部104aとの間に燃焼手段2のフランジ11a、貯留側接続部材92および燃焼側接続部材93が挟持され、固定される。
貯留側接続部材92は、セラミックやグラスウール等で製された耐熱性を有する環状の部材であり、枠部材91の嵌合部97に沿う形状に成型されたものである。また、燃焼側接続部材93は、貯留側接続部材92と同様にセラミックやグラスウール等で製された耐熱性を有する部材であり、フランジ95によって囲まれた桝部96に嵌め込まれるものである。
図14に示すように、燃焼手段2は、燃焼部7の下端部7aの開口形状が矩形である。また、貯留手段105の上端部105bの開口形状は円形である。そのため、燃焼手段2と貯留手段105とを重ね合わせると、図14に示すように燃焼部7の開口領域中に貯留手段105の開口領域の外に出るはみ出し部Aが発生する。また逆に、貯留手段105の開口領域中には、燃焼手段2の開口領域の外に出るはみ出し部Bが発生する。本実施形態の温水装置1では、はみ出し部Aが燃焼側連結部材93によって閉塞されており、はみ出し部Bが貯留側接続部材92によって閉塞されている。
さらに具体的には、図11や図15のように燃焼側連結部材93には、はみ出し部Aに相当する形状の閉塞部93aがある。また、貯留側接続部材92には、図11や図16のように鍔状の閉塞部92aがある。上記したはみ出し部A,Bは閉塞部92a,93aによって閉塞されている。
貯留側接続部材92および燃焼側接続部材93の中央部には、開口102,103が設けられている。開口102,103は、図14や図15,15に示すように、燃焼手段2を貯留手段105上に重ね合わせた時に、燃焼部7の下端部7a側の開口領域と、貯留手段105の上端部105b側の開口領域とが重なり合う領域に相当する形状となっている。そのため、燃焼手段2において発生した燃焼ガスは、もれなく後述するガス滞留部100および煙管101に流れ込む。
貯留手段105は、上端側が蓋部99によって閉塞されている。貯留手段105の上端側には、蓋部99と枠部材91の筒部98とによって包囲されたガス滞留部100が形成されている。蓋部99には、多数の開口が設けられており、そのそれぞれに煙管101(燃焼ガス通路)が挿通されている。煙管101は、両端が開口した筒体であり、貯留手段105の内部空間106を上下方向に貫通している。煙管101には、燃焼手段2において発生し、ガス滞留部100に流入した高温の燃焼ガスが流れる。
煙管101の内部には、図1に示すように、邪魔部材107が挿入されている。邪魔部材107は、図19に示すように煙管101の開口径 と略同一である帯状の板体107aに半円状の切り目を設け、互い違いに折り返すことにより、連通部107bおよび偏向部107cを形成したものである。これにより、煙管101の上端側から下端側に流れる燃焼ガスは、図1および図19に矢印で示すように煙管101内を屈曲しながら下流側に流れる。そのため、煙管101内を流れる燃焼ガスは、通過速度が緩やかであり、貯留手段105内の湯水や熱媒体と十分に熱交換を行う。
貯留手段105は、図11のように円筒形のタンクであり、図17のように底部108により閉塞されている。貯留手段105の内部空間106に挿通されている煙管101は、底部108の下方にある排気手段120側に突出している。
貯留手段105の周部には、図17や図20のように内部空間106と連通した保護流路接続口114、流入口115および流出口116,117が設けられている。保護流路接続口114および流出口116,117は、いずれも貯留手段105の上端側であって貯留手段105の高さ方向に対して同位置に開口している。
保護流路接続口114には、後述する保護流路135が接続されている。また、流入口115および流出口116,117には、それぞれ後述する貯留流入路133、高温流出路131および低温流出路132が接続されている。流出口116,117は、いずれも整流手段110よりも上方側の内部空間106(上部空間106a)に連通している。本実施形態の温水装置1は、燃焼手段2を貯留手段105の上端側に接続した構成であり、貯留手段105の上端側に近づくほど高温になる傾向にある。
貯留手段105の内周と、貯留手段105の上流側(図17上方側)に接続された筒部98の外周との間には、環状の整流手段110が設けられている。整流手段110は、図18のようなドーナツ状の部材である。整流手段110は、表面110a側の周部が湾曲している。
貯留手段105は、内部空間106を上下に分割し、上部空間106aおよび下部空間106bとを形成している。整流手段は110は、厚み方向に貫通した多数の連通孔111を有する。連通孔111は、周方向に複数設けられているが、その開口径および密度が部位によって異なる。
さらに具体的には、上記した保護流路接続口114、流入口115および流出口116,117は、それぞれ貯留手段105の側面105aに対して平面視で図17(a)に示すような位置関係で配置されている。流出口116の延伸方向L1は、保護流路接続口114、流入口115および流出口117の延伸方向L2と交差し、直交している。そのため、保護流路接続口114、流入口115および流出口116,117からの距離を指標とし、図17のように内部空間106を2つのエリアS1,S2に分類した場合、貯留手段105の内部空間106内に貯留されている湯水や熱媒体は、エリアS1内を優先的に流れる。従って、貯留手段105内のエリアS1側にある湯水や熱媒体の動圧は、エリアS2側の動圧よりも高くなる傾向にある。
本実施形態の温水装置1において、貯留手段105内に設置されている整流手段110に設けられている連通孔111は、大別して上記したエリアS1に相当する位置にある複数の連通孔111aと、エリアS2に相当する位置にある複数の連通孔111bとから構成されている。また、エリアS1側にある複数の連通孔111aは連通孔群112を構成しており、エリアS2側にある複数の連通孔111bは連通孔群113を構成している。
連通孔111aは、連通孔111bよりも開口径が小さく、流路抵抗が大きい。また、エリアS1に設けられている連通孔群111aは、エリアS2側の連通孔群111bよりも低密度に設けられている。そのため連通孔群112は、連通孔群113よりも流路抵抗が大きく、湯水や熱媒体が流れにくい。そのため、本実施形態の温水装置1では、保護流路接続口114や流入口115、流出口116,117に近いエリアS1およびこれらの接続口から離れたエリアS2のいずれの領域も、湯水や熱媒体の動圧および攪拌状態が略同一であり、特に高温になると想定される上部空間106a内の動圧分布や攪拌状態が均一となる。従って、温水装置1では、貯留手段105内の湯水や熱媒体の攪拌状態や温度分布は、保護流路接続口114や流入口115、流出口116,117等の接続口からの遠近によらず略均一であり、局部での沸騰現象等の不具合が起こらない。
貯留手段105の下端側には、金属板によって製されたフランジ部材118が固定されている。フランジ部材118は、外形が後述する排気集合部121の開口形状と略同一の部材であり、集合排気部121の開口部分を閉塞するものである。フランジ部材118は、貯留手段105の外側に向かって延伸した略環状のフランジ部118aと、排気筒支持部118bとを有する。排気筒支持部118bは、排気筒122が接続される部分であり、貯留手段105を貫通する煙管101を通過してきた燃焼ガスを排気筒122側に送るための開口118cがある。
貯留手段105の下方には、排気手段120の排気集合部121が接続されている。排気集合部121は、排気集合筒125と断熱材押圧部材127との間に排気断熱材126を介在させたものであり、上方(貯留手段105側)に向けて開口している。排気断熱材126は、排気集合筒125の内壁125aおよび底面125bに沿う形状で、上方に向けて開口している。また、断熱材押圧部材127は、排気部断熱材126の内壁126aおよび底面126bに沿う形状で、上方に向けて開口しており、排気断熱材126を排気集合筒125側に押しつけ、圧縮固定する。
排気集合部121は、排気集合筒125、排気断熱材126および断熱材押圧部材127を重ね合わせて形成されるものであり、断熱材押圧部材127の内側に貯留手段105が接続される貯留手段接続部121aと、排気筒122が接続される排気筒接続部121bとが形成される。貯留手段接続部121aに貯留手段105の下端部を挿入すると、貯留手段105に装着されたフランジ部材118が排気集合部121の上方に覆い被さる。フランジ部材118が排気集合筒125にねじ止めされると、フランジ部材118によって排気集合部121の開口部分が閉塞されると共に、断熱材押圧部材127が排気集合筒125側に押しつけられ、排気断熱材126が圧縮固定される。貯留手段105を通過した燃焼ガスは、排気集合部121および排気筒122を通過し、排気筒122の上端側に設けられた排気口123から排出される。
温水装置1は、図20に示すような流水回路130を備えている。流水回路130は、図示しない暖房機器等の負荷端末に温水装置1において加熱された湯水や熱媒体が流れるものである。流水回路130は、貯留手段105に接続された高温流出路131、低温流出路132、貯留流入路133および保護流路135を具備している。
高温流出路131は、貯留手段105の上端側にある流出口116に接続された流路であり、貯留手段105内の湯水や熱媒体を図示しない暖房機器等の負荷端末に供給するものである。
低温流出路132は、貯留手段105の上端側にある流出口117に接続された流路であり、主として貯留手段10内の湯水を負荷端末側に供給する流路である。低温流出路132は、中途に熱動弁136を具備しており、貯水部137に接続されている。
貯水部137には、貯留手段105内の水位を検知する水位センサ138と、圧力リーク弁140とが接続されている。貯水部137には、リザーブタンク141が付属しており、貯留手段105内の水位が低下した際に貯水部137を介して熱媒体や湯水を補給することができる。
貯水部137には、負荷端末側から戻る湯水や熱媒体が流れる負荷復路142が接続されている。また、貯水部137には、低温流出路132や負荷復路142から流入した湯水や熱媒体を流出するバイパス流路143が接続されている。バイパス流路143の中途には、循環ポンプ145が設けられている。バイパス流路143は、負荷端末に湯水や熱媒体を供給する負荷往路146と貯留流入路133との接続部147に接続されている。
保護流路135は、図示しない負荷端末の作動停止時に作用する循環ポンプ145の圧力のリークや、貯留手段105内の湯水や熱媒体の膨張により流出する湯水や熱媒体を貯水部137側に逃がすためのものである。即ち、保護流路135は、負荷端末の停止中に循環ポンプ145により圧送される湯水や熱媒体を貯留手段105側に戻す流路であり、循環ポンプ145の焼き付きを防止する保護手段として機能する。また、保護流路135は、貯留手段105内における湯水や熱媒体の膨張、収縮を調整すべく設けられたものである。
続いて本実施形態の温水装置1の動作について説明する。温水装置1は、負荷端末の運転スイッチをオン状態にすると、図示しない制御回路部が気化器ヒータ73および補助ヒータ75への通電を開始し、気化器8および炎孔ベース60の予熱が開始される。予熱が完了すると、制御回路部は、ステップモータ40を駆動して空気量調節部5の開度を所定値に制御し、モータ30を所定回転数で駆動する。そして、制御回路部は、電磁ポンプ17を駆動させ、液体燃料(本実施形態では石油を使用)を燃料パイプ14を介して気化室70の内部に噴射する。
気化室70の内部に噴射された液体燃料は、回転部材74で回転力を受けて気化室70の加熱された周部72へ飛散して気化され、送風機3から供給される空気と撹拌羽根74aで撹拌されて予混合された燃料ガス(混合ガス)が生成される。生成された燃料ガスは、図5の様に、気化室70から炎孔ベース60の上面に沿って上面壁61との間を流動し、溝64を通じて炎孔部材9(9a,9b,9c)の炎孔80から噴出する。
また、送風機3から空気量調節部5を介して上面板65に向けて空気が供給され、上面板65の開口から流入した空気は炎孔ベース60の溝63を介して二次空気開口67から二次空気として炎孔部材9の間へ噴出する。そして、制御回路部は、点火プラグ82によって燃料ガスへ点火して燃焼を開始する。
燃焼手段2において燃焼が開始されると、高温の燃焼ガスが発生し、下方に接続された貯留手段105側に流れ、貯留側接続部材92および燃焼側接続部材93の開口102,103を経てガス滞留部100内に流入する。ガス滞留部100内に流入した高温の燃焼ガスは、蓋部99から突出している各煙管101に流入する。
各煙管101内に流入した燃料ガスは、内部に設置された邪魔部材107によって形成される屈曲通路状のガス通路を通過する。そのため、燃料ガスは、邪魔部材107により流速が低減され、ゆっくりと下流側に向かって流れる。
煙管101内を流れる燃料ガスは、貯留手段105内に貯留されている湯水や熱媒体と熱交換する。これにより、貯留手段105内の湯水は加熱され、徐々に高温になる。燃焼ガスは、煙管101の下流端(貯留手段105の下端側)に至ると、貯留手段105の下方に接続された排気手段120の排気集合部121内に流入する。排気集合部121内に流入した燃焼ガスは、排気筒接続部121bに接続された排気筒122内に開口118cを介して流入し、排気口123から排出される。
燃焼ガスとの熱交換により貯留手段105内の湯水が高温になると、熱動弁136が低温流出路132を開状態とする。熱動弁136が開状態となると、制御回路部は、循環ポンプ145を作動させる。これにより、貯水部137に貯留手段105から高温の湯水が流入すると共に、暖房機器等の負荷端末側から負荷復路142を介して低温の湯水あるいは熱媒体が流入し、混合される。貯水部137において混合された湯水あるいは熱媒体は、バイパス流路143を流れ、接続部147に至る。
接続部147に至った湯水あるいは熱媒体の一部は、貯留流入路133を流れ、貯留手段105に戻って加熱される。一方、負荷往路146側に流入した湯水あるいは熱媒体は、負荷端末に供給される。
上記したように、本実施形態の温水装置1は、貯留手段105の上方に燃焼手段2を設けた構成であるため、大きな燃焼室等を設ける必要がない。そのため、本実施形態の温水装置1は、装置構成が極めてコンパクトである。
また、温水装置1は、燃焼手段2が貯留手段105の上方にあるため、例えば負荷端末や貯水部137から貯留手段105に流入する熱媒体や湯水の温度が低く、ドレンが発生したとしても、このドレンは燃焼手段2にはかからない。そのため、本実施形態の温水装置1は、ドレン等の影響を受けず安定した燃焼作動を行える。
上記したように、温水装置1は、開口形状の異なる燃焼手段2と貯留手段105とを接続すべく、燃焼部7の下端部7aに燃焼側接続部材93を装着すると共に、貯留手段105の上端部105bに貯留側接続部材92を装着し、これらによってはみ出し部A,Bを閉塞した構造となっている。また、燃焼側接続部材93および貯留側接続部材92には燃焼部7および貯留手段105の開口領域が重複する部分に開口102,103を設けた構成となっている。そのため、温水装置1では、燃焼手段2において発生した燃焼ガスは、もれなく貯留手段105側に導入される。従って、温水装置1は、燃焼手段2における燃焼作動に伴って発生する熱エネルギーを十分回収できる。
また、上記したように、接続部材90は、貯留側接続部材92と燃焼側接続部材93とを別々に成型したものであるため、作製が容易であり、製造コストが安い。
上記したように、接続部材90は、枠部材91に嵌め込まれた貯留側接続部材92および燃焼側接続部材93を嵌め込み、これらと燃焼手段2のフランジ11aとを枠部材91に装着された係合部材94および押圧部材104で挟み込んで一体化する構成となっている。そのため、フランジ11a、貯留側接続部材92、燃焼側接続部材93および枠部材91の間には隙間が発生しない。従って、温水装置1は、燃焼手段2と貯留手段105との接続部分が気密状態となっており、燃焼ガスは外部に流出しない。
燃焼手段2は、燃焼部7に配置された複数の炎孔部材9の炎孔80に火炎が形成され、燃焼部7全体に火炎が形成される。そのため、燃焼手段2は、燃焼部7全体にわたって均等に燃焼ガスが発生する。従って、本実施形態の温水装置1は、燃焼ガスが貯留手段105に設けられた全ての煙管101に対して略均等に流入する。
また、上記した燃焼手段2は、液体燃料を気化して発生する燃焼ガスと、空気との混合ガスを燃焼するものであり、燃料を燃焼室内に噴霧して燃焼する燃焼形態をとる燃焼手段よりも騒音が小さい。
燃焼手段2は、燃料ガスあるいは燃料ガスと空気の混合ガスが通過する溝64と炎孔部材9との間に網状部材50が介在しているため、燃料ガスや混合ガスは十分攪拌された後に炎孔80から噴出される。そのため、燃焼手段2は、燃焼状態が極めて安定しており、供給された燃料ガスを完全燃焼できる。
また、網状部材50は、エキスパンドメタルを厚み方向に圧縮したものを用いて成型されたものであり、厚み方向の凹凸が少ない。そのため、上記実施形態では、炎孔ベース60および炎孔部材9と網状部材50との密着性が高く、炎孔部材9の熱を炎孔ベース60側にスムーズに逃がすことができる。従って、燃焼手段2は、例えば長時間にわたって燃焼作動を行う場合や、燃焼量が小さく火炎が炎孔部材9に近づいた状態で燃焼作動を行う場合のように炎孔部材9が過度に高温となると想定される条件下で燃焼作動を行ったとしても炎孔部材9の赤熱や損傷等の不具合が起こらない。
上記実施形態では、網状部材50は、炎孔部材9や炎孔ベース60との密着性を向上すべくエキスパンドメタルを厚み方向に圧延したものを素材として作製した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エキスパンドメタルをそのまま使用したものや、金属糸を編み込んで作製した金網類を用いて作製したものであっても良い。
温水装置1は、燃焼手段2において発生した高温の燃焼ガスが下方に流れ、貯留手段105において熱交換をした後、排出される構成となっている。通常、高温の燃焼ガスは、上方に向けて流れやすく、下方には流れにくい。そのため、本実施形態の温水装置1では、高温の燃焼ガスがゆっくりと下降し、貯留手段105内の湯水や熱媒体と十分熱交換されてから排出される。従って、本実施形態の温水装置1によれば、燃焼により発生した熱エネルギーを効率よく回収できる。
上記したように、燃焼装置1は、貯留手段105のうちでも最も高温になり、湯水や熱媒体の沸騰現象が起こるおそれがある貯留手段105の上端側に整流手段110を設け、貯留手段105と流水回路130との接続部からの距離に基づく温度ムラの発生を防止している。そのため、本実施形態の温水装置1では、湯水や熱媒体の流れの滞留に起因する沸騰現象等の不具合が発生しない。
本実施形態の温水装置1では、貯留手段105の上端側に高温の湯水や熱媒体が貯留されているため、この熱によって燃焼手段2の燃焼室7近傍は低温になりにくい。そのため、温水装置1は、燃焼手段2において気化された液体燃料の再液化が起こりにくく、燃焼状態が極めて安定している。
上記実施形態では、燃焼騒音を低減すべく、石油等の液体燃料を気化させた燃料ガスを燃焼する所謂気化式の燃焼形態をとる燃焼手段を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料を燃焼室内に噴霧して燃焼する燃焼形態をとる燃焼手段を採用したものであってもよい。
上記実施形態では、熱交換手段として貯留手段105を採用した温水装置1を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば内部を燃焼ガスが通過する燃焼室の外周に湯水や熱媒体が流れる水管を巻き付けたもの等いかなる形状、形式の熱交換手段を備えたものであっても良い。