JP4161255B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低速から高速に至る広範囲な静電荷像現像装置において、地汚れが少なく、高品位な画像を提供することができ、更に有害性物質を含有しない黒色の静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電荷像現像用トナーに用いる黒色系の顔料としては、カーボンブラック及び黒色酸化鉄が主に使用されてきた。カーボンブラックは一般に安価であり、粉末の粒径が微細で着色性に優れた顔料である。しかし、カーボンブラックは嵩密度が0.1g/cmと嵩高い粉末である為、取り扱いが困難で作業性が悪いものであった。また、カーボンブラックは国際癌研究機構にて、グループ2B(人体に対して発癌の可能性がある)に分類されている等、安全衛生面からの問題も指摘されている。
【0003】
一方、黒色酸化鉄の粉末は、Feが磁性を有することに起因して凝集性があり、他のトナー原料と混合して使用する場合、均一な混合が難しく、また、150℃程度で茶色のFeに変化する等、耐熱性が劣る欠点がある。
【0004】
ところで、静電荷像現像用トナーに用いられる黒色の着色剤に要求される特性としては、着色性、安全性、製造時の取り扱い性、耐熱性の他に、現像特性に影響する電気的特性がある。電気的特性は着色剤に求められる特性の中でも重要な特性のひとつである。この電気的特性を更に細分化して列挙すると、帯電の立ち上がり特性、帯電を長期間保持する特性、帯電の均一性(帯電量分布)、帯電の環境安定性等が挙げられる。これらの電気的特性に影響するものとしては種々の要因が挙げられるが、例えば、着色剤の分散性、電気抵抗値及び着色剤の表面物性等がある。着色剤の電気的特性が不良であると、トナー粒子個々の帯電量が不均一となり帯電量分布が広くなる。また、逆帯電粒子や弱帯電粒子の割合が増加して、現像時において機械内部へのトナーの飛散や、印刷物の非画像部にトナーが付着するカブリ現象が発生することになる。更に、長期間あるいは多部数の印刷において画像濃度や解像度等が変動する耐久性の劣るトナーとなり易い。
【0005】
これまでカーボンブラックあるいは黒色酸化鉄の欠点を解決し、これらに置き換わるものとして様々な材料の検討がされている。その中で、特開平3−2276号公報では、FeTiOとFe−FeTiO固溶体との混合組成を有する多結晶粒子からなる黒色粒子粉末が提案され、これを用いたトナーに関する技術が開示されている。しかしながら、当該公報の目的は、安全、無害であり、且つ作業性と耐熱性に優れた黒色着色剤を提供することであり、該黒色粒子粉末を用いたトナーの電気的特性は満足できるものではない。また、黒色着色剤としての黒色度も十分ではなく、したがって、トナーの黒色度を満足できるレベルにするためには、該黒色粒子粉末を多量に使用せねばならない。そのようなトナーは比重が増し、現像装置内でキャリアと共に撹拌され、あるいは現像スリーブが回転する際に受ける遠心力により、トナーがマシン内部に飛散する原因となり易い。
【0006】
また、特開2000−319021号公報では、酸化鉄(マグネタイト)粒子にチタン成分をチタン原子換算で0.3〜3.5重量%含有させた黒色粒子粉末、及びそれを用いたトナーが提案されている。特開平8−34617号公報では、酸化鉄(マグネタイト)粒子にチタン成分をチタン原子換算で0.5〜10.0重量%含有させた黒色磁性酸化鉄粒子粉末、及びそれを用いたトナーが提案されている。しかしながら、酸化鉄(マグネタイト)は導電性を有するためトナーに十分な帯電を保持させることができず、また、磁性を有するため粒子同士の凝集が発生しやすく、黒色トナーとして十分な着色力を有するものを得ることが困難である。更に、特開2002−129063号公報では、ルチル型TiO相を基体とし、該基体がFeTiO相で被覆された粒子構造の低磁性黒色顔料粉末に関する技術が開示され、これを使用したトナーの例が記載されている。しかしながら、当該公報においては、トナー飛散やカブリ現象を抑え、長期間あるいは多部数の印刷において画像濃度や解像度が変動しないトナーについては開示されていない。
【0007】
以上の如く、従来の技術においてはカーボンブラックあるいは黒色酸化鉄(マグネタイト)の欠点を解決し、更にトナーの電気的特性を十分満足しうる新規な黒色着色剤を用いたトナーに関する技術は開示されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−2276号公報
【特許文献2】
特開2000−319021号公報
【特許文献3】
特開平8−34617号公報
【特許文献4】
特開2002−129063号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、有害性物質を含有しない黒色の着色剤を使用し、且つ長期間の使用あるいは多部数の印刷においても安定した帯電挙動を示し、その結果として、トナー飛散やカブリが無く、十分な画像濃度を有し、更に画像濃度の変動が無い印刷画像を得ることのできる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二酸化チタン粒子の表面をチタンと鉄の複合酸化物の層で被覆した黒色微粒子と特定の帯電制御剤を組み合わせて用いたトナーを使用することにより前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記着色剤が二酸化チタン粒子の表面をチタンと鉄の複合酸化物で被覆した黒色微粒子であり、前記帯電制御剤がニグロシン染料、変性ニグロシン染料、及びトリフェニルメタン系染料から選択される1種以上の化合物と第4級アンモニウム塩構造を有する化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーを提供するものである。
【0012】
静電荷像現像用トナーを用いて長期間あるいは多部数の印刷を行うと、所期の画像品質を維持することができず、例えば、画像濃度の変動が発生する。画像濃度が変動すると、細線の太さや網点の大きさが変動し、印刷品質の低下をもたらす。本発明者らは、二酸化チタン粒子の表面をチタンと鉄の複合酸化物で被覆した黒色微粒子を着色剤として用いた静電荷像現像用トナーの画像濃度の変動を抑えるため、種々検討した結果、帯電制御剤としてニグロシン染料、変性ニグロシン染料、及びトリフェニルメタン系染料から選択される1種以上の化合物と第4級アンモニウム塩構造を有する化合物を用いることにより目的を達成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明で使用する着色剤は、二酸化チタン(TiO:Titanium Dioxide)粒子の表面をチタンと鉄の複合酸化物を含有する層で被覆した黒色微粒子である。本発明で使用する着色剤は、そのような構成を採ることにより黒色度の高い着色剤となっている。また、チタンと鉄の複合酸化物としては種々の組成の酸化物がある。例えば、FeTiO、FeTiO、FeTiO等である。中でも、本発明で使用する着色剤としては、FeTiOで表されるスピネル構造の複合酸化物(Iron Titanium spinel)であることが好ましい。
【0014】
本発明で使用する黒色着色剤は粒径により色相が変化するため、一次粒子径が0.05〜0.4μmの範囲にあることが好ましく、0.1〜0.4μmであることがより好ましく、0.15〜0.3μmの範囲にあることが特に好ましい。なお、着色剤の核となる酸化チタンの粒子系は0.02〜0.38μmの範囲にあることが好ましく、0.08〜0.38μmであることがより好ましく、0.12〜0.28μmの範囲にあることが特に好ましい。また形状は球状、針状、不定形等いずれでもよいが、流動性という観点からは球状であることが好ましい。
【0015】
また、チタンと鉄の複合酸化物を含有する層の色相はチタン及び鉄の含有割合でも変化する。黒色顔料として使用する場合、重量比でTi:Fe=30:70〜70:30の範囲であることが好ましく、より好ましくは45:55〜55:45の範囲であり、さらに好ましいのは48:52〜52:48の範囲である。
【0016】
本発明で使用する黒色着色剤における好ましい物性値の範囲を以下に記載する。BET法による比表面積は1.5〜20m/gの範囲であることが好ましく、3〜10m/gの範囲であることがより好ましい。pHは5.5〜8.5の範囲であることが好ましく、6〜8の範囲であることがより好ましい。吸油量は20〜40g/100gであることが好ましく、含水量は0.5wt%以下であることが好ましい。嵩密度は0.3〜0.6g/mlであることが好ましく、0.35〜0.55g/mlであることがより好ましい。
【0017】
本発明で使用する黒色着色剤は低磁性であるため非磁性トナー用の着色剤として好適である。非磁性トナーに使用する場合、磁気特性は低いほど好ましく、Hc(保磁力)が40kA/m以下、σs(飽和磁化量)が20Am/kg以下、σr(残留磁化量)は10Am/kg以下であることが好ましい。上記磁気特性は試料振動型磁力計(vibrating sample magnetometer、VSM;理研電子販売(株)製)(印可磁界 397.9kA/m)により測定した値である。
【0018】
VSMによる測定におけるその他の条件は以下の通りである。
試料セルの内容積:56.55mm
試料量:85.0〜96.1mg
試料充填密度:1.50〜1.70g/cm
測定温度:22.5±2.5℃
測定湿度:50±10%
【0019】
また、本発明で使用する着色剤は黒色度が高いことが必要であり、L*a*b*表色系(JIS Z 8729で規格化されている表色系であり、L*は明度を表し、a*とb*は色度を表す。)におけるL*は25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。a*、b*は0に近いほど好ましいが、実用的には、それぞれ−3〜3の範囲にあることが好ましい。
【0020】
なお、着色剤のL*、a*、b*は下記の方法により測定する。
分光式色差計(日本電色工業 SE−2000)の粉体用セルに3gの着色剤を詰め、5cmの高さから5回タッピングした後、反射法によりその色度を測定する。
【0021】
更に、黒色着色剤として好ましい光の反射率は、光の全波長領域において8%以下であり、6%以下であることがより好ましい。また、特定の波長領域において反射率が高くなると色相の偏りが生じるが、波長毎に反射率を比較した場合、反射率の最大値と最小値の差が3%以下であると、色相の偏りが小さくなり好ましい。
【0022】
また、本発明の静電荷像現像用トナーを使用して印刷を行う場合、分光式色差計(日本電色工業 SE−2000)で測定した値として、L*=35以下、a*=−3〜3、b*=−3〜3の範囲になるように印刷条件を設定するのが好ましい。
【0023】
上記物性を満足する黒色着色剤の市販品としては、例えばETB−100、ETB−300(以上、チタン工業(株)製)があり、本発明で使用する黒色着色剤として好ましい。
【0024】
本発明で使用する黒色着色剤の使用量は、トナー100重量部当たり、3〜18重量部の範囲が好ましく、5〜15重量部の範囲が特に好ましい。18重量部以下であるとトナーの真比重を小さくすることができ、現像時におけるトナーの飛散等が起きにくくなり好ましい。
【0025】
また、本発明では上記黒色着色剤を使用するが、色相を調整する目的において公知公用の着色剤を使用する事ができる。例えば、黒の着色剤としては製法により分類されるファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、或いは、C.I.Pigment Black 11の鉄酸化物系顔料、アニリンブラック、フタロシアニン系のシアニンブラックBX等があげられる。なお、本発明で使用する酸化チタン粒子の表面をチタン及び鉄の複合酸化物を含有する層で被覆した黒色着色剤は有害物質を含まないことを特徴とし、本発明の目的も有害物質を含有しない静電荷像現像用トナーを提供することにあるので、カーボンブラックを併用する場合は、有害物質の含有量及び本発明で使用する黒色着色剤と併用する量について十分に留意する必要がある。
【0026】
青系の着色剤としてはフタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15−3、インダンスロン系のC.I.Pigment Blue 60等、赤系の着色剤としてはキナクリドン系のC.I.Pigment Red 122、アゾ系のC.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 48:3、C.I.PigmentRed 57:1等、黄系の着色剤としてはアゾ系のC.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 97、C.I.Pigment Yellow 155、イソインドリノン系のC.I.Pigment Yellow110、ベンズイミダゾロン系のC.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180等が挙げられる。
【0027】
本発明で使用する帯電制御剤は、ニグロシン染料、変性ニグロシン染料、及びトリフェニルメタン系染料から選択される1種以上の化合物と第4級アンモニウム塩構造を有する化合物である。これらは1/9〜9/1の使用比率であることが好ましく、2/8〜8/2であることがより好ましい。中でも、3/7〜7/3が特に好ましい。ニグロシン系染料及びトリフェニルメタン系染料は正帯電付与能力が高く、単独で使用すると画像濃度の変動が大きくなる。4級アンモニウム塩化合物は、帯電付与能力はそれほど高くないが、ニグロシン系染料及びトリフェニルメタン系染料の欠点である画像濃度の変動を抑える特性がある。両者を上記の比率で使用することにより連続印刷時に画像濃度の変動が少なく、カブリのない鮮明な印刷画像が安定して得られる。
【0028】
ニグロシン染料としては、例えば、「NIGROSINE BASE EX」、「OIL BLACK BS」、「BONTRON N−01」、「BONTRON N−07」 (以上 オリエント化学(株))等が、変成ニグロシン染料としては、「BONTRON N−04」、「BONTRON N−21」 (以上 オリエント化学(株))、「CHUO−3」(中央合成化学(株))等が挙げられる。また、トリフェニルメタンとしては、「OIL BLUE」 (オリエント化学(株))、「COPY BLUE PR」 (クラリアント(株))等が挙げられる。
【0029】
また、本発明で好適に用いることのできる4級アンモニウム塩化合物としては、下記式1〜式3で表される化合物がある。
【化4】
Figure 0004161255
(式1)
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立的に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0030】
【化5】
Figure 0004161255
(式2)
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜20の未置換又は置換芳香族基、或いは炭素数7〜20個のアラルキル基を表し、Aはモリブデン酸アニオン又はタングステン酸アニオン、或いは、モリブデン又はタングステン原子を含むヘテロポリ酸アニオンを表す。]
【0031】
【化6】
Figure 0004161255
(式3)
{式中、mは1〜3の整数、nは0〜2の整数、X及びZは1又は2、Yは0又は1を示し、X=1の時、Y=1、Z=1であり、X=2の時、Y=0、Z=2であり、Mは水素原子又は1価の金属イオンを表し、R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、式[(−CHCHO)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、pは1〜10の整数である)]で表されるオキシエチル基、炭素数5〜12の単環又は多環式脂肪族基、あるいは単環又は多環式芳香族基を表し、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、あるいは式[(−C2q−O)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、qは2〜5の整数、rは1〜10の整数である)]で表されるポリオキシアルキレン基を表す。}
【0032】
より具体的には以下の各化合物がある。
【0033】
【化7】
Figure 0004161255
化合物(1−1)
【0034】
【化8】
Figure 0004161255
化合物(2−1)
【0035】
【化9】
Figure 0004161255
化合物(2−2)
【0036】
【化10】
Figure 0004161255
化合物(2−3)
【0037】
【化11】
Figure 0004161255
化合物(2−4)
【0038】
【化12】
Figure 0004161255
化合物(2−5)
【0039】
【化13】
Figure 0004161255
化合物(2−6)
【0040】
【化14】
Figure 0004161255
化合物(2−7)
【0041】
【化15】
Figure 0004161255
化合物(2−8)
【0042】
【化16】
Figure 0004161255
化合物(2−9)
【0043】
【化17】
Figure 0004161255
化合物(2−10)
【0044】
【化18】
Figure 0004161255
化合物(2−11)
【0045】
【化19】
Figure 0004161255
化合物(3−1)
【0046】
【化20】
Figure 0004161255
化合物(3−2)
【0047】
上記の帯電制御剤は単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.3〜15重量部、好ましくは0.5〜5重量部含有させることにより良好な帯電性能が得られる。
【0048】
本発明の静電荷像現像用トナーに用いるバインダー樹脂としては、本発明の目的を損なわないものであれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリスチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、またはスチレン−共役ジエン共重合体樹脂のようなビニル系の共重合体樹脂、さらに、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂、前述の樹脂を組み合わせたハイブリッド樹脂等を挙げることができるが、これらの中でもビニル系の共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、定着性、耐オフセット性、透明性等のバランスが良いことから、ポリエステル樹脂が特に好適に使用することができる。
【0049】
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂は、
(A)2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物
(B)2価以上の多価アルコール
を通常の方法で脱水縮合して得る。
【0050】
2価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物としては、例えば無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸若しくはその酸無水物、又はそれらの誘導体が挙げられる。また、3価以上の多塩基酸及び/又は酸無水物としては、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。更に、それらの低級アルキルエステルとしては、アルキル残基が、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のものが挙げられる。かかる低級アルキルエステルは、上記2価以上の多塩基酸又はその酸無水物と低級アルコールとをエステル化反応させることにより得られる。上記の多塩基酸の中では、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が特に好ましい。
【0051】
また、2価以上の多価アルコールとしては以下の化合物が挙げられる。例えば、2価の脂肪族系アルコールとしては、
(a)エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドランダム共重合体ジオール、エチレンオキサイド−テトラハイドロフラン共重合体ジオール等が挙げられる。
【0052】
また、2価の芳香族系ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である以下の化合物(b)が挙げられる。
(b)ポリオキシエチレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びこれらの誘導体等。
【0053】
更に、3価以上の多価アルコールとしては、
(c)ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリメチロールベンゼン等の3価以上のアルコール、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ基を有するビニル化合物の重合体、あるいは共重合体、エポキシ化レゾルシノール−アセトン縮合物、部分エポキシ化ポリブタジエン、半乾性もしくは乾性脂肪酸エステルエポキシ化合物等がある。
【0054】
本発明で使用するポリエステル樹脂としては、2価の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と2価の脂肪族多価アルコールを主構成成分として、更に、必要に応じて前記3価以上の多塩基酸化合物、あるいは、例えば前記(c)成分に記載した3価以上の多価アルコールにより架橋又は分岐させたポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。その場合、多価アルコールとして、前記(b)の化合物を使用する場合は、全アルコール成分中0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。中でも化合物(b)を全く使用しないことが特に好ましい。
【0055】
本発明で使用するポリエステル樹脂は、例えば触媒の存在下、上記の原料成分を用いて脱水縮合反応或いはエステル交換反応を行うことにより得ることができる。この際の反応温度及び反応時間は、特に限定されるものではないが、通常150〜300℃で2〜24時間である。上記反応を行う際の触媒としては、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート等を適宜使用する事が出来る。上記多塩基酸化合物とジオール成分の配合比(モル比)は、8/10〜10/8、特に9/10〜10/9が好ましい。なお、2価の多塩基酸化合物とジオール成分とを反応させると、直鎖状のポリエステル樹脂が得られる。また、2価及び3価以上の多塩基酸化合物と多価アルコール等とを反応させると、分岐状或いは網目状のポリエステル樹脂が得られる。このようにして得られたポリエステル樹脂は単独で使用しても良く、所望の性能となるよう、複数のポリエステル樹脂をブレンドして使用してもよい。
【0056】
本発明の静電荷像現像用トナーのバインダー樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、最も好ましい実施形態は、多価アルコール成分として(b)化合物を使用せず、2価の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物と2価の脂肪族系アルコールを反応させた直鎖状のポリエステル樹脂と、多価アルコール成分として(b)化合物を使用せず、2価の多塩基酸及び/又は酸無水物及び/又はこれらの低級アルキルエステルから選ばれる多塩基酸化合物、2価の脂肪族系アルコール及びエポキシ樹脂を反応させた架橋ポリエステル樹脂を併用した場合である。このような樹脂をバインダー樹脂として用いたトナーは低温での定着性能が良好であり、且つ高温でのオフセット性能も優れており良好である。
【0057】
本発明で使用するバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂も好適に使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂、ビフェニル型のエポキシ樹脂等がある。中でも、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。具体的には、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂として、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「エピクロン2055」(軟化点80〜90℃)、「エピクロン3050」(軟化点94〜102℃)、「エピクロン4050」(軟化点96〜104℃)、「エピクロン7050」(軟化点122〜131℃)、油化シェルエポキシ(株)製の「エピコート1002」(軟化点83℃)、「エピコート1003」(軟化点89℃)、「エピコート1004」(軟化点98℃)、「エピコート1007」(軟化点128℃)、「エピコート1009」(軟化点148℃)等が挙げられる。また、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「エピクロンN−690」(軟化点85〜95℃)、「エピクロンN−695」(軟化点90〜100℃)等が挙げられる。
【0058】
また、本発明で好適に用いることのできるビニル系共重合体樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂が好ましい。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂は、例えば以下に掲げるモノマーを共重合することにより得ることができる。
【0059】
(d)スチレン及びその誘導体;例えばスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、更にニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等がある。
【0060】
(e)(メタ)アクリル酸エステルモノマー;例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートの如きアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き脂環族(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如き芳香族(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの如き水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスフェートの如きリン酸基含有(メタ)アクリレート、2-クロロエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジブロモプロピル(メタ)アクリレートの如きハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートの如きエポキシ基含有(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレートの如きエーテル基含有(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの如き塩基性窒素原子又はアミド基含有(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0061】
(f)また、これらと共に共重合可能な不飽和化合物も必要に応じて用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、ウンゲリカ酸の如き付加重合性不飽和脂肪族モノカルボン酸、又はマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ジヒドロムコン酸の如き付加重合性不飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0062】
(g)更にその他の共重合可能な不飽和化合物として、スルホエチルアクリルアミドの如きスルホ基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリルの如きニトリル基含有ビニルモノマー、ビニルメチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きケトン基含有ビニルモノマー、N-ビニルイミダゾール、1-ビニルピロール、2-ビニルキノリン、4-ビニルピリジン、N-ビニル2-ピロリドン、N-ビニルピペリドンの如き塩基性窒素原子又はアミド基含有ビニルモノマー等を使用することができる。
【0063】
(h)また、架橋剤を上記ビニルモノマーと共に使用してもよい。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0064】
スチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。
【0065】
重合触媒としては、例えば、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0重量%が好ましい。
【0066】
また、カルボキシル基含有ビニルモノマーを必須成分として加えたスチレン−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を金属塩により架橋した樹脂(アイオノマー)も使用できる。
【0067】
さらに、本発明においては、スチレン−共役ジエン共重合体を好適に用いることができる。スチレン−共役ジエン共重合体は、公知慣用の手法で得ることが出来るが、単量体を一括仕込みあるいは多段仕込みを行う様なin−situ法、例えば乳化重合により容易に得ることが出来る。
【0068】
スチレン−共役ジエン共重合体に用いられるモノマーとしては、前記(d)に例示したスチレンあるいはその誘導体が、また、共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン等が挙げられる。共役ジエンの中ではブタジエンが好ましい。
【0069】
スチレン−共役ジエン系共重合体は、スチレンと共役ジエンとの共重合体の性質を損なわない限り、それ以外の共重合可能な単量体との多元共重合体であってもよい。そのような共重合可能な単量体としては、例えば塩化ビニル、酢酸ビニルの他、前記(e)〜(h)に例示したモノマーが挙げられる。
【0070】
スチレンと共役ジエンとの共重合体の重量平均分子量(Mw)は、40,000〜200,000のものが好ましい。40,000未満の場合は画像部のトナー層の強度が充分得られ難く、耐オフセット性能(ヒートロールに対するトナーの付着汚れ防止効果)も極端に低下し易くなる。また、200,000を越える場合は、軟化点の上昇により定着可能温度が高まり、一般の定着条件下では定着性能が大きく低下し易くなる。
【0071】
スチレン−ブタジエン系共重合体を構成するモノマー成分の比率としては、ブタジエンモノマーの比率として5〜20重量%となるものが好ましい。5重量%未満ではゴム弾性が必ずしも十分ではない。また、20重量%以上では耐熱性能が悪化し易くなり、一般的なトナー使用環境及び保存環境で障害を招きやすい。
【0072】
本発明で用いられるバインダー樹脂の軟化点は90〜180℃の範囲であることが好ましく、95〜160℃の範囲であることがより好ましい。90℃未満であると高温でのオフセットが発生し易くなり、180℃超では低温での定着性が悪くなり易い。
【0073】
本発明における樹脂の軟化点は定荷重押出型細管式レオメーターである島津製作所製フローテスタCFT−500を用いて測定されるT1/2温度で定義する。フローテスタでの測定は、ピストン断面積1cm、シリンダ圧力0.98MPa,ダイ穴径1mm、ダイ長さ1mm、測定開始温度50℃、昇温速度6℃/min、試料重量1.5gで行った。
【0074】
さらにバインダー樹脂のガラス転移温度は50℃以上であることが好ましいが、中でも55℃以上のものが特に好ましい。Tgが50℃以下ではトナーが保存、運搬、或いはマシンの現像装置内で高温下に晒された場合にブロッキング現象(熱凝集)がおこりやすい。ここでいう、ガラス転移温度はJIS K7121に準じた測定で得られる補外ガラス転移開始温度で定義する。測定には島津製作所製DSC−60を使用した。
【0075】
酸価は、1〜30mgKOH/gであることが好ましく、1〜20mgKOH/gであることがより好ましい。また、水酸基価は、10〜100mgKOH/gであることが好ましく、10〜60mgKOH/gであることがより好ましい。酸価、水酸基価が上記範囲であれば、トナーの耐湿性が良好となる点で好ましい。
【0076】
また、本発明の静電画像現像用トナーには、これまで公知の種々の離型剤、例えばポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリアミド系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等のポリオレフィンワックス及び/又は変性ポリオレフィンワックス、あるいは、高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックス等を離型剤として適宜用いることができる。
【0077】
高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスの中でも、カルナウバワックス、ライスワックス、カイガラムシワックス、モンタン系エステルワックス等の天然物に由来するワックス、合成エステル系ワックスとしてはペンタエリスリトールのテトラベヘン酸エステル、アルコール系ワックスとしてはフィッシャートロプシュワックス等を酸化して得られる高級アルコール系ワックスが特に好ましい。
【0078】
離型剤は、組み合わせて使用するバインダー樹脂に応じて選択することが望ましい。バインダー樹脂に対する分散性が悪い離型剤を選択した場合、トナー粒子表面への離型剤の露出が多くなり易くなり、トナーの流動性が低下し易くなる。また、トナー製造過程における粉砕工程で、離型剤が脱離しやすく、トナー中に含まれる離型剤量が減少して、定着・オフセット性能が低下し易くなる。さらに、トナーを現像する過程において、脱離した離型剤が地汚れ、飛散の原因となり易く、画質が低下し易くなる。バインダー樹脂に対する分散が過度に進んだ場合或いは離型剤が樹脂に相溶する場合も定着・オフセット性能が低下し易くなる。これらの理由により、バインダー樹脂中に適度に分散する離型剤を選択することが好ましく、バインダー樹脂中に分散する離型剤の粒径は0.01〜5μmの範囲が好ましく、0.1〜3μmの範囲であることがより好ましい。
【0079】
本発明で使用するバインダー樹脂と離型剤の好ましい組み合わせは、ポリエステル樹脂あるいはエポキシ樹脂を使用する場合には、高級脂肪酸エステル化合物及び/又は脂肪族アルコール化合物を含有するワックスを離型剤として使用し、ビニル系共重合体を用いた場合には、ポリオレフィンワックス及び/又は変性ポリオレフィンワックスを用いる組み合わせである。
【0080】
離型剤の融点(滴点、軟化温度)は、60〜180℃であることが好ましく、65〜170℃であることがより好ましい。融点が低すぎる場合、保存中に凝集しやすく、トナーの流動性も低下し易くなる。融点が高すぎる場合、画像の定着工程において溶融しにくく、十分な離型効果を発揮し難い。
【0081】
また、離型剤は、ブレード、キャリア等の帯電部材に固着し、帯電性能の不安定化、画質の劣化の原因となる場合があるので、固着の抑制の観点から、その硬度は高い方が良く、25℃における針入度が5以下のものが好ましく、2以下のものが特に好ましい。
【0082】
天然ワックス、合成エステルワックス、アルコール系ワックスは、構造あるいは遊離酸に起因して、カタログ値で2〜40程度の酸価を有するが、樹脂の場合と同様の理由によりこれらの値は低い方が望ましい。
【0083】
離型剤は、単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂に対して0.1〜15重量部、好ましくは1〜5重量部含有させることにより良好な定着オフセット性能が得られる。0.1重量部より少ないと耐オフセット性が損なわれ易く、15重量部より多いとトナーの流動性が悪くなり易く、また、帯電部材への固着により、トナーの帯電特性に悪影響を与え易くなる。
【0084】
本発明の静電荷像現像用トナーは、バインダー樹脂、離型剤、帯電制御剤、着色剤以外の添加剤を含めることができる。例えば金属石鹸、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、研磨剤として、例えば酸化セリウム、炭化ケイ素等が使用できる。
【0085】
本発明の静電荷像現像用トナーは、特定の製造方法によらず極めて一般的な製造方法に依って得る事ができる。例えば、上記樹脂と着色剤と帯電制御剤とを、樹脂の融点(軟化点)以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることが出来る。具体的には例えば、上記の樹脂、着色剤、離型剤、及び帯電制御剤等の成分を、溶融混練を行う前に、あらかじめ、ヘンシェルミキサー等により均一に混合する。この混合の条件は特に限定されるものではないが、いくつかの段階に分けて混合しても良い。ここで用いる着色剤、帯電制御剤は、樹脂中に均一に分散するようにあらかじめフラッシング処理してもよく、或いは樹脂と高濃度で溶融混練したマスターバッチを用いても良い。
【0086】
上記混合物を、例えば2本ロール、3本ロール、加圧ニーダー、又は2軸押し出し機等の混練手段により混合する。この際、樹脂中に、着色剤等が均一に分散すればよく、その溶融混練の条件は特に限定されるものではないが、通常80〜180゜Cで30秒〜2時間が好ましい。
【0087】
また、必要に応じて、微粉砕工程における負荷の軽減及び粉砕効率の向上を目的とした粗粉砕を行う。粗粉砕に使用する装置、条件は特に限定されるものではないが、ロートプレックス、パルペライザー等により3mmメッシュパス以下の粒径に粗粉砕するのが一般的である。
【0088】
次いで、ターボミル、クリプトロン等の機械式粉砕機、渦巻き式ジェットミル、カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル等のエアー式粉砕機で微粉砕し、風力分級機等により分級するという方法が挙げられる。微粉砕、及び分級の装置、条件は所望の粒径、粒径分布、粒子形状になるように選択、設定すれば良い。
【0089】
トナーを構成する粒子の体積平均粒径は、特に制限されないが、通常5〜15μmとなる様に調整されることが好ましい。
【0090】
本発明では、トナーの流動性向上、帯電特性改良などトナーの表面改質のために種々の添加剤(外添剤と呼ぶ)を用いることができる。本発明で用いることのできる外添剤としては、例えば二酸化珪素、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体及びそれらをシリコーンオイルなどの疎水化処理剤で表面処理したもの、樹脂微粉体等が用いられる。
【0091】
中でも、正帯電トナーの外添剤として好適に用いられるものとしては、二酸化珪素を各種のポリオルガノシロキサンやシランカップリング剤等で表面処理した疎水性を有するシリカ等が挙げられる。
具体的には、次のような商品名で市販されているものがある。
AEROSIL;RA200HS,RA200H〔日本アエロジル(株)〕
WACKER;H2050、HVK2150、HDK H30TA、H13TA、H05TA〔ワッカーケミカルズ(株)〕、
CABOSIL;TG820F〔キャボット・スペシャルティー・ケミカルズ・インク〕等である。
【0092】
また、酸化チタンとしては親水性グレードであってもよく、オクチルシラン等で表面処理した疎水性グレードのものであってもよい。例えば、下記のような商品名で市販されているものがある。
酸化チタン T805〔デグサ(株)〕、酸化チタン P25〔日本アエロジル(株)〕、酸化チタンJMT−150ANO〔テイカ(株)〕などである。
また、アルミナとしては、酸化アルミニウムC〔デグサ(株)〕等が挙げられる。
【0093】
これらの外添剤の粒子径は、トナーの直径の1/3以下であることが好ましく、特に好適には1/10以下である。また、これらの外添剤は、異なる平均粒子径の2種以上を併用してもよい。また、シリカの使用割合はトナーに対して、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0094】
本発明の静電荷像現像用トナーを二成分現像方式で用いる場合、以下に示すようなキャリアを使用することができる。キャリアのコア剤は、通常の二成分現像方式に用いられる鉄粉、マグネタイト、フェライト等が使用できるが、中でも真比重が低く、高抵抗であり、環境安定性に優れ、球形にし易いため流動性が良好なフェライト、またはマグネタイトが好適に用いられる。コア剤の形状は球形、不定形等、特に差し支えなく使用できる。平均粒径は一般的には10〜500μmであるが、高解像度画像を印刷するためには30〜100μmが好ましい。
【0095】
また、これらのコア剤を被覆するコーティング樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルポリビニルケトン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン/アクリル共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂あるいはその変性品、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリルポリオール樹脂等が使用できる。これらの中でも、特にシリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂が帯電安定性、被覆強度等に優れ、より好適に使用し得る。つまり本発明で用いられる樹脂被覆キャリアは、コア剤としてフェライト、あるいはマグネタイトを用い、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1種以上の樹脂で被覆された樹脂被覆磁性キャリアであることが好ましい。
【0096】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0097】
(着色剤1)
二酸化チタン(TiO:Titanium Dioxide)粒子の表面にFeTiOで表されるスピネル構造の複合酸化物(Iron Titanium spinel)を形成した黒色微粉末。
物理的性質
一次粒子径:0.25μm、比表面積:5.1m/g、pH:6.6、吸油量:31g/100g
水分:0.1wt%、嵩密度:0.40g/ml、比抵抗:9440Ω・cm磁気特性(VSM 397.9kA/m)
Hc:23.2kA/m、σs:9.8Am/kg、σr:2.7Am/kg
真比重:5.98
色度
全波長領域における最小反射率:2.8%(λ=380nm)
全波長領域における最大反射率:5.4%(λ=720nm)
最大反射率と最小反射率の差:2.6%
L*:19.8
a*:1.75
b*:1.23
【0098】
(比較用着色剤1)
平均径0.2μmであって磁化値85.0emu/gである粒状マグネタイト粒子粉末100gをTiOSOを0.26mol含有する水溶液中に分散混合し、次いで、該混合液中にNaOHを添加して中和し、pH8において粒子表面にTiの水酸化物を沈着させた後、濾別、乾燥した。更に、Nガス流下750℃で120分間加熱焼成した後、粉砕して黒色粒子粉末(比較用着色剤1)を得た。この黒色粒子粉末の粒子径は、0.25μmであった。また、X線回折により該粒子はFeTiOとFe−FeTiO固溶体との混合組成物であることを確認した。
【0099】
比較用着色剤1の磁気特性及び真比重は以下の通りである。
磁気特性(VSM 397.9kA/m)
Hc:9.3kA/m、σs:24.8Am/kg、σr:3.5Am/kg
真比重:7.23
【0100】
(比較用着色剤2)
EPT−1000;黒色酸化鉄(マグネタイト:戸田工業製)
磁気特性(VSM 397.9kA/m)
Hc:9.3kA/m、σs:82.4Am/kg、σr:10.5Am/kg
真比重:8.88
【0101】
トナーを調製するにあたって用いたバインダー樹脂の合成例を下記に示す。なお、各合成例で得られた樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に入れ12時間放置した溶液を濾過して得られたTHF可溶性成分の分子量を測定した。分析には、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィ(GPC)法を用い、標準ポリスチレンにより作成した検量線から分子量を算出した。
GPC装置:東ソー(株)製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー(株)製 TSK Guardcolumn SuperH−H TSK−GEL SuperHM−M 3連結
濃度 :0.5重量%
流速 :1.0ml/min
THF不溶分率は試料粉末1gを円筒濾紙にとり、ソックスレー抽出器でTHFを溶剤として8時間環流した後の濾紙上の残渣から算出した。
酸価はJIS K6901に、TgはJIS K7121に準じ測定した。
【0102】
(樹脂1)
・テレフタル酸:664重量部
・エチレングリコール:75重量部
・ポリオキシプロピレン−(2.2)−2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:700重量部
・トリメチロールプロパン:80重量部
・テトラブチルチタネート:3重量部
上記材料を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、4重量部のテトラブチルチタネートを添加し、脱水縮合により生成した水を除去しながら、240゜Cにて10時間常圧で反応させた。その後順次減圧し5mmHgで反応を続行した。反応は軟化点により追跡し、軟化点が145℃に達した時反応を終了した。得られたポリエステル樹脂は、Mn:5450、Mw:152200、軟化点:147℃、酸価は5.8、DSC測定法によるTgは63℃、THF不溶分率は3%であった。
【0103】
(樹脂2)
・テレフタル酸:664重量部
・プロピレングリコール:152重量部
・シクロヘキサンジメタノール:145重量部
・ネオペンチルグリコール:150重量部
上記材料を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした2リットル四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、4重量部のテトラブチルチタネートを添加し、脱水縮合により生成した水を除去しながら、200゜Cにて20時間常圧で反応させた。その後順次減圧し5mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が90゜Cに達した時反応を終了した。得られたポリエステルの分子量は、Mn:2520、Mw:6200であった。軟化点:95゜C、酸価:6.8、DSC測定法におけるTg:53゜Cであった。
【0104】
(樹脂3)
・テレフタル酸:664重量部
・ネオペンチルグリコール:120重量部
・エチレングリコール:150重量部
・プロピレングリコール:61重量部
・エピクロン830(大日本インキ化学工業製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂):19.3重量部
・カージュラE:20重量部
上記材料を攪拌器、コンデンサー、温度計をセットした2リットル四つ口フラスコに入れ、窒素ガス気流下、4gのテトラブチルチタネートを添加し、脱水縮合により生成した水を除去しながら、240゜Cにて12時間常圧で反応させた。その後順次減圧し30mmHgで反応を続行した。反応はASTM E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が200゜Cに達した時反応を終了した。得られたポリエステル樹脂は、Mn:52,800、Mw:165,100、THF不溶分7.4%、軟化点:203°C、酸価:9.3,Tg:67.2゜Cであった。
【0105】
(樹脂4)
・イソフタル酸:116重量部
・テレフタル酸:166重量部
・無水トリメリット酸:38重量部
・ジエチレングリコール:26重量部
・ネオペンチルグリコール:104重量部
・エチレングリコール:50重量部
・テトラブチルチタネート:2.5重量部
以上の原料をガラス製2Lの四ツ口フラスコに入れ温度計、攪拌棒及び窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター中で、常圧窒素気流下にて240℃で10時間反応後、順次減圧し、10mmHgで反応を続行した。反応はASTM・E28−517に準じる軟化点により追跡し、軟化点が148℃に達した時反応を終了した。得られたポリエステル樹脂は、無色の固体であり、酸価:4、Tg:72℃、軟化点:151℃であった。
【0106】
(樹脂5)
・スチレン:380重量部
・ブチルメタアクリレート:120重量部
・ジビニルベンゼン:10重量部
・過酸化ベンゾイル:5重量部
温度計、ガラス製気流導入管、耐真空シール装置付撹拌棒及び水冷ジムロート型コンデンサーを付属した2容量の4つ口丸底フラスコに、キシレン500部と上記モノマー及び開始剤の全量を投入した。ガラス製気流導入管から窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に置換した後、内容物をスライダツクス付マントルヒーターにより徐々に加熱して75℃迄上昇せしめた。反応は65℃〜80℃に保ちつつ行なわれ、10〜12時間後に反応を終了せしめるべく温度を130℃迄上昇せしめて重合を完結した。次に水冷コンデンサー及びガラス製気流導入管をフラスコから取除き、かわりに減圧蒸留用のキヤピラリーとクライゼン分溜管を装着した。クライゼン分溜管には温度計と水冷リービツヒコンデンサーを連結し、コンデンサーの排出口は吸引アダプターを経てナス型フラスコへと連結せしめた。吸引アダプターと真空ポンプをマノメーター及びトラツプを介して減圧用ゴム管で結び減圧蒸溜の準備を終了した。マントルヒーターを加熱し、内容物を充分に撹拌しつつ真空ポンプを作動させ20mmHg迄減圧すると液温75℃、溜出温度38℃でキシレン或は場合により未反応のモノマーが溜出を始めた。最後は液温180℃に於て0.5mmHg迄減圧して溶剤を完全に除去した。得られた重合体(以下重合体(a)という)は高温溶融状態のうちにステンレスパンにあけ、室温迄冷却後破砕した。
得られた重合体は軟化点:145℃、Tg:61℃、Mn:8,000、Mw:21,000であつた。
【0107】
(実施例1)
<トナーの製造>
・樹脂1 43重量部
・樹脂2 43重量部
・着色剤1 8重量部
N−04;ボントロンN−04 2重量部
(オリエント化学製、ニグロシン染料)
・化合物(2−1) 1重量部
・精製カルナバワックス1号粉(加藤洋行製) 3重量部
ヘンシェルミキサーを用いて上記原料からなる混合物を作製し、その混合物をホッパー内に一時貯留した。その後、2軸の溶融混練機にて混練した。このようにして得られた混練物を機械式粉砕機にて粉砕、その後分級して体積平均粒子径10.0μmのトナー原体1を得た。
・トナー原体1 100重量部
・HVK2150 0.5重量部
得られたトナー原体1と上記疎水性シリカをヘンシェルミキサーにより混合した後、篩いがけをして、実施例1のトナーを得た。
【0108】
以下、実施例1と同様に表1の配合にて実施例2〜実施例4及び比較例1〜比較例5のトナーを製造した。
【0109】
【表1】
Figure 0004161255
・モーガルL;カーボンブラック(キャボット製)
・カルナバ;カルナバワックス1号粉末(加藤洋行製)
・550P;ビスコール550P(三洋化成製、ポリプロピレンワックス)
・N−04;ボントロンN−04(オリエント化学製、ニグロシン染料)
・PR;COPY BLUE PR(クラリアント製、トリフェニルメタン染料)
【0110】
<各実施例及び比較例のトナー試験>
シリコーンコートフェライトキャリア(粒径100μm)と実施例及び比較例のトナーを用いて、トナー濃度が5重量%になるように現像剤を調製し、各現像剤を用いて以下の試験を行った。
【0111】
(転写効率の測定)
市販の複写機を用いて、ベタ画像(縦100mm×横20mm)を現像し、感光体上のベタ画像が転写部を50%通過したところで停止させた。その後、感光体上の未転写画像(ベタ)・転写後の未定着画像をそれぞれテープ(30mm×20mm)にて完全に剥離し、未転写画像のトナー量と転写後のトナー量とを測定し、下記の式より転写効率(%)を算出した。結果を表2に示す。
転写効率(%)={1−(転写後のトナー量/未転写画像のトナー量)}×100
【0112】
(帯電の立ち上がり比較)
前記現像剤50gが入った100ccのポリエチレン容器を115rpmのボールミルで3分撹拌した後、現像剤を採取し、ブローオフ帯電量測定機で帯電量を測定した。さらに7分撹拌(計10分)し、同様に帯電量を測定した。試験結果を表2に示す。
【0113】
(定着性能試験)
定着温度幅について、以下に示す試験によって定着温度を求め、その上限値と下限値との範囲を定着温度幅とした。
実施例及び比較例のトナーを用い、市販の有機光半導体を感光体として使用したプリンターで、帯状の未定着画像が紙上に形成されたテストサンプルを作製した。それを、リコーイマジオDA−250のヒートロール(オイルレス型)を使用し、90mm/秒の定着速度で、表面温度を変えながら定着を行った。定着後の画像にメンディングテープ(3M製)を貼り、剥離後の画像濃度(ID)が元のIDの90%以上であって、かつオフセットの発生がみられないヒートロールの温度範囲を定着温度幅とした。結果を表2に示す。
【0114】
【表2】
Figure 0004161255
【0115】
(印刷耐久テスト)
市販の高速プリンター(A4紙220枚/分)を用いて10万枚の連続プリントを行い、画像部の濃度及び地汚れ濃度を測定すると共に、現像剤の帯電量を測定した。画像濃度及び地汚れはマクベス濃度計RD−918で測定した。なお、地汚れは印刷濃度の白地部濃度からプリント前白紙濃度を差し引いて求めた。その差が0.01未満の時を○、0.01〜0.03未満の時を△、0.03以上の時を×とした。なお、テストは25℃、60%の環境下で行った。
結果を表3に示す。
【0116】
また、現像機内部のトナー飛散状況を目視観察した。飛散が全く観察されない状態を○、飛散がほとんど見えないが、装置内部をウエスで拭くとトナー汚れが観察される状態を△、機内飛散が目視で確認される状態を×、ひどい機内飛散が確認できる状態を××とした。結果を表3に示す。
【0117】
帯電量については、トナーを現像装置内から採取して、ブローオフ帯電量測定機(東芝ケミカル製)で測定した。結果を表3に示す。
【0118】
(画像濃度の変動:ΔID)
上記印刷耐久テストにおける初期と10万枚印刷後の画像濃度の変動を求めた。画像濃度の変動(ΔID)は、10万枚印刷後の画像濃度から初期の画像濃度を差し引くことにより求めた。計算結果を表3に示す。
【0119】
【表3】
Figure 0004161255
【0120】
【発明の効果】
酸化チタン粒子の表面をチタン及び鉄の複合酸化物を含有する層で被覆した黒色微粒子を着色剤として使用した本発明の静電荷像現像用トナーは、長期間の使用或いは多部数の印刷においても安定した帯電挙動を示し、トナー飛散や地汚れが無く、画像濃度の変動が無い印刷を行うことができる。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂と着色剤と帯電制御剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記着色剤が二酸化チタン粒子の表面をチタンと鉄の複合酸化物で被覆した黒色微粒子であり、前記帯電制御剤がニグロシン染料、変性ニグロシン染料、及びトリフェニルメタン系染料から選択される化合物と第4級アンモニウム塩構造を有する化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記チタンと鉄の複合酸化物がFeTiOである請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記第4級アンモニウム塩構造を有する化合物が式1、
    Figure 0004161255
    (式1)
    [式中、R、R及びRは、それぞれ独立的に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
    で表される化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記第4級アンモニウム塩構造を有する化合物が式2、
    Figure 0004161255
    (式2)
    [式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立的に、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1〜20の未置換又は置換芳香族基、或いは炭素数7〜20個のアラルキル基を表し、Aはモリブデン酸アニオン又はタングステン酸アニオン、或いは、モリブデン又はタングステン原子を含むヘテロポリ酸アニオンを表す。]
    で表される化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記第4級アンモニウム塩構造を有する化合物が式3、
    Figure 0004161255
    (式3)
    {式中、mは1〜3の整数、nは0〜2の整数、X及びZは1又は2、Yは0又は1を示し、X=1の時、Y=1、Z=1であり、X=2の時、Y=0、Z=2であり、Mは水素原子又は1価の金属イオンを表し、R、R、R、Rは水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、式[(−CHCHO)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、pは1〜10の整数である)]で表されるオキシエチル基、炭素数5〜12の単環又は多環式脂肪族基、あるいは単環又は多環式芳香族基を表し、R〜R12は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状若しくは枝分かれした飽和又は不飽和のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、あるいは式[(−C2q−O)−R(但し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はアシル基であり、qは2〜5の整数、rは1〜10の整数である)]で表されるポリオキシアルキレン基を表す。}
    で表される化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂である請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 更に離型剤として高級脂肪酸エステル化合物又は脂肪族アルコール化合物を含有する請求項1、2、3、4、5又は6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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