JP4159866B2 - 自動贈与サービス提供方法および自動贈与システム、並びにプログラム - Google Patents

自動贈与サービス提供方法および自動贈与システム、並びにプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与サービス提供方法および自動贈与システム、並びにプログラムに係り、例えば、家族口座を利用して資産の振替処理を行って自動贈与を実現するシステム等に利用できる。
【0002】
【背景技術】
現在、個人の金融資産の大部分は、高齢者に滞留している。従って、国家の政策として、高齢者の所有する金融資産を若年層に効率的に移転させ、財産移転促進による消費意欲喚起を図り、停滞した日本経済を活性化して再生させる必要性が生じている。このため、個人から個人への生前贈与を行う際に課せられる贈与税についての非課税枠(基礎控除)は、現行制度では、年間60万円から110万円まで拡大されている。なお、この非課税枠は、税法改正によって更に拡大される可能性もある。
【0003】
一方、従来より、個人資産の管理は、各種金融機関を通じて行われることが多く、贈与についても金融機関を利用する顧客が自分で行っていた。そして、相続税や贈与税の対策も、各顧客に対し、税理士や金融機関の専門家等が個々に対応していた。
【0004】
また、相続や事業承継を考慮した個人資産の管理システムも提案されている(特許文献1参照)。このシステムは、個人資産の管理に必要な情報を入力し、データベースに蓄積された情報に基づいて個人資産を評価し、その評価結果に基づいて個々の相続人についての相続割合を策定するものである。このシステムでは、具体的にどのように相続を行っていくかについての承継プランを作成するにあたり、事前贈与についても検討され、贈与する人数と年数を入力すると、その年数経過後の資産予想額がシミュレートされて表示され、最適な贈与計画を策定することができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−96217号公報(段落[0006]、[0022]〜[0025]、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように、国家の政策として、高齢者から若年層への財産移転促進が掲げられ、贈与税の非課税枠が拡大されたにもかかわらず、現実的には、必ずしも財産移転が円滑かつ効率的に行われているとはいえない。この原因としては、資産を保有し、財産移転を実行する立場にある高齢者が、税制度自体や税制改正を十分に把握していないこと、これに伴い、どのように財産移転すれば有利なのかをこのような立場にある高齢者が自分で判断することが困難であるか、またはその判断に手間がかかること、あるいはこのような立場にある高齢者に対し、税理士や金融機関の専門家等が個々に個別対応して時間と労力をかけていること等が挙げられる。
【0007】
一方、前述した特許文献1に記載された個人資産の管理システムを利用して財産移転促進を図ることも考えられる。しかし、単にこの個人資産の管理システムを利用したとしても、以下の点で財産移転促進を図ることは困難である。すなわち、このシステムは、基本的には資産の相続、運用、事業承継に関する計画を立案できるようにしたものであり、生前贈与を主対象としたものではなく、贈与については、贈与する人数と年数を入力すると、その年数経過後の資産予想額がシミュレートされて表示されるようになっているだけである。従って、最適な贈与計画を策定することができるシステムとされているものの、贈与については、あくまでも相続計画を立てる際に検討される一項目としての扱いであり、効率的な贈与を行うために必要となる判断、つまり現金による贈与が有利なのか非現金資産による贈与が有利なのかという贈与処理に特有の判断を行うものではなく、生前贈与を行う立場にある高齢者に対し、十分な情報を提供するものではない。
【0008】
また、この個人資産の管理システムは、評価、計画の立案・策定、シミュレーション、あるいはこれらの結果表示を行うだけであり、つまり情報を提示するだけであり、評価結果、立案・策定した計画、シミュレーション結果に基づき何らかの実行処理を行うものではない。従って、何ら実行処理を伴わない以上、このシステムでは、生前贈与を行う立場にある高齢者の手間を十分に省くことはできず、財産移転促進を図るには限界がある。なお、このシステムでは、会社への資産売却、会社への自社株売却等に関するシミュレーション、および不動産の売却、買い換え等のシミュレーションも行われるが、単にシミュレーションが行われるだけであり、実行処理を伴うものではなく、また、シミュレーション処理とその結果に基づく実行処理とを連動させる手段も設けられていない。
【0009】
以上より、資産を保有し、生前贈与を行う立場にある高齢者の判断の手間や贈与処理の実行に伴う手間を省き、高齢者の所有する金融資産を若年層に効率的に移転させることができるシステム、つまり手間をかけずに円滑に、かつ、贈与税の非課税枠を十分に活用してより多くの資産を非課税で有利に移転できるシステムが望まれる。
【0010】
本発明の目的は、円滑かつ効率的に生前贈与を行うことができる自動贈与サービス提供方法および自動贈与システム、並びにプログラムを提供するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与サービス提供方法であって、贈与者の資産内容を贈与者資産内容記憶手段に記憶しておくとともに、贈与情報指定手段により、被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行い、この指定された贈与情報を贈与情報記憶手段に記憶しておき、贈与実施時期になった時点で、非現金資産価額情報取得手段により、贈与者資産内容記憶手段に記憶された贈与者の保有する非現金資産についての贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得した後、課税評価額算出手段により、非現金資産価額情報取得手段により取得した非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、非現金資産の課税評価額を算出し、続いて、贈与資産選択手段により、課税評価額算出手段により算出した課税評価額に基づき、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択し、その後、贈与処理手段により、贈与資産選択手段による選択結果に基づき、贈与情報記憶手段に記憶された被贈与者への贈与処理を行うことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「贈与実施時期」とは、例えば、年一括贈与を行う場合には、年に一回贈与が実施される指定日であり、毎月贈与を行う場合には、毎月一回贈与が実施される指定日である。その他に、例えば、半年毎の贈与、3ヶ月毎の贈与等を行ってもよく、贈与実施の時間間隔は任意であるが、現行制度を対象とする場合には、非課税枠が年単位であるため、少なくとも年に一回は贈与が実施されることが好ましい。
【0013】
また、「非現金資産」とは、現金以外の資産であって、例えば、株式、債券、株式投資信託、公社債投資信託、マネー・リザーブ・ファンド(MRF)等の金融商品などである。
【0014】
さらに、「時価情報を含む価額情報」とは、贈与実施時期における時価情報、および課税評価額の算出に必要となる非現金資産についてのその他の価額情報をいい、例えば、現行制度では、上場株式の場合には、贈与指定日の終値(時価)、および贈与指定日の属する月以前3ヶ月間における毎日の終値の各月平均額である。
【0015】
そして、「現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利か」を判断することには、「非現金資産での贈与の方が、現金での贈与よりも有利か否か」を判断すること、および「現金での贈与の方が、非現金資産での贈与よりも有利か否か」を判断することが含まれる。
【0016】
このような本発明の自動贈与サービス提供方法においては、贈与資産選択手段により、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する。例えば、非現金資産の課税評価額と非現金資産の時価とを比較し、課税評価額が時価よりも低い場合には、非現金資産での贈与を行えば、時価で考えると実質的に課税評価額よりも多い額を贈与できるので、非現金資産での贈与が有利と判断して非現金資産を贈与資産として選択し、一方、課税評価額が時価よりも高い場合には、非現金資産での贈与を行うと、時価で考えると実質的に課税評価額よりも少ない額でしか贈与できないので、現金での贈与が有利と判断して現金を贈与資産として選択する。なお、課税評価額と時価とが一致する場合には、現金での贈与または非現金資産での贈与のいずれかがシステムにより自動的に選択されるようにしてもよく、贈与者による事前指定に基づきいずれかが選択されるようにしてもよい。
【0017】
また、例えば、税制度上、課税評価額が時価よりも高くなることが考えられないケース等については、非現金資産の課税評価額と非現金資産の時価とを比較し、課税評価額が時価よりも低い場合には、非現金資産での贈与を行えば、時価で考えると実質的に課税評価額よりも多い額を贈与できるので、非現金資産での贈与が有利と判断して非現金資産を贈与資産として選択し、一方、課税評価額と時価とが一致する場合には、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利ともいえないので、贈与者の事前指定(いずれが有利ともいえない場合には、現金での贈与を行いたいという希望)により、現金を贈与資産として選択するようにしてもよい。
【0018】
このため、贈与者にとっては、贈与処理を行う際に、毎回毎回、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを自分で判断する負担や手間が軽減され、円滑な財産移転が実現されるとともに、実質的に非課税枠内で、より多くの資産を移転可能となり、効率的な財産移転が実現される。
【0019】
また、贈与処理手段により、贈与資産選択手段による選択結果に基づき、贈与情報記憶手段に記憶された被贈与者、つまり予め指定しておいた被贈与者への贈与処理が自動的に実行される。このため、贈与者は、贈与処理を行う際に、毎回毎回、贈与処理の実行に伴う様々な手続を行う必要がなくなり、贈与者の手間が軽減され、円滑な財産移転が実現され、これらにより前記目的が達成される。
【0020】
そして、前述した自動贈与サービス提供方法において、贈与者資産内容把握手段により贈与者資産内容記憶手段に記憶された資産内容を参照して贈与者が複数種類の非現金資産を保有していると判断した場合には、非現金資産価額情報取得手段による時価情報を含む価額情報の取得処理および課税評価額算出手段による課税評価額の算出処理は、複数種類の非現金資産のそれぞれについて行い、贈与資産選択手段により贈与資産を選択する際には、現金での贈与または複数種類の非現金資産の各々での贈与のうちいずれが最も有利かを判断することが望ましい。
【0021】
このように複数種類の非現金資産を保有しているときに全ての種類の非現金資産を考慮して贈与資産の選択を行うようにした場合には、より一層有利な形での贈与が行われ、より一層効率的な財産移転が実現される。
【0022】
また、前述した自動贈与サービス提供方法において、贈与情報記憶手段には、被贈与者および贈与実施時期に加え、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件を記憶しておき、現金化判断手段により、贈与情報記憶手段に記憶された贈与条件に基づき、贈与処理手段により被贈与者へ贈与処理した非現金資産の現金化が必要か否かを判断し、現金化判断手段により現金化が必要と判断した場合には、贈与処理後資産売却処理手段により、贈与処理手段により贈与処理された非現金資産の売却処理を行うことが望ましい。
【0023】
このように贈与に関する一連の処理を行う際に被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件を考慮するようにした場合には、被贈与者の意向を反映した贈与を実現できるようになり、また、贈与者または被贈与者の手間が軽減され、財産移転をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0024】
さらに、前述した自動贈与サービス提供方法において、贈与者資産内容把握手段により贈与者資産内容記憶手段に記憶された資産内容を参照して贈与者が非現金資産を保有していないと判断した場合または贈与者が非現金資産を保有しているときに贈与資産選択手段により現金での贈与が有利と判断した場合には、現金残高判断手段により、贈与者資産内容記憶手段に記憶された現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あるか否かを判断し、現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あると判断した場合には、贈与処理手段により、指定贈与額に相当する額の現金での贈与処理を行い、現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額未満と判断した場合には、贈与者が非現金資産を保有していないときは、贈与処理手段により、現金残高のうちの贈与処理可能分の全額に相当する額の現金での贈与処理を行い、贈与者が非現金資産を保有しているときは、贈与処理前資産売却処理手段により贈与者の保有する非現金資産の売却処理を行った後に、贈与処理手段により、売却処理で得られた分を含む現金での贈与処理を行うことが望ましい。
【0025】
ここで、「現金残高のうちの贈与処理可能分」とは、贈与処理に振り当てることができる現金残高をいい、例えば、贈与者の口座に預けられた現金が、全て贈与処理に使用できるとは限らず、使用に特段の制限が設けられている場合等もあるので、「贈与処理可能分」は、現金残高から、そのような制限を受ける分を差し引いた額となる。なお、制限を受ける分については、贈与者が、上記のような事情を考慮したうえで自ら入力指定してもよく、あるいは、システムが、贈与者の口座に設定されている制限事項を自動的に把握して定めてもよい。また、制限事項が設けられていない場合には、現金残高の全額が贈与処理可能分となり、さらに、そもそも制限を受けることがない場合や制限を考慮しない場合等には、「現金残高のうちの贈与処理可能分」は、現金残高そのものとなる。
【0026】
また、「指定贈与額」とは、贈与者により予め指定された贈与額をいい、贈与税の非課税枠の限度いっぱいの額であってもよく、非課税枠よりも少ない額であってもよい。例えば、本発明のシステムを利用して行う贈与以外にも贈与を行う場合には、合計の贈与額が非課税枠に収まるように、本発明のシステムにおける指定贈与額を決めることができる。
【0027】
このように現金残高を判断し、必要に応じて贈与処理前に非現金資産の売却処理を行うようにした場合には、現金での贈与が有利なときには、非現金資産の売却処理で現金を作ってから、その現金で贈与処理を行うことができるようになるので、効率的な財産移転をより確実に実現可能となる。
【0028】
また、以上に述べた本発明の自動贈与サービス提供方法を実現するシステムとして、以下のような本発明の自動贈与システムを挙げることができる。
【0029】
すなわち、本発明は、贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与システムであって、贈与者の資産内容を記憶する贈与者資産内容記憶手段と、被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行う贈与情報指定手段と、この贈与情報指定手段により指定された贈与情報を記憶する贈与情報記憶手段と、贈与者資産内容記憶手段に記憶された贈与者の保有する非現金資産についての贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得する非現金資産価額情報取得手段と、この非現金資産価額情報取得手段により取得した非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、非現金資産の課税評価額を算出する課税評価額算出手段と、この課税評価額算出手段により算出した課税評価額に基づき、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する贈与資産選択手段と、この贈与資産選択手段による選択結果に基づき贈与情報記憶手段に記憶された被贈与者への贈与処理を行う贈与処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0030】
このような本発明の自動贈与システムにおいては、前述した本発明の自動贈与サービス提供方法で得られる作用・効果がそのまま得られる。すなわち、贈与資産選択手段により現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択することによる贈与者の判断の手間の軽減、円滑な財産移転の実現、より有利な形での効率的な財産移転の実現という効果、並びに贈与処理手段により被贈与者への贈与処理を自動的に実行することによる贈与者の贈与実行処理の手間の軽減、円滑な財産移転の実現という効果が得られ、これらにより前記目的が達成される。
【0031】
また、前述した自動贈与システムにおいて、被贈与者の資産内容を記憶する被贈与者資産内容記憶手段を備え、贈与処理手段は、贈与者から被贈与者への資産の振替処理を行って贈与者資産内容記憶手段および被贈与者資産内容記憶手段に記憶された各資産内容を書き換える構成とされていることが望ましい。
【0032】
このように贈与者から被贈与者への資産の振替処理を行う構成とした場合には、贈与者資産内容記憶手段および被贈与者資産内容記憶手段に記憶された各資産内容を書き換えるだけで、贈与者から被贈与者への資産の移転が容易に行われ、贈与処理が円滑に実行される。例えば、贈与者資産内容記憶手段および被贈与者資産内容記憶手段を、証券会社や銀行等の各種金融機関における贈与者および被贈与者の各口座として本システムを構成する場合には、贈与者の口座から被贈与者の口座への資産の振替処理を行い、各口座の内容を書き換えるだけで、贈与処理を行うことが可能となる。このため、証券会社や銀行等の各種金融機関に、例えば、祖父とその孫の各口座、父親とその子供の各口座等が、本システムの指令により書換え操作可能な状態で開設されていれば、容易に贈与処理を行うことが可能となる。
【0033】
さらに、前述した自動贈与システムにおいて、贈与情報記憶手段には、被贈与者および贈与実施時期に加え、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件が記憶され、贈与情報記憶手段に記憶された贈与条件に基づき、贈与処理手段により被贈与者へ贈与処理された非現金資産の現金化が必要か否かを判断する現金化判断手段と、この現金化判断手段により現金化が必要と判断された場合に、贈与処理手段により被贈与者へ贈与処理された非現金資産の売却処理を行う贈与処理後資産売却処理手段とを備えていることが望ましい。
【0034】
このように現金化判断手段および贈与処理後資産売却処理手段を備えた構成とした場合には、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件を考慮し、必要に応じて被贈与者への贈与処理後の非現金資産の売却処理が行われるので、被贈与者の意向を反映した贈与を実現できるようになり、また、贈与者または被贈与者の手間が軽減され、財産移転をより一層円滑に行うことが可能となる。
【0035】
そして、前述した自動贈与システムにおいて、贈与者が非現金資産を保有しているときに贈与資産選択手段により現金での贈与が有利と判断された場合に、贈与者資産内容記憶手段に記憶された現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あるか否かを判断する現金残高判断手段と、この現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額未満と判断された場合に、贈与処理手段により贈与処理する現金を得るために贈与者の保有する非現金資産の売却処理を行う贈与処理前資産売却処理手段とを備えていることが望ましい。
【0036】
このように現金残高判断手段および贈与処理前資産売却処理手段を備えた構成とした場合には、現金残高を判断し、必要に応じて贈与処理前に非現金資産の売却処理が行われるので、現金での贈与が有利なときには、非現金資産の売却処理で現金を作ってから、その現金で贈与処理を行うことができるようになり、効率的な財産移転をより確実に実現可能となる。
【0037】
また、本発明は、贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行う贈与情報指定手段と、贈与者の資産内容を記憶する贈与者資産内容記憶手段に記憶された贈与者の保有する非現金資産についての贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得する非現金資産価額情報取得手段と、この非現金資産価額情報取得手段により取得した非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、非現金資産の課税評価額を算出する課税評価額算出手段と、この課税評価額算出手段により算出した課税評価額に基づき、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する贈与資産選択手段と、この贈与資産選択手段による選択結果に基づき贈与情報指定手段により指定された被贈与者への贈与処理を行う贈与処理手段とを備えたことを特徴とする自動贈与システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0038】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモリ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の自動贈与システム10の全体構成が示されている。図2〜図5には、自動贈与システム10による処理の流れがフローチャートで示されている。図6には、自動贈与システム10による処理に伴う画面例が示されている。自動贈与システム10は、本実施形態では、一例として証券会社や銀行等の各種金融機関が運用・維持・管理するシステムであるものとする。
【0040】
図1において、自動贈与システム10は、贈与者の操作する一つまたは複数の贈与者端末装置20と、営業員の操作する一つまたは複数の営業員端末装置30と、自動贈与に関する各種処理を行う贈与管理サーバ40と、非現金資産についての価額情報を提供する非現金資産価額情報提供システム60と、贈与者および被贈与者を含む各顧客の口座を管理する口座管理システム70と、非現金資産の売買を行う非現金資産売買取引システム110とを備えて構成され、これらはネットワーク1により接続されている。また、贈与管理サーバ40には、贈与者により予め指定される贈与情報を記憶する贈与情報記憶手段80が接続されている。
【0041】
ネットワーク1は、例えば、インターネット、証券会社や銀行等の各種金融機関内におけるイントラネットや各部門内のLAN、あるいはこれらの組合せ等により構成され、その他に、MAN、WAN、エクストラネット等、様々な形態のものを採用してもよく、有線であるか無線であるか、さらには有線および無線の混在型であるかは問わず、要するに、複数地点(距離の長短は問わない。)間で、ある程度の速度をもって情報を伝送することができるものであればよい。なお、贈与管理サーバ40と非現金資産価額情報提供システム60との接続、贈与管理サーバ40と口座管理システム70との接続、贈与管理サーバ40と非現金資産売買取引システム110との接続、あるいは口座管理システム70と非現金資産売買取引システム110との接続は、専用線により行われていてもよい。
【0042】
贈与者端末装置20は、孫や子供等に対して贈与を行う祖父や父親等の贈与者が贈与指定日、被贈与者、贈与条件等の贈与情報を入力するための端末装置であり、主としてコンピュータにより実現されるが、携帯電話機(PHSも含む。)や携帯情報端末(PDA)等の携帯型端末装置であってもよい。
【0043】
営業員端末装置30は、証券会社や銀行等の各種金融機関の営業員が贈与者から依頼を受けて贈与情報を代行入力するための端末装置であり、主としてコンピュータにより実現されるが、携帯電話機(PHSも含む。)や携帯情報端末(PDA)等の携帯型端末装置であってもよい。
【0044】
これらの贈与者端末装置20および営業員端末装置30には、例えばキーボードやマウス等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示手段とが設けられている。
【0045】
贈与管理サーバ40は、コンピュータにより構成され、贈与情報指定手段41と、贈与者資産内容把握手段42と、非現金資産価額情報取得手段43と、課税評価額算出手段44と、贈与資産選択手段45と、贈与処理手段46と、現金化判断手段47と、贈与処理後資産売却処理手段48と、現金残高判断手段49と、贈与処理前資産売却処理手段50と、売却資産選択手段51とを含んで構成されている。
【0046】
贈与情報指定手段41は、贈与者または営業員による贈与者端末装置20または営業員端末装置30からの要求に応じ、図6の贈与情報入力画面をネットワーク1を介して贈与者端末装置20または営業員端末装置30に送信するとともに、贈与者または営業員により贈与者端末装置20または営業員端末装置30で入力されてネットワーク1を介して送られてくる贈与情報を受信し、受信した贈与情報を贈与情報記憶手段80に記憶保存させる処理を行うものである。
【0047】
また、図6の贈与情報入力画面および図示されないその他の贈与情報入力画面により入力指定されて贈与情報記憶手段80に記憶される贈与情報としては、例えば、毎年一回または毎月一回贈与を実施する日である贈与指定日、毎月贈与とする場合の月毎の贈与額の振分け方法、贈与を受ける子や孫等の被贈与者、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件、現金での贈与を行うにあたって現金残高の贈与処理可能分が不十分な場合に売却する非現金資産を事前指定(優先順位による指定を含む。)するか特に指定せずにシステムによる自動選択とするかの選択条件、課税評価額と時価とが一致したときに現金での贈与とするか非現金資産での贈与とするかの選択指定情報等が挙げられる。
【0048】
贈与者資産内容把握手段42は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者資産内容記憶手段に相当する贈与者の口座72の情報を参照して、贈与者が所有している資産内容、例えば、預けられている現金残高およびそのうちの贈与処理可能分、非現金資産である株式や債券等の金融商品の有無、金融商品を所有している場合にはその種類および数量等を把握する処理を行うものである。
【0049】
非現金資産価額情報取得手段43は、非現金資産価額情報提供システム60にアクセスし、非現金資産である株式や債券等の金融商品についての時価情報、および課税評価額の算出に必要となるその他の価額情報を取得する処理を行うものである。例えば、上場株式の場合には、時価情報として、贈与指定日の終値またはリアルタイムの取引値等(終値の代用として、または終値の予測用に取得する値)を取得し、その他の価額情報として、贈与指定日の属する月以前3ヶ月間における毎日の終値の各月平均額を取得する(贈与指定日の属する当月における毎日の終値の月平均額は、代用値または予測値として取得する。)。また、気配相場等のある株式の場合には、登録銘柄または店頭管理銘柄の株式については、時価情報として、贈与指定日の取引価額を取得し、その他の価額情報として、贈与指定日の属する月以前3ヶ月間における毎日の取引価額の各月平均額を取得する(贈与指定日の属する当月における毎日の取引価額の月平均額は、代用値または予測値として取得する。)。なお、上記の各例において、贈与指定日の属する月以前3ヶ月間における毎日の終値や毎日の取引価額の各月平均額については、予め非現金資産価額情報提供システム60で計算されている各月平均額を取得してもよく、あるいは毎日の終値や毎日の取引価額を非現金資産価額情報提供システム60から取得して贈与管理サーバ40で各月平均額を計算してもよい。
【0050】
課税評価額算出手段44は、非現金資産価額情報取得手段43により取得した非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、非現金資産についての贈与税の課税評価額を算出する処理を行うものである。贈与税は、平成13年1月1日以降、年間110万円までの贈与については非課税となり、国税庁の「財産評価基本通達」によれば、有価証券等を贈与する場合、評価額は以下の取扱いとなる。
【0051】
すなわち、上場株式の場合には、贈与があった日の終値、贈与があった日の属する月以前3ヶ月間における毎日の終値の各月平均額のうち、いずれか低い方の価額が評価額となる。例えば、贈与日が11月13日の場合において、11月13日の終値が1,740円で、11月中の終値平均が1,750円で、10月中の終値平均が1,690円で、9月中の終値平均が1,710円であるときは、最も低い価額である10月中の終値平均の1,690円が評価額となる。
【0052】
また、気配相場等のある株式の場合には、登録銘柄または店頭管理銘柄の株式については、贈与があった日の取引価額、贈与があった日の属する月以前3ヶ月間における毎日の取引価額の各月平均額のうち、いずれか低い方の価額が評価額となる。公開途上にある株式については、公募または売出しが行われる場合は公開価格が評価額となり、公募等が行われない場合は、贈与日以前の取引価格等を勘案して評価を行う。
【0053】
さらに、取引相場のない株式の場合には、発行会社の規模、株主の構成状況および取得者の株主構成上の地位の区分に従い、類似業種批准方式、純資産価額方式またはこれらの併用方式、配当還元方式により評価を行う。
【0054】
贈与資産選択手段45は、課税評価額算出手段44により算出した課税評価額に基づき、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する処理を行うものである。この際には、例えば、非現金資産の課税評価額と非現金資産の時価とを比較し、課税評価額が時価よりも低い場合には、非現金資産での贈与を行えば、時価で考えると実質的に課税評価額よりも多い額を贈与できるので、非現金資産での贈与が有利と判断して非現金資産を贈与資産として選択し、一方、課税評価額が時価よりも高い場合には、非現金資産での贈与を行うと、時価で考えると実質的に課税評価額よりも少ない額でしか贈与できないので、現金での贈与が有利と判断して現金を贈与資産として選択する。なお、課税評価額と時価とが一致する場合には、現金での贈与または非現金資産での贈与のいずれかが自動的に選択されるようにしてもよく、贈与者による事前指定に基づきいずれかが選択されるようにしてもよい。
【0055】
また、贈与者が複数種類の非現金資産を保有している場合には、非現金資産価額情報取得手段43による時価情報を含む価額情報の取得処理および課税評価額算出手段44による課税評価額の算出処理が、複数種類の非現金資産のそれぞれについて行われるので、贈与資産選択手段45により贈与資産を選択する際には、現金での贈与または複数種類の非現金資産の各々での贈与のうちいずれが最も有利かを判断する。そして、複数種類の非現金資産のうちのいずれの非現金資産での贈与が有利なのかを判断する際には、各非現金資産について時価と課税評価額との乖離率を算出し、乖離率が最も大きい非現金資産(但し、時価が課税評価額よりも高いことが前提となる。)を有利とし、贈与資産として選択する。
【0056】
さらに、例えば、税制度上、課税評価額が時価よりも高くなることが考えられないケース等があり得るが、このようなケースにおいて、贈与者が、できるだけ現金での贈与を行いたいが、非現金資産での贈与の方が有利になるときには、非現金資産での贈与として欲しいという希望を持つ場合もあり得る。このような場合に、贈与資産選択手段45により、非現金資産の課税評価額と非現金資産の時価とを比較し、課税評価額が時価よりも低い場合には、非現金資産での贈与を行えば、時価で考えると実質的に課税評価額よりも多い額を贈与できるので、非現金資産での贈与が有利と判断して非現金資産を贈与資産として選択し、一方、課税評価額と時価とが一致する場合には、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利ともいえないので、贈与者の事前指定(いずれが有利ともいえない場合には、現金での贈与を行いたいという希望)により、現金を贈与資産として選択するようにしてもよい。
【0057】
贈与処理手段46は、贈与資産選択手段45により選択された資産を、贈与情報記憶手段80に記憶された被贈与者へ自動的に贈与する処理を行うものである。この贈与処理を行う際には、贈与処理手段46は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72から被贈与者の口座73への資産の振替を行い、各口座72,73の内容を書き換える処理を行う。本実施形態では、贈与処理手段46により振替処理の指令を出し、口座管理システム70の口座管理用コンピュータ71でその指令に基づいて振替処理を実行する。
【0058】
現金化判断手段47は、贈与情報記憶手段80に記憶された贈与条件に基づき、贈与処理手段46により被贈与者へ贈与処理された非現金資産の現金化が必要か否かを判断する処理を行うものである。なお、贈与情報記憶手段80には、贈与情報の一つとして、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件が記憶されている。
【0059】
贈与処理後資産売却処理手段48は、現金化判断手段47により現金化が必要と判断された場合、すなわち被贈与者が現金のみの保有を希望するという贈与条件が指定されていた場合に、贈与処理手段46により被贈与者へ贈与処理された非現金資産を売却する処理を行うものである。この売却処理の際には、贈与処理後資産売却処理手段48は、口座管理システム70および/または非現金資産売買取引システム110にアクセスし、被贈与者の口座73に振り替えられた非現金資産の売却処理を行う。本実施形態では、贈与処理後資産売却処理手段48により売却処理の指令を出し、口座管理システム70の口座管理用コンピュータ71および非現金資産売買取引システム110でその指令に基づいて売却処理を実行する。
【0060】
現金残高判断手段49は、贈与者資産内容把握手段42により贈与者の口座72の内容を参照して贈与者が非現金資産を保有していないと判断した場合、または贈与者が非現金資産を保有しているときに贈与資産選択手段45により現金での贈与が有利と判断した場合に、贈与者の口座72の現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あるか否かを判断する処理を行うものである。
【0061】
贈与処理前資産売却処理手段50は、現金残高判断手段49により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額未満と判断された場合に、贈与処理手段46により贈与処理する現金を得るために贈与者の保有する非現金資産を売却する処理を行うものである。この売却処理の際には、贈与処理前資産売却処理手段50は、口座管理システム70および/または非現金資産売買取引システム110にアクセスし、贈与者の口座72にある非現金資産の売却処理を行う。本実施形態では、贈与処理前資産売却処理手段50により売却処理の指令を出し、口座管理システム70の口座管理用コンピュータ71および非現金資産売買取引システム110でその指令に基づいて売却処理を実行する。
【0062】
売却資産選択手段51は、贈与情報記憶手段80に記憶された選択条件を参照し、贈与処理前資産売却処理手段50により売却する非現金資産を選択する処理を行うものである。この売却資産選択処理では、贈与者により事前に指定されて贈与情報記憶手段80に選択条件として記憶されている非現金資産がある場合には、その非現金資産が選択され、贈与者により売却の優先順位が事前に指定されて贈与情報記憶手段80に選択条件として記憶されている場合には、その優先順位に従って非現金資産が選択され、事前指定がない場合には、例えば、保有している非現金資産の性質(例えば、株式、債券、株式投資信託、公社債投資信託、MRF等の種別)等に応じてシステム10で予め設定されている順序に従い、売却される非現金資産が自動的に選択される。
【0063】
非現金資産価額情報提供システム60は、コンピュータにより構成され、非現金資産である株式や債券等の金融商品についての時価情報、および課税評価額の算出に必要となるその他の価額情報を保有し、提供するシステムであり、自動贈与システム10の運用・維持・管理を行う証券会社や銀行等の各種金融機関が自社内に保有するシステムであってもよく、外部のシステムであってもよい。
【0064】
口座管理システム70は、各口座の内容の参照、追加、更新、削除等の処理を行う口座管理用コンピュータ71と、贈与者資産内容記憶手段に相当する一人または複数人の贈与者の各口座72と、被贈与者資産内容記憶手段に相当する一人または複数人の被贈与者の各口座73とを備えている。なお、口座管理システム70には、贈与者および被贈与者以外の者の口座が設けられていてもよい。
【0065】
非現金資産売買取引システム110は、コンピュータにより構成され、非現金資産である株式や債券等の金融商品の売買を行うシステムであり、自動贈与システム10の運用・維持・管理を行う証券会社や銀行等の各種金融機関が自社内に保有するシステムである。
【0066】
以上において、贈与管理サーバ40の各手段41〜51は、贈与管理サーバ40を構成するコンピュータ本体(パーソナル・コンピュータのみならず、その上位機種のものも含む。)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0067】
また、贈与情報記憶手段80、贈与者資産内容記憶手段である贈与者の口座72、および被贈与者資産内容記憶手段である被贈与者の口座73は、例えば、ハードディスク、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等により実現される。
【0068】
このような本実施形態においては、以下のようにして自動贈与システム10により贈与者から被贈与者への資産の生前贈与が自動的に行われる。
【0069】
図2において、先ず、贈与管理サーバ40の電源を投入して自動贈与に関するプログラムを立ち上げる(ステップS1)。以降、贈与管理サーバ40は、常に稼働させておく。
【0070】
次に、贈与者は、図1に示すように、子や孫等の被贈与者から、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件の希望を聞く。それから、贈与者は、自宅等にある贈与者端末装置20を自ら操作して贈与情報を入力指定するか(図2のステップS2)、あるいは担当の営業員に希望を伝えて贈与情報の入力指定の代行を依頼する。そして、依頼された営業員は、証券会社や銀行等の各種金融機関の社内等にある営業員端末装置30を操作して贈与情報を入力指定する(図2のステップS2)。
【0071】
図2のステップS2において、贈与者または営業員が、贈与者端末装置20または営業員端末装置30の表示手段の画面(例えば、オンライントレードのメニュー画面等)を参照しながら入力手段を操作し、自動贈与に関する選択部を選択すると、自動贈与に関する画面の要求信号がネットワーク1を介して贈与管理サーバ40に送信される。贈与管理サーバ40では、この要求信号を受信すると、贈与情報指定手段41により、自動贈与に関する画面をネットワーク1を介して贈与者端末装置20または営業員端末装置30に送信する。すると、贈与者端末装置20または営業員端末装置30の表示手段の画面上には、例えば、図6に示すような贈与情報入力画面90等の自動贈与に関する画面が表示される。
【0072】
図6において、贈与情報入力画面90には、顧客(贈与者)名、顧客(贈与者)の口座番号、贈与先口座、続柄、贈与先の口座番号、贈与日、贈与額、他資産の贈与額、住宅資産贈与特例の適用の各入力部91〜99が設けられている。贈与先口座入力部93に入力される贈与先口座の名義は、被贈与者として指定する者の名前であり、例えば、顧客(贈与者)名入力部91に入力される贈与者の家族口座の名義等である。贈与日入力部96には、年一括贈与を希望する場合には、年に一回贈与を行う日を指定するために、例えば「年1回○月×日」という形で贈与指定日を入力し、毎月贈与を希望する場合には、毎月1回贈与を行う日を指定するために、例えば「月1回×日」という形で贈与指定日を入力する。
【0073】
贈与額入力部97には、贈与を希望する額を非課税枠内で入力指定する。なお、非課税枠を超える贈与を行いたい場合には、非課税枠を超える額を入力してもよいようにしておいてもよく、その場合であっても、非課税枠を十分に活用する形で課税上有利になるように自動贈与システム10による贈与処理が実行される。また、他資産の贈与額入力部98には、自動贈与システム10による贈与以外の贈与を行う場合に、その贈与額を入力する。従って、非課税にするためには、贈与額入力部97への入力額と他資産の贈与額入力部98への入力額との合計額が、非課税枠内に収まるようにする必要がある。さらに、住宅資産贈与特例の適用入力部99には、特例の適用の有無を選択入力する。
【0074】
また、図6の贈与情報入力画面90への各項目の入力と併せ、例えば、毎月贈与とする場合には、月毎の贈与額の振分け方法を入力する。振分け方法としては、毎月均等に12分の1ずつ贈与する方法や、前半または後半のいずれかの半年間に贈与する額を多くする方法等、様々な方法を指定することができる。また、被贈与者が現金のみを保有したいという希望を持つ場合もあるので、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件も入力する。
【0075】
さらに、現金での贈与を行うにあたって現金残高の贈与処理可能分が不十分な場合に売却する非現金資産を事前指定するか特に指定せずにシステムによる自動選択とするかの選択条件(後述する図5のステップS53で使用する条件)を入力する。この事前指定を行う際には、ある一つの種類の非現金資産を指定してもよく、複数種類の非現金資産に売却の優先順位を付けて指定してもよい。なお、事前指定を行う際には、株式か債券か等のように非現金資産の種別を指定するだけでもよいが、例えば株式の場合には、その銘柄まで指定することが好ましい。
【0076】
また、課税評価額と時価とが一致したときに現金での贈与とするか非現金資産での贈与とするかの選択指定情報を必要に応じて入力する。なお、この選択指定情報の入力が行われない場合には、自動贈与システム10で予め定められた方の資産が選択されるようにしておけばよい。
【0077】
以上のようにして、贈与者または営業員が、贈与者端末装置20または営業員端末装置30での贈与情報の入力作業を終えると、その入力指定情報は、ネットワーク1を介して贈与管理サーバ40に送信される。贈与管理サーバ40では、贈与情報指定手段41により、この入力指定情報を受信した後(図2のステップS2)、受信した入力指定情報を贈与情報記憶手段80に記憶保存する(ステップS3)。
【0078】
その後、贈与管理サーバ40では、ステップS2で入力指定された贈与情報に基づき、年一括贈与か毎月贈与かの判別を行い(ステップS4)、以下のような年一括贈与処理(後述する図3および図5のステップS11〜S23およびS51〜S58の処理)または毎月贈与処理(後述する図4および図5のステップS31〜S44およびS51〜S58の処理)を行って自動贈与処理を終了する(ステップS70)。なお、図2では、年一括贈与処理および毎月贈与処理は、いずれもループ処理になっていないが、実際には、これらの処理は、毎年または毎月繰り返し行われる。
【0079】
図3には、年一括贈与処理の流れの詳細がフローチャートで示されている。図3において、贈与管理サーバ40は、システム上で毎日その日の日付データを取得し(ステップS11)、図2のステップS2で入力指定された贈与指定日であるか否かを判断し(ステップS12)、贈与指定日でないと判断した場合には、ステップS12の処理に戻り、以降、贈与指定日であると判断されるまで、このループ処理を繰り返す。一方、贈与指定日であると判断した場合には、贈与者資産内容把握手段42により、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72の資産内容を取得する(ステップS13)。取得する資産内容は、例えば、現金預り金が1,200万円、銘柄Aの株式が2,000株等の情報である。
【0080】
ここで、贈与者の口座72の資産内容を参照し、贈与者の資産が現金のみであるか否かを判断し(ステップS14)、現金のみではないと判断した場合には、非現金資産(例えば株式や債券等の金融商品など)があるので、非現金資産価額情報取得手段43により、非現金資産価額情報提供システム60にアクセスし、贈与者が保有する非現金資産についての時価情報を含む価額情報を取得する(ステップS15)。この際には、例えば、上場株式の場合には、贈与日の終値または時価(贈与日の終値の代用値または予想値として取得)、当月終値平均額(代用値または予想値として取得)、前月終値平均額、前々月終値平均額を取得する。
【0081】
続いて、課税評価額算出手段44により、非現金資産価額情報取得手段43により取得した値に基づき、贈与税の課税評価額を自動的に算出する。この際、課税評価額は、例えば、上場株式の場合には、上記の4つの値のうち最も低い価額となる。そして、算出した課税評価額に基づいて非課税枠内で贈与を行ったとした場合に、時価で考えて実質的に贈与できる額を、贈与資産選択手段45により算定する(ステップS16)。例えば、非課税枠が110万円で、時価が1株につき10,000円、課税評価額が1株につき9,000円の場合には、110万円÷9,000円=122株を贈与できるので、この時価を算出すると、122株×10,000円=122万円となり、時価で考えた場合の実質的な非課税枠内贈与額は、非課税枠110万円よりも大きい122万円となる。
【0082】
それから、贈与資産選択手段45により、非現金資産での贈与の方が、現金での贈与よりも有利か否かを判断する(ステップS17)。ここで、非現金資産での贈与の方が、現金での贈与よりも有利と判断した場合には、贈与処理手段46により非現金資産の振替処理が行われ、非現金資産での贈与が実行される(ステップS18)。この際、贈与処理手段46は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72から、図2のステップS2で入力指定された被贈与者の口座73への非現金資産の振替処理を行い、非現金資産の名義を変更する。
【0083】
また、ステップS18の非現金資産の振替処理では、贈与者が複数種類の非現金資産を保有している場合には、最も有利になる非現金資産(時価で考えた場合に、実質的に最も多くの額を贈与できる非現金資産)について、振替処理を行う。
【0084】
さらに、現金化判断手段47により、贈与情報記憶手段80に記憶された贈与条件を参照し(ステップS19)、ステップS18で贈与処理手段46により被贈与者へ贈与した非現金資産について、現金化の必要があるか否かを判断する(ステップS20)。
【0085】
ここで、現金化の必要がないと判断した場合には、被贈与者が非現金資産の保有を許容しているので、そのまま今回の自動贈与処理を終了し(図3および図2のステップS70)、一方、現金化の必要があると判断した場合には、被贈与者が現金のみの保有を希望しているので、贈与処理手段46により被贈与者へ贈与した非現金資産を、贈与処理後資産売却処理手段48により自動的に、時価で市場に売却し、今回の自動贈与処理を終了する(ステップS70)。
【0086】
ステップS14で、贈与者の資産が現金のみであると判断した場合、およびステップS17で、非現金資産での贈与の方が、現金での贈与よりも有利とはいえないと判断した場合には、現金残高判断手段49により、贈与者の口座72の現金残高のうちの贈与処理可能分が、指定贈与額(図6の贈与額入力部97に入力された額)以上あるか否かを判断する(ステップS22)。
【0087】
ここで、現金残高のうちの贈与処理可能分が、指定贈与額未満であると判断した場合には、現金残高不十分時処理(後述する図5のステップS51〜S58の処理)を行った後、今回の自動贈与処理を終了し(ステップS70)、一方、現金残高のうちの贈与処理可能分が、指定贈与額以上あると判断した場合には、贈与処理手段46により現金振替処理を行って現金での贈与を実行した後(ステップS23)、今回の自動贈与処理を終了する(ステップS70)。ステップS23では、贈与処理手段46は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72から、図2のステップS2で入力指定された被贈与者の口座73への現金の振替処理を行う。
【0088】
図4には、毎月贈与処理の流れの詳細がフローチャートで示されている。図4において、ステップS31,S32の処理は、図3のステップS11,S12の処理と同様である。図4の毎月贈与処理が、図3の年一括贈与処理と異なっていのは、当月贈与額を決定する処理(ステップS33)が追加されている点である。ステップS33では、図2のステップS2で入力指定されて贈与情報記憶手段80に記憶された贈与額の振分け方法に従って、当月贈与額が決定される。例えば、図6の贈与額入力部97に入力された贈与額を均等に12分の1とした額等となる。また、図4のステップS34〜S44の処理は、図3のステップS13〜S23の処理と同様である。
【0089】
図5には、現金残高不十分時処理の流れの詳細がフローチャートで示されている。図5において、贈与管理サーバ40は、贈与者資産内容把握手段42により、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72の資産内容を取得し(ステップS51)、贈与者の資産が現金のみであるか否かを判断する(ステップS52)。
【0090】
ここで、現金のみではないと判断した場合には、売却資産選択手段51により、贈与情報記憶手段80に記憶された選択条件を参照し(ステップS53)、現金での贈与を行うにあたって不足している額の現金を得るために、贈与者の保有する非現金資産のうちのいずれを売却するかの選択を行う(ステップS54)。この売却資産選択処理では、図2のステップS2で贈与者により事前指定された非現金資産がある場合には、その非現金資産が選択され、贈与者により売却の優先順位が事前指定されている場合には、その優先順位に従って非現金資産が選択され、事前指定がない場合には、例えば保有している非現金資産の性質等に応じ、売却される非現金資産がシステム10で自動的に選択される。
【0091】
続いて、売却資産選択手段51により選択された売却対象の非現金資産についての時価情報を、非現金資産価額情報取得手段43により、非現金資産価額情報提供システム60にアクセスして取得する(ステップS55)。そして、指定贈与額(図6の贈与額入力部97に入力された額であって、通常は非課税枠内に収められた額)から、現金残高のうちの贈与処理可能分を引き、不足する現金の額を算出し、さらにその不足額を、非現金資産価額情報取得手段43により取得した売却対象資産の時価で除することにより、売却すべき単位数を算定する(ステップS56)。
【0092】
その後、贈与処理前資産売却処理手段50により、贈与者の口座72にある非現金資産を、ステップS56で算定した単位数だけ自動的に時価で市場に売却する(ステップS57)。但し、算定した単位数の非現金資産を贈与者が保有していない場合には、売却し得るかぎりの単位数を売却する。さらに、売却処理前から元々あった現金残高のうちの贈与処理可能分に、贈与処理前資産売却処理手段50による売却処理で得た分を加えた額(通常は非課税枠内に収まる額)の現金について、贈与処理手段46により現金振替処理を行って現金での贈与を実行した後(ステップS58)、今回の自動贈与処理を終了する(ステップS70)。ステップS58では、贈与処理手段46は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72から、図2のステップS2で入力指定された被贈与者の口座73への現金の振替処理を行う。
【0093】
ステップS52で、贈与者の資産が現金のみであると判断した場合には、売却する非現金資産がないので、贈与処理手段46により、現金残高のうちの贈与処理可能分のすべてについて、現金振替処理を行って現金での贈与を実行した後(ステップS58)、今回の自動贈与処理を終了する(ステップS70)。
【0094】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、自動贈与システム10は、贈与資産選択手段45を備えているので、課税評価額算出手段44により算出した課税評価額に基づき、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択することができる。このため、贈与者は、贈与処理を行う際に、毎回毎回、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを自分で判断する負担と手間を軽減でき、円滑な財産移転を実現できるとともに、実質的に非課税枠内で、より多くの資産を移転することができ、効率的な財産移転を実現できる。
【0095】
また、自動贈与システム10は、贈与処理手段46を備えているので、贈与資産選択手段45による選択結果に基づき、贈与情報記憶手段80に記憶された被贈与者、つまり予め指定しておいた被贈与者への贈与処理を自動的に実行することができる。このため、贈与者は、贈与処理を行う際に、毎回毎回、贈与処理の実行に伴う様々な手続を行う必要がなくなるので、贈与者の手間を軽減でき、円滑な財産移転を実現できる。
【0096】
さらに、贈与者が複数種類の非現金資産を保有している場合には、非現金資産価額情報取得手段43による時価情報を含む価額情報の取得処理および課税評価額算出手段44による課税評価額の算出処理を、複数種類の非現金資産のそれぞれについて行うので、贈与資産選択手段45により贈与資産を選択する際には、現金での贈与または複数種類の非現金資産の各々での贈与のうちいずれが最も有利かを判断することができる。このため、より一層有利な形で贈与を行うことができ、より一層効率的な財産移転を実現できる。
【0097】
そして、自動贈与システム10は、現金化判断手段47および贈与処理後資産売却処理手段48を備えているので、被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件を考慮し、必要に応じて被贈与者への贈与処理後の非現金資産を売却することができる。このため、被贈与者の意向を反映した贈与を実現できるうえ、贈与者または被贈与者の手間を軽減でき、財産移転をより一層円滑に行うことができる。
【0098】
また、自動贈与システム10は、現金残高判断手段49および贈与処理前資産売却処理手段50を備えているので、現金残高を判断し、必要に応じて贈与処理前に非現金資産の売却を行うことができる。このため、現金での贈与を行う際に現金残高が不十分な場合には、非現金資産の売却処理で現金を作ってから、その現金で贈与処理を行うことができるので、効率的な財産移転をより確実に実現できる。
【0099】
さらに、贈与処理手段46は、口座管理システム70にアクセスし、贈与者の口座72から被贈与者の口座73への資産の振替処理を行うことにより、贈与処理を実行することができる。このため、贈与者および被贈与者の各口座72,73の内容を書き換えるだけで、贈与者から被贈与者への資産の移転を容易に行うことができ、贈与処理を円滑に実行できる。従って、贈与者の口座72および被贈与者の口座73を用意しておけば、贈与者および被贈与者に手間をかけさせることなく、容易に財産移転を実現できるので、証券会社や銀行等の各種金融機関にとっては、家族口座の獲得に繋がり、営業規模の拡大を図ることができる。さらに、被贈与者である若年層の口座を獲得できれば、その若年層が高齢化して贈与者の立場になったときに、再び自動贈与システム10を使用するためにその家族口座が開設されることがあるので、好循環をもたらし、企業経営の安定化を図ることができる。
【0100】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0101】
すなわち、前記実施形態では、贈与管理サーバ40、非現金資産価額情報提供システム60、口座管理システム70、および非現金資産売買取引システム110は、それぞれ異なるコンピュータにより構成され、ネットワーク1を介してデータの送受信を行うことにより互いの機能を発揮させる構成とされていたが、これらを一体化して一つのコンピュータにより各機能を実現してもよく、あるいは、これらのサーバ40およびシステム60,70,110のうちの任意の複数個を組み合わせて一つのコンピュータにより各機能を実現してもよい。
【0102】
また、前記実施形態では、贈与者端末装置20および営業員端末装置30は、インターネットやイントラネットやLAN等により構成されるネットワーク1を介して贈与管理サーバ40に接続され、遠隔地から贈与情報を入力指定できるようになっていたが、これらの端末装置20,30を、贈与管理サーバ40を構成するコンピュータに直接に接続することにより、遠隔地からのデータ入力を前提としない構成、つまりネットワーク1の使用を前提としない構成の自動贈与システムとしてもよい。
【0103】
さらに、前記実施形態では、自動贈与システム10で取り扱う贈与者および被贈与者の資産内容は、贈与者および被贈与者の各口座72,73の内容とされていたが、本発明における贈与者資産内容記憶手段および被贈与者資産内容記憶手段は、口座と称されるものに限定されるものではなく、例えば、予納台帳等の台帳、預り金勘定等の勘定等と称されるものであってもよい。
【0104】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、贈与資産選択手段により、現金での贈与と非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択するので、贈与者の判断の手間を軽減できるとともに、実質的に非課税枠内で、より多くの資産を移転でき、効率的な財産移転を実現できるうえ、贈与処理手段により、被贈与者への贈与処理を自動的に実行するので、贈与者の贈与処理に伴う手間を軽減でき、円滑な財産移転を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の自動贈与システムの全体構成図。
【図2】前記実施形態の自動贈与システムによる処理の全体的な流れを示すフローチャートの図。
【図3】前記実施形態の自動贈与システムによる年一括贈与処理の流れの詳細を示すフローチャートの図。
【図4】前記実施形態の自動贈与システムによる毎月贈与処理の流れの詳細を示すフローチャートの図。
【図5】前記実施形態の自動贈与システムによる現金残高不十分時処理の流れの詳細を示すフローチャートの図。
【図6】前記実施形態の自動贈与システムによる処理に伴う画面例を示す図。
【符号の説明】
10 自動贈与システム
41 贈与情報指定手段
42 贈与者資産内容把握手段
43 非現金資産価額情報取得手段
44 課税評価額算出手段
45 贈与資産選択手段
46 贈与処理手段
47 現金化判断手段
48 贈与処理後資産売却処理手段
49 現金残高判断手段
50 贈与処理前資産売却処理手段
72 贈与者資産内容記憶手段に相当する贈与者の口座
73 被贈与者資産内容記憶手段に相当する被贈与者の口座
80 贈与情報記憶手段

Claims (9)

  1. 贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与サービス提供方法であって、
    前記贈与者の資産内容を贈与者資産内容記憶手段に記憶しておくとともに、贈与情報指定手段により、前記被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行い、この指定された贈与情報を贈与情報記憶手段に記憶しておき、前記贈与実施時期になった時点で、非現金資産価額情報取得手段により、前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された前記贈与者の保有する非現金資産についての前記贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得した後、
    課税評価額算出手段により、前記非現金資産価額情報取得手段により取得した前記非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、前記非現金資産の課税評価額を算出し、
    続いて、贈与資産選択手段により、前記課税評価額算出手段により算出した前記課税評価額に基づき、現金での贈与と前記非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択し、
    その後、贈与処理手段により、前記贈与資産選択手段による選択結果に基づき、前記贈与情報記憶手段に記憶された前記被贈与者への贈与処理を行う
    ことを特徴とする自動贈与サービス提供方法。
  2. 贈与者資産内容把握手段により前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された資産内容を参照して前記贈与者が複数種類の非現金資産を保有していると判断した場合には、
    前記非現金資産価額情報取得手段による時価情報を含む価額情報の取得処理および前記課税評価額算出手段による課税評価額の算出処理は、前記複数種類の非現金資産のそれぞれについて行い、
    前記贈与資産選択手段により贈与資産を選択する際には、現金での贈与または前記複数種類の非現金資産の各々での贈与のうちいずれが最も有利かを判断することを特徴とする請求項1に記載の自動贈与サービス提供方法。
  3. 前記贈与情報記憶手段には、前記被贈与者および前記贈与実施時期に加え、前記被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件を記憶しておき、
    現金化判断手段により、前記贈与情報記憶手段に記憶された前記贈与条件に基づき、前記贈与処理手段により前記被贈与者へ贈与処理した非現金資産の現金化が必要か否かを判断し、
    前記現金化判断手段により現金化が必要と判断した場合には、贈与処理後資産売却処理手段により、前記贈与処理手段により贈与処理された前記非現金資産の売却処理を行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動贈与サービス提供方法。
  4. 贈与者資産内容把握手段により前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された資産内容を参照して前記贈与者が前記非現金資産を保有していないと判断した場合または前記贈与者が非現金資産を保有しているときに前記贈与資産選択手段により現金での贈与が有利と判断した場合には、現金残高判断手段により、前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あるか否かを判断し、
    前記現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あると判断した場合には、前記贈与処理手段により、前記指定贈与額に相当する額の現金での贈与処理を行い、
    前記現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額未満と判断した場合には、前記贈与者が前記非現金資産を保有していないときは、前記贈与処理手段により、現金残高のうちの贈与処理可能分の全額に相当する額の現金での贈与処理を行い、前記贈与者が前記非現金資産を保有しているときは、贈与処理前資産売却処理手段により前記贈与者の保有する非現金資産の売却処理を行った後に、前記贈与処理手段により、前記売却処理で得られた分を含む現金での贈与処理を行う
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動贈与サービス提供方法。
  5. 贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与システムであって、
    前記贈与者の資産内容を記憶する贈与者資産内容記憶手段と、
    前記被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行う贈与情報指定手段と、
    この贈与情報指定手段により指定された前記贈与情報を記憶する贈与情報記憶手段と、
    前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された前記贈与者の保有する非現金資産についての前記贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得する非現金資産価額情報取得手段と、
    この非現金資産価額情報取得手段により取得した前記非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、前記非現金資産の課税評価額を算出する課税評価額算出手段と、
    この課税評価額算出手段により算出した前記課税評価額に基づき、現金での贈与と前記非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する贈与資産選択手段と、
    この贈与資産選択手段による選択結果に基づき前記贈与情報記憶手段に記憶された前記被贈与者への贈与処理を行う贈与処理手段と
    を備えたことを特徴とする自動贈与システム。
  6. 前記被贈与者の資産内容を記憶する被贈与者資産内容記憶手段を備え、
    前記贈与処理手段は、前記贈与者から前記被贈与者への資産の振替処理を行って前記贈与者資産内容記憶手段および前記被贈与者資産内容記憶手段に記憶された各資産内容を書き換える構成とされている
    ことを特徴とする請求項5に記載の自動贈与システム。
  7. 前記贈与情報記憶手段には、前記被贈与者および前記贈与実施時期に加え、前記被贈与者が現金のみの保有を希望するか非現金資産の保有を許容するかの贈与条件が記憶され、
    前記贈与情報記憶手段に記憶された前記贈与条件に基づき、前記贈与処理手段により前記被贈与者へ贈与処理された非現金資産の現金化が必要か否かを判断する現金化判断手段と、
    この現金化判断手段により現金化が必要と判断された場合に、前記贈与処理手段により前記被贈与者へ贈与処理された非現金資産の売却処理を行う贈与処理後資産売却処理手段と
    を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の自動贈与システム。
  8. 前記贈与者が前記非現金資産を保有しているときに前記贈与資産選択手段により現金での贈与が有利と判断された場合に、前記贈与者資産内容記憶手段に記憶された現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額以上あるか否かを判断する現金残高判断手段と、
    この現金残高判断手段により現金残高のうちの贈与処理可能分が指定贈与額未満と判断された場合に、前記贈与処理手段により贈与処理する現金を得るために前記贈与者の保有する非現金資産の売却処理を行う贈与処理前資産売却処理手段と
    を備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の自動贈与システム。
  9. 贈与者から被贈与者への資産の生前贈与を自動的に行う自動贈与システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記被贈与者および贈与実施時期を含む贈与情報の入力指定処理を行う贈与情報指定手段と、
    前記贈与者の資産内容を記憶する贈与者資産内容記憶手段に記憶された前記贈与者の保有する非現金資産についての前記贈与実施時期の時価情報を含む価額情報を取得する非現金資産価額情報取得手段と、
    この非現金資産価額情報取得手段により取得した前記非現金資産についての時価情報を含む価額情報に基づき、前記非現金資産の課税評価額を算出する課税評価額算出手段と、
    この課税評価額算出手段により算出した前記課税評価額に基づき、現金での贈与と前記非現金資産での贈与とでいずれが有利かを判断して贈与資産を選択する贈与資産選択手段と、
    この贈与資産選択手段による選択結果に基づき前記贈与情報指定手段により指定された前記被贈与者への贈与処理を行う贈与処理手段と
    を備えたことを特徴とする自動贈与システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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