JP4159544B2 - 絞り流量計 - Google Patents
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Description
このような従来の差圧検出器は、JIS規格にあるように精密な機械加工が必要であり、また、流れが乱れた状態では測定精度が低下するため、設置された機器の上・下流域には十分な直管を設けることが必要である。さらに、差圧検出器からの発生差圧は、管内を流れる流速、流量の自乗式として唯一のカーブで表わされるものである。
また、被測流体が液体である場合、オリフィスにおいては、長期間の使用に伴いエロージョンによるエッジ部の磨耗、あるいは絞り部の前後にスラッジが堆積することにより測定精度の低下を招く。
しかしながら、上記の背景技術によれば、精密な機械加工を伴うことで、高価となり、流量測定の必要性があるにも拘わらず設置を見送るケースがあった。特に、昨今の注目を集めている環境問題でCO2削減が最も遅れている民生用ビルは、冷熱源に対して省エネルギー管理を行う必要性があるにも係わらず、イニシャルコストの面からほとんどが設置されていない。
また、従来の技術による差圧検出器では、測定精度を維持するために管内の流体の流れが整流状態にある箇所に設置する必要性があり、例えば、Rエルボ等の局部抵抗部の後に設置する場合には、相当長い直管を設けることになり、実際に使用する現場では、設置箇所に制約があり、使用しずらいものであった。
さらに、従来の技術による差圧検出器では、発生する差圧と流れる流体の流速、流量との関係が自乗カーブで表わされるために、低流速域から高流速域までを単一のマノメータで計測する場合、発生する差圧の範囲が大きく、マノメータの性能によっては低流速域で測定誤差が大きくなる。また、長期間の使用に伴いエッジ部の磨耗、あるいはスラッジの堆積を生じ、測定精度の低下を招くという問題があった。
さらに、従来の差圧検出器として、ピトー管を用いた場合、全圧と静圧とを取り出して、それらの差圧を得るようにしたものであるが、測定点における局所的な速度しか得られず、平均速度を算出するには、同一断面内の幾つかの点における速度を測定する必要がある。
また、特開平8−210887号公報に開示されているように、流体が流れる管体にその軸線に垂直に貫通して総圧検出用筒体が設けられ、この総圧検出用筒体に流体の流通方向に対向して開口された総圧検出用孔を備え、その上流側における管体の壁部に開口部を設けて静圧検出を行うようにしたものがある。
しかしながら、この差圧検出器においては、同一断面における複数の点における検知が可能であるが、低流速域においては大きな差圧を検出することができない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、精密な機械加工を必要としない安価な製品で、乱れた流れの状態下でも高精度の測定が可能であり、さらに、差圧検出器からの発生差圧と流速、流量との関係が複数の自乗カーブとして表わされ、長期間にわたり、安定した測定精度を維持することができる絞り流量計を提供することを目的とするものである。
また、上記絞り流量計においては、第1の圧力測定孔が最も絞られる断面上のシリンダの壁部に形成されていることを特徴とする。
また、上記絞り流量計において、第1の圧力測定孔が、最も絞られる断面上の前記パイプの壁面に形成されていることを特徴とする。
また、上記絞り流量計において、第1の圧力測定孔が、パイプの壁面における最も絞られる断面から下流の壁面に形成されていることを特徴とする。
このような絞り流量計において、シリンダの内部に、第2の圧力測定孔からシリンダ内径の1/2以上離れた上流に設置された整流用プレートを設けたことを特徴とする。
上記のような絞り流量計においては、シリンダにおける流体の流れ方向に垂直な最も絞られた断面箇所よりも上流の位置に、砲弾型の切断面を有する扁平形状の中空体が設置され、そして、最も絞られる断面上の箇所に形成された第1の圧力測定孔、中空体の上流の前記シリンダの壁部に形成された第2の圧力測定孔、および、中空体にその向流方向に開孔して設けられた第3の圧力測定孔を有することを特徴とする。
さらに、この絞り流量計において、第1の圧力測定孔が前記最も絞られた断面上の前記シリンダの壁部に形成されていることを特徴とする。
また、この絞り流量計においては、第1の圧力測定孔が前記最も絞られる断面上のパイプの壁面、または、第1の圧力測定孔より下流域の前記パイプの壁面に形成されていることを特徴とする。
また、絞り流量計において、第1、第2、第3の圧力測定孔のいずれか2つの圧力測定孔を選択して、これらの選択された圧力測定孔の間の差圧を検出することにより、広範囲の流速域においてマノメータに適した差圧を得ることができることを特徴とする。
本発明の上記のような絞り流量計において、各圧力測定孔により検出される圧力と、差圧と流速との関係を説明する。
本発明の絞り流量計における差圧検出器は、シリンダにその中心軸と直交するようにパイプが貫通して設置され、流路断面が一部絞らた構造を有している。この絞られた断面においては、流速が上昇するために、結果的にその断面における配管壁に設けられた第1の圧力測定孔における静圧P1は低下することになる。この絞られた断面よりもシリンダの内径の1/2以上上流のシリンダ壁に設けられた第2の圧力測定孔において検出される静圧をP2としたとき、このような圧力の低下分、即ち、差圧ΔP(=P2−P1)をマノメータで測定することによりシリダー内の流速を次の関数によって求めることができる。
V=K*(2/ρ*ΔP)0.5
ここで、K:流量係数、ρ:流体の密度、ΔP:発生差圧(静圧の低下分)。
上記関数においては、貫通して設けたパイプの径によって流路の絞り比を適宜変えることができ、オリフィスを使用した場合と同様に、流量係数Kを調整することができる。
例えば、流速が低い場合は、径の大きなパイプを貫通設置して、絞りを大きくし、発生する差圧を高めることができる。
一方、流速が高い場合は、径の小さなパイプを用いて、絞りを小さくし、発生差圧を下げることができ、また、圧力損失を抑えることも可能となる。
一般的に、このような絞り流量計を設置する配管は、スペース上の問題から複雑な3次元的施工となるため、そこを流れる流体の速度分布は未発達で不安定な流れを呈している。このような状態で、精度よく流量を測定するために、従来の差圧検出器は、その上下流域に十分な直管部を設けることを必要とした。
そこで、本発明による流量計においては、差圧検出器内部に整流機能を付加することで、速度分布の偏りを是正させ配管施工上の制約を大幅に軽減させることができるようにされている。
一般的には、マノメータの測定誤差率は、差圧が大きくなるにつれ小さくなることから、流体からの検出圧力を高めることにより差圧検出器とマノメータを含めた総合的な誤差率は少なくすることができる。
絞り機構を丸パイプや角パイプ等で形成した場合、その断面上での速度分布は、絞りを形成する部分の近傍において速くなり、シリンダ壁に近づくにつれて減速する傾向を示すことから、絞り形成部分のパイプの壁面で圧力P3(<P1)を検出することで第2の圧力測定孔における圧力P2との差圧が大きくとれる。このことから上述の総合的誤差率を低減する手段として、パイプのような絞り形成部分の壁面に圧力測定孔を設けることが適当である。
また、絞り形成部分よりも上流域に、偏平形状をなすことで整流機能を備えた多孔管を用いれば、流体の圧力P4(全圧)を検出することにより他の圧力との差圧を一層高めることができ、マノメータの誤差を考慮して流速に応じた差圧を得るように圧力測定孔を選択して採用することで、より適切な測定が可能になる。
このために、整流機能付の多孔管としては切断面が砲弾型をした偏平形状の中空体が適当であり、これにより上述の配管施工上の差圧検出器の上・下流域の直管部分を短くすることができ、このような制約が軽減できる効果も生まれる。
この多孔管からの圧力P4、多孔管及び貫通設置されるパイプの上流域のシリンダ壁に設けた圧力測定孔からの圧力P2、パイプを貫通設置した絞り形成部分の断面におけるシリンダの壁面における圧力P1、あるいは絞り形成部分のパイプの壁面に設けた圧力測定孔からの圧力P3のような圧力を適宜組合わせることで発生差圧と流速に関した次式にて表される種々関係式が得られる。
V=K1*(2/ρ*(P4−P1))0.5
V=K2*(2/ρ*(P4−P2))0.5
V=K3*(2/ρ*(P4−P3))0.5
ここにK1,K2,K3,...は、流量係数とし、検出圧力の組合わせにより決定される定数である。
上述の通り、3箇所以上の圧力測定孔からの圧力を適宜組合わせることで、マノメータは、高い精度を保つ差圧領域での測定が可能となり、結果として総合的な測定誤差率の軽減を図ることができる。
また、貫通設置されたパイプは、その内部に温度センサを設ければ、熱量計とすることも可能となり、温度センサがパイプ内部に内蔵されることにより渦振動等による温度センサの破損も回避することができる利点もある。
本発明の他の目的、特徴及び利点は添付図面に関する以下の本発明の実施の形態の記載から明らかになるであろう。
図2は、図1に示す流量計の部分破断上面図、
図3は、本発明の一実施の形態による絞り流量計に整流用プレートを備えたものの斜視図、
図4は、図3に示す絞り流量計の部分破断上面図、
図5は、同絞り流量計に他の実施例の整流プレートを備えたものの斜視図、
図6は、図5に示す絞り流量計の部分破断上面図、
図7は、本発明の他の実施の形態による絞り流量計の斜視図、
図8は、図7に示す絞り流量計の部分破断上面図、
図9は、同絞り流量計における絞り部分の速度分布を示す断面図、
図10は、本発明のさらに他の実施の形態による絞り流量計の斜視図、
図11は、図10に示す絞り流量計の部分破断断面図、
図12は、本発明のその上さらに他の実施の形態による絞り流量計の斜視図、
図13は、図12に示す絞り流量計の部分破断上面図、
図14は、本発明による絞り流量計が適用される配管システムの一例を示す概略図、および
図15は、本発明による絞り流量計において得られ差圧と流速との関係を示す線図である。
図1は、本発明の一実施の形態による絞り流量計の斜視図であり、被測定流体が内部を矢印方向に流れる所定の長さを有するシリンダ1と、このシリンダ1の中心軸に対して直交するように端部をその壁部から突出させて貫通して設置されたパイプ2とを備えて、このパイプ2により絞り機構が形成される。そして、このようなパイプ2により、最も絞られる部分を形成するシリンダ1の断面において、シリンダ1の壁部に形成された第1の圧力測定孔4を備え、そして、この第1の圧力測定孔4からシリンダ1の内径の1/2以上離れた上流のシリンダ1の壁部に形成された第2の圧力測定孔5を備えていて、これらの圧力測定孔4,5には圧力取り出しのための管継手3,3が取り付けられ、さらに、シリンダ1の両端部には、図14に示されるような配管システムへの取付けのためのフランジ6を備えている。
これらの圧力検出器のシリンダ1およびパイプ2は、鋳鉄、他の鋼材、真鍮等の金属製、あるいは樹脂製等の材質を問わないものであり、流体が接触して流れる面の状態も、通常の素材の面のままでよく、特に、精度の高い仕上面を要求するものではない。
図14に示される配管システムは、ポンプ50と貯水タンク51の取水部58と放水部59との間にバルブ55,56,57を介して配管される管路52,53,54等を有していて、直管部52,53の間に絞り流量計のシリンダ1がフランジ6によって取り付けられ、流速、流量の測定を行うことができるものである。
上記構成の絞り流量計においては、シリンダ1の壁面の第1の圧力測定孔4から静圧として、絞り部分に流れる流体の圧力P1を継手3を経由して取り出して検出することができ、そして、第2の圧力測定孔5において、流体の絞り部よりも上流域の圧力を継手3を経由し静圧として圧力P2を取り出して検出することができる。
その際の両圧力は、P1<P2の関係を有して検出される。これらの圧力P1、P2の差圧ΔP=P2−P1によって流速、流量を計算して求めることができる。
次に、図3から図6までに示す本発明の実施の形態による絞り流量計は、シリンダ1において第2の圧力測定孔5のさらに上流に、1枚の整流用プレート7を設けていて、速度分布の偏りを無くすようにしている。それぞれの測定孔4、5における検出圧力が流体の流れの乱れによる影響を無くすように、シリンダ1内を整流するようにしたものである。これにより、図14に示すような配管システムにおいても流量計の上流・下流の配管に速度分布の偏りを無くすための直管部52,53の長さを短くすることができる。
図3および図4に示す整流用プレート7は、貫通設置されたパイプ2に対して平行になるように配置されている。図5および図6に示された絞り流量計においては、2枚のプレートを交差した整流プレート7’がシリンダ1内に設けられたものであり、図3および図4に示されたものと同様に速度分布の偏りを無くすようにしたものである。なお、この整流プレートはメッシュ構造やハニカム構造のものであっても良い。
次に、本発明の他の実施の形態による絞り流量計を図7から図8までを参照して説明する。上記の実施の形態による絞り流量計と相違するのは、第1の圧力測定孔をシリンダ1の壁部に設ける代わりに、シリンダ1に貫通設置されたパイプ2’の壁面に設けたものである。この場合の最も絞られた断面における流体の速度分布は、図9に示すとおりであり、シリンダ1の壁部に第1の圧力測定孔を設けた場合よりも、高い速度域での圧力を測定することができることを示している。
この速度分布を考慮して、第1の圧力測定孔がパイプ2’の壁面で、流路が最も絞られた断面に位置する検出孔8a,あるいは図8に点線で示すような最も絞られた断面よりも下流域の検出孔8b,あるいは同様に図8に点線で示すような最も下流部分の検出孔8cとして設けられたものであっても良い。さらに、これらの検出孔のうち検出孔8a,8bに対しては、図8における流れ線方向のパイプ2’の中心線に対しての対称位置に検出孔8a’、8b’を形成して、それぞれ圧力測定孔8a−8a’、あるいは圧力測定孔8b−8b’として設けてもよい。
さらに、これらの圧力測定孔8a−8a’、8b−8b’、8cは、図7に示されるように、パイプ2’の最も絞られる断面の下流域における、それぞれの検出孔8a(8a’)、8b(8b’)、8cの位置において、パイプ2’の軸線に沿ったパイプ2’の壁面位置に2箇所以上設けられてもよい。
これらの検出孔8a(8a’)、8b(8b’)、8cからの圧力は、パイプ2’の端部の継手3’から圧力P3として取り出される。この検出された圧力P3は、P3<P2の関係を有し、継手3’から検出される。これらの圧力P2,P3の差圧ΔP=P2−P3から流速、流量を計算することができる。
このような図7および図8に示された絞り流量計においては、図3から図6までに示すような整流用プレート7,7’を設けてもよく、設けることにより、流体の整流を行うことができるので、速度分布の偏りを是正することができる。
本発明のその上さらに他の実施の形態による絞り流量計を、図10から図13までに示す絞り流量計において説明する。
この実施の形態による絞り流量計が上記の図1乃至図7に示すものと相違するのは、シリンダ1の内部にパイプ2、2’と第2の圧力測定孔5との間に断面砲弾型をした扁平状の中空体10をパイプ2、2’に平行に設けていて、この中空体10が整流機能を有するものである。この中空体10には、流体の流れに対向して先端部には、シリンダ1の軸線に対して垂直な中空体10の壁面に沿って複数の圧力測定孔11が適当な間隔を置いて設けられ、第3の圧力測定孔11で検出された圧力がシリンダ1の外側に突出する上端部から圧力P4として取り出され、全圧として検出される。
この圧力P4とその上流域のシリンダ1の壁面の第2の圧力測定孔5から検出する圧力P2、または流路が最も絞られた断面上でのシリンダ1の壁面に設けた第1の圧力測定孔4からの圧力Pl(<P2)の組合わせから差圧ΔP=P4−P1(またはΔP=P4−P2)を計測して、流速、流量を計算で求めることができる。
図12および図13に示される絞り流量計は、図7および図8に示される絞り流量計に、図10および図11に示される断面砲弾型の扁平状の中空体10を設けたものである。この中空体10は、同様に整流機能を有するとともに、第3の圧力測定孔11として、圧力測定孔11が流れに対向して先端部に開孔され、シリンダ1の軸線に垂直に複数個適当な間隔を置いて中空体10に設けられている。第3の圧力測定孔11は、全圧として圧力P4を検出することができる。
この圧力P4とその上流域のシリンダ1の壁面の第2の圧力測定孔5から検出する圧力P2、またはシリンダ1に貫通設置されたパイプ2の壁面の圧力検出孔8a(8a’),8b(8b’),8cの何れかから検出された圧力P3(<P1)とを組合わせて得られる差圧を計測して、流速、流量を計算により得ることができる。
このように圧力測定孔を、第2の圧力測定孔5と、第1の圧力測定孔4、パイプ2の検出孔8a,8b,8c、あるいは扁平状の中空体10の第3の圧力測定孔11からの圧力を選択して組合わせ、差圧と流体の速度との関係を示した一例が図15に示されている。
図15に示されたカーブI、II、IIIはそれぞれ各圧力測定孔間の差圧対流速との関係を以下のように示している。カーブIは、パイプ2,2’の圧力検出孔8a(8a’),8b(8b’),8cのいずれかである第1の圧力測定孔からの静圧と、扁平状の中空体10の第3の圧力測定孔11とから取り出された全圧との差圧と、流体の流速との関係を示す。また、カーブIIは、シリンダ1の壁部の最も絞られた断面に設けた第1の圧力測定孔4からの静圧と、同じくシリンダ1の扁平状の中空体10よりも上流に設けられた第2の圧力測定孔5からの静圧との差圧に対する流体の流速の関係を示す。さらに、カーブIIIは、シリンダ1の第2の圧力測定孔5からの静圧と、扁平状の中空体10の第3の圧力測定孔11からの全圧との差圧に対する流速との関係を示す。これらの圧力測定孔において測定される圧力は、扁平状の中空体10の第3の圧力測定孔11からの圧力が全圧として測定されるので最も高く、他の圧力測定孔4,5,8a(8a’),8b(8b’),8cのそれぞれにおいて測定されるのは静圧であり、第2の圧力測定孔5、第1の圧力測定孔4、そしてパイプ2,2’における測定孔8a(8a’),8b(8b’),8cにおいて検出される静圧の順に低い静圧が検出されるので、これらの圧力測定孔を2つ選択することにより、測定される流体の流速に適した差圧を選択して取り出すことができる。この差圧を使用して、上記式を用いれば、流速、流量が計算によって得られる。
具体的には、この図15から明らかなように、マノメータ等の測定範囲と誤差を考慮し、例えば、マノメータの最大測定レンジが10Kpaである場合、カーブIは、流速が2m/s以下の流体の測定において有効であり、カーブIIは、流速が2m/s〜4m/sの流体の測定において有効であり、そして、カーブIIIは、流速が4m/s以上の流体の測定に有効である。このように、マノメータ等の測定誤差を考慮して、測定対象ととなる流速範囲で大きな差圧が得られるカーブを選択すれば、精度の高い流速の計算が可能となる。なお、図15に示されるカーブIIIは、流速が4m/sまでしか示されていないが、ほぼ同じカーブで差圧を得ることができるものである。
このような、カーブI,II,IIIに基づき、マノメータの測定誤差の影響の少ない差圧と速度の関係を考慮して、図10から図13までに示されたシリンダ1の最も絞られた断面における第1の圧力測定孔4,パイプ2に設けられ圧力測定孔8a(8a’),8b(8b’),8cのおのおの、そして、扁平状の中空体10の第3の圧力測定孔11のいずれかの2つの圧力測定孔を選択して、両測定孔からの圧力を検出して差圧を得れば、その差圧によって流体の流速、流量を計算により求めることができる。
上記のような絞り流量計に適用できる流体については、特定していないが、水のような液体、空気等のガスに適用することができることは当然であるが、砂、泥等の不純物の混入した流体においても使用することができる。
以上述べたような本発明による絞り流量計は、以下のような効果を奏するものである。
絞り流量計は、汎用の材質を問わないシリンダ、パイプを用いることにより形成することができ、精密な機械加工を必要としないので、安価な流量計として提供することができる。
このような絞り流量計においては、整流プレートをシリンダの最上流部に設けたので、速度分布の偏りをなくすことができ、シリンダの上下流域の速度分布の偏りを無くす直管部を少なくすることができ、スペースの少ない環境においても高い精度の測定を行うことができる。
また、流体が液体の場合、構造上エッジ゛部や淀みを生じる箇所が少ないことから、エロージョンによる摩耗やスラッジの堆積が少なく、長期間に亘り高い精度での測定を維持することができる。
そして、従来の技術による差圧検出器では、発生する差圧と流れる流体の流速、流量との両者の関係が唯一の自乗カーブで表わされるために、低流速域から高流速域までを単一のマノメータで計測する場合、発生する差圧の範囲が大きく、マノメータの性能として低流速域で測定誤差が大きくなるという課題に対し、本発明は、3か所以上の圧力検出部を有する構造を提供することができるので、差圧を得るための圧力測定孔の組合せが複数得られるので、マノメータを含めた総合的誤差率を低減することができ、広範囲に亘る流速、流量域で高精度の測定を行うことができる。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の精神と添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。
Claims (9)
- 内部を被測定流体が流れるシリンダ、および該シリンダにその中心軸と直交するように貫通設置された絞り機構をなすためのパイプ、を有し、該パイプが前記シリンダの内径よりも小さい直径を有することから成る絞り流量計において、流れ方向に垂直な断面が最も絞られる断面上の箇所に形成された第1の圧力測定孔、および前記最も絞られた断面からシリンダ内径の1/2以上離れた上流の前記シリンダの壁部に形成された第2の圧力測定孔を有することを特徴とする絞り流量計。
- 請求項1に記載された絞り流量計において、前記第1の圧力測定孔が前記最も絞られる断面上の前記シリンダの壁部に形成されていることを特徴とする絞り流量計。
- 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載された絞り流量計において、前記第1の圧力測定孔が、前記最も絞られる断面上の前記パイプの壁面に形成されていることを特徴とする絞り流量計。
- 請求項3に記載された絞り流量計において、第1の圧力測定孔が、前記パイプの壁面における前記最も絞られる断面から下流の壁面に形成されていることを特徴とする絞り流量計。
- 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された絞り流量計において、前記シリンダの内部に、前記第2の圧力測定孔からシリンダ内径の1/2以上離れた上流に設置された整流用プレートを設けたことを特徴とする絞り流量計。
- 内部を被測定流体が流れるシリンダ、および該シリンダの中心軸と直交するように貫通設置したパイプ、を有し、該パイプが前記シリンダの内径よりも小さな直径を有することからなる絞り流量計において、前記シリンダにおける流体の流れ方向に垂直な最も絞られた断面箇所よりも上流の位置に、砲弾型の切断面を有する扁平形状の中空体が設置され、そして、前記最も絞られる断面上の箇所に形成された第1の圧力測定孔、前記中空体の上流の前記シリンダの壁部に形成された第2の圧力測定孔、および、前記中空体にその向流方向に開孔して設けられた第3の圧力測定孔を有することを特徴とする絞り流量計。
- 請求項6に記載された絞り流量計において、前記第1の圧力測定孔が前記最も絞られた断面上の前記シリンダの壁部に形成されていることを特徴とする絞り流量計。
- 請求項6に記載された絞り流量計において、前記第1の圧力測定孔が前記最も絞られる断面上の前記パイプの壁面、または、前記第1の圧力測定孔より下流域の前記パイプの壁面に形成されていることを特徴とする絞り流量計。
- 請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載された絞り流量計において、前記第1、第2、第3の圧力測定孔のいずれか2つの圧力測定孔を選択して、該選択された圧力測定孔の間の差圧を検出することにより、広範囲の流速域においてマノメータに適した差圧を得ることができることを特徴とする絞り流量計。
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