以下に、本発明をいわゆる第1種パチンコ遊技機に適用した実施形態例を説明する。
図1は、遊技島設備(図示省略)に固定される長方形状の外枠2と、この外枠2の前面開口部分を覆う遊技機本体3とからなるパチンコ遊技機1を示すものである。
遊技機本体3は、ほぼ正方形状の開口部が中央上部に形成されている板状の前面枠5を備え、この前面枠5が前記外枠2にヒンジ部材4を介して開閉可能に枢着されている。また、この遊技機本体3には、遊技盤7が前面枠5の開口部に嵌合された状態で取付けられており、さらに、前面枠5の開口部には、遊技盤7を覆う遊技扉6が、遊技盤7の前方に位置させて開閉可能に取り付けられている。また、この遊技扉6には、透明板8が装着されている。
遊技盤7の下方には、前面枠5に対して開閉可能に取付けられる上皿部材9と、この上皿部材9の下方に位置する下皿部材10とが配設されている。さらに下皿部材10の右側位置には、遊技球を打ち出すための発射ハンドル11が突設されている。そして、発射ハンドル11を遊技者が回動操作することにより、遊技機本体3に設けられた発射装置(図示省略)が駆動し、遊技球が予め定められた発射間隔で後述の遊技領域14に連続発射される。本実施形態例にあっては、1分間に100球打ち出されるように設定されている。
図2に示されるように、遊技盤7には、ほぼ円形を呈する誘導レール13が配設されている。そしてこの誘導レール13により区画され、遊技球が転動流下する遊技領域14が盤面12上に形成されている。さらに、この遊技領域14のほぼ中央にはセンターケース15が配設されている。このセンターケース15には、液晶表示器、CRT表示器等からなる図柄表示装置16が組付けられており、さらにこの図柄表示装置16には図柄表示領域17が形成されている。
この図柄表示領域17の中央位置には特別図柄A、特別図柄B、及び特別図柄Cがそれぞれ表示される特別図柄表示部a,b,cが形成される。この特別図柄A,B,Cは、それぞれ「0」〜「9」の数字からなり、これらの数字が順に上下方向へ配列されて、三列の特別図柄列が構成される。そして、遊技球が後述する特別図柄始動領域20を通過すると、これを契機として各特別図柄列が上下方向に循環変動開始し、その後確定停止表示される。そして、この停止表示された特別図柄A,B,Cの図柄態様が当り態様(A=B=C)である場合に、いわゆる「大当り」となって後述の大当り作動が実行される。
一方、図柄表示領域17内の左上位置には普通図柄表示部x,yが形成され、この普通図柄表示部x,yに、「○」又は「×」を示す普通図柄X,Yが表示される。そして、遊技球が後述する普通図柄作動ゲート22を通過すると、これを契機として普通図柄X,Yの変動表示が開始される。その後、確定停止表示されたときにX=Y=「○」となる当り図柄であると、後述の普通電動役物18が駆動開始して通過容易状態となる。なお、普通電動役物18の駆動態様の詳細は本発明の要部につき、後で詳述する。
また、図柄表示装置16の直上左位置には、4個の発光ダイオードLEDからなる普通図柄変動保留数表示部21が配設されている。この普通図柄変動保留数表示部21は、普通図柄X,Yの変動中に遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過する等して、普通図柄X,Yの図柄変動が保留された場合に、4個を限度として保留数を表示するものである。
さらに、図柄表示装置16の直上位置には、4個のパイロットランプからなる特別図柄変動保留数表示部19が配設されている。この特別図柄変動保留数表示部19は、特別図柄A,B,Cの変動中に遊技球が特別図柄始動領域20を通過し、特別図柄A,B,Cの図柄変動が保留された場合に、次に変動開始できるまで4個を限度として変動保留数を表示するものである。
一方、遊技盤面12のうち、センターケース15の両側位置には、内部を普通図柄始動領域22aとする、遊技球が通過可能な普通図柄作動ゲート22が設けられている。この普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過すると、普通図柄作動ゲート22に内蔵された普通図柄始動スイッチS2がこの遊技球通過を検知し、球検出信号(第一の球検出信号)を出力する。そして、かかる球検出信号に基づいて、前記普通図柄X,Yの変動表示が開始される。
また、遊技盤面12のうち、センターケース15の直下位置には、頂部に開閉翼片26,26を備えた普通電動役物18が配設されている。この開閉翼片26,26は、その間を遊技球が通過し得るように互いに離間してそれぞれ配設されており、この間隙が入賞口18aとなっている。そして、入賞口18aから遊技球が入ると、内部の特別図柄始動領域20を遊技球が通過することとなる。なお、開閉翼片26,26は盤面12に対して所定角度範囲で傾動可能に枢設されている。そして、普通図柄X,YがX=Y=「○」となる当り態様となると普通電動役物18が所定有効時間だけ有効となって、開閉翼片26,26が普通電動役物ソレノイド(図3参照)により傾動されて、入賞口18aの開口度を拡大し、その後元に戻るという開閉作動が実行される。ここで、普通電動役物18が駆動されて開閉翼片26,26が開放した状態(通過容易状態)は、開閉翼片26,26が閉鎖している状態(基本状態)よりも遊技球が特別図柄始動領域20を通過し易くなり、入賞回数が増えることとなる。
また、この普通電動役物18内の特別図柄始動領域20には、光電スイッチ、リミットスイッチ等の特別図柄始動スイッチS1(図3参照)が備えられ、遊技球が特別図柄始動領域20を通過すると、特別図柄始動スイッチS1がこの通過を検知し、球検出信号(第二の球検出信号)を出力する。そして、かかる球検出信号に基づいて、図柄表示領域17の特別図柄表示部a,b,cで、特別図柄A,B,Cの変動表示が開始される。
普通電動役物18の直下位置には、内部に特定領域(図示省略)と一般領域(図示省略)とを有する大入賞口23を具備する可変入賞装置25が配設されている。この可変入賞装置25は横長矩形状の開閉片24を具備し、この開閉片24が大入賞口開放ソレノイド(図3参照)により開閉制御されて、大入賞口23が開放状態又は閉鎖状態のいずれかに変換される。そして、停止表示された特別図柄A,B,Cが当り態様(A=B=C)であると、閉じた状態の開閉片24が開き、さらに、その開放状態にある開閉片24の上面が案内作用を生じ、大入賞口23へ遊技球が案内される。そして、特定領域に遊技球が流入すると、次の開閉ラウンドが実行される条件が満たされ、所定の開閉ラウンド数だけ開閉片24の開閉作動を生じて、遊技者に所定の利益が付与される。さらに、大入賞口23内部には、特定領域に入った遊技球を検知する特定領域スイッチS3と、当り中の入賞個数を計数するカウントスイッチS4とが設けられている。ここで特定領域スイッチS3にも、特定領域に入った遊技球を計数するカウントスイッチとしての機能が備えられている。なお、この可変入賞装置25により、本発明にかかる特別電動役物が構成され、可変入賞装置25の開閉作動により、本発明にかかる大当り作動が構成される。
図3は、本発明にかかるパチンコ遊技機1の遊技作動を制御する制御回路を示すものである。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機1の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられており、この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設されている。この主制御用中央制御装置CPUは、遊技に関する統括的な制御を処理実行するものであって、この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。
記憶装置ROMには、制御プログラムや、各種乱数テーブル等の固定データが格納されている。この乱数テーブルとしては、大当り特別乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル 、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、変動パターン選択乱数テーブル、当り普通乱数テーブル、及びハズレ普通図柄乱数テーブル等があり、所定の要件が充足されると主制御用中央制御装置CPUが各乱数テーブルから乱数値を取得する。
また、本発明にあっては、それぞれパターン内容が異なる普通電動役物駆動態様パターンが格納されている。この普通電動役物駆動態様パターンは、普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止したことに伴う、普通電動役物18の駆動態様を規定するものである。この普通電動役物駆動態様パターンは本発明の要部にかかるため、後で詳述する。
次に、前記した各乱数テーブルについて説明する。
大当り特別乱数テーブルは、0〜952の953コマからなる。ここで、停止表示された特別図柄A,B,Cが奇数図柄からなる当り態様(例えば、「3,3,3」、以下特定図柄という)であると、これを契機として、大当り作動後に、遊技者にとって有利な利益が付与される有利遊技状態(第二の遊技状態)となる。この有利遊技状態の一形態としては、「大当り」となる確率(以下、大当り確率という)が向上し、かつ特別図柄A,B,Cの変動時間が短縮される時間短縮機能が作動する確変遊技状態がある。この確変遊技状態では、大当り特別乱数テーブルから取得した大当り特別乱数値KがK=7,53,89,137,173,197,257,277,293,307,337,359,409,457,487,523の場合に「大当り」となる。すなわち大当り確率は16/953である。なお、取得した大当り特別乱数値Kが、前記値以外であるとハズレとなる。
また、有利遊技状態としては、確変遊技状態のほかに、時間短縮機能のみ作動する時短遊技状態がある。この時短遊技状態は、確変遊技状態の終了直後に発生し、取得した大当り特別乱数値KがK=7,277,293の場合に「大当り」となる。すなわち大当り確率は3/953(通常確率)である。さらに、確変遊技状態と時短遊技状態とからなる有利遊技状態が終了した後に発生する通常遊技状態(第一の遊技状態)にあっても、大当り確率は3/953である。
なお、通常遊技状態(第一の遊技状態)と有利遊技状態(第二の遊技状態)とでは、普通電動役物18の有効時間も異なってくる。通常遊技状態で普通図柄X,Yが当り図柄となると、基本有効時間(1.0秒)だけ普通電動役物18が有効となる。一方、有利遊技状態で普通図柄X,Yが当り図柄となると、基本有効時間より長い特別有効時間(3.0秒)だけ普通電動役物18が有効となる。なお、普通電動役物18が有効である間は、常に通過容易状態であるとは限らない。普通電動役物18の駆動態様によっては、普通電動役物18が有効となってから所定時間経過後に開閉翼片26が傾動し、通過容易状態となる場合もある。
また、大当り図柄乱数テーブルは、0〜9の10コマからなり、取得した大当り特別乱数値Kの内容が「大当り」である場合に、特別図柄A,B,Cの当り態様を決定するものである。例えば、この大当り図柄乱数テーブルから取得した大当り図柄乱数値LがL=3の場合に、停止表示される当り態様は「3,3,3」となる。
一方、ハズレ図柄乱数テーブルは、取得した当り特別乱数値Kの内容がハズレである場合に、特別図柄A,B,Cのハズレ態様を決定するものである。なお、このハズレ図柄乱数テーブルからは、ハズレ図柄乱数値Ma,Mb,Mcを取得する。
また、0〜99の100コマからなるリーチ乱数テーブルからは、リーチ乱数値Nを取得する。このリーチ乱数値Nは、大当り特別乱数値Kの内容がハズレである場合に、リーチ変動作動を実行するか否かを決定するものである。なお、大当り特別乱数値Kの内容が当りである場合は、必ずリーチ変動作動を実行する。ここで、リーチ乱数値NがN=7,17,23,37,43,53,61,71,89,91であると、リーチ変動作動が実行され、リーチ態様の特別図柄A,B,Cが表示される。なお、リーチ変動作動の作動態様は、低速スクロール、逆走行、低速走行からの加速的停止等により多様に構成されている。
また、0〜9の10コマからなるリーチ図柄乱数テーブルからは、リーチ図柄乱数値Qを取得する。このリーチ図柄乱数値Qは、リーチ変動作動を実行する際のリーチ態様を決定するものである。例えば、このリーチ図柄乱数値QがQ=3の場合には、特別図柄A,B,Cのうち、一番目と二番目に停止する二つの図柄が「3」となるリーチ態様が表示される。
また、変動パターン選択乱数テーブルは、0〜126の127コマからなり、かかるテーブルから変動パターン選択乱数値Gを取得する。この変動パターン選択乱数値Gは、特別図柄A,B,Cの図柄変動や、これ以外の演出図柄の変動パターンを決定するものであり、特別図柄A,B,Cの停止表示時間、確定表示されるまでの変動時間、演出図柄の演出時間等をそれぞれ定めている。そして、変動パターン選択乱数値Gの値に応じて、図柄表示制御基板62の記憶装置ROMに複数備えられている変動パターンテーブルの特別図柄変動パターンが振り分けられており、このパターンに従って図柄変動が表示実行される。
一方、主制御基板60の記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2のON作動に基づく始動記憶等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
ここで、始動記憶について詳述する。
原則、特別図柄A,B,Cは、遊技球が特別図柄始動領域20を通過すると変動開始し、普通図柄X,Yは、遊技球が普通図柄作動ゲート22(普通図柄始動領域22a)を通過すると変動開始する。しかし、特別図柄A,B,Cは、特別図柄A,B,Cが変動している期間等に遊技球が特別図柄始動領域20を通過しても直ぐに図柄変動は開始されない。また、普通図柄X,Yも、普通図柄X,Yが変動している期間、又は普通電動役物18の通過容易状態中に普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過しても図柄変動は開始されない。このように図柄が変動できない期間(以下、変動開始不能期間という)に特別図柄始動スイッチS1、又は普通図柄始動スイッチS2のON作動があった場合は、記憶装置RAMに当該遊技球通過の記憶が保持され、始動記憶として特別図柄A,B,Cの図柄変動、或いは普通図柄X,Yの図柄変動が保留されることとなる。そして、変動開始不能期間が解除されて(図柄変動等が終了して)、図柄変動を開始できる変動開始可能期間となると、記憶装置RAMに記憶保持された始動記憶が記憶消化されて、保留されていた図柄変動がそれぞれ変動開始される。
また、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられている。この主制御基板60の出力ポートには、図柄表示制御基板62、音源制御基板63、光源制御基板64、及び払出制御基板65の各入力ポートが接続され、主制御基板60からの制御指令が、各制御基板62,63,64,65へ一方向に出力される。一方、主制御基板60の入力ポートには、上述した特別図柄始動スイッチS1が接続されると共に、盤面中継基板61を介して、普通図柄始動スイッチS2、特定領域スイッチS3、及びカウントスイッチS4が接続されている。そして、主制御基板60が2msごとに各スイッチS1〜S4から出力される球検出信号を調べ、遊技球検出があったと判断すると、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物18の開閉翼片26を傾動する普通電動役物ソレノイドや、可変入賞装置25の開閉片24を開閉する大入賞口ソレノイド等が接続され、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62,63,64,65に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。なお、この演算ユニットの連成数によって、中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成したデータ又はコマンドを各制御基板62,63,64,65にそれぞれ出力し、各制御基板62,63,64,65の中央制御装置CPUがこのデータ等に従って所定の制御を処理実行することとなる。
上記の図柄表示制御基板62には、図柄表示装置16を駆動し、図柄表示装置16の図柄表示領域17上で表出される図柄表示態様を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、図柄表示態様を制御処理する図柄制御用中央制御装置CPUに、特別図柄変動パターン、普通図柄変動パターン等に関する固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。
ここで、図柄表示制御基板62は、主制御基板60から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを図柄制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の図柄表示態様を演出する図柄データを、出力ポートを介して表示用ドライバに出力する。そして、この表示用ドライバが、前記図柄データに従って図柄表示装置16の図柄表示領域17に所定の図柄を所定態様で表出させる。
上記の音源制御基板63には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この音源制御基板63は、上記の主制御基板60より入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを出力ポートを介してサウンドジェネレータに出力し、このサウンドジェネレータが、前記音データに従ってスピーカに効果音を出力させる。
上記の光源制御基板64には、パチンコ遊技機1に備えられた発光ダイオードLED、装飾ランプ等で構成される電飾装置、特別図柄変動保留数表示部19、普通図柄変動保留数表示部21等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、電飾装置の点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、発光ダイオードLED,装飾ランプ等を電飾するための電飾パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板64は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを出力ポートを介して、発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を発光作動するドライバを配した光源作動基板に出力し、この光源作動基板が、所定の発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を点灯、点滅させる。
ところで、上述したように、遊技球が特別図柄始動領域20を連続的に通過することにより特別図柄A,B,Cの変動中に特別図柄始動スイッチS1がON作動した場合は、この遊技球通過を変動開始不能期間の遊技球通過と認識し、当該図柄変動は変動開始可能期間となるまで保留される。すなわち、始動記憶として主制御基板60の記憶装置RAMに記憶保持される。そしてこの記憶に基づいて特別図柄変動保留数表示部19の発光ダイオードLEDが順次点灯し、その時点での図柄変動の保留数を表示する。一方、変動開始可能期間となると、記憶装置RAMの図柄変動の保留は消化され、これに対応して特別図柄変動保留数表示部19では、消化分が減算された保留数が表示される。なお、普通図柄変動保留数表示部21でも、同様な態様で普通図柄X,Yの図柄変動について変動保留数が表示される。ところで、上述したように、特別図柄変動保留数表示部19及び普通図柄変動保留数表示部21が表示可能な変動保留数は最高4個までであって、変動保留数がこの上限数に達した後の、特別図柄始動領域20、普通図柄作動ゲート22への遊技球通過はオーバーフローとなって無効球となる。
上記の払出制御基板65には、遊技球の貸球や賞球等を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動して、所定の貸球や賞球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球や貸球の球数パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、球数カウントデータ等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板65は、主制御基板60から入力されたデータ又はコマンドに従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払い出しを実行する。また、払出制御基板65は、遊技球の貸球を記憶したプリペイドカードの読み込み書き込みを行うプリペイドカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。
次に、本発明の制御処理を説明する。
図4に示されるように、パチンコ遊技機1の制御処理は、メインルーチンと複数のサブルーチンとで構成されている。
メインルーチンがスタートすると、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、電源投入時であるか否かをまず判定する。ここで、電源投入時である場合は、初期化処理を実行し、初期値乱数更新処理に移行して無限ループ処理を実行する。
一方、電源投入時でない場合は、次に出力処理、入力処理、乱数作成処理、初期値乱数更新処理、遊技枠処理、スイッチ処理、始動口処理、大入賞口処理、特別図柄処理、普通図柄処理、普通電動役物処理、データ作成処理、エラー制御処理、大当り遊技処理を実行し、次に初期値乱数更新処理に移行して無限ループ処理を実行する。なお、この一連の処理は、上述したタイマーTMによりカウントされる所定単位時間(2ms)ごとに繰り返し実行される。
次に、上述のサブルーチンのうち、始動口処理を図5に従って説明する。
遊技者が発射ハンドル11を回動操作すると、遊技球が発射装置(図示省略)により遊技領域14に打ち出される。そして、遊技球が転動流下して、その後特別図柄始動領域20を通過(入賞)すると、特別図柄始動スイッチS1がON作動する。そして、かかるON作動を契機として、以下に述べる制御処理を実行する。
まず、特別図柄始動スイッチS1がON作動したか否かを判定し(ステップS10)、ON作動したと判定した場合は、記憶装置RAMに累積して記憶保持される特別図柄A,B,Cについての図柄変動の保留数(以下、特別図柄変動保留数Uという)がU≧4であるか否かを判定する(ステップS11)。そして、特別図柄変動保留数UがU≧4である場合は、始動口処理を終了する。
一方、特別図柄変動保留数UがU<4であると、特別図柄変動保留数Uを1個加算し、加算したものを新たに特別図柄変動保留数Uとする処理を実行する(U←U+1)(ステップS12)。そして、記憶装置ROMに格納されている大当り特別乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、変動パターン選択乱数テーブルから、大当り特別乱数値K、大当り図柄乱数値L、ハズレ図柄乱数値Ma,Mb,Mc、リーチ乱数値N、リーチ図柄乱数値Q、及び変動パターン選択乱数値Gをそれぞれ取得し、取得した各乱数値を一旦、記憶装置RAMに格納する(ステップS13〜S18)。そして、始動口処理を終了する。
次に、特別図柄処理を図6に従って説明する。
まず、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、特別図柄A,B,Cが変動中であるか判定する(ステップS20)。
ここで、特別図柄A,B,Cが変動中でない場合は、記憶装置RAMに特別図柄A,B,Cの図柄変動が保留されているか否かを判定し(ステップS24)、保留されていない場合は(U=0)、そのまま特別図柄処理を終了する。一方、図柄変動が保留されている場合は(特別図柄変動保留数U≧1)は、特別図柄変動保留数Uを1減算する(U←U−1)(ステップS25)。
そして、ステップS25の処理後、現在、確変遊技状態であるか否かを判定する(ステップS26)。ここで、確変遊技状態である場合は、取得した大当り特別乱数値Kを判定するための高確率用判定データをセットする(ステップS27)。この高確率用判定データは、取得した大当り特別乱数値KがK=7,53,89,137,173,197,257,277,293,307,337,359,409,457,487,523のいずれかの場合に値が一致し、一致した場合に当り態様が停止表示されて大当り作動が実行される。一方、確変遊技状態でない(すなわち、時短遊技状態、或いは通常遊技状態である)と判定した場合は、低確率用判定データをセットする(ステップS28)。この低確率用判定データは、取得した大当り特別乱数値KがK=7,277,293の場合に値が一致する。
次に、取得した大当り特別乱数値Kが、セットした判定データと同一であるか否かを判定する(ステップS29)。ここで、大当り特別乱数値Kが判定データと同一であると、「大当り」となり、大当りフラグをONとする(ステップS30)。
さらに、取得した大当り図柄乱数値Lに従って、特別図柄A,B,Cの図柄態様を設定する(ステップS31)。
一方、大当り特別乱数値Kの内容が「大当り」でない場合は、取得したリーチ乱数値Nを判定し、リーチ変動作動を実行するか否かを決める(ステップS32)。ここで、リーチ乱数値NがN=7,17,23,37,43,53,61,71,89,91であると、リーチ変動作動を実行する。それ以外であると、リーチ変動作動を実行しない。
判定の結果、リーチ変動作動を実行する場合は、リーチ図柄乱数値Qに従ってハズレリーチ図柄を設定する(ステップS33)。一方、リーチ変動作動を実行しない場合は、ハズレ図柄乱数値Ma,Mb,Mcに従ってハズレ図柄を設定する(ステップS34)。
大当り図柄、ハズレリーチ図柄、又はハズレ図柄を設定すると、変動パターン選択乱数値Gに従って変動パターンを設定し(ステップS35)、変動時間をセットした後(ステップS36)、変動開始コマンドを出力(ステップS37)する。
ステップS20で特別図柄A,B,Cが変動中であると判定した場合、又はステップS37を実行した場合は、次にステップS21に移行する。ステップS21では、所定の変動時間が経過したか否かを判定し(ステップS21)、経過していなければ特別図柄処理を終了し、経過していれば変動停止コマンドを出力する(ステップS22)。そして、ステップS23に移行する。なお、ステップS23の処理は、本発明の要部であるため、後述する。
次に、普通図柄処理を図7に従って説明する。
主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過したことを認識すると(ステップS100)、普通図柄X,Yの保留数(以下、普通図柄変動保留数FUという)がFU<4であるか否かを判定する(ステップS101)。
そして、FU<4である場合は、普通図柄変動保留数FUを1加算し(FU←FU+1)(ステップS102)、当り普通乱数テーブルから当り普通乱数値Vを取得し、格納する(ステップS103)。一方、ステップS101において、FU≧4である場合は、ステップS102,S103の処理を行わず、ステップS104に移行する。
ステップS104では、普通電動役物18が有効か否かを判定する。そして、有効である場合は、そのまま普通図柄処理を終了する。ここで、普通電動役物18は、当りの普通図柄X,Yが1.0秒間停止表示された直後から所定時間だけ有効となり、通過容易状態のほか、開閉翼片26,26が閉鎖して基本状態の場合もある。
これに対し、普通電動役物18が有効でない場合は、次に普通図柄X,Yが変動中であるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、普通図柄X,Yが変動中でない場合は、普通図柄X,Yが停止図柄表示時間中か否かを判定し(ステップS106)、停止図柄表示時間中でない場合は普通図柄変動保留数FUがFU=0であるか否かを判定する(ステップS107)。
そして、普通図柄変動保留数FUがFU=0である場合は、普通図柄処理を終了する。一方、FU≠0である場合は、普通図柄変動保留数FUを1減算し(ステップS108)、取得した当り普通乱数値Vについて当り判定を行う(ステップS109)。
次に、普通図柄変動時間短縮機能が作動中か否かを判定する(ステップS110)。作動中である場合は、普通図柄変動時間を6秒、停止表示時間を1秒に設定し(ステップS112)、普通図柄X,Yを変動開始する(ステップS113)。一方、作動中でない場合は、普通図柄変動時間を29秒、停止表示時間を1秒に設定し(ステップS111)、普通図柄X,Yを変動開始する(ステップS113)。なお、この普通図柄変動時間短縮機能は、大入賞口処理(図4参照)において、条件装置の作動が、特定図柄に起因するものである場合に、普通図柄X,Yの変動時間を短縮するものである。なお、大入賞口処理における条件装置の作動等の処理は、従来技術であるため、詳細な説明は省略する。
なお、上述のステップS105で、普通図柄X,Yが変動中であると判定した場合は、ステップS106〜S113の処理を行わず、ステップS114の処理を実行する。
ステップS114では、普通図柄X,Yの所定変動時間が経過したか否かを判定する。そして、経過していない場合は、普通図柄処理を終了する。これに対し、所定変動時間が経過している場合は、変動中の普通図柄X,Yを変動停止し(ステップS115)、普通図柄処理を終了する。
なお、上述のステップS106にあって、停止図柄表示時間中である場合についての制御処理(図8参照)は、本発明の要部につき、後で詳述する。
ところで、普通図柄X,Yが変動を停止したときに表示する図柄態様は、0〜4までの5コマからなる当り普通乱数テーブルから取得する当り普通乱数値Vにより決定される。ここでは、当り普通乱数値VがV=0,1,2,3であれば当りとなる。一方、当り普通乱数値VがV=4でハズレである場合は、当り普通乱数値Vと同時期に、ハズレ普通図柄乱数テーブルから取得したハズレ普通図柄乱数値Wに従って普通図柄X,Yをハズレ態様で確定表示する。このハズレ普通図柄乱数テーブルは、0〜2の3コマからなり、ハズレ普通図柄乱数値WがW=「0」であるとX=「○」,Y=「×」で確定表示し、W=「1」であるとX=「×」,Y=「○」で確定表示し、W=「2」であるとX=「×」,Y=「×」で確定表示する。
なお、主制御用中央制御装置CPUが、特別図柄処理のなかで、特別図柄A,B,Cを変動開始する変動開始コマンドを図柄表示制御基板62に出力すると、図柄表示制御基板62は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて図柄制御用中央制御装置CPUにて演算処理を行う。そして、その結果に従って表示用ドライバを介して図柄表示装置16の図柄表示領域17で特別図柄A,B,Cの変動表示を開始して、取得した乱数値に従って特別図柄A,B,Cを確定表示する。
また主制御用中央制御装置CPUは、特別図柄始動スイッチS1のON作動に基づき、演算処理して賞球指令コマンドを払出制御基板65に出力すると共に、賞球作動に連動する賞球音の発生指令コマンドを音源制御基板63に、賞球ランプ等の発生指令コマンドを光源制御基板64にそれぞれ出力する。
賞球指令コマンドが入力された払出制御基板65は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて払出制御用中央制御装置CPUにて演算処理を行い、その結果に従って賞球ユニットのソレノイドを作動させて所定数量の賞球を払い出す。
これと同期して、賞球音の発生指令コマンドが入力された音源制御基板63は、記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて音源制御用中央制御装置CPUにて演算処理を行い、その結果に従ってスピーカより所定の賞球音を上記賞球の払出時に合わせて出力する。
同時に光源制御基板64でも、入力された賞球ランプの発生指令コマンドに従って光源制御用中央制御装置CPUが記憶装置ROMや記憶装置RAMの記憶データを用いて演算処理を行い、その結果に従って所定の発光ダイオードLEDや装飾ランプ等を点灯、点滅させる。
次に、特別図柄A,B,Cを当り態様で確定表示した場合に実行する大当り作動について説明する。
特別図柄A,B,Cを当り態様で確定表示すると、主制御基板60は、以下の賞球形態を発生させる大当り作動を実行する。すなわち、盤面中継基板61を介して大入賞口ソレノイドを駆動して、大入賞口23を開放する。そして、大入賞口23を遊技球が通過し、この大入賞口23内の特定領域スイッチS3やカウントスイッチS4がON作動すると、その信号を盤面中継基板61を介して主制御基板60が確認し、必要に応じて、図柄表示制御基板62や払出制御基板65に制御指令コマンドを出力する。そして、サウンドジェネレータがファンファーレを発すると共に、大入賞口ソレノイドを駆動し、開閉片24を前方に傾動して大入賞口23を開放する開閉ラウンドを実行する。さらに、大入賞口23に形成された特定領域を遊技球が通過し、特定領域スイッチS3がON作動した時は、次の開閉ラウンドへの移行条件が充足され、一旦開閉片24を閉鎖駆動して、第一開閉ラウンドを終了する。そして、その動作終了後に再び大入賞口23を開放して、次の第二開閉ラウンドへ移行する。一方、所定制限時間(30秒)が経過するか、この所定制限時間内で、特定領域スイッチS3とカウントスイッチS4による遊技球の入賞検知が10個となると、大入賞口23を閉鎖する。このような開閉ラウンドを最大15回繰り返す賞球形態を発生させて、遊技者に利益を供与する。そして、この一連の可変入賞装置25の開閉作動が終了すると、大当り作動が終了する。
次に、本発明の要部について説明する。
<第一実施形態例>
まず、普通電動役物18の駆動態様について説明する。
普通電動役物18の駆動態様は、主制御基板60の記憶装置ROMに格納された、普通電動役物駆動態様パターンにより規定されている。本実施形態例にあっては、図10に示される、A−1からB−5の10個の普通電動役物駆動態様パターンが格納されている。
まず、通常遊技状態における普通電動役物18の駆動態様について説明する。
通常遊技状態における普通電動役物18の駆動態様は、普通電動役物駆動態様パターン(以下、パターン)A−1からパターンA−5により規定される。通常遊技状態にあっては、普通電動役物18は、普通図柄X,Yが当り態様で所定時間停止表示された後1.0秒間(基本有効時間)有効となる。そして、この有効時間のなかで、所定時間だけ通過容易状態となる。
図10に示されるように、パターンA−1によれば、普通電動役物18は、有効となると、まず0.2秒間通過容易状態となる。具体的には、0.2秒間開閉翼片26,26を開放する。その後、0.6秒間基本状態となる。具体的には、0.6秒間開閉翼片26,26を閉鎖する。そして、再度0.2秒間通過容易状態となる。具体的には、再度開閉翼片26,26を0.2秒間開放する。そして、この2回目の通過容易状態終了と共に、普通電動役物18の有効時間(1.0秒)が満了となる。なお、パターンA−2からパターンA−5の内容は、図10に示す通りである。
ここで、パターンA−1からパターンA−5について詳述すると、普通電動役物18の基本有効時間は、全て1.0秒に等しく設定されている。ただし、パターンA−1からパターンA−4については、通過容易状態回数Pが2回(P=2)と設定され、通過容易状態が最初の通過容易状態と最後の通過容易状態とに分別される。これに対し、パターンA−5のみ通過容易状態回数Pが1回(P=1)と設定され、通過容易状態は1回だけ発生する。このように、各パターンA−1〜パターンA−5について、最初の通過容易状態の状態時間T01、最後の通過容易状態の状態時間T02、両通過容易状態の間の基本状態時間T2がそれぞれ規定されている。なお、パターンA−5はP=1であるため、最後の通過容易状態時間T02、基本状態時間T2はそれぞれT02,T2=0と設定されている。また、普通電動役物18が有効となってから、最初の通過容易状態となるまでの時間である通過容易状態待機時間T1は、全てのパターンA−1〜A−5が0秒である。すなわち、普通電動役物18が有効となるのと同時に通過容易状態が発生する。
さらに、各パターンA−1〜A−5の通過容易状態の総状態時間(=T01+T02)は、
A−5(1.0秒)>A−4(0.8秒)>A−3(0.6秒)>A−2(0.5秒)>A−1(0.4秒)
となっている。換言すれば、各パターンA−1〜A−5が規定する通過容易状態の総状態時間が、それぞれ異なっていると共に、総状態時間を規準として入賞難易度が序列化されている。ここで、パターンA−1は総状態時間が最も短いため、有効時間中に遊技球が特別図柄始動領域20を通過するのは難しく、最も入賞の難易度が高い(難しい)設定となっている。これに対し、パターンA−5は総状態時間が最も長いため、最も入賞の難易度が低い(容易)設定となっている。
一方、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、特別図柄処理のなかで、通常遊技状態にあっては、当り図柄となった普通図柄X,Yの変動期間(以下、変動回数カウント期間という)中の特別図柄A,B,Cの変動回数Zを計数する。ここで、この変動回数Zは、消化される特別図柄変動保留数Uの多少を推定するのに用いられる。例えば、変動回数カウント期間中の変動回数Zが少ないと、それだけ、消化される特別図柄変動保留数Uは少ないと推定でき、変動回数Zが計数されたときの遊技状態はオーバーフローし易い遊技状態であるといえる。
そしてさらに、主制御用中央制御装置CPUが計数する各変動回数Zには、変動回数Zが少ないほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難くなるように、前記普通電動役物駆動態様パターンA−1〜A−5がそれぞれ割り当てられている。具体的には、以下のように割り当てられている。
変動回数Z=0には、パターンA−1が割り当てられている。さらに、変動回数Z=1にはパターンA−2が、Z=2にはA−3が、Z=3にはA−4が、Z≧4の場合はA−5がそれぞれ割り当てられている。
かかる構成にあって、通常遊技状態で普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止した場合に、主制御用中央制御装置CPUは、当該変動回数カウント期間中の変動回数Zを計数し、パターンA−1〜A−5のうち、計数した変動回数Zに割り当てられたパターンA−1〜A−5を選定する。そして、この選定したパターンA−1〜A−5に従って、普通電動役物18を駆動させることとなる。
ここで、例えば、特別図柄変動保留数Uが上限(4個)に達しているときに普通図柄X,Yが当り図柄となり、なおかつそのときの変動回数ZがZ=0である場合は、変動回数Zが少なく、消化された変動保留数Uが少ないため、オーバーフローし易い遊技状態であるといえる。このような状況で、Z=0に対応するパターンA−1に従って普通電動役物18を駆動させると、かかる通過容易状態は、状態時間が短くて入賞口18aに遊技球が入賞し難くい態様であるため、保留数Uが増え難くなる。したがって、オーバーフローし易い遊技状態で通過容易状態となっても、遊技者に不利益となり難い。
一方、特別図柄変動保留数Uが上限(4個)に達しているときに普通図柄X,Yが当り図柄となり、なおかつそのときの変動回数ZがZ=4である場合は、その変動回数Zにより数個の変動保留数Uが消化されていると推定される。本実施形態例は、変動回数Zが多いほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し易くなる構成ともいえるため、Z=4に対応するパターンA−4に従って普通電動役物18を駆動させることにより、通過容易状態時間が長いため普通電動役物18の入賞回数が増え、効果的に特別図柄始動領域20への遊技球通過(いわゆる入賞)を増やすことが可能となる。
これまでに述べた実施形態例は、通常遊技状態で普通電動役物18を駆動させる場合についてである。次に、有利遊技状態(確変遊技状態、及び時短遊技状態)で普通電動役物18を駆動させる場合について説明する。この有利遊技状態は、普通電動役物18への入賞が増えるため、特にオーバーフローし易い遊技状態となる。なお、通常遊技状態の場合と共通する部分については説明を省略する。
図10に示される、パターンB−1からパターンB−5は、有利遊技状態における普通電動役物18の駆動態様を規定するものである。有利遊技状態にあっては、普通電動役物18は3.0秒間(特別有効時間)だけ有効となる。そして、この特別有効時間のなかで、所定時間だけ通過容易状態となる。
例えば、パターンB−1によれば、普通電動役物18は、有効となると、まず0.5秒間通過容易状態となり、2.0秒間基本状態となった後、再度0.5秒間通過容易状態となる。また、パターンB−2からパターンB−5の内容は、図10に示す通りである。
ここで、パターンB−1からパターンB−5について、さらに詳述すると、全てのパターンB−1〜B−5について、普通電動役物18の特別有効時間は3.0秒と等しい。ただし、パターンB−1〜B−4については、通過容易状態回数PがP=2であり、パターンB−5のみP=1となっている。また、全てのパターンB−1〜B−5で通過容易状態待機時間T1=0となっている。
また、通過容易状態の総状態時間(T01+T02)は、
B−5(3.0秒)>B−4(2.8秒)>B−3(2.4秒)>B−2(1.6秒)>B−1(1.0秒)
となっている。換言すれば、パターンB−1ほど、特別有効時間中に遊技球が特別図柄始動領域20を通過し難い設定となっており、これに対しパターンB−5ほど、通過し易い設定となっている。
また、これらパターンB−1〜B−5と通常遊技状態の下で選定される前記パターンA−1〜A−5とを比較すると、通過容易状態の状態時間が、パターンB−1〜B−5の方が全体的に長く設定され、パターンA−1〜A−5との比較においては、より特別図柄始動領域20を遊技球が通過し易い構成としている。
ところで、有利遊技状態にあっては、変動回数カウント期間が、前回の当り普通図柄X,Y当り確定に基づく普通電動役物18の最後の通過容易状態終了時から当該普通図柄X,Yの確定停止時までの期間としている。換言すれば、変動回数カウント期間を、前回の普通電動役物18の最終通過容易状態終了時から計測開始することとしている。
そして、通常遊技状態の場合と同様に、各変動回数Zには、変動回数Zが少ないほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難くなるように、パターンB−1〜B−5がそれぞれ割り当てられている。具体的には、Z=0にパターンB−1が、Z=1にパターンB−2が、Z=2にパターンB−3が、Z=3にパターンB−4が、Z≧4にパターンB−5が、それぞれ割り当てられている。
そして、有利遊技状態で、普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止すると、前回の普通電動役物18の通過容易状態終了時から当該普通図柄X,Yの確定停止時までの期間を有利遊技状態の場合の変動回数カウント期間として変動回数Zを計数し、計数した変動回数Zに割り当てられた普通電動役物駆動態様パターンB−1〜B−5を選定する。そして、この選定した一のパターンB−1〜B−5に従って、普通電動役物18を駆動させることとなる。
有利遊技状態は、上述のように、特にオーバーフローとなり易い遊技状態であるから、オーバーフローし易い遊技状態で入賞し難い態様で通過容易状態とする構成とすることにより、効果的にオーバーフローを回避することが可能となる。
次に、上述した本発明の要部にかかる、制御処理を説明する。
図6に示す特別図柄処理において、本発明にかかる特徴部分は、ステップS23である。すなわち、ステップS22で変動停止コマンドが出力されると、次に、特別図柄A,B,Cの変動回数Zに1だけ加算する処理を実行する。かかる処理が特別図柄処理が実行される度に繰り返し処理されることにより、変動回数カウント期間中に変動した特別図柄A,B,Cの変動回数Zが計数されることとなる。なお、このステップS23を実行する制御内容を具備する主制御基板60により、本発明にかかる変動回数カウント手段が構成される。
また、図8に示す普通図柄処理において、本発明にかかる特徴部分は、ステップS118からステップS136までである。以下、順に説明する。
ステップS116で停止図柄表示時間が経過したか否か判定し、経過していない場合は普通図柄処理を終了し、経過している場合はステップS117に移行する。
ステップS117で普通図柄X,Yの組合せが普通電動役物18を駆動させるものであると判定された場合は、ステップS118で普通電動役物開放延長機能が作動しているか否か判定する(ステップS118)。この普通電動役物開放延長機能は、大入賞口処理(図4参照)において、条件装置の作動が特定図柄による作動である場合に、作動開始されるものであって、遊技状態が有利遊技状態である場合に作動するものである。かかる処理内容は、公知技術であるため、説明を省略する。
ステップS118で普通電動役物開放延長機能が作動中でないと判定した場合は、ステップS128に移行する。
ステップS128では、特別図柄処理で計数された、変動回数カウント期間中における変動回数ZがZ=0であるか否か判定する。そして、Z=0である場合は、変動回数Z=0に割り当てられたパターンA−1を選定する(ステップS129)。
一方、ステップS128において、Z≠0である場合は、次にZ=1であるか否かを判定し(ステップS130)、Z=1であれば、Z=1に割り当てられたパターンA−2を選定する(ステップS131)。
そして、以下同様の処理が実行され、Z≠1であって、Z=2である場合は(ステップS132)、パターンA−3を選定し(ステップS133)、Z≠2であって、Z=3である場合は(ステップS134)、パターンA−4を選定する(ステップS135)。そして、Z≠3である場合は、Z≧4であるからパターンA−5を選定する(ステップS136)。
ここで、パターンA−1は、図10に示されるように、T01=100,T02=100,P=2,T1=0,T2=300に予め設定されている。また、パターンA−2は、T01=125,T02=125,P=2,T1=0,T2=250に、パターンA−3は、T01=150,T02=150,P=2,T1=0,T2=200に、パターンA−4は、T01=200,T02=200,P=2,T1=0,T2=100に、パターンA−5は、T01=500,T02=0,P=1,T1=0,T2=0に設定されている。かかる設定とし、かつ後述の制御処理を実行することにより、所望の態様で普通電動役物18を駆動させることが可能となる。
なお、有利遊技状態における制御処理は、図8に示す普通図柄処理のステップS118からステップS127までであって、通常遊技状態の場合と同様な処理内容である。また、図10に示す通り、各パターンB−1〜B−5ごとにT01,T02,P,T1,T2が設定されている。
そして、上述までの制御処理によりパターンA−1〜B−5を選定すると、変動回数Zをリセットし(ステップS137)、選定したパターンA−1〜B−5に従って、普通電動役物18を駆動させることとなる(ステップS138)。
また、ステップS117において、普通図柄X,Yの組合せが普通電動役物18を駆動させるものでないと判定された場合は、次に、現在有利遊技状態であるか否かを判定する(ステップS165)。ここで、有利遊技状態であれば、そのまま普通図柄処理を終了する。一方、有利遊技状態でなければ、変動回数Zをリセットした(ステップS166)後、普通図柄処理を終了する。
なお、ステップS119からステップS127まで、及びステップS128からステップS136までの処理を実行する制御内容を具備する主制御基板60により、本発明にかかる普通電動役物駆動態様パターン選定手段が構成される。
さらに、普通電動役物処理を図9に従って説明する。
まず、主制御用中央制御装置CPUは、普通電動役物18が有効であるか否かを判定する(ステップS400)。有効でない場合は、普通電動役物処理を終了する。
一方、普通電動役物18が有効である場合は、次に、通過容易状態待機フラグがONであるか否かを判定する(ステップS401)。ONである場合は、後述のステップS407に移行する。これに対し、ONでない場合は、普通電動役物開放フラグ1がONであるか否か判定する(ステップS402)。ここで、通過容易状態待機フラグは、普通電動役物18が有効となって、所定の通過容易状態待機時間T1が経過するまでONとなる。また、普通電動役物開放フラグ1は、最初の通過容易状態の状態時間T01が経過するまでONとなる。
ステップS402において、普通電動役物開放フラグ1がONである場合は、後述のステップS413に移行する。普通電動役物開放フラグ1がONでない場合は、普通電動役物開放フラグ2がONであるか否かを判定する(ステップS403)。ここで、普通電動役物開放フラグ2は、最後の通過容易状態の状態時間T02が経過するまでONとなる。
ステップS403において、普通電動役物開放フラグ2がONである場合は、後述のステップS426に移行する。これに対し、普通電動役物開放フラグ2がONでない場合は、普通電動役物閉鎖フラグがONであるか否かを判定する(ステップS404)。ここで、普通電動役物閉鎖フラグは、開閉翼片26,26を閉鎖する場合にONとなる。
ステップS404において、普通電動役物閉鎖フラグがONである場合は、後述のステップS420に移行する。これに対し、普通電動役物閉鎖フラグがONでない場合は、T1=0であるか否かを判定する(ステップS405)。
ステップS405において、T1=0である場合は、直ぐにステップS410に移行する。一方、T1≠0である場合は、通過容易状態待機フラグをONとする(ステップS406)。そして、T1から1減算する(ステップS407)。
次に、再度T1=0であるか否かを判定し(ステップS408)、T1≠0である場合は、普通電動役物処理を終了する。一方、T1=0である場合は、通過容易状態待機フラグをOFFとする(ステップS409)。
次いで、予め定められたT01をT0に設定し(ステップS410)、普通電動役物開放フラグ1をONとする(ステップS411)。さらに、開閉翼片26,26を開放し(ステップS412)、設定したT0から1減算する(ステップS413)。
ステップS414では、T0=0であるか否かを判定する。T0≠0である場合は、普通電動役物処理を終了し、T0=0である場合は、開閉翼片26,26を閉鎖し(ステップS415)、普通電動役物開放フラグ1をOFFとする(ステップS416)。
その後、通過容易状態回数Pを1だけ減算し(ステップS417)、P=0であるか否かを判定する(ステップS418)。P=0である場合は、ステップS430に移行して、通過容易状態を終了し、普通電動役物処理を終了する。
これに対し、ステップS418において、P≠0である場合は、普通電動役物閉鎖フラグをONとし(ステップS419)、T2を1減算する(ステップS420)。
次に、T2=0であるか否かを判定する(ステップS421)。T2≠0である場合は、普通電動役物処理を終了し、T2=0である場合は、普通電動役物閉鎖フラグをOFF(ステップS422)とした後、T02をT0に設定し(ステップS423)、普通電動役物開放フラグ2をONとする(ステップS424)。そして、開閉翼片26,26を開放する(ステップS425)。
さらに、T0を1減算し(ステップS426)、T0=0であるか否かを判定する(ステップS427)。ここで、T0≠0である場合は、普通電動役物処理を終了し、T0=0である場合は、開閉翼片26,26を閉鎖する(ステップS428)。そして、普通電動役物開放フラグ2をOFF(ステップS429)とした後、通過容易状態を終了し(ステップS430)、普通電動役物処理を終了する。
かかる制御処理を実行することにより、選定した普通電動役物駆動態様パターンA−1〜B−5に従って普通電動役物18が所定態様で駆動されることとなる。なお、普通電動役物処理を実行する主制御基板60により、本発明にかかる普通電動役物制御手段が構成される。
なお、本実施形態例にかかるパチンコ遊技機1の設計例を示す。通常遊技状態と有利遊技状態とに分けて説明する。
(通常遊技状態の場合)
普通図柄変動時間29秒、普通図柄停止表示時間1秒、普通電動役物基本有効時間1.0秒、普通図柄当り確率4/5、普通電動役物無効時における単位時間あたりの入賞口通過数4.5(回/分)、特別図柄変動時間9秒、特別図柄停止表示時間1秒とする。
なお、1分間(60秒)に遊技球を100球発射可能に構成し、100球発射した遊技球の内の半分(50球)が普通電動役物18の入賞口18aに向かうような釘調整で設計する。
普通図柄X,Yが1回確定されるのに必要な時間は、
29+1=30(秒)
である。
1分間(60秒)に普通電動役物18が有効となる回数は、
60÷30×(4/5)≒1.8(回/分)
である。
遊技球1球発射するのにかかる時間は0.6秒(60/100=0.6(秒/個))かかり、1分間(60秒)に発射された遊技球100球の内、半分の遊技球(50球)が入賞口18aに向かうように設計されているため、発射された遊技球は1.2秒毎に入賞口18aに向かう。
発射された遊技球が、基本有効時間(1.0秒)中に入賞する個数は、
1.0÷1.2≒0.83(個)
である。
1分間(60秒)に、有効中の普通電動役物18へ入賞する個数は、
1.8×0.83≒1.5(個/分)
である。
普通電動役物18無効時における1分間(60秒)あたりの普通電動役物入賞個数は設計値より4.5(個/分)であるところ、1分間(60秒)あたりの普通電動役物入賞個数は、
1.5+4.5=6(個/分)
である。
よって、通常遊技状態では1分間に6個の遊技球が普通電動役物18に入賞する。
普通図柄X,Yが1回確定するのに必要な時間は30秒であり、普通図柄X,Yが1回確定されるまでの期間に、10秒の特別図柄変動(変動時間9秒+停止表示時間1秒)が3回(30÷10=3)実行される。
(有利遊技状態の場合)
普通図柄変動時間6秒、普通図柄停止表示時間1秒、普通電動役物特別有効時間3秒、普通図柄当り確率4/5、普通電動役物無効時における遊技球の入賞口通過数4.5(回/分)、特別図柄変動時間4秒、特別図柄停止表示時間1秒とする。
ハズレの普通図柄X,Yが確定するのに必要な時間は、「普通図柄変動時間+普通図柄停止表示時間」である。一方、当りの場合は、「普通図柄変動時間+普通図柄停止表示時間+普通電動役有効時間」である。したがって、普通図柄X,Yが1回確定するのに必要な平均時間は、
(6+1)×(1/5)+(6+1+3)×(4/5)=9.4(秒/回)
である。
1分間(60秒)に普通電動役物18が有効となる回数は、
60÷9.4×(4/5)=5.1(回/分)
である。
遊技球1球発射するのにかかる時間は0.6秒(60/100=0.6(秒/個))かかり、1分間(60秒)に発射された遊技球100球の内、半分の遊技球(50球)が入賞口18aに向かうように設計されているため、発射された遊技球は1.2秒毎に入賞口18aに向かう。
普通電動役物特別有効時間は3.0秒であるところ、発射された遊技球が普通電動役物18に入賞可能な個数は、
3.0÷1.2=2.5(個/回)
である。
1分間に、有効中の普通電動役物18へ入賞する個数は、
2.5×5.1=12.8(個/分)
である。
普通電動役物無効時における1分間あたりの入賞口通過数は設計値より4.5(個/分)であるところ、1分間あたりの入賞個数は、
12.8+4.5=17.3≒18(個/分)
である。
よって、有利遊技状態は1分間に約18個の遊技球が普通電動役物18に入賞する。
普通図柄X,Yが確定されるのに必要な時間は9.4秒であるため、普通図柄X,Yが1回確定するまでの期間に、5秒の特別図柄変動(変動時間4秒+停止表示時間1秒)が約1.9回(9.4÷5=1.88≒1.9)実行される。
以上を前提として、第1実施形態例における普通電動役物駆動態様パターン各々について、入賞率を計算する。なお、ここではオーバーフローが発生し易い有利遊技状態に設定される普通電動役物駆動態様パターンB−1〜B−5の入賞率をそれぞれ計算する。
変動回数Z=0に割り当てられたパターンB−1にかかる各通過容易状態は、状態時間がそれぞれ0.5秒である。したがって、各通過容易状態の入賞率はそれぞれ、
0.5秒/1.2秒≒0.42
である。つまり、遊技球入賞が1個未満となるような入賞率に設定されている。
変動回数Z=1に割り当てられたパターンB−2にかかる各通過容易状態は、状態時間がそれぞれ0.8秒である。したがって、各通過容易状態の入賞率はそれぞれ、
0.8秒/1.2秒≒0.67
である。つまり、入賞率は、パターンB−1よりも高いものの、遊技球入賞が1個未満となるように設定されている。
以下同様に計算すると、変動回数Z=2に割り当てられたパターンB−3にかかる各通過容易状態の入賞率はそれぞれ、
1.2秒/1.2秒≒1.0
である。つまり、パターンB−3に従って普通電動役物18が駆動されると、普通電動役物18有効中に2個入賞することとなる。ここで、変動回数Z=2の場合は、特別図柄変動保留数Uが2個消化されていると推定できるため、オーバーフローすることなく図柄変動が保留されることとなる。
変動回数Z=3に割り当てられたパターンB−4にかかる各通過容易状態の入賞率はそれぞれ、
1.4秒/1.2秒≒1.17
である。つまり、パターンB−4に従って普通電動役物18が駆動されると、普通電動役物18有効中に少なくとも2個入賞することとなる。ここで、変動回数Z=3の場合は、特別図柄変動保留数Uが3個消化されていると推定できるため、オーバーフローすることなく図柄変動が保留されることとなる。
変動回数Z≧4に割り当てられたパターンB−5にかかる通過容易状態の入賞率は、
3.0秒/1.2秒≒2.5
である。つまり、パターンB−5に従って普通電動役物18が駆動されると、普通電動役物18有効中に少なくとも2個入賞することとなる。ここで、変動回数Z≧4の場合は、特別図柄変動保留数Uが4個以上消化されていると推定できるため、仮に遊技球が普通電動役物18に2個或いは3個入賞しても、オーバーフローすることなく図柄変動が保留されることとなる。
ここで、通常遊技状態にあっては、普通電動役物18への入賞は頻繁には発生しないことが一般的である。このため、普通図柄X,Yの変動期間(変動回数カウント期間)中における特別図柄A,B,Cの変動回数は少ないのが普通である。したがって、普通電動役物18が有効となった際は、入賞し難い普通電動役物駆動態様パターン(通過容易状態の状態時間が短いパターン)が設定される可能性が高い。
例外的に、通常遊技状態であっても、普通電動役物18によく入賞する遊技機では、普通図柄X,Yの変動期間(変動回数カウント期間)中における特別図柄A,B,Cの変動回数が多い。したがって、普通電動役物18が有効となった際は、入賞し易い普通電動役物駆動態様パターン(通過容易状態の状態時間が長いパターン)が設定される可能性が高い。かかる点を考慮すると、本発明は、いわゆる「良く回る台」は、より一層遊技者に有利となり、「良く回らない台」は、一層遊技者にとって不利なものとなる。
<第二実施形態例>
本実施形態例にあっては、図11に示される10個のパターンC−1〜パターンD−5が記憶装置ROMに格納されている。そして、変動回数カウント期間中における変動回数Zに各パターンC−1〜パターンD−5が後述する関係でそれぞれ割り当てられている。なお、通常遊技状態で普通図柄X,Yが当りとなると、パターンC−1〜C−5が選定される。一方、有利遊技状態で普通図柄X,Yが当りとなると、パターンD−1〜D−5が選定される。
まず、通常遊技状態における構成から説明する。
変動回数Z=0には、パターンC−1が割り当てられている。このパターンC−1によれば、通過容易状態は、普通電動役物18が有効となってから10秒間待機した後、1秒間発生する。具体的には、1.0秒間普通図柄X,Yが確定停止した後、さらに10秒後に開閉翼片26,26が1秒間開放する。また、変動回数Z=1には、5秒間待機した後、1秒間通過容易状態が発生するパターンC−2が割り当てられている。以下同様に、Z=2には、3秒間待機した後、1秒間発生するパターンC−3が、Z=3には、1秒間待機した後、1秒間発生するパターンC−4が、Z≧4には、普通電動役物18が有効となると同時に通過容易状態を1秒間発生するパターンC−5がそれぞれ割り当てられている。
換言すれば、パターンC−1〜C−5について、T01=500、T02=0、P=1、T2=0と予め設定している。また、パターンC−1についてはT1=5000、パターンC−2はT1=2500、パターンC−3はT1=1500、パターンC−4はT1=500、パターンC−5はT1=0と予め設定している。したがって、各パターンC−1〜C−5が規定する通過容易状態待機時間が、それぞれ異なっている
ここで、通過容易状態待機時間中は、普通電動役物18は通過容易状態とならないため、普通図柄X,Yが当りとなっても、入賞し難くい。
したがって、パターンC−1〜C−5は、通過容易状態待機時間T1を規準として、
C−5(10秒)>C−4(5秒)>C−3(3秒)>C−2(1秒)>C−1(0秒)
となっており、T1を規準として入賞難易度が序列化されている。なお、パターンC−1は通過容易状態待機時間が最も長いため、基本有効時間中に遊技球が特別図柄始動領域20を最も通過し難い設定となっている。これに対しパターンC−5は待機時間が最も短いため、最も通過し易い設定となっている。
すなわち、第一実施形態例と同様に、各変動回数Zに、変動回数Zが少ないほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難くなるように、パターンC−1〜C−5がそれぞれ割り当てられている。
このように、オーバーフローし易い遊技状態になるほど、通過容易状態待機時間を延長し、通過容易状態とする普通電動役物18の駆動開始タイミングが一層遅くなる態様で普通電動役物18を駆動させることにより、待機時間中に、保留中の特別図柄変動保留数Uを減少させることができると共に、普通電動役物18への入賞も減らすことができるため、オーバーフローし難くすることができる。
なお、有利遊技状態で普通図柄X,Yが当りとなると、有利遊技状態にかかる変動回数カウント期間に計数された変動回数Zに応じて、パターンD−1〜D−5が選定し、選定したパターンD−1〜D−5に従って普通電動役物18を駆動させることとなる。各パターンD−1〜D−5の内容は、図11に示す通りである。
ここで、パターンC−1〜C−5とパターンD−1〜D−5とを比較すると、パターンD−1〜D−5の方が、パターンC−1〜C−5に比べて通過容易状態待機時間が全体的に長く設定されている。上述のように有利遊技状態は、オーバーフローし易い遊技状態であるため、有利遊技状態で選定されるパターンD−1〜D−5の方が、入賞し難い構成となっている。
ここで、第2実施形態における通過容易状態待機時間中に確定する特別図柄A,B,Cの変動回数Zを求める。なお、ここではオーバーフローとなり易い有利遊技状態における変動回数Zを算出する。
変動回数Z=0に割り当てられたパターンD−1の通過容易状態待機時間T1はT1=20秒である。一方、特別図柄A,B,Cの変動開始から確定停止までの時間は、「特別図柄変動時間4秒+特別図柄停止表示時間1秒=5秒」なので、通過容易状態待機時間中に確定される変動回数Zは4回である。
通過容易状態待機時間中に特別図柄A,B,Cの変動が4回行われれば、例えば、特別図柄変動保留数Uが上限に達している場合であっても、かかる通過容易状態待機時間中に全ての保留が消化されていると推定できるため、その後通過容易状態が実行されて遊技球が2個或いは3個入賞してもオーバーフローが発生しない。変動回数ZがZ=1〜4以上の場合においても同様である。
ところで、第2実施形態例は、変動回数Zが多いほど、待機時間を短縮し、入賞し易い態様で普通電動役物18を駆動させる構成ともいえる。したがって、変動回数Zが多く計数されて、特別図柄変動保留数Uが少ないと推定できる場合に、普通電動役物18への入賞回数を増やし、特別図柄A,B,Cを途切れることなく変動させることが可能となる。
なお、第1実施形態例で開示した「変動回数が少ないほど通過容易状態時間が短い態様で普通電動役物18を駆動させる構成」と、第2実施形態例で開示した「変動回数が少ないほど通過容易状態待機時間が長い態様で普通電動役物18を駆動させる構成」とを組み合わせた構成としても良い。かかる構成とすることにより、より一層効果的にオーバーフローを回避することができる。
<第三実施形態例>
本実施形態例は、変動回数カウント期間中に変動回数Zから、当該変動回数カウント期間中に特別図柄始動領域20を遊技球が通過した通過球数Dを差し引いた保留増減数Eに、普通電動役物駆動態様パターンE−1〜F−5をそれぞれ割り当てたことを特徴とする構成である。この点、変動回数Zに普通電動役物駆動態様パターンが割り当てられている第一、二実施形態例と相違する。
本実施形態例にあっては、図12に示されるように、E−1からF−5の10個の普通電動役物駆動態様パターンが備えられている。パターンE−1〜E−5は、通常遊技状態における普通電動役物18の駆動態様を規定するものであり、パターンF−1〜F−5は、有利遊技状態における普通電動役物18の駆動態様を規定するものである。また、各パターンE−1〜F−5の具体的な作動内容は、第一実施形態例のパターンA−1〜B−5(図10参照)と同じであり、パターンA−1〜B−5と同じ、T01、T02、P、T1、T2が設定されている。したがって、パターンE−1(或いはパターンF−1)ほど、通過容易状態である状態時間が短くなり、特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難い構成となっている。
一方、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUは、特別図柄処理のなかで、変動回数カウント期間中の特別図柄A,B,Cの変動回数Zを計数すると共に、始動口処理(図13参照)のなかで、当該変動回数カウント期間中の特別図柄始動領域20を通過する遊技球の通過球数Dを計数する。ここで、この通過球数Dは、普通電動役物18が基本状態であって、開閉翼片26,26が閉鎖しているにも関わらず、その間隙である入賞口18aを通過した遊技球の数である。
そしてさらに、主制御用中央制御装置CPUは、計数した変動回数Zから通過球数Dを差し引いた保留増減数Eを算出する。この保留増減数Eは、特別図柄変動保留数Uの増減を推定するのに用いられる。例えば、変動回数カウント期間中に特別図柄A,B,Cが4回変動し(Z=4)、かつ当該変動回数カウント期間中に遊技球が特別図柄始動領域20を2回通過した(D=2)場合は、その差(E=Z−D)は「2」であり、この保留増減数Eから、変動回数カウント期間前後で特別図柄変動保留数Uが少なくとも2個減少しているということが推定される。すなわち、この保留増減数Eが小さいほど、消化された変動保留数Uは少なく、オーバーフローし易い遊技状態であるといえる。
そして、各保留増減数Eには、保留増減数Eが小さいほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難くなるように、上述した各パターンE−1〜F−5がそれぞれ割り当てられている。具体的には、E≦0には、パターンE−1(F−1)が割り当てられている。さらに、E=1にはパターンE−2(F−2)が、E=2にはE−3(F−3)が、E=3にはE−4(F−4)が、E≧4の場合はE−5(F−5)がそれぞれ割り当てられている。
かかる構成にあって、普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止した場合には、当該確定停止した際の遊技状態によって定まる変動回数カウント期間中に変動回数Z及び通過球数Dを計数し、この変動回数Z及び通過球数Dとに基づいて保留増減数Eを算出し、算出した保留増減数Eに割り当てられたパターンE−1〜F−5を選定し、選定した一のパターンE−1〜F−5に従って、普通電動役物18を駆動させる。これにより、オーバーフローし易い遊技状態で特別図変動保留数Uの増加を減少させることができ、オーバーフローを効果的に回避することが可能となる。
以下、第三実施形態例の制御処理について、第一、第二実施形態例と異なる点について説明する。
まず、始動口処理を、図13に従って説明する。
かかる始動口処理では、ステップS202で特別図柄変動保留数Uに1加算した後、ステップS203で、特別図柄始動領域20を通過した遊技球の通過球数Dを計数する。具体的には、通過球数Dに1加算する処理を実行する。そして、各乱数値を取得・格納(ステップS204〜S209)した後、始動口処理を終了する。
次に、普通図柄処理を、図14,15に従って説明する。なお、特徴部分は、図15に示されるステップS1019〜S1040である。
ステップS1018において、普通電動役物開放延長機能作動しているか否かを判定し、作動中であれば、変動回数Zから通過球数Dを減算し(ステップS1019)、減算結果をE(保留増減数)とする(ステップS1020)。そして、保留増減数EがE≦0である場合は(ステップS1021)、E≦0に割り当てられたパターンF−1を選定する(ステップS1022)。以下、順次保留増減数Eに応じて、割り当てられたパターンF−1〜F−5を選定する(S1024,S1026,S1028,S1029)。
一方、ステップS1018において、普通電動役物開放延長機能作動中でないと判定した場合は、変動回数Zから通過球数Dを減算し(ステップS1030)、減算結果を保留増減数Eとした(ステップS1031)後、保留増減数Eに応じて通常遊技状態用のパターンE−1〜E−5を選定する(ステップS1032〜1040)。
そして、これまでに述べた制御処理によりパターンE−1〜F−5を選定すると、変動回数Zをリセットし(ステップS1041)、選定したパターンE−1〜F−5に従って、通過容易状態を実行することとなる(ステップS1042)。
なお、上述のパターンE−1〜F−5の内容としては、第二実施形態例のように、通過容易状態待機時間T1をT1≠0の形態で規定する構成としても勿論良い。かかる構成とした場合は、各保留増減数Eに、保留増減数Eが少ないほど通過容易状態待機時間T1が長くなるように、普通電動役物駆動態様パターンがそれぞれ割り当てられることとなる。ここで、変動回数Zを計数し(図6のステップS23)、かつ通過球数Dを計数し(図13のステップS203)、保留増減数Eを算出する(ステップS1020)処理を実行する主制御基板60により、本発明にかかる保留増減数算出手段が構成される。
また、別の実施形態例として、通過球数Dから変動回数Zを差し引いた数を保留増減数E’としても良い。かかる構成とした場合は、各保留増減数E’に、保留増減数E’が多いほど特別図柄始動領域20へ遊技球が通過し難くなるように、普通電動役物駆動態様パターンをそれぞれ割り当てることとなる。例えば、保留増減数E’が多いほど通過容易状態の状態時間が短くなるように、或いは保留増減数E’が多いほど通過容易状態待機時間が長くなるように、普通電動役物駆動態様パターンをそれぞれ割り当てることとなる。
また、別の実施形態例として、普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止した際に、特別図柄変動保留数Uが4個(上限)に達しているときに限り、第一から第三実施形態例の構成を実行する構成が提案される。普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止した際に、特別図柄変動保留数Uが4個(上限)である場合は、特にオーバーフローが発生し易い遊技状況であるため、変動回数Z或いは保留増減数Eに基づいて、オーバーフローし易いときに入賞し難い態様で通過容易状態を実行する構成とすることにより、効果的にオーバーフローを回避することができる。また、普通図柄X,Yが当り図柄で確定停止した際に、変動保留数Uが所定数以上、又は上限数に対して過半数以上である場合に限り、第一から第三実施形態例の構成を実行する構成としても良い。
本発明は、第3種パチンコ遊技機にも適用でき、実施の形態は本発明の主旨の範囲内で適宜変更可能である。