JP4158062B2 - 急冷薄材製造装置の隙間測定装置 - Google Patents

急冷薄材製造装置の隙間測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属を急冷して粉末又はフレーク状の薄材を製造する急冷薄材製造装置における隙間測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属から直接所望の製品を製造する装置として、従来から、噴霧法及びロール冷却法が知られている。噴霧法は、溶融金属を不活性ガス(アルゴンガス)中に霧吹き状に噴霧するものであり、例えば、鉄粉の製造に用いられている。
また、ロール冷却法は、金属ロールでフィルム状にするもであり、例えばアモルファス等の薄板又は箔を製造するために用いられている。なお、ロール冷却法としては、例えば、「単ロールによる直接鋳造方法」(特開平1−313159号)等が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロール冷却法により、鉄、ニッケル、希土類、磁性体、及びシリコーン系の溶融金属から粉末又はフレーク状の金属片(以下、単に薄材という)を製造すると、表面積が飛躍的に増大するため、周囲に酸素があると急速に酸化し発火するおそれがある。そのため、急冷薄材を製造するためには、真空中又は不活性ガス中で処理する必要がある。
【0004】
かかるロール冷却法による急冷薄材製造装置において、水冷ロールとノズル先端との隙間は、非常に重要であり、高品質の薄材を製造するためには、この隙間を精度よく一定に保持する必要がある。この隙間は、従来、例えば、ロールの軸中心を固定し、ノズル位置を計測してその差から測定していた。しかし、この計測手段では、冷えている時にロールとノズル間の隙間を固定しても、溶融金属の温度が高いためノズル寸法が熱膨張で変化し、製品である急冷薄帯やフレークの品質に直接影響する隙間(ロールとノズルの隙間)を精密測定できない問題点があった。
【0005】
そこで、この問題点を解決するために、注湯中であっても金属薄帯の幅方向に沿うギャップの分布を測定できる「注湯ノズルギャップ制御装置」(特開平08−1283号)が開示されている。しかし、この装置は、赤外線センサやカメラを用いるため、高温に曝される急冷薄材製造装置のチャンバ内での安定使用が難しい問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、高温環境下でも安定して使用することができ、かつ熱膨張の影響を受けることなく、ロールとノズル間の隙間(ノズルギャップ)を精密に測定することができる急冷薄材製造装置の隙間測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水平な軸心を中心に同一方向に回転する円筒形の冷却ロール(6)と、該冷却ロールのロール表面に溶融金属を供給するノズル(5)とを備え、溶融金属をロール表面で急冷して板状又はフレーク状の急冷薄材を製造する急冷薄材製造装置において、前記ノズルにロール表面に対向して直角に設けられたノズル穴(11)と、該ノズル穴に不活性ガスを供給するガス供給ライン(12)とを備え、該ガス供給ラインには、流量を調節するオリフィス(13)と、オリフィスの上流側と下流側の圧力P1,P2を検出する圧力検出器(14a,14b)とが設けられ、圧力P1,P2とロール表面とノズルの隙間hとの関係h=F(P1,P2)を予め求め、この関係から運転中に隙間hを測定する、ことを特徴とする急冷薄材製造装置の隙間測定装置が提供される。
【0008】
上記本発明の構成により、隙間測定のためノズル(5)とロール表面の間に気体(不活性ガス)を吹かせ、その背圧P2とオリフィス(13)の上流側の元圧P1を圧力検出器(14a,14b)で測定する。背圧P2と隙間hの関係は流体力学的に求められる理論的な関係がある。また、圧力P1,P2とロール表面とノズルの隙間hとの関係h=F(P1,P2)を予め較正(キャリブレーション)により求めることもできる。従って運転中に圧力P1,P2を計測し、この関係から隙間hの変化を直接算出することができる。
好ましくは、前記急冷薄材製造装置は、内部に前記冷却ロールと前記ノズルが配置される密封チャンバーを備え、該密封チャンバーの外側に前記圧力検出器が設置されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の隙間測定装置を備えた急冷薄材製造装置の全体構成図である。この図に示すように、この急冷薄材製造装置は、密封チャンバー1内に格納された溶解炉2、タンディシュ4、冷却ロール6、成品チャンバー8、等からなる。密封チャンバー1は、内部にアルゴン等の不活性ガスが充填され、一定の圧力P0に保持されている。
【0010】
溶解炉2内には、外部からダブルロックホッパ3を介して溶融する金属を供給するようになっている。この金属は、例えば、鉄、ニッケル、希土類、磁性体、及びシリコーン系の金属であり、溶解炉2において溶解される。また、溶解炉2は、シリンダ等を用いて図に二点鎖線で示すように回転軸を中心に旋回させるようになっており、この旋回により内部の溶融金属をタンディシュ4内に注ぐことができる。
タンディシュ4は、溶融金属を内部に保有し、下方に設けられたノズル5から連続的に溶融金属を落下させるようになっている。また、この実施形態において、タンディシュ4は、直動シリンダ7(例えばスクリュージャッキ)により昇降可能になっており、ノズル5を冷却ロール6の近傍まで下降させることができる。
【0011】
図2は、図1の主要部の部分斜視図である。この図に示すように、本発明の隙間測定装置を備えた急冷薄材製造装置では、水平な軸心を中心に同一方向に回転する円筒形の冷却ロール6と、冷却ロール6のロール表面に溶融金属を供給するノズル5とを備える。冷却ロール6の温度は、冷却水の供給により溶融金属の凝固温度以下に冷却するようになっている。また、この冷却ロール6は、回転駆動装置(図示せず)により凝固した金属が連続しない十分な高速(例えば400〜1000rpm)に回転される。従って、溶融金属をロール表面で急冷して板状又はフレーク状の急冷薄材を製造することができる。
【0012】
図3は、本発明の隙間測定装置の原理図であり、(A)はロールの縦断面図、(B)はB−B矢視図である。図3(A)に示すように、ノズル5には、ロール表面に対向して直角に設けられたノズル穴11が設けられている。また、図3(B)に示すように、ノズル5のロール表面に対向する面は、ロールの曲面に平行に形成されている。
更に、本発明によれば、ノズル穴11に不活性ガスを供給するガス供給ライン12を備える。また、このガス供給ライン12には、流量を調節するオリフィス13と、オリフィス13の上流側と下流側の圧力P1,P2を検出する圧力検出器14a,14bとが設けられている。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素等を用いるのがよい。また、圧力検出器14a,14bは、密封チャンバ1の外側に設置するのがよい。
なお、図3に示すように、ノズル穴11は冷却ロール6の軸線方向に少なくとも2箇所以上設け、それぞれに独立してガス供給ライン12、オリフィス13、及び圧力検出器14a,14bを設けるのがよい。この構成により、ロールの軸線方向に沿った隙間hの分布を計測することができる。
【0013】
図4は、本発明による隙間hと圧力,P1,P2との模式的関係図である。上述した構成により、例えば、密封チャンバ1内の圧力P0と、元圧P1を一定に保持したままで、ロール表面とノズルの隙間hを変化させると、隙間hが0の場合に、ノズル穴11内の圧力P2は元圧P1と一致し、隙間hが十分に大きい場合には圧力P2は密封チャンバ1内の圧力P0と一致する。従って、圧力P2とロール表面とノズルの隙間hとの関係は、例えば図4に示すようになる。この関係は、流体力学的に求めることもでき、或いは予め較正(キャリブレーション)により求めることもできる。
【0014】
従って、上述した本発明の構成により、隙間測定のためノズル5とロール表面の間に気体(不活性ガス)を吹かせ、その背圧P2とオリフィス13の上流側の元圧P1を圧力検出器14a,14bで測定し、理論的或いはキャリブレーションにより予め求めた関係h=F(P1,P2)から隙間hの変化を直接算出することができる。これにより、例えば、ノズル位置又はロール位置を上下させて、ロールとノズルの間隙を一定に調節し、急冷フレーク、急冷材の品質を安定化して高品質の薄材を得ることができる。
また、本発明の構成では、高温に曝されるチャンバ1内には、不活性ガスで冷却された状態のノズル穴11及びガス供給ライン12のみが位置するので、熱膨張の影響をほとんど受けず、安定して使用することができる。
【0015】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0016】
【発明の効果】
上述したように、本発明の急冷薄材製造装置の隙間測定装置は、高温環境下でも安定して使用することができ、かつ熱膨張の影響を受けることなく、ロールとノズル間の隙間(ノズルギャップ)を精密に測定することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による隙間測定装置を備えた急冷薄材製造装置の全体構成図である。
【図2】図1の主要部の部分斜視図である。
【図3】本発明の隙間測定装置の原理図である。
【図4】本発明による隙間hと圧力,P1,P2との模式的関係図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー
2 溶解炉
3 ダブルロックホッパ
4 タンディシュ
5 ノズル
6 冷却ロール
7 直動シリンダ
8 成品チャンバー
11 ノズル穴
12 ガス供給ライン
13 オリフィス
14a,14b 圧力検出器
h ロール表面とノズルの隙間
P1 オリフィス上流側圧力(元圧)
P2 オリフィス下流側圧力
P0 チャンバ内圧力

Claims (2)

  1. 水平な軸心を中心に同一方向に回転する円筒形の冷却ロール(6)と、該冷却ロールのロール表面に溶融金属を供給するノズル(5)とを備え、溶融金属をロール表面で急冷して板状又はフレーク状の急冷薄材を製造する急冷薄材製造装置において、前記ノズルにロール表面に対向して直角に設けられたノズル穴(11)と、該ノズル穴に不活性ガスを供給するガス供給ライン(12)とを備え、該ガス供給ラインには、流量を調節するオリフィス(13)と、オリフィスの上流側と下流側の圧力P1,P2を検出する圧力検出器(14a,14b)とが設けられ、圧力P1,P2とロール表面とノズルの隙間hとの関係h=F(P1,P2)を予め求め、この関係から運転中に隙間hを測定する、ことを特徴とする急冷薄材製造装置の隙間測定装置。
  2. 前記急冷薄材製造装置は、内部に前記冷却ロールと前記ノズルが配置される密封チャンバーを備え、
    該密封チャンバーの外側に前記圧力検出器が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の急冷薄材製造装置の隙間測定装置。
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