JP4156655B2 - (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法 - Google Patents

(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4156655B2
JP4156655B2 JP2007194889A JP2007194889A JP4156655B2 JP 4156655 B2 JP4156655 B2 JP 4156655B2 JP 2007194889 A JP2007194889 A JP 2007194889A JP 2007194889 A JP2007194889 A JP 2007194889A JP 4156655 B2 JP4156655 B2 JP 4156655B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
general formula
formula
iii
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007194889A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008056663A (ja
Inventor
崇 青木
由晴 安宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2007194889A priority Critical patent/JP4156655B2/ja
Publication of JP2008056663A publication Critical patent/JP2008056663A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4156655B2 publication Critical patent/JP4156655B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法の新規な製造方法に関する。
下記一般式(VI)で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチル−(3aα、5aβ、9aα、9bβ)−デカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン(以下、(±)−スクラレオライドということがある)は、下記一般式(III)で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の一ジアステレオマーであり、下記一般式(V)で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2、1−b]フラン類の中でも特に香気特性と残香性に優れる重要なアンバー様香料素材である、下記一般式(VII)で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチル−(3aα、5aβ、9aα、9bβ)−ドデカヒドロナフト[2、1−b]フラン(以下、(±)−アンブロキサンということがある)の前駆体等として有用な化合物である。
Figure 0004156655
本来、アンブロキサンは、天然由来の光学活性体である(−)−アンブロキサンのことを示す。アンブロキサンは、天然植物クラリーセージの抽出物である(−)−スクラレオールを出発原料とし、(+)−スクラレオライドを経由する製造方法が多数開示されており(例えば、非特許文献1参照)、また実際に工業化が達成されている。しかしながら、それらの製造方法は、天然原料を用いるために供給量と供給安定性に問題があり、また、(−)−スクラレオールの酸化分解工程においてクロム酸や過マンガン塩などの酸化剤を用いており、環境負荷の大きい製造方法であるという問題があった。
このため、代替素材となりうる石化原料由来の(±)−スクラレオライド及び(±)−アンブロキサンの安価な製造方法開発が望まれている。
そこで、(±)−スクラレオライドを経由する(±)−アンブロキサンの製造方法として、例えば下記反応式(A)で表される、ファルネソール又はネロリドールを出発原料とする6工程の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
Figure 0004156655
この方法によれば、安価な原料を比較的高い収率でホモファルネシル酸に変換することができる一方、シアン化カリウムや三臭化リンなど、毒性又は腐食性が極めて強い反応剤を原料に対して等モル量以上用いるため、工業的規模での製造に十分適していないという問題があった。
また、ホモファルネシル酸を環化して前記一般式(III)で表される化合物を得る工程に関しては他にも多数の報告があり、反応に用いる酸性剤の種類や反応温度などの条件によって(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性が大きく変化することが知られている。しかし、より好ましいジアステレオマーである(±)−スクラレオライドを主生成物として得るためには、非常に強い酸性剤や極低温下での反応が有利であり、工業的規模での製造に十分適しているとはいえなかった。
また、(±)−スクラレオライドを経由しない(±)−アンブロキサンの製造方法も多数報告されている。特に下記の二つの反応式(B)及び(C)で表される方法では、(+)−(E)−ネロリドールから3工程、ジヒドロ−β−ヨノンから4工程で、一般式(V)で表される化合物を得られることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
Figure 0004156655
Figure 0004156655
しかし、これらの方法は、従来の(±)−アンブロキサン製造方法と比して工程数が短いという長所がある一方、(3E、7E)−ホモファルネシル酸ジメチルアミド、あるいは(E)−β−モノシクロホモファルネシル酸ジメチルアミドを対応するアルコール体へ還元する工程において、空気中の湿気などの水分と激しく反応して発火の危険性のある強力な還元剤(水素化トリエチルホウ素リチウム等)を用いているので、工業的規模での製造には十分適しているとはいえなかった。
西独国特許第3240054号明細書 テトラへドロン(Tetrahedron)、第43巻、1871頁、1987 ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、第61巻、2215頁、1996年
本発明の課題は、容易にかつ安価に調達可能な原料から、短工程かつ簡便な方法により(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類を、さらには(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2、1−b]フラン類を製造することができる、工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、安価な出発原料から容易に得られる(±)−ホモファルネシル酸アミド及び/又はモノシクロホモファルネシル酸アミドを、酸性剤の存在下において直接環化した後に加水分解するという新規な反応によって、一般式(III)で表される化合物を工業的に有利に得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(I):
Figure 0004156655
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、波線はシス又はトランス配置の炭素−炭素単結合を示す)
で表されるホモファルネシル酸アミド又は一般式(II):
Figure 0004156655
(式中、R1、R2及び波線は前記と同じ意味であり、点線はいずれかの位置に炭素−炭素二重結合があることを示す)
で表されるモノシクロホモファルネシル酸アミドを、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、四塩化スズ、四塩化チタン及び三フッ化ホウ素エーテル錯体から選ばれる1種以上の酸性剤の存在下で環化し、さらに加水分解することによる一般式(III):
Figure 0004156655
で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、安価な出発原料から容易に得られる(±)−ホモファルネシル酸アミド又はモノシクロホモファルネシル酸アミドを、特定の酸性剤の存在下において直接環化した後に加水分解するという短工程かつ簡便な方法により、一般式(III)で表される化合物及び一般式(V)で表される化合物を、工業的に有利に得ることができる。また、本発明によれば、一般に収率やジアステレオ選択性を高めるために要する強い酸性剤及び極低温な反応温度が不要であることから、一般式(VI)で表される(±)−スクラレオライドが、より温和で工業化に適した条件下で、十分に高いジアステレオ選択性で得られる。
[ホモファルネシル酸アミド及びモノシクロホモファルネシル酸アミドの調製]
本発明に用いられるホモファルネシル酸アミドは、一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0004156655
ここで、式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、波線はシス又はトランス配置の炭素−炭素単結合を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基が挙げられるが、容易に調達可能である観点から、メチル基が好ましい。
ホモファルネシル酸アミドは、例えば(±)−ネロリドールと下記一般式(VIII)で表されるN,N−ジアルキルホルムアミドジアセタールから調製することができる。
Figure 0004156655
ここで、式中、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基等が挙げられるが、容易に調達可能であることから、R1〜R4はいずれもメチル基であることが最も好ましい。
ホモファルネシル酸アミドの原料となる(±)−ネロリドールは、一般的に市場に流通するものを用いることができる。(±)−ネロリドールは(E)−体及び(Z)−体の幾何異性体混合物であり、この混合物を原料とした場合に得られるホモファルネシル酸アミドは4種類((3E、7E)−体、(3Z、7E)−体、(3E、7Z)−体、及び(3Z、7Z)−体)の幾何異性体混合物となる。同様に、モノシクロホモファルネシル酸アミドの原料となるジヒドロヨノンには二重結合の位置が異なるα−体、β−体、及びγ−体の3種の幾何異性体が存在するため、混合物を原料とした場合は、計6種類のモノシクロホモファルネシル酸アミドが得られる。本発明においては、上記(±)−ネロリドール及びジヒドロヨノンの幾何異性体比率は特に限定されないので、混合物をそのまま原料として用いてもよいし、あらかじめ異性体分離した(±)−ネロリドールや立体選択的に調製したジヒドロヨノンを用いることも可能である。得られたホモファルネシル酸アミド、モノシクロホモファルネシル酸アミドについても、幾何異性体混合物をそのまま原料として環化反応を行ってもよいし、事前に異性体分離操作を行ってもよい。
本発明に用いられるモノシクロホモファルネシル酸アミドは、一般式(II)で表される化合物である。
Figure 0004156655
ここで、式中、R1、R2及び波線は前記と同様であり、点線はいずれかの位置に炭素−炭素二重結合があることを示す。
モノシクロホモファルネシル酸アミドは、ジヒドロヨノンと例えばビニルマグネシウムブロマイドとを反応させるか、あるいはジヒドロヨノンにアセチレンを付加した後にリンドラー触媒等を用いた選択水添によって(±)−モノシクロネロリドールとし、さらに上記ホモファルネシル酸アミドと同様にN,N−ジアルキルホルムアミドジアセタールとの反応を行うことで調製できる。
[一般式(III)で表される化合物の調製]
本発明の一般式(III)で表される化合物の製造方法では、まず酸性剤と溶媒の混合液に一般式(I)で表されるホモファルネシル酸アミド及び/又は一般式(II)で表されるモノシクロホモファルネシル酸アミドを滴下して環化反応を行い、下記反応式(D)に示される環状エナミン誘導体を得る。
環化反応に用いる酸性剤としては、硫酸あるいはメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の硫酸と同等以上の酸強度を有するブレンステッド酸、及び金属塩化物や三フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸を挙げることができる。(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性の観点から、いずれの酸性剤を用いてもよいので、安価で工業的に取り扱い容易な硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、四塩化スズ、四塩化チタンが好ましい。
酸性剤は、原料のホモファルネシル酸アミド及び/又はモノシクロホモファルネシル酸アミドに対して0.1〜10モル倍用いるが、原料を完全に転化させるために2モル倍以上用いるのがより好ましく、製造コストと後処理の負荷の観点から7モル倍以下用いるのがより好ましい。
環化反応は無溶媒でも実施可能であるが、原料の重合による収率低下を抑制する観点から、原料のホモファルネシル酸アミド及び/又はモノシクロホモファルネシル酸アミドに対して1〜100質量倍の溶媒を用いることが好ましい。酸性剤存在下で不活性な炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ニトロ炭化水素類又はエーテル類等の溶媒であれば特に制限なく溶媒を用いることができるが、回収操作の観点から低沸点で非水溶性の溶媒が好ましく、安価であることからジクロロメタン、クロロホルム、トルエン及びキシレン等が特に好ましい。
原料のホモファルネシル酸アミド及び/又はモノシクロホモファルネシル酸アミドは、これらの溶媒に溶解させるか無溶媒条件で、攪拌しながら滴下すればよく、生産性の観点から、無溶媒で滴下することが好ましい。滴下速度は滴下によって反応液温度が急激に上昇しない範囲であれば任意に選択できる。
環化反応は−70〜100℃の範囲内で実施できるが、工業化する際の設備負荷の観点から−20℃以上が好ましい。また、重合などの副反応を抑制する観点から50℃以下が好ましく、(±)−スクラレオライドを高選択的に得る観点から10℃以下がより好ましい。
このように、本発明によれば、一般にジアステレオ選択性を高めるために要する強い酸性剤及び極低温な反応温度が不要であることから、より温和で工業化に適した条件下で、下記一般式(VI)であらわされる化合物((±)−スクラレオライド)が、十分に高いジアステレオ選択性で得ることができる。
Figure 0004156655
本発明の反応は、その機構については十分解明するには至っていないが、下記反応式(D)に示すように、滴下終了後に環状エナミン誘導体を加水分解することで、一般式(III)で表される化合物に転化すると推測される。
Figure 0004156655
滴下終了後に水を添加し、中間体である環状エナミン誘導体の消失を確認するまで、酸性条件下のまま0℃から溶媒沸点の範囲内で撹拌する。
ここで、滴下終了後に一度酸性剤を塩基性剤で中和して塩を除去した後に、改めて原料のホモファルネシル酸アミド及び/又はモノシクロホモファルネシル酸アミドに対して0.01〜5モル倍の他の酸性剤を加えて加水分解してもよい。他の酸性剤としては酢酸等の弱酸性カルボン酸や希塩酸、希硫酸等が挙げられる。
加水分解終了後に酸性剤を中和して、有機溶媒による抽出及び溶媒除去の操作を行い、一般式(III)で表される化合物を得ることができる。
[一般式(V)で表される化合物の調製]
一般式(V)で表される化合物は、上記で得られた一般式(III)で表される化合物を、特許文献1や非特許文献1などの既知法で還元、環化することにより得ることができる。具体的には、以下の反応式(E)に示すように、一般式(III)で表される化合物を水素化リチウムアルミニウム等の還元剤の共存下で還元して一般式(IV)で表される(±)−ジオール体とし、これをオキシ塩化リン等の脱水剤の共存下で環化して一般式(V)で表される化合物を得るものである。
Figure 0004156655
また、得られた一般式(V)で表される化合物を再結晶法やカラムクロマト法により異性体分離することで、アンバー香気成分としてより好ましい(±)−アンブロキサンの純度を向上することもできる。
(1)収率の決定
実施例で得られた化合物の収率は、ガスクロマトグラフィー内標定量分析法によって求めた。ただし、(±)−スクラレオライド及び(±)−アンブロキサンのジアステレオマーの定量分析には、それぞれ(±)−スクラレオライド及び(±)−アンブロキサンの検量線を用いた。
合成例1:ホモファルネシル酸ジメチルアミドの合成
キシレン200gに(±)−ネロリドール222g(1.0mol、幾何異性体比率:E/Z=60/40)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール135g(1.1mol)を加え、副生するメタノールを留出させながら24時間還流下で撹拌した。溶媒留去後に減圧下で蒸留し、ホモファルネシル酸ジメチルアミドの4幾何異性体混合物211g(純度97%、収率74%)を得た。液体クロマトグラフィー分析より求めた幾何異性体比率は(3E、7E)−体32%、(3Z、7E)−体27%、(3E、7Z)−体22%、(3Z、7Z)−体19%であった。
合成例2:(±)−β−モノシクロネロリドールの合成
無水テトラヒドロフラン300mlにジヒドロ−β−ヨノン194g(1.0mol)を溶解させ10℃に冷却したところに、臭化ビニルマグネシウム104g(1.2mol)の無水THF溶液を5時間かけて滴下し、さらに10℃で1時間撹拌した。次いで、0℃に冷却しながら10%−塩化アンモニウム水溶液400mlを滴下し、水層と有機層を分離後に水層をジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、乾燥、溶媒留去後にさらに減圧下で蒸留して(±)−β−モノシクロネロリドール199g(純度94%、収率84%)を得た。
合成例3:β−モノシクロホモファルネシル酸ジメチルアミドの合成
キシレン100gに合成例2で合成した(±)−β−モノシクロネロリドール47g(純度94%、0.20mol)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール52g(0.44mol)を加え、合成例1と同様の操作を行い、β−モノシクロホモファルネシル酸ジメチルアミドの2幾何異性体混合物51g(純度90%、収率82%)を得た。液体クロマトグラフィー分析より求めた幾何異性体比率は(E)−体58%、(Z)−体42%であった。
実施例1:一般式(III)で表される化合物の合成(1)
濃硫酸2.2g(21mmol)とジクロロメタン20gとの混合液を0℃に冷却し、合成例1で合成したホモファルネシル酸ジメチルアミド2.0g(純度97%、7.0mmol)の10%ジクロロメタン溶液を2時間かけて滴下した。水10gを加えた後に25℃で2時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液で水層を中和後、有機層を分離し、さらに水層をジクロロメタン10gで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒留去して橙色固体1.8gを得た。分析の結果、この固体には一般式(III)で表される化合物が計1.2g(収率68%)含まれており、(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性は41%であった。
実施例2〜5:一般式(III)で表される化合物の合成(2)
実施例1で用いた酸性剤、溶媒及び温度条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に反応を行った。収率及び選択率の結果を表1にまとめる。収率は一般式(III)で表される化合物の値を、選択率は(±)−スクラレオライドの値を示す。
Figure 0004156655
実施例6:一般式(III)で表される化合物の合成の合成(3)
濃硫酸2.3g(23mmol)とトルエン20gとの混合液を0℃に冷却し、合成例3で合成したβ−モノシクロホモファルネシル酸ジメチルアミド2.4g(純度90%、7.7mmol)の10%トルエン溶液を30分かけて滴下した。水酸化ナトリウム水溶液で中和し、一度水層を除去した後に、再度水10gと酢酸1.0g(17mmol)を加えて5時間還流下で撹拌した。室温まで冷却した後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分離した水層をトルエン10gで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒留去して暗赤色固体2.4gを得た。分析の結果、この固体には一般式(III)で表される化合物が計0.79g(収率41%)含まれており、(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性は50%であった。
実施例7:一般式(III)で表される化合物の合成の合成(4)
反応温度を0℃から20℃に変えた以外は、実施例1と同様の反応を行った。分析の結果、一般式(III)で表される化合物の収率は63%で、(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性は30%であった。
実施例8:一般式(III)で表される化合物の合成の合成(5)
反応温度を0℃から40℃に変えた以外は、実施例1と同様の反応を行った。分析の結果、一般式(III)で表される化合物の収率は63%で、(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性は25%であった。
実施例9:一般式(III)で表される化合物の合成
濃硫酸90g(0.86mol)とジクロロメタン100gとの混合液を0℃に冷却し、合成例1で合成したホモファルネシル酸ジメチルアミド86g(純度97%、0.3mol)を3時間かけて滴下した。水酸化ナトリウム水溶液で中和し、一度水層を除去した後に、有機層にテトラヒドロフラン100gと20%硫酸50g(0.10mol)とを加えて10時間還流下で撹拌した。再度水酸化ナトリウム水溶液で中和し、分離した水層をジクロロメタン30gで2度抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒留去して暗赤色固体79gを得た。分析の結果、この固体には一般式(III)で表される化合物が計56g(収率75%)含まれており、(±)−スクラレオライドのジアステレオ選択性は40%であった。
実施例10:一般式(IV)で表される化合物の合成
無水ジエチルエーテル10gに水素化リチウムアルミニウム0.28g(7.4mmol)を懸濁させ0℃に冷却したところに、実施例1で合成した一般式(III)で表される化合物0.91g(3.7mmol)を含む固体2.0gを無水ジエチルエーテル10gに溶かした溶液を15分かけて滴下した。滴下終了後にさらに1時間還流下で撹拌した。室温まで冷却した後に10%−水酸化ナトリウム水溶液15gを滴下し、分離した水層をジエチルエーテル10gで2度抽出した。合わせた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄後、乾燥、溶媒留去して薄黄色半固体2.1gを得た。分析の結果、この半固体には一般式(IV)であらわされる化合物が計0.89g(収率96%)含まれていた。
実施例11:一般式(V)で表される化合物の合成
無水ピリジン20gに実施例9で合成した一般式(IV)で表される化合物0.70g(2.8mmol)を含む半固体1.7gを溶解させ0℃に冷却したところに、オキシ塩化リン0.52g(3.4mmol)を5分かけて滴下し、さらに2時間撹拌した。続いて0℃で10%−水酸化ナトリウム水溶液10gを滴下し、分離した水層をジエチルエーテル10gで2度抽出した。合わせた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄後、乾燥、溶媒留去して黄色油状物1.5gを得た。分析の結果、この油状物には一般式(V)で表される化合物が計0.44g(収率68%)含まれており、(±)−アンブロキサンのジアステレオ純度は44%であった。
本発明の製造方法によれば、一般式(III)で表される化合物及び一般式(V)で表される化合物を、より温和で工業化に適した条件下で十分に高いジアステレオ選択性で得ることができるので、工業的に有利に製造することが可能となる。また、本発明によれば、一般にジアステレオ選択性を高めるために要する強い酸性剤及び極低温な反応温度が不要であることから、一般式(IV)で表される(±)−スクラレオライドが、より温和で工業化に適した条件下で、十分に高いジアステレオ選択性で得ることができる。

Claims (3)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004156655
    (式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、波線はシス又はトランス配置の炭素−炭素単結合を示す。)
    で表されるホモファルネシル酸アミドを、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、四塩化スズ、四塩化チタン及び三フッ化ホウ素エーテル錯体から選ばれる1種以上の酸性剤の存在下で環化し、さらに加水分解することによる一般式(III):
    Figure 0004156655
    で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法。
  2. 一般式(II):
    Figure 0004156655
    (式中、R 1 、R 2 及び波線は前記と同じ意味であり、点線はいずれかの位置に炭素−炭素二重結合があることを示す。)
    で表されるモノシクロホモファルネシル酸アミドを、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、四塩化スズ、四塩化チタン及び三フッ化ホウ素エーテル錯体から選ばれる1種以上の酸性剤の存在下で環化し、さらに加水分解することによる一般式(III):
    Figure 0004156655
    で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により得られる一般式(III)で表される化合物を還元して、一般式(IV):
    Figure 0004156655
    で表される(±)−ジオール体とした後に環化することによる一般式(V):
    Figure 0004156655
    で表される(±)−3a、6、6、9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2、1−b]フラン類の製造方法。
JP2007194889A 2006-07-31 2007-07-26 (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法 Active JP4156655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007194889A JP4156655B2 (ja) 2006-07-31 2007-07-26 (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006208487 2006-07-31
JP2007194889A JP4156655B2 (ja) 2006-07-31 2007-07-26 (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008056663A JP2008056663A (ja) 2008-03-13
JP4156655B2 true JP4156655B2 (ja) 2008-09-24

Family

ID=39239833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007194889A Active JP4156655B2 (ja) 2006-07-31 2007-07-26 (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4156655B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5478088B2 (ja) * 2009-02-16 2014-04-23 花王株式会社 (±)−3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フランの製造方法
JP5501519B1 (ja) * 2012-10-19 2014-05-21 花王株式会社 N,n−ジアルキルホモファルネシル酸アミドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008056663A (ja) 2008-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6147856B2 (ja) インテグラーゼインヒビターを調製するためのプロセスおよび中間体
EP2048139B1 (en) PROCESS FOR PRODUCTION OF (±)-3a,6,6,9a TETRAMETHYLDECAHYDRONAPHTHO[2,1-b]FURAN-2(1H)-ONE
CN112142694A (zh) 一种多取代四氢呋喃与四氢吡喃双烯体类化合物及其制备方法
CN103864813B (zh) 一种合成六氢呋喃并[2,3‑b]呋喃‑3‑醇及其对映体的方法
US8227630B2 (en) Process for the preparation of tetranorlabdane derivatives
JP4156655B2 (ja) (±)−3a、6、6、9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2、1−b]フラン−2(1H)−オン類の製造方法
CN108148021B (zh) 2-亚胺(3h)多取代呋喃或噻吩衍生物及其合成
JP4994772B2 (ja) ビスアミノールエーテル化合物を用いるピペリジン−4−オン誘導体の製造方法
CN110294708B (zh) 三氟乙硒基菲啶和3,4-二氢异喹啉类衍生物的制备方法
JPH047346B2 (ja)
CN107501061A (zh) 一种2‑甲氧基‑6,7,8,9‑四氢苯并环庚烷‑5‑酮的制备方法
JP5501519B1 (ja) N,n−ジアルキルホモファルネシル酸アミドの製造方法
US6313364B1 (en) Synthesis of cyclopropaneacetylene using a catalytic decarboxylation reaction
JP5478088B2 (ja) (±)−3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フランの製造方法
EP3268346A1 (en) Processes for the preparation of unsaturated malonates
JP4374287B2 (ja) (z)−1−フェニル−1−ジエチルアミノカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパンの製造方法
KR0134387B1 (ko) 디엘-3-메칠-시클로펜타데칸-1-온의 제조방법
WO2023082149A1 (en) Process and intermediates for preparation of isofetamid
WO2005066185A1 (en) Process for preparing 5-substituted -1-(4-fluorophenyl) -1,3-dihydroisobenzofurans
KR20200140351A (ko) 2,6-디알킬페닐아세트산을 제조하는 방법
CN110054563A (zh) 丁内酯类化合物的制备方法及其中间体
JPS58118536A (ja) ジヤスモン類の製造方法
JP2006151921A (ja) ムスコンの製造方法及びその中間体
JPH0669984B2 (ja) シクロペンテノン誘導体の製造法
Ibrayim et al. A Green and Novel Method for the Synthesis of 4, 4‐Difluoro‐3‐oxo‐2‐(triphenylphosphoranylidene) δ‐Lactones by Reformatsky Reaction

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080321

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20080321

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20080421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080613

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080708

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080709

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4156655

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120718

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120718

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130718

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250