JP4155093B2 - イオン源およびイオンビーム装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオンビームエッチングやイオンビームスパッタリング等に用いられるイオン源、およびそのイオン源を備えたイオンビーム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオンビーム装置では、イオン源内に発生させたプラズマ中からイオンを引き出し、引き出したイオンを各種処理に用いる。例えば、イオンビームエッチング装置であれば引き出されたイオンを処理基板に照射してその基板をエッチングし、イオンビームスパッタ装置であれば引き出されたイオンでターゲットをスパッタリングする。
【0003】
ところで、処理基板やターゲットが絶縁体材料である場合や、表面が絶縁体で被覆されている場合には、照射されたイオンの正電荷が絶縁体上に蓄積されて、いわゆるチャージアップにより正に帯電する。そのため、蓄積された正電荷の電界により、イオンが基板やターゲットに入射できなくなるという現象が発生する。
【0004】
従来、このようなチャージアップを抑制するために用いられている手法としては、イオン源と被処理物(処理基板やターゲット)との間のイオンビーム軌道上にタングステンフィラメント等の金属ヒータを設置し、ヒータを高温に加熱したときに放出される熱電子を利用して蓄積された正電荷を中和する方法がある。また、イオン源と被処理物との間にイオン源とは別のプラズマ源を設けて、そのプラズマ源中の電子を利用して被処理物の正の電荷を中和する方法もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−31175号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属ヒータを用いる方法の場合には、金属ヒータがイオンに曝されてスパッタリングされることになり、汚染の原因となる。また、反応性イオンビームエッチング(RIBE)の場合には、金属ヒータとプロセスガスとの反応が問題となる。一方、別のプラズマ源を用いる方法の場合には、DC放電やRF放電やマイクロ波を利用したECR等によってプラズマを励起するが、いずれの場合にもプラズマ励起のための装置が別に必要となり、調整が難しいうえに装置コストが高価になるという問題がある。
【0007】
本発明は、プラズマ中の電子を利用してイオンビーム照射対象のチャージアップを抑制できるイオン源、およびそのイオン源を備えたイオンビーム装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によるイオン源は、プラズマ生成手段と、正電位の第1グリッドおよび負電位の第2グリッドを有し、プラズマ生成手段のプラズマ生成領域からイオンを引き出すイオン引き出し用電極と、プラズマ生成領域の電子に対する第2グリッドの電位の影響を除去し、プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する連通部と、第1および第2グリッドに加えてアース電位の第3グリッドとを備え、連通部は、第3グリッドと同一電位となるようにイオン引き出し用電極に設けられて、プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する導電性管状部材であることを特徴とする。
請求項2の発明は、プラズマ生成手段と、正電位の第1グリッドおよび負電位の第2グリッドを有し、プラズマ生成手段のプラズマ生成領域からイオンを引き出すイオン引き出し用電極と、プラズマ生成領域の電子に対する第2グリッドの電位の影響を除去し、プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する連通部と、第1および第2グリッドに加えてアース電位の第3グリッドとを備え、連通部は、第3グリッドと同一電位となるようにイオン引き出し用電極に設けられて、プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する導電性管状部材を連通部としたことを特徴とする。
請求項3の発明によるイオンビーム装置は、請求項1または2に記載のイオン源を備え、イオン源からのイオンビームをビーム照射対象に照射するものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載のイオンビーム装置において、ビーム照射対象と第1グリッドに正電位を与える電源のコールドエンドとの間を電気的に絶縁したものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載のイオンビーム装置において、ビーム照射対象と電源のコールドエンドとの間を接続する電気抵抗体を設けたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明によるイオンビーム装置の第1の実施の形態を示す図である。図1はイオンビームエッチング装置の概略構成を示したものであり、イオン源1とエッチング処理が行われるプロセスチャンバ2とを備えている。図1に示す装置に用いられているイオン源1は、プラズマ生成手段であるプラズマ源3に、イオン引き出し用電極8を設けたものである。
【0010】
本実施の形態におけるプラズマ源3には、高周波誘導結合によりプラズマを生成する高周波誘導結合プラズマ源が用いられている。プラズマ源3のプラズマチャンバ9には高周波導入窓4が設けられており、高周波導入窓4の外側に高周波を発生する平面型励起コイル5が配設されている。励起コイル5には13.56MHzの高周波電流を供給するRF電源6が接続されている。高周波導入窓4は石英やセラミックス等の誘電体材料が用いられる。なお、図示していないが、励起コイル5とRF電源6との間には、インピーダンスマッチングをとるためのマッチング回路が設けられる。
【0011】
プラズマチャンバ9には、プラズマ生成用のガスがガス供給源7から導入される。本実施の形態では、プラズマ生成用ガスとしてアルゴンガスを用いる場合を例に説明する。また、プラズマチャンバ9の開口部にはイオン引き出し用電極8を構成するグリッド8a、グリッド8b、グリッド8cが設けられている。グリッド8aにはグリッド電源10aにより正の電位V1が与えられ、グリッド8bにはグリッド電源10bにより負の電位(−V2)が与えられる。また、グリッド8cはアース電位Vgとされる。なお、プラズマチャンバ9もグリッド8aと同電位(V1)とされている。
【0012】
本実施の形態では、イオン引き出し用電極8に導電性材料からなるエレクトロンポート11を設けた。図1に示すイオン引き出し用電極8では、エレクトロンポート11はグリッド8aに設けられていて、グリッド8aと同電位(V1)となっている。エレクトロンポート11の詳細については後述する。プロセスチャンバ2内には、エッチング対象である基板12を保持する基板ホルダ13が設けられている。基板ホルダ13は矢印R1のように回転させて傾けることができ、イオンビームIBに対する基板12の角度を種々の角度に設定することができる。また、基板12を矢印R2のように回転させる機構を基板ホルダ13に設けても良い。プロセスチャンバ2には排気ポート2aが設けられており、排気ポート2aに接続された真空ポンプ(不図示)によってプロセスチャンバ2内を真空排気することができる。
【0013】
図2はイオン引き出し用電極8の断面の一部を示す模式図である。各グリッド8a〜8cは多数の孔80a,80b,80cが形成された導電板である。グリッド8aの孔80aとグリッド8bの孔80bとグリッド8cの孔80cとは同位置に重なるように同軸で形成されていて、孔80a〜80cを通してプラズマチャンバ9側からプロセスチャンバ2側を見通すことができる。エレクトロンポート11はグリッド8a〜8cの孔80a〜80cの部分に設けられている。この場合、エレクトロンポート11の数は1つでも良いし、複数でも良い。
【0014】
図3はエレクトロンポート11の斜視図である。エレクトロンポート11は上述したように導電性材料からなり、フランジ部11aとフランジ部11aから突出するように設けられた管状部11bとを有している。フランジ部11aにはビス止め用の孔11cが形成されている。図2のイオン引き出し用電極8では、エレクトロンポート11は、管状部11bが各孔80a〜80cに挿入されるようにグリッド8aに固定されている。
【0015】
図2の20はエレクトロンポート11をグリッド8aに固定するためのビスである。エレクトロンポート11の管状部11bの外径寸法d1は孔80a〜80cの孔径寸法d2よりも小さく設定され、管状部11bとグリッド8b,8cとが接触しないように固定される。管状部11bの長さ寸法L1(図3参照)は、イオン引き出し用電極8の厚さ方向寸法L2以上に設定されるのが好ましい。また、管状部11bの内径d3は2〜10mm程度に設定される。なお、エレクトロンポート11の設置個数や設置位置や内径d3の寸法などについては、装置の条件によって適宜設定すれば良い。
【0016】
図1に戻って、プラズマチャンバ9にアルゴンガスを導入するとともに、励起コイル5で発生させた高周波を高周波導入窓4からプラズマチャンバ9内に導入すると、アルゴン原子から電子が分離されて、アルゴンイオン30と電子31とを含むプラズマが生成される。アルゴンイオン30は正電位のグリッド8aと負電位のグリッド8bとの間の電界によって加速され、その後、グリッド8bとアース電位のグリッド8cとの間で減速される。最終的には、グリッド8aとグリッド8cとの電位差に相当するエネルギーを有するイオンビームIBが形成される(図1参照)。
【0017】
加速されたアルゴンイオン30は基板12に入射して、基板表面をエッチングする。基板12が導電性材料の場合には、基板12に入射したアルゴンイオン30の正電荷は基板12から接地された基板ホルダ13へと流れるが、基板12がSiO2のような絶縁性材料の場合には、図1のように基板表面に正電荷が蓄積され基板電位が上昇する。一方、グリッド8aとグリッド8bとの間の電界は、負に帯電した電子31に対しては孔80a〜80cからプロセスチャンバ2に漏れ出るのを阻止する働きをする。
【0018】
しかしながら、エレクトロンポート11の部分においては、図2に示すようにグリッド8aと同電位である管状部11bがグリッド8cの部分まで延びている。そのため、グリッド8bの影響が管状部11bの内部に及ばず、管状部11bの内部空間はほぼ等電位となっていて電子31を含むプラズマの移動を阻止するような電界はなく、プラズマはプロセスチャンバ2側に移動することが可能となる。そして、アルゴンイオン30に比べて移動度の大きな電子31は、基板12が正に帯電すると正電荷のある方向に容易に移動し、プラズマチャンバ9内の電子31がエレクトロンポート11から基板12方向へと引き出されて基板12に入射することになる。
【0019】
また、基板12の正電荷量が減少すると、基板12への電子31の入射は減少する。このように、基板12に蓄積された正電荷量に見合った電子31がプラズマチャンバ9からエレクトロンポート11を介して基板12に入射し、基板12の正電荷が中和されることになる。
【0020】
なお、図2に示した例ではエレクトロンポート11を正電位V1のグリッド8aに設けたが、図4に示すようにアース電位Vgとされるグリッド8cに設けても良い。この場合も、管状部11bが孔80a〜80cに挿入されるようにエレクトロンポート11を固定する。その結果、図4の場合においても、エレクトロンポート11はアース電位Vgとなり、グリッド8bの電位は電子31に対して影響しない。
【0021】
図5は、エレクトロンポート11を設けた場合の、導電性材料(Si、NiFe)と絶縁性材料(SiO2、アルミナ)に関するエッチング速度を示したものである。図5において、縦軸はエッチング速度、横軸はイオンの入射角度である。従来、熱電子放出用ヒータや別のプラズマ源を用いる中和器(ニュートラライザ)を使用しない場合には、絶縁性材料は正電荷のチャージアップによってほとんどエッチングができなかったが、エレクトロンポート11を設けた場合には、図5に示すようにSiO2やアルミナに対しても十分なエッチング速度が得られていることがわかる。
【0022】
上述したように本実施の形態では、イオン引き出し用電極8にエレクトロンポート11を設けたことにより、電子31のプロセスチャンバ側への移動を阻止しているグリッド8bの影響を遮断することができる。その結果、正に帯電した基板12方向にプラズマ中の電子31が移動して基板12の正電荷が中和され、アルゴンイオン30によるエッチング効果を維持することができる。
【0023】
また、基板12に入射する電子31の量は基板12の帯電量に相応して自動的に決まるため、電子入射量が少なすぎたり逆に多すぎるというような不都合が生じることがなく、煩わしい調整等を必要としない。さらに、アルゴンイオン30に比べて電子31の移動度ははるかに速いため、基板12に正電荷が帯電すると速やかに電子31による中和が行われる。
【0024】
本実施の形態では、イオン引き出し用電極8にエレクトロンポート11を設けるだけで良いので、従来のような熱電子放出用ヒータや別のプラズマ源を設ける方法に比べてコストアップを大きく低減することができる。
【0025】
−第2の実施の形態−
図6は本発明によるイオンビーム装置の第2の実施の形態を示す図である。図6に示す装置は、図1に示す装置において基板ホルダ13に終端抵抗Rtを設けたものである。基板ホルダ13は終端抵抗Rtを介して、基準電位(アース電位)とされたプロセスチャンバ2に接続されている。
【0026】
前述したように、エレクトロンポート11の内部空間はほぼ等電位となっているため、グリッド8a〜8cによってプラズマ源3内に閉じこめられていたプラズマの一部が、エレクトロンポート11を通ってプロセスチャンバ2側に漏れ出ることになる。そのとき、電子31の移動度はアルゴンイオン30の移動度に比べてに大きく、基板12がプラスに帯電しているので、基板12の帯電は電子31によって中和されることになる。
【0027】
エレクトロンポート11の内径d3(図2参照)が大きすぎると、プロセスチャンバ2に漏れ出たプラズマの密度がプラズマ源3内のプラズマ密度と同程度となってしまうが、前述したように内径d3を2〜10mm程度とすると、プロセスチャンバ2内のプラズマ密度がプラズマ源3内のプラズマ密度より十分小さくなり、イオンビームエッチングに支障が生じるようなことはない。
【0028】
図7は、図6に示したイオンビーム装置の原理を説明する概念図である。図8は、図7の概念図をわかりやすいようにより簡略化したものである。Rp,Rn,Rn’はそれぞれ抵抗値を表しており、プロセスチャンバ2内に漏れ出たプラズマの電気伝導度の逆数に比例する量である。Rpはイオン電流に関する抵抗値であり、Rnはプロセスチャンバ内のプラズマとチャンバ壁との間の抵抗値を表している。また、Rn’は基板表面や基板ホルダ表面とプラズマとの間の抵抗値を表している。
【0029】
基板12は絶縁体であったり、絶縁体の膜膜が形成されていたりするため、基板表面と基板ホルダ13との間は絶縁され、電気回路的にはコンデンサCで置き換えたものと等価になる。第1の実施の形態も含めて、抵抗値Rnの部分が帯電の中和作用に寄与している。第1の実施の形態では、基板表面電位はプロセスチャンバ2に漏れ出たプラズマとの接触により確定する。また、従来のニュートラライザを設けている装置では、プロセスチャンバ2内に別のプラズマ励起源をニュートラライザとして設け、ニュートラライザの電位を調整することで、イオンビーム照射対象である基板12の表面の電位を制御するようにしている。
【0030】
ところで、近年は電子デバイスにおける構造の微細化が進み、極微レベルにおける局所的な帯電現象がデバイスに対して致命的なダメージを与えることがある。このことは、上述したチャージアップによるイオンエッチングの低下とは別の問題であり、その耐電圧は5V程度と小さな場合もある。上述したように、基板表面電位をプラズマコンタクトにより確定している場合、基板表面電位と基板裏面電位との電位差、すなわち、基板表面電位と基板ホルダの電位との電位差は、デバイスにとって電界ストレスとなる。これは、図7、8のコンデンサCの両端、すなわち基板表面と裏面との間の電圧ストレスVsで表すことができる。Vsが耐電圧よりも大きくなると、基板12内を過大な電流40が流れてデバイスにダメージを与えてしまう。
【0031】
しかしながら、本実施の形態では基板ホルダ13とチャンバ壁との間に終端抵抗Rtを設けることによって、基板表面電位を下げてデバイスへのダメージを防止するようにしている。図8からも分かるように、終点抵抗Rtを大きくすると、基板ホルダ13の電位が高くなるとともに、基板ホルダと基板表面との電位差が小さくなる。そして、Rtに対するRnの相対的大きさが減少し、Rnの部分を介してチャンバ壁へ流れる電流が増加する。
【0032】
図9は、終端抵抗Rtと基板ホルダ13の表面電位との関係を示したものである。縦軸は表面電位を、横軸は終端抵抗をそれぞれ表しており、縦軸および横軸とも対数目盛で表示している。ラインL1は基板ホルダ表面電位の実測値である。一方、ラインL2は「(終端抵抗)×(イオンビーム電流)」で算出される電位を示したものであり、イオン電流の全てが終端抵抗を流れたと仮定したときの基板ホルダ13の表面電位を表している。
【0033】
図9ではイオン電流を10mAとしている。終端抵抗が1kΩの場合にはラインL1およびラインL2ともに表面電位が10Vとなり、両者が一致している。そのため、イオンビーム電流の全てが基板ホルダ13および終端抵抗Rtを介してイオン加速電源10aへ戻っていると考えることができる。終端抵抗Rtの値を1kΩよりも大きくすると、ラインL1,L2の間に電位の差が生じ、終端抵抗Rtが大きくなるにつれて電位の差も大きくなる。
【0034】
ラインL1とラインL2との間に電位の差が生じるということは、イオンビーム電流の一部が基板ホルダ13および終端抵抗Rt以外の部分を流れてイオン加速電源10aのコールドエンドへ戻っていると考えられる。具体的には、プラズマ領域とプロセスチャンバ2のチャンバ壁との間のRn(図7,8参照)の部分を介してイオン加速電源10aのコールドエンドへと戻っている。そのため、基板ホルダ13を流れる電流が減少し、基板12の表裏面間の電位差も小さくなる。
【0035】
また、所定の終端抵抗Rt=Rt’を境にしてラインL1の傾きが減少し、表面電位の増加の程度がRt<Rt’の場合よりも急激に小さくなっている。すなわち、終端抵抗RtがRt’を越えると基板ホルダ13の表面電位はほぼ飽和し、イオンビーム電流のほとんどが基板ホルダ13以外のRnの部分からチャンバ壁へと流れてイオン加速電源10aに戻るようになる。このように、本実施の形態では、終端抵抗Rtを設けることにより基板12を貫通して流れる電流の量を制限することができる。
【0036】
終端抵抗Rt=1000kΩの場合には、縦横軸が対数表示であることを考慮すると、基板ホルダ13を流れる電流は10mAの内の数%程度となることが分かる。そして、終端抵抗RtをRt>Rt’とすると、基板ホルダ13の表面電位はほぼV’に確定される。このことは、プラズマ状態が変化しても基板ホルダ13の表面電位はV’に確定されて安定していることを意味している。
【0037】
従来のニュートラライザを用いるイオンビーム装置は、イオンビーム源とは別にニュートラライザによりプラズマを発生させて基板帯電を中和するものであり、ニュートラライザのバイアス電圧を調整することによって基板12の表面電位が所定電位内となるように制御している。ところが、イオンビーム源のプラズマ状態が変化すると、それに対応してニュートラライザを調整して基板表面電位が所定電位内となるように制御する必要がある。しかしながら、プラズマ状態が大きく変化したような場合には、その変化に対応できずにニュートラライザのバイアス電圧が過調整状態となって、基板表面電位が所定電位を大きく越えてしまうことがある。
【0038】
一方、本実施の形態では、プロセスチャンバ2側に漏れ出たプラズマが基板12の表面にコンタクトし、イオンビーム電流が基板ホルダ13および終端抵抗Rtを流れることにより電位が確定する。その結果、プラズマ状態に応じた基板表面電位となるため、プラズマ状態が変化しても、その変化に追従して電位が決定され、従来のニュートラライザに見られるような過調整によるダメージ発生という問題が生じない。また、このようなプラズマ状態に応じた電位の確定が、プラズマが安定する方向に再帰的に作用する。
【0039】
なお、終端抵抗RtをRt→∞とした場合においても、すなわち、基板ホルダ13とチャンバ壁との間を絶縁した場合にも、電界ストレスによるデバイスのダメージを回避することができる。ただし、終端抵抗Rtを設けた場合のようなプラズマ安定性への作用という効果は得られない。
【0040】
なお、上述した実施の形態ではイオンビームエッチング装置を例に説明したが、本発明はイオンビームを用いる他の装置に対しても同様に適用することができる。また、プラズマ源に関しても、誘導結合型に限らず容量結合型プラズマ源やフィラメントを用いて熱電子によりプラズマを励起するプラズマ源についても同様に適用できる。さらに、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0041】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、グリッド8aは第1グリッドを、グリッド8bは第2グリッドを、グリッド8cは第3グリッドを、エレクトロンポート11は導電性管状部材を、基板12はビーム照射対象をそれぞれ構成する。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、導電性管状部材の内部空間は第2グリッドの電位の影響を受けないので、プラズマ生成領域の電子は導電性管状部材を介してプラズマ生成領域外へと容易に移動することができる。そのため、本発明のイオン源を備えたイオンビーム装置においては、イオンビーム照射対象のチャージアップ現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオンビーム装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】イオン引き出し用電極8の断面の一部を示す模式図である。
【図3】エレクトロンポート11の斜視図である。
【図4】エレクトロンポート11をグリッド8cに設けた場合を示す図である。
【図5】エレクトロンポート11を設けた場合の、導電性材料(Si、NiFe)と絶縁性材料(SiO2、アルミナ)に関するエッチング速度を示した図である。
【図6】本発明によるイオンビーム装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図7】図6に示したイオンビーム装置の原理を説明する概念図である。
【図8】図7の概念図をわかりやすいようにより簡略化した図である。
【図9】終端抵抗Rtと基板ホルダ13の表面電位との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 イオン源
2 プロセスチャンバ
3 プラズマ源
5 励起コイル
8 イオン引き出し用電極
8a〜8c グリッド
9 プラズマチャンバ
10a,10b グリッド電源
11 エレクトロンポート
11a フランジ部
11b 管状部
12 基板
30 アルゴンイオン
31 電子
80a〜80c 孔
Rt 終端抵抗
Claims (5)
- プラズマ生成手段と、
正電位の第1グリッドおよび負電位の第2グリッドを有し、前記プラズマ生成手段のプラズマ生成領域からイオンを引き出すイオン引き出し用電極と、
前記プラズマ生成領域の電子に対する前記第2グリッドの電位の影響を除去し、前記プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する連通部とを備え、
前記連通部は、前記第1グリッドと同一電位となるように前記イオン引き出し用電極に設けられて、前記プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する導電性管状部材であることを特徴とするイオン源。 - プラズマ生成手段と、
正電位の第1グリッドおよび負電位の第2グリッドを有し、前記プラズマ生成手段のプラズマ生成領域からイオンを引き出すイオン引き出し用電極と、
前記プラズマ生成領域の電子に対する前記第2グリッドの電位の影響を除去し、前記プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する連通部と、
前記第1および第2グリッドに加えてアース電位の第3グリッドとを備え、
前記連通部は、前記第3グリッドと同一電位となるように前記イオン引き出し用電極に設けられて、前記プラズマ生成領域とプラズマ生成領域外とを連通する導電性管状部材であることを特徴とするイオン源。 - 請求項1または2に記載のイオン源を備え、前記イオン源からのイオンビームをビーム照射対象に照射するイオンビーム装置。
- 請求項3に記載のイオンビーム装置において、
前記ビーム照射対象と前記第1グリッドに正電位を与える電源のコールドエンドとの間を電気的に絶縁したことを特徴とするイオンビーム装置。 - 請求項4に記載のイオンビーム装置において、
前記ビーム照射対象と前記電源のコールドエンドとの間を接続する電気抵抗体を設けたことを特徴とするイオンビーム装置。
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