JP4154983B2 - 危険物探知装置及び危険物探知方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は爆発物の探知技術に係わり、特に質量分析計を用いた危険物探知装置及び危険物探知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
国際紛争の深刻化に伴い、テロの防止や治安維持のため、爆発物を探知するための探知装置が求められている。探知装置では、X線透過を用いた手荷物検査装置が空港を中心に広く用いられている。X線探知装置などは、対象を塊として認識し、形状等の情報から危険物を判別するため、バルク検出と呼ばれる。
【0003】
一方、ガス分析をベースとした探知法はトレース検出と呼ばれ、化学分析情報から物質の同定を行う。トレース検出には、カバンなどに付着した極微量の成分を探知できるという特徴がある。社会的にセキュリティ強化が求められる中、バルク検出とトレース検出とを組み合わせて、より高精度に危険物を探知する装置が望まれている。
【0004】
トレース検出では、イオンモビリティスペクトロスコピー、ガスクロマトグラフィなど様々な分析方法が試みられている。探知装置として重要なスピード、感度、選択性を全て兼ね備えた装置の開発に向けて研究が進められている。
【0005】
このような状況のなか、質量分析法は基本的にスピード、感度、選択性に優れているため、例えば、特許文献1に記載のように、質量分析法をベースとした探知技術が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−134970号公報
図11は、特許文献1に記載の従来技術の、薬物を連続して検出可能な大気圧イオン化質量分析計の構成を示す図である。空気取り入れプローブ1は絶縁パイプ2を介してイオン源3に接続される。イオン源3は排気口4、絶縁パイプ5を介し空気排気用ポンプ6に接続される。イオン源3は針電極7と第1細孔電極8と中間圧力部9と第2細孔電極10とを備える。針電極7は電源11に接続され、第1細孔電極8と第2細孔電極10はイオン加速電源12に接続される。中間圧力部9は排気口13を介し真空ポンプに接続される。
中間圧力部9の後段に静電レンズ14が配置され、静電レンズ14の後段に質量分析部15、検出器16が配置される。検出器16からの検出信号は増幅器17からデータ処理部18に供給される。データ処理部18は特定の薬物を示す複数のm/z(イオンの質量数/イオンの価数)値を判定し、被検気体に特定の薬物が含まれているか否かを判定する。
【0007】
このデータ処理部18は、質量判定部101、薬物A判定部102、薬物B判定部103、薬物C判定部104と警報駆動部105とを備えている。また、警報駆動部105により駆動される警報表示部19には、表示部106、107、108が配置されている。薬物A、B、Cの例として、覚醒剤、大麻、麻薬が記載されている。
【0008】
ニトロ化合物などの軍用爆薬の探知方法は、特許文献2に詳述されているので省略する。
【0009】
【特許文献2】
特開2000−28579号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、次のような課題があった。我が国において、爆発物を用いた事件の際、爆薬には黒色火薬が使用される場合が多い。これは、プラスチック爆弾その他の破壊力の大きい軍事用爆薬の入手が困難であるのに対して、黒色火薬は花火をほぐすなどの手段により一般人でも用意に入手することができるためである。最近でも、黒色火薬を金属筒などに詰めて作成した簡易爆発物を用いた事件が何件か報告されている。従って、公園や電車内などに放置されている不審物が発見された場合に、黒色火薬の有無を探知することは、不審物が爆発物か否かを判定する上で非常に重要である。
【0011】
黒色火薬は、炭、硫黄、硝酸カリウムという無機物の混合物であり、これらの成分は常温ではほとんど蒸気圧を持たない。また、上記従来技術は、有機物に対して有効な検出法であるが、基本的に無機物の検出は困難であると考えられていた。従って、図11に示した従来技術の探知装置において、黒色火薬を探知することは困難であった。
【0012】
また、手荷物検査などで用いられるX線探知装置では黒色火薬は見つけ難いため、十分な経験を積んだ検査官でないと隠された黒色火薬を見落とす恐れが有る。以上のような理由により、黒色火薬を簡便に探知できる装置が求められていた。
【0013】
本発明の目的は、黒色火薬の探知が可能な危険物探知装置及び危険物探知方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、カバン、被服などの検査対象物に付着している微粒子を濾紙などを用いて拭き取り、拭き取った微粒子を加熱気化させて発生したガスを質量分析計に導入し、黒色火薬の成分である硫黄の多量体を検出することにより黒色火薬を探知する。
【0015】
本発明の危険物探知装置では、検査対象に付着した微粒子を清浄な部材に採取して、この部材を加熱手段により加熱して、加熱により発生したガスを負のコロナ放電によるイオン源でイオン化する。イオン源で生成された負イオンを質量分析部で質量分析する。黒色火薬を同定する質量スペクトルデータを含むデータベースが記憶装置に記憶されている。記憶装置からデータベースを呼びだして、データベースと、イオンの質量分析の結果得れる質量スペクトルとを照合して、硫黄の多量体の存在の有無を検出して黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。また、32のn倍(n=2、3、4、5)のm/z(イオンの質量数/イオンの価数)をもつ負イオンのうち少なくとも一つの負イオンの強度をモニタ手段でモニタすることにより黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。さらに、負のコロナ放電イオン源で生成した32のn倍(nは2、3、4、5の少なくとも1つである)のm/zをもつ負イオンに対して質量分析部でタンデム質量分析を行ない、32のn倍(nは1、2、3、4の少なくとも1つである)のm/zをもつ負イオンの強度をモニタ手段でモニタすることにより黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。
【0016】
本発明の危険物探知方法では、検査対象に付着した微粒子を採取し、採取された微粒子を加熱して、加熱により発生したガスを負のコロナ放電でイオン化する。生成された負イオンを質量分析し、硫黄の多量体に由来する信号の有無を検出することにより黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。即ち、黒色火薬を同定する質量スペクトルデータを含むデータベースと、負イオンの質量分析の結果得れる質量スペクトルとを照合して、硫黄の多量体の存在の有無を検出して黒色火薬を同定する。
また、負のコロナ放電で生成された負イオンを質量分析し、32のn倍(n=2、3、4、5)のm/zをもつ負イオンのうち少なくとも一つの負イオンの強度をモニタすることにより黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。さらに、負のコロナ放電で生成する、32のn倍(nは2、3、4、5の少なくとも1つである)のm/zをもつ負イオンに対してタンデム質量分析を行ない、32のn倍(nは1、2、3、4の少なくとも1つである)のm/zをもつ負イオンの強度をモニタすることにより黒色火薬を同定して、黒色火薬の探知を行なう。
【0017】
以上説明した本発明の危険物探知装置及び危険物探知方法では、検査対象に付着した微粒子を、清浄な採取用の部材に採取、又は、試料採取装置に採取する。採取用の部材を100°C〜150°Cに加熱して発生したガスを負のコロナ放電イオン源でイオン化する。採取用の部材としては、布(例えば、コットン製の布)、濾紙、試験紙、金属性のフイルタ等が使用される。実施例で詳述する、吸引型の試料採取装置、ホース式の吸気部と加熱機構を有し採取された微粒子からガスを生成させる機能をもつ試料採取装置、空気噴出口から噴出される空気により衣服等に付着していた微粒子が剥離させて浮遊させ、浮遊した微粒子を吸気口から吸引するゲート式の試料採取装置(ホース式の吸気部と加熱機構を有し採取された微粒子からガスを生成させる機能をもつ)は、上記の採取用の部材の何れかを使用する。
【0018】
負のコロナ放電イオン源によるイオン化により硫黄の多量体が検出可能なことが、本発明により確認され、硫黄は黒色火薬の主成分の一つで有ることを利用して、黒色火薬の探知が可能となり、手荷物検査、身体検査等の実施が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施例の危険物探知装置の外観を示す斜視図である。危険物探知装置は濾紙挿入口20を有する濾紙加熱部21、分析部22、表示部23より構成される。図1に示す危険物探知装置は装置下部に配置される車輪により移動可能である。
【0021】
花火をほぐして火薬を集め爆発物を作成したり、爆発物を運搬する過程において、極微量の黒色火薬が火薬を取り扱った人物の手や皮膚、服などに付着する。この人物がカバンなどの身の回りの物を扱うと、これらの身の回りの物にも火薬が付着することになる。そこで、布や濾紙の様な清浄で柔らかい素材(以下では試験紙と記載するが、材質は必ずしも紙でなくとも良い)で、検査対象(探知対象物)であるカバンなどの表面などを拭い取り、試験紙を濾紙挿入口20を介して濾紙加熱部21に挿入する。濾紙加熱部21で試験紙が加熱されるので、試験紙に付着していた化学物質は気化し、分析部22により分析される。分析部22には、黒色火薬由来の信号に関わる情報が登録されたデータベースが設けられている。分析された結果と、データベースに登録された情報から、黒色火薬に特有の所定の信号が検出されたと認められた場合には、表示部23に警報を表示する。
【0022】
図2は本発明の実施例の濾紙加熱部(オーブン)の構成の一例を示す断面図である。検査対象物を拭き取った濾紙24を、スライド式のトレー25に置く。濾紙24の置かれたトレー25は、トレーホルダ26に挿入される。トレー25が所定の位置に押し込まれたことをセンサー27が感知し、トレーホルダ26の上部に設けられたハロゲンランプ28が点灯する。ハロゲンランプ28からの熱線により、濾紙24は加熱され、濾紙24に付着していた物質は気化する。加熱温度は100°C以上が望ましい。濾紙24から発生したガスは、空気取り入れ管29から取り込まれた空気と一緒に、ガス導入管31を介して分析部22に送られる。空気取り入れ管29には、ホコリなどを除去するためのフィルタ30を設けると良い。また、濾紙加熱部は高温になるため、安全のため断熱を施したカバー32や取っ手35を設けると良い。
【0023】
図3は本発明の実施例の危険物探知装置のイオン源、分析部の構成の一例を示す図である。イオン源には針電極33が配置され、対向電極34との間に高電圧が印加される。針電極33の先端付近にコロナ放電が発生し、まず窒素、酸素、水蒸気などがイオン化される。これらのイオンは一次イオンと呼ばれる。一次イオンは、電界により対向電極34側に移動する。ガス導入管を介して供給されるガスは、吸気ポンプ36により、対向電極34に設けられた開口部35を介して針電極33側に流れ、一次イオンと反応することによりイオン化される。
【0024】
対向電極34と細孔付電極37aとの間には1kV程度の電位差があり、イオンは細孔付電極37a方向に移動して、細孔38aを介して差動排気部39に取り込まれる。差動排気部39では断熱膨張が起こり、イオンに溶媒分子などが付着する、いわゆるクラスタリングが起きる。クラスタリングを軽減するため、細孔付電極37a、37bをヒーターなどで加熱することが望ましい。
【0025】
図3に示した構造のイオン源を用いると、コロナ放電で生成された一次イオンは、針電極33と対向電極34との間の電位差で対向電極34の方向に移動し、更に、開口部35を通って細孔付電極37a方向へと移動する。ガスは対向電極34と細孔付電極37aとの間に供給されるので、一次イオンとガスとの反応が起きる。コロナ放電で生じた中性のNOなどは、ガスが対向電極34から針電極33の方向に流れているので、ガスの流れにより除去され、一次イオンと試料とのイオン化反応が起きる領域には流れにくい。この様に、コロナ放電による一次イオンの生成領域と、一次イオンと試料とのイオン化反応領域とを切り分け、イオン化領域にコロナ放電で生じた中性分子が流入することを防止することにより、試料由来のNOなどを分析することができる。
【0026】
以上の様に、大気中のコロナ放電を利用して1次イオンを生成し、この1次イオンとガスとの化学反応を利用してガス中の化学物質をイオン化する方法は大気圧化学イオン化と呼ばれる。針電極33に負の高電圧を印可して負イオンを生成する負イオン化モードの場合、1次イオンは酸素分子のイオン(O )である場合が多い。代表的な負イオン化反応を以下に示す。Mはガス中の分子を表す。M+O →M+O
この様にして生成されたイオンは、細孔付電極37aに開口する第一のイオン導入細孔38a、排気系40aにより排気された差動排気部39、細孔付電極37bに開口する第二のイオン導入細孔38bを介して、排気系40bにより排気された真空部41に導入される。細孔付電極37aと37bとの間には、ドリフト電圧と呼ばれる電圧が印可される。ドリフト電圧には、差動排気部39に取り込まれたイオンを第二のイオン導入細孔38bの方向にドリフトさせることで、イオン導入細孔38bのイオン透過率を向上させる効果と、差動排気部39に残留しているガス分子とイオンとを衝突させることでイオンに付着している水などの溶媒分子を脱離させる効果がある。細孔付電極37bには、さらに加速電圧が印加される。この加速電圧は、イオンがエンドキャップ電極42aに設けられた開口部を通過する際のエネルギー(入射エネルギー)に影響する。
【0027】
イオントラップ質量分析器のイオン閉じ込め効率は、イオンの入射エネルギーに依存するので、閉じ込め効率が高くなるように加速電圧を設定する。真空部41に導入されたイオンは、イオン集束レンズ43により収束された後、エンドキャップ電極42a、42b、及び、リング電極44により構成されるイオントラップ質量分析器に導入される。エンドキャップ電極42a、42bとリング電極44とは、石英リング45により保持される。
【0028】
質量分析器には、ガス供給器46からガス導入管47を介してヘリウムなどの衝突ガスが導入される。ゲート電極48は、イオントラップ質量分析器へのイオン入射のタイミングを制御するために設けられている。質量分析されて質量分析器の外に排出されたイオンは、変換電極49、シンチレータ50、フォトマルチプライヤ51で構成される検出器により検出される。イオンは、イオンを加速する電圧が印加された変換電極49に衝突する。イオンと変換電極49の衝突により、変換電極49の表面より荷電粒子が放出される。この荷電粒子をシンチレータ50により検知し、信号をフォトマルチプライヤ51で増幅する。検出された信号はデータ処理装置52に送られる。
【0029】
データ処理装置52の記憶装置には、黒色火薬に由来する信号に関わる情報が登録されたデータベースが記憶されている。質量分析器分離され検出された信号と、データベースに登録された情報との比較から、黒色火薬に特有の所定の信号が検出されたか否かを調べる。データベースは、黒色火薬を用いて計測された質量スペクトル(図4で説明する)から決定された、硫黄の単量体、多量体によるピークが検出される位置(m/z値)、ピークの相対強度比を含む質量スペクトルデータを含んでいる。また、データベースは、黒色火薬の質量スペクトル中に検出された硫黄の多量体のタンデム質量分析(図5で説明する)で計測された質量スペクトルから決定された、硫黄の単量体、多量体によるピークが検出される位置(m/z値)、ピークの相対強度比を含む質量スペクトルデータを含んでいる。
【0030】
データ処理装置52では、以下の説明で検出される硫黄の多量体に対応するm/zをもつ負イオンを同定し、硫黄の多量体に対応するm/zをもつ負イオンの信号強度を求めると共に、求められた硫黄の多量体の信号強度の間での比を、安定に存在する硫黄の同位体比から求められる硫黄の多量体の間での強度比とを比較して、硫黄の多量体が検出されたか否かを検定する。硫黄の多量体が検出された場合には、表示部23に警報を表示する。この警報の表示は、注意を集めるため高音の発生、赤色警報灯の点滅によって行なう。
【0031】
図4は、本発明の実施例で得られた黒色火薬の質量スペクトルを示す図である。市販の花火の袋の外側を、コットン製の布で丁寧にふき取り、図1の装置にセットした。コットン製の布の加熱温度は150°Cとした。負イオン化モードにより、m/z(分子量をイオンの価数で割った値)96の位置に、硫黄の三量体(S)に由来するS のイオン(S、m/z=96)が明瞭に検出された。また、ニ量体(S、m/z=64)、四量体(S、m/z=128)や、三量体の安定同位体(S32 34、m/z=98)の負イオンによる信号も得られた。さらに、より高いm/zまで測定したところ、五量体(S、m/z=160)の負イオンによる信号も確認できた。従って、これらの硫黄の成分を検出することにより、黒色火薬を探知することができる。
【0032】
硫黄の安定同位体比から三量体の同位体比を求めると、S32 とS32 34の比率は約7.5になる。実際の測定では測定誤差の影響などで必ずしも正確にこの比になるわけではないが、m/z=96に信号が得られた場合に、m/z=98の信号とを比較し、m/z=96とm/z=98の強度比が6倍から9倍程度の場合に警報を発する様にすれば、m/z=96の強度だけで警報を発する場合に比べて誤報を低くすることができる。
【0033】
図5は、本発明の実施例において、最も強く信号が観測された三量体由来のイオン(S 、m/z=96)に対して、タンデム質量分析を試みた結果である。タンデム質量分析とは、分子イオンの構造を調べる目的で、分子イオン(プリカーサーイオン)にエネルギーを加えて分解させ、分解して得られたイオン(フラグメントイオン)を検出する方法である。図3に示したイオントラップ質量分析器を用いてタンデム質量分析を行なう方法は良く知られているので、ここでは記載を省略する。図5に示した様に、三量体のイオン(S )を分解させるとニ量体(S 、m/z=64)と単量体(S、m/z=32)のイオンが得られる。図4の様な質量スペクトルに基づき判定する場合では、試験紙に黒色火薬が付着していなくても、別の成分が偶然m/z=96の信号を与える場合が有り、この様な場合は誤報として表示部23に警報が表示されてしまう。そこで、質量スペクトルにおいてm/z=96のイオンが得られた場合に、タンデム質量分析を行なってm/z=64とm/z=32のイオンが生成されることを確認すれば、より高い確率で硫黄の存在を特定することができる。
【0034】
なお、図4、図5の結果を得るに先立って、使用したコットン製の布だけを上記で説明した温度で加熱して負イオンを検出したが、硫黄の多量体は検出されないことを確認している。
【0035】
負の大気圧化学イオン化質量分析法によりガス状の硫黄の多量体が検出可能であるという事実はこれまで知られていなかった。硫黄は黒色火薬の主成分の一つで有るため、硫黄が検出されれば黒色火薬を所持している可能性が高いと判断でき、手荷物検査や身体検査などを実施することができる。従って、本発明により、黒色火薬の探知が可能となった。
【0036】
なお、プラスチック爆弾等の軍用爆薬に特有の質量スペクトルデータをデータベースに登録しておくことにより、黒色火薬と同時にニトロ化合物などの他の爆薬も同定して検出することが出来るのは言うまでも無い。ニトロ化合物などの軍用爆薬の探知方法は、特開文献2に詳しいので省略する。軍用爆薬に使用されるニトロ化合物の質量スペクトルデータをデータベースに登録しておき、ガスを発生させるための加熱器の温度を少なくとも200°C、又は、200°C以上にして生成するイオンを、先に説明したように質量分析して、1回の質量分析によって、黒色火薬の同定とニトロ化合物の同定とを同時に行なうこともできる。
【0037】
上述の様に、硫黄の多量体を用いて黒色火薬を同定して探知する場合には、加熱温度は100°C以上で良い。ただし、他の軍用爆薬、例えば、プラスチック爆弾の主成分であるヘキソーゲンやペンスリットと同時に黒色火薬を同定して探知する場合には、これらの爆薬の蒸気圧が非常に低いので、ガスを効率良く発生させるために加熱器の温度を少なくとも200°C、又は、200°C以上にすると良い。加熱温度を200°C以上にしても、硫黄の多量体の検出に悪影響を及ぼす事はない。
【0038】
検査対象(探知対象物)の表面を拭い取る作業において、通常の手荷物検査等では、清浄な手袋をした作業員が試験紙を持ち、手作業によりカバン、取っ手、服その他を丁寧に拭き取ることになる。しかし、本発明の要点は黒色火薬の主成分である硫黄の蒸気を検出することにあるので、検査対象物の表面に付着した微粒子を採取し、その微粒子を十分に加熱することができれば探知することができる。そこで、微粒子の採取方法について、いくつかの例について説明する。
【0039】
検査対象(探知対象物)と、図1に示した様な危険物探知装置との距離が離れている場合、拭き取った試験紙を運ぶ過程で試験紙に汚れが付着し、誤った検出結果を与える恐れがある。この様な状況では、ハンディ掃除機と同様の構成をもつ吸引型の試料採取装置を用いて検査対象物の表面を吸引し、微粒子を試料採取装置内のフィルタに付着させるとよい。この試料採取装置を危険物探知装置まで運び、フィルタを取り出して危険物探知装置にセットすれば、運搬の過程での汚れを軽減でき、黒色火薬の探知が可能である。
【0040】
また、図6は、本発明の実施例における、公園の木陰などに不審物54が放置されていた場合の、不審物からの微粒子の採取法を示す図である。不審物に近寄ると危険が増大するため、簡単には拭き取り補助器具55を用いて数メートル離れた位置から拭き取り作業を行なうと良い。万が一、作業中に不審物が爆発しても、爆発の威力は距離に応じて減少するので、多少なりとも危険を低減することができる。
【0041】
図7は、本発明の実施例における拭き取り補助具55の構造を示す断面図である。数メートルの長さのロッド56の先端に、丸みを帯びたヘッド57を取り付ける。ヘッド57の外側に濾紙24を被せ、濾紙24が落ちない様にゴムバンドの如きストッパー58により固定する。ヘッド57に丸みを持たせるのは、様々な形状の不審物に対する拭き取りのしやすさを考慮したためである。自走式掃除機と同様の構成をもつ、微粒子を吸引してフイルタに捕捉する試料採取装置を不審物に近づけ、付着している微粒子を吸引しても良い。
【0042】
図8は、本発明の実施例のホース式の吸気部を有する試料採取装置を具備する危険物探知装置の斜視図である。ホース式吸気部63を検査対象物に近づけ、検査対象物に付着した火薬を探知装置に吸引して引き込む。図8に示す危険物探知装置は装置下部に配置される車輪により移動可能である。
【0043】
図9は、本発明の実施例の試料採取装置のホース式吸気部63の構造を示す断面図である。ホース式吸気部63は、吸気部64、難燃性のフィルタ65、配管66により構成される。吸気部64の近傍には、吸気部64を移動させるのに便利な取っ手67が設けられる。取っ手67にはスイッチ68が設けられ、まず吸気モードを使用して微粒子を吸引する。吸気モードでは流量毎分100リットルから1000リットル程度で吸引し、対象に付着していた微粒子をフィルタ65に付着させる。
【0044】
次に、スイッチ68を検出モードに切り替える。検出モードでは、吸気部64から吸気する大気の流量を毎分1リットルから2リットル程度にし、かつ、ガス加熱ヒーター69を用いてガスを100°C〜150°Cに暖める。また、フィルタ加熱ヒーター70でフィルタ65を、100°C〜150°Cに加熱する。これらの加熱されたガスとフィルタにより、フィルタ65に付着した微粒子が加熱され、ガスが発生する。発生したガスは配管66を介して分析部22に送られ、分析される。分析部22では、先の説明と同様にして、負イオン化モードにより、硫黄の、三量体(S、m/z=96)、ニ量体(S、m/z=64)、四量体(S、m/z=128)、三量体の安定同位体(S32 34、m/z=98)、五量体(S、m/z=160)に由来する信号を検出する。
【0045】
なお、配管66は、不純物分子が配管66の内壁面に吸着するのを防止するために、吸気モード、検出モード問わず、配管ヒーター71により200°C程度に加熱しておくと良い。また、安全のため、加熱される部分の外側には断熱材72a、72bを設けると良い。
【0046】
図10は、本発明の実施例におけるゲート式の試料採取装置と図8に示す危険物探知装置62から構成されるゲート式危険物探知装置を示す斜視図である。人がゲート59に入ると、ゲート59の両サイドに設けられる空気噴出口60a、60bから空気が噴出される。この空気により、衣服等に付着していた微粒子が剥離し、浮遊する。この浮遊した微粒子を、ゲート59の壁面や天井、床などに設けられている吸気口61から吸引する。吸気口61から吸引された微粒子は、図9に示すホース式吸気部63と同様の構造を有する図示しないホース式吸気部に導かれる。このホース式吸気部は、図9に示すホース式吸気部63と同様にして操作され、フィルタに付着した微粒子が100°C〜150°Cに加熱され、ガスが発生する。発生したガスは配管を介して分析部22に送られ、分析される。硫黄の多量体を検出するプロセスは、図8に示したホース式の吸気部を有する危険物探知装置の場合と同等であるので省略する。この様なゲート式危険物探知装置を用いると、直接チェックしたい人に手を触れなくても黒色火薬の探知が出来るので、プライバシー等を保てると言う利点がある。
【0047】
本発明によれば、手荷物や不審物の表面を拭き取って探知装置でチェックすることにより、黒色火薬の有無を確認することができる。これにより、手荷物や不審物に爆発物が入っているか否かを判別できる。また、子供が不用意に花火類を航空機等に持ち込むのを防止できる。従って、テロや犯罪、偶発的な爆発事故などを事前に防止することが可能になる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、黒色火薬の探知が可能な危険物探知装置及び危険物探知方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の危険物探知装置の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例のオーブンの構成の一例を示す断面図。
【図3】本発明の実施例の危険物探知装置のイオン源、分析部の構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例で得られた黒色火薬の質量スペクトルを示す図。
【図5】本発明の実施例において、最も強く信号が観測された三量体由来のイオンに対するタンデム質量分析時の質量スペクトルを示す図。
【図6】本発明の実施例における不審物からの微粒子の採取法を示す図。
【図7】本発明の実施例における拭き取り補助具の構造を示す断面図。
【図8】本発明の実施例のホース式の吸気部を有する試料採取装置を具備する危険物探知装置の斜視図。
【図9】本発明の実施例の試料採取装置のホース式吸気部の構造を示す断面図。
【図10】本発明の実施例におけるゲート式の試料採取装置と図8に示す危険物探知装置から構成されるゲート式危険物探知装置を示す斜視図。
【図11】従来技術の、薬物を連続して検出可能な大気圧イオン化質量分析計の構成を示す図。
【符号の説明】
1…空気取り入れプローブ、2…絶縁パイプ、3…イオン源、4…排気口、5…絶縁パイプ、6…空気排気用ポンプ、7…針電極、8…第1細孔電極、9…中間圧力部、10…第2細孔電極、11…電源、12…イオン加速電源、13…排気口、14…静電レンズ、15…質量分析部、16…検出器、17…増幅器、18…データ処理部、19…警報表示部、20…濾紙挿入口、21…濾紙加熱部、22…分析部、23…表示部、24…濾紙、25…トレー、26…トレーホルダー、27…センサー、28…ハロゲンランプ、29…空気取り込み官、30…フィルタ、31…ガス導入管、32…カバー、33…針電極、34…対向電極、35…開口部、36…吸気ポンプ、37a、37b…細孔付電極、38a、38b…細孔、39…差動排気部、40a、40b…排気系、41…真空部、42a、42b…エンドキャップ電極、43…イオン収束レンズ、44…リング電極、45…石英リング、46…ガス供給器、47…ガス導入管、48…ゲート電極、49…変換電極、50…シンチレータ、51…フォトマルチプライヤ、52…データ処理装置、53…取っ手、54…不審物、55…拭き取り補助器具、56…ロッド、57…ヘッド、58…ストッパー、59…ゲート、60a、60b…空気噴出口、61…吸気口、62…ホース式の吸気部を有する危険物探知装置、63…ホース式吸気部、64…吸気部、65…フィルタ、66…配管、67…取っ手、68…スイッチ、69…ガス加熱用ヒーター、70…フィルタ用ヒーター、71…配管用ヒーター、72a、72b…断熱材、101…質量判定部、102…薬物A判定部、103…薬物B判定部、104…薬物C判定部、105…警報駆動部、106、107、108…表示部。

Claims (5)

  1. 検査対象に付着した微粒子を採取するための部材と、
    前記部材を加熱する加熱手段と、
    加熱により発生したガスを負のコロナ放電でイオン化するイオン源と、
    前記イオン源で生成されたイオンを質量分析する質量分析部と、
    黒色火薬を同定する質量スペクトルデータを含むデータベースが記憶される記憶装置と
    前記データベースと、前記イオンの質量分析の結果得られる質量スペクトルとを照合して、m/z 96 とm/z 98 の信号がともに得られる場合に、警報を発する手段とを有することを特徴とする危険物探知装置。
  2. 前記警報を発する手段は、前記m/z96の信号が、前記m/z98の信号に対し、6倍から9倍である場合に、前記警報を発することを特徴とする請求項1記載の危険物探知装置。
  3. 検査対象に付着した微粒子を採取する採取工程と、
    採取された微粒子を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で発生したガスを負のコロナ放電でイオン化するイオン化工程と、
    前記イオン化工程で生成されたイオンを質量分析する分析工程と、
    黒色火薬を同定する質量スペクトルデータを含むデータベースと、前記分析工程で得られる質量スペクトルとを照合する工程と、
    m/z96とm/z98の信号がともに得られる場合に、警報を発する工程とを有することを特徴とする危険物探知方法。
  4. 前記警報を発する工程は、前記m/z96の信号が、前記m/z98の信号に対し、6倍から9倍である場合に、前記警報を発することを特徴とする請求項3記載の危険物探知方法。
  5. 更に、タンデム分析を行い、m/z64とm/z32の信号が得られることを確認する工程を有することを特徴とする請求項3記載の危険物探知方法。
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