以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の着目している点を分りやすくするために、現行の光ディスクにおけるデータ構造と、その再生手段、或は記録手段などを説明する。
DVD(デジタルバーサタイルディスク;DigitalVersatileDisc)規格はDVDフォーラムで作成した規格書に記載されている。ここでは“メインデータ(MainData)のスクランブル(Scramble)方法”、“セクター内のデータ構造”、“ECC(ErrorCorrectionCode)ブロックの構成方法”、“SYNCCode(Synchronouscode:再生時の同期合わせコード)のパターンとその挿入方法”、が、全て再生専用の情報記憶媒体(DVD−ROM)、追記可能な情報記憶媒体(DVD−R)、書き換え可能な情報記憶媒体(DVD−RWまたはDVD−RAM)で共通化されており、再生時のフォーマット上の互換性を確保している。
本発明においては、上記のように記録フォーマット(情報記憶媒体上に記録される情報のデータ構造)が、再生専用の情報記憶媒体(DVD−ROM)、追記可能な情報記憶媒体(DVD−R)、書き換え可能な情報記憶媒体(DVD−RWまたはDVD−RAM)で共通化され、再生時のフォーマット上の互換性を確保している情報記憶媒体の事を“多目的情報記憶媒体(DigitalVersatileDisk)”、(再生専用目的、追記目的、書き換え目的のそれぞれの目的に適応できるの意味)と定義する。
[各種ディスクに対して着目した点]
ここで、各種光ディスクの特徴を述べ、その問題点についても述べる。
(A) 追記可能な情報記憶媒体としてDVD−Rが現存している。
DVD−Rは再生専用情報記憶媒体であるDVD−ROMと全く同じフォーマットでデータが記録され、一連の記録終了位置にはスクランブル・変調前の元データとしてネクストボーダーマーカー(“NextBorderMarker”)、記録後に“00”の繰り返しデータが長期間記録されているボーダーアウトエリア(BorderoutArea)を記録する。
その後、更に新たな情報を追記する場合には、BorderoutAreaの後にボーダーインエリア(BorderinArea)を記録した後、ユーザ情報(DVD−ROMと全く同じフォーマット)を記録し、ユーザ情報記録終了後に再びBorderoutAreaを記録する。
そのような方法を採用した場合には1枚の情報記憶媒体上で頻繁にユーザ情報の追記を行うとBorderout/Borderinのユーザ情報から見た場合の不要な記録領域が増え、1枚の情報記憶媒体上に記録可能なユーザ情報量が低下する(記録効率の低下が発生する)と言う問題が発生する。
このように追記毎にBorderin/Borderoutを記録する必要な理由としては以下のような理由がある。
(A1) 理由:アクセス時のトラッキング安定性を確保するため。
DVD−ROMの規格化と製品化の後でDVD−Rの規格化と製品化が行われた。DVD−Rディスク(追記形情報記憶媒体)に記録された情報は、既に先に製品化されたDVD−ROMディスクに対する再生専用の情報再生装置で再生可能な必要が有った。現在DVD−ROMディスク再生時に行われるトラックずれ検出方法はほとんどがDPD(位相差検出;DifferentialPhaseDetection)法が用いられている。
未記録状態でのDVD−Rディスクは連続溝(Pregroove)が形成され、未記録場所でのトラックずれ検出法はプッシュプル(Push-Pull)法が利用されている。DVD−Rディスクでの既記録領域では上記の理由からDPD法でトラックずれ検出が可能になっている。
従ってDVD−Rディスクでは既記録領域と未記録領域ではトラックずれ検出方法が異なる。この様な状況では例えば光学ヘッド全体を移動させて再生位置を移動させる粗アクセスを行った直後からの既記録領域のデータ再生を試みた時に、粗アクセスの段階で光学ヘッドが誤って未記録領域に移動し、トラッキングを掛けようとするとDPDでのトラックずれ検出が不可能なためトラッキングが掛からないと言う問題が生じる。そこで、Borderin/Borderoutを記録することでトラッキングが安定化するようにしている。
(A2) 理由:追記前の既記録領域データと追記後のデータ間の同期ずれの問題点を解決するため。
DVD−Rディスク上で既記録領域の直後から別のデータをDVD−ROMのフォーマットに則って追記した場合の問題点を説明する。この場合には情報記録再生装置内の記録パルス作成用に用いられる基準クロックの周波数と位相がその直前に存在する既記録領域のデータを記録した時の(過去の)基準クロックの周波数と位相が完全に一致できないため、追記前の既記録領域データと追記後のデータ間の同期ずれが発生する。従ってこのように追記した場合には、追記開始位置を境界としてその前後のデータ間で位相ずれが発生し、ビットシフトエラーが発生しやすくなる。そのため、新たに追記する場合には追記前の既記録領域の後ろにBorderoutAreaを配置し、また追記場所ではユーザデータを記録する前にBorderinAreaを配置する事で追記開始位置を境界としたその前後のユーザデータ間の物理的距離を離し、BorderinArea内で情報再生装置の同期合わせをし直す事で追記開始位置を境界とした前後のユーザデータ位置での同期合わせ精度を確保している。
(B) 書き換え可能な情報記憶媒体としてDVD−RWが存在している。
DVD−RWでの情報の書き換え方法としてリストリクテッドオーバーライト(RestrictedOverwrite)と言う記録方法が有る。この方法は上記のBorderin/Borderoutを記録せずに、既に記録されたデータの後から次のデータを追記または書き換えが可能な記録方法である。
しかしこのRestrictedOverwriteによる記録方法は既に記録されたデータの一部を破壊して新データの書き換えを行うため、既に記録されたデータの信頼性を著しく低下させてしまう。このようにRestrictedOverwriteによる記録方法を用いた場合に既に記録されたデータの一部を破壊する理由(問題点)は下記の通りとなる。
(B1) 追記または書き換え情報を再生するために必要な同期合わせ準備領域がDVD−ROMには存在しない。
即ち、現状のDVD−ROMではAV(Audio&Video)情報の再生やプログラムのインストールを主な主目的としているため、アクセスの高速性への要求や再生開始時間までの時間短縮への要求がそれ程大きく無い。従って現状のDVD−ROMに記録されているデータのデータ構造として特定の同期合わせ用の情報として用いられるVFO(可変周波数オシレータ;VariableFrequencyOscillator)の記録領域が無くユーザデータが連続して記録されたデータ構造を取っている。
情報再生装置がDVD−ROMディスクから情報を再生する場合には、適当な位置へ光学ヘッドがアクセスし、既に記録されているユーザデータからの再生信号を用いて同期合わせを行う。従って、この方法ではアクセス直後の再生データに対しては同期合わせが完了し無いのでユーザデータに対する解読はできない。アクセス終了後、しばらくして同期合わせが完了した所からユーザデータの再生・解読が可能となる。このDVD−ROMのデータ構造に合わせた状態でセクター単位でのデータの追記または書き換えを行おうとすると、上記(2)で説明したように既記録済みのセクターのデータとその直後に追記または書き換えを行ったセクターデータとの間に同期ずれが発生し、その前後を連続して安定に再生する事が不可能となる。
上記の問題に対して暫定的な解決案として次のような方法を採用している。つまりDVD−RWでのRestrictedOverwriteモードでは、DVD−ROMで同期合わせ用のVFOが存在しない。その代わりに、同期合わせ用の準備領域(助走期間)として記録開始位置の直前の既記録なセクターデータを一部潰して同期合わせ用の準備領域を作成している。同期合わせ用の準備領域を検出し、記録開始位置を判定し、記録開始位置からの正確な再生を可能としている。
RestrictedOverwriteの方法では、新規に追記または書き換えを行った部分の記録開始位置からデータの再生・解読が可能なように、事前の同期合わせが完了する方法になっている。
しかしこの方法では、新規に追記または書き換えを開始する直前の既記録データが(同期合わせ用の準備領域作成のために)破壊され、その破壊された部分での再生動作の信頼性が大幅に欠如する。
(C) 再生専用の情報記憶媒体としてDVD−ROMが存在している。
(C1) DVD−ROMでは、データがセクタ(Sector)単位で記録され、所望ポイントがアクセスされる時には、各Sectorの先頭位置に記録されている識別データ(IdentificationData;本発明実施例のDataID1に対応)の情報が再生される。これにより、各Sectorの位置(アドレス)情報を確認できる仕組みになっている。しかし現行のDVD−ROMでは16Sectorsがまとまって1ECCブロック(ErrorCorrectionCode)を構成しているため、ECCブロックの先頭に位置しているSectorから順次情報を再生する必要がある。現行では直接ECCブロックの先頭位置を見いだす方法が無く、順次SectorのIdentificationDataを解読しながら順番にSector毎に追って再生して行くしか無く、ECCブロックの先頭位置へのアクセスに時間が掛かる。
そこで本発明は、次世代DVD−ROMと次世代DVD−Rの互換性を確保しつつ次世代DVD−Rで既記録のユーザデータを破壊せずにセグメント単位の追記を行えるようにすることを目的としている。
すなわち、上記の内容をさらに詳細な言葉で表現すると、セグメント(Segment)単位での情報の追記または書き換え可能な情報記憶媒体との互換性を確保する再生専用の情報記憶媒体を提供する。また、上記追記または書き換え可能な情報記憶媒体に於いてSegment単位での追記または書き換えを行っても既に記録された領域のデータを破壊する事無く記録されたデータに対する高い信頼性を確保するものである。
このような目的を実現できる、情報記憶媒体のデータ構造(記録フォーマット)、もしくは情報記憶媒体への記録方法、再生方法、情報記録再生装置、情報再生装置を提供する。
また、本発明では次世代DVD−ROM単体としてもECCブロックの先頭位置へのアクセスの高速化を可能とする情報記憶媒体のデータ構造(記録フォーマット)、それに適した情報記憶媒体への記録方法及び再生方法、または情報記録再生装置及び情報再生装置を提供する事も目的としている。
[各図が示している概要の説明]
次に、各図面に示した内容について説明する。
図1、図2は、本発明の基本的な考え方を説明するために示している。図3には本発明に係る再生専用情報記憶媒体又は情報記憶媒体の再生専用領域内における1セグメント領域(連続データの記録単位)を説明するために示している。
図4、図5では、本発明に係る情報記憶媒体上のデータ配置方法による利点を説明するために示している。そして図6は、本発明に係る記録可能な情報記憶媒体の記録領域(追記可能領域又は書換え可能領域)内における1セグメント領域(連続データの記録単位)を説明するために示している。そして図7は、本発明に係る記録可能な情報記憶媒体の記録領域(追記可能領域又は書換え可能領域)内におけるユーザデータ記録方法の第1の例を示している。図8、図9は、記録可能な情報記憶媒体上の構造と、図7に示したユーザデータ記録方法を説明するために示している。図8、図9においては、ECCブロックの開始位置と非開始位置とでウォーブル変調パターンを変えた例を示している。しかし、これ以外に記録開始位置決め用目印内に、この目印(或はセグメント)がECCブロック内の何処に位置するかを示す存在位置を示す情報(例えばセグメントID情報など)が予め記録されてもよい。
図10は、図8、図9に示した隙間領域の必要性を説明するために示している。更に図11、図12は、本発明に係る記録可能な情報記憶媒体の記録領域(追記可能領域又は書換え可能領域)内におけるユーザデータ記録方法の第2、第3の例を示している。
図13、図14、図15、図16は、本発明におけるECCブロックを説明するために示している。図17、図18、図19は、1物理セクタデータ内のシンクフレーム構造を説明するために示している。図20は、本発明に係る同期コードを説明するために示している。図20において、同期位置検出用コード121のパターンは、“1”と“1”の間隔が、(1)変調規則で発生し得る最大長よりも長くする(図の例では、“0”が“k+3個”続いている。(2)変調規則で発生し得る最密(最小)長さを含まない(“0”を“2個”続けるパターンが含まれている)。
図21は、1物理セクタ内の同期コードの配列例を示している。この配置構造は、再生専用領域、記録領域共に同じ配置構造が採用される。図22、図23は、同期コード内のシンクフレーム位置識別コードの並び順から、1物理セクタデータ内のシンクフレーム位置を割り出すための方法を説明するために示している。
図24、図25、図26、図27は、本発明の情報記憶媒体上に記録される共通データ構造の他の例を説明するために示している。
図28は、情報記録再生装置の記録系の構成を示している。図29は、情報記録再生装置の再生系の構成を示している。図30は、スクランブル回路の内部構造を示している。図31は、デスクランブル回路の内部構造を示している。
図32、図33、図33、図35は、情報記録再生装置が情報記憶媒体上の所定位置へアクセスするときの制御方法を示した図。図36は、情報記録再生装置における記録方法又は書換え方法の説明図である。
[要部となる点の説明]
次に、具体的に本実施例における要部となる点を、コンパクトに説明する。
まず、(1)のアクセス時のトラッキング安定性を確保するための課題に対しては、再生専用の情報記憶媒体(次世代のDVD−ROM)と、追記可能な情報記憶媒体の内、1回のみの記録可能な情報記憶媒体(次世代のDVD−R)と書き換え可能な情報記憶媒体(次世代のDVD−RWまたは次世代のDVD−RAM)との間で、リードインエリア(LeadinArea)の物理形状及びそのエリアのデータ構造を同様な形態(共通化)とし、このLeadinAreaでのトラックずれ検出法を共通化する。
そうする事で情報記憶媒体の種類に依らずLead-inAreaは安定にトラックずれ補正が行われる(例えばDPD(DifferentialPhaseDetection)法をトラックずれ検出に用いる)と共に非常に信頼性の高い再生信号とその識別情報が得れる。更にそのLeadinArea内に上記情報記憶媒体の種類を示すメディア識別情報を記録しておく。
それにより安定に情報記憶媒体の種類を検出し、各種情報記憶媒体に合わせてユーザデータ領域での最適なトラックずれ検出方法(例えば再生専用の情報記憶媒体ではDPD法、追記可能な情報記憶媒体に対してはDPP(DifferentialPush-Pull)法を用いるなど)を情報再生装置側で切り替えてユーザデータ領域に対して安定にトラッキングを行えるようにする。
また、先の(A1)の追記前の既記録領域データと追記後のデータ間の同期ずれを無くすことの課題と、先の(B1)の追記または書き換え情報を再生するために必要な同期合わせ準備領域がDVD−ROMには存在しないことの対応策に関しては、以下のような対策を行なっている。
Segment単位に構成される“ユーザデータ記録領域”と次の“ユーザデータ記録領域”の間に“中間領域”を配置し、この“中間領域”内に同期合わせに利用されるデータ(VFOデータ)を記録し、この“中間領域”を、次に記録されている“ユーザデータ記録領域”に対する同期合わせの準備領域として活用する。
その結果、本発明では既に記録されたユーザデータを破壊する事無く、このSegment単位で情報の追記または書き換えが可能となる。またこの構造を追記可能な情報記憶媒体と再生専用の情報記憶媒体間で共用させ、再生専用の情報記憶媒体と全く同じデータ構造を持った追記可能な情報記憶媒体でもSegment間での同期ずれの影響を受けず((A1)の課題の対策)、既記録状態にある他のSegmentのデータを破壊する事が無い((B1)の課題の対策)情報記憶媒体およびそのデータ構造または情報記録方法と情報記録再生装置を提供すると共にそのデータ構造で記録された情報記憶媒体に対する情報再生方法と情報再生装置を提供する所に本発明の大きな特徴が有る。
先の(C1)の再生専用情報記憶媒体でのECCブロック先頭位置へのアクセス時間が掛かる問題点に対しては、以下の対策をとる。1ECCブロック内で複数のセクター(Sector)毎に纏めてSegmentを構成させ、各Segment内にある中間領域301内に中間位置を検出する情報(PA/PS領域)を持たせる。それにより中間位置301の場所を検出可能にすることで、現行の方法よりもECCブロック先頭位置へのアクセスが容易となる。
ECCブロックの先頭位置へのアクセス方法として現行の様に順番にSector先頭のIdentificationDataを順次再生するより、Sectorを複数纏めてグルーピングしたSegment単位で検出する方がアクセス制御が容易である。
[実施例における有効な点、機能、効果等]
次に本実施の形態で、特に有効なポイントと機能効果を先にまとめて説明する。
[1]: 再生専用情報記憶媒体または記録可能な情報記憶媒体内の再生専用領域(図1のリードイン領域320など)において“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”が交互に記録され、“中間領域”には少なくとも同期合わせに利用されるデータが記録されている[図1、図2の記載内容に相当する]。
有効な点: ECCブロック境界位置検出が容易となり、ECCブロックを用いたエラー訂正処理を開始するまでの処理が簡素化されるので、制御の高速化とバグの発生頻度の低減、装置の低価格化が可能となる。
即ち、現行のDVDは、1物理セクター103内の26箇所に配置された同期コード110の情報を解読して1物理セクター103の先頭位置を検索し、物理セクター103の先頭位置に記録されたDataID1の情報を再生して初めてECCブロック境界位置の検出が可能となっていた(図4の符号cの部分に示した方法)。それに比べて本発明の実施例(図5の符号fの部分の記載内容に相当する)では“中間領域”の位置を検出すれば、その“中間領域”の後方に配置され、Segment間隔で離散的な(1Segment内に存在するSectorの数だけジャンプした)アドレス情報が記載されたDataIDの位置がすぐに分かる。したがって本発明では、ECCブロック境界位置を容易に検出できるようになっている。
特に本発明では図24、図25、図26、図27、図4、図50、図4、図51に示すように書き換え回数を向上させるために、DataID1部にもスクランブルを掛ける方法を採用している。したがって、DataID1を再生するには、時間が掛かる。つまり本発明のデータ構造では、物理セクターデータ内のDataID1を逐次再生・解読したのでは現行のシステムよりも、データクセスに時間が掛かる。
従って本発明のようなスクランブルの掛け方を採用した場合には、まず最初に中間領域301の位置検出を行い、データクセスする方がよりアクセス時間の短縮化に対する効果が大きい。
[1a]: [1]で述べた“中間領域”のデータサイズを“1シンクフレーム”サイズの整数倍に合わせている(図1の記載内容に相当する)。
図18に示す様に固定長のシンクフレーム長308の先頭位置に同期コード110が配置されている。同様に中間領域301のサイズは図2の符号cの部分に示すようにシンクフレーム長308に一致し、かつ同一シンクフレーム長308内に同期コード110と類似した構造のPA領域311が配置されている。
有効な点:(1a−1)“ユーザデータ記録領域”内のシンクフレーム間隔を“中間領域”内でも保持しているため、同期コード位置の検出が容易となる。
すなわち、物理セクターデータ5内には固定長のシンクフレーム長308の先頭位置に同期コード110が配置され、シンクフレーム長308に一致したサイズを持つ中間領域301の先頭位置にPA領域311を持つ。このために情報記憶媒体9内の全領域に亘り(再生専用領域と記録可能領域の如何に関わらず)PA領域311と同期コード110の配置間隔が常に一致した構造となっている。
その結果、1度同期コード110あるいはPA領域311を検出すれば、必ずその後で等間隔に同期コード110あるいはPA領域311が配置されているので、次に同期コード110あるいはPA領域311が来るタイミングが予想できる。
そのため同期コード110あるいはPA領域311の検出が非常に容易となるばかりで無く、同期コード110あるいはPA領域311の検出精度が大幅に向上する。
(1a−2)ウォーブルグルーブの連続性を確保できる。
即ち、追記可能な情報記憶媒体の“ユーザデータ記録領域”には図8、図9に示すようにウォーブルされた連続溝(Pregroove)が形成されている。そして、図7の符号dの部分、図11の符号dの部分、図12の符号dの部分に示すように、1シンクフレームの物理的な長さが上記連続溝のウォーブル周期の整数倍になっている。
よって、“中間領域”のデータサイズを“1シンクフレーム”サイズの整数倍に合わせる事で、“中間領域”の物理的長さをウォーブル周期の整数倍に合わせる事が可能である。このことは、“ユーザデータ記録領域”の開始位置と終了位置でのウォーブル位相を常に一致させることが可能であることを意味する。
[1b]: [1]で述べた“中間領域”内に相対的なアドレス情報(図1符号aの部分ECC内位置情報314/315)を記録するようにしている。
有効な点:その結果、各SegmentのECCブロック内での位置が分かる。再生時には必ずECCブロックの先頭位置を検索し、そのECCブロックの先頭位置からECCブロック単位でエラー訂正処理を行う。従って本発明のように中間領域”内に相対的なアドレス情報を記録し、各SegmentのECCブロック内での位置が分かる構造にする事でECCブロック先頭位置が速く見つかり、エラー訂正処理までの処理時間の短縮化が図れる。
[1c]: “ユーザデータ記録領域”内の同期コード110のうち少なくとも一部(PA領域311及びPS領域内の“SY0”か“SY5”)が“中間領域”内の同期コード(の少なくとも一部)に利用されている(図20に示したシンクフレーム位置番号115のSY0、SY4、SY5に相当する)。
有効な点: 図20に示すように物理セクターデータ5内の位置に応じて特定の同期コード110パターンが配置されている。よって図29に示すシンクコード(SYNCCode)位置抽出部45内で図21、図22〜図23に示すように検出される同期コード110のつながりを用いて物理セクターデータ5内の位置を検出できる。PA領域311及びPS領域内の“SY0”であるか“SY5”であるかを判定することで、同期コード110と同じ構造・機能を持たせることができる。これにより、図29のSYNCCode位置抽出部45内で、中間領域301の位置検出と、ECCブロック304内の中間領域301の位置抽出との2種類の位置抽出を行えるので情報記録再生装置または情報再生装置の回路構造を簡素化できると共に図32、図33、図33、図35で説明するように処理の簡素化か可能となる
[1d]:“ユーザデータ記録領域”内の同期コード110と“中間領域”内の同期コード間でパターン内容を変える(図20、図2の記載内容に相当する)。
有効な点: “ユーザデータ記録領域”内の同期コード110と“中間領域”内の同期コード間でパターン内容を変える事で図29内SYNCCode位置抽出部45内で検出情報が物理セクターデータ5内の位置か中間領域301位置かを高速に検出が可能となる
[2]:[1]で述べた“中間領域”内に記録されたデータパターンの特徴を利用して“中間領域”の記録場所を検出する。つまり、“中間領域”内に記録された同期コードを検出して“中間領域”の記録場所を検出する。
有効な点: ECCブロック境界位置検出が容易となり、ECCブロックを用いたエラー訂正処理を開始するまでの処理が簡素化されるので、制御の高速化とバグの発生頻度の低減、装置の低価格化が可能となる。
現行のDVDは、1物理セクター103内の26箇所に配置された同期コード110の情報を解読して1物理セクター103の先頭位置を検索し、物理セクター103の先頭位置に記録されたDataID1の情報を再生して初めてECCブロック境界位置の検出が可能となっていた(図4の符号cの部分に示した方法)。
それに比べて、本発明の実施例(図5の符号fの部分の記載内容)では,“中間領域”の位置を検出すれば、その“中間領域”の後方に配置され、Segment間隔で離散的な(1Segment内に存在するSectorの数だけ飛び飛びの)アドレス情報が記載されたDataIDの位置がすぐに分かるのでECCブロック境界位置の検出が容易となる。
[3]:追記可能な情報記憶媒体と再生専用情報記憶媒体もしくは(記録可能な情報記憶媒体内の)再生専用領域内で“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”の配置状態またはデータビット数から見たそれぞれの領域の配置間隔を一致させている。
即ち、図3と図6を比較すれば明らかなように“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”の配置状態またはデータビット数が追記可能(記録可能)な情報記憶媒体と再生専用情報記憶媒体もしくは(記録可能な情報記憶媒体内の)再生専用領域内でほぼ一致し、VFOfieldのサイズのみが異なっている。
有効な点:(a)再生専用記憶媒体と追記可能な情報記憶媒体との間の互換性が保てる。再生用の処理回路を再生専用の情報再生装置と記録可能な情報記録再生装置との間で兼用化が可能なため装置の低価格化が可能となる。
(b)現行のBorderoutを形成する必要が無く、またRestrictedOverWriteをする事無く、Segment単位での追記または書き換えが可能である。このたため、追記可能または記録可能な情報記憶媒体での細かい単位(Segment単位)での追記、書き換えが行え(無駄なBorderout/inの記録する領域が不要となるため)、情報記憶媒体上への記録時の利用効率が向上する。
[4]:追記可能な情報記憶媒体に対してSegment単位で連続した“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”を交互に記録し、Segment単位でユーザデータの追記または書き換えを行い、追記/書き換え時には上記“中間領域”の途中の位置から記録開始を行い、“中間領域”の途中の位置で記録終了処理を行うようにしている(図1の符号dの部分および図7符号bの部分、図7の符号cの部分、図11符号bの部分、図11の符号cの部分、図12符号bの部分、図12の符号cの部分の記載内容に相当)。
有効な点: 連続データ記録単位110の先端である記録開始位置と連続データ記録単位110の後端である記録終了位置が必ずVFO領域312、331〜335内に有る。VFO領域は、物理セクターデータ5が配置されているユーザデータ記録領域303の外に有る。このため、(B)で記述したようにRestrictedOverwriteによる記録方法を用いた場合でのユーザデータの破壊が起こらず、何度重ね書きしてもユーザデータ記録領域303内の情報の高信頼性を保持出来る。
[5]:追記可能な情報記憶媒体に対する1個のデータの記録単位(Segment)の中に離散的に配置された(分散して挿入された)アドレス情報を複数箇所に記録する(図1、図2の記載内容に相当)。
別の言い方をするとアドレス情報を含むDataID1データを1箇所以上含むSectorが複数集まって1個のデータの記録単位(Segment)を構成する。
有効な点: (a)記録効率が向上する。(b)アクセスの高速性が得られる。
即ち、記録単位(Segment単位)で記録されているデータに対してその記録単位(1Segment)の途中から再生開始した場合でも再生開始直後に再生されるDataID情報内容の識別により現在再生中の場所を認識できる。このことは、再アクセス処理までの時間が短くなるため、トータル的なアクセス時間の短縮化が可能となることである。
[6]:追記可能な情報記憶媒体に於いて同一面内に追記可能な記録領域と、Lead-in領域など微少な凹凸形状で予め情報が記録されているエンボス領域が存在し、記録領域に追記可能なデータ構造とエンボス領域内に予め記録されているデータのデータ構造が共に“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”を交互に配置する構造を持つ(図1、図2の記載内容)。
有効な点: (a)追記可能(1回のみの追記可能/書き換え可能の両方を含む)な情報記憶媒体では,追記可能な記録領域とエンボス領域とで記録されるデータ構造が一致しているので記録領域から情報を再生する再生回路とエンボス領域から情報を再生する再生回路を共通化でき、再生回路の簡素化と低価格化が図れる。(b) 再生専用の情報記憶媒体でも追記可能な情報記憶媒体と同様、Lead-in領域を持つ場合が多い。このことと、[3]のポイントとを組み合わせると、Lead-in領域でのデータ構造を再生専用の情報記憶媒体と追記可能な情報記憶媒体間で全く共通化できる。その効果として、
(a1)再生専用な情報記憶媒体と追記可能な情報記憶媒体の両方に対して再生可能な情報再生装置でLead-in領域に対する再生処理回路を両者の情報記憶媒体間で共通化が可能となり、情報再生装置の簡素化・低価格化が図れる。
(b1)再生専用の情報記憶媒体と追記可能な情報記憶媒体間で、Lead-in領域の構造を全く同じに出来る。このため、Lead-in領域内での再生信号処理回路だけで無く、トラックずれ検出方法も共通化できる。再生専用の情報記憶媒体(ROMディスク)と、追記可能な情報記憶媒体である1回のみ追記可能なRディスクと、書き換え可能なRAMディスクとの間のメディア識別情報がLead-in領域に記録してある。このため、異なるタイプの情報記憶媒体に対して共通なトラックずれ検出方法と共通な再生信号処理回路でLead-in領域を再生し、容易にしかも信頼性高くメディア識別情報を再生する事が可能になる。
[実施例の具体的な説明]
次に、さらに具体的に図面を参照しながら説明する。
図1の符号gの部分は情報記憶媒体9の概観を示している。
追記可能または書き換え可能な情報記憶媒体に於いては、同一面内に追記可能な記録領域と、Lead-in領域320など微少な凹凸形状で予め情報が記録されているエンボス領域とが存在する。
Lead-in領域320には、情報記憶媒体の種類(例えば、次世代のDVD−ROM、次世代のDVD−R、次世代のDVD−RW、次世代のDVD−RAM)を示す識別情報が記述されている。
記録領域に追記可能なデータ構造と、エンボス領域内に予め記録されているデータのデータ構造とは、共に“ユーザデータ記録領域”と“中間領域”とを交互に配置する構造を持つ。
32個の物理セクターデータ5(図1の符号eの部分)が集まって1個のECCブロック304(図1の符号fの部分を構成している。ECCブロック内の配置を図13、図14、図15、図16に示す。図13、図14、図15、図16に関しては後述する。
ここで、4物理セクターデータが1セグメント領域305内に配置され、ユーザデータ記録領域303を構成する(図1の符号dの部分)。
1セグメント領域305内には更に中間領域301が存在する。
中間領域301のサイズはシンクフレーム長308の整数倍(図2の符号cの部分)になっている。中間領域301内にはPA(Postamble)領域311、VFO(VariableFrequencyOscillator)領域312、PS(Pre-Synchronouscode)領域313が存在する(図2符号bの部分)。
PA(Postamble)領域311には、後述するSY0またはSY4の情報が記録される(図符号aの部分)。また、PS(Pre-Synchronouscode)領域313には、SY0またはSY5と、ECC内位置情報314又は315と、そのエラー検出コード316又は317が記録されている(図2符号aの部分)。
図1、図2は、再生専用情報記憶媒体または記録媒体内の再生専用領域の構造を示している。しかし記録可能または追記可能な情報記憶媒体での記録領域のデータ構造とほぼ一致させている所に本発明の特徴が有る。
記録領域のデータ構造としては、1セグメント領域305単位でデータの追記または記録を可能としている。そして、図2の符号dの部分に示すように“中間領域”の途中の位置から記録開始を行い、“中間領域”の途中の位置で記録終了処理を行ようになっている所に特徴がある。
図1の符号dの部分に示したセグメント領域305内のデータ構造を分かり易く描き直した図が図3である。
次世代DVD−ROMでは、1セグメント領域305内のシンクフレームのトータルが“1シンクフレーム”サイズ(固定長)になるように、データの1セグメントの前後に“VFOField”、“PreSetField”、“PostAmbleField”を配置する。そして、図3の“DataField”は連続する4個分のSector情報(1Sectorのデータサイズ:2048バイト)が入り、データの“1セグメント”を形成する。データの各セグメントはその直前に“VFOField”、“PreSetField”を配置し、その直後に“PostAmbleField”を配置する。
図1、図2及び図3に示した本発明のデータ構造の機能あるいは効果について図4、図5を用いて説明する。
現行のDVD-ROM及びDVD-R/RWのデータ構造では、本発明のように中間領域301が無い。現行のDVD-ROM及びDVD-R/RWのデータ構造では、16個の物理セクターデータ5で1ECCブロックを形成している。データを配置する情報記憶媒体上の位置321を、この1ECCブロック分が占有している。
また、同期コード110の情報内容から1個の物理セクターデータ5内の位置が検出され、物理セクターデータ5内の先頭位置に記録されたID情報からアドレス位置が解読されることで、データクセス制御が可能になっている。
現行のDVD-ROM及びDVD-R/RWに対するアクセス制御方法を図4の符号cの部分に示す。
(a−1)始めに情報記憶媒体9上の予想される位置への粗アクセスが実行され、情報記録再生部41により、到達した位置でのデータ再生が開始される。次に(a−2)同期コード110の位置が検出され物理セクターデータの先頭位置が検出される。(a−3)物理セクターデータ内のDataID1(またはID)情報からECCブロック内位置が割り出される。(a−4)次の同期コード110位置が検出され、DataID1(またはID)情報が読込まれた後、(a−5)次のECCブロック先頭位置まで(a−4)の操作を繰り返す。
その結果、(a−6)情報記録再生部41が情報記憶媒体9上の次のECCブロック先頭位置へ到達し、そこから情報再生とエラー訂正を開始する。このように現行では、情報再生/エラー訂正を開始するECCブロックの先頭位置に到達するまで逐次物理セクターデータ情報(DataID1)を再生する必要が有る。
更に本発明のように、図24〜図31で説明するようにDataID1(またはID)情報までスクランブルを掛けた場合、次のことが問題となる。即ち、再生時にスクランブルのかかったDataID1(またはID)情報を解読する方法であると、ECCブロックの先頭位置に到達するまで更に時間が掛かる。つまり、より一層アクセス時間が遅くなると言う問題が生じる。
それに対して、本発明の方法では、複数の物理セクターデータ5をまとめてセグメント領域305を構成し、セグメント領域305を単位としてアクセス制御を行うようにしている。このために、アクセス処理を容易にすると共にアクセス時間を短縮化する。この点は本発明の大きな特徴でもある。
本発明における情報記録再生装置または情報再生装置の構造を図28、図29に示す。この情報再生装置の詳細については、後述することにする。
図5の符号dの部分、図5の符号eの部分に示した本発明のデータ構造に対するアクセス処理方法を図5の符号fの部分および図32、図33、図34、図35に示す。
インターフェース部42から再生すべき範囲の指示を受信すると(ST31)、再生すべき範囲の先頭位置に対応する物理セクターデータ5が含まれるECCブロックの先頭位置に有る物理セクターデータ内のDataID1の値を算出する(ST32)。情報記録再生部41では粗アクセスした位置から再生を開始する(ST33)。
情報記録再生部41で、先頭にPA領域311をもつ中間領域301が混在したデータ(図1符号bの部分)を再生し、再生されたデータをそのままSYNCCode位置抽出部45へ転送する(ST34)。SYNCCode位置抽出部45では、シンクフレーム位置識別用コードの並び順、または直接SY4のパターンを検出してPA領域311の位置を割り出し、その結果により中間領域301の場所を検出する(ST35)。
図32、図33はこのPA領域311の情報のみを用いてアクセスする方法を示し、図33、図3では更にPS領域313内のECC内位置情報314或は315も利用してアクセスする方法を示している。
図32、図33に示すようにPA領域311の情報のみを用いてアクセスする場合、この中間領域301の直後に配置されたスクランブル状態の物理セクタデータ45−28のデータを復調回路52に与える。復調後のデータはデスクランブル回路58へ転送される(ST36)。
デスクランブル回路58内では、物理セクタデータ45−28をデスクランブルする。そして先頭位置に存在するDataID1−0と、IED2-0情報(デスクランブル後の情報)をDataID部とIDE抽出部71へ転送する(ST37)。DataID部のエラーチック部72では、IDE2の情報を利用して検出したDataID1情報にエラーがないかチェックする(ST38、ST39)。
エラーがある場合には、ECCでコーディング回路162でエラー訂正処理後のDataID1を抽出する(ST40a)。そして、制御部43内で、DataID1を利用して、再生を開始したいアドレスとのずれ量を算出する。そしてこのずれ量が現在のトラック位置が所望のトラック位置から大きくずれているかどうかを判定する(ST40b)。ステップST39にてエラーがなかった場合は、このステップST40bに直接移行する。
上記のずれ量が大きい場合には、再生結果のDataID1の値と、再生開始予定セクタのDataID1の値との差分値を得る。そして、情報記憶媒体9上のトラックずれ量を制御部143内で算出し、その結果に基き密アクセスを行なう(ST41)。
つまり、物理セクターデータ45-28のDataID1情報を解読してECCブロック内の位置を検出する。すなわちデスクランブル回路58でスクランブル状態の物理セクターデータ45-28内のDataID1部をデスクランブルしてECCブロック内の位置を割り出す(ST36)。この時、解読されたDataID1の値とST32で割り出した到達したい値との間の乖離が激しい場合には(ST40b)、再度密アクセスを実行する(ST41)。
ステップST40bで大きなトラックずれがないことが判明した場合、ステップST42に移行する。そして、解読されたDataID1の値のすぐ後に、ステップST32で割り出した値(到達したい場所を示す)が、現在位置より何セグメント(Segment)後方にあるかを制御部43が算出する。この後方位置は、次のECCブロック322bの先頭の物理セクターデータ45−32に相当する(ST42)。次に、制御部43は、ステップST34、35の方法で、情報記録再生部41は、通過する情報記憶媒体9内の中間領域を逐次モニターしながら、ステップST42で算出したセグメント305数だけセグメントが通過することを、確認する(ST43)。つまり、情報記録再生部41は、算出した数だけSegmentを通過させる(またはST43)。
情報記録再生部41が希望するECCブロック322bの先頭位置に到達すると再生データの内、中間領域301を除去し、ユーザデータ記録領域303内のデータのみを復調回路52、ECCデコーディング回路62、デスクランブル回路59へ順次転送し、メインデータ(Maindata)抽出部73にてユーザデータを抽出してインターフェース部42を経由して外部へ出力する(ST44)。
図33、図35は、PS領域313のECC内位置情報314、315も利用して、所望の位置へアクセスする場合の手順を示している。ステップST31からステップST35までは、図32、図33の場合と同じである。
つまり、図33、図35あるいは図5のfの(3’)に示すように、ECCブロック内のPS領域313のECC内位置情報314又は315も利用してアクセスする場合には、PA領域311の位置を割り出し、その結果により中間領域301の場所を検出する(ST35)。次に、ECCブロック内のPS領域313の位置情報314或は315を読み取り、ECCブロック304内の中間領域301の現在位置を調べる(ST51)。
次に、該当する中間領域301が、ECCブロック内の先頭位置かどうかを判定する(ST52)。この方法としては、後部に位置するPS領域313の情報を解読する。PS領域313の先頭情報がSY0で有るかSY5かを判定する(ST52)。
図2に示すように先頭情報がSY5の場合には中間領域301がECCブロックの先頭に存在している事が分かる。また先頭情報がSY0の場合にはその直後のECC内位置情報315を解読し、該当するSegmentがECCブロック304内のどの位置に有るかを判断する。
該当する中間領域301が、ECCブロック内の先頭位置でない場合には、ステップST34〜ST51の処理により、ECCブロック304内の先頭位置に配置された中間領域301を再生するまで待つ(ST53)。
実際には、次のECCブロック322bの先頭位置に到達するまでに何Segment通過する必要が有るかを割り出し、その割り出したSegment数だけ情報記録再生部41をトラック方向へ通過させる(ST53)。この部分が図32、図33と図33、図35に示した処理手順の相違点である。
該当する中間領域301が、ECCブロック内の先頭位置である場合には、ECCブロック322b内の先頭のスクランブル状態の物理セクタデータ45−32のデータを復調回路53に供給し、復調する。復調データは、デスクランブル回路58へ転送される。この処理は、制御部43の制御に基づき得られる(ST54)。
以後の処理であるステップST37からST41までは、図32、図33に示した手順と同じである。ステップST40bの次に実行されるステップST55では、ステップST33からステップST40bまでの処理を実行し、ステップST32で割り出したECCブロック304の先頭にある物理セクタデータ45−32の位置にアクセス位置を到達させる。アクセス位置が所望の位置に到達した後は、ステップST44に移行する。
先に述べた図3の1セグメント領域のデータ配置構造は、再生専用領域における構造であった。これに対して、図6は、追記可能領域又は書き換え可能領域における1セグメント領域のデータ配置構造を示している。
追記可能な次世代DVD−Rまたは書き換え可能な次世代DVD−RAMのデータ構造は基本的に図3の構造を踏襲ている。したがって、図3に示した例と同様に、VFO領域312、PS領域313、ユーザデータ記録領域303、PA領域311が1セグメント領域に含まれる。しかし、図6の1セグメント領域では、実施例により、VOF領域のサイズが異なる。つまり、“VFOField”のサイズが実施例により異なる。
例えば、図7、図11には、追記可能領域または書き換え可能領域に対するユーザデータ記録方法の例を示している。ここで、図7に示した実施例ではVFO領域331と332の間に隙間111(MirrorField)が存在する。また、図11に示した実施例では、VFO領域333の直前に隙間111(MirrorField)が存在する。つまり、図11の実施例では、PA領域311直後のVFO領域サイズが“0”で有ることを意味し、PA領域311の直後に隙間111が配置されている。隙間111を設けて、スピンドルモータの回転むらによる記録終了位置の変動の影響を除去することができる。
図8、図9は、図7に示したユーザデータの記録方法と、情報記憶媒体上の物理的構造との関係を示している。図8、図9に示すように、記録領域では、蛇行(ウォーブル)した連続溝(プリグルーブ)がスパイラル状に配置され、その連続溝(プリグルーブ)の上に記録マーク127が形成する構造である。
追記可能な情報記憶媒体または書き換え可能な情報記憶媒体9においては、セグメント領域305単位である連続データ記録単位110の記録開始位置を示すための記録開始位置決め用目印141が連続溝(プリグルーブ)に沿って形成されている。この目印141には一般のウォーブルグルーブ領域143とは異なるウォーブルパターンが予め形成されている。また、本発明ではECCブロック内の位置によりパターンが異なっている。すなわちECCブロックの先頭位置と非先頭位置でのパターンを変え、それによりECCブロック先頭位置をより高速に検出可能な構造になっている。また記録開始位置決め用目印141の隣には予め決められたウォーブル周期分の長さの記録準備領域142が存在する。
連続データ記録単位110で記録を開始する場合にはまず記録開始位置決め用目印141を検出した後、その目印141が終了した後に記録準備領域142の長さ分だけウォーブル検出信号をカウントした後に記録を開始する。
図8、図9に示すように追記可能な次世代DVD−Rまたは書き換え可能な次世代DVD−RAMでは、この隙間111の直後からセグメント単位の追記が可能になっている。この隙間111により既記録データの位相と、後から行う追記処理により記録される後続の記録データとの間の位相ずれを分断し、前後のデータ処理間の位相ずれの影響を除去する働きをする。その結果、次世代DVD−Rでは“ボーダーイン”、“ボーダーアウト”を記録する事無くセグメント単位での追記が可能となる。
上記の方法で連続データ記録単位110の記録開始位置は一意的に決まっている。しかし図10に示すように情報記憶媒体9を回転させるスピンドルモーターの回転ムラにより連続データ記録単位110aの実際の長さが変化し、隙間111を越えてデータの重なり部分116が発生する場合がある。このようにデータの重なり部分116(図10の(b))が発生しても、本実施例では、ユーザデータ領域303のデータを破壊しないようになっている。これは、図6に示すように、セグメント領域305の先頭に必ずVFO領域312を配置する(重なり部分116をVFO領域312内に必ず納まるように設定する)構造であるからである。この点は本実施例の大きな特徴である。
図10の(b)のように最悪時のデータの重なり部分116を容認させる本発明の他の実施例を図12に示した。
図12に示すように、予めVFO領域334、335のサイズを大きく設定して、スピンドルモーターの回転ムラが無い状態でもVFO重なり領域338が存在するように配置する。図12のbは、既に記録されているデータと、新たに追記或は書き換えされるデータとの時間軸方向の配置関係を示している。このように新たにデータを追記或は書き換えするとにに、VFO領域の一部を重ね書きしている。これにより、隙間111を持つことなく再生専用領域のデータ構造と、図に示したデータ構造とを一致させることができる。このことは、再生時には、再生専用領域と追記或は書き換え可能領域のデータを、全く同じ再生回路で再生できることを意味する。
図36には、追記形または書き換え形情報記憶媒体9に対するSegment単位での追記または書き換え方法を示した。
本実施例における追記形または書き換え形情報記憶媒体9はCLV(ConstantLinearVerosity)方式を採用している。このため、情報記憶媒体9の半径方向で、セグメント(Segment)単位での書き出し位置の角度が異なる。
従って記録場所の指示を受ける(ST11)と、図8、図9に示した記録開始位置決め用目印141の回転方向での角度位置を予測する(ST12)必要が有る。またインターフェース部42から入力される情報には、図6に示すPS領域313とPA領域311の情報は含まれて無いので、SYNCCode選択部47内でそのデータを作成する(ST14)。
粗アクセス後に情報記憶媒体9上の予定の角度位置に記録開始位置決め用目印141を検出したかどうかを判定し(ST16)、この結果に基き予定のトラックに、再生装置の情報再生位置が到達したかを判断する。
図9符号aの部分、図9符号bの部分に示すようにECCブロック内の位置によりプリブルーブのウォーブルパターンが異なるので、このウォーブルパターンの違いを検出してECCブロックの先頭位置を判別して(ST21)、記録処理の準備を行う。情報記録再生部41が情報記憶媒体9上の記録開始位置決め用目印141の後端部を通過後、記録準備領域142内でのウォーブル数をカウントすると共に記録処理の準備を行う(ST17)。ここで、所定のカウント数だけウォーブルを通過したら、その直後からSegment単位毎に記録を行う(ST18)。
記録が終了したかどうかを判定し(ST19)、終了していない場合にはステップST16に戻る。終了している場合にはステップST20へ移行する。
図20に示すように、本実施形態では、物理セクターデータ5(図13、図14、図15参照)内の同期コード110とは異なる同期パターンにより、中間領域301内のPA領域311とPS領域313のパターンを設定する所に大きな特徴が有る。図20の符号(c)に示すようにシンクフレーム位置番号115としてSY0〜SY3を物理セクターデータ5内の同期コード110として使う。
図2の符号aに示すようにPA領域311のパターンとしてはSY0またはSY4を採用する。またPS領域313内の先頭のパターンとしては該当SegmentがECCブロック内の先頭位置に有るときにはSY5のパターンを利用し、非先頭位置の場合にはSY0のパターンを採用する。
また本実施例では、図21に示すように、
図21符号bの部分に示したSY0〜SY3の具体的なパターン内容は図20に示した内容に一致する。図21に示した同期コード配置方法は1物理セクターデータ5内に1箇所のみSY0を配置し、しかも同一物理セクターデータ5内の先頭位置に配置させた所に特徴が有る。それによりSY0を検出するだけで物理セクターデータ5内の先頭位置が容易に分かるという効果がある。また、同期パターンの数を従来のDVD−ROM/R/RW/RAMに比べてSY0〜SY3と4種類に減らし、同期コードのパターンを利用した物理セクターデータ5内の位置検出処理を簡素化させた所に次の特徴が有る。
また図21に示すように同期コード110と変調後のシンクフレームデータ106を合わせたデータサイズであるシンクフレーム長308が至る所一定で1116チャネルビットになっている。この固定長のシンクフレーム長308と中間領域301のデータサイズを一致させている。
本実施例では、図22、図23に示すように、図21に示すデータ構造から任意に抽出した連続する3個の同期コード110の組み合わせは、同一物理セクターデータ内の位置により全て異なっている。この特徴を利用してPA領域311を含めた各同期コード110配置順を用いて同一物理セクターデータ5内の位置のみならず、中間領域301の位置まで検出する事が可能となる。
図22、図23に位置検出方法の一例を示す。例えば図23の符号dの部分に示すように“SY1→SY3→SY1”、の順の配置が検出された場合には図21符号bの部分の並び順からSY1の直後の変調後のシンクフレームデータは106-6である事が分かる。また図23の符号fの部分に示すように“SY0→SY0→SY1”、とSY0が2回連続して続く場合には図2符号aの部分または図20の情報から最初のSYOは中間領域301に属している事が分かる。また“SY4→SY0→SY1”、と物理セクターデータ5内では存在し得ないパターンSY4が検出された場合には3パターンのつながりを調べるまでも無く、SY4は中間領域301内のPA領域311のパターンを示していると即座に判定できる。
次に、図13、図14、図15乃至図31を参照して、ECCブロック(図13、図14、図15、図16)、1物理セクタデータ内のシンクフレーム構造(図17、図18、図19)、同期コード(図20)、1物理セクタ内の同期コードの配列例(図21)、同期コード内のシンクフレーム位置識別コードの並び順から、1物理セクタデータ内のシンクフレーム位置を割り出すための方法(図22、図23)に付いて説明する。
また、情報記憶媒体上に記録される共通データ構造の他の例(図24、図25、図26、図27)、情報記録再生装置の記録系の構成(図28)、情報記録再生装置の再生系の構成(図29)、スクランブル回路の内部構造(図30)、デスクランブル回路の内部構造(図31)を説明する。
図13には、図1の符号dに示した情報記憶媒体9の物理セクタデータ5−0,5−1、…の配列を示している(図13の符号f)。1つの物理セクタデータは、複数の行としてのデータ0−0−0、0−0−1、0−0−2、…と、各行に付加されているパリティーとしての内符号PI0−0−0、PI0−0−1、PI0−0−2、…と、12行目の次に1行分付加された外符号PO 0−0を含む。
他の物理セクタデータも同様なデータ構成である。ここで、上記の各物理セクタは、論理セクタ情報103−0、103−1、103−3、…に対応するものとして定義されている(図13の符号bとeとfの関係参照)。さらに論理セクタ情報は、1つのビデオパック或はオーディオパックに対応するものとして定義されている(図13の符号a,b,eの関係を参照)。符号aの部分は、ビデオパック101a、オーディオパック102a、…などのパック列を示しており、符号bの部分は、各パックに対応する論理セクタ情報103−0,103a−1,103−2…を示している。
図14には、符号eのデータの内容を更に詳しく示している。データ0−0−0は、先頭行に対応するものであり、データ0−0−1は、その次の行に対応する(図14の符号c、d、e参照、図14の符号a,bは、図13の符号a、bに対応する)。
符号cの部分には、1つの論理セクタ情報103−0がスクランブルされ、スクランブル後の論理セクタ情報が12行分に分割され、それぞれの行(この例では12行)にはPI情報が付加さた様子を示している。さらに先頭の行には、Data ID,IED,CPR_MAIが付加されている。また、この論理セクタの最後の行(第13行目)は、PO情報となっている。
図15、16は、物理セクタデータと、ECCブロックとの関係を示している。ECCブロックは、情報記憶媒体9にデータをするときにエラー訂正符号を付加する単位、さらには、情報記憶媒体9からデータを読み出してエラー訂正を行なうときに取り扱う単位である。
図15の符号e(図13の符号f、e、及び図1の符号eに対応する)の部分に示したデータ列が、ECCブロックとして構築される様子を示している。
各物理セクタデータは、1つおきに選択され、第1の小ECCブロック7−0と、第2の小ECCブロック7−1とに振り分けられる(図16参照)。
この例であると、1つの物理セクタデータは、13行からなる。このうち1行は、PO情報の一部である。ECCブロックの各行をデータ0−0−0、0−0−1、0−0−2、…として記述している。1つの小ECCブロックは、31個の物理セクタデータからなる。62個の物理セクタデータ(2つの小ECCブロック)が、例えば、偶数セクタデータと奇数セクタデータに分けられて、それぞれの偶数セクタデータによるブロックと、奇数セクタデータによるブロックのそれぞれ対してPO情報が作成されている。PO情報は、複数の物理セクタで構築された1ECCブロック単位で作成され、各物理セクタに1行づつ分散されている。つまり、小ECCブロック単位で31行のPO情報が作成されるが、このPO情報は、31個のデータブロックに1行づつ分散されている。1個のデータブロックは、12行のデータを含む。
図17、図18、図19は、1物理セクタデータ内のシンクフレームの構造を説明する図である。
図17の符号cの部分に示すセクタブロック(13行分のデータ(PO情報の1行分を含む)に相当)は、シンクフレームデータ105−0、105−1、…に分割される(全部で26(=13×2)個)。そしてシンクフレームデータの間には、後述する同期コードが付加される。つまり各シンクフレームデータの先頭には、同期コードが付加される。
つまり図18の符号d,符号eの部分で示すようにシンクフレームデータの間に同期コードが挿入される。同期コードは、図19の符号fで示す部分のように、例えば、可変コード領域112、固定コード領域111、可変コード領域113からなり、各領域は、図19の符号gの部分で示すような内容となっている。
特徴的な構成を説明すると以下のようになる。
映像情報は、図17に示すように、2048バイト単位でのビデオパック101、オーディオパック102の形(符号aの部分)で情報記憶媒体9上に記録されている。この2048バイト記録単位は論理セクタ情報103(符号bの部分)として扱われる。
現行のDVD規格ではこのデータに対してData ID 1-0、IED 2-0、CPR_MAI 8-0を付加し、図16に示すECC構造に対応したPI(Parity of Inner-code)情報とPO(Parity of Outer-code)情報を付加したデータを26等分してシンク・フレーム・データ105-0〜105-25を形成する(図17の符号dの部分)。この場合、PO情報も2分される。図17の符号cの部分では、PO情報が2分されてPO 0−0−0と、PO 0−0−1として示されている。
各シンク・フレーム・データ105をそれぞれ変調し、図19の符号eに示すように、変調後のシンクフレームデータ106の間に同期コード110を挿入する。変調方法は一般に(d,k;m,n)で表し、この記号の意味は“mビット”の元データを“nチャネルビット”に変換し、変調後のチャネルビットパターンは“0”が連続する範囲が最小で“d個”、最大で“k個”になることである。
本実施例としては例えば“特開2000−332613”に示す変調方式を採用する場合を示す。前記変調方式では
d = 1、k = 9、m = 4、n = 6
となる。
同期コード110内を固定コード領域111と可変コード領域112,113に分割し、可変コード領域112、113の中を更に“変調時の変換テーブル選択コード122”の記録場所と“シンクフレーム位置識別用コード123”の記録場所と“DC抑圧用極性反転パターン124”の記録場所に細分割した構造にする(一部記録場所の合体・兼用も含む)所に大きな特徴が有る(図19の符号g参照)。
ここで言う変調とは、上記の変調規則に従って、入力データを変調データに変換することである。この場合、この変換処理は変換テーブルに記載されている多数の変調データの中から、入力データに対応する変調データを選択する手法がとられている。ここで変換テーブルは複数が用意されている。したがって、変調時のどのテーブルを用いて変換した変調データであるのかを示す情報が必要であり、この情報が、“変調時の変換テーブル選択コード122”であり、これは、同期コードの直前の変調データの次に来る変調データを生成した変換テーブルを表している。
“シンクフレーム位置識別用コード123”は、シンクフレームが物理セクタ内のどの位置のフレームであるかを識別させるためのコードである。フレームを識別するには、前後の複数のシンクフレーム位置識別用コードの配列パターンにより識別することができる。
同期位置検出用コード121の具体的内容の例は、図20に示している。
同期コード110の位置検出を容易にするため変調後のシンクフレームデータ106内には存在し得ないコードを同期位置検出用コード121内に配置している。変調後のシンクフレームデータ106は(d,k;m,n)変調規則に従って変調されているので、変調後のデータ内には“0”が連続して“k+1個”続く事はあり得ない。従って同期位置検出用コード121内のパターンとして“0”が連続して“k+1個以上”続くパターンを配置する事が望ましい。
しかし同期位置検出用コード121内のパターンとして“0”が連続して“k+1個”続くパターンを配置した場合には、変調後のシンクフレームデータ106の再生時に、1個のビットシフトエラーが発生すると同期位置検出用コード121と誤検知する危険性がある。したがって同期位置検出用コード121内のパターンとして“0”が連続して“k+2個”続くパターンを配置する事が望ましい。しかし“0”の連続するパターンが余り長く続くとPLL回路174での位相ずれが発生し易くなる。
現状DVDでは、“0”が“k+3個続く”パターンを利用している(現行DVDの変調規則は(2,10;8,16))。従って現行DVDよりもビットシフトエラーの発生を抑えて同期コード110位置検出および情報再生の信頼性を確保するには本実施例において“0”が続く長さを“k+3”以下にする必要があり、望ましくは“k+2”にした方が良い。
“特願平10−275358号”(特開200−105981)の図8とその説明文に示すように変調後のビットパターンによりDSV(Digital Sum Value)値が変化する。DSV値が0から大きくずれた場合には最適なビットパターン位置で“0”から“1”にビットを変化させることでDSV値を0に近付ける事が出来る。
したがって、DSV値を0に近付けるための特定パターンを持ったDC抑圧用極性反転パターン124を同期コード110内に持たせている。
また“特開2000−332613”に示す変調方式を採用する場合以下のことを考慮する必要がある。即ち、復調対象の6チャネルビットの変調後データの直後に存在する「6チャネルビット変調後データを変調する時に採用した変換テーブルの選択情報」も利用して、復調対象である6チャネルビットの復調を行う必要がある。
したがって、同期コード110の直前に配置された変調後のシンクフレームデータ106の最後の6チャネルビットの次に来るべき6チャネルビットの変換テーブルの選択情報を、同期コード110内の先頭の「変調時の変換テーブル選択コード122」内に記録している。つまり、同期コード110内には、変調時の変換テーブル選択コード122が存在する。
この変調時の変換テーブル選択コード122は、直前のシンクフレームデータ106の最後の6チャンネルビットデータの次に来るべき6チャンネルビットデータのための、変換テーブル選択情報である。この変換テーブル情報を参照することにより、次のデータを復調するときに、使用すべき変換テーブルを決めることができる。
次に同期コード110の具体的例を説明する。
図20は、同期コード110の具体例である。この同期コード110は、可変コード領域112と固定コード領域111を有する。可変コード領域112には、図19で説明した、変調時の変換テーブル選択コード122、シンクフレーム位置識別用コード123、DC抑圧用極性反転パターンを一体化したデータ構造を配置する。
例えばシンクフレーム位置識別用の番号として0−6が用意されている。番号0―6は、シンクYS0―YS5に対応する。さらに変調時の変換テーブルテーブル選択コードを表すために、変換テーブル番号116が用意されている。変換テーブル番号=1の場合パターンと、変換テーブル番号=0の場合パターンしては、それぞれの場合に、大別してDC抑圧のためのパターンAとBが用意されている。
例えば、この例であると、シンクフレームは、8チャンネルビットが割り当てられ、シンクフレームSY0を示す場合には、“10000000”、又は“10000000”、又は“00010000”、又は、“00010010”が同期コードとして存在することになる。また、“10000000”のときは変換テーブル番号=0が使用され、“00010000”、又は、“00010010”のときは変換テーブル番号=1が使用されていることを意味する。この同期パターンはDSVに応じて選択されて使用される。
同期位置検出用コード121は、16チャンネルビットが割り当てられ、例えば“1000000000000100”である。
ここで、本実施例では、図1で説明した中間領域301で使用する同期パターンの選択形態に特徴がある。
即ち、本実施形態では、物理セクタデータ5内の同期コード110とは異なる同期パターンが、中間領域301内のPA領域311とPS領域313の同期パターンとして設定される所に大きな特徴が有る。図20の符号(c)に示すようにシンクフレーム位置番号115としてSY0〜SY3を物理セクタデータ5内の同期コード110として使うようにしている。
そして、図1の符号符号aの部分に示すようにPA領域311のパターンとしてはSY0またはSY4を採用する。またPS領域313内の先頭のパターンとしては該当SegmentがECCブロック内の先頭位置に有るときにはSY5のパターンを利用し、非先頭位置の場合にはSY0のパターンを採用するものである。
図21には、1物理セクタデータ内の同期コードの配置例を示している。
同期コードは、先に説明したように8チャンネルビットの同期パターンと、16チャンネルビットの同期位置検出用コード121の合計で24チャンネルビットである。変調後のシンクフレームデータは、1行分が1092チャンネルビットである。図21の符号bは、同図の符号aのデータ列(図19の符号eのデータ列と同じ)における、返答後のフレームデータ106−0、106−1、…をマトリックス状に並べ変えて、同期コード位置を見やすくしたものである。同期コードと変調後のシンクフレームデータのチャンネルビット長をシンクフレーム長(固定長116チャンネルビット)308としている(この形態は図2にも示している)。
図21の符号bの部分に示したSY0〜SY3の具体的なパターン内容は、図20に示したパターンから選択されている。図21に示した同期コード配置方法は1物理セクターデータ5内に1箇所のみSY0を配置が配置され、しかも同一物理セクターデータ5内の先頭位置に配置させた所に特徴がある。
これによりSY0を検出するだけで物理セクタデータ5内の先頭位置が容易に分かるという効果がある。また、同期パターンの数を、現行のDVD−ROM/R/RW/RAMに比べてSY0〜SY3と4種類に減らし、同期コードのパターンを利用して物理セクタデータ5内の位置検出処理を行なえるようにしている。このため位置検出処理が、簡素化させた所に特徴がある。
また図21に示すように同期コード110と変調後のシンクフレームデータ106を合わせたデータサイズであるシンクフレーム長308が至る所一定で1116チャネルビットになっている。かつ固定長のシンクフレーム長308と中間領域301のデータサイズを一致させているところにも特徴がある。
次に、図22、図23を参照して、同期コードを検出し、現在再生中のデータが物理物理セクタ内のどの位置のものであるかを判定する方法について説明する。
図22の符号bに示すように、情報記録媒体から情報記録再生部41により再生された変調後のシンクフレームデータは、同期コード位置抽出部45に入力されて、同期コード位置検出の対象とされる。同期位置抽出部45では、例えばパターンマッチング法により、同期位置検出用コード121(図20の固定コード領域のコード)の位置を検出する。
これにより、同期コード位置が検出され、同期コードを抽出することができる。検出された同期コード110の情報は、制御部43を介して、図22、図23に示すメモリ部137(符号cの部分)に順次保持される。同期コード110の位置がわかれば、変調後のシンクフレームデータの位置もわかるので、シンクフレームデータは、図22に示すようにシフトレジスタ回路170(符号aの部分)に順次格納される。
同期コードの配置順を検査することにより、変調後のしくフレームデータが図21のマトリックス系のどのポジションであるかを判別することができる。これは、図21に示すようなパターン(SY0→SY1→SY1→SY1→SY2→SY1→SY1→SY3→SY1→SY2→SY2→SY1→SY3→SY2→SY1→SY2→SY3→SY3→SY3→SY2→SY2→SY2→SY3→SY2→SY3→SY1)で同期コードを配置したからである。
図21において任意に抽出した連続する3個の同期コード110の組み合わせは、同一物理セクタデータ内の位置により全て異なっている。この特徴を利用してPA領域311を含め、各同期コード110配置順を用いて同一物理セクターデータ5内でのデータ位置のみならず、中間領域301内でのデータ位置まで検出する事が可能となる。
図22に位置検出方法の一例を示す。例えば図21の符号dに示すように“SY1→SY3→SY1”の配置順が検出された場合には図21の符号bに示すような並び順から、SY1の直後の変調後のシンクフレームデータは106-6である事が分かる。
また、図21の符号fに示すように“SY0→SY0→SY1”、とSY0が2回連続して続く場合には図1の符号aで示したような取り決め、または図20の情報から最初のSYOは中間領域301に属している事が分かる。また“SY4→SY0→SY1”、と物理セクターデータ5内では存在し得ないパターンSY4が検出された場合には3パターンのつながりを調べるまでも無く、SY4は中間領域301内のPA領域311のパターンを示していると即座に判定できる。
また、図21の符号eに示すように“SY0→SY1→SY1” の配置順が検出された場合には図21の符号bに示すような並び順から、SY0の直後の変調後のシンクフレームデータは106−1である事が分かる。
次に、変調前のセクタデータがスクランブルされる場合の他の例を示す。
図13、図14で示したように物理セクタデータはスクランブルされているとして説明した。そして図14に示した例では、物理セクタデータの先頭のデータID、IDE、CPR_MAIはスクランブルされていないものとして示した。
しかし図23に示すように、データID 1、IED 2、特定データ3,4、メインデータ(EDCを含む)の全てをスクランブル処理してもよい。
図24の例は、スクランブルを実行するための初期データとして、特定データ(例えばデータタイプ3、プリセットデータ4)を利用している。図23の符号aの部分は、まずメインデータ(セクタデータ)から特定データを抽出した様子を概念的に示している。次に、図24の符号bの部分では、抽出した特定データをそのまま、スクランブル回路の初期値(或はトリガ)として用い、スクランブル処理を実行し、上記メインデータ(セクタデータ)が全てスクランブルされた様子を示している。そして図24の符号cの部分は、スクランブル後のデータが所定の変調規則に従い変調され、次に、前述した同期コードが付加された様子を示している。このような処理が行われたデータが書き換え可能な情報記憶媒体21に書き込れる。
図25は、上記の特定データがCPR_MAI(コピーライト管理情報) a8に置き換わった例である。DVD_ROMでは、特定データの部分に、このCPR_MAIが採用されているからである。他の処理は、図24の例と同じである。
図26は、図24の記録処理に対応する再生処理における手順を説明するために示している。書き換え可能な情報記憶媒体21から再生されたデータは、同期コード19a,19b,19c,…と復調前のデータ15a,15b,15c,…とからなる。そして先に説明したように同期コードと復調前のデータとは分離されて、復調前のデータが集合される。集合された復調前のデータは、所定の復調規則に従い復調され、スクランブルされたままのデータ17として集合される(図25の符号eで示す部分)。このデータ17には、図23で説明したように、特定データがスクランブルされて含まれている。このスクランブルされた特定データは、予め取り決めた所定の位置から抽出される。そして、デスクランブル部は、スクランブルされたままの特定データを用いて、スクランブルされたままのデータ17をデスクランブルする(図26の符号fで示す部分)。デスクランブル処理により、図24の符号aに示したデータと同じデータ(元のデータが復元)される。
図27は、図25の記録処理に対応する再生処理における手順を説明するために示している。この例では、上記の特定データがCPR_MAI(コピーライト管理情報) a8に置き換わっただけである。DVD_ROMでは、特定データの部分に、このCPR_MAIが採用されているからである。他の処理は、図26の例と同じである。
図28は、情報記録再生装置において、特に記録系に関する部分のブロックを示している。書替可能情報記憶媒体または再生専用情報記憶媒体に対する情報記録系の構成を説明するブロック図である。
記録用メインデータ(ソースデータまたはユーザデータ)は、インターフェース部42を介して、所定情報付加部68に送られる。この所定情報付加部68において、ソースデータはセクタ単位に細分化され、細分化されたソースデータが図24または図25のメインデータ6部分に配列格納される。
記録に用いる媒体が書替可能情報媒体21である場合は、この所定情報付加部68において、メインデータ6部分の前に、そのセクタのデータID・1、IED2、データタイプ3、プリセットデータ4および予約エリア5が付加され、メインデータ6部分の後にEDC7が付加される。このとき付加されるデータID・1はデータID発生部65から得られ、プリセットデータ4はプリセットデータ発生部66から得られる。プリセットデータ発生部66は「乱数発生機能」を持っており、時変のランダムデータをプリセットデータ4として常に発生できるようになっている。なお、プリセットデータ発生部66は、プリセットデータの下位nビットも別途発生できるようになっており、発生された下位nビット同期コード選択キーの一部として同期コード選択部46に送られる。
一方、記録に用いる媒体が再生専用情報媒体22である場合は、所定情報付加部68において、メインデータ6部分の前に、そのセクタのデータID・1、IED2および著作権管理情報8(8aと8b)が付加され、メインデータ6部分の後にEDC7が付加される。このとき付加されるデータID・1はデータID発生部65から得られ、著作権管理情報8(8aと8b)は著作権管理情報のデータ発生部67から得られる。なお、著作権管理情報のデータ発生部67は、著作権管理情報の下位nビットも別途発生できるようになっており、発生された下位nビットは同期コード選択キーの一部として同期コード選択部46に送られる。
なお、この実施の形態では、下位nビットの“n”は、1〜8ビットの範囲から選択される。
所定情報付加部68において生成された図24のようなデータ構造のセクタデータ、データ配置部分交換部(或はデータ抽出部)63に送られる。データ配置部分交換部63では、送られてきたセクタデータの特定データの抽出する。
抽出された特定データと全体のセクタデータは、スクランブル回路57に送られる。スクランブル回路57は、セクタ先頭からセクタ末尾までのセクタ全体に対して、スクランブル処理を施す。
こうしてスクランブル処理されたセクタデータは、順次ECCエンコーディング回路61に送られる。ECCエンコーディング回路61では、送られてきたセクタデータを所定個数(例えば16セクタ分ないし32セクタ分)纏めてECCエンコーディングする。
ECCエンコーディングされたデータは変調回路51に送られる。変調回路51は、変調用変換テーブル記録部53から必要な情報を得ながら、送られてきたデータに所定の変調(例えば8/16変調など、変調はこの方式に限るものではない)を施す。変調されたデータは、データ合成部44に送られる。
データ合成部44に送られた変調後のデータのうち、各セクタの末尾部分の変調データ(例えば6チャンネルビット)に対して、そのデジタル・サム・バリュー(DSV)の値が、DSV値計算部48で計算される。計算されたDSV値は、同期コード選択部46に送られる。
同期コード選択部46は、DSV値計算部48で計算されたDSV値と、プリセットデータ発生部からの下位nビットデータまたは著作権管理情報のデータ発生部67からの下位nビットデータとに基づいて、同期コード選択テーブル記録部47に記録されている多種類の同期コードテーブルから、特定の(最適な)同期コードを選択する。
なお、この実施の形態では、セクタ内の同一場所(例えば先頭位置)での同期コード(19aあるいは19e)に対する同期コードテーブルを、4種類以上(例えば8種類)用意してもよい。このようにすれば、各セクタ(33または34)の先頭位置にくる同期コードのビットパターンを複数種類(例えば8種類)利用できる。
同期コード選択部46により同期コード選択テーブル記録部47から選択された同期コードテーブル中の同期コードは、データ合成部44において、変調回路51からの変調データと、交互に配置される。
こうして構成されたデータが書替可能情報媒体21(相変化記録方式を採用するRAMディスク、RWディスクなど)に書き込まれる。
一方、合成されたデータが再生専用情報媒体用である場合は、そのデータは、
(a)ROMディスクの原盤記録部によりROMディスク複製用の原盤にカッティングされるか、
(b)情報記録再生部41により、一旦記録した後は再生専用となるRディスク(書き込みレーザ照射部分の反射率が永久変化する色素を利用したディスクなど)に焼き込まれる。
上記の装置の各ブロック要素の動作は、制御部43内のROMに書き込まれた制御プログラムに従い、その中のRAMをワークエリアに用いて、その中のMPUにより、制御されるようになっている。
図29は、書替可能情報記憶媒体または再生専用情報記憶媒体に対する情報再生系の構成を説明するブロック図である。
情報記録再生部(または記録機能のない再生部)41により情報記憶媒体(21または22)から再生された直後のデータ構造では、例えば図26の例の場合、復調前のデータ15a、15b、…と同期コード19a、19b、19c、…が混在配置されている。再生部41で再生された直後のデータは、同期コード位置検出/抽出部45および復調回路52に送られる。
同期コード位置検出/抽出部45は、パターンマッチング法を用いて、再生された直後のデータ中から、各セクタ先頭の同期コードを検索し、検出する。先頭の同期コードが検出されたあと、そのセクタ内の後続同期コードも検出され、抽出される。
抽出された同期コードの情報は、復調回路52に送られる。復調回路52は、同期コード位置検出/抽出部45からの同期コードの情報により、再生部41からの再生データのセクタ先頭位置を知るとともに、そのセクタ内の同期コード位置も知ることができる。
復調回路52内では、同期コード位置検出/抽出部45からの同期コード情報により、セクタ内に含まれる同期コードが削除される。そして、削除後にセクタ内に残った復調後のデータ(これらは8/16変調されている)は、復調用変換テーブル記録部54からの復調情報に基づいて、復調される。
復調回路52で復調されたデータは、デスクランブル回路58、ECCデコーディング回路62に送られる。デスクランブル処理は、図26、図27にて説明した。
即ち、デスクランブルされたデータの所定範囲には、特定データの情報が入っている。デスクランブル回路58は、スクランブルされたままの特定データを用いて、まず、データID,IEDの部分をデスクランブルする。スクランブル解除されたデータID、IEDは、データID部&IED部抽出部71で抽出される。データID部&IED部抽出部71は、データID、IEDを制御部43に送る。制御部43は、順次得られるデータIDを監視している。
スクランブル解除されたデータID・1の情報内容により、制御部43のMPUは、トラック外れ検出を行うことができる。
トラック外れが合ったことが検出された場合、短期間内に再度、情報の読み取りを行なうことができる。
復調回路52で復調されたデータは、ECCデコーディング回路62にも送られている。ECCデコーディング回路62は、所定個数(16個あるいは32個など)分のセクタを1つのECCブロックにまとめ、ECCエンコーディングされたデータをECCデコーディングしてから、デスクランブル回路58、59に送っている。
デスクランブル回路59ではメインデータ部全体のデスクランブルを実行する。このときは、先に抽出したスクランブルされたままの特定データを用いている。この処理は、トラック外れがないことが検出されたときに実行される。
なお、使用媒体が書替可能情報媒体21であるか再生専用情報記憶媒体22であるかの識別は、媒体の特定部(ディスク状媒体では内周部)に記録されているメディア識別情報(図示せず)を用いて行うことができる。
デスクランブル処理後のデータは、データ配置部分交換部64に送られる。データ配置部分交換部64は、送られてきたデスクランブル処理後のデータの中の特定データをデータID部&IED部抽出部71に送る。
デスクランブル処理されたデータの中のデータID、IEDはデータID部&IED部抽出部71により検出され、エラーチェック後のデータIDが抽出される。また、得られた各セクタデータの先頭位置から一定長後のメインデータ6はメインデータ抽出部73により抽出され、インターフェイス部42を介して、外部に出力される。
図29の装置の各ブロック要素の動作は、制御部43内のROMに書き込まれた制御プログラムに従い、その中のRAMをワークエリアに用いて、その中のMPUにより、制御される。また、図32から図36で説明したデータ処理も制御プログラムに従い実行される。
次に、スクランブル回路、デスクランブル回路の具体例について説明する。
図30はスクランブル回路、図31はデスクランブル回路を示している。
スクランブル対象のビット列を1ビットづつ8ビット(1バイト)単位で処理するようになっている。
スクランブル回路57は、8ビットのシフトレジスタ回路91と、所定のオン/オフパターンを持つ8ビット分のスイッチアレイ93と、このスイッチアレイ93を介してシフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に選択的に接続される加算回路アレイ95とで構成されている。
シフトレジスタ回路91は最初はクリア(CLR)されており、データポート(DATA)への入力Aがない状態では各ビットr0〜r7は全て“0”となっている。シフトレジスタ回路91は、所定のクロック(CK)のクロックタイミングでデータポートDATAへの入力を1ビットづつ受け取り、受け取ったビットデータを順次ビットr0〜r7にビットシフトしながら取り込むようになっている。
加算回路アレイ95は、シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に選択的に接続される7個の直列接続1ビット加算器と、これらの1ビット加算器の累積加算結果とスクランブル入力Aとを1ビット加算して出力する終段1ビット加算器(アレイ95の右端)とを備えている。この終段1ビット加算器から、スクランブル結果(スクランブルデータ11a)が出力される。
なお、スイッチアレイ93のオン/オフパターンは、図31に示すデスクランブル回路59のスイッチアレイ93のオン/オフパターンと同じである。このオン/オフパターンは、スクランブル/デスクランブル処理にとって一種の鍵情報となっている。
スクランブル回路57は、図24の符号a,或は図25の符号jに相当する入力aまたはbに対して、次のように動作する。
<入力aの場合>
まず、スクランブルしようとするセクタデータから抽出された特定データ(データタイプ4、プリセットデータ4のうちの最初の8ビット)の先頭から、加算回路アレイ95の終段1ビット加算器(アレイ95の右端)を介して、シフトレジスタ回路91のデータポートDATAに入力される。この特定データSD−A(8ビットの0/1ビット列)は、その先頭から1ビットづつ、クロックCKのタイミングに同期して、シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に順次取り込まれる。
シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7は、所定のオン/オフパターンを持つ8ビット分のスイッチアレイ93を介して、8個の直列接続された1ビット加算器からなる加算回路アレイ95に接続されている。加算回路アレイ95は、スイッチアレイ93のうちオンとなっている位置のシフトレジスタビット(例えばビットr7、r5、r3、r1)にセットされた(セット前ならクリアされた状態の)1ビットデータ(“0”または“1”)を累積的にリアルタイムで1ビット加算(2進加算)して、加算結果(1ビットの“0”または“1”)を終段の1ビット加算器(入力Aが与えられている1ビット加算器)に入力している。この終段1ビット加算器の出力(1ビット加算結果)が、入力Aに対する最初のスクランブル結果のビットであり、スクランブルデータ11aの特定データの先頭となる。
同様に、クロックCKのタイミングに同期して1ビットづつシリアルにスクランブル前のデータビットがシフトレジスタ回路91に取り込まれ、これと同時並行して、クロックCKのタイミングに同期して1ビットづつシリアルにスクランブル後のデータビットが加算回路アレイ95の終段1ビット加算器から出力される。こうして最初の8ビットのスクランブルデータ出力が済むと、休止なく直ちに、次の8ビットが同様にスクランブルされ、スクランブル後のデータビットが加算回路アレイ95の終段1ビット加算器から出力される。以下同様に、所定単位(8ビットすなわち1バイト)で後続データ(データID・1以後)がスクランブルされ、スクランブルデータ11aとして、ECCエンコーディング回路61に送られる。
このようにしてシリアルに得られた8ビット(1バイト)単位の0/1ビット列のうち、最初の所定バイト数(例えば1バイト)で構成される特定データ相当分は、スクランブルの火種(スクランブル処理開始のきっかけ)として用いられたものである。これは記録情報としては不要なので、後の記録処理で捨てる(あるいは無視する)ことになる。捨てられた特定データ相当分と同じ内容はその後のスクランブルデータ中にも含まれているので、捨てても困らない。
<入力bの場合>
スクランブル回路57の回路動作そのものは、入力aの場合と同じである。ただし、入力aの場合はスクランブルの火種が時変データ(プリセットデータ4)を含んデータのに対し、入力bの場合はスクランブルの火種が固定データ(著作権管理情報CPR_MAI)となっていることが異なる。入力aと入力bとではスクランブルの火種が異なっているので、同じスクランブル回路が用いられていても、入力aに対するスクランブル後のデータ11aと入力bに対するスクランブル後のデータ11bは、異なるビット配列となる。
図30のスクランブル回路57においては、加算回路アレイ95が処理ループを構成していない(終段1ビット加算器の加算結果が他の加算器入力にフィードバックしていない)ので、スクランブル処理中に何らかの原因でエラーが発生しても、そのエラーが8ビット分以上広がることはない。すなわち、エラー伝搬距離が8ビットに制限されているため、スクランブル回路動作上の信頼性が高くなる。
図31は、デスクランブルする回路58の一例を示す回路図である。ここでは、スクランブル回路57と同様に、デスクランブル対象のビット列を1ビットづつ8ビット(1バイト)単位で処理するようになっている。
デスクランブルする回路58は、8ビットのシフトレジスタ回路91と、所定のオン/オフパターン(図30のスイッチアレイ93のオン/オフパターンと同じ)を持つ8ビット分のスイッチアレイ93と、このスイッチアレイ93を介してシフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に選択的に接続される加算回路アレイ95とで構成されている。
ここで、シフトレジスタ回路91は最初はクリアCLRされており、データポートDATAへの入力がない状態では各ビットr0〜r7は全て“0”となっている。シフトレジスタ回路91は、所定のクロックCKのクロックタイミングでデータポートDATAへの入力を1ビットづつ受け取り、受け取ったビットデータを順次ビットr0〜r7にビットシフトしながら取り込むようになっている。
加算回路アレイ95は、シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に選択的に接続される8個の直列接続1ビット加算器を備えている。ビットr0に選択的に接続される初段1ビット加算器(アレイ95の右端)に、デスクランブルするビット列が、その先頭から1ビットづつ入力される。そして、加算回路アレイ95の1ビット加算器の累積加算結果は、終段1ビット加算器(アレイ95の左端)から出力される。この終段1ビット加算器から、デ・スクランブル結果(出力cまたは出力d)のビット列が得られる。
<図23に示したデータがデスクランブルされる場合>
図31のデスクランブルする回路は、符号aに示すようなスクランブルデータスクランブルデータ16に対して、次のように動作する。
スクランブルされたままのデータタイプとプリセットデータの位置のデータ23と、スクランブルされたままのデータ17が順次シフトレジスタ回路91のデータポートDATAに入力される。このデータ(8ビットの0/1ビット列)は、その先頭から1ビットづつ、クロックCKのタイミングに同期して、シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7に順次取り込まれる。
シフトレジスタ回路91の各ビットr0〜r7は、図30のスイッチアレイ93と同じオン/オフパターンを持つ8ビット分のスイッチアレイ93を介して、8個の直列接続された1ビット加算器からなる加算回路アレイ95に接続されている。加算回路アレイ95は、スイッチアレイ93のうちオンとなっている位置のシフトレジスタビットにセットされた1ビットデータ(“0”または“1”)を累積的にリアルタイムで1ビット加算(2進加算)して、加算結果(1ビットの“0”または“1”)を終段の1ビット加算器(レジスタr7が接続されている左端の1ビット加算器)から出力している。この終段1ビット加算器の出力(1ビット加算結果)が、デスクランブル後のデータとなる。
同様に、クロックCKのタイミングに同期して1ビットづつシリアルにデ・スクランブル前のデータビットがシフトレジスタ回路91に取り込まれるとともに加算回路アレイ95の右端の初段1ビット加算器に入力され、クロックCKのタイミングに同期して1ビットづつシリアルにデスクランブル後のデータビットが加算回路アレイ95の終段1ビット加算器から出力される。こうして最初の8ビットのデスクランブルデータ出力が済むと、休止なく直ちに、次の8ビットが同様にスクランブルされ、スクランブル後のデータビットが加算回路アレイ95の終段1ビット加算器から出力される。以下同様に、所定単位(8ビットすなわち1バイト)で後続データがデスクランブルされ、デースクランブル後の出力Aが得られる。
このようにしてシリアルに得られた8ビット(1バイト)単位の0/1ビット列のうち、最初の所定バイト数(ここでは1バイト)で構成される特定データ相当分は、デスクランブルの処理開始のきっかけとして用いられたものであり、再生情報としては不要なので、後の記録処理で捨てる(あるいは無視する)ことになる。捨てられた特定データ(SD−A)相当分と同じ内容はその後のスクランブルデータ中に含まれているので、捨てても困らない。
<図24に示したようなデータがデスクランブルされる場合>
デスクランブルする回路の回路動作そのものは、データ17の場合と同じである。ただし、データ17の場合はデ・スクランブルの火種が時変データ(プリセットデータ4)を含んデータのに対し、データ18の場合はデ・スクランブルの火種が固定データ(著作権管理情報CPR_MAI)となっていることが異なる。
このデ・スクランブルする回路においても、加算回路アレイ95は処理ループを構成していない(終段1ビット加算器の加算結果が他の加算器入力にフィードバックしていない)ので、デスクランブル処理中に何らかの原因でエラーが発生しても、そのエラーが8ビット分以上広がることはない。すなわち、エラー伝搬距離が8ビットに制限されているため、デ・スクランブル回路動作上の信頼性が高い。
<図31の実施の形態の特徴>
もし、デスクランブル回路が入力データに対するフィードバックループを持つ場合は、何らかの原因(情報記憶媒体21/22上の欠陥および/または媒体表面のゴミや傷の等の影響)で入力データにエラーが発生すると、フィードバックループの循環処理動作により、それ以後の処理にエラーが伝搬されてしまう。しかし、フィードバックループを持たないようにすれば、仮に入力データにエラーが含まれた場合でもそのエラー箇所がフィードバック(循環)されることはなく、シフトレジスタ回路91内を通過した後はそのままシフトレジスタ回路91内から消えてしまう。つまり、フィードバックループを持たない回路構成を取ることで、シフトレジスタ回路91のビット数以上はエラー伝搬しない特性(エラー伝搬抑制特性)が現れる。
9…情報記憶媒体、5−0、5−1、5−2、…物理セクタデータ、110…同期コード、301a…中間領域、303a…ユーザデータ領域、304…エラー訂正コードブロック、305a,305b…1セグメント領域、308…シンクフレーム長、311…PA領域、312…VFO領域、313…PS領域。