JP4150588B2 - ネオセントロメアに基づくミニ染色体又は人工染色体 - Google Patents

ネオセントロメアに基づくミニ染色体又は人工染色体 Download PDF

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Description

本発明は一般的にネオセントロメア又はその機能的誘導体又はその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型を包含する規定された若しくは単離された核酸分子、及びとりわけ哺乳動物(例えば、ヒト)及び非哺乳動物のミニ染色体及び人工染色体を含むある範囲の真核生物のミニ染色体及び人工染色体を開発する場合におけるその使用に関する。本発明はさらに、ミニ染色体を開発するためのテロメア関連染色体トランケーション(TACT)アプローチを提供するが、このアプローチに限定されるわけではない。本発明は、ミニ染色体を含むネオセントロメアを調製する如何なるトランケーションアプローチにも関連し、あるいは人工染色体の構築においてネオセントロメア機能を提供するクローニングされ若しくは予め構築されたDNAを用いる如何なるトランスフェクションアプローチにも関連する。このようなミニ染色体及び人工染色体は遺伝子治療の分野でも有用である。
本明細書中で数値で引用した出版物の書誌的事項の詳細は明細書の末尾に集めてある。
本明細書における如何なる先行技術への参照も、その先行技術がオーストラリアにおいて又は如何なる他の国においても通常の一般的知識の一部を構成するとの認識又は示唆を示すものではなく、そしてそう解すべきでもない。
組換えDNA技術の急速に発展する精緻化は研究や医学分野・関連厚生分野における進歩を著しく促進した。とりわけ重要な領域はヒト遺伝学を含む哺乳動物遺伝学においてであり、遺伝的異常の背後に潜む分子的機序の解明においてである。この分野での研究の進歩はヒトのセントロメアを含む核酸分子の完全な配列決定が欠如していることにより妨げられてきた。このような分子の同定及び/又はクローニングはヒト細胞を含む真核細胞や特定の哺乳動物中に遺伝子を導入するための技術の発達を促進するであろうし、そして遺伝子治療や哺乳動物細胞においてある範囲の組換え遺伝子産物を生産するための発現系の開発にとっての重要な財産となるであろう。完全に配列決定されたセントロメアの同定及び/又はクローニングは哺乳動物のミニ染色体及び人工染色体の開発を促進することが重要である。
哺乳動物のミニ染色体及び人工染色体は、エピソーム的に存在しそして宿主のゲノムDNAから独立にそれらの内因性制御因子の下で遺伝子を発現させうるそれらの能力に基づいて、多様な潜在的バイオテクノロジー的応用及び治療分野での応用を有する。これらは実質的に完全に機能的な哺乳動物染色体であるから、これらの実体中に導入され得るDNAのサイズには理論的上限は存在しない。これらの酵母の同種体(人工染色体)との類比から、哺乳動物のミニ染色体及び人工染色体は、正常な分離のためには、機能的な哺乳動物セントロメア、テロメア及びDNA複製起点を必要とすると仮定されてきた。現時点で、これらの三つの成分の中で最も理解されておらず且つ最も複雑なものはセントロメアである。
正しいセントロメア活性に必要なタンパク質成分の同定(その数は増加しつつある)及び多様な種におけるセントロメアDNA配列の特性決定はセントロメアの形成及び機能の根底にある機序についての知識を顕著に増加させた(非特許文献1,2,3参照)。この知識は哺乳動物のミニ染色体及び人工染色体の構築のための幾つかの戦略の開発を促進させた。一つの戦略は、ヒトα−サテライトの大きなアレーを持つテロメアDNAをヒト細胞中に共トランスフェクションさせることによるヒト人工染色体の新たな形成を含む(非特許文献4,5,6,7)。この戦略を用いる研究により、CENP−Bボックスを含むα−サテライトDNAのみが新たな人工染色体形成に関与できることが明らかにされた(非特許文献5,8)。一般化された人工染色体のうちの一部はその構造が線形であるが(4)、他のものは常に環状であった(非特許文献5,7,8)。これらの人工染色体はそのサイズが約1Mb〜13Mbの範囲であり、通常注入したDNAよりも1オーダー以上大きかった。このサイズの増加はトランスフェクション後の注入DNAの末端結合によるものであった(非特許文献4)。
別の1戦略は、正常なセントロメアの周りの非本質的な染色体様物質を除去してミニ染色体をインサイチュ生産するために、テロメア関連染色体トランケーションの使用を含む。ヒトX染色体の配列トランケーションは、X染色体αサテライトDNAの約1.8Mb及び近位のXpDNAの400kbを含む2.5Mbのミニ染色体を生じた(非特許文献9,10,11)。この染色体は正常なヒトX染色体のそれに匹敵する有糸分裂安定性を示す(非特許文献10,11)。同様のアプローチにより、ヒトY染色体に由来したミニ染色体が幾つか作られた。それらのサイズは約0.7Mbから4Mbを超える程の範囲であり、サイズのより小さなものは比較的不安定であった(非特許文献12,13)。より大きなミニ染色体はCHO細胞、ニワトリDT40細胞及びマウスL細胞中で安定に維持されたが、マウスES細胞中に導入されると安定性が悪くなった、これは細胞型が異なると正しいセントロメア機能に対する要求も異なることを示唆する(非特許文献14,15)。
哺乳動物の人工染色体を調製するための第3の戦略は、近点のDNAの増幅及びそれに続く染色体の制御された切断により60と400Mbの間のサテライトDNAに基づく人工染色体を調製する工程を含む(非特許文献16,17,18,19,20)。
近年、セントロメア機能と通常関連付けられてきた反復配列を欠如するネオセントロメア類(NCs)がヒト(非特許文献21)及びドロソフィラ(非特許文献22)中で記述された。基礎をなすDNAの特性決定及びヒトにおけるネオセントロメアのタンパク質結合の様相はDNA一次配列組成とは無関係なセントロメア形成の後生的な機序を示唆した(非特許文献23,24,25,26)。ネオセントロメアの発見は、セントロメアDNAの反復配列の使用に基づいて従来記述されたきたアプローチに替わる、ミニ染色体及び人工染色体の構築のためのアプローチを提供する。
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本発明者らは完全に機能的なヒトネオセントロメアを含む有糸分裂に対し安定な一連のヒトミニ染色体を作成することを目的とする。ヒトミニ染色体の作成は遺伝子治療、トランスジェニック植物及び動物の生産、及び組換えタンパク質の生産の発展を可能とする。
発明の概要
本明細書を通じて、論旨が別意を要求しない限り、語「含む(comprise) 」又は「含む(comprises) 」若しくは「含む(comprising)」などのその変形は述べられた要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群の含有を意味するが他の任意の要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群の排除を意味するものではないと理解される。
ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は配列番号の数(配列番号:)により引用される。この配列番号:は配列同定子<400>1、<400>2などに数値的に対応している。配列表は特許請求の範囲の後に添付される。
本発明はテロメア関連染色体トランケーション(TACT)アプローチを使用してミニ染色体を開発することに部分的に基づいている。選択可能マーカー、ヒトのマーデル(mardel) (10)などの真核生物染色体のp' 又はq' 腕の上の小さな領域に相同なターゲティングDNA配列、及びテロメア配列の小さなアレーを含むトランケーション構築物が開発される。p' 及びq' 腕はこのマーデル(10)染色体の短い腕及び長い腕を指すが、一般的にはネオセントロメアを含む任意のマーカー染色体の短い腕及び長い腕をも指す。第1のトランケーション構築物を標的細胞中にトランスフェクトし、そのマーカーを選択する。これは、使用したトランケーション構築物に応じて先端切断されたp' 及びq' 腕を持つ標的染色体を結果として生ずる。次に他のp' 及びq' 腕のトランケーション構築物を用いて同じ細胞の中に第2のトランケーション構築物をトランスフェクトする。再び、選択した後、該標的染色体のp' 及びq' 腕のトランケーションされた形が得られる。次いで、得られたミニ染色体を単離し、遺伝子治療又は遺伝子発現のために使用しうる。テロメアDNAを含む若しくは含まない修正標的化法を用いて遺伝子若しくは他のヌクレオチド配列を標的染色体中に導入してもよい。
本発明の一つの側面は真核生物のネオセントロメアを規定するヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
より具体的には、本発明は真核生物染色体に由来するヌクレオチド配列を含み且つネオセントロメアを含む単離された核酸分子であって、適合細胞中でトランケーション型若しくは改変型で存在し、又は適合細胞中に予め作成されたDNA実体としてトランスフェクションにより導入された場合複製でき、染色体外因子として作用でき且つ細胞分裂と共に分離することができる核酸分子を提供する。
本発明の別の一側面はネオセントロメア又は機能的同族体を同定する方法であって、哺乳動物CENP−A及び/又はCENP−Cに特異的な抗体又は哺乳動物CENP−A及び/又はCENP−Cと交差相互作用できる抗体を用いるクロマチン免疫沈降法によりDNAを単離する工程、免疫沈降法により単離されたDNAを増幅する工程、及び増幅されたDNA中に標識を組み込む工程、次いで増幅されたDNAを用いてゲノムDNA若しくはその等価物を含むDNAアレー精査する工程、及び該免疫沈降したDNAにハイブリダイズするクローンを同定し且つ単離する工程を含む方法の使用を意図する。
本発明のさらなる側面は、細胞分裂の間に安定に分離できるネオセントロメア又はその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型を含むヒトネオセントロメアに基づくミニ染色体(NC−MiCs)の形態で単離された核酸分子を提供する。
本発明のさらに別の一側面は、ミニ染色体を作成する方法であって、
ネオセントロメアを含む染色体を保持するヒト又は哺乳動物の細胞中に、標的染色体のq' 及びp' 腕の一方又は他方の上に、テロメア配列、選択可能マーカー、ターゲティング相同DNAを有するベクターを含むトランケーション構築物を導入する工程、
選択可能マーカーを発現する細胞を選択する工程、
該細胞の中に該q' 又はp' のターゲティングDNAの他方を含む第2のトランケーション構築物を導入する工程、
該第2のトランケーション構築物と関連する選択可能マーカーを発現する細胞を選択する工程、及び
次いで、ネオセントロメアを含むトランケーションされた染色体を単離する工程、
を含む方法を提供する。
本発明はネオセントロメア特性を示す核酸分子の同定及び単離に一部基づいている。本発明によれば、ネオセントロメアは正常なセントロメア(例えば、ヒトにおけるα−サテライトやマウスにおけるマイナーサテライト)の上に存在する反復DNA配列を実質的な量として含まず、活性化されるとセントロメアとして機能することができるセントロメアであると考えられる。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)のネオセントロメアはα−サテライトDNA反復配列を実質的に含まないセントロメアである。用語「実質的な」とは、この論旨において、該核酸分子が培地のストリンジェンシー条件の下でのFISH分析により又は培地の相同性基準の下での直接配列比較により、α−サテライトなどの正常なセントロメア反復DNA配列を検出可能な程に含まないことを意味する。しかしながら、このネオセントロメアは高度に分岐した(highly diverged)正常セントロメア反復DNA配列を少数含みうる。例えば、霊長類においては、α−サテライトDNAは長さが約170bpであると考えられる。活性化されたネオセントロメア又は他の方法でセントロメアとして機能するネオセントロメアを含む核酸分子は、本発明に従ってミニ染色体又は他のDNAと共に予め作成された形態の核酸分子がトランスフェクションし、複製し、染色体外に留まり、細胞分裂と共に分離することを容易にする。本明細書で「ネオセントロメア」と言うときは、ヒト染色体上のα−サテライトDNA反復配列などの、内因性且つ構造的に変化のない染色体のセントロメアの上に正常に存在する反復DNA配列をセントロメアが実質的に欠如していることを意味すると理解される。さらに、ネオセントロメアはゲノムの正常な非セントロメア領域から誘導されると考えられる。
従って、本発明の一つの側面は、真核生物のネオセントロメアを規定するヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を提供する。
より具体的には、本発明は真核生物の染色体に由来するヌクレオチド配列を含み、且つその核酸分子が適合細胞中でトランケーションされた若しくは改変された形態で存在するネオセントロメア、又は適合細胞中に予め作成されたDNA実体としてトランスフェクションにより導入された場合複製でき、染色体外因子として作用できそして細胞分裂と共に分離できるネオセントロメアを包含する単離された核酸分子を提供する。
本発明はヒトのネオセントロメアの同定により本明細書に例示される。しかしながら、これは、本発明が哺乳動物、植物、鳥類、昆虫、ぜん虫、真菌、酵母及び爬虫類などの染色体由来の全ての真核生物のネオセントロメアに及ぶという理解の下でなされる。しかしながら、最も好ましいネオセントロメアは、ヒト染色体及びその哺乳動物相同染色体由来のものである。
本発明は、マーデル(10)染色体のq' 腕の標的化されたテロメア関連トランケーション及びp' 腕の明らかな無作為トランケーションの組み合わせを用いた幾つかのネオセントロメアに基づくヒトのミニ染色体の構築に一部基づいている。マーデル(10)染色体はヒト患者中で同定された染色体を指し、ヒト染色体10の再配列から生ずる。このマーデル(10)マーカーは有糸分裂において安定であり、本発明によれば非セントロメアと見られる位置に機能性のネオセントロメアを含む。マーデル(10)のネオセントロメアは染色体10のq24とq26の間に位置し、より具体的には q25付近に位置する。さらに具体的に言えば、このネオセントロメアは染色体10のq25.2に位置する。本発明はマーデル(10)染色体のq24〜q26領域からクローニングされたDNA並びに正常なヒト染色体10の上の対応する領域により例示される。これらのDNA分子は機能を有するネオセントロメアを含む。しかしながら、本発明は哺乳動物及び非哺乳動物並びに植物、昆虫、ぜん虫、真菌、爬虫類及び酵母などの任意の染色体の上の任意のネオセントロメアに及ぶ。
10q25領域由来のコスミドプローブ及びBACプローブを用いて詳細に地図化すると、トランケーション部位を定めることができ、NC−MiCsがこの領域由来の単一コピーの無傷のDNAを含むことを証明することができる。パン−α−サテライトDNAを用いた広範なFISH、全ヒト染色体の全染色体ペイント、及び異なる部分染色体−10のペイントにより、NC−MiCsのいずれもがα−サテライトDNA又は他のヒトゲノム配列の検出可能な量を獲得しなかったことが明らかにされた。地図化データに基づいて、NC−MiCs3、4及び5のサイズは、それぞれ約1.6 、1.6 及び0.8 Mbであると見積もられた。
本発明はさらに、ヒトのネオセントロメア又はその機能性誘導体又はその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型、又はその哺乳動物若しくは非哺乳動物の相同染色体を規定する三次元構造を有する核酸分子又はその化学的等価物を意図する。
さらにより具体的には、本発明はヒトネオセントロメア又はその機能性誘導体又はその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型又はその哺乳動物若しくは非哺乳動物の相同染色体を規定するコンホーメーションを指示するヌクレオチド配列又はその化学的等価物を有する単離された核酸分子であって、該セントロメアがCENP−A及びCENP−C、これらのタンパク質に限定されないが、などのセントロメア結合性タンパク質と結合するものである核酸分子に関する。
本明細書においてセントロメアに関して「潜在的」と言う場合は、正常には機能しないがそれにもかかわらずある条件下では活性化されうるセントロメアへの言及をも含む。潜在的セントロメアは、それがα−サテライトDNA反復配列などの正常なセントロメアの上で見出される反復DNA配列を実質的に含まない場合には、ネオセントロメアとみなしてもよい。非ヒト染色体中の好ましい反復DNA配列はα−サテライトDNAと機能的に等価な反復DNAであると考えられる。
従って、本発明の別の一側面はネオセントロメア又は機能性相同染色体を同定するための任意の方法であって、哺乳動物CENP−A及び/又はCENP−Cに特異的な抗体又は哺乳動物CENP−A及び/又はCENP−Cと交差相互作用できる抗体を用いるクロマチン免疫沈降法によりDNAを単離する工程、免疫沈降法により単離されたDNAを増幅する工程、増幅されたDNA中に標識を組み込む工程、及び次いで増幅されたDNAを用いてゲノムDNA又はその等価物を含むDNAアレーを精査する工程、及び該免疫沈降したDNAにハイブリダイズするクローンを同定し単離する工程を含む方法の使用を意図する(52)。
本発明のネオセントロメアのサイズは、約50bpから約 2000 kbpまで、約70bpから約 1000 kbpまで、約75bpから約 800kbpまで、約80bpから約 500kbpまで、約85bpから約 200kbpまで、約90bpから約100 kbpまで、約100 bpから約 1kbpまで、約120 bpから約 500bpまで、約180 bpから約 300bpまでの範囲でありうる。一つの実施態様では、ネオセントロメアは約 60 〜100 kbp である。別の一実施態様ではネオセントロメアは約80kbpである。とりわけ好ましい実施態様では、ネオセントロメアは約 50 kbpから約 2000 kbpまでである。ネオセントロメアは、CENP−A結合ドメイン又は他のセントロメアタンパク質結合ドメイン、又は異なる複製タイミング、クロマチン構造、足場構造体、化学的修飾状態(例えば、アセチル化、メチル化、リン酸化、ポリADPリボシル化)を示すドメインなどの別種の構造的又は機能的に異なるドメインを包含してもよい。機能的に重要な全てのドメインを包含するためサイズが2000kbpより大きなネオセントロメアも提供される。
本発明のミニ染色体のサイズは、約 500bpから約 20000kbpまで、約 700bpから約 1000 kbpまで、約 750bpから約 8000 kbpまで、約 800bpから約 5000 kbpまで、約 850bpから約 2000 kbpまで、約 900bpから約 1000 kbpまで、約 1000 bpから約 10 kbpまで、約 1200 bpから約 5000 kbpまで、約 1800 bpから約 3000 kbpまでの範囲でありうる。一つの実施態様では、ミニ染色体は約 600〜1000kbpである。別の一実施態様では、ミニ染色体は約 800kbpである。とりわけ好ましい実施態様では、ネオセントロメアは約 500kbpから約 20000kbpまでである。ミニ染色体はネオセントロメア、複製起点及びテロメアなどの別種の構造的又は機能的に異なるドメインを包含してもよい。とりわけ好ましい実施態様では、ミニ染色体は活性なネオセントロメアを含んでいる。
本発明の核酸分子は、健常なヒト被験者由来の天然に生じるヌクレオチド配列を含んでもよく、あるいはマーデル(10)染色体若しくは等価な状態若しくは類似の状態を与える染色体を保持する被験者などの一以上の染色体依存状態を示すヒト被験者由来のヌクレオチド配列を含んでもよく、又は天然に生ずる配列若しくは天然に生じない配列に関して一つ以上のヌクレオチド置換、欠失及び/又は付加を有してもよい。このような改変は本明細書では「誘導体」と呼ばれ、天然に生ずるヌクレオチド配列の突然変異、断片、部分、相同染色体及び類似体が含まれる。本発明の誘導体はなお機能性ネオセントロメアを規定していることが好ましい。
本明細書で「ネオセントロメア」と言う場合は、機能性ネオセントロメア又はその機能性誘導体への言及をも含み、ネオセントロメアが有糸細胞分裂の間における姉妹染色分体結合や染色体分離を容易にすることができ、及び/又はCENP−A及び/又はCENP−C及び/又は他の機能的に重要なセントロメアタンパク質と結合することができ、及び/又は抗CENP−A抗体又は抗CENP−C抗体又は他の機能的に重要なセントロメアタンパク質に対する抗体と相互作用できることを意味する。一般に、そして好ましくは、ネオセントロメアはCENP−B又は抗CENP−B抗体と相互作用することはできない。また、ネオセントロメアは後成の機序若しくは他の関連機序により活性化され得る潜在的セントロメアであってもよい。ネオセントロメアはハイブリッド又は他のヒト、哺乳動物、植物又は酵母のネオセントロメアであってもよい。正確なコンホーメーションに達成するように、例えば、重合技術により提供された合成ネオセントロメアも本発明により意図される。ネオセントロメアのこのような形態及び定義の全てはこの用語の使用により包含される。
本発明の別の一側面は、ネオセントロメア若しくはその機能性誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型を規定するコンホーメーションを指示するヌクレオチド配列若しくは化学的等価物を含む単離された核酸分子若しくは化学的等価物であって、該ネオセントロメアがα−サテライトDNAなどの正常セントロメアの反復DNAを実質的に欠くものであり、ネオセントロメアがCENP−A若しくはCENP−C若しくは他の機能的に重要なセントロメア結合性タンパク質又はそれらの抗体と結合できるものである核酸分子を提供する。
このネオセントロメアはCENP−B又はその抗体と相互作用できないことが好ましい。
一つの実施態様では、このネオセントロメアは、染色体10上のq24とq26の間に位置し、特に染色体10上のq25に位置するヒトゲノム領域に対応する。
コンホーメーションを有するネオセントロメア若しくはその機能性誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型を規定する本発明の核酸分子若しくはその化学的等価物は、とりわけヒトネオセントロメアに基づくミニ染色体(NC−MiCs)、ヒト人工染色体(HACs)、哺乳動物人工染色体(MACs)、酵母人工染色体(YACs)及び植物人工染色体(PLACs)などのミニ染色体若しくは人工染色体の作成に有用である。ヒトNC−MiCsは、これらが大量のDNAを収容でき、且つ、ヒトの細胞中で増殖できるので、特に有用である。このNC−MiCsはその起源が非ウイルス性であり、従って、通常のウイルスに基づくベクター系よりも、例えば治療用の遺伝子を導入することによる遺伝子治療に一層適している。さらに、NC−MiCsは染色体外に留まっており、従って、挿入による又は置換による突然変異誘発の危険がない。NC−MiCsの本質は細胞分裂のあいだ安定な分離を可能とするネオセントロメア若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型の存在である。NC−MiCsも染色体外に留まっており、従って、遺伝子治療に一層適している。「染色体外」と言うときは、それが主染色体と合体せず、事実上エピソームであることを意味する。
従って、本発明は真核細胞の複製起点、及びその中で遺伝子構築物が複製すべき細胞において機能を有するテロメアヌクレオチド配列により挟まれた真核生物のネオセントロメア若しくはその機能的誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型、又はその哺乳動物若しくは非哺乳動物の相同染色体を包含する核酸分子を含む遺伝子構築物であって、細胞内に導入されると該遺伝子構築物が細胞分裂と共に分離する環状若しくは線形形状いずれかの複製する染色体外因子となる遺伝子構築物を提供する。
より具体的には、本発明は、哺乳動物、ヒト、植物若しくは酵母の細胞の複製起点及び核酸分子を含むミニ染色体若しくは人工染色体の形態の遺伝子構築物をさらに意図する。ここで、核酸分子はテロメアヌクレオチド配列により挟まれた又はミニ染色体若しくは人工染色体がその中で複製すべき細胞中で機能するテロメア配列を殆ど又は全く持たない環状の、ヒトネオセントロメア若しくはその機能性誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型又はその哺乳動物若しくは非哺乳動物の相同染色体を包含する。
別の一実施態様は、哺乳動物、ヒト、植物若しくは酵母の細胞の複製起点、及び核酸分子であって、テロメア配列により挟まれた、又はミニ染色体若しくは人工染色体がその中で複製すべき細胞中で機能するテロメア配列を殆ど又は全く持たない環状の、ヒトネオセントロメア若しくはその機能性誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型又はその哺乳動物の相同染色体を規定する三次構造を有する核酸分子、を含むミニ染色体若しくは人工染色体の形態の遺伝子構築物を提供する。
さらに別の一実施態様は、哺乳動物、ヒト、植物若しくは酵母の細胞の複製起点、及びヒトネオセントロメアを規定するコンホーメーションを指示するヌクレオチド配列を有する核酸分子を含むミニ染色体若しくは人工染色体の形態の遺伝子構築物であって、上記セントロメアがCENP−A及び/又はCENP−C及び/又は他のセントロメアタンパク質又はそれらの抗体と結合し、α−サテライトDNA反復配列を実質的に含まないものであり、上記核酸分子がテロメアヌクレオチド配列により挟まれているか又はミニ染色体若しくは人工染色体が複製すべき細胞の中で機能するテロメア配列を殆ど又は全く保持しない環状の形態である、遺伝子構築物に関する。
本発明はミニ染色体を作成する方法であって、
細胞中に、標的染色体のq’又はp’腕の一方若しくは他方の上にテロメア配列、選択可能マーカー、相同なターゲティングDNAを有するベクターを含むトランケーション構築物を導入する工程、
該選択可能マーカーを発現する細胞を選択する工程、
該細胞に、該q’又はp’を標的とするDNAの他方を含む第2のトランケーション構築物を導入する工程、
該第2のトランケーション構築物と結合した選択可能マーカーを発現する細胞を選択する工程、及び
次いで、ネオセントロメアを含むトランケーションされた染色体を単離する工程、
を含む方法をさらに提供する。
一つの実施態様では、該q’を標的とする腕及びp’を標的とする腕はマーデル(10)染色体を標的とする。
特に好ましい実施態様では、ミニ染色体は図1に規定されているようにNC−MiC1〜5と定義される。
本発明は、ネオセントロメアを挟んでいるq’及びp’腕を有する染色体を含む細胞をさらに提供する。ここで、q’及びp’腕はその一方又は両方がトランケーションされている。
上述の方法又はその修正法は、発現のためなどの遺伝子若しくは他のヌクレオチド配列を導入するためにも使用されうる。
本発明は、ヒト、霊長類、昆虫、酵母の真核細胞又は本発明の遺伝子構築物を保持する他の真核細胞に及び、且つそれらから生産されるタンパク質に及ぶ。
本発明の遺伝子構築物は、ミニ染色体及び人工染色体並びにミニ染色体及び人工染色体の作成に有用なDNA構築物を含む。
該遺伝子構築物はマーカー遺伝子、ユニークな制限部位、又は外来のDNAの挿入を促進するための組換え促進マーカー(例えば、Creリコンビナーゼと共に使用するためのLoxP・DNA)を含む。従って、本発明の遺伝子構築物は目的の生産物をコードする外来の又は異種のDNAをさらに含む。目的の好ましい生産物は、サイトカイン類、受容体類、成長調節剤類などをコードする遺伝子などの薬学的に有用な遺伝子を含む。内因性遺伝子は野性型遺伝子又は改変された遺伝子で置換してもよい。
該遺伝子構築物中に固有に存在する特異的DNA配列(例えば、推定的ESTs又は発現された遺伝子又は不安定DNA因子)も、同定され、取り出され又はさらなる遺伝子操作若しくは遺伝子工学により改変されうる。他のDNA成分(例えば、治療用遺伝子若しくはマーカー遺伝子、LoxP・DNA配列、I−SceIなどのユニーク制限部位)を上記遺伝子構築物に後で付加してその有用性又は適用を改良若しくは拡大してもよい。
外来の若しくは異種のDNAは特定被験者中で十分な量が合成されない分子をコードしてもよい。従って、コピー数の増加によりより大量の分子の合成が可能となる。
従って、本発明は、複製起点、及びヒトのネオセントロメア若しくはその機能性誘導体若しくはその潜在型、合成型若しくはハイブリッド型又は哺乳動物若しくは非哺乳動物の相同染色体を定める第1の核酸分子、ぺプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードする第2の核酸分子を含む遺伝子構築物であって、該第1及び第2の核酸分子がヒトテロメア配列により挟まれているか又は該遺伝子構築物がその中で複製すべき細胞中で機能するテロメア配列を殆ど又は全く保持しない環状の形態で存在するものである遺伝子構築物を意図する。
本明細書で「分離する」と言うときは、好ましくは有糸分裂的に安定な分離を意味する。安定な分離は、4〜6か月の連続継代の後に娘細胞の40〜60%より多くにミニ染色体若しくは人工染色体が存在する場合と決定するのが便利である。
本発明は、HACs、MACs及びPLACsなどの上述のNC−MiCsに類似の他のミニ染色体若しくは人工染色体に、又はミクロ染色体、合成染色体及びそれらの変異体などの他の記述若しくは名前による同様な実体に及ぶ。
本発明の別の一側面は、本発明のヒトネオセントロメア若しくはその哺乳動物及び非哺乳動物の相同染色体と結合し、相互作用し若しくはその他の方法で会合するぺプチド、ポリペプチド及びタンパク質に関する。これらの分子は一次(1°)タンパク質と呼ばれるタンパク質であることが好ましい。この1°タンパク質はネオセントロメアに結合し、二次(2°)タンパク質はネオセントロメアと結合する前又は後に1°タンパク質に結合する。本発明のヒトネオセントロメアの同定は、例えば遺伝的障害の染色体をスクリーニングするために重要でありうる1°タンパク質及び2°タンパク質を検定するための機序を提供する。これは特に染色体分離の欠陥から生ずるダウン症候群における使用である。
1°タンパク質は、例えばゲルシフト検定により容易に検出される。ヒトネオセントロメアを規定する本発明の核酸分子を消化し、標識化し、1°タンパク質を含むと推定される核抽出物と接触させ、そしてゲル上で分離する。1°タンパク質はネオセントロメアの結合部分を保持する断片に結合すると、DNA断片は結合したタンパク質のためより遅い速度でゲル中を移動する。
本発明は主題であるセントロメアと結合できる精製した1°タンパク質に及び、それをコードする遺伝子配列に及び、そしてそれに対する抗体にも及ぶ。
本発明のネオセントロメアは、例えば、ヒト線維肉腫細胞系統を用いて容易に同定され特性決定される。例えば、ネオセントロメアを保持すると疑われるDNAは、一般的にはテロメア配列と共に線形形状で線維肉腫細胞中に導入される。次いで、人工染色体と呼ばれる、複製する染色体外の分離する因子の存在についてこの細胞をスクリーニングする。
本発明はさらに複製する染色体外の分離する核酸分子を保持する真核細胞を包含する。この真核細胞は哺乳動物細胞であることが好ましく、ヒト細胞であることが最も好ましい。本発明のこの側面の核酸分子が本明細書に記載されるように好ましい。
下記の細胞系統はポートン・ダウン、サリズベリ、ウィルツ、SP4 0JG、英国のECACC、センター・フォア・アプライド・マイクロバイオロジー・アンド・リサーチに2000年12月20日に下記の受託番号の下に寄託された。
Figure 0004150588
本発明は下記の非限定的実施例によりさらに説明される。
細胞培養及び化学物質
BE2C1−18−5f(5fと略称する)を先に記述したように(27)培養した。HT1080及び誘導体を10%v/vウシ胎児血清(FCS)を添加したDMEM(ギブコBRL)中で培養した。培地にハイグロマイシン(ロッシュ)、ピューロマイシン(シグマ社)、又はゼオシン(インビトロゲン)を、それぞれ250μg/ml、1μg/ml、又は200μg/mlの濃度で添加した。培地に100U/mlのペニシリン及び100mg/mlのストレプトマイシン(ギブコBRL)を補充した。全ての細胞系統はサブコンフルエンスで維持した。微小細管解重合剤であるコルセミド(colcemid)(ギブコBRL)又はノカダゾール(nocadazole)(シグマ) を細胞収穫の前にそれぞれ10μMの濃度で1時間又は0.1μg/mlの濃度で6〜12時間培地に添加した。使用した化学物質は全て分子生物学的グレードのもので、市販のものを購入した。
細胞系統のトランスフェクション
5f及びZB30細胞系統のトランスフェクションは電気穿孔法を用いて行なった。簡単に述べると、107 個の対数増殖期の細胞を収穫し、PBS中で2回洗浄し、800μlの電気穿孔用緩衝液(20mMヘペス,pH 7.0、150mMのNaCl、5mMのKCl、6mMのグルコース、2.5 mMのNaOH、1mMのNa2 HPO4 )中に再懸濁した。0.4 cmキューベット中で線形化したDNA20μgを細胞と混合し、バイオラド・ジーン・パルサー・エレクトロポレーターを用いて細胞を 1.2kV,25μFで電気穿孔した。HT1080細胞又は誘導体細胞のトランスフェクションは先に述べた(30)ような電気穿孔法又はリポフェクションのいずれかを用いて行なった。リポフェクションのためには、細胞を、トランスフェクションの1日前に、150mmプレートの上の40mlに1〜3×105 細胞/mlで塗布した。これは実験の当日に50〜70%コンフルエンシーをもたらした。2mlの無血清DMEMを用いて100μlのフジーン6トランスフェクション試薬(ベーリンガー・マンハイム)を希釈し、この懸濁液を37℃で5分間インキュベートした。20μgのDNAも2mlの無血清DMEM中に希釈した。次いで、希釈されたフジーン6をDNA懸濁液中に滴下して添加した。この混合物を軽く叩き、室温で15分間インキュベートした。インキュベーションの後、このDNA/フジーン6混合物を細胞の上に滴下して添加した。細胞を96穴プレートに播種し、トランスフェクションの24〜48時間後に選別を行なった。
微小核体により媒介されるHT1080への染色体移送
微小核体融合は先に記述した(38)ように行なった。対数増殖期のドナーZB30細胞をコルセミド(1μg/ml)と一晩インキュベートした。48時間後に細胞を収穫し、20μg/mlのサイトカラシンB(シグマ)を補充したパーコール/無血清DMEM(1:1)中に再懸濁した。次いで、細胞懸濁液をオークリッジ管(ナルジーン)に入れ32℃で90分間18000rpmで遠心分離に掛けた。細胞混合物の両方のバンドをペレットとし、無血清DMEMで1回洗浄した後、30、8、及び5μMの等孔膜(ミリポア社,MA)を通して濾過した。次に微小核体を10μg/mlのPHAP(ディフコ,ウェスト・モルシー,UK)を含む無血清DMEM中に再懸濁し、37℃で45分間受容体HT1080細胞と凝集させた。凝集の後、50%w/vPEG(ベーリンガー・マンハイム)を添加することにより細胞を融合させ、室温で2分間インキュベートした後無血清DMEMで濯いだ。インキュベーションの後、10%v/vFCSを含むDMEM中で細胞を一晩培養した。次いで、その培地を200μg/mlのゼオシンを含むDMEMで置換し、細胞を14日の期間選別しながら維持した、後コロニーをさらなる特性決定のために釣り上げた。
FISH/免疫蛍光
FISH/免疫蛍光の結合は先に記述した(25,51)方法の改良法を用いて行なった。パン−α−サテライトプローブpTRA7を用いるFISH及びテロメア配列(パースペクチブズ・バイオシステム,MA)のPNA−FISHは先に記述した(39,40)ように行なった。エピフルオレッセンス・ミクロスコピーは適当なフィルターセットを搭載したツァイス・アクソプランII (カール・ツァイス, カーネギー, オーストラリア) を用いて行なった。画像は、ソフトウェアIP Lab Version 2.5.5 (Scanalytics Inc., Fairfax, VA, USA) により制御されたパワーマックG3パーソナルコンピュータに連結した冷却電荷結合素子ビデオカメラ(SenSys 2, Photometrics, Tuscon, AZ, USA)を用いてデジタルで収録した。染色体ペインティング実験はWCP染色体ペイントキット(Vysis Inc.) を用いて製造者の説明書に従って行なった。部分染色体−10(subchromosome-10) ペイントは、M.ロッキ(M. Rocchi)(ユニバーシティ・オブ・バリ)から得た体細胞放射ハイブリッドゲノムDNAから誘導した。体細胞ハイブリッドDNAのインター−アル・アンプリフィケーション(inter-Alu amplification)は、先に記述した(41)ように、プライマー5’GGATTACAGGYRTGAGCCA(配列番号:1)及び5’RCCAYTGCACTCCAGCCTG(配列番号:2)を用いて行なった。ペイントプローブ及びFISHの標識化は標準的方法を用いて行なった。
ポリクローナル抗CENP−A、モノクローナル抗CENP−B、ポリクローナル抗CENP−C、及びCREST−6抗血清は先に記述した(42,43,44,27)。ポリクローナル抗CENP−E(45)、抗CENP−F(46)、及び抗hBUB1(47)はT.J.イェン(Fox Chase Cancer Center)により、ポリクローナル抗hZW10(48)はB.ウィリアムズ及びM.L.ゴールドバーク(コーネル・ユニバーシティ)により、そしてポリクローナルp55CDC(49)はJ.ワインシュタイン(Amgen 社) により、そしてポリクローナル抗TRF1(32)はチチアデランゲ(ロックフェラー・ユニバーシティ,NY)により提供された。抗血清CREST−6は自己免疫CREST病の患者由来のもので、CENP−A及びCENP−Bを含むセントロメア成分に対する抗体を含む(51)。他の二次的抗体はジャクソン・イミュノリサーチ・ラボラトリー・インク(ウェストグローブ,ペンシルベニア,USA )から購入した。
トランケーション構築物
トランケーション構築物はpGK:ハイグロマイシン耐性遺伝子カセット、pGK:ピューロマイシン耐性遺伝子カセット、又はpGK:ネオマイシン耐性遺伝子カセットのいずれかを含んでいた。ヒトテロメア反復の2kbアレーは pBS Sal-tel(5) プラスミドから得られた(28,50)。マーデル(10)のp’腕及びq’腕に対応するDNAを含むゲノムコスミドクローンは先に記述された。高コピー反復DNA配列を欠く5〜10kb断片(サザンハイブリダイゼーション後のCOT−1ハイブリダイゼーションの欠如により明らかである)は、標準的方法を用いて、両方の方向でトランケーションベクター中にサブクローニングした。または、ゲノムDNAをトランケーションベクター中にクローニングするためロングレインジPCRキット(ベーリンガー・マンハイム)を用いてBACクローンから直接PCR増幅した。トランケーション構築物はすべてpAlter(プロメガ社)ベクター骨格中で作成した。
ゼオシン耐性マーカーのコンカテマー化(concatamerization)
pZeoSV2(+)プラスミド(インビトロゲン)由来のゼオシン耐性カセットを、両側を挟むNotI制限部位を添加してPCR増幅した。これをpGEM−T(プロメガ社)中にクローニングした。このプラスミド100μgをNotIで消化し、フェノール/クロロホルム抽出により精製した。コンカテマー(鎖状体)を作成するため、消化されたDNA(総容量100μl)に、10μlのリガーゼ緩衝液、40ユニットのT4リガーゼ及び5μlの100mMのATPを添加した。この結合反応は一晩行い、完了した反応液の1μlをパルスフィールドゲル電気泳動により試験して生じたコンカテマーのサイズを求めた。DNAは、トランスフェクションの前に、フェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿した。
ドットブロットハイブリダイゼーションを用いるp’腕トランケーションスクリーニング
24穴プレート中の細胞をトリプシン処理により収穫し、真空下でハイボンドN+(アマシャム社)を含むミニフォールド・ドット・ブロッティング・アパレイタス(96パーブロット,シュレリヒェ・アンド・シュル・インク)に直接移した。移送後、ハイボンドN+を10分間変性し(1MのNaOH,1MのNaCl)、5分間で2回中和した(1Mトリス塩酸,1.5 MのNaCl)後、2×SSC中で最終洗浄を行なった。次いで、膜を80℃で 1.5時間焼き、標準的方法を用い、32P標識化pAlterベクター(プロメガ社)DNAを用いて精査した。
マーデル(10)標識化及びHT1080細胞中への移送
マーデル(10)染色体を含むCHOに基づく体細胞ハイブリッド系統(5fと命名)(27)を用いた。先に記述した(9,12,28)系に類似の系を用いて、最初のテロメア関連染色体トランケーション(TACT)を図1A(以下に述べる)に示すトランケーションベクターを用い5fに対して行なった。異なるトランケーションベクターでトランスフェクトされた25000個を超える薬剤耐性コロニーについての徹底的なスクリーニングによっても陽性のトランケーション事象は得られなかった。このことはこの5f細胞系統がTACTの適当な宿主でなかったことを示唆する。次いで、本発明者らはマーデル(10)染色体をヒトHT1080細胞中に移送することを決定した。何故なら、この細胞系統は相同組換えに優れていることが知られており(29,30)、テロメア活性を示し(31,32,33)、そして微小核体により媒介される染色体移送の良好な受容体である(34,35)からである。pGEM−Tベクター中にクローニングされたゼオシン耐性遺伝子で5f細胞中のマーデル(10)を標識するため無作為挿入アプローチが最初に用いられた。染色体標識化についてのその後のFISHスクリーニングを容易にするため、ゼオシン耐性遺伝子を含むZEO(登録商標)/pGEM-T構築物をコンカテマー化し、50kbより大きなDNA断片のみを用いて5f細胞をトランスフェクトした。63個の個々のゼオシン耐性コロニーをスクリーニングして、マーデル(10)がその遠位のq’領域で標識化された1個の細胞系統(ZB30と命名)を同定した(図2A)。この細胞系統は微小核体により媒介されるHT1080細胞中への染色体移送におけるドナーとして使用された。60個のゼオシン耐性微小核体融合コロニーのうちの15個はマーデル(10)を含むことが示された。ネオセントロメア領域由来のBACs、パン−α−サテライト、CHOゲノムDNA、及び抗セントロメア抗体の宿主を用いてこれらの細胞系統を広範なFISH分析及び免疫蛍光分析により、マーデル(10)染色体及びそのネオセントロメアが無傷であり、染色体への如何なるα−サテライト反復又はCHO・DNAの組み込みも起こらなかったことが確認された。ZBHT−14と命名されたこれらの細胞系統の一つが、以後のトランケーション実験に用いられた。
無傷のマーデル(10)を獲得したZBHT−14などの細胞系統に加え、この染色体の無作為にトランケーションされた誘導体を含む幾つかの細胞系統も融合生成物中に検出された。このような破損した染色体断片の形成及び移送は微小核体融合手順と関連する比較的普通の出来事であるように見えた(36)。一つの細胞系統(NC−MiC1と命名)は、それが先に位置付けられた10q25ネオセントロメアドメイン(27)の周りの約2MbのDNAを含むことがFISHにより明らかにされたミニ染色体を保持していたので興味深かった(図1C)。この細胞系統はさらなる特性決定及びトランケーション研究のために保持された。
トランケーション構築物
10q25ネオセントロメア領域の約3Mbをカバーする50個以上のBACクローン及びコスミドクローンを含む完全な物理的地図が調製された(図1C)。この地図に基づいて、この領域由来の異なるターゲティングDNAを含む幾つかのトランケーション構築物が設計された。これらの構築物は、ハイグロマイシン耐性遺伝子(q’腕トランケーション用)、ネオマイシン耐性遺伝子、又はピューロマイシン(p’腕トランケーション用)耐性遺伝子のいずれか、末端にクローニングされたヒトテロメア配列、及びマーデル(10)のq’腕又はp’腕のいずれか由来の5〜10kbのターゲティングDNAを含んでいた(図1A)。最初のTACT実験はq’腕について行なわれ、その後p’腕のトランケーションが行なわれた(図1B)。
q’腕のトランケーション
q’トランケーション実験にはZBHT−14細胞系統及びNC−MiC1細胞系統が用いられた。両細胞系統ともY3C94コスミド(これはBAC・B79E16と重なり合う、図1C)由来の6kbターゲティングDNAを含む hyg( 登録商標)(ハイグロマイシン耐性) トランケーション構築物でトランスフェクトされた。このターゲティング部位は抗セントロメア抗体結合性NCドメインから約 0.2Mbに位置している(27)。
ZBHT−14細胞系統については、マーデル(10)のq’トランケーションについての最初のスクリーニングが生じたハイグロマイシン耐性コロニーをゼオシン中に塗布することにより行なわれた。これは、マーデル(10)のゼオシン含有染色体部分を喪失した細胞系統を同定させ、従って、ゼオシン感受性であった。総数7300個のハイグロマイシン耐性コロニーから、210個がゼオシン感受性であることが示された。FISH分析により、これらのコロニーの大部分が無作為トランケーション又は他の未知の再配列を含んでいることが明らかにされた。一つの細胞系統(NC−MiC2と命名)は所望の標的化トランケーションを受けたように見え、さらに特性決定された。
10q25ネオセントロメア領域に沿って位置付けられた既知のコスミドクローン又はBACクローンの宿主を用いたNC−MiC2のFISH分析により、ターゲティングDNAの上又は近位のクローンが存在した(例えば、Y3C94、図2B)が、ターゲティングDNAに遠位のクローンは全て(例えば、Y3C109、図2C)存在しなかったことが明らかにされた(図1Cに要約されている)。トランケーションの部位をより正確に決定するため、意図されたターゲティング部位(図1D)の両側の直ぐ隣にある約10kbの3個のPCR断片(F1〜F3)を調製し、FISH分析に使用した。その結果はターゲティングDNAの近くに位置した断片(F1)のみが陽性シグナルを与えた(図2D)が、二つの遠位の断片F2及びF3は両方とも陰性であった(図2E)。TTAGGGテロメア反復ぺプチド核酸(PNA)プローブを用いたさらなるFISHはトランケーションされた染色体の上のテロメア配列の種を証明した(図2H)。パン−α−サテライトプローブを用いる低度のストリンジェンシーのFISH及び抗CENP−B抗体を用いる免疫蛍光(図2F)は、α−サテライトDNAがトランケーションされた染色体の中に挿入されなかったことを確認した。これらのデータは、NC−MiC2の生産の際に、マーデル(10)のq’腕の大部分の除去をもたらす標的化されたトランケーション事象が起こることを強く支持する。
NC−MiC2の有糸分裂時の安定性は、20回以上の細胞分裂をハイグロマイシンの存在下又は非存在下で成長した細胞を比較することにより決定された。薬物選択の存在又は非存在下で成長した細胞について85%という類似の保持割合が観察された。このことはNC−MiC2が有糸分裂の際安定であったことを示唆する。この染色体が機能性のネオセントロメアを維持するか否かさらに研究するため、CREST−6自己免疫血清(27)及びヒストンH3様タンパク質であるCENP−A、CENP−C及びキネシン(kinesin)様運動性タンパク質であるCENP−Eに対する特異的抗体を用いて免疫蛍光研究を行なった。ネオセントロメア(NC)ドメインに先に位置付けられたE8BAC(37)と同じ位置に位置付けられた強力な抗血清シグナルが試験された全てのタンパク質について観察され(例えば、図2G)、これによりNC−MiC2の上でのネオセントロメア機能が証明された。
NC−MiC1細胞系統を、Y3C94DNA含有q’トランケーション構築物でトランスフェクトすると、1000を超えるハイグロマイシン耐性コロニーが生じた。これらは、標的化されたトランケーション事象の証拠である該構築物(図1A及び実施例7を参照)中に含まれるベクターDNAの喪失についてスクリーニングされた。得られた一つの細胞系統であるNC−MiC3をq’コスミド及びBACsで、及びPCRプローブであるF1〜F3を用いて詳細なFISH分析を行なうと、意図されたY3C94部位で正確に標的化されたトランケーションが起こったことが明らかにされた(FISHの結果の例は図3A〜Bに示し、図1Cに要約する)。さらなるp’の地図化及びNC−MiC3の分析は以下に述べる。
p’腕のトランケーション
NC−MiC2は、ピューロマイシン又はネオマイシンマーカーを保持する構築物及び3個の異なるp’領域由来のターゲティングDNA(図1C)を用いてさらなるトランケーションに付した。数回の独立したトランスフェクション実験により形成されたピューロマイシン耐性及びネオマイシン耐性コロニーを上記のようにベクターDNAの喪失について精査することにより、並びにトランケーションされたNC−MiC2誘導体を同定するためE8・BAC及び遠位のp’腕BAC(B10K1)(図1Bを参照)を用いる二重着色FISHにより、可能なターゲティングについてスクリーニングした。この分析は大部分のコロニーがNC−MiC2の意図され標的化された染色体トランケーションを含むようには見えないことを示した。しかしながら、ネオセントロメア抗原結合領域に比較的近いp’部位でトランケーションを示した二つの細胞系統(NC−MiC4及びNC−MiC5)が同定された(27)。これらはより詳細に特性決定された。
NC−MiCs3、4及び5の構造
図1Cは地図位置が既知のプローブを用いて行なわれたNC−MiCs3、4及び5の詳細なFISH地図化の結果のまとめである(図3〜5に実例の一部が示してある)。3個のNC−MiCsは全てY3C94内に予想されたq’トランケーションを示した。p’腕については、NC−MiC3(及びその先祖であるNC−MiC1)、NC−MiC4、及びNC−MiC5それぞれについて、染色体トランケーションはBACs・Y13C12(存在)/B179N3(非存在)、Y13C12(存在)/B43A11(非存在)、及びBA48L24(存在)/BA69K10(非存在)の間で見られた(図3C/D、4A/B及び5A/B)。異なるNC−MiCsの上での陽性FISHシグナルの強度は、試験されたコスミドプローブ及びBACプローブの全てについて、HT1080細胞における正常な染色体10上で見られたものとは区別できなかった。このことは、NC−MiCsの形成の途中ではDNAの二本化(duplication)は起こらなかったことを示唆する。パン−α−サテライトDNAプローブ(図3E、4C及び5C)を用いる低ストリンジェンシーFISHハイブリダイゼーション及び抗CENP−B抗体(図4E及び5D)を用いる免疫蛍光はセントロメアαサテライトDNAの非存在を明らかにした。異なるNC−MiC細胞系統を、24個のヒト染色体全てについて全染色体ペイントを用いたFISHにより分析すると、染色体10ペイントのみがNC−MiCsの上で陽性のシグナルを形成した。このことは、他の染色体由来のゲノムDNAは検出可能な量でそれらの形成の間にNC−MiCsの上に転座しなかったことを示唆する(図6A)。幾つかの部分染色体10ペイントを用いるさらなる分析(位置については図1Bを参照)は、NC−MiCsの上の非10q25領域由来のDNAが存在しないことを同様に証明した(図6B)。従って、NC−MiCs3、4及び5はそれぞれ10q25ネオセントロメア領域からのみ由来した1個のコピーDNAを含み、それらの全サイズは、それぞれ約 1.6、1.6 及び 0.8Mbであると推定されると結論できる(図1C)。
高分子量ゲノムDNAを異なる細胞系統から調製し、6MbまでのDNAを分離する種々の条件の下でパルス・フィールド・ゲル電気泳動にかけた。NC−MiC3のみがゲルを移動した。このことは、これが線形のミニ染色体であることを示唆し、他のNC−MiCsは環状構造である可能性を提起する。酵母染色体マーカーとの比較から、NC−MiC3については、PFGEゲル上で、 1.6Mbのサイズと推定された。パン−テロメアプローブを用いるFISH又はテロメア反復結合因子TRF1に対する抗体を用いる免疫蛍光は、HT1080細胞中の正常染色体全てのテロメア末端上にシグナルを生じたが、線形のNC−MiC3(例えば、図4D)を含めNC−MiCsのいずれの上にも生じなかった。これは、テロメア配列の低レベルを検出することが技術的に不可能であること及び/又はNC−MiCsの環状性によるものであろう。
NC−MiC安定性及びネオセントロメア活性
NC−MiCs3、4及び5の有糸分裂安定性は、選択の存在下又は非存在下で培養培地中での20回以上の細胞分裂の後に検定した。NC−MiCsを同定するためBAC・E8をFISH実験で用い、各細胞系統について100個の細胞を評価した。NC−MiC3とNC−MiC4の両者については、薬物選択の存在下又は非存在下で約80%という類似の保持割合が観察された。これは、両染色体誘導体が選択圧の非存在下でさえも安定であったことを示唆する。選択の存在下でNC−MiC5細胞系統については36%という保持割合が最初観察された。選択を除去した後、20分裂の間培養すると、細胞の37%がNC−MiC5を保持した。これは再び選択圧の非存在下での有糸分裂安定性を示唆する。NC−MiCs3及び4と比べ、NC−MiC5の保持割合が減少したのは、この特定の細胞系統で見られた固有のゲノム不安定性と最も関係が深そうである。
NC−MiC5は構築された最も小さな誘導体であるようであったので、そして元の細胞系統において骨格ゲノムの不安定性が観察されたので、本発明者らはこの系統をサブクローニングし、得られたクローン中におけるNC−MiC5の安定性を検討した。これらのサブクローン2個(NC−MiC5a及びNC−MiC5b)はNC−MiC5の安定性の大きな増加を示した。薬物選択の非存在下での50回以上の細胞分裂の後、これら二つの細胞系統はそれぞれ90%及び93%の保持割合を示した。これらの保持割合は選択の存在下での同数の分裂を経た細胞中で見られたもの(それぞれ、90%及び91%)とは有意に異ならなかった。NC−MiC5a細胞はミニ染色体を1コピー(細胞の76%)か2コピー(細胞の14%)かを含んでいたが、NC−MiC5b細胞では常に1コピーだけしか検出されなかった。NC−MiC5a及び5bの構造は詳細なFISH分析により元のNC−MiC5染色体と同一であることが示された(図1C及び5)。
NC−MiCs上のネオセントロメアの機能の状態を研究するため免疫蛍光検出が用いられた。CENP−A、CENP−B、CENP−C、CENP−E、CENP−F、hZW10、p55CDC及びBUB1を含むセントロメア関連タンパク質の宿主に対する抗血清を試験した。CENP−Bを除く全てのタンパク質はNC−MiCsのそれぞれの上で明瞭に検出された(一部の例は図3F〜G、4F〜H、5E〜Gに示す)。これらのタンパク質分布様相は、親のマーデル(10)染色体で先に確立されたものと区別できなかった(25,27)。このことはNC−MiC誘導体がネオセントロメアの全活性を含むことを確認させる。
NC−MiC2の細胞培養及びトランスフェクション
NC−MiC2を、10%v/vFCSを含むDMEM(ギブコBRL)中で培養した。培地に250μg/mlの濃度でハイグロマイシン(ロッシュ)を添加した。NC−MiC2のトランスフェクションは電気穿孔法又はリポフェクションを用いて行なった。電気穿孔はバイオラド・ジーン・パルサー・エレクトロポレーターを用いて(0.4 kV,250μF)行なった。リポフェクションのためには、トランスフェクションの1日前に細胞をプレートに塗布し、トランスフェクション時点で60〜70%コンフルエンシーとなるようにした。希釈したフジーン6トランスフェクション試薬(2mlの総量中の100μlは20μgのDNAを含む)(ベーリンガー・マンハイム)の2mlを細胞の上に滴下して添加した。トランスフェクションに使用したDNAは、ヒトテロメア配列 htel 、ネオマイシン耐性遺伝子を挟む二つの loxP 部位、ターゲティングゲノムDNA、及びブラストサイジン耐性遺伝子を含むTACT構築物であった(図7A)。抗生物質選択はトランスフェクションの24〜48時間後に、250μg/mlの濃度で、14日の期間、適用された後、さらなる特性決定のためコロニーを釣り上げた。
NC−MiC2のp’腕のトランケーション
TACT実験は、Y13C15コスミド/B137il・BACから誘導された4kbのターゲティングDNA、ターゲティングDNAの外側の二つの loxP 部位、ネオマイシン耐性遺伝子、及びブラストサイジン耐性遺伝子を含むネオマイシン耐性トランケーション構築物を用いて、NC−MiC2細胞中でp’腕について行なわれた。ターゲティング事象の成功はブラストサイジン耐性遺伝子の喪失を生ずるであろう。10000個のネオマイシン耐性細胞系統のうちで、約10%がブラストサイジン感受性であった。ブラストサイジンへの感受性は該クローンをブラストサイジン5μg/ml中で培養することにより測定された。ネオマイシン耐性であるがブラストサイジン感受性であったクローンをFISH分析に掛けた。
NC−MiC6の特性決定
一つの細胞系統(NC−MiC6)が標的化されたトランケーションを受けたように見えたので、FISHにより広範に特性決定を行なった。ターゲティング部位に近くでコスミド及びBACsが存在することが見出されたが、この部位から遠くのクローンは全て存在しなかった(図7Cに要約する)。本発明者らのFISH及び最近利用可能なゲノム配列データに基づいて、本発明者らはNC−MiC6のサイズが1.2Mbであると推定した。
α−サテライト(pTRA7)及びCENP−Bへの結合はトランケーションされた染色体上では検出されなかった。CREST−6自己免疫血清を用いた免疫蛍光法により、NC−MiC6の上にネオセントロメア活性が確認された。従って、これらのデータは、標的化されたトランケーション事象がNC−MiC2中のマーデル(10)のp’腕の大部分を除去したことを支持する。NC−MiC6の有糸分裂安定性は、培養中選択の存在下及び非存在下で60回分裂まで検定した。選択の非存在下では、20回の細胞分裂後に80%を超え、40回の細胞分裂で75%、そして60回の分裂で70%の保持割合が観察された(図8)。ネオマイシンの存在下では、40回の分裂後にNC−MiC6の85%が維持され、そして60回を超える細胞分裂後にも75%という高さが保持され、分裂当たりの損失割合は 0.42 %であった。このことはNC−MiC6が有糸分裂において何回にもわたって安定であったことを示唆する。
二つの loxP 部位の存在はネオマイシン耐性遺伝子の切断及び CRE−リコンビナーゼを用いる特異的部位への新たな遺伝子の挿入のために使用されうる。遺伝子のこの切断及び挿入は、 CRE−リコンビナーゼ遺伝子を含むプラスミドの一過性トランスフェクション又は CRE−リコンビナーゼのタンパク質トランスフェクションのいずれかを経て行なわれる。
GFP(緑色蛍光タンパク質)を発現するマウス胚幹ES細胞へ及びマウスF9奇形癌細胞ヘの微小核体により媒介される染色体移送
20%v/vFCSを含むES培地(ギブコBRL)中でマウス胚幹細胞を培養した。マウスF9細胞は10%v/vFCSを含むDMEM(トレース・バイオサイエンシーズ)中で培養した。ES細胞のトランスフェクションは、バイオラド・ジーン・パルサー・エレクトロポレーターを用い、 0.8 kV 、3μFで、電気穿孔法を用いて行なった。トランスフェクションに使用したDNAは、緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子を含むpEGRP−N1(クローンテック)であった。抗生物質選択(250μg/mlのG418ネオマイシン)は、トランスフェクションの24〜48時間後に14日の期間適用した後、コロニーを釣り上げ、スクリーニングのために大量培養した。
微小核体融合は先に記述したように行なった。48時間コルセミド中で阻止された対数増殖期のドナーZB30細胞を、20μg/mlのサイトカラシンB(シグマ)を補充したパーコール/無血清DMEM(1:1)中に再懸濁した。次に、この細胞懸濁液を32℃で90分間18000rpmで遠心分離にかけた。細胞混合物の二つのバンドをペレット化し、無血清DMEMで洗浄し、30、8及び5μMの等孔膜(ミリポア社,MA)を通して濾過した。次いで微小核体を50%w/vPEG(ロッシュ)を室温で2分間添加することにより受容体のネオマイシン耐性ES−GFP細胞又はF9細胞と融合させた。インキュベーションの後、細胞を濯ぎ、20%v/vFCSを含むES培地又は10%v/vFCSを含むDMEM中で一晩培養した後、24時間後に抗生物質選択(ES細胞については250μg/mlのG418ネオマイシン及び100μg/mlのゼオシン、そしてF9細胞については100μg/mlのゼオシン)を添加した。
ES−GFPmar(10)#1細胞系統及びF9−4−5mar(10)細胞系統の特性決定
ES−GFPmar(10)#1及びF9−4−5mar(1)の広範なFISH分析により、マーデル(10)染色体及びその中に含まれるネオセントロメアは無傷であったことが証明された。マウスのセントロメア/ペリセントロメアの主要及び微量サテライトDNA若しくはゲノムDNAは両細胞系統のマーカー染色体上には検出されなかった。さらに、マーデル(10)はこれらの細胞系統に存在する唯一のヒト染色体であった。マーデル(10)の安定性は培養中の45分裂まで選択の存在下で検定した。そしてマーカー染色体は両細胞系統において有糸分裂に際して安定であることを示した。
当業者は、本明細書で記載された発明が具体的に記述されたもの以外に変更や修正を受けうることを認めるであろう。本発明はこのような変更及び修正を全て含むことが理解されるべきである。また、本発明は本明細書で個々に又は集合的に言及され指摘された工程、特徴、組成物及び化合物、及び該工程又は特徴の任意の二以上のあらゆる組み合わせを全て含む。
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図1は、マーデル(10)染色体からのネオセントロメアに基づくミニ染色体(NC−MiCと略す)形成を示す図式的表示である。 図1AはTACT標的に向かう構築物の構造を示す。マーデル(10)の p' 又は q' 腕由来の標的に向かうDNAを、哺乳動物の選択可能マーカー(ハイグロマイシン(登録商標)、ネオマイシン(登録商標)、又はピューロマイシン(登録商標))に隣接させて、クローニングされたヒトテロメアDNA(Htel)の小さなアレーを含むベクター中にクローニングした。構築物をベクターDNAとテロメア反復の間の制限部位で線形化し末端にあるテロメア配列を露出させた。相同組換え事象の後に、このベクターDNAを宿主染色体中に組み込むべきではない。ベクターDNAの喪失は可能な組換え事象のスクリーニング検定法の設計を可能とする。 図1Bはマーデル(10)及びNC−MiCsの形成の図式を示す。白矢はマーデル(10)が形成する際の正常な染色体10上の切断点を示す。マーデル(10)の長い腕及び短い腕はそれぞれ q' 及び p' と命名される。NC−MiCs1〜5を生成させるトランケーション事象はTc1及びTc2により表される。マーデル(10)に挿入されたゼオシン耐性遺伝子の位置は星印で示される。 p' 腕の喪失についてのスクリーニング検定で用いられたBAC・B10K1の位置は示してある。染色体10の上方の太い線はNC−MiCsの特性決定をするために用いられた部分染色体DNAペイントの位置及び命名を示す。 図1CはNC−MiCsの地図化。約3Mbをカバーし、10q25ネオセントロメア領域まで先に地図化された順序付けられたコスミド及びBACクローンが示してある。縦の影の部分はセントロメアタンパク質に結合するネオセントロメア(NC)ドメインを含むE8BACを表す(23,27)。E8の左及び右への白矢じりは q' 及び p' トランケーション構築物を用いて標的化されたトランケーションの意図された位置を示す。(+)はNC−MiCに対するBACプローブ又はコスミドプローブについての陽性のFISH結果を示すが、(−)は陰性のFISH結果を示す。これらの異なるNC−MiCsのおおよそのサイズは括弧の中に示してある。
図1Dは標的化された q' トランケーション部位の特性決定を示す。 q' トランケーションを標的とするDNAは、コスミドY3C94(BAC・B79E16中にも存在する)からサブクローニングされた6kbXbaI断片であって斜線を引いたボックスで表される。B79E16由来のPCRプローブの位置は二重頭の矢により示されF1、F2及びF3と命名される。これらのプローブのNC−MiCs上でのハイブリダイゼーション状態は(+)又は(−)で示され、 q' トランケーションが標的化事象の結果であったことを確認させる。
図2は、ZB30及びNC−MiC2のFISH分析及び/又は免疫蛍光分析の写真である。
(A)ZB30のFISH分析はE8(緑色)及びマーデル(10)(矢じり)の標識のゼオシン耐性遺伝子(赤色)とのハイブリダイゼーションを示す。
(B〜H)NC−MiC2についてのFISH分析及び/又は免疫蛍光分析。正常な染色体10は矢じりにより示され、NC−MiC2は矢によって示される。(i 〜 iv)それぞれ緑色、赤色、及びDAPIについての結合画像及び分離画像。
(B)E8プローブ(緑色)及びY3C94コスミドプローブ(赤色)を用いたFISH分析であり、NC−MiC2上にY3C94が存在することを示す。
(C)E8(緑色)及び q' コスミドY3C109(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC2上にY3C109が存在しないことを示す。
(D)E8(緑色)及びY3C94/B79E16に由来し q' を標的とするDNAと重なり合う(図1Dを参照)PCR断片F1(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC2上にF1DNAが存在することを示す。
(E)E8(緑色)及び標的に向かうDNA(図1D参照)に直ぐ遠位の領域にあるB79E16に由来するPCR断片F2(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC2上にF2DNAが存在しないことを示す。
(F)E8(緑色)を用いるFISH及び抗CENP−B抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC2上にCENP−Bが存在しないことを示す。
(G)E8(緑色)を用いるFISH及び抗CENP−E抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC2上にCENP−Eタンパク質が存在することを示す。
(H)E8(緑色)及びテロメア反復PNAプローブ(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC2上のテロメア配列を示す。
図3はNC−MiC3についてのFISH分析及び/又は免疫蛍光分析の写真である。正常な染色体10は矢じりによって示され、NC−MiC3は矢によって示される。(i 〜 iv)それぞれ緑色、赤色、及びDAPIについての結合画像及び分離画像。
(A)E8(緑色)及び q' BAC・B79E16(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC3上にB79E16が存在することを示す。
(B)E8(緑色)及び q' コスミドY3C109(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC3上にY3C109が存在しないことを示す。
(C)E8(緑色)及びp’コスミドY13C12(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC3上にY13C12が存在することを示す。
(D)E8(緑色)及びp’BAC・B179N3(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC3上にB179N3が存在しないことを示す。
(E)E8(緑色)及びパン−α−サテライトpTRA−7プローブ(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC3上にα−サテライトが存在しないことを示す。
(F)E8(緑色)を用いたFISH分析及び抗CENP−E抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC3上にCENP−Eが存在することを示す。
(G)E8(緑色)を用いたFISH分析及び抗CENP−F抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC3上にCENP−Fが存在することを示す。
図4は、NC−MiC4のFISH分析及び/又は免疫蛍光分析の写真である。正常な染色体10は矢じりにより、NC−MiC4は矢により示される。(i 〜 iv)それぞれ緑色、赤色及びDAPIについての結合画像及び分離画像。
(A)E8(緑色)及びp’コスミドY13C12(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC4の上にY13C12が存在することを示す。
(B)E8(緑色)及びp’BAC・B43A11(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC4の上にB43A11が存在しないことを示す。
(C)E8(緑色)及びパン−α−サテライトpTRA−7プローブ(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC4の上にα−サテライトが存在しないことを示す。
(D)TTAGGGテロメア反復PNAプローブを用いたFISH分析であって、全てのヒトテロメアの上で陽性シグナルを示すがNC−MiC4の上では示さない。
(E)E8(緑色)を用いるFISH分析及び抗CENP−B抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC4の上にCENP−Bが存在しないことを示す。
(F)E8(緑色)を用いたFISH分析及び抗CENP−C抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC4の上にCENP−Cが存在することを示す。
(G)E8(緑色)を用いたFISH分析及び抗CENP−E抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC4の上にCENP−Eが存在することを示す。
(H)E8(緑色)を用いたFISH分析及び抗CENP−F抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC4の上にCENP−Fが存在することを示す。
図5はNC−MiC5のFISH分析及び/又は免疫蛍光分析の写真である。正常な染色体10は矢じりによりそしてNC−MiC5は矢により示される。(i 〜 iv)それぞれ緑色、赤色、及びDAPIについての結合画像及び分離画像。
(A)E8(緑色)及びp’BAC・BA48L24(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC5の上にBA48L24が存在することを示す。 (B)E8(緑色)及びp’BAC・BA69K10(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC5の上にBA69K10が存在しないことを示す。
(C)E8(緑色)及びパン−α−サテライトpTRA−7プローブ(赤色)を用いたFISH分析であって、NC−MiC5の上にα−サテライトが存在しないことを示す。
(D)E8(緑色)を用いたFISH分析、及び抗CENP−B抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC5の上にCENP−Bが存在しないことを示す。
(E)E8(緑色)を用いたFISH分析、及び抗CENP−A抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC5の上にCENP−Aが存在することを示す。
(F)E8(緑色)を用いたFISH分析、及び抗CENP−C抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC5の上にCENP−Cが存在することを示す。
(G)E8(緑色)を用いたFISH分析、及び抗CENP−E抗体(赤色)を用いた免疫蛍光分析であって、NC−MiC5の上にCENP−Eが存在することを示す。
図6はNC−MiCsの染色体ペインティング分析の写真である。
図6Aは24のヒト染色体(1〜22,X,Y)全てについての全染色体ペイントを示す。左側のパネルは、近点ヘテロ染色体領域を除く正常なヒト染色体の上の陽性ペインティング(緑色)、及び末端動原体の染色体の短腕及びYのq12領域の上の陽性ペインティングを示す。上方右パネルはNC−MiC4の上の対応するペインティングの結果を示すが、下方の右パネルはNC−MiC5の結果を示す。染色体ペイントは染色体10を除き全て、重なりペイント(緑色)及びE8(赤色)シグナルが欠如していることから明らかなように(示していない分離個別画像により確認された)NC−MiCsの上では陰性であるが、染色体10のペイントシグナルはNC−MiCsの上で明らかに見られる。これは、結合黄色を生ずる赤と緑のシグナルの重なりにより明らかである。
図6BはNC−MiC5の上での部分染色体−10のペイントを示す。染色体10の上でのこれらの部分染色体ペイントの位置は図1Bに図式的に示してある。左手のパネルはこれらのペイントの名前及び正常な染色体10の上でのFISHの結果(緑色)を示す。右手のパネルはNC−MiC5の上でのこれらのペイントについて得られた陰性の結果を示す。E8シグナルは赤色である。染色体及びNC−MiCsはスケールに示していない。 図7はNC−MiC2のトランケーションを経由するNC−MiC6構築を示す図式的表示である。
図7AはNC−MiC2から p' 腕をトランケーションするために使用した標的に向かうTACT構築物の構造を示す。マーデル(10)の p' 腕から得た標的に向かうDNA及び哺乳動物の選択可能マーカー(ブラストサイジン耐性遺伝子,blasticidin(登録商標))を、抗生物質耐性遺伝子,neomycin (登録商標) に隣接したクローニングされたヒトテロメアDNA(Htel)の小さなアレーを含むベクター中にクローニングした。構築物をベクターDNAとテロメア反復の間の制限部位で線形化して末端のテロメア配列を露出させた。相同組換え事象の後では、該ブラストサイジン耐性遺伝子は宿主染色体中に組み込まれてはならない。ブラストサイジン耐性遺伝子の喪失により、可能な組換え事象についてのスクリーニング検定を設計することが可能となる。
図7Bはマーデル(10)及びNC−MiCsの図式的形成を示す。白矢は、マーデル(10)を作成する際の正常染色体10の上の切断点を示す。マーデル(10)の長腕及び短腕はそれぞれ q' 及び p' と命名する。NC−MiC2はマーデル(10)から(先に記述したように)B79e16/Y3C94でトランケーションされた(Tc1)のに対し、NC−MiC6は、(A)で記述されたTACT構築物を用いたB137iL/Y13c15におけるトランケーション2,Tc2の結果である。 図7CははNC−MiCs2及び6の地図化である。約3Mbをカバーし、10q25ネオセントロメア領域まで先に地図化された順序付けられたコスミドクローン及びBACクローンが示してある。垂直の影を付した領域はセントロメアタンパク質CENP−Aに結合するドメインを表す(51)。白矢じりは標的化されたトランケーションの位置を示す。(+)はNC−MiCの上でのBACプローブ若しくはコスミドプローブについての陽性のFISH結果を示すが、(−)は陰性のFISH結果を示す。異なるNC−MiCsのサイズの概略は括弧内に示してある。 図8は、150μg/mlの濃度のネオマイシン薬G418の存在下若しくは非存在下のいずれかで60分裂の間NC−MiC6を培養した後、安定性を試験するため種々の間隔でそれを収穫した場合の結果を示す表及び図式的表示である。そのX軸は分裂の数を表し、Y軸はFISH分析で求められた培養中に存在するNC−MiCのパーセンテージを表す。その結果はG418の存在下又は非存在下におけるNC−MiC6の有糸分裂安定性を示した。

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  2. ECACCに受託番号00122001 (CHO/BE ZB30)、受託番号00122002 (HT1080-MIC 1)、受託番号00122003 (HT1080-MIC 2)、受託番号00122004 (HT1080-MIC 3)、受託番号00122005 (HT1080-MIC 4)、受託番号00122006 (HT1080-MIC 5)、受託番号00122007 (HT1080-MIC 5a)または受託番号00122008 (HT1080-MIC 5b)のもとで寄託された単離細胞株。
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