JP4150413B2 - 量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 - Google Patents
量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4150413B2 JP4150413B2 JP2007241032A JP2007241032A JP4150413B2 JP 4150413 B2 JP4150413 B2 JP 4150413B2 JP 2007241032 A JP2007241032 A JP 2007241032A JP 2007241032 A JP2007241032 A JP 2007241032A JP 4150413 B2 JP4150413 B2 JP 4150413B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum alloy
- argon gas
- molten metal
- mass production
- ingot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Description
しかし、ADC12の量産成形用アルミニウム材料(ダイカスト用アルミニウム合金のインゴット)を精錬して、上記切削加工用材料(切削加工用アルミニウム合金のインゴット)を鋳造しても、精錬中にその材料に含まれる水素ガスが活発に活動し、鋳巣が発生するため、その切削加工用材料は試作品製作に使用できる品質ではなかった。
しかし、AL5052やAL6063を材質とする試作品はADC12を材質とする量産品と様々な性質が異なるため、上記適応試験はその部品の金型品(ADC12を材質とするもの)が完成するまで待たざるを得ず、開発期間が延びてしまうという問題があった。また、場合によっては、上記適応試験について十分な評価ができないまま量産に着手せざるを得ないという問題があった。
また、本発明の量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造装置は、電気溶解炉と、その電気溶解炉の溶融金属にアルゴンガスを吹き込むアルゴンガス挿入装置と、そのアルゴンガス挿入装置に前記電気溶解炉内の溶解金属の量に応じて所定量のアルゴンガスを所定時間供給するように調整可能なアルゴンガス供給調整装置と、前記溶融金属を流し込む鋳型とを備え、前記電気溶解炉で市販の量産成形用アルミニウム合金ADC12のインゴットを溶融し、溶融された溶融金属にアルゴンガス挿入装置を介してアルゴンガス供給調整装置から溶融金属の量に応じた所定量のアルゴンガスを所定時間継続して吹き込んで前記溶融金属を精錬し、精錬された溶融金属を柄杓を用いて前記鋳型に流し込み重力鋳造によって当該金属のインゴットを製造するようにしたものである。
特許文献1には、本発明と同様、量産品と同じ材料で精度の高い試作品を製作する金属部品の製作方法が開示されているが、ロストワックス法による鋳造を用いて試作品を製作する工法であり、切削加工を用いて試作品を製作することを目的とする本発明とは異なるものである。
本発明の量産成形用アルミニウム合金の精錬装置10は、厚材精錬時に鋳巣が発生する一般に市販されている量産成形用アルミニウム材料(アルミニウムインゴット)、例えばADC12のアルミニウム材料(以下、単に「ADC12材料」という。)12の溶融金属中から鋳巣発生の原因となる水素ガス14を除去するADC12材料12の精錬装置である。
電気溶解炉16にADC12材料12を所定量投入し、所定の温度で溶融する。次に、上記ADC12材料12が溶融した後、アルゴンガス挿入装置18の挿入口18aを坩堝16a内のADC12材料12の溶融金属中に設け、所定量のアルゴンガス24をADC12材料12の溶融金属中に所定時間継続して吹き込む。このとき、ADC12材料12の溶融金属中に存在する水素ガス14の水素と吹き込まれたアルゴンガス24のアルゴンとが結合し、その結合物(気体)26はADC12材料12の溶融金属中からその溶湯面上に移動し、大気中で消滅する。これにより、ADC12材料12の溶融金属中の水素ガス14を除去できる。また、アルゴンガス24を所定の時間継続して吹き込むことによって、水素ガス14の含有量を微量にすることができる。
アルゴンガス24の挿入量(供給量)及び挿入時間(供給時間)は、アルゴンガス供給調整装置22を用いて、電気溶解炉16内の溶融金属の溶湯量に応じて調整する。
なお、上記重力鋳造によって製造された切削加工用材料は、その中心付近に「ひけ」と言われるくぼみが発生するが、鉄枠中の切削加工用材料をバーナーなどの燃焼装置によって暖めながら数回くぼみに流すことにより無くすことができる。また、上記工程で鋳造された切削加工用材料は、図示しない面削機(フライス・マシニングセンター等)で面削加工され、試作品製作のための所定の形状又は大きさに形成される。
電気溶解炉16にADC12材料12(ADC12のインゴット)50Kgを投入し、約700℃で溶融した。ADC12材料12が溶融された後、ADC12材料12の溶融金属中にアルゴンガス供給調整装置22からアルゴンガス供給管20を通じて5Kg/cm2のアルゴンガス24を30分間継続して供給した。
本圧力実験では、上記実験例で鋳造された切削加工用材料で製作した密閉された箱26を水28で満たされた容器30の中に入れ、その箱26にエア(酸素ガス)32を挿入するエアホース34を取り付け、箱26の内部にコンプレッサー36を用いて5Kg/cm2のエア28を供給して、箱26の外に出る気泡の発生の有無を確認した(図2)。本圧力試験において、気泡の発生は認められなかった。
切削加工用材料に鋳巣が発生している場合は、圧力のある気体の漏れを抑えることはできない。しかし、上記圧力試験により気体の漏れは認められないため、本発明により精錬・鋳造される切削加工用材料は、試作品製作に使用できる品質であることが明らかになった。また、含浸処理を必要としないものであることが分かった。
これにより、開発を急ぐ研究者に早期に試作品(研究部品)を提供でき、その開発期間の遅延を防止することができる。
試作品製作に使用される本発明により鋳造された切削加工用材料に関し、試作品製作コスト、製作日程(製作期間)、精度、多種の適応試験への適用度の面から、従来の切削用材料による試作品製作、各種鋳造による試作品製作との対比により、説明する。表1は、通常の切削用材料による試作品製作、各種鋳造による試作品製作との対比を表わすものである。
上記工法は、市販されているAL5052やAL6063の圧延切削用材料(通常の切削用材料)をマシニングセンター加工により試作品を製作するものである。精度及び製作期間については、後述の既知のbないしdの工法より優れ(いずれも評価5)、少量(10個程度)を生産するのであればコスト的に有利な工法である(評価5)。
しかし、通常の切削加工用材料は、量産に使用するADC12材料と熱伝導・強度・靭性などの点で全く異質のものであるため、当該試作品では部品の形状確認しかできず、強度試験・熱伝導試験・防爆試験・環境試験など多種の適応試験について確認することはできない(適用度評価1)。
上記工法では、熱伝導率がADC12材料に近いAC4B材料を使用する。しかし、上記aと同様、ADC12材料と異質の材料であるため、当該試作品では部品の形状確認及び熱伝導試験しかできない(適用度評価2)。
また、ADC12材料を使用する場合、一般に砂型で使用する材料と比較すると、ADC12材料は硬化時間が短く、型に流れ切る前に固まってしまうため、形状を再現することは困難である。さらに、鋳肌が汚いため、外装部品の試作には適さない。
コスト面では、極少量の試作品を製作する場合、初期イニシャルが発生するためコスト高となる(評価3)。
精度については上記aの工法より劣る(評価3)。
上記工法は、鋳肌が綺麗なため外装部品に使用する工法として利用されるものである。上記bの工法と同様、熱伝導がADC12材料に近いAC4BやAC2Aのアルミニウム材料を使用するが、当該試作品では部品の形状確認及び熱伝導試験しかできない(適用度評価2)。
また、ADC12材料を使用する場合、ADC12材料が流れ難いこと及び極少量製作する場合の初期イニシャルの発生によるコスト高の問題がある(評価2)。
上記工法では、金型を製作するため、製作期間がかかり、極少量製作する場合コスト高となるため試作品製作に適した工法とはいえない(いずれも評価1)。
特許文献1には、ロストワックス法の製作期間を短縮し、試作品製作のコスト軽減ができる金属部品の製作方法が開示されており、当該製作方法によれば本発明と同様に短期間・低コストで量産成形用材料と同じ材料で試作品を製作できる。しかし、ADC12材料は鋳型に流れ切るまでに固まってしまうおそれがあり、本工法によっては、ADC12材料からなる試作品を製造できない場合がある(適用度評価2)。また、含浸処理が要求される場合は、研究部品の開発期間に遅れが生じるおそれがある。
本発明により、試作品製作に適した品質を有するADC12の切削加工用材料を製造することができる。これにより、切削加工により精度の優れた試作品を確実に製造できる。
本工法では、試作品を大量に製作する場合、金属くず(切りくず)が大量に出るためコスト高となるが(評価3)、極少量製作する場合は低コストとなる(評価5)。また、マシニングセンター加工により試作品を製作するため、精度は優れており(評価5)、量産品に非常に近い試作品を製作できるため、強度・熱伝導・防爆・環境等の多種の適応試験すべてについて確認が可能となる(適用度評価5)。
以上のように、本発明により鋳造された切削加工用材料を使用する試作品製作の工法によると、他の工法より優れた効果を得ることができる(総合評価23)。
12 切削加工用材料
14 水素
16 電気溶解炉
18 アルゴンガス挿入装置
22 アルゴンガス供給調整装置
24 アルゴンガス
Claims (2)
- 市販の量産成形用アルミニウム合金ADC12のインゴット50kgを溶融し、その溶融金属にアルゴンガス5kg/cm2を30分間所定時間継続して吹き込んで精錬し、その溶融金属を鋳型に流し込み、重力鋳造により当該金属のインゴットを製造することを特徴とする量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法。
- 電気溶解炉と、その電気溶解炉の溶融金属にアルゴンガスを吹き込むアルゴンガス挿入装置と、そのアルゴンガス挿入装置に前記電気溶解炉内の溶解金属の量に応じて所定量のアルゴンガスを所定時間供給するように調整可能なアルゴンガス供給調整装置と、前記溶融金属を流し込む鋳型とを備え、前記電気溶解炉で市販の量産成形用アルミニウム合金ADC12のインゴットを溶融し、溶融された溶融金属にアルゴンガス挿入装置を介してアルゴンガス供給調整装置から溶融金属の量に応じた所定量のアルゴンガスを所定時間継続して吹き込んで前記溶融金属を精錬し、精錬された溶融金属を柄杓を用いて前記鋳型に流し込み重力鋳造によって当該金属のインゴットを製造することを特徴とする量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007241032A JP4150413B2 (ja) | 2006-12-26 | 2007-09-18 | 量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006350205 | 2006-12-26 | ||
JP2006350205 | 2006-12-26 | ||
JP2007241032A JP4150413B2 (ja) | 2006-12-26 | 2007-09-18 | 量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008178907A JP2008178907A (ja) | 2008-08-07 |
JP4150413B2 true JP4150413B2 (ja) | 2008-09-17 |
Family
ID=39723199
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007241032A Expired - Fee Related JP4150413B2 (ja) | 2006-12-26 | 2007-09-18 | 量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4150413B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2680814C2 (ru) * | 2015-06-17 | 2019-02-27 | федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Нижегородский государственный технический университет им. Р.Е. Алексеева" (НГТУ) | Установка для получения дисперсно-упроченного алюминиевого сплава |
CN112626350B (zh) * | 2020-12-16 | 2021-11-30 | 东北大学 | 铝锂合金熔体深度净化的装置与方法 |
-
2007
- 2007-09-18 JP JP2007241032A patent/JP4150413B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008178907A (ja) | 2008-08-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN106488817A (zh) | 在重力硬模铸造工艺的激光熔化(sls)中的逐层制造方法 | |
JPH09509101A (ja) | 反応性メルトの永久金型鋳造 | |
CN104972063A (zh) | 一种熔模精密铸造蜡模的制备方法 | |
US20170087626A1 (en) | Investment-diecasting mold | |
CN109396349A (zh) | 一种小型薄壁铸件的熔模精密铸造工艺 | |
CN106694853A (zh) | 采用低压铸造工艺进行摩托车配件铸造的方法 | |
JP4150413B2 (ja) | 量産成形用アルミニウム合金と同じ材質の切削加工用アルミニウム合金のインゴットの鋳造方法及びその鋳造装置 | |
JP2010502443A (ja) | 金属鋳造部品用の一体型の温度調整可能な消失模型鋳型と、この鋳型を製造する方法 | |
CN103878324B (zh) | 一种缸盖浇铸模具及浇铸方法 | |
Rajkumar et al. | Influence of parameters on the smart productivity of modern metal casting process: an overview | |
JP2011235341A (ja) | 有底円筒金属部材およびその製造方法 | |
PL367736A1 (en) | Method for producing castings, molding sand and its use for carrying out said method | |
CN111283177A (zh) | 铸造方法及金属模具 | |
KR101705170B1 (ko) | 고압주조용 인써트 파이프 | |
EP1037723B1 (en) | Method of forming a ceramic mold | |
Nor et al. | The effect of dewaxing and burnout temperature in block mold process for copper alloy casting | |
CN114273638A (zh) | 一种镁合金薄壁壳体件的低压精密铸造方法 | |
Ma et al. | Manufacturing of herringbone gear model by 3D printing assisted investment casting | |
JP2004122134A (ja) | ダイカスト用試作品の製造方法及びダイカスト製品の試作方法 | |
JP5352786B2 (ja) | 鋳鉄用鋳造方法、押湯部、鋳型及び鋳型の造型方法 | |
KR20100034470A (ko) | 압축기용 일체형 중공 피스톤 및 그 제조방법 | |
Mandaliya et al. | Study of piston sleeve manufactured by sand casting process to reduce rejection rate using simulation software | |
KR101789658B1 (ko) | 하이브리드 다이캐스팅에 의한 엔진용 로우 크랭크 케이스의 제조방법 | |
van de Crommert et al. | Sand, die and investment cast parts via the SLS selective laser sintering process | |
JP2007083265A (ja) | 鋳造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080509 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080617 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080627 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |