JP4150322B2 - 高炉操業における操業監視方法、装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

高炉操業における操業監視方法、装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、高炉の操業状態の監視方法、装置、及びコンピュータプログラムに関し、例えば、高炉の操業中において、炉体の圧力や温度等の計測データの空間的分布や時間的変化を画像情報化し、画像情報化した計測データの独立成分分析を実施することによって、該画像情報の特徴情報である独立成分及び分離行列を逐次算出し、算出した独立成分を基に類似度指標を定義して現在の操業状態と類似な過去の操業状態を検索して、過去の類似操業事例における高炉の操業状態の推移や過去の操業条件を確認し、以後の操業状態の推移を予測して操業条件を決定するようにし、加えて、算出した独立成分の時系列推移を逐次監視するようにしたものに関する。
従来、高炉の操業異常等の監視並びに予測方法に関するものとしては、特許文献1や特許文献2等に開示されているものがある。これらの監視並び予測方法は、いずれも、各センサの高炉設備上の設置位置情報を反映することなく各センサからの計測データを収集し、予め設定しておく設定値又は簡易的な物理モデルによる閾価との比較により操業状態の監視並びに操業異常を予測するものである。
特開平5−156328号公報 特開平11−140520号公報 「Fast and Robust Fixed-Point Algorithms for Independent Component Analysis」(Aapo Hyvarian,IEEE Transactions on Neural Ne tworks.Vol.10,No.3,May 1999,P.626/634) 「Independent Component Analysis」(2001,John Wiley & Sons.Inc.)
しかしながら、本発明が対象とする高炉というプロセスは、時間的変化(動特性)を有する分布定数系のプロセスとして取り扱うべき対象である。したがって、高炉設備上に空間的分布をもって設置されている複数の各種センサの計測データは互いに独立して収集し、評価してよいものではなく、各々のセンサが取り付けられている高炉設備上の設置位置に関連づけられて収集し、評価されるべきものである。
従来の方式では、このような各センサの設置位置を計測データに関連づけて収集し、評価しておらず、その結果、高炉の操業状態の監視並びに予測の精度が低いという問題があった。
加えて、従来の方式では、計測データの中に潜在化している高炉操業の特徴情報を具体的な数値として定量的に顕在化することが困難であり、さらに、大量に蓄積される計測データの中から、予め指定する操業状態と類似な操業状態を検索して、過去の類似操業事例における高炉の操業状態の推移や過去の操業条件を確認して以後の操業状態の推移を予測し、操業条件を決定することができないという問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、上記問題を解決し、高炉の操業状態の監視並び予測、操業条件の決定を可能とすることを目的として、炉体の圧力や温度等の計測データの空間的分布情報や時間的変化情報を画像情報化し、独立成分分析によって該画像情報の特徴情報である独立成分及び分離行列を逐次算出し、算出した独立成分を基に類似度指標を定義して現在の操業状態と類似な過去の操業状態を検索し、また、算出した独立成分の時系列推移を逐次監視を行うものである。
本発明の高炉操業における操業監視方法は、高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視方法であって、
(ア)前記複数設置されたセンサそれぞれから出力される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手順と、
(イ)予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、各センサによる計測データ又はその時間的変化データを、前記センサの設置位置に対応する所定の面上の地点に配置する手順と、
(ウ)所定の面上において、前記各地点に配置した計測データ又はその時間的変化データを基に空間的に補間し、該データが同値な任意の等値線を算出して、該等値線からなる画像情報を導出する手順と、
(エ)前記(ア)〜(ウ)の手順を所定の期間Tにおいて逐次実行して、時々刻々の画像情報を生成・収集して画像情報のデータベースとする手順と、
(オ)該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wを算出する手順と、
(カ)新たな画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する手順と、
(キ)前記新たな画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記新たな画像情報と類似な画像情報、及び該類似な画像情報が得られた時刻t1のいずれか一方又は両方を前記画像情報のデータベースについて検索する手順と、からなることを特徴とする。
本発明の他の高炉操業における操業監視方法は、高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視方法であって、
(ア)前記複数設置されたセンサそれぞれから出力される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手順と、
(イ)予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、各センサによる計測データ又はその時間的変化データを、前記センサの設置位置に対応する所定の面上の地点に配置する手順と、
(ウ)所定の面上において、前記各地点に配置した計測データ又はその時間的変化データを基に空間的に補間して、該データが同値な任意の等値線を算出して、該等値線からなる画像情報を導出する手順と、
(エ)前記(ア)〜(ウ)の手順を所定の期間Tにおいて逐次実行して、時々刻々の画像情報を生成・収集して画像情報のデータベースとする手順と、
(オ)該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wを算出する手順と、
(ク)新たに、ある時刻t2の画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する手順と、
(ケ)前記時刻t2画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記時刻t2の画像情報と類似な画像情報及びその時刻t3を前記画像情報のデータベースについて検索する手順と、
(コ)予め設定された所定の期間Tにおける計測データ及び操業日誌記録のデータベースから、前記時刻t3の操業状態、操業条件の事例を出力する手順と、からなることを特徴とする。
本発明の他の高炉操業における操業監視方法は、上記のいずれかの高炉操業における操業監視方法であって、高炉に複数設置されたセンサから逐次収集される計測データを用いて、前記独立成分ベクトルy(t)及び分離行列Wを逐次更新することを特徴とする。
本発明の高炉操業における操業監視装置は、高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視装置であって、前記複数設置されたセンサで計測される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手段と、予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、前記計測データ又はその時間的変化データを前記所定の面上の地点に配置し、該データを基に空間的に補間して同値な任意の等値線を得て、該画像情報を算出する画像情報化処理手段と、該画像情報を所定の期間Tにおいて収集して画像情報のデータベースとし、該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wとを算出する独立成分分析手段と、新たな画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する独立成分・分離行列評価手段と、前記新たな画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)の、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記新たな画像情報と類似な画像情報、及び該類似な画像情報の時刻t1のいずれか一方又は両方を前記画像情報のデータベースについて検索して得る類似操業事例検索手段と、前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び類似操業事例検索手段におけるそれぞれの算出結果、並びに、計測データ及び操業条件を記載した操業日誌を逐次記録する記録手段と、前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び類似操業事例検索手段におけるそれぞれの算出結果を出力する出力手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の他の高炉操業における操業監視装置は、高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視装置であって前記複数設置されたセンサで計測される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手段と、予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、前記計測データ又はその時間的変化データ前記所定の面上の地点に配置し、該データを基に空間的に補間して同値な任意の等値線を得て、該画像情報を算出する画像情報化処理手段と、画像情報を所定の期間Tにおいて収集して画像情報のデータベースとし、該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wとを算出する独立成分分析手段と、新たに逐次得られる画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxs’を算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルys’を逐次算出して、該独立成分信号ベクトルys’の予め設定した独立成分のyiの時間的推移を、予め設定した管理値の大小と比較する独立成分・分離行列時系列評価手段と、前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び独立成分・分離行列時系列評価手段におけるそれぞれの算出結果、並びに、計測データ及び操業条件を記載した操業日誌を逐次記録する記録手段と、前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び独立成分・分離行列時系列評価手段におけるそれぞれの算出結果を出力する出力手段と、を具備することを特徴する。
本発明のコンピュータプログラムは、上記いずれかの高炉操業における操業監視方法の手順をコンピュータに実行させる点に特徴を有する。また、上記の高炉操業における操業監視装置の各手段としてコンピュータを機能させる点に特徴を有する。
本発明の手法は、高炉設備上に複数設置された各種のセンサが測定する計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面に配置し、各データの空間的分布状態を、これらが形成する画像情報として表わすとき、該画像情報の独立成分と分離行列を計算して類似度指標を定義し、蓄積した画像情報群の中から指定した画像と類似な画像を逐次検索することで、類似性の高い画像をもつ事例を逐次特定し、該事例における各種の計測データ、操業日誌記録から、該事例時の操業状態の推移や該事例時に実行した操業条件を確認して、現時点の高炉の操業状態や今後の操業状態の推移を予測することができる。さらにこれらの情報を参考にした今後の操業条件の決定が可能となる。加えて、逐次計算する独立成分の時系列推移を逐次監視することにより、高炉の操業状態の監視を正確に実施することを可能とする。
以下、図面を参照して、本発明の高炉操業における操業監視方法、装置、及びコンピュータプログラムの実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態の高炉操業における操業監視装置の構成を示すブロック図である。
(1.高炉設備と2.高炉設備上の複数の各種センサ)
高炉設備1上の複数の各種センサ2においては、温度又は圧力、流量、流速、粒径、密度、組成等の物理量が計測される。図1は、ステーブ温度センサや炉床壁温度センサ、シャフト圧力センサを例にとり、高炉設備の外形面上に複数設置してあるセンサ位置を示す。なお、本発明においては、各センサの高炉設備上の配置は不等間隔で構わないものである。各種の物理量の計測センサのうち、圧力センサを例にとり、以下説明する。
(3.データ収集装置)
データ収集装置3においては、高炉設備上に配置された複数の圧力センサから出力される計測データが、予め設定されたサンプリング周期Δtでサンプリングされ、収集される。サンプリング周期Δtは、データ収集装置3の処理能力及びデータ処理装置4の処理能力と操業監視及び操業予測に要求される時間間隔に対応して数ms以上の時間間隔で任意に設定できる。データ収集装置3で収集された圧力データは、データ処理装置4にリアルタイムで送られる。
この場合に、本発明においては、データ処理装置4への計測データの伝送形態及び伝送方法について限定する必要はなく、例えば、信号線による電流又は電圧のアナログ信号としてデータ処理装置4へ伝送してもよいし、また、データ収集装置3において前記電流又は電圧のアナログ信号をデジタル信号化し、該デジタル信号をデータ処理装置4へ伝送してもよいし、さらに、該デジタル信号を各種のデータ圧縮手法によって圧縮することによって伝送データ量を小さくしてデータ処理装置4へ伝送し、伝送後、データ処理装置4において該圧縮伝送データを圧縮前のデジタル信号に復元してもよいし、加えて、例えば、LAN、イーサネット(R)、無線LAN、インターネット等の情報伝送ネットワークを介して、前記デジタル信号を高炉設備から離れた遠隔地点に設置したデータ処理装置4へ伝送しても構わない。
(4.データ処理装置)
(5.画像情報化処理部)
画像情報化処理部5においては、データ収集装置3から入力された圧力データを、高炉設備上の各圧力センサ設置位置情報を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面に配置し、圧力データが同値な任意の等値線を算出して該等値線によって形成される図形を算出して画像情報化する。
図2は、高炉に設定した座標系と高炉設備に設置された複数の圧力センサ設置位置との関係を例示するものである。図2では、高炉の炉高方向にh軸を、炉半径方向にr軸を、炉周角度方向にθ軸を定義し、●印は高炉設備上に配置された複数の圧力センサ設置位置を、各座標軸にしたがって配置したものである。各々の圧力センサの設置位置座標は、予めわかっている。
このとき、座標(h(i), r(i), θ(i))に設置された圧力センサの時刻tにおける計測データをP(h(i), r(i), θ(i), t)で表現するものとする。
ここでは、データ収集装置3から入力された圧力データを、高炉設備上の各圧力センサの設置位置情報を反映させた複数の四角形平面要素で構成される3次元立体の表面に配置し、該表面において圧力データの等値線を算出して画像情報化する方法を示す。
●印の地点に配置した圧力データをもとに、●印の相互空間における圧力データを空間的に補間し等値線を探索する。ここで等値線とは、空間的に分布している圧力データの中から同じ値を示している地点を線で結ぶことによって得られるものである。このとき、●印の相互間隔は、後述する等値線探索手法によって、空間的に不均等な間隔であって構わなく、空間的に等間隔である必要はない。
空間的に分布した圧力データに対して等値線を探索するには、圧力センサ設置地点で構成される三角形要素を用いる方法が確実であるが、空間上に三角形要素を構成させるときの組み合わせには膨大な自由度がある。また、三角形要素の選択いかんによって、得られる等値線の形状が異なってしまう問題が生じる。
そこで、要素選択の自由度を下げて選択を容易にするとともに、要素選択による等値線形状の誤差を少なくする手法として、「四角形平面要素四頂点平均を頂点に用いる三角形要素を用いた等値線探索手法」を例示する。
図3を用いて本等値線探索手法を説明する。図2の高炉設備上の圧力センサ設置位置●印の地点全てについて、内角の一つが180度を越えない四角形平面要素で構成されるよう予め各地点を関連づけておく。この四角形平面要素に対する要素選択条件により、要素選択の自由度は低減し、要素選択を容易にすることが可能となる。高炉設備の場合、各圧力センサ位置座標は既知であるので一度関連付けを行えばよい。
なお、高炉設備は、シャフト角度、ボッシュ角度(朝顔角度)等を有する円錐形が部分的に組み合わせた3次元形状を有するが、その外形面は内角の一つが180度を越えない四角形平面要素を立体的に組み合わせた形状として表現することが可能であり、以下に説明する手法が実施可能である。
図3は、高炉のシャフト部を例に、その外形面が内角の一つが180度を越えない四角形平面要素を立体的に組み合わせた形状で表現できることを示した図である。
図3はシャフト部を例とした図の意味するところがわかりやすいように、内角の一つが180度を越えない四角形平面要素の4頂点a、b、c、dの配置について、点aと点dが同一炉断面円上に、また点bと点cが同一炉断面円上に配置された例を示し、4頂点に位置する圧力センサが測定する圧力データが、それぞれP(h1,r1,θ1,t)、P(h2,r2,θ1,t)、P(h2,r2,θ2,t)、P(h1,r1,θ2,t)である例を示しているが、本等値線探索手法においては、4頂点の配置について、4頂点は四角形平面要素を構成するものであれば、これ以外に特別な条件を必要としないものである。
したがって、以後、Pa=P(h1,r1,θ1,t)、Pb=P(h2,r2,θ1,t)、Pc=P(h2,r2,θ2,t)、Pd= P(h1,r1,θ2,t)と置き換えて、説明を続ける。
ここで、この四角形平面要素の対角線の交点、すなわち図3中の○印地点eの圧力をPeとする。Peは、Pa、Pb、Pc、Pdから演算される平均値とし、例えば、相加平均として定義するものとする。
Pe=(Pa+Pb+Pc+Pd)÷4 ・・・式(1)
次に、この対角線上の交点○印地点eを頂点にもつ4つの三角形要素をこの四角形平面要素内部に定義する。このとき、各三角形要素の辺上の圧力データは、その辺の両端を構成する頂点の圧力データによって空間的に補間することによって得られるものとする。補間にあたっては、1次補間法等、任意の手法であって構わない。
図3に示す如く、仮に、今、探索したい等値線の値をP1とし、
Pa < P1 < Pd ・・・式(2)
なる関係をもって、P1の等値線が四角形平面要素abcdを構成する三角形要素ade内部に辺adを横切る形で侵入してきたものとする。このとき、式(2)の条件により、P1 は、辺ad上に空間的に補間された圧力データ地点として存在し、図3の辺ad上に△印で示す。
次にP1と三角形要素adeの残る頂点eの圧力Peの大小関係を比較する。
ここで、仮に、
Pa < P1 < Pe ・・・式(3)
であるとすると、P1は、辺ae上に空間的に補間された圧力データ地点として存在し、図3の辺ae上に△印で示す。
続いて、探索したい等値線P1が三角形要素abe内部に辺aeを横切る形で侵入したものと考え、P1と三角形要素abeの残る頂点bの圧力Pbの大小関係を比較する。ここで、仮に、
Pa < P1 < Pb ・・・式(4)
であるとすると、P1は、辺ab上に空間的に補間された圧力データ地点として存在し、図3の辺ab上に△印で示す。
以上によって得られた辺ad、辺ae、辺ab上の△印を直線で結ぶことにより、四角形平面要素abcd内のP1の等値線を探索することができる。
上記の例で、式(4)の代わりに
Pb < P1 < Pe ・・・式(5)
Pb < P1 < Pc ・・・式(6)
である場合を例にとれば、このときの圧力データ地点は図3に◇印で示す如くであり、これらを直線で結ぶことにより、四角形平面要素abcd内のP1の等値線を破線で示すことができる。
また、上記の例で、式(3)、(4)の代わりに
Pd < P1 < Pe ・・・式(7)
Pd < P1 < Pc ・・・式(8)
である場合を例にとれば、このときの圧力データ地点は図3に□印で示す如くであり、これらを直線で結ぶことにより、四角形平面要素abcd内のP1の等値線を破線で示すことができる。
以上のように、四角形平面要素の4頂点に位置する圧力データの値Pa、Pb、Pc、Pdと探索したい等値線P1がどのような大小関係にあっても、これまでに説明してきた「四角形平面要素四頂点平均を頂点に用いる三角形要素を用いた等値線探索手法」によって、図3に示す如く四角形平面要素abcd内におけるP1の等値線を探索することができる。
同様にして、図3の四角形平面要素abcdに隣接する、内角の一つが180度を越えない四角形平面要素について、その対角線の交点を頂点とする4つの三角形要素を定義して同じ手法による等値線探索を繰り返すことによって、P1の等値線を図3の四角形平面要素abcdの隣接領域に連続して探索していくことができる。
さらに以上の処理を高炉設備上に予め設定しておく全ての四角形平面要素に繰り返すことにより、高炉設備上における等値線の探索及び描画が完了し、得られた等値線によって圧力データは高炉設備上に、ある図形(以後、コンタ図形と呼ぶ)を形成する。図4では、高炉設備上の点a近傍における圧力値P1、P2、P3の等値線を実線で示し、このうちP1の等値線で囲まれるコンタ図形をハッチングで示した例である。
以上のように、高炉設備上に空間的に複数配置される圧力センサが計測する圧力データに対して、内角の一つが180度を越えない四角形平面要素を選択し、その対角線の交点に4頂点のデータの平均値を設定して、この交点を頂点にもつ三角形要素を用いて等値線を探索し描画する手法は、三角形要素のみを用いて等値線を探索する手法に比べて、要素選択の自由度を減らし選択を容易にするとともに、四角形平面要素の各頂点の平均値を頂点とする三角形要素を用いるため、要素選択に依存する等値線の探索誤差を低減できる有効な方法である。探索の最終段階で三角形要素を用いるので、探索する等値線が途中で他の等値線と交差したり、また途中で等値線が途切れたりするといった問題を発生することがないのは言うまでもない。
また、ここでは、2次元平面で構成される3次元立体の表面を例に説明したが、本等値線探索手法は、3次元立体の表面を展開した2次元平面についても実施可能かつ有効な手法であることは言うまでもない。例えば、図5は、上記の方法で探索したシャフト圧力の等値線を、炉高方向・炉周方向の2次元展開平面に写像した例である。図5の(a)はシャフト圧力分布が良好な場合、(b)はシャフト圧力分布が不良な場合の事例である。なお、本発明においては、等値線の探索手法を限定する必要はなく、他の手法を用いて等値線を探索しても構わない。
以上説明した如く、画像情報化処理部5において、データ収集装置3から入力された圧力データを、高炉設備上の圧力センサ設置位置情報を反映させた四角形平面要素で構成される3次元立体の表面に配置し、等値線を描画することができる。
なお、ここでは、シャフト圧力データを例に説明したが、本発明においては、温度や流速等の他の物理量の計測データや計測データの時間的変化(時間変化率)データを用いて、高炉設備上の各種センサ設置位置情報を反映させた四角形平面要素で構成される3次元立体の表面又は3次元立体の表面を展開した2次元平面に配置し、等値線を描画することができる。
(6.独立成分分析部)
次に、独立成分分析部6において、画像情報化処理部5で画像情報化した計測データの独立成分分析を実施する。独立成分分析(Independent Component Analysis、以後、ICAと略称する)とは、観測信号がいくつかの統計的に独立な原信号の線形和からなり、原信号及びその混合状態が共に未知である場合でも、該原信号を推定する手法である。
すなわち、画像情報化処理部5で画像情報化した計測データは、炉内状態を反映したいくつかの統計的に独立な画像情報成分の原信号が線形に混合されることで構成されていると仮定し、本発明は、高炉の操業状態の監視にあたって、画像情報化した計測データの統計的に独立な画像情報成分の原信号、すなわち画像情報の独立成分を算出し、類似度指数を定義して該類似度を定量的に評価し、過去の類似操業事例を効率よく検索する。また、該独立成分の時系列推移を監視する。
ここで、ICAアルゴリズムについて説明する。ICAアルゴリズムには、独立成分を計算するための評価関数の違い、収束計算方法の選び方により、いくつかのアルゴリズムが提案されている。ここでは、その中から、Aapo Hyvarianらが論文(非特許文献1)で、Aapo Hyvarien、Juha Karhunen及びErikki Ojaが著作の書籍(非特許文献2)で提案しているFastICAと呼ばれるアルゴリズムを例に説明する。なお、以後に示す各式において、各変数は、行列は大文字の太字書体、ベクトルは小文字の太字書体、スカラーは斜自体で示す。
まず、ICAが解くべき問題について整理する。ある時刻tにおいて観測されるm次元入力信号をベクトルx(t)とし、ベクトルx(t)は統計的に独立でn次元の原信号ベクトルs(t)の線形結合であると仮定する。すなわち、下式(9)〜(11)で表される。ここで、Tは転置を表わす。行列Aは、m行×n列の実数行列であり、混合行列と呼ぶ。
Figure 0004150322
このとき、ICAは、原信号ベクトルs(t)及び混合行列Aに関する知識を一切持たずに、観測信号ベクトルx(t)の非ガウス性(非正規性)を定量的に算出し評価することによって、混合行列Aとn個の統計的に独立な成分を持つベクトルy(t)を同時に推定する手法である。以後、ベクトルy(t)を復元信号ベクトルと呼ぶ。
このとき、n≦mならば、解が存在する。すなわち、あるn行×m列の実数行列Wが存在し、下式(12)によって互いに統計的に独立なn次元の復元信号ベクトルy(t)を再構成できる。このとき、実数行列Wを分離行列と呼ぶ。
Figure 0004150322
そして、下式(13)であれば、(Iは、n行×n列の単位行列である)、復元信号ベクトルy(t)と原信号ベクトルs(t)は一致する。
Figure 0004150322
しかし、復元信号ベクトルy(t)の成分の順番を入れ替えても独立性は保たれ、また、各成分の大きさも独立性には影響を与えないことから、実際には、下式(14)を満足すればよい。このとき、Pは各列、各行に一つだけ1を持つn行×n列の行列で各成分の順番を入れ替える順列行列と呼び、Dは各成分の大きさを決めるn行×n列の対角行列でスケーリング行列と呼ぶ。
Figure 0004150322
すなわち、ICAが解くべき問題は、成分の順序と大きさの2つの任意性を許容した上で、統計的に独立な復元信号ベクトルy(t)と分離行列Wを求めることである。
次に、ICAの解法について、具体的に順を追って説明する。まず、観測信号ベクトルx(t)に対して、中心化(centering)及び白色化(whitening)と呼ばれる前処理を実施する。
中心化(centering)とは、観測信号ベクトルx(t)の平均値ベクトル(下記(15))を引き算することで観測信号ベクトルの平均を零とすることである。すなわち、中心化後の観測信号ベクトルをx^(t)とすると、下式(16)、(17)である。
Figure 0004150322
このことは、式(11)の両辺の期待値をとって両辺から引き算することにより、原信号ベクトルs(t)も零平均化することを意味している。すなわち、原信号ベクトルs(t)の平均値ベクトルを下式(18)とし、中心化後の原信号ベクトルをs^(t)とすると、式(11)は、下式(19)、(20)となる。
Figure 0004150322
このとき、下式(21)となる。式(11)の代わりに式(20)を用いても一般性は失われない。
Figure 0004150322
白色化(whitening)とは、信号の分散を正規化し、それらの相互間を無相関する処理で、FastICAアルゴリズムでは主成分分析(Principal Component Analysis)を用いて、以下のように実施される。
中心化された観測信号ベクトルx^(t)の共分散行列(下式(22))の固有値分解を下式(23)として、観測信号ベクトルx^(t)は、下式(24)と変換される。
Figure 0004150322
ここで、Dは共分散行列Σx^の固有値を降順に対角成分とする対角行列(下式(25))であり、Eは下式(26)の固有ベクトルの直交行列である。z(t)は白色化された観測信号であり、下式(27)となる。
Figure 0004150322
このとき、式(24)に式(20)を代入すると下式(28)となり、下式(29)とおくと、式(28)は下式(30)となり、中心化され白色化された観測信号ベクトルz(t)は、中心化された原信号ベクトルs^(t)が式(29)で変換された混合行列A〜による線形結合であることがわかる。式(11)又は式(20)の代わりに式(30)を用いても一般性は失われない。
Figure 0004150322
なお、このとき、白色化後の復元信号ベクトルy(t)を求める式は、分離行列Wを用いて、下式(31)となる。
Figure 0004150322
中心化と白色化は、ICAに必ずしも必要な前処理ではないが、観測信号ベクトルの次元を縮小し、計算量を削減できること、ICAの最適化を行う空間を直交空間に限定することにより、収束性を向上させることができる。
確率理論における中心極限定理(The Center Limit Theorem)によって、任意の同一分布特性をもつ独立な確率変数y1(t)、y2(t)の和y1(t)+y2(t)の分布特性は、もとの2つの変数y1(t)、y2(t)の分布特性よりもガウス分布に近づき、和y1(t)+y1(t)+・・・+yN(t)は個数Nが大きくなるにつれてガウス分布則に従うことが保証されている。
換言すると、復元信号ベクトルy(t)の分布がガウス分布から離れていればいるほど、すなわち非ガウス性が大きければ大きいほど、復元信号y(t)は独立に近づいていく。復元信号ベクトルy(t)の非ガウス性は、下式(32)に示すように、y(t)の各成分yi(t)の4次の統計量である尖度(kurtosis)で評価できる。
Figure 0004150322
したがって、尖度を最大もしくは最小にするような分離行列Wを求めれば、復元信号ベクトルy(t)の各成分は互いに独立となる。なお、観測信号ベクトルの白色化(whitening)を行い、直交空間上での最適化を考えた場合、式(32)の右辺第2項は定数項になる。
Figure 0004150322
したがって、復元信号ベクトルy(t)の独立性の評価関数は、下式(34)のようになる。
Figure 0004150322
Hyvarinenらが提案するFastICAアルゴリズムでは、尖度を用いて独立成分yi(t)を一つずつバッチ方式で抽出する。この解法は、収束性がよく、かつ高速であるとされている。
このとき、復元信号ベクトルy(t)の独立性の評価式(34)は、下式(35)のようにベクトル標記になる。式(35)をwiで偏微分をして、下式(36)としてwiを変化させたとき、その変化特性から第i番目の独立成分yi(t)を抽出する分離ベクトルwiを計算する。
Figure 0004150322
式(36)で、gは4次式の勾配であるので3次式となるが、アルゴリズムの安定性等を考慮して、例えば下式(37)に示すように、シグモイド関数tanhを用いることが提案されている。
Figure 0004150322
FastICAが解くべき問題は、最終的に下式(38)なる制限条件のもとで、式(35)の左辺を最大化又は最小化する分離ベクトルwiを求めることに帰着する。
Figure 0004150322
そこで、この問題を、Newton-Raphson法で解くとすると、第i番目の独立成分yi(t)を抽出する分離ベクトルwiの更新式は、下式(39)、(40)となる。
Figure 0004150322
ここで、w〜iは更新後の分離ベクトルである。μは学習係数でありμ=1と設定するが,収束性に問題がある場合、例えば0.1又は0.01といった1より小さい値に設定する。
Newton-Raphson法における収束計算は、分離ベクトルwiの初期値として、例えば乱数を設定し、式(39)と式(40)を繰り返し実行する。
そして、下式(43)で示すように更新後の分離ベクトルw〜iと更新前の分離ベクトルwiの差又は和の大きさ(ノルム)がある大きさ以下になった場合、収束したと判定し、このときの分離ベクトルw〜iを求める分離ベクトルwiとする。
Figure 0004150322
式(43)で和を考えるのは、式(14)を用いて説明したように、更新の前後で分離ベクトルが一致する場合はw〜i=wiだけでなく、方向が反対の分離ベクトルに更新された場合、すなわちw〜i=−wiの場合も解となりうるからである。
FastICAは、分離行列Wの要素であるm次元の分離ベクトルwiを一つずつn個まで求めていく。まず最初にi=1として、第1番目の独立成分y1(t)を抽出する分離ベクトルw1が求められたら、同様にして、第2独立成分y2(t)を抽出する分離ベクトルw2を求め、最終的に第n独立成分yn(t)を抽出する分離ベクトルwnを求めていく。
このとき、観測信号ベクトルx(t)に対して、白色化の前処理を行った場合、第2独立成分以降の計算では、第i独立成分の分離ベクトルwiの更新において、下式(44)の各行ベクトルを直交化することにより、既に復元されたi−1個の分離ベクトルと重複して抽出されることを防ぐことができる。
Figure 0004150322
第i独立成分の分離ベクトルwiの直交化は、例えば、下式(45)で行う。
Figure 0004150322
そして、第n番目の分離ベクトルwnの計算が完了すると、求めるべきn行×m列の分離行列Wが決定される。このとき、求めるべき統計的に独立な復元信号ベクトルy(t)は、式(31)で得られる。
これまでにICAアルゴリズムの例として説明してきたHyvarianらが提案したFastICAアルゴリズムの処理を示すフローチャートを図6に示す。本発明は、図6で例示したFastICAアルゴリズムを高炉に複数設置された各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面上で画像情報化した計測データに適用する。本発明においては、FastICA以外のICAアルゴリズムを用いても構わないことは言うまでもない。
(高炉操業における画像情報化計測データへのICAの適用)
高炉操業における画像情報化した計測データのなかから、図5で例示したシャフト圧力の炉高・炉周方向2次元平面展開画像を例に、本発明におけるICAの実施方法を以下に説明する。
まず、図5で例示した画像情報化処理部5で生成するシャフト圧力の炉高方向・炉周方向2次元平面展開画像に対し、図7で例示するような炉高座標軸に14点、炉周角度座標軸に14点の基準座標を設け、これらの基準座標で構成される格子上のシャフト圧力データを取り出す。
このとき、各格子には図7に例示する格子番号を付与しておき、取り出されたシャフト圧力データを格子番号と対応させて、14×14=196次元のベクトルx(t)に格納する。このとき、ベクトルx(t)は、ICAにおける観測信号ベクトルx(t)に対応し、m=196である。
ここでは、画像情報化した計測データへのICAの適用にあたり、14×14の等間隔格子で画像情報を取り出す例を示したが、本発明においては、格子は等間隔格子である必要はなく、さらに格子数、すなわち観測信号ベクトルx(t)の次元数mは他の値であって構わない。
ここで、tは時間である。すなわち、シャフト圧力データをデータ収集装置3で時系列に収集し、画像情報化処理部5で逐次画像情報化を実行することで、ある量の画像データを生成、収集できる。
例えば、一つの実施例として、ある高炉において1年間連続して時間間隔ΔT=5[min]でシャフト圧力の画像データを生成すると、12ヶ月×30日×24時間×60分÷5分=103,680枚の画像データが収集でき、独立成分分析部6は、収集した画像データに対して図7で例示する基準座標を用いて画像データベクトルx(t)を生成する。
さらに、独立成分分析部6は、ICAアルゴリズムを用いて、画像データベクトルx(t)の分離行列Wと独立成分信号ベクトルy(t)を計算する。
独立成分分析部6の実施例として、図8及び図9を例示する。図8は、ある高炉の2001年1月1日00時00分から2001年12月31日23時55分までの一年分のシャフト圧力データを画像情報化処理部5において時間間隔Δt=5[min]で画像情報化し、独立成分分析部6で計算した分離行列Wを示している。このとき、シャフト圧力の独立成分信号ベクトルy(t)の次元数nは、n=10と設定した。したがって、分離行列Wはn×m=10行×196列の行列である。
図9は、このときの独立成分信号ベクトルy(t)を示している。図9は、独立成分信号ベクトルy(t)の第1番目の成分y1(t)から第10番目の成分y10(t)を時系列に示したものである。図9の横軸は時間t[min]であり、0[min]が2001年1月1日00時00分に、5.256×105[min]が2001年12月31日23時55分に対応する。
ここでは、独立成分信号ベクトルy(t)の次元数nをn=10と設定した例を示したが、本発明においては、他の値であっても構わない。
なお、ここでは、実施例の一例として、ある高炉の過去一年分のシャフト圧力データに対して画像データベクトルx(t)を生成し、その分離行列Wと独立成分信号ベクトルy(t)を求める例を説明したが、本発明においては、データ収集装置3で時々刻々収集されるシャフト圧力データを逐次画像データベクトルx(t)化して過去のシャフト圧力データと共に蓄積し、時間の推移に対応しながら逐次分離行列Wを再計算し、逐次独立成分信号ベクトルy(t)を求めても構わない。
(7.類似操業事例検索部)
本発明における高炉操業の操業監視方法は、現時点での操業状態がどのような特徴を有しているかを明確にし、それが過去のどの時期の操業状態と類似しているかを正確に検索し、そして、そのときの操業状態の推移やそのときに実行した操業条件を参考にして、今後の操業条件を決定していく。
すなわち、本発明は、独立成分分析部6で計算した独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wを独立成分・分離行列評価部7で評価し、その結果を用いて現時点での操業状態がどのような特徴を有しているかを明確にする。
さらに、類似操業事例検索部8でそれが過去のどの時期の操業状態と類似しているかを正確に検索することにより、そのとき操業状態の推移やそのときに実行した操業条件を参考にして、今後の操業条件を決定する。
ここで、独立成分・分離行列評価部7及び類似操業事例検索部8で実施する独立成分信号ベクトルy(t)を用いた類似画像データの検索方法について説明する。
独立成分分析部6でn次元の独立成分信号ベクトルy(t)を計算する。ここで、時間tは、適切な時間周期で離散化された離散化時間t=1,2,3,・・・,Tとする。
n次元の独立成分信号ベクトルy(t)とn行×m列の分離行列W、及びこれらの算出に用いたm次元の画像データベクトルx(t)の間には、式(12)の関係が成立する。式(12)は、画像データベクトルx(t)と独立成分信号ベクトルy(t)は分離行列Wを介して一対一対応であることを示しており、同じ画像の独立成分信号ベクトルy(t)は互いに一致する。
すなわち、検索したい画像(以後、教師画像と呼ぶ)の画像データベクトルxsに対応する独立成分信号ベクトルを下式(46)とすると、同じ画像の画像データベクトルx(t)の独立成分信号ベクトルy(t)は、下式(47)となることが必要十分条件である。
Figure 0004150322
そして、教師画像と類似性の高い画像の関係は、その類似性が高ければ高いほど、独立成分信号ベクトル相互の類似性が高く、すなわち下式(48)であると考えることができる。
Figure 0004150322
そこで、教師画像と類似性の高い画像を効率よく検索する方法として、独立成分信号ベクトルの類似性に着目し、同じ画像であれば1となるような類似度指数を定義し、この類似度指数を用いて教師画像の類似画像を検索する方法を以下に例示する。ここでは、類似度指数を教師画像と類似画像が満足するいくつかの必要条件を複数組み合わせた形態で定義することにより、類似度指数の値が大きく1に近ければ近いほど類似性が高いことと対応させる。
(必要条件1)
教師画像と類似画像の関係における必要条件は、教師画像の独立成分信号ベクトルysと類似画像の独立成分信号ベクトルy(t)の誤差2乗和(ノルム)が小さいことである。必要条件1に対応する類似度指標f* 1(t)の定義及び計算方法を、式(49)及び式(50)に例示する。
Figure 0004150322
この定義から画像が教師画像に類似であればあるほど類似度指標f* 1(t)は1に近づき、類似でなければないほど類似度指標f* 1(t)は0に近づく。
(必要条件2)
教師画像と類似画像の関係の必要条件は、下記の数25に示す関係があることである。
Figure 0004150322
分離行列Wは逆行列を持つので、式(12)より下式(51)となる。
Figure 0004150322
画像データベクトルx(t)は統計的に独立なn次元の独立成分信号ベクトルy(t)の線形結合であることがわかる。必要条件2は画像データベクトルx(t)を独立成分信号ベクトルy(t)の線形結合で構成するとき、最も支配的となる独立成分の一致度合いに着目した条件である。必要条件2に対応する類似度指標f* 2(t)の定義及び計算方法を、式(52)〜式(55)に例示する。
Figure 0004150322
この定義から画像が教師画像データを類似であればあるほど類似度指標f* 2(t)は1に近づき、類似でなければないほど類似度指標f* 2(t)は0に近づく。
そして、本発明では、必要条件1に対応する類似度指標f* 1(t)と必要条件2に対応する類似度指標f* 2(t)を組み合わせた類似度指標として、式(56)で例示する類似度指数f* (t)を定義し、計算する。
Figure 0004150322
この定義から、必要条件1と必要条件2を同時に考慮して、画像が教師画像に類似であればあるほど類似度指標f* (t)は1に近づき、類似でなければないほど類似度指標f* (t)は0に近づく。
さらに、本発明における類似画像データの検索方法は、教師画像の独立成分信号ベクトルysが与えられたとき、検索対象範囲の画像データの独立成分信号ベクトルy(t)から類似度指標f* (t)を計算し、該類似度指標f* (t)の値の大小にしたがって独立成分信号ベクトルy(t)を離散化時間について並びかえる。その結果、検索対象範囲の独立成分信号ベクトルy(t)を教師画像と類似性の高い順番に並びかえて、その時間を特定することができ、その時間から類似画像を特定することができる。
これまでに説明してきた類似画像データの検索方法のフローチャートを図10に示す。
次に、図10で示した類似画像データの検索方法による類似画像の検索実施例を示す。図5の(a)で例示したシャフト圧力分布が良好な場合(2001年12月20日09時50分)のシャフト圧力画像を教師画像とし、前記実施例の一年分の画像データから類似画像を検索する。すなわち、前記実施例で例示した一年分の画像データの独立成分信号ベクトルy(t)から類似度指数f* (t)を計算し、類似度指数f* (t)の値が1に近い時間の画像から順に3つを類似画像の第1候補、第2候補、第3候補とする。このときの類似度指数f* (t)による並びかえ結果を図11に、また、各候補の時間から特定される3つの類似画像を図12に示す。図12において、検索された3つの類似画像は検索候補の順に教師画像と類似しており、本検索方法は有効である。
同様にして、図5の(b)で例示したシャフト圧力が不良な場合(2001年12月15日06時50分)のシャフト圧力画像を教師画像とし、前記実施例の一年分の画像データから類似画像を検索する。すなわち、前記実施例で例示した一年分の画像データの独立成分信号ベクトルy(t)から類似度指数f* (t)を計算し、類似度指数f* (t)の値が1に近い時間の画像から順に3つを類似画像の第1候補、第2候補、第3候補とする。このときの類似度指数f* (t)による並びかえ結果を図13に、また、各候補の時間から特定される3つの類似画像を図14に示す。図14において、検索された3つの類似画像は検索候補の順に教師画像と類似しており、本検索方法は有効である。
図10〜図14の結果から、本発明による類似画像データの検索方法は、シャフト圧力の展開画像の特徴的な2つの画像事例を区別し、かつ各々画像の類似画像が検索できる。
本発明による類似画像データの検索方法は、各々の画像の膨大な情報量を少ない次元数の特徴量である独立成分信号ベクトルy(t)として抽出してどのような特徴を有しているかを明確にし、大量の画像データの中から教師画像と類似な画像を効率よく検索することを可能とするだけでなく、その類似度を類似度指数f* (t)として定量的に評価することができることに特徴を有する。
このとき、分離行列Wは、例えば、Hyvarianらが提案したFastICAアルゴリズムを用いれば、短時間で計算することができる。また、検索対象の画像データの独立成分信号ベクトルy(t)から類似度指数f* (t)を計算し、該類似度指標f* (t)の値の大小にしたがって、独立成分信号ベクトルy(t)を離散化時間について並びかえ、類似度指数f* (t)の値が1に近い時間の画像から順に類似画像の候補を探索する処理も短時間で完了する。
したがって、本発明においては、データ収集装置3で時々刻々収集されるシャフト圧力データを逐次画像データベクトルx(t)化して過去のシャフト圧力データと共に蓄積し、時間の推移に対応しながら逐次分離行列Wを再計算し、逐次独立成分信号ベクトルy(t)を求め、逐次類似度指数f* (t)を計算して独立成分信号ベクトルy(t)の並べかえを実施し、蓄積した画像データのなかから逐次類似画像を検索することが可能である。
このとき、例えば、現時刻における高炉操業状態の画像データを教師画像とし、現時点と類似性の高い画像の時間を特定すれば、該時間における各種の計測データ、操業日誌記録から、該時間の操業状態の推移や該時間に実行した操業条件を確認することができ、現時点の高炉の操業状態や今後の操業状態の推移を予測することができる。
さらにこれらの情報を参考にして、今後の操業条件を決定していくことが可能である。
なお、図10では必要条件2として教師画像の独立成分信号ベクトルysの最大成分の絶対値ysmax、注目したが、必要条件2を拡張して、下記の数29に示す関係があるに着目して、式(59)及び式(60)のように類似度指数f* k+1(t)を定義し、これらを必要に応じて組み合わせて、式(61)のように類似度指数f* (t)を定義して用いても有効であることは言うまでもない。
Figure 0004150322
Figure 0004150322
なお、本発明においては、類似度指数の定義及びその算出手順は、式(49)から式(61)及び図10で例示した以外の方法であっても構わない。
(8.独立成分・分離行列時系列推移評価部)
独立成分分析部6で計算されたn次元の独立成分信号ベクトルy(t)を独立成分・分離行列時系列評価部9で評価し、操業監視部10で高炉の操業状態を監視する。
前記実施例の例で、図9はある高炉の2001年1月1日00時00分から2001年12月31日23時55分までの一年分のシャフト圧力データ画像の独立成分信号ベクトルy(t)の第1番目の成分y1(t)から第10番目の成分y10(t)を時系列に示したものである。
各独立成分は、シャフト圧力データ画像に潜在化している統計的に独立な信号成分を表現している。例えば、第5番目の独立成分y5(t)で表現される矩形の波形は、その時刻から高炉の休風を示すものである。
また、高炉の通気性が不良で操業が良くなかった時期(t=0.82×105〜1.55×105[min]:2001年2月26日22時40分〜4月20日17時20分)においては、第2番目の独立成分y2(t)の波形が大きく変動している。
したがって、図15で例示するように、第2番目の独立成分y2(t)の時系列推移を監視し、予め設定しておく管理値を超えたら、高炉の通気性が不良となっている操業状態であると監視することができる。図15では、説明のため、第2番目の独立成分y2(t)の時系列推移を例に、予め設定しておく管理値として、上管理値y2u=1.0及び下管理値値y2l=−1.0である場合を例示したが、本発明においては、管理値に他の値を用いても構わない。また、第2番目以外の独立成分の時系列推移を監視しても構わない。さらに、複数の独立成分を組み合わせた変数の時系列推移を監視しても構わない。
(9.記録部)
記録部9において、画像情報化処理部5、独立成分分析部6、類似操業時事例検索部7及び独立成分・分離行列時系列評価部8における算出結果、計測データ及び操業条件を記載した操業日誌をテキスト形式等のファイルとして記録し、データベース化する。
本発明においては、データベース形式を限定する必要はなく、XML形式等、他のデータベース形式を用いて構成しても構わない。そして、記録部9で記録した情報を、例えば、ファイル入力して、オフラインで高炉の操業状態を評価することも可能である。本発明においては、オフラインでのデータ入力形態を限定する必要はなく、XML形式等のデータベースから入力しても構わない。
加えて、本発明においては、該算出結果の記録部9への伝送形態及び伝送方法について限定する必要はなく、例えば、該算出結果をデジタル信号化し、該デジタル信号を記録部9へ伝送して記録してもよいし、さらに、該デジタル信号を各種のデータ圧縮手法によって圧縮することによって伝送データ量を小さくして記録部9へ伝送して記録してもよいし、さらに、例えば、LAN、イーサネット(R)、無線LAN、インターネット等の情報伝送ネットワークを介して前記デジタル信号を高炉設備から離れた遠隔地点に設置した記録部9へ伝送して記録しても構わない。
(10.出力部)
また、出力部10において、画像情報化処理部5、独立成分分析部6、類似操業事例検索部7及び独立成分・分離行列時系列評価部8の算出結果、例えば、図5、図8、図9、図11、図12、図13、図14、図15で例示した内容を、モニタ等によって画面出力する。
このとき、本発明においては、前記算出結果の出力部10への伝送形態及び伝送方法について限定する必要はなく、例えば、該算出結果をデジタル信号化し、該デジタル信号を出力部10へ伝送して出力してもよいし、さらに、該デジタル信号を各種のデータ圧縮手法によって圧縮することによって伝送データ量を小さくして出力部10へ伝送し、伝送後、出力部10において該圧縮伝送データを圧縮前のデジタル信号に復元して出力してもよいし、さらに、例えば、LAN、イーサネット(R)、無線LAN、インターネット等の情報伝送ネットワークを介して、前記デジタル信号を高炉設備から離れた遠隔地点に設置した出力部10へ伝送して出力しても構わない。そのさい、本発明の手法においては、そのデータ圧縮手法を限定する必要はない。
以上述べた実施の形態のデータ処理装置4は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM等で構成されるものであり、RAMやROMに記録されたプログラムが動作することによって実現できる。従って、コンピュータが上記機能を果たすように動作させるプログラムを記憶媒体に記録し、コンピュータに読み取らせることによって実現できるものである。記憶媒体としては、CD−ROM、DVD、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
なお、これまで各種の計測データの中からシャフト圧力データを例に、本発明を説明したが、本発明においては、他の部位の他の物理量の計測データや該計測データの時間的変化(時間変化率)用いても構わない。
さらに、上記実施例においては監視対象を高炉としているが、本発明における操業監視方法は、内部の状態量を直接検出できない反応器(ビール等の醸造槽、石油精製塔、原子炉、熱交換器等)に対しても適用可能である。
本発明の実施形態である操業監視装置の構成を示すブロック図である。 高炉に設定した座標系と高炉設備上の複数の圧力センサ設置位置との関係を説明する図である。 高炉のシャフト部を例に、高炉設備の外形面を内角の一つが180度を越えない四角形平面要素を立体的に組み合わせた形状で表現し、「四角形平面要素四頂点平均を頂点に用いる三角形要素を用いた等値線探索手法」によって、四角形平面要素abcd内における圧力P1の等値線を探索することができることを説明する図である。 高炉設備を一つが180度を越えない四角形平面要素を立体的に組み合わせた形状で表現し、その表面上に「四角形平面要素四頂点平均を頂点に用いる三角形要素を用いた等値線探索手法」を用いて探索した圧力の等値線を描画し、得られた等値線P1によって形成されるコンタ図形を説明する図である。 高炉のシャフト部を例に、画像情報化処理部5で算出したシャフト圧力の炉高・炉周方向2次元平面展開画像を説明する図である。 独立成分分析(ICA)の計算方法の一つであるFastICAアルゴリズムの処理を示すフローチャートを説明する図である。 図5で例示したシャフト圧力画像から独立成分分析に用いる画像データベクトルを取り出すときの基準座標系の例を説明する図である。 独立成分分析部6で計算する分離行列の計算例を説明する図である。 独立成分分析部6で計算する独立成分の計算例を説明する図である。 類似操業事例検索部7で、独立成分を用いて類似度指標を定義し、類似画像を検索するアルゴリズムの例を説明するフローチャートである。 類似画像を検索するアルゴリズムにより類似度指標を計算し、類似度の高い候補を検索した結果を説明する図である。 図11の検索結果から得られた類似画像を説明する図である。 類似操業事例検索部7で、類似画像を検索するアルゴリズムにより類似度指標を計算し、類似度の高い候補を検索したもう一つの結果を説明する図である。 図13の検索結果から得られた類似画像を説明する図である。 独立成分・分離行列時系列評価部8で、独立成分の時系列推移を評価することによる高炉の操業状態を監視する方法を説明する図である。
符号の説明
1 高炉設備
2 高炉設備上の複数の各種センサ
3 データ収集装置
4 データ処理装置
5 画像情報化処理部
6 独立成分分析部
7 類似操業事例検索部
8 独立成分・分離行列時系列評価部
9 記録部
10 出力部

Claims (7)

  1. 高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視方法であって、
    (ア)前記複数設置されたセンサそれぞれから出力される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手順と、
    (イ)予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、各センサによる計測データ又はその時間的変化データを、前記センサの設置位置に対応する所定の面上の地点に配置する手順と、
    (ウ)所定の面上において、前記各地点に配置した計測データ又はその時間的変化データを基に空間的に補間し、該データが同値な任意の等値線を算出して、該等値線からなる画像情報を導出する手順と、
    (エ)前記(ア)〜(ウ)の手順を所定の期間Tにおいて逐次実行して、時々刻々の画像情報を生成・収集して画像情報のデータベースとする手順と、
    (オ)該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wを算出する手順と、
    (カ)新たな画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する手順と、
    (キ)前記新たな画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記新たな画像情報と類似な画像情報、及び該類似な画像情報が得られた時刻t1のいずれか一方又は両方を前記画像情報のデータベースについて検索する手順と、
    からなることを特徴とする高炉操業における操業監視方法。
  2. 高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視方法であって、
    (ア)前記複数設置されたセンサそれぞれから出力される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手順と、
    (イ)予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、各センサによる計測データ又はその時間的変化データを、前記センサの設置位置に対応する所定の面上の地点に配置する手順と、
    (ウ)所定の面上において、前記各地点に配置した計測データ又はその時間的変化データを基に空間的に補間して、該データが同値な任意の等値線を算出して、該等値線からなる画像情報を導出する手順と、
    (エ)前記(ア)〜(ウ)の手順を所定の期間Tにおいて逐次実行して、時々刻々の画像情報を生成・収集して画像情報のデータベースとする手順と、
    (オ)該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wを算出する手順と、
    (ク)新たに、ある時刻t2の画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する手順と、
    (ケ)前記時刻t2画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記時刻t2の画像情報と類似な画像情報及びその時刻t3を前記画像情報のデータベースについて検索する手順と、
    (コ)予め設定された所定の期間Tにおける計測データ及び操業日誌記録のデータベースから、前記時刻t3の操業状態、操業条件の事例を出力する手順と、
    からなることを特徴とする高炉操業における操業監視方法。
  3. 請求項1又は2に記載の高炉操業における操業監視方法であって、
    高炉に複数設置されたセンサから逐次収集される計測データを用いて、前記独立成分ベクトルy(t)及び分離行列Wを逐次更新することを特徴とする高炉操業における操業監視方法。
  4. 高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視装置であって、
    前記複数設置されたセンサで計測される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手段と、
    予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、前記計測データ又はその時間的変化データを前記所定の面上の地点に配置し、該データを基に空間的に補間して同値な任意の等値線を得て、該画像情報を算出する画像情報化処理手段と、
    該画像情報を所定の期間Tにおいて収集して画像情報のデータベースとし、該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wとを算出する独立成分分析手段と、
    新たな画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxsを算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルysを算出する独立成分・分離行列評価手段と、
    前記新たな画像情報の独立成分信号ベクトルysと前記独立成分信号ベクトルy(t)の、前記所定の期間T内の各時刻tにおける誤差2乗和(ノルム)||y(t)−ys||を計算し、該誤差2乗和||y(t)−ys||に基づいて独立成分信号ベクトルysと独立成分信号ベクトルy(t)の各成分の値が類似することを示す類似度指標f1(t)所定の式で算出し、該類似度指標の大小を基に、前記新たな画像情報と類似な画像情報、及び該類似な画像情報の時刻t1のいずれか一方又は両方を前記画像情報のデータベースについて検索して得る類似操業事例検索手段と、
    前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び類似操業事例検索手段におけるそれぞれの算出結果、並びに、計測データ及び操業条件を記載した操業日誌を逐次記録する記録手段と、
    前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び類似操業事例検索手段におけるそれぞれの算出結果を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする高炉操業における操業監視装置。
  5. 高炉設備上に複数設置されたセンサから出力される測定対象量の計測データを、各センサの設置位置を反映させた2次元平面又は2次元平面で構成される3次元立体の表面であり、複数の座標軸を有する所定の面に配置し、計測データの空間的分布状態や時間的変化に基づいて高炉の操業状態を監視する操業監視装置であって、
    前記複数設置されたセンサで計測される計測データを所定のサンプリング周期で収集するデータ収集手段と、
    予め設定されている前記センサそれぞれの設置位置情報に基づき、前記計測データ又はその時間的変化データを前記所定の面上の地点に配置し、該データを基に空間的に補間して同値な任意の等値線を得て、該画像情報を算出する画像情報化処理手段と、
    該画像情報を所定の期間Tにおいて収集して画像情報のデータベースとし、該画像情報のデータベースについて、該所定の面上において複数mの格子点を設け、各格子点での計測データ又はその時間的変化データの値を成分とする観測信号ベクトルx(t)を取り出し、所定の期間Tにおける該観測信号ベクトルx(t)について、独立成分分析を実施して独立成分信号ベクトルy(t)と分離行列Wとを算出する独立成分分析手段と、
    新たに逐次得られる画像情報に対して、該画像情報の観測信号ベクトルxs'を算出し、前記分離行列Wによって変換して該画像情報の独立成分信号ベクトルys'を逐次算出して、該独立成分信号ベクトルys'の予め設定した独立成分のyiの時間的推移を、予め設定した管理値の大小と比較する独立成分・分離行列時系列評価手段と、
    前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び独立成分・分離行列時系列評価手段におけるそれぞれの算出結果、並びに、計測データ及び操業条件を記載した操業日誌を逐次記録する記録手段と、
    前記画像情報化処理手段、独立成分分析手段、及び独立成分・分離行列時系列評価手段におけるそれぞれの算出結果を出力する出力手段と、
    を具備することを特徴とする高炉操業における操業監視装置。
  6. 請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の高炉操業における操業監視方法の各手順をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  7. 請求項4又は5に記載の高炉操業における操業監視装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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