以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の移動通信システムの構成例を示している。
本発明の移動通信システムは、主たる機能として移動通信システムの制御を行う基地局(狭帯域基地局)であるControl−BTS(以下C−BTS)100と、主たる機能としてデータ伝送を行う基地局(広帯域基地局)である複数(例えばここでは3台)のData−BTS(以下D−BTS)101a〜101cと、複数(例えばここでは4台)の移動通信端末(以下、簡単に端末と呼ぶ)102a〜102dから構成される。C−BTS100は通信エリア(セル)103を形成し、D−BTS101a〜101cは、通信エリア(セル)104a〜104cをそれぞれ形成する。
なお、以下の説明において、Data−BTS(以下D−BTS)101a〜101cを区別する必要がない場合には、これらをまとめてD−BTS101と呼び、通信エリア104a〜104cを区別する必要がない場合には、これらをまとめて通信エリア104と呼ぶ。また、端末102a〜102dを区別する必要がない場合には、これらをまとめて端末102と呼ぶ。
C−BTS100は第1の周波数帯域の無線チャネル105、106により、端末102との間で信号の送受信を行う。D−BTS101は第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域の第2の周波数帯域の無線チャネル107により、端末102に対して信号を送信する。
C−BTS100、D−BTS101間は通信回線108により接続されている。ここで、通信回線108は有線回線ないしは無線回線が考えられるが、信頼性の観点から有線回線であることが望ましい。また、C−BTS100は通信回線109を介して、ネットワーク(通信事業者独自のネットワークやインターネット等のバックボーンネットワーク)110に接続されている。
C−BTS100は無線チャネル105を介して、端末102に対して制御信号を送信し、通信回線108を介して、D−BTS101に対して同様の制御信号を送信する。また、端末102は無線チャネル106を用いてC−BTS100へ信号を送信する。D−BTS101は、C−BTS100より送信された制御信号に従い端末102に対して情報信号を送信する。
なお、制御信号には、D−BTS101から送信される情報信号の宛て先(情報信号を受信すべき端末の識別子USERID)、情報信号の復調方式・復号方式などのフォーマットに関するデータ、その他電力制御などに用いる制御データなどを含む。さらに、端末102は、C−BTS100より送信された上記制御信号を受信し、その内容に従い、D−BTS101より送信された情報信号を受信する。
通常、情報信号の送信には高速伝送が要求されるため、広帯域な無線チャネルを必要とする。従って、第2の周波数帯域は第1の周波数帯域よりも広くなっている。その結果、無線信号の特徴を考慮すると、C−BTS100が形成する通信エリア(セル)103はD−BTS101が形成する通信エリア(セル)104よりも大きくなる。そして、図1に示すように、C−BTS100が形成する通信エリア囲103内には、複数の(D−BTS101が形成する)通信エリア104が含まれている。
図2は、図1に示した移動通信システムの第1の変形例を示したものである。ここでは図1と異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図1では、端末102から上り無線チャネル106を介して送信される無線信号は、C−BTS100で受信されていたが、図2では、端末102から上り無線チャネル106を介して送信される無線信号は、D−BTS101で(も)受信される。D−BTS101は端末102からの信号を受信すると、当該信号を通信回線108を介してC−BTS100へ送信する。すなわち、図2では、端末102からC−BTS100への信号がD−BTS201により中継されて、C−BTS100へ到達するようになっている。
図2に示した構成例は、図1に示した構成例と比較して、端末102の送信電力を低減させる効果を有する。
(C−BTS及びD−BTSと端末との間のDL及びUL)
次に、図3〜図6を参照して、図1の移動通信システムにおけるチャネル構成について説明する。
C−BTS100と端末102との間の双方向通信に用いられる第1の周波数帯域301の帯域幅をWc、D−BTS101から端末への下り通信に用いられる第2の周波数帯域302の帯域幅をWdとすると、上述のようにWc<<Wdという関係にある。ここで、第1の周波数帯域301はC−BTS100から端末102に対する制御信号の伝送と、端末102からC−BTS100に対する制御信号及び情報信号双方を含む無線信号の伝送に用いられる。第2の周波数帯域302はD−BTS101から端末102に対する情報信号の伝送に用いられる。
図3の第1の構成例では、第1の周波数帯域301に対してFDD(Frequency Division Duplex)方式を適用している。すなわち、第1の周波数帯域301を2つの周波数帯域に分割し、それぞれC−BTS100から端末102への下りリンク(DL)、端末102からC−BTS100への上りリンク(UL)の無線伝送に利用する。通信エリア103内に存在する全ての端末102は、第1の周波数帯域301内の無線チャネルを使用可能である。
図4の第2の構成例では、第1の周波数帯域301に対してTDD(Time Division Duplex)方式を適用している。すなわち、第1の周波数帯域301を時間的に分割し、DL及びULの無線伝送に利用する。この場合も、通信エリア103内に存在する全ての端末102は、第1の周波数帯域301内の無線チャネルを使用可能である。
図5の第3の構成例では、第1の周波数帯域301に対してFDD方式を適用している。さらに、DLに適用する周波数帯域をさらに複数の周波数帯に分割し、複数のD−BTS101にそれぞれ割り当てている。すなわち、各通信エリア104内の各端末102に対して、下りリンクに、当該端末の属するD−BTS101に対応する上記複数の周波数帯域のうちの1つをそれぞれ割り当て、制御信号の伝送が行われる。なお、この場合ULに関しては、通信エリア103内に存在する全ての端末102が第1の周波数帯域301内の無線チャネルを使用可能である。
図6の第4の構成例では、第1の周波数帯域301に対してFDD方式を適用している。さらに、DL及びULに適用する周波数帯域はそれぞれ複数に分割されている。そして、複数のD−BTS101のそれぞれに、DLの複数の周波数帯域のうちの1つ及びULの複数の周波数帯域のうちの1つが割り当てられる。すなわち、C−BTS100は、各通信エリア104内の各端末102に対して、下りリンクの複数の周波数帯域のうちの1つを利用して制御信号の伝送が行われる。また、各端末102は、上りリンクの複数の周波数帯域のうちの1つを利用して、C−BTS100に対する信号の伝送を行う。
(C−BTS及びD−BTSと端末と間のDL)
次に、図1の移動通信システムにおいて、C−BTS100及びD−BTS101から端末102へ送信されるDLの無線チャネルについて、図7、図8を参照して説明する。
図7、図8において、C−BTS100から送信される信号は、所定時間Tcにて分割される。この時間Tc単位のブロックをここではタイムスロット(TS)と称する。D−BTS101から送信される信号は、所定時間Tdにて分割される。この時間Td単位のブロックをここではフレーム(FR)と称する。1つのフレームには、当該フレームに対応するタイムスロットが必ず1つ存在する。すなわち、各下り無線チャネル105(タイムスロットTS−0、TS−1、…)には、各下り無線チャネル107(フレームFR−0、FR−1、…)が、それぞれ予め対応付けられている(割り当てられている)。言い換えれば、各下り無線チャネル107(フレームFR−0、FR−1、…)には、各下り無線チャネル105(タイムスロットTS−0、TS−1、…)が、それぞれ予め対応付けられている(割り当てられている)。
各下り無線チャネル105(タイムスロットTS−0、TS−1、…)と、各下り無線チャネル107(フレームFR−0、FR−1、…)との対応関係を示す情報は、予めC−BTS100の管理テーブル503a(図12参照)に記憶されているものとする。
なお、フレーム長Tdは例えば情報信号のインタリーブ周期等により決定される。タイムスロット長Tcは、当該タイムスロットに対応するフレームを伝送するための制御信号を確実に端末へ通知するためにTc<=Tdの関係が成立する必要がある。
図7には、C−BTS100より送信される無線チャネル105とD−BTS101より送信される当該無線チャネル105に割り当てられた無線チャネル107との間に時間オフセット(T_offset)が存在し、且つT_offset<Tcである場合を示している。
図8には、C−BTS100より送信される無線チャネル105とD−BTS100より送信される当該無線チャネル105に割り当てられた無線チャネル107との間に時間オフセット(T_offset)が存在し、且つTc<T_offset<2Tcである場合を示している。
無線チャネル105でC−BTS100から無線チャネル107で送信される情報信号の宛て先等の情報を含む制御信号が端末102に対して通知されることを考慮すると、端末102は無線チャネル105で通知された情報信号の宛先が自端末を示していない場合、対応付けられている無線チャネル107の受信を行わないことが可能となるため、端末102の消費電力の観点から図8に示した場合が好ましいと考えられる。
(C−BTSから端末へ送信される制御信号)
次に、図9〜図11を参照して、図1の移動通信システムにおいて、C−BTS100が送信する制御信号に含まれる情報について説明する。
図9に、制御信号の第1の例を示す。C−BTS100から端末102に対して送信される制御信号には、D−BTS101を識別するためのD−BTSID、D−BTSが形成する通信エリア104内に存在する端末102を識別するためのUSERID、当該制御信号に対応する情報信号に適用されている変調方式や符号化方式を識別するためのMCSID及び電力制御などに用いる制御データ等が含まれている。図9に示したような情報が含まれている制御信号を受信した端末102は、自装置宛ての情報信号が存在するか否か、存在する場合にはどのD−BTS101より情報信号が送信されるかを判別し、対応する変調フォーマット等により情報信号を受信することが可能となる。
図10に、制御信号の第2の例を示す。C−BTS100から端末102に対して送信される制御信号には、D−BTS101が形成する通信エリア104内に存在する端末102を識別するためのUSERID、当該制御信号に対応する情報信号に適用されている変調方式や符号化方式を識別するためのMCSID及び電力制御などに用いる制御データ等が含まれている。図10に示したような情報が含まれている制御信号をC−BTS100が送信する場合には、端末102では、端末102が自装置の属するD−BTS101(の識別子)を認識している必要がある。この場合、C−BTS100が送信する制御信号量を削減できるという効果がある。
図11に、制御信号の第3の例を示す。第3の例は、図5、図6に示したように、DLの周波数帯域が複数の周波数帯域に分割されて、複数のD−BTS101にそれぞれ割り当てられている場合に適用される。この場合、DLの複数の周波数帯域のそれぞれで1組の制御信号がC−BTS100から端末102に対して送信される。各制御信号には、D−BTS101が形成する通信エリア104内に存在する端末102を識別するためのUSERID、当該制御信号に対応する情報信号に適用されている変調方式や符号化方式を識別するためのMCSID及び電力制御などに用いる制御データ等が含まれている。
図11に示したような情報が含まれている制御信号をC−BTS100が送信する場合、端末102は自装置が属するD−BTS101を必ずしも認識している必要はない。例えば、端末102は制御信号が伝送される全ての周波数帯域の制御信号を受信する。端末102は、受信した全周波数帯域の制御信号のなかに、自装置のUSERIDが含まれている制御信号があれば、自装置宛の情報信号が存在することを認識する。また、自装置のUSERIDが含まれている制御信号の周波数から、端末102は、どのD−BTS101より情報信号が送信されるかを判別することができる。そして、当該制御信号から、MCSIDを得て、自装置へ情報信号を送信するD−BTS101から情報信号を受信することが可能となる。また、端末102が自装置の属するD−BTS101を認識している場合には、当該D−BTS101に割り当てられている周波数帯域の制御信号だけ受信すればよく、端末102の受信処理を簡略化することができる。
(C−BTS100の構成例)
図12はC−BTS100の構成例を示したもので、大きく分けて、無線通信処理部501、制御部502、記憶部503からなる。
無線通信処理部501は、第1の周波数帯301の下りリンクで各端末へ無線信号を送信するための送信系と、第1の周波数帯301の上りリンクで各端末から送信された無線信号を受信するための受信系を有する。送信系では、まず、送信データ生成部501bにおいて、各端末宛ての信号(制御信号)を狭帯域の下り無線チャネル105を介して送信するための所定のフォーマットの送信データを生成し、符号化処理部501cへ出力する。送信データは、符号化処理部501cで符号化され、さらに、変調処理部501dで変調されて、無線処理部501aでディジタル信号からアナログ信号への変換や周波数変換等が行われた後、アンテナを介して送信される。また、各端末から無線チャネル106を介して送信される無線信号は、アンテナを介して無線処理部501aで受信され、周波数変換や、アナログ信号からディジタル信号への変換が行われる。そして、当該受信信号は復調処理部501e復調され、さらに復号処理部501fで復号される。受信データ分離部501gは、必要に応じて復号された受信信号を分離して取り出す。
記憶部503には、C−BTS100の傘下にあるD−BTS101について、当該D−BTS101の通信エリアに存在する端末を管理するための管理テーブル503aや、ハンドオーバ制御に用いるハンドオーバ管理テーブル503b、端末の優先度を記憶するための優先度テーブル503c、セル管理テーブル503d、その他各種データが記憶されている。
送信データ生成部501aは、管理テーブル503aを参照して、各端末宛ての制御信号を、例えば、当該制御信号を送信すべきタイムスロットの順に並べて符号化処理部501cへ出力する。また、受信データ分離部501gは、管理テーブル503aを参照して、各タイムスロットから必要に応じて復号された受信信号を分離して取り出す。
制御部502は、端末制御部502a、外部ネットワーク(NW)制御部502b、広帯域基地局(D−BTS)制御部502c、待受け制御部502d、無線リソース制御部502eを含む。
端末制御部502aは、狭帯域の上り/下り無線チャネル106,105を介して各端末と通信を行うためのものである。例えば、各端末102宛ての制御信号を生成し、それを送信データ生成部501bへ出力する。また、受信データ分離部501gから出力された信号を受け取る。
外部ネットワーク(NW)制御部502bは、通信回線109を介して外部ネットワーク110との通信を行うためのものである。
広帯域基地局制御部502cは、C−BTS100傘下の各D−BTS101と通信回線108を介して通信を行うためのものでものである。
待受け制御部502dは、D−BTS101を介した端末102の待受け時の制御処理を行うためのものである。待受け時の制御処理について、後述の第5の実施形態で説明する。
無線リソース制御部502eは、各端末に広帯域の下り無線チャネル107や狭帯域の下り無線チャネル106といった無線リソースを割り当て、その結果を管理テーブル503aに記録する。無線リソース制御部502eでの制御処理については、後述の第2乃至第4の実施形態で説明する。
(D−BTS101の構成例)
図13はD−BTS101の構成例を示したもので、大きく分けて、無線通信処理部511、制御部512、記憶部513からなる。
無縁通信処理部511は、第2の周波数帯302の下りリンクで各端末へ無線信号を送信するための送信系と、第1の周波数帯301の上りリンクで各端末から送信された無線信号(端末の識別子を含む報知信号等(第5の実施形態参照))を受信するための受信系を有する。
送信系では、まず、送信データ生成部511bにおいて、各端末102宛ての信号(情報信号)を広帯域の各下り無線チャネル107を介して送信するための所定のフォーマットの送信データを生成し、符号化処理部511cへ出力する。送信データは、符号化処理部511cで符号化され、されに、変調処理部511dで変調されて、無線処理部511aでディジタル信号からアナログ信号への変換や周波数変換等が行われた後、アンテナを介して送信される。また、端末102から無線チャネル106を介して送信される無線信号は、アンテナを介して無線処理部511aで受信され、周波数変換や、アナログ信号からディジタル信号への変換が行われる。そして、当該受信信号は復調処理部511eで復調され、さらに復号処理部511fで復号される。受信データ分離部511gは、必要に応じて復号された受信信号を分離して取り出す。
制御部512は、端末制御部512a、狭帯域基地局(C−BTS)制御部512b、待受け制御部512cを含む。
端末制御部512aは、主に、広帯域の下り無線チャネル107を介して端末102へ情報信号を送信するためのものである。すなわち、端末102宛ての情報信号を生成し、それを送信データ生成部511bへ出力する。また、狭帯域の上り無線チャネル106を介して端末から送信された報知信号の受信特性の測定値を受信特性テーブル513aへ一次格納する。
狭帯域基地局制御部512bは、C−BTS100と通信回線108を介して通信を行うためのものでものである。
待受け制御部512cは、D−BTS101を介した端末102の待受け時の制御処理を行うためのものである。待受け時の制御処理について、後述の第5の実施形態で説明する。
記憶部513には、上記受信特性テーブル513aや、その他各種データが記憶されている。
(端末102の構成例)
図14は端末102の構成例を示したもので、大きく分けて、無線通信処理部521、制御部522、記憶部523からなる。
無縁通信処理部521は、第1の周波数帯301の上りリンクでC−BTS100やD−BTS101へ無線信号を送信するための送信系と、第1の周波数帯301の下りリンクでC−BTS100から送信された無線信号を受信するための第1の受信系と、第2の周波数帯302の下りリンクでD−BTS101から送信された無線信号を受信するための第2の受信系を有する。
送信系では、まず、送信データ生成部521bにおいて、C−BTS100やD−BTS101宛ての信号を狭帯域の上り無線チャネル106を介して送信するための所定のフォーマットの送信データを生成し、符号化処理部521cへ出力する。送信データは、符号化処理部521cで符号化され、されに、変調処理部521dで変調されて、無線処理部521aでディジタル信号からアナログ信号への変換や周波数変換等が行われた後、アンテナを介して送信される。
C−BTS100から狭帯域の下りリンクで送信される無線信号は、アンテナを介して無線処理部521aで受信され、周波数変換や、アナログ信号からディジタル信号への変換が行われる。そして、当該受信信号は復調処理部521eで復調され、さらに復号処理部521fで復号される。受信データ分離部521gは、必要に応じて復号された受信信号を分離して取り出す。
D−BTS101から広帯域の下りリンクを介して送信される無線信号は、アンテナを介して無線処理部521aで受信され、周波数変換や、アナログ信号からディジタル信号への変換が行われる。そして、当該受信信号は復調処理部521hで復調され、さらに復号処理部521iで復号される。受信データ分離部521jは、必要に応じて復号された受信信号を分離して取り出す。
制御部512は、狭帯域基地局(C−BTS)制御部522a、広帯域基地局(D−BTS)制御部522b、無線リソース制御部522c、待受け制御部522dを含む。
狭帯域基地局制御部522aは、C−BTS100と狭帯域の上り/下り無線チャネル106,1058を介して通信を行うためのものでものである。受信データ分離部521gで分離された各信号は狭帯域基地局制御部522aへ出力される。また、C−BTS100やD−BTS101へ送信する信号を生成して、それを送信データ生成部521bへ出力する。
広帯域基地局制御部522bは、D−BTS101と広帯域の下り無線チャネル107を介して情報信号を受信するためのものでものである。受信データ分離部521jで分離された各信号は広帯域基地局制御部522bへわたされるか、あるいは広帯域基地局制御部522bの制御のもと、記憶部523に記憶される。
無線リソース制御部522cは、第3の実施形態で説明するハンドオーバ制御を行う。
待受け制御部522dは、D−BTS101を介した端末102の待受け時の制御処理を行うためのものである。待受け時の制御処理について、後述の第5の実施形態で説明する。
記憶部513には、当該端末102に割り当てられたリソースを記憶する管理テーブル523a、端末102の周辺のD−BTS101から到来する信号の受信特性を記憶する受信特性テーブル523b、その他の各種データが記憶される。
端末102は、その待ち受け時に、所定周期で報知信号を送信することにより、C−BTS100により、当該端末102に対し、当該端末に情報信号を送信する無線チャネル107(D−BTS101)が割り当てられる。(第5の実施形態参照)。C−BTS100は、当該端末に割り当てた広帯域の下り無線チャネル(D−BTS101)に対し予め対応付けられている狭帯域の下り無線チャネル105を用いて、当該端末に制御信号等を送信する。
(端末102の動作)
図15は、図1の移動通信システムにおける端末102の処理動作を説明するためのフローチャートである。
端末102は、通信を開始すると、無線処理部421a、変調処理部521e、復号処理部521f、受信データ分離部521gを経て狭帯域の第1の周波数帯301の下りリンクの信号を受信する。受信データ分離部521gで当該受信信号から分離された各制御信号は、狭帯域基地局制御部522aへ渡される。狭帯域基地局制御部522aでは、受け取った制御信号が、自装置宛ての(端末102の識別子USERIDを含む)制御信号があるか否かを調べる。自装置宛ての制御信号である場合には、当該受信信号において、当該制御信号が挿入されていたタイムスロット位置を管理テーブル523aに記憶する。このタイムスロットは、C−BTS100により当該端末102に対し制御信号送信用に割り当てられた狭帯域の下り無線チャネル105である。
以後、端末102は、所定の周期に従い、当該無線チャネル105から自装置宛ての制御信号を受信する(ステップS1、ステップS2)。この場合の周期とは制御信号の通知周期、すなわちタイムスロット長Tcに依存し、最短の周期はタイムスロット長Tcである。
制御信号を受信した端末102は、狭帯域基地局制御部522aにおいて、当該制御信号に自装置宛の情報信号の送信に関する情報が含まれているか確認する(ステップS3)。制御信号に、自装置宛ての情報信号の送信に関する情報が含まれているときには、当該制御信号にて通知される情報(USERID、D−BTSID、情報信号の復調方式・復号方式などのフォーマットに関する情報(MCSID)など)に従って、D−BTS101から送信される情報信号を受信する(ステップS4)。すなわち、広帯域基地局制御部522bでの制御のもと、制御信号により通知されたD−BTSIDの(あるいは端末102が情報信号を受信すべき)D−BTS101から広帯域の下り無線チャネル107を介して送信された情報信号は、アンテナ、無線処理部521a、復調処理部521h、受信データ分離部521jを経て受信される。自装置宛ての情報信号は、広帯域基地局制御部522bへ渡されるか、あるいは記憶部523に記憶される。
制御信号に、自装置宛ての情報信号の送信に関する情報が含まれていないときには、ステップS1へ戻り、再び所定の周期が経過するまで待ち状態となる。端末102は、C−BTS100との間の通信が継続している間は上記ステップS1〜ステップS4の動作を繰り返し行う(ステップS5)。
(C−BTS及びD−BTSと端末との間のDL)
次に、C−BTS100及びD−BTS101から端末102へ送信されるDLのチャネル構成の他の例を図16を参照して説明する。なお、ここでは、図7、図8と異なる部分について説明する。すなわち、図16では、時間長Tcの各タイムスロットをさらに複数のブロックに分割している点が図7、8と異なる。図16では、時間長Tcの各タイムスロットをさらに複数の(例えばここではn個の)ブロックに分割し、そのブロック長をTbとしている。さらに、各ブロックは、それぞれn個のD−BTS101(例えば、ここでは、D−BTS1、D−BTS2、D−BTS3、…、D−BTSn)に予め割り当られており、各ブロックにより各D−BTS101に対応する制御信号を伝送するようになっている。
これにより、端末102は、自装置の属するD−BTS101を認識している場合には、自装置の属するD−BTS101に対応するブロックの制御信号だけ受信すればよく、端末102の受信処理が簡略化される効果がある。また、未使用のブロックを他の用途に使用することが可能となり、より効率的な無線リソースの割当てを行うことが可能となる。
次に、図1の移動通信システムの、C−BTS100及びD−BTS101から端末102へ送信されるDLの無線チャネル構成のさらに他の例を図17を参照して説明する。なお、ここでは、図7、図8と異なる部分について説明する。すなわち、図17では、時間長Tcの各タイムスロットで、複数のD−BTS101のそれぞれに予め割り当てた複数の制御信号を多重している点が図7、8と異なる。図17では、時間長Tcの各タイムスロットで、複数の(例えば、ここではn個の)D−BTS101のそれぞれに予め割り当てた複数の符号(例えば拡散符号)を用いて、各D−BTS101に対応する制御信号が符号拡散されて多重されている。
これにより、端末102は、自装置の属するD−BTS101を認識している場合には、自装置の属する対応するD−BTS101に対応する拡散符号を用いて当該D−BTS101に対応する制御信号だけ受信すればよく、端末102の受信処理が簡略化される効果がある。また、未使用の拡散符号を制御信号以外の他の信号の多重化に使用することが可能となり、より効率的な無線リソースの割当てを行うことが可能となる。
上記第1の実施形態によれば、狭帯域の無線チャネルで制御信号の授受を行うことで、広帯域の無線チャネルを全て情報信号の伝送に利用することが可能となる。これは、広帯域、すなわち高速伝送が可能な無線チャネルを制御信号の伝送に適用することによるオーバヘッドの影響を低減させることを意味する。
また、広帯域無線チャネル107上の各フレームに対し、狭帯域の下り無線チャネル105上の各制御信号のタイムスロット(複数の制御信号が時分割多重されているときには分割されたタイムスロット、複数の制御信号が符号分割多重されているときには拡散符号)が予め対応付けられていることにより(すなわち、基地局から端末へと情報信号を送信する際に必要な情報を含む制御信号の無線チャネルが予め確保されている)、制御信号を伝送する無線チャネルを獲得することができずに、通信要求の拒絶や待ちが発生することを防ぐことが可能となる。また、高速伝送が可能な広い周波数帯域を有する無線チャネルを確実に使用することで、結果として通信効率の低下を防ぐことが可能となる。
なお、狭帯域の上り無線チャネル106,狭帯域の下り無線チャネル105は、端末102に割り当てられた第1の周端数帯301の上り・下りリンクのタイムスロット、周波数、符号(拡散符号)のうちの少なくとも1つである。また、広帯域の下り無線チャネル107は端末102に割り当てられた第2の周波数帯302の下りリンクのタイムスロット(フレーム)、周波数、符号(拡散符号)のうちの少なくとも1つである。このように、チャネルとは、各端末がC−BTS100、D−BTS101と通信する際に利用可能な周波数、タイムスロット(フレーム)、符号のうちの少なくとも1つである。
以下、説明の簡単のために、1つのD−BTS101に1つの下り無線チャネル107が対応し、C−BTS100は、各端末102にD−BTS101を割り当てることにより、広帯域の下り無線チャネル107を割り当てるものとする。実際には、各D−BTS101に対応する下り無線チャネル107は複数のユーザチャネルを収容可能である。そして各ユーザチャネルに各端末102が割り当てられる。C−BTS100は、空きのユーザチャネルをもつD−BTS101を端末102に割当て、当該端末102に対し、この空きのユーザチャネルを示す情報とともに当該端末102に割り当てたD−BTS101の識別情報を制御信号で送信する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図1の移動通信システムにおいて、広帯域の下り無線チャネル107だけでなく、狭帯域の下り無線チャネル105を用いて情報信号を送信する場合の動作について説明する。
図18は、第2の実施形態にかかる移動通信システムの動作を説明するための図である。なお、図18において、図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図18では、C−BTS100が形成する通信エリア103内に2台のD−BTS101a、101cがそれぞれ通信エリア104a、104cを形成し、3台の端末102(102a〜102c)が通信エリア103内に存在する場合を示している。
ここで、D−BTS101aのD−BTSIDを「ID1」、D−BTS101bのD−BTSIDを「ID2」、D−BTS101cのD−BTSIDを「ID3」とし、端末102a、102b、102cのUSERIDをそれぞれ「A」、「B」、「C」とする。
図18では、端末102b、102cがD−BTS101cの通信エリア104c内に存在している。端末102cは、D−BTS101cから広帯域の無線チャネル107を介して情報信号を受信している。一方、他方のD−BTS101aの通信エリア104bには端末が存在していない。あるいは、通信エリア104b内に端末(例えば端末102a)が存在していても当該端末には情報信号の送信が行われていない。すなわち、D−BTS101aに割り当てているC−BTS100の下り無線チャネル105は、現在使用されていない。このようなとき、D−BTS101cの通信エリア104c内に存在する端末102c以外の他の端末102bに対しても情報信号を送信する場合を考える。第2の実施形態では、このような場合、端末102bとの間の通信速度が低速であるときには、狭帯域の無線チャネル105の空きリソースを用いて、C−BTS100から情報信号を送信する。
無線チャネル105は無線チャネル107と比較すると狭い周波数帯域であるので、この場合は音声通信等の比較的低速な通信が提供されることとなる。
図19は、第2の実施形態に係る移動通信システムにおいて、C−BTS100と端末102との間の双方向通信に用いられる第1の周波数帯域301の第1の利用方法を説明するための図である。ここでは、FDD方式を適用し、第1の周波数帯域301を2つの周波数帯域に分割し、それぞれC−BTS100から端末102への下りリンク(DL)、端末102からC−BTS100への上りリンク(UL)の無線伝送に利用する。DLに適用する周波数帯域をさらに複数(例えばここでは3つ)の周波数帯域311〜313に分割し、異なる複数のD−BTS101に割当ている。ここで、周波数帯域312をD−BTS101aに割り当て、周波数帯域313をD−BTS101cに予め割り当てられているものとする。
このとき、前述したように、D−BTS101aの通信エリア104bには端末が存在していない、あるいは、通信エリア104b内に端末(例えば端末102a)が存在していても当該端末には情報信号の送信が行われていないために、D−BTS101aに割り当てられている下り無線チャネル105、すなわち、周波数帯312は、現在使用されていない。
この状態において、D−BTS101aとは別のD−BTS101c内に存在する端末102bとの間で比較的低速な音声通信を開始しようとする場合、この空きの周波数帯312を用いて、D−BTS101c内に存在する端末102bへの情報信号(この場合、音声信号)を送信する。
図20は、第2の実施形態に係る移動通信システムにおいて、C−BTS100と端末102との間の双方向通信に用いられる第1の周波数帯域301の第2の利用方法を説明するための図である。なお、図20では、FDD方式を適用して、第1の周波数帯域301を2つの周波数帯域に分割し、それぞれC−BTS100から端末102への下りリンク(DL)、端末102からC−BTS100への上りリンク(UL)の無線伝送に利用する場合に、下りリンクについてのみ示している。
C−BTS100から下りリンクで送信される信号は、所定時間Tcにて分割されている。すなわち、1タイムスロットの時間幅はTcである。そして、各タイムスロットはさらに時間幅Tbの複数のブロックB1〜Bnに分割されている。各ブロックは、それぞれ異なる複数のD−BTS101に割当てられている。
例えば、ブロックB2はD−BTS101aに割り当てられ、ブロックB3はD−BTS101cに割り当てられている。
このとき、前述したように、D−BTS101aの通信エリア104bには端末が存在していない、あるいは、通信エリア104b内に端末(例えば端末102a)が存在していても当該端末には情報信号の送信が行われていないために、D−BTS101aに割り当てられているブロックB2は、現在使用されていない。
この状態において、D−BTS101aとは別のD−BTS101c内に存在する端末102bとの間で比較的低速な音声通信を開始しようとする場合、この空きのブロックB2を用いて、D−BTS101c内に存在する端末102bへの情報信号(この場合、音声信号)を送信する。
図21は、第2の実施形態に係る移動通信システムにおいて、C−BTS100と端末102との間の双方向通信に用いられる第1の周波数帯域301の第3の利用方法を説明するための図である。なお、図21では、FDD方式を適用して、第1の周波数帯域301を2つの周波数帯域に分割し、それぞれC−BTS100から端末102への下りリンク(DL)、端末102からC−BTS100への上りリンク(UL)の無線伝送に利用する場合に、下りリンクについてのみ示している。
C−BTS100から送信される信号は、所定時間Tcにて分割されている。すなわち、1タイムスロットの時間幅はTcである。さらに、時間長Tcの各タイムスロットでは、複数の(例えば、ここではn個の)D−BTS101のそれぞれに予め割り当てた複数の符号(例えば拡散符号)を用いて、各D−BTS101に対応する制御信号を多重して伝送するようになっている。
例えば、複数の拡散符号のうちD−BTS101aに割り当てられた第1の拡散符号により拡散された制御信号をD2、D−BTS101cに割り当てられた第2の拡散符号により拡散された制御信号をD3とする。
このとき、前述したように、D−BTS101aの通信エリア104bには端末が存在していない、あるいは、通信エリア104b内に端末(例えば端末102a)が存在していても当該端末には情報信号の送信が行われていないために、D−BTS101aに割り当てられている第1の拡散符号は、現在使用されていない。従って、下りリンクには、第1の拡散符号を用いて拡散された制御信号D2に対応する空き容量(空きのチャネル)がある。
この状態において、D−BTS101aとは別のD−BTS101c内に存在する端末102bとの間で比較的低速な音声通信を開始しようとする場合、この空きの容量(空きのチャネル)を用いて、D−BTS101c内に存在する端末102bへの情報信号(この場合、音声信号)を送信する。
次に、図22を参照して、C−BTS100(無線リソース制御部502e)の動作を説明する。
C−BTS100の無線リソース制御部502eは、端末102との通信を開始すると所定の周期に従い管理テーブル503aを参照する(ステップS11)。この場合の周期とは制御信号の通知周期、すなわちタイムスロット長Tcの整数倍n*Tc(n:は任意の整数)が好適である。
ここで、参照する管理テーブル503aの要部を図23に示す。管理テーブルにはC−BTS100が形成する通信エリア103内に通信エリアを形成する各D−BTSを識別するためのD−BTSID、D−BTS101が形成する通信エリア104に属する端末数(USERNUM)、及びその各端末を識別するためのUSERID、さらに当該端末との間の無線通信の通信速度(RATE)等が格納されている。また、管理テーブル503aは、端末との間にて無線通信が開始されたとき、無線通信が終了したときに更新される。
管理テーブル503aを参照することにより、C−BTS100は利用されていない無線リソースの有無を確認する(ステップS12)。図23に示した管理テーブルでは、D−BTSIDが「ID1」のD−BTS101aに属する端末が存在しないので、このD−BTS101aに対して割り当てられている無線チャネルが空いていることとなる。
このように、利用されていない無線リソースが存在する場合には、さらに管理テーブル503aから、低速な無線通信を行っている端末の有無を確認する(ステップS14)。図23では、D−BTSIDが「ID3」のD−BTS101cに属する3つの端末のうち、USERIDが「B」の端末102bの通信速度が「L」であり、低速な無線通信を行っていることを示している。この場合には、D−BTSID「ID3」のD−BTS101cから端末102bへ送信されている情報信号を、C−BTS100から送信するように無線チャネルの割当てを変更する(ステップS15)。そして、変更内容に合わせて、図24に示すように管理テーブルを更新する(ステップS16)。
図24では、USERIDが「B」の端末102bに対しては、C−BTS100から情報信号が送信されていることを示している。なお、C−BTS100を識別するためのIDは「cont」であり、この識別子は、「D−BTSID」欄に書き込まれている。
C−BTS100は、無線リソースの使用が継続している間は上記ステップS11〜ステップS16の動作を繰り返し行う(ステップS17)。また、利用されている無線リソースが存在しない場合(ステップS13)、低速な無線通信を行っている端末が存在しない場合(ステップS14)には無線チャネルの割当ては変更しない。
図22では、第1の周波数帯301の下りリンクに利用されていない無線リソース(無線チャネル105)が存在する場合には、端末と基地局との間の無線通信速度が低速な場合に当該空きの無線チャネル105を利用する場合を示した。この場合に限らず、端末とその通信相手との間の通信種別に応じて空きの無線チャネル105を割り当てるようにしてもよい。通信種別とは、例えば端末が基地局を経由して接続するバックボーンネットワークの種別(例えば、回線交換網やパケット交換網等の種別)、端末の通信相手の種別(例えば、電話番号やIPアドレス等の当該通信相手を示す情報の種別など)、端末と当該端末の通信相手との間の通信のQoS(Quality of Service)の種別(通信の優先度や許容される遅延時間等)が考えられる。
このような通信種別を元に無線チャネルの割当てを変更する場合には、管理テーブル503aには、新たなに「通信種別」欄を設け(あるいは上記「RATE」欄を「通信種別」欄に置き換えて)、各端末が行っている通信の種別を登録する。そして、図22のステップS14では、管理テーブルの「通信種別」欄を参照して、低速通信の部類に属する通信を行っている(例えば、最低保障速度が遅いQoSをもつ)端末を検索する。
上記第2の実施形態によれば、狭帯域の無線チャネルで制御信号の授受を行うことで、広帯域の無線チャネルを全て情報信号の伝送に利用することが可能となる。これは、広帯域、すなわち高速伝送が可能な無線チャネルを制御信号の伝送に適用することによるオーバヘッドの影響を低減させることを意味する。
また、広帯域の各無線チャネル107に対し、狭帯域の下り無線チャネル105(例えば、複数の制御信号が時分割多重されているときにはタイムスロット)が予め対応付けられていることにより(すなわち、基地局から端末へと情報信号を送信する際に必要な情報を含む制御信号の無線チャネルが予め確保されている)、制御信号を伝送する無線チャネルを獲得することができずに、通信要求の拒絶や待ちが発生することを防ぐことが可能となる。また、高速伝送が可能な広い周波数帯域を有する無線チャネル107を確実に使用することで、結果として通信効率の低下を防ぐことが可能となる。
さらに、端末への情報信号の送信に高速性を要しない場合には、広帯域無線チャネル107ではなく狭帯域の空きの下り無線チャネル105を利用して情報信号を送信することにより、無線リソースを効率よく利用でき、通信効率の向上が図れる。
(第3の実施形態)
今後、移動通信システムには、さらなる高速化が望まれていることは周知のとおりである。これにより、データ伝送を行う各D−BTSには、より高い周波数帯、かつより広帯域の無線チャネルが適用されることが想定される。これは、各D−BTSが形成する通信エリア104がより狭くなることを意味する。通信エリア104が狭くなると、図25に示すように、複数の通信エリア104が重なる領域が増加する。複数の通信エリアが重なる領域に端末102が存在する場合、当該端末102は複数のD−BTS101と通信可能となり、D−BTS間ハンドオーバが増加する。
そこで、第3の実施形態では、上記第1の実施形態にかかる移動通信システムのハンドオーバ制御方法について説明する。
なお、ここでは、狭帯域の第1の周波数帯301と広帯域の第2の周波数帯302が図3あるいは図4に示すように利用されている場合を例にとり説明する。
図26は、第1の実施形態に係る移動通信システムのハンドオーバ状態を説明するための図である。図26では、2つのD−BTS101a、101bがそれぞれ形成する2つの通信エリア104a、104bが重なる領域401に、端末102aが存在する。この場合、端末102aは、D−BTS101a、101bから、広帯域の無線チャネル107a、107bを介して情報信号を受信することが可能となる。ここでは、このような状態をハンドオーバ状態と呼ぶ。
次に、図27を参照して、第3の実施形態にかかるハンドオーバ制御手順について説明する。なお、無線リソースの利用効率等を考慮して、サイトセレクションによるハンドオーバ制御を行うこととしている。
端末102aの無線処理部521aや復調処理部521hでは、その周囲に存在する各D−BTS101から送信される無線信号を受信すると、その受信特性(例えば、受信電界強度(RSSI:received signal strength indicator)、信号対干渉電力比(SIR:signal to interference ratio)、伝搬損失のうちの少なくとも1つ)を測定している。測定結果は、無線リソース制御部522cに渡される。
端末102aの無線リソース制御部522cは、受信した無線信号の受信特性が良好(例えば、RSSIが所定の閾値以上)の場合には、その無線信号の送信元のD−BTS101との無線通信が可能であると判断し、当該受信信号に含まれるD−BTS101の識別子(D−BTSID)を記憶しておく。無線通信が可能なD−BTS101の数が予め定められた値(例えば「2」)に達したときを、ハンドオーバ状態であるとする。例えば、図26に示すように、端末102aは、D−BTS101a、101bから送信される無線信号の受信特性が良好であることから、ハンドオーバ状態を検知する。
端末102aの無線リソース制御部522cは、このハンドオーバ状態を検知すると(ステップS21)、狭帯域の上り無線チャネル106を用いて、C−BTS100に対してハンドオーバ要求メッセージを送信する(ステップS22)。ハンドオーバ要求メッセージには、無線通信可能なD−BTS101の識別子が含まれている。図26の場合、D−BTS101a、101bの識別子(D−BTSID)、すなわち、「ID1」、「ID2」が含まれている。
ハンドオーバ要求を受信したC−BTS100の無線リソース制御部502eは、狭帯域の下り無線チャネル105あるいは、図26の場合、ハンドオーバ要求メッセージに含まれていた識別子をもつD−BTS101a、101bのうちのいずれかの広帯域の下り無線チャネル(無線チャネル107aあるいは無線チャネル107b)を用いて、端末102aに対して、ハンドオーバ要求応答メッセージを送信する(ステップS23)。
ステップS22〜ステップS23のネゴシエーションにより、C−BTS100及び端末102aは、ハンドオーバ状態の変化を確実に共有することが可能となる。以後、端末102aの無線リソース制御部522cは、ハンドオーバ制御周期(HO_INT)毎に、当該端末102aとハンドオーバ状態にある各D−BTS101a、101bについて測定された受信特性の値などのハンドオーバ制御パラメータを含むメッセージを、狭帯域の上り無線チャネル106を用いて、C−BTS100へ送信する(ステップS24)。
C−BTS100の無線リソース制御部502eは、データ送信周期(DT_INT)毎に、端末102aから通知されたハンドオーバ制御パラメータや、D−BTS101a、101bの広帯域の下り無線チャネル107の空き具合を基に、当該端末102aに対して情報信号の伝送を行うD−BTS101やその際の信号フォーマット等を決定する。C−BTS100の無線リソース制御部502eは、例えば、広帯域の空きの下り無線チャネル107をもつD−BTS101のなかから、端末102aでの受信特性が最も良好なD−BTS101を選択する。
無線リソース制御部502eが、例えば、端末102aに対して情報信号を送信する基地局をD−BTS101bと決定し、情報信号を送信する際の信号フォーマット等を決定すると、広帯域基地局制御部502cから通信回線108を介して、D−BTS101bに、その旨を通知するための制御信号を送信する(ステップS26)。制御信号には、情報信号の送受を行うD−BTS101の識別子、端末の識別子、情報信号の復調方式・復号方式などのフォーマットに関する情報などが含まれている。無線リソース制御部502eは、上記同様の情報を含む上記制御信号を端末制御部502aから狭帯域の下り無線チャネル105を用いて、端末102aに対しても送信する(ステップS27)。
D−BTS101bでは、上記制御信号を狭帯域基地局制御部512bで受信する。すると、D−BTS101bの端末制御部512aは、当該制御信号に含まれている情報にて指定された端末102aに対して、当該制御信号に含まれている情報に従って情報信号を送信する(ステップS28)。また、上記制御信号を受信した端末102aでは、広帯域基地制御部522bの制御の下、当該制御信号にて指定された変調方式、復号方式を用いて、D−BTS101bから送信されてきた情報信号を受信する(ステップS29)。
なお、ハンドオーバ制御周期HO_INTとデータ送信周期DT_INTの間には、HO_INT>=DT_INTという関係が成立する。
図27に示すようなハンドオーバ制御手順によれば、端末102aは、ハンドオーバ状態にある複数のD−BTS101のうち、広帯域の下り無線チャネル107に空きがあり、端末102aでの受信特性が良好なD−BTS101から送信された情報信号を受信する。
次に、図28を参照して、ハンドオーバ制御手順の他の例について説明する。なお、図28では、図27と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図28では、各端末102の無線リソース制御部522cは、ハンドオーバ制御周期(HO_INT)毎に、当該端末102で情報信号を受信可能な(受信特性が所定の閾値以上である)D−BTS101の識別子(D−BTSID)と、当該D−BTS101について測定された受信特性の値を含むハンドオーバ制御パラメータを、狭帯域の上り無線チャネル106を用いて、C−BTS100に対して送信する(ステップS24)。
C−BTS100の無線リソース制御部502eは、各端末102から送信されてきたハンドオーバ制御パラメータから、各端末について、ハンドオーバ状態を検知する(ステップS24´)。すなわち、各端末から送信されたハンドオーバ制御パラメータに含まれるD−BTS101の識別子の数から、各端末がハンドオーバ状態であるか否かを判断する。ハンドオーバ状態である端末を検知した後に、図27のステップS25〜ステップS29と同様の処理動作を行う。
図27に示した手順では、端末102のハンドオーバ状態への移行に対してネゴシエーションを行うことにより信頼性を向上させている。しかしながら、ネゴシエーションに費やす時間により、ハンドオーバ状態への変化に対して即座に対応することはできない。逆に、図28に示した手順では、ハンドオーバ状態への変化に対してネゴシエーションを行わないため、ハンドオーバ状態の変化に対して即座に対応することが可能である。しかしながら、ネゴシエーションを行わないことは、その信頼性に問題が残ることとなる。よって、これらは、端末102の移動状況や、端末102が受けているサービス種別等により適宜組み合わせることが効果的である。
次に、図29に示すフローチャートを参照して、端末102の処理動作について説明する。
端末102の無線処理部521aや復調処理部521hでは、通信を開始すると所定の周期にて周辺に存在するD−BTSから到来する無線信号の受信特性を測定する(ステップS31、ステップS32)。測定された受信特性は、無線リソース制御部522cにより、記憶部523の受信特性管理テーブル523bに記憶される(ステップS33)。
図30は、端末102の受信特性テーブル523bの一例を示したものである。図30において、受信特性テーブルには、端末102に到来する無線信号の送信元である各D−BTSについて、その識別子D−BTSIDと、受信特性等が記憶されている。この受信特性テーブル上の受信特性については、測定する毎にその測定値で受信特性テーブルを更新してもよいし、過去の測定値を加味して、それらの平均値で受信特性テーブルを更新してもよい。
端末102は、ハンドオーバ制御周期が経過する度に、受信特性テーブル上の各D−BTSの受信特性値を所定の閾値HO_Thと比較する(ステップS34、ステップS35)。閾値は、各受信特性の種別(例えば、RSSI、SIR、伝搬損失等)に応じてそれぞれ異なる値を設ける。
端末102の無線リソース制御部522cは、閾値HO_Thを超える受信特性値を有するD−BTSが検出されたり、いままでHO_Thを超える受信特性値であったが今回はHO_Thを下回るD−BTSが検出されたり、閾値HO_Thを超える受信特性値をもつD−BTSの数が所定数(例えば、「2」)を超えた場合等には、ハンドオーバ状態に変化があると判断し(ステップS36)、その状態をC−BTS100に対し、ハンドオーバ要求メッセージで通知する(ステップS37)。また、閾値HO_Thを超える受信特性値をもつ各D−BTSの識別子と当該D−BTSの受信特性値を含むハンドオーバ制御パラメータをC−BTSに通知する(ステップS38)。端末102は通信を継続している間、上記ステップS31〜ステップS38を繰り返す(ステップS39)。
次に、図31に示すフローチャートを参照して、端末102の無線リソース制御部522cで、受信特性の閾値HO_Thを動的に変更する処理動作の一例を説明する。
この閾値の変更処理は、例えば、図29のステップS34とステップS35の間で実行される。すなわち、ハンドオーバ制御周期が経過する度に、図29のステップS35の前段で実行される。
無線リソース制御部522cは、ハンドオーバ制御周期が経過すると(ステップS34)、端末102と通信可能な位置に存在し、端末102と現在通信を行っているD−BTSから送信される情報信号の通信状態を調べる(ステップS41)。通信状態とは、例えば、スループット、誤り率、情報信号の割当て回数等のパラメータ値により表される。また、通信状態は、復号処理部521iや広帯域基地局制御部522aなどで測定される。
通信状態が良好である(例えば、誤り率が所定の閾値未満である)と判断された場合には、閾値HO_Thを所定の値増加させる(ステップS43)。その後、図29のステップS35へ進む。逆に通信状態が不良と判断されれば、閾値HO_Thを所定の値減少させる(ステップS44)。その後、図29のステップS35へ進む。
図31に示すような処理動作によれば、端末102では、現在通信を行っているD−BTS101との間の通信状態が良好な場合(例えば、端末102が移動していない場合)には、現在情報信号の送信を行っているD−BTSとの通信をそのまま維持する確率が高くなる。逆に通信状態が不良である場合(例えば、端末102が移動している場合)には、閾値HO_Thが下げられ、ハンドオーバが実行される機会が拡大される。このように、受信特性を善し悪しを図る目安となる閾値HO_Thを、端末102と当該端末102と通信を行っているD−BTS101との間の通信状態の善し悪しを基に変化させることで、端末102は、常に良好な通信状態のD−BTS101との間で通信を行うことができる。
次に、図32に示すフローチャートを参照して、端末102の無線リソース制御部522cにおける、閾値HO_Thの他の変更処理動作の他の例を説明する。
この閾値の変更処理は、例えば、図29のステップS34とステップS35の間で実行される。すなわち、ハンドオーバ制御周期が経過する度に、図29のステップS35の前段で実行される。
無線リソース制御部522cは、ハンドオーバ制御周期が経過すると(ステップS34)、端末102と通信可能な位置に存在し、端末102と現在通信を行っているD−BTSから送信される情報信号の通信状態を調べる(ステップS41)。通信状態とは、例えば、スループット、誤り率、情報信号の割当て回数等のパラメータ値により表される。
ここでは、通信状態を良い悪いの2つに分類するのではなく、2つの閾値CS_Th1及びCS_Th2を用いて、例えば上・中・下の3つのうちのいずれかに分類する。
なお、ここでは、説明の簡単のため、CS_Th1>CS_Th2としている。
まず、通信状態のパラメータと第1の閾値CS_Th1とを比較して、通信状態が「上」であるか否かを調べる(ステップS51)。通信状態がCS_Th1よりも大きい場合には閾値HO_ThはHO_Th1とする(ステップS53)。通信状態がCS_Th1以下の場合には、さらに当該通信状態のパラメータを第2の閾値CS_Th2と比較して、当該通信状態が「中」であるか否かを調べる(ステップS52)。通信状態がCS_Th2よりも大きい場合には閾値HO_ThはHO_Th2とする(ステップS54)。通信状態がCS_Th2以下の場合には閾値HO_ThはHO_Th3とする(ステップS55)。
なお、ここでは、説明の簡単のため、HO_Th1>HO_Th2>HO_Th3としている。
図32に示すような処理動作によれば、端末102では、現在通信を行っているD−BTS101との間の通信状態が良好な場合には、現在情報信号の送信を行っているD−BTSとの通信をそのまま維持する確率が高くなる。逆に通信状態が不良である場合には、閾値HO_Thが下げられ、ハンドオーバが実行される機会が拡大される。このように、受信特性を善し悪しを図る目安となる閾値HO_Thを、端末102と当該端末102と通信を行っているD−BTS101との間の通信状態の善し悪しを基に変化させることで、端末102は、常に良好な通信状態のD−BTS101との間で通信を行うことができる。
なお、図32では、2つの閾値CS_Th1、CS_Th1を用いたが、この場合に限らず、3つ以上の閾値を用いてもよい。従って、受信特性の閾値の図32では3種類用いたが、受信特性の閾値の数も3種類以上設けても良い。
次に、図33に示すフローチャートを参照して、C−BTS100の処理動作について説明する。図33には、端末102からハンドオーバ制御パラメータが送信されてきたときの処理動作を示している。
ここでは、説明の簡単のため、端末102では受信特性としてD−BTS101から送信される信号の受信特性としてSIRを測定する場合を例にとり説明する。
C−BTS100の端末制御部502aは、端末102からハンドオーバ制御パラメータが通知される度に(ステップS61)、その内容を基に、記憶部503のハンドオーバ管理テーブル503bを更新する(ステップS62)。
図34は、C−BTS100がもつハンドオーバ管理テーブル503bの一例を示したものである。この管理テーブル503bには、C−BTS100の傘下にある各D−BTSの識別子D−BTSIDと、各D−BTSに属する(D−BTSから到来する信号を受信可能な)端末を識別するUSERIDと、当該端末から送信されてきたハンドオーバ制御パラメータ(例えば、ここではSIR)などを記憶するようになっている。端末102から通知されたハンドオーバ制御パラメータについては、通知されたパラメータ値で管理テーブル503aを更新してもよいし、過去の通知結果を加味してそれらの平均値で当該更新テーブル503bを更新してもよい。
以後、C−BTS100の無線リソース制御部502eは、変更された管理テーブルを参照して、各D−BTSに対する端末の割当てを変更する(ステップS63)。割当ての変更に関しては、C−BTS100は各D−BTSに属する端末数や、各端末のハンドオーバ制御パラメータや、各端末の優先度等を考慮して決定する。上記ステップS61〜ステップS63の処理を、全ての通信が終了するまで継続する(ステップS64)。
ここで、上記ステップS63における、各D−BTSに対する端末の割当て動作について、図34、35を参照して説明する。ここでは、以下(1)〜(3)に示すような3つの割当方法について説明する。
図35は、各端末の優先度を示すテーブル503cであり、このテーブルは、予めC−BTS100に記憶されていてもよい。値「1」が最も優先度が高いことを意味する。
優先度とは、例えば、端末が基地局を経由して接続するバックボーンネットワークの種別(例えば、回線交換網やパケット交換網等の種別)、端末の通信相手の種別(例えば、電話番号やIPアドレス等の当該通信相手を示す情報の種別など)、端末と当該端末の通信相手との間の通信のQoS(Quality of Service)の種別(通信の優先度や許容される遅延時間等)などである。
また、図34に示したハンドオーバ管理テーブル503bには「ハンドオーバ状態」欄が設けられており、この欄に「1」が登録されている端末102は、ハンドオーバ状態であることを示している。
(1)まず、D−BTSに属する端末数を最優先に考慮して、各D−BTSに対し、端末を割当てる場合について説明する。
図34に示すように、まず、D−BTSIDが「ID4」の基地局(D_BTS)への端末の割当を行う。基地局「ID4」には、USERIDが「E」の端末のみが属しているので、そのまま基地局「ID4」に、端末「E」を割り当てる。
次に、D−BTSIDが「ID2」の基地局(D−BTS)への端末の割当を行う。基地局「ID2」には、USERID「A」、「E」、「F」の端末が属しているが、既に端末「E」は、基地局「ID4」に割り当てられているため、ここでは、これら3台の端末のうちSIRの値が最も大きい端末「A」が基地局「ID4」に割り当てられる。
次に、D−BTSIDが「ID3」の基地局(D−BTS)への端末の割当を行う。基地局「ID3」には、USERIDが「A」、「B」の端末が属しているが、既に端末「A」は基地局「ID2」に割り当てられているため、ここでは端末「B」が基地局「ID3」に割り当てられる。
最後にD−BTSIDが「ID1」の基地局(D−BTS)への端末の割当を行う。基地局「ID1」には、USERIDが「A」、「B」、「C」、「D」の端末が属しているが、既に端末「A」、「B」は他の基地局(D−BTS)に割り当てられているため、ここでは残りの2台の端末「C」「D」のうち、SIRの値が最も大きい端末「C」に基地局「ID1」が割り当てられる。
この手法によれば、一部のD−BTS101に多くの端末が集中して割り当てられることなく、全てのD−BTS101に均等に端末を割り当てることができる。
(2)次に、各端末から送信されたハンドオーバ制御パラメータを最優先に考慮して、各D−BTSに対し、端末を割当てる場合について説明する。
図34に示すテーブル上で、まず、最もSIRの値が大きい端末「C」が基地局「ID1」に割り当てられる。次にSIRの値が大きい端末「A」は、基地局「ID2」に割り当てられる。基地局「ID3」には端末「A」、「B」が属しているが、既に端末「A」は他のD−BTS(基地局「ID2」)に割り当てられているため、ここでは端末「B」が基地局「ID3」に割り当てられる。最後に、基地局「ID4」には、端末「E」のみが属しているため、そのまま端末「E」は基地局「ID4」に割り当てられる。
(3)次に、各端末の優先度を最優先に考慮して、各D−BTSに対し、端末を割当てる場合について説明する。
図35に示すテーブル上では、端末「A」が最も優先度が高い。そこで、端末「A」は、端末「A」で測定されたSIRの値が最も大きい基地局「ID1」に割り当てられる。次に優先度の大きい端末は端末「B」、「D」、「F」である。上記同様に、端末「B」は基地局「ID3」に割り当てられ、端末「F」は基地局「ID2」に割り当てられる。最後に基地局「ID4」には、端末「E」のみが属しているため、そのまま端末「E」は基地局「ID4」に割り当てられる。
以上(1)〜(3)に示した割当方法は、適宜組み合わせて用いることもできる。
上記(1)〜(3)に示すような割当方法を用いれば、全てのD−BTSに対して端末が割り当てられる。一方、従来のハンドオーバ制御方法は、端末側が、基地局から送信された信号の受信特性に基づいて、相手基地局(端末がデータ送信を要求する基地局)を決定する。このような従来の手法により、各端末に対し基地局D−BTS101を割り当てると、図36に示す状態となることが容易に想像される。すなわち、一部のD−BTS101のみに端末が割り当てられ、基地局「ID3」、「ID4」には端末が割り当てられないという状態が容易に発生するのである。このような状態が多く発生すると、無線リソースの利用効率を低下させることになる。
このような従来の手法に対し、上記第3の実施形態にかかる手法によれば、C−BTS100が、C−BTS100の通信エリア内に存在する各端末102から(狭帯域の上り無線チャネルを介して)送られてきた各D−BTS101から到来する信号に対する受信特性を基に、各端末をC−BTS100の傘下にある複数のD−BTS101を割り当てるようになっている。すなわち、端末102とD−BTS101との間の無線伝搬路変動に追従し、複数の基地局(D−BTS)のうち、その時点において伝搬環境の最適な基地局(D−BTS101)から情報信号を端末へ送信することがきるように各端末に対し基地局D−BTS101を割り当てるので、端末のスループットを向上させることを可能とする。また、端末に対して無線チャネルを効果的に割当て、無線リソースの利用効率を向上させることを可能にする。
そして、端末102に対して、情報信号を送信するD−BTS101を切り替えるハンドオーバ制御は、C−BTS100と端末102との間の狭帯域の無線チャネルを介して行われるため、端末102ではハンドオーバ制御に要する制御遅延の影響を受けることがない。
(第4の実施形態)
上記第3の実施形態で説明したように、各D−BTS101が形成する通信エリア104が狭くなると、図25に示すように、複数の通信エリア104が重なる領域が増加する。複数の通信エリアが重なる領域が増加すると、ハンドオーバが増加するだけではない。端末102に対して複数のD−BTS101が送信する無線信号が到来し、D−BTS間の干渉が発生する状態が増加するのである。
そこで、第4の実施形態では、上記第1の実施形態にかかる移動通信システムにおけるD−BTS間の干渉を低減するための手法を説明する。
なお、ここでは、狭帯域の第1の周波数帯301と広帯域の第2の周波数帯302が図3あるいは図4に示すように利用されている場合を例にとり説明する。
図37は、第4の実施形態に係る移動通信システムの基地局D−BTS間の干渉を説明するための図である。図37では、2つのD−BTS101a、101bがそれぞれ形成する2つの通信エリア104a、104bが重なる領域401に、端末102bが存在し、通信エリア104aには端末102aが存在する。
C−BTS100は、端末102aに対し、狭帯域の下り無線チャネル105aを用いて、D−BTS101aが端末102aに情報信号を送信することを通知するための制御信号を送信するとともに、端末102bに対して、狭帯域の下り無線チャネル105bを用いて、D−BTS101bが端末102bに情報信号を送信することを通知するための制御信号を送信する。さらに、C−BTS100は、通信回線108を介して、D−BTS101aに対して、端末102aに対し情報信号を送信することを通知するための制御信号を送信するとともに、D−BTS101bに対して端末102bに対し情報信号を送信することを通知するための制御信号を送信する。
その結果、端末102aは、D−BTS101aから広帯域の下り無線チャネル107aを介して情報信号を受信し、端末102bは、D−BTS101bから広帯域の下り無線チャネル107bを介して情報信号を受信する。
このような状態において、端末102bは、D−BTS102aの通信エリア104a及びD−BTS102bの通信エリア104bの重なる領域401に存在するため、D−BTS101aから送信される情報信号も到来することとなる。この場合、無線チャネル107bを受信している端末102bで、D−BTS101bからの信号(受信すべき信号)とD−BTS101aからの信号とが干渉し合い、D−BTS101bからの信号の受信特性に悪影響を及ぼす。ここでは、このような干渉を基地局間干渉と呼ぶ。
なお、端末102bは、D−BTS101bの通信エリア104bの端に存在するため、端末102bにおけるD−BTS101bから到来する信号の受信特性は劣悪であることが容易に想像される。つまり、基地局間干渉は元来受信特性が劣悪である状態に重畳されるため、その影響は非常に大きくなる。
次に、図38を参照して、上記基地局間干渉を低減するように無線リソースを割り当てるための処理動作について説明する。
ここでは、図37の2つのD−BTS101a及び101bをそれそれD−BTS(1)、D−BTS(2)と表し、2つの端末102a及び102bをそれぞれ端末(1)、端末(2)と表している。また、C−BTS100を単にC−BTSと表している。そして、D−BTS(1)及びD−BTS(2)には、端末(1)及び端末(2)が存在しているものとする。
C−BTS、D−BTS(1)及びD−BTS(2)は所定の周期PI_INTにて、基地局(C−BTS100、D−BTS101)と端末102間で既知の信号(既知信号)を送信している。既知信号には、当該既知信号の送信元の識別情報(例えばD−BTIDなどが含まれている)。例えば、D−BTS(1)及びD−BTS(2)は、広帯域の第2の周波数帯302の下りリンクで予め定められた周波数あるいは予め定められたタイムスロットを用いて既知信号を送信し、C−BTSも狭帯域の第1の周波数帯301の下りリンクで予め定められた周波数あるいは予め定められたタイムスロットを用いて既知信号を送信している(ステップS71)。
端末(1)及び端末(2)では、各基地局から送信された既知信号を受信すると、その受信特性(例えば、RSSIやSIRなど)を測定し(ステップS72)、その測定結果を含む情報(受信状態情報)を、狭帯域の上り無線チャネル106を用いてC−BTS100へそれぞれ送信する(ステップS73)。
受信状態情報には、例えば、各端末が測定した(すなわち測定が可能であった)各D−BTSの識別情報と既知信号のRSSI値が含まれる。C−BTS(の端末制御部502a)は各端末から送信されてきた受信状態情報を記憶する(ステップS74)。なお、上記ステップS72〜ステップS74の処理動作は、所定時間RS_INT毎に行われる。
C−BTSの無線リソース制御部502eは、所定時間DT_INT毎に、各端末から送信されてきた受信状態情報や各端末の優先度及びスループット等を考慮して無線チャネルの割当てを決定する(ステップS75)。なお、ここで無線チャネルの割当てとは、情報信号を送信するD−BTSと当該情報信号を受信する端末と、情報信号の復調方式・復号方式などを決定することである。なお、各端末に対し、D−BTS101(広帯域の下り無線チャネル)が決定されると、自ずと、当該端末に対する狭帯域の下り無線チャネルが決定される。前述したように、両者は予め対応付けられているからである。
無線チャネルの割当が決定されると、狭帯域の下り無線チャンネル105を用いて、各端末に対し、決定内容を通知するための制御信号を送信する。また、各D−BTSには通信回線108を介して、当該決定内容を通知するための制御信号が送信される(ステップS76)。
各D−BTSは、受信した制御信号に含まれている情報に基づき、当該D−BTSに割り当てられた端末に対して、広帯域の下り無線チャネル107を介して情報信号を送信する(ステップS77)。各端末は、受信した制御信号に含まれている情報に基づき、当該端末に割り当てられたD−BTSから広帯域の下り無線チャネル107を介して送信された情報信号を受信する(ステップS78)。
なお、通常、周期時間RS_INTと周期時間DT_INTの間には、RS_INT>=DT_INTの関係が成立する。
図38では、代表的な制御例として、ステップS75で無線チャネル割当てを決定した結果、端末(2)がD−BTS(1)からの信号による干渉をうけると判断された場合、すなわち、基地局間干渉が存在すると判断された場合(ケース1)と、基地局間干渉が存在しないと判断された場合(ケース2)について示している。
(ケース1)例えば、ステップS75において、D−BTS(1)が端末(1)へ情報信号を送信し、D−BTS(2)が端末(2)へ情報信号を送信すると決定した場合に、端末(2)がD−BTS(1)からの信号による干渉をうけると判断されたときには、C−BTSはD−BTS(1)に対して無線チャネルを割り当てない。すなわち、上記制御信号をD−BTS(1)、端末(1)には送信しない。結果としてD−BTS(1)からは情報信号は送信されないこととなる。
(ケース2)例えば、ステップS75において、D−BTS(1)が端末(1)へ情報信号を送信し、D−BTS(2)が図示しない端末(n)へ情報信号を送信すると決定した場合に、各端末から送信された受信状態情報を基に、端末(1)、端末(n)に基地局間干渉が存在しないと判断されると、C−BTSは上記制御信号を各D−BTS、各端末へそれぞれ送信する。その結果、端末(1)、端末(n)は、D−BTS(1)、D−BTS(2)から送信される情報信号を受信する。
図38に示す基本手順によれば、無線チャネルの割当てを決定するC−BTSが、全ての端末の受信状態を管理することにより、制御遅延を引き起こすことなく基地局間干渉を考慮した無線リソースの割当を容易に行える。
次に、図39に示すフローチャートを参照してC−BTSの処理動作について説明する。
C−BTS100の端末制御部502aは時間RS_INT毎に、各端末から送信される受信状態情報を受信し、それを用いて管理テーブル503aを更新する(ステップS81〜ステップS83)。
図40は、C−BTS100に記憶される管理テーブル503aの要部を示したものである。なお、ここでは、受信状態情報には各端末で受信された既知信号の発信元のD−BTS101の識別子(D−BTSID)と当該既知信号から測定されたRSSIが含まれているものとする。図40において、管理テーブル503aには、C−BTS100の傘下にある全てのD−BTS101のD−BTSIDと、各D−BTS101に属する端末の識別子であるUSERIDと、各端末から送信されてきた受信状態情報に含まれているD−BTSIDとRSSI等が「受信状態」欄に記憶されている。また、「受信状態」欄には各端末にて既知信号のRSSIの測定が可能であったD−BTSのうち、基地局間干渉を受ける可能性のあるD−BTSを示すフラグI_obも記憶されている。
なお、管理テーブル上に記憶される受信特性の測定結果は、通知された受信状態情報に含まれる値で更新してもよいし、過去に通知された値を加味して、それらの平均値で管理テーブルを更新してもよい。
ここで、図41に示すフローチャートを参照して、基地局間干渉の有無を判定するための処理動作について説明する。
C−BTSの無線リソース制御部502eは、図40に示すような管理テーブルに記録されている各端末から送信された受信状態情報を用いて、当該端末が属するD−BTSからの既知信号について測定されたRSSI(受信レベル)と所定の第1の閾値Th_ob1とを比較する(ステップS91)。受信レベルがTh_ob1より大きい場合には、所定の第2の閾値Th_ob2を別途記憶されている値Param1に設定する(ステップS92)。受信レベルがTh_ob1以下の場合には、第2の閾値Th_ob2を別途記憶されている値Param2に設定する(ステップS93)。なお、ここではParam1<=Param2が成り立つものとする。
続いて、当該端末が属するD−BTSからの無線信号の受信レベルと、他のD−BTSからの無線信号の受信レベルとの差分を計算し、それを受信状態オフセット(Offset)とする(ステップS94)。Offsetの値が第2の閾値Th_ob2よりも大きい場合には、基地局間干渉が存在しないと判定し(ステップS95、ステップS96)、Offsetの値が第2の閾値Th_ob2以下の場合には、基地局間干渉が存在すると判定し、管理テーブル上のフラグI_obを「1」にする(ステップS95,ステップS97)。上記ステップS91〜ステップS97を受信状態情報を通知した全ての端末に対し行う(ステップS98)。
例えば、Th_ob1=−65dBm、Param1=3dB、Param2=5dBとした場合を例にとり、図41の基地局間干渉判定処理動作について具体的に説明する。ここでは、図40を用いて説明する。この処理は、複数のD−BTSからの信号を受信可能な(すなわち、複数のD−BTSについての受信レベルを通知した)端末に対して行われるため、図40のUSERIDが「A」「C」の端末に対して行われる。
端末「A」は、D−BTSIDが「ID1」の基地局に属するため、受信レベル(−60dBm)>Th_ob1(−65dBm)となり(ステップS91)、Th_ob2にはParam1(3dB)が設定される(ステップS92)。さらに、他の基地局とのOffsetを計算すると、基地局「ID1」と基地局「ID2」との間でOffsetが3dB、基地局「ID1」と基地局「ID3」との間でOffsetが5dBとなる(ステップS95)。Th_ob2が3dBであるから、この場合、基地局「ID2」から基地局間干渉を受けると判定され(ステップS97)、基地局「ID3」からは基地局間干渉を受けないと判定される(ステップS96)。
端末「C」は、基地局「ID2」に属するため、受信レベル(−70dBm)<=Th_ob1(−65dBm)となり(ステップS91)、Th_ob2にはParam2(5dB)が設定される(ステップS93)。さらに、他の基地局とのOffsetを計算すると、基地局「ID2」と基地局「ID3」との間でOffsetが5dBとなり(ステップS94)、この値は、Th_ob2(5dB)以内であるから、基地局「ID3」から基地局間干渉を受けると判定される(ステップS97)。
図41の基地局間干渉判定処理を行うことにより、元来受信特性の劣悪な環境化においては、受信レベルの差がある程度大きい、隣接するD−BTSからも基地局間干渉を受けると判定することとなり、結果として基地局間干渉が情報信号の受信特性に与える影響を緩和する効果が付加される。
図39の説明に戻る。
C−BTSの無線リソース制御部502eは、時間DT_INT毎に(ステップS84)、図40に示すような管理テーブル503aや各端末の優先度(優先度テーブル503c)及びスループット等を考慮して無線チャネルの割当てを決定する(ステップS85)。無線チャネルの割当てとは、前述同様、情報信号を送信するD−BTSと当該情報信号を受信する端末との組合せを求めるとともに、各組合せに対し、情報信号の復調方式・復号方式などを決定することである。
このとき、基地局(D−BTS101)が割当てられた端末の中に、他の基地局から干渉を受ける可能性のある端末が存在する場合には(ステップS86)、当該干渉を受ける可能性のある端末への無線チャネルの割当と、当該端末へ干渉を与える基地局への端末の割当のうちの一方を取り消す(ステップS87)。割当の取り消された端末には基地局からの情報信号の送信は行われない。
例えば、干渉を受ける側と干渉を与える側の端末の優先度を判断基準とする場合のステップS87の処理動作を図42を参照して説明する。
図42に示すように、基地局(D−BTS)「ID1」に端末「A」が割り当てられ、基地局(D−BTS)「ID2」に端末「C」が割り当てられたとする。端末「A」は、基地局(D−BTS)「ID2」から干渉を受け、端末「C」の優先度は端末「A」の優先度よりも高い場合には、ステップS87では、端末「A」への基地局「ID1」の割当を取り消す(図42の(a))。すなわち、基地局「ID1」は情報信号の送信を行わないようにする。
一方、基地局(D−BTS)「ID1」に端末「A」が割り当てられ、基地局(D−BTS)「ID2」に端末「B」が割り当てられたとする。端末「A」は、基地局(D−BTS)「ID2」から干渉を受け、端末「B」の優先度は端末「A」の優先度よりも低い場合には、ステップS87では、端末「B」への基地局「ID2」の割当を取り消す(図42の(b)。すなわち、基地局「ID2」は情報信号の送信を行わないようにする。
ある基地局からある端末へ情報信号を送信する際に、他の基地局から送信される情報信号が干渉となり得る場合に、当該他の基地局からの情報信号の送信をおこなわないようにすることで、基地局間干渉の発生を防止することができる。
端末の割り当てられた基地局、基地局が割当てられた端末には、それぞれ、C−BTS100から制御信号が送信される(ステップS88)。なお、上記ステップS81〜ステップS88の処理は、端末とD−BTS101との間の広帯域の無線チャネルを介した通信が全て終了するまで繰り返される(ステップS89)。
次に、図43に示すフローチャートを参照してC−BTSの他の動作例について説明する。なお、図43において、図39と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図43では、基地局間干渉の有無を考慮して、無線チャネルの割当てを変更する場合を示している。従って、図39のステップS87が、図43では、ステップS101〜S103に置き換えられている。
C−BTSは、時間DT_INT毎に、管理テーブルや各端末の優先度及びスループット等を考慮して無線チャネルの割当てを決定する(ステップS84,ステップS85)。ここで、無線チャネルが割当てられた端末が基地局間干渉を受ける可能性のある端末(干渉を受ける端末)である場合には、当該端末の優先度と、当該端末に対して干渉を与える基地局が情報信号を送信する相手である端末(干渉を与える側の端末)の優先度とを比較して、干渉を受ける側の端末の優先度の方が高い場合には、干渉を与える側の基地局への端末の割当てを取り消す(ステップS101、ステップS102)。一方。干渉を与える側の端末の優先度の方が高い場合、干渉を受ける側の端末に割り当てられた基地局(干渉を受ける側の基地局)には、干渉を受ける側の端末とは別の端末であって、干渉を与える側の基地局から干渉を受けることのない端末を割り当てる(ステップS103)。
このようにして、端末の割り当てられた基地局、基地局が割当てられた端末には、それぞれ、C−BTS100から制御信号が送信される(ステップS88)。
各端末の優先度を記憶した優先度テーブル503cを図44に示す。優先度「1」が最も高い優先度である。
ここで、図43に示したC−BTS100の処理動作について、図40の管理テーブルを参照してより具体的に説明する。
ステップS85において、基地局(D−BTS)「ID1」に端末「A」が割り当てられ、基地局(D−BTS)「ID2」に端末「C」が割り当てられ、基地局「ID3」に端末「E」が割り当てられたとする。端末「A」は、基地局(D−BTS)「ID2」から干渉を受けるが、この時、基地局「ID2」には、端末「A」よりも優先度の高い端末「C」が割当てられている。従って、ステップS101からステップS103へ進み、基地局「ID1」には、端末「A」ではなく、他の基地局D−BTSからの干渉を受けることのない端末「B」が割当てられる。
また、端末「C」は基地局「ID3」から干渉を受けるが、この時、基地局「ID3」には、端末「C」よりも優先度の低い端末「E」が割り当てられている。従って、ステップS101からステップS102へ進み、基地局「ID3」への端末「E」の割当は取り消される。
図43に示す処理動作によれば、基地局間干渉の影響により、優先度の高い端末に対しては、優先的に広帯域の下り無線チャネルを割り当てることができる。
次に、図45に示すフローチャートを参照してC−BTSのさらに他の動作について説明する。なお、図45において、図39と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図45では、基地局間干渉の有無を考慮して、無線チャネルの割当てを変更する場合を示している。従って、図39のステップS87が、図45では、ステップS104〜S105に置き換えられている。
C−BTSの無線リソース制御部502eは、時間DT_INT毎に、図40に示すような管理テーブル、図44に示すような各端末の優先度、及びスループット等を考慮して無線チャネルの割当てを決定する(ステップS84,ステップS85)。ここで、無線チャネルが割当てられた端末が基地局間干渉を受ける可能性のある端末(干渉を受ける端末)である場合には(ステップS86)、ステップS104へ進み、当該端末に対して干渉を与える側の基地局に端末が割り当てられているか調べる。当該基地局に端末が割り当てられているときにはステップS105へ進み、当該干渉を受ける側の端末に割り当てられた基地局(干渉を受ける側の基地局)へ割り当てる端末を変更する。すなわち、当該干渉を受ける側の基地局には、他の基地局からの干渉を受けることのない端末を割り当てる。
このようにして、端末の割り当てられた基地局、基地局が割当てられた端末には、それぞれ、C−BTS100から制御信号が送信される(ステップS88)。
図45に示す処理動作によれば、基地局間干渉の影響により、広帯域の下り無線チャネルに空きが生じること、すなわち無線リソースの利用効率の低下を防ぐことができる。
次に、図46に示すフローチャートを参照してC−BTSの処理動作のさらに他の例について説明する。なお、図46において、図39と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図39のステップS87が、図46では、ステップS106に置き換えられている。
C−BTSの無線リソース制御部502eは、時間DT_INT毎に、図40に示すような管理テーブル、図44に示すような各端末の優先度、及びスループット等を考慮して無線チャネルの割当てを決定する(ステップS84,ステップS85)。ここで、無線チャネルが割当てられた端末が基地局間干渉を受ける可能性のある端末(干渉を受ける側の端末)である場合には(ステップS86)、ステップS106へ進み、当該端末に対して干渉を与える側の基地局の送信電力を任意の所定値ΔP「dB」減少すべく、その旨を制御信号を用いて、当該干渉を与える側の基地局に対して通知する。
図46に示す処理動作によれば、端末に干渉を与える側の基地局が情報信号を送信しても、当該端末に与える干渉の影響が低減される。また、基地局間干渉の影響により、無線チャネルに空きが生じること、すなわち無線リソースの利用効率の低下を防ぐことができる。
次に、図47に示すフローチャートを参照してC−BTSの処理動作のさらに他の例について説明する。なお、図47において、図39と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図39のステップS87が、図47では、ステップS107に置き換えられている。
図46のステップS106では、端末に対して干渉を与える側の基地局の送信電力を低減するようになっていたが、図47のステップS107では、干渉を受ける可能性のある端末に割り当てられた基地局(干渉を受ける側の基地局)の送信電力を任意の所定値ΔP「dB」増加すべく、その旨を制御信号を用いて、当該干渉を受ける側の基地局に対して通知する。
図47に示す処理動作によれば、端末に干渉を与える側の基地局が情報信号を送信しても、当該端末での干渉の影響が低減される。また、基地局間干渉の影響により、無線チャネルに空きが生じること、すなわち無線リソースの利用効率の低下を防ぐことができる。
(第5の実施形態)
従来の移動通信システムでは、端末が待受け状態のときには、通常、端末が複数の基地局から到来する無線信号の受信特性を測定し、最良の受信特性を有する基地局を選択して、当該基地局との間で同期を確立する。また定期的に当該端末において無線信号の受信が可能となる全ての基地局から到来する無線信号の受信特性を観測し、他の基地局からの信号の受信状態が優れると判断した場合には当該他の基地局と再同期を行うが、頻繁に再同期を行うと端末の消費電力が増加してしまう。
上記第3の実施形態で説明したように、各D−BTS101が形成する通信エリア104が狭くなると、図25に示すように、複数の通信エリア104が重なる領域が増加する。複数の通信エリアが重なる領域が増加すると、端末102に対して複数のD−BTS101が送信する無線信号が到来する。従って、上記第1の実施形態にかかる移動通信システムの端末102が、図25に示すように密集した通信エリア内に存在する場合に、上記従来同様に、信号の受信状態のよい基地局を選択して同期の確立を行うという動作を頻繁に繰り返しているのでは、端末の負荷が増大する。
そこで、第5の実施形態では、上記第1の実施形態にかかる移動通信システムにおいて、端末102の負荷を低減するようなセル管理方法について説明する。
なお、ここでは、狭帯域の第1の周波数帯301と広帯域の第2の周波数帯302が図3あるいは図4に示すように利用されている場合を例にとり説明する。
図48は、第5の実施形態にかかる移動通信システムのセル管理方法を説明するための図である。図48では、D−BTS101a、101b、101cのそれぞれが形成する3つの通信エリア104a、104b、104cが重なる領域402に、端末102aが存在する。
この場合、端末102aは、各D−BTS101a〜101cが送信する広帯域の下り無線チャネル107a〜107cを介して情報信号を受信することが可能である。この時、C−BTS100は、端末102aが存在する通信エリアを把握しておく必要がある。これは端末102aに対して情報信号の送信を開始する場合に、情報信号を送信するD−BTSを決定する(広帯域の無線チャネルを割り当てる)必要があるためである。また、C−BTS100は、端末102aに対して、高い信頼性でしかも高速に情報信号の送信を開始するために、3台のD−BTSのうち、端末102aでの無線信号の受信特性が、相対的に良好なD−BTSを把握しておく必要がある。
ここでは、端末102が存在する通信エリアを形成しているD−BTS101、及びそのD−BTS101が送信する無線信号の端末102aにおける受信特性を管理することをセル管理と呼ぶ。
次に、図49を参照して、第5の実施形態にかかるセル管理方法について説明する。図49では、図48と同様、D−BTS101a、101b、101cのそれぞれが形成する3つの通信エリア104a、104b、104cが重なる領域402に、端末102aが存在する場合を示している。
図49に示すように、端末102aは、所定のタイミング及び所定の送信電力にて、例えば第1の周波数帯を用いて、当該端末102aの識別子(USERID)を含む信号440(ここでは、報知信号と呼ぶ)を送信するようになっている。D−BTS101a〜101cは、狭帯域の上り無線チャネル106を介して当該報知信号を受信すると、その受信特性(受信電界強度(RSSI:received signal strength indicator)、信号対干渉電力比(SIR:signal to interference ratio)、伝搬損失のうちの少なくとも1つ)を測定し、測定結果をC−BTS100に対して通信回線108a〜108cを用いて通知する。
このように、端末102aが定期的に送信する上記報知信号を受信した各D−BTS101で、当該報知信号の受信特性を測定し、この測定結果をC−BTS100に通知することにより、C−BTS100は、端末102aが存在する通信エリアを形成しているD−BTS101を認識するとともに、当該D−BTS101と端末102a間の伝送路状態を認識することが可能となる。
次に、図50を参照して、図49の基地局C−BTS100、D−BTS101a〜101cと端末102aとの間の端末待受け時の動作について説明する。
なお、図50では、図49の3つのD−BTS101a〜101bcをそれぞれD−BTS(1)、D−BTS(2)、D−BTS(2)と表し、端末102aを端末(1)と表している。また、C−BTS100を単にC−BTSと表している。
端末(1)の待受け制御部522dは、所定の時間LR_INT毎に、第1の周波数帯301の上りリンクで上記報知信号を所定の(例えば、C−BTS100から通知された)送信電力で送信する(ステップS201)。なお、例えば端末102(1)が待ち受け状態である場合には、時間LR_INTが経過するまでは、端末(1)は動作クロックを停止することなどによりバッテリーセービングを行うことができるため、時間LR_INTは長い方が望ましい。しかしながら、時間LR_INTが長いとセル管理の精度が低下することとなるため、時間LR_INTは双方のトレードオフにより決定される。
ここで、各D−BTS(1)〜(3)の無線処理部511aは、時間LR_INT毎に端末(1)が送信する報知信号を受信し、そのRSSIや、RSSIとそれ以外の受信特性をも測定する(ステップS202)。RSSIを含む受信特性の測定結果は、待ち受け制御部512cに渡される。待ち受け制御部512cは、受信特性テーブル513aに、各端末から通知された受信特性を記憶するとともに、当該測定された受信特性を通信回線108を介してC−BTSに通知する(ステップS203)。なお、待ち受け制御部512cは、端末から送信される報知信号が受信時のRSSIが所定の閾値を超える場合にのみ、当該受信した報知信号の受信特性を測定する。
C−BTSは、各D−BTSから通知された上記測定結果を管理テーブル503aに記憶する(ステップS204)。
このような状態において、端末(1)に対して情報信号の送信を開始する場合、C−BTSは管理テーブル503aを参照して、端末に対して情報信号を送信するD−BTSを決定する(ステップS205)。例えば、端末(1)での受信特性が最も良好と想定できるD−BTSを選択する。例えば、D−BTS(2)が選択されたとする。C−BTSは、D−BTS(2)に対して、通信回線108bを介して、端末(1)への情報信号の送信を指示するために、制御信号を送信する(ステップS206)。また、端末に対しても、狭帯域の下り無線チャネル105を用いて上記同様の制御信号を送信する(ステップS207)。その後、D−BTS(2)が端末(1)に対して、広帯域の下り無線チャネル107bを用いて情報信号を送信する(ステップS208)。
図50に示すような手順によれば、端末102aは、情報信号を受信するために、何ら複雑な制御を行うことなく、比較的受信特性の良好なD−BTSから情報信号を受信することが可能となる。
ここで、端末102が報知信号を送信する際の送信電力について説明する。なお送信電力の値そのものは、移動通信システム毎に決定されるものである。
D−BTS101で測定される報知信号の受信特性により、当該端末が存在する通信エリアや当該端末に割り当てる基地局D−BTSが決定される。従って、受信特性は、基地局D−BTS101の通信エリア内に端末102が存在するという事実を保証するための必要最小限の条件が満足されていなければならない。すなわち、端末102が送信する報知信号がD−BTS101にて受信可能である場合、端末102が、当該D−BTS101の通信エリア104内に存在することを保証しなければならない。
ここで、D−BTS101が、広帯域の下り無線チャネル107を介して送信する情報信号の送信電力をP_dtとする。また、情報信号の受信特性が必要最小限の条件を満足することを保証する範囲として決定される通信エリアの境界近傍において必要な受信電力をP_mrとする。このとき、伝搬損失Pathlossは
Pathloss=P_dt−P_mr …(1)
と定義される。
また、D−BTS101において端末102から送信される報知信号を受信するために必要な電力をP_drとすると(これは移動通信システムに固有の値である)、上述の条件から、端末102での送信電力P_mtは、
P_mt=P_dr+Pathloss …(2)
と決定することができる。
なお、P_dr及びPathlossは、例えばC−BTS100から、狭帯域の下り無線チャネル105を介して端末102に対して通知することが可能である。
Pathlossの値は、C−BTS100がセル管理状況に対応して変更してもよい。例えばC−BTS100にて管理する端末102の数が増加し、セル管理の負荷が増大する場合には、Pathlossの値を小さく設定することで、各D−BTS101により形成される複数の通信エリアに端末102が存在すると判断される場合が減少し、結果としてセル管理の負荷を減少させることができる。
次に、端末102が送信する報知信号について、図51を参照して説明する。なお、報知信号は移動通信システムに固有の信号あるいは端末固有の信号であることが望ましい。また、信号系列としては自己相関特性に優れる擬似雑音系列等が望ましい。これにより当該報知信号を受信したD−BTS101が容易にその受信特性を測定することが可能となる。
D−BTS101には、異なる複数の端末から送信された報知信号が到来するため、報知信号は、相互干渉の影響を抑えて分離して受信できなければならない。このため、図51に示すように、各端末の報知信号をTDMA(Time Division Multiple Access)で送信する。
図51は、狭帯域の下りリンクで各端末の報知信号が送信されるチャネル(制御信号を送信するチャネルとは区別して、ここでは報知チャネルと呼ぶ)のフレーム構成を示したものである。1フレームにはn個のタイムスロット(スロット)に分割され、各スロットで1報知信号が送信される。図51では、端末102aが送信する報知信号はスロットTS1に割り当てられ、端末102bが送信する報知信号はスロットTS3に割り当てられている。また、各端末は、報知信号を周期LR_INTで送信する。図51では、LR_INTはNフレーム分の時間長に相当する。
図51では、端末102aの報知信号の送信タイミングは、(Frame No. mod N)+4 スロットであり、端末102bの報知信号の送信タイミングは(Frame No. mod N)+2 スロットととなり、それぞれ異なるタイミングで報知信号を送信するようになっている。
このように、D−BTS101は、異なるタイミングで、各端末から送信された報知信号を受信することとなり、容易に複数の端末から送信された各報知信号の受信特性を測定することができる。
図52に示すように、各端末の報知信号をCDMA(Code Division Multiple Access)で送信するようにしてもよい。
図52は、各端末の報知信号が送信されるチャネルのフレーム構成を示したものである。1フレームにはn個のタイムスロット(スロット)からなり、各スロットで、各端末に予め割り当てられた拡散符号により多重された複数の報知信号が送信される。
図52では、端末102aが送信する報知信号と、端末102bが送信する報知信号と、端末102cが送信する報知信号が多重されて、スロットTS0で送信されている。また、各端末は、報知信号を周期LR_INTで送信する。図51では、LR_INTはNフレーム分の時間長に相当する。
この場合、同じスロットに割り当てられている複数の端末は、全て同一の送信タイミングにて報知信号を送信する。また、この送信タイミングは移動通信システムやC−BTSに固有に定義されていることとする。この場合、各端末の報知信号は、信号系列により分離されている。すなわち、各端末が送信する報知信号にWH符号に代表される直交系列を適用する。これにより、D−BTS101は同一タイミングにて、各端末102から送信された報知信号を受信することとなるが、信号系列の直交性により、容易に各端末が送信した報知信号の受信特性を測定することが可能となる。なお、直交系列で各端末の報知信号を多重する場合、各端末が報知信号を送信する周期は、図51の場合よりも相対的に長くすることが好ましい。
次に、図53を参照して、端末102の報知信号の送信方法について説明する。図53は、端末102が報知信号を送信するタイミングを示している。
図53において、端末102は周期LR_INTにて報知信号を送信するだけでなく、LR_INTの整数倍であるLR_INT_Nを所定の周期とすることが可能である。また、LR_INT_Nは動的に且つ常に変更が可能であるとする。これにより、端末102が報知信号を送信する回数が減少し、結果的に端末の消費電力を削減する効果がある。なお、LR_INT_Nは、端末102自身が変更することも、C−BTS100から端末102に対して変更を指示することも可能である。
端末102自身が変更する場合においては、例えばC−BTS100が送信する無線信号の受信特性の変化や、当該端末102が移動しているか否かを基準とすることが可能である。また、C−BTS100から端末102に対して変更を指示する場合のC−BTS100の動作を、図56に示す(後述)。
次に、図54に示すフローチャートを参照して、第5の実施形態にかかるセル管理方法を実施するC−BTS100の動作について説明する。
図54において、C−BTS100の待ち受け制御部502dは、その管理下にいる各端末102について、時間LR_INT毎に、次のような処理動作を行う。すなわち、D−BTS101から通知される当該端末102から送信される報知信号の受信特性を取得し(ステップS212)、管理テーブル503aを更新する(ステップS213)。
管理テーブル503aの要部を図55に示す。なお、ここではD−BTS101からC−BTS100に通知される受信特性を、当該D−BTS101が受信可能な各端末の報知信号のRSSIとしている。図55に示す管理テーブルには、C−BTS100の管理下にある各D−BTS101の識別子であるD−BTSIDと、各D−BTSにおいて、受信可能な報知信号を送信した端末の識別子であるUSERIDと、各D−BTSにより通知された受信特性と、さらに、各D−BTSについて、当該D−BTSが情報信号を送信する端末に対して、割当てフラグが記憶される。割当てフラグが「1」であるとき、当該端末には、当該D−BTSが割り当てられていることを示している。
なお、この管理テーブル上の受信特性については、通知される毎にその通知された値で管理テーブルを更新してもよいし、過去の値を加味して、それらの平均値で管理テーブルを更新してもよい。
管理テーブルの更新を行うと、C−BTSは、次に、割当てフラグの更新を行う(ステップS214)。これは、例えば、任意の端末102に対して最良の受信特性を有するD−BTS100が変化した場合等に対応するためである。
次に、図56に示すフローチャートを参照して、第5の実施形態にかかるセル管理方法を実施するためのC−BTS100の他の動作について説明する。なお、図56において、図54と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図56では、ステップS221とステップS214の間に、端末が報知信号を送信する周期時間LR_INT_Nを変更する処理(ステップS222〜ステップS228)が追加されている。
図56のステップS213において、待ち受け制御部502dは、図55に示した管理テーブル(第1の管理テーブル)503aの更新を行うと、次に、第2の管理テーブル(セル管理テーブル)503dを更新する(ステップS221)。
第2の管理テーブルの一例を図57に示す。第2の管理テーブルには、C−BTS100の管理下にある各端末102を識別するためのUSERIDと、各端末102に対する過去数回の受信特性の通知結果において、最良の受信特性を通知してきた基地局の識別子D−BTSIDが記憶されている。なお、図57では、過去4回分が記憶されている場合を示している。
待ち受け制御部502dは、第2の管理テーブルを更新すると、各端末102について、過去N(Nは予め定められた正の整数)回のD−BTSIDが同一であるか否かを判定する(ステップS222)。同一である場合には時間LR_INT_Nには、時間LR_INTが加算される(ステップS223)。一方、過去N回のD−BTSIDが異なる場合には、さらに過去M(Mは、予め定められた正の整数で、M<N)回のD−BTSIDが全て異なるかを判定する(ステップS225)。全て異なる場合には時間LR_INT_Nから時間LR_INTが減算される(ステップS226)。
なお、LR_INT_Nには、所定の範囲LR_INT_Min<LR_INT_N<LR_INT_Maxを超えないよう制約条件が付加されている。従って、ステップS223でLR_INT_Nが更新されたときには、次のステップS224において、上記制約条件を満たすか否かチェックされる。満たす場合には、ステップS228へ進み、当該変更された時間LR_INT_Nを端末102へ通知する。満たさない場合には、当該変更された時間は通知されない。また、ステップS226でLR_INT_Nが更新されたときにも、次のステップS227において、上記制約条件を満たすか否かチェックされる。満たす場合には、ステップS228へ進み、当該変更された時間LR_INT_Nを端末102へ通知する。満たさない場合には、当該変更された時間は通知されない。
例えばN=4、M=3とした場合、図57の第2の管理テーブルから、端末「A」、端末「E」の送信周期LR_INT_Nは、時間LR_INTだけ減算され、端末「D」の送信周期LR_INT_Nは、時間LR_INTが加算されることとなる。
次に、図58に示すフローチャートを参照して、第5の実施形態にかかるセル管理方法を実施するためのD−BTS101の動作について説明する。
図58において、D−BTS101の待ち受け制御部512cは、その通信エリア内に存在するであろう各端末102について、時間LR_INT毎に、次のような処理動作を行う。すなわち、当該端末102が送信する報知信号の受信特性を取得する(ステップS232)。さらに取得した受信特性を所定の閾値Th_Pと比較し(ステップS233)、受信特性が当該閾値を超える場合のみ、取得した受信特性をC−BTS100に通知する(ステップS234)。なお、閾値Th_Pは移動通信システムに予め定められた値であり、D−BTSにおいて端末から報知信号を受信するために必要な受信特性として定義されているものである。
D−BTS101が図58に示すような動作を行うことにより、D−BTS101で測定された(端末102から送信された)報知信号の受信特性が、情報信号を受信するには不十分であると判断されるような端末102については、C−BTSに通知されない。その結果、C−BTS100の管理テーブル503a上で、各D−BTS101について管理すべき端末102の数が減少する。従って、C−BTS100におけるセル管理の負荷を減少させることができる。
上記第5の実施形態によれば、D−BTS101では、各端末102から周期的に送信される報知信号の受信特性を測定して、当該受信特性と報知信号の送信元のUSERIDをC−BTS100へ通知する。C−BTS100は、その傘下にある各D−BTS101から通知された受信特性とUSERIDを基に、各端末が属するD−BTS101を認識することにより、待ち受け時における端末102の負荷を軽減することができる。
また、各D−BTS101から通知された受信特性とUSERIDを基に、各端末102に対し、広帯域の下り無線チャネル(情報信号を送信するD−BTS101)をそれぞれ割当てることにより、各端末102は、当該端末にとって最良の受信特性が得られるD−BTS101から情報信号を受信することができる。
さらに、報知信号の送信周期は、端末の移動状況に応じて動的に変更することにより(端末102がほとんど静止している場合には送信周期を長くし、頻繁に複数の通信エリア104間を移動する場合には送信周期を短くする)、端末102の消費電力を低減できる。
なお、本発明は上記第1乃至第5の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
100…狭帯域基地局(C−BTS100)、101…広帯域基地局(D−BTS)、102…移動通信端末(端末)、103、104…通信エリア、105、106,107…無線チャネル、108、109…通信回線、110…ネットワーク、301…第1の周波数帯域、302…第2の周波数帯域。