JP4149283B2 - 二軸混練押出機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二軸混練押出機に関する。さらに詳しくは、材料と添加物とを充分に混練することができ、分散または分配効果が高く、かつ構成が簡単な二軸混練押出機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ゴムなどの材料を添加物とともに混練して連続供給するために、一対のスクリューがシリンダ内に平行に配設された二軸混練押出機が用いられている。
【0003】
かかる二軸混練押出機として、添加物を安定して供給するために、混練スクリューの回転によって混練材料を下流側に送る方向にねじれたフライトを有する送りセグメント、および前記混練スクリューの軸心方向と平行なフライトを有する中立セグメントを含む押出機が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1記載の押出機では、混練効果を高めるために、混練スクリューが、二条翼タイプの複数のロータセグメントからなり、一方のスクリューのフライトが混練室の内面とのクリアランスが小さい高位チップ部である区間において、他方のスクリューのフライトが混練室の内面とのクリアランスが大きい低位チップ部が配置されるように構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−210731号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の二軸混練押出機は、ゴムなどの材料と添加物を混合するときの分散および分配が充分でないため、密閉式の混練機と比較して品質のばらつきが大きいという問題がある。
【0007】
また、品質のばらつきを抑えるために、多数台の混練押出機、ペレット作製装置および撹拌タンクを配置すれば、非常に広いスペースが必要となり、設備投資額も増大する。
【0008】
さらに、特許文献1記載の送りセグメントおよび中立セグメントを有する押出機の場合、中立セグメントの区間で送り速度が減速されるため、二軸混練押出機が本来もつ連続供給の性能が大幅に低下する。しかも複数のロータセグメントからなるため構造が複雑になる。
【0009】
また、混練室内面とのクリアランスが異なる高位チップ部と低位チップ部とを組み合せても、低位チップ部の周辺のクリアランスにおける小規模な練り込み効果しか得られず、しかも、連続供給の性能がさらに低下するという問題がある。
【0010】
本発明はかかる問題を解消するためになされたものであり、材料と添加物とを充分に混練することができ、分散または分配効果が高く、かつ構成が簡単な二軸混練押出機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の二軸混練押出機は、被混練材料が投入されるホッパー部、前記材料を混合する混練部、および前記被混練材料を排出する排出部が、略直線状に連結されるとともに、前記ホッパー部、混練部および排出部の内部に一対の長尺のスクリューが平行に配設された、材料を連続的に混練するための二軸混練押出機であって、
前記一対のスクリューが、少なくとも前記混練部に収容される区間において、それぞれ、当該スクリューの軸方向に沿って交互に配設された長いリードのフライトおよび短いリードのフライトを有し、かつ
前記一対のスクリューが、一方のスクリューの長いリードのフライトおよび短いリードのフライトが、それぞれ、他方のスクリューの短いリードのフライトおよび長いリードに対向するように、配置されてなる二軸混練押出機であって、前記一対のスクリューが、同一方向に回転し、かつ前記一対のスクリューが互いに噛合わないことを特徴としている。
【0013】
前記ホッパー部および混練部のそれぞれのシリンダが、長円形状の内部空間を有してなるのが好ましい。
【0014】
前記一対のスクリューの前記ホッパー部に収容される区間におけるフライトが、当該スクリューの直径の1.0〜1.2倍程度のリードを有してなるのが好ましい。
【0015】
前記一対のスクリューの前記混練部に収容される区間において、前記長いリードのフライトが当該スクリューの直径の1.2〜1.4倍程度のリードを有し、前記短いリードのフライトが前記スクリューの直径の0.6〜0.8倍程度のリードを有するのが好ましい。
【0016】
前記一対のスクリューの前記排出部に収容される区間におけるフライトが、当該スクリューの直径の1.0〜1.2倍程度のリードを有してなるのが好ましい。
【0017】
少なくとも前記混練部のシリンダの内壁の上部から、前記一対のスクリューのあいだに突起が設けられてなるのが好ましい。
【0018】
前記スクリュー先端部が収容されるシリンダーの内部空間が、2列の円筒形状を呈してなるのが好ましい。
【0019】
前記ホッパー部、混練部、および排出部のシリンダの接続部にそれぞれ、圧力計および/または温度計が配設されてなるのが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明の二軸混練押出機をさらに詳細に説明する。図1は本発明の二軸混練押出機の一実施の形態を示す平面図、図2は図1の二軸混練押出機の一部切欠断面説明図、図3は図1の二軸混練押出機の側面図、図4は図1の二軸混練押出機を排出口側から見た図、図5は図2のスクリューの拡大平面図、図6は図1のVI―VI線断面説明図、図7は図1のVII―VII線断面説明図、図8は図1のVIII―VIII線断面説明図である。
【0021】
本実施の形態の二軸混練押出機1は、図1〜4に示されるように、ゴムと加硫剤または加硫促進剤などの添加剤とを計量供給し、引き続きせん断、混合、分配および分散することによって、ゴム混合物を連続的に製造するためのゴム混練機である。このゴム混練機は、2本のスクリュー11、12が平行に配置された二軸スクリュー押出機からなり、スクリュー駆動装置2と、添加剤とゴムを引き込むホッパー部3と、ゴムと添加剤を混合する混練部4と、混練物を排出するための排出部5を備えている。
【0022】
また、ホッパー部3の上面には、図1〜2に示されるように、ゴムおよび薬品を供給するホッパー(材料供給口)25が設けられている。
【0023】
2本のスクリュー11、12は、同一方向に回転するように回転方向が設定されているため、2本のスクリュー11、12に挟まれる空間部22(図2参照)では、スクリュー11、12の周面の移動する方向が互いに反対方向になるため、混練効果が高くなる。
【0024】
ホッパー部のシリンダー13および混練部4のシリンダー14の内部は、図6〜7に示されるように、長円形状を呈しており、2本のスクリュー11、12は共有する1つのシリンダー孔内に配置されている。
【0025】
二軸のスクリュー11、12は、図5に示されるように、同一の直径および長さを有し、少なくとも混練部4に収容される区間Bにおいて、それぞれ異なる長短のリードのフライト形状を有し、長リードのフライト17と短リードのフライト18とを交互に配置している。そして、それぞれのスクリューが、スクリュー溝にあるゴムと添加剤とを混練しながら、相対する位置にあるリードの異なるスクリューの溝にゴムを移送させて、ゴムの進行速度を変えながら連続的にゴムを混練する。
【0026】
また、シリンダージャケット15は、2本のスクリュー11、12が収容される円筒状空間の周囲に設けられ、内部に熱媒体を循環させることでシリンダー壁を所定の温度に保つことができ、この温度は温度調節装置(図示せず)によって、温度の内容や周囲温度などに応じて任意に調整することができる。
【0027】
図5に示されるように、一対のスクリュー11、12のホッパー部3に収容される区間Aにおけるフライト16のリード23は、早くゴムを噛み込み、シリンダーの内部に引き込むために、スクリュー11、12の直径の1.0〜1.2倍程度に設定されるのが好ましい。
【0028】
また、図5に示されるように、一方のスクリュー11の混練部4のシリンダー14に収容される区間Bにおけるフライトは、スクリューリードがスクリュー11の直径の1.2〜1.4倍程度の長いリード17と0.6〜0.8倍程度の短いリード18とを交互に配置している。
【0029】
他方のスクリュー12の混練部4のシリンダー14に収容される区間Bにおけるフライトも、前述のスクリュー11と同様に、スクリューリードがスクリュー12の直径の0.6〜0.8倍程度の短いリード18と1.2〜1.4倍程度の長いリード17とを交互に配置しているが、かかる混練部4のシリンダー14のスクリュー12のリードの配列は、前述のスクリュー11とは長短のリードの配列が逆になるように配置されている点で異なっており、その他の点については一対のスクリュー11、12は同一の構成を有している。長いリード17の部分と短いリード18の部分は、本発明ではとくに限定されるものではないが、通常、スクリュー直径の1.2〜1.5倍間隔で交互に配置することができる。たとえば、スクリュー直径が90mmならば108〜135mm毎にピッチを変える。
【0030】
図5に示されるように、スクリュー11、12の最終のゴム排出部5に収容される区間Cにおけるフライトは、スクリューフライトのリード19を、スクリュー11、12の直径の1.0〜1.2倍程度の長さとしており、均一な押出量を安定して排出することができる。
【0031】
図6〜7に示されるように、ホッパー部3のシリンダー13および混練部4のシリンダー14のそれぞれ内壁の上部から一対のスクリュー11、12のあいだに、山型形状の突起20が設けられているため、一方のスクリュー11または12の溝内のゴムが、他方のスクリュー12または11の溝内に直接移動することを制限することができる。すなわち、山型形状の突起20は、当該突起の壁面にゴムを衝突させてゴムの進行方向を変え、そのまま同じスクリューの溝の中にゴムが入っていくことを助ける役目を果たす。また、シリンダー内面の上側に配置された突起20は、スクリューの回転による、ゴムの送り出し作用に対して抵抗となり、後から進んで来るゴムと対流現象を起こし、このゴムと混練させる働きをする。
【0032】
なお、本実施の形態では、ホッパー部3のシリンダー13および混練部4のシリンダー14の両方に突起20が設けられているが、少なくとも混練部4のシリンダー14に突起20が設けられていればよく、ホッパー部3のシリンダー13については、被混練材料などを考慮して突起20を省略してもよい。
【0033】
さらに、図8に示されるように、スクリュー11、12の先端部のシリンダー21の内部は2列の円筒形状を呈しており、それぞれのスクリュー11、12がその円筒形状の孔の内部に挿入され、それぞれ独自のスクリュー作用により、ゴムを先端方向に安定して搬送して、均等な押出量を排出することができる。
【0034】
ここで、一般的には、スクリューの軸方向のゴムの移動量は、スクリューが1回転すると、スクリュー溝内のおおむね30%程度の量が、スクリューの送り方向に移動することがわかっている。スクリューの長リード17におけるゴムの移動量と短リード18におけるゴムの移動量との差は、長リード側のゴムに対して、短リード側のゴムが約50%の進行速度であると推測することができる。
【0035】
したがって、長リードのスクリューリード17が、短リード18に変わる部分では、長リード17のスクリューフライトの溝部にあったゴムが、つぎの短リード18のフライトの溝部に出会ったとき、出会う以前の溝スペースの広さに対して、約50%の容積しかなく、スクリューの溝間を移動するゴムは、50%程度のゴムが移動して、余った50%程度のゴムは行き場を失い、その短リード18のスクリュー溝に収まりきれず、他方の長リード17のスクリューの溝にゴムが短絡的に移動することになり、これによりゴムのせん断および混練が起こり、ゴムと添加物との混練および分配が行なわれる。
【0036】
長リード17のスクリューで混練されたゴムは、半回転したのち、当該ゴムの50%程度が、そのままスクリューとともに回転を続け、残りの50%程度のゴムが、他のスクリューの方へ移動する。
【0037】
このとき、他のスクリューにあるゴムも、前述と同様に、当該ゴムの50%程度がスクリューとともに回転運動を続け、残りの50%のゴムが一方のスクリューに移動する。
【0038】
したがって、長リード17のスクリューのゴムの軸方向の移動量と、短リード18のスクリューのゴムの移動量の差だけ、ゴムは混練を行ないつつ、さらに、その50%程度のゴムが、2本のリードの異なるスクリューのあいだで、ゴムが行き来して混練が行なわれる。
【0039】
つぎのスクリューのリードが異なる区間では、前述のゴムの流れとは逆方向の流れで、ゴムが移動してさらなる混練を繰り返す。
【0040】
このゴムのスクリュー間で行き来の繰り返しで、混合工程を数回行ない、あたかも撹拌機の中でゴムを混練している状態を作り出し、押出機の特徴である、長手方向の混合がうまくいかない欠点を解消して、混練のみならず、ゴムと添加剤の分配を確実に行なうことができ、ゴムの均質化が非常に高まる。
【0041】
さらに、図示されていないが、ホッパー部、混練部および排出部の各シリンダーの接続部にゴム圧力計およびゴム温度計を設置すれば、シリンダーを通過するゴムの圧力と温度を測定して、可塑化が行なわれる状況を把握して、適性な混練状態を確認することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、スクリューリードが変更された簡単な構成でゴムの混錬を促進することができ、分散または分配効果が高く、しかも、ゴムの発熱が少なく、品質上安定したゴム混練物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二軸混練押出機の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1の二軸混練押出機の一部切欠断面説明図である。
【図3】図1の二軸混練押出機の側面図である。
【図4】図1の二軸混練押出機を排出口側から見た図である。
【図5】図2のスクリューの拡大平面図である。
【図6】図1のVI―VI線断面説明図である。
【図7】図1のVII―VII線断面説明図である。
【図8】図1のVIII―VIII線断面説明図である。
【符号の説明】
1 二軸混練押出機
2 スクリュー駆動装置
3 ホッパー部
4 混練部
5 排出部

Claims (8)

  1. 被混練材料が投入されるホッパー部、前記材料を混合する混練部、および前記被混練材料を排出する排出部が、略直線状に連結されるとともに、前記ホッパー部、混練部および排出部の内部に一対の長尺のスクリューが平行に配設された、材料を連続的に混練するための二軸混練押出機であって、
    前記一対のスクリューが、少なくとも前記混練部に収容される区間において、それぞれ、当該スクリューの軸方向に沿って交互に配設された長いリードのフライトおよび短いリードのフライトを有し、かつ
    前記一対のスクリューが、一方のスクリューの長いリードのフライトおよび短いリードのフライトが、それぞれ、他方のスクリューの短いリードのフライトおよび長いリードに対向するように、配置されてなる二軸混練押出機であって、前記一対のスクリューが、同一方向に回転し、かつ前記一対のスクリューが互いに噛合わないことを特徴とする二軸混練押出機
  2. 前記ホッパー部および混練部のそれぞれのシリンダが、長円形状の内部空間を有してなる請求項1記載の二軸混練押出機。
  3. 前記一対のスクリューの前記ホッパー部に収容される区間におけるフライトが、当該スクリューの直径の1.0〜1.2倍程度のリードを有してなる請求項1または2記載の二軸混練押出機。
  4. 前記一対のスクリューの前記混練部に収容される区間において、前記長いリードのフライトが当該スクリューの直径の1.2〜1.4倍程度のリードを有し、前記短いリードのフライトが前記スクリューの直径の0.6〜0.8倍程度のリードを有する請求項1〜3のいずれかに記載の二軸混練押出機。
  5. 前記一対のスクリューの前記排出部に収容される区間におけるフライトが、当該スクリューの直径の1.0〜1.2倍程度のリードを有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の二軸混練押出機。
  6. 少なくとも前記混練部のシリンダの内壁の上部から、前記一対のスクリューのあいだに突起が設けられてなる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸混練押出機。
  7. 前記スクリュー先端部が収容されるシリンダーの内部空間が、2列の円筒形状を呈してなる請求項1〜6のいずれかに記載の二軸混練押出機。
  8. 前記ホッパー部、混練部、および排出部のシリンダの接続部にそれぞれ、圧力計および/または温度計が配設されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の二軸混練押出機。
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