JP4149043B2 - 電子回路基板支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動二輪車に盗難防止装置として取り付けられる電子符号錠の制御回路等に適応される電子回路基板支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8および図9は、自動二輪車において、従来から用いられているキーシリンダ部の平面図である。図8において、31はキーシリンダ部、32はハンドル軸33とタイヤのシャフトを左右両側から支持する支持体34とを連結するトップブリッジ、44aはキー差込孔で、キー49をキーシリンダ部31のキー差込孔44aから抜き取ることによってキーシリンダ部31によってエンジンが停止され、かつステアリングがロックされて盗難が防止される。
【0003】
近年、電子制御された機器が様々な分野において普及しており、セキュリティ性の向上などの要望から電子制御された盗難防止装置を搭載した自動二輪車が求められている。この場合、電子回路基板の支持構造として高い防水性が必要とされ、取付容易であり、低コストなものが要求される。一方、従来の電子機器内の電子回路基板支持構造としては、電子回路基板の収納ケースに設けられた支持部と電子回路基板をねじ止め固定することが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子回路基板支持構造は以上のように構成されているので、自動二輪車などに適応する電子回路基板支持構造は防水性に優れた構造でなければならず、また一般的なねじ止め固定では取付位置精度が必要なことから取り付け作業性の上で問題があり、さらに支持部品点数が多いことからコスト的に不利であるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもで、防水性を高めるために収納ケースを樹脂モールドし、さらに電子回路基板の支持を孔に対する柱体の圧入によって行うことで取り付け作業を容易にすることができる電子回路基板支持構造を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の電子回路基板支持構造は、キーシリンダ部のキー差込孔のある端部に取り付けられる取付環状部と、
上記取付環状部に対して直角方向に延び、且つキーシリンダ部の円周面の一部を覆うケース部がキーシリンダの陰になる位置に配置されるべくL字状に形成されている樹脂製収納ケースと、
上記樹脂製収納ケース部内にモールド剤によって水密的に封止されてなる電子回路基板であって、
上面が開口された上記電子回路基板の上記樹脂製収納ケースの底面に立設された柱体と、上記柱体よりも小径で、且つ上記柱体と同一軸、同一方向に延設された小径柱体と、上記電子回路基板に突設された孔に圧入することによって嵌合するように、上記小径柱体の周面長手方向に沿って放射状に設けられた複数の凸状とを備え、上記電子回路基板が上記樹脂製収納ケース内で樹脂モールドされることによりなるものである。
【0007】
この発明の電子回路基板支持構造は、小径柱体と柱体との段部に、上記小径柱体と同一方向に設けた複数の凸状の長手方向寸法よりも短い寸法を有する複数の凸部を備え、上記凸部の先端に電子回路基板の下面が当接されて、上記電子回路基板が収納ケース内に収納されることによりなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1および図2は、実施の形態1による電子回路基板支持構造を、自動二輪車における盗難防止装置に適用したもので、図1は盗難防止装置が取り付けられた自動二輪車のキーシリンダ部の平面図であり、図2は図7のA’−A ’線に沿った断面図である。
【0009】
まず、概要について説明する。図1において、31はキーシリンダ部、32はハンドル軸33とタイヤのシャフトを左右両側から支持する支持体34とを連結するトップブリッジ、35は収納ケース41の内部にある盗難防止装置の車両側IDコード送受信部、44aはキー差込孔である。
【0010】
図2において、41は上記車両側IDコード送受信部35の電子回路基板42を収納する樹脂製収納ケースであり、電子回路基板42はケース部41−2内に樹脂との接着力に優れたウレタン樹脂(モールド剤)43によって水密的に封止されてなり、キーシリンダ44のキー差込孔44aのある端部に、取り付けられる取付環状部41−1と、この取付環状部41−1に対して直角方向、即ちキーシリンダ44の円周面に平行方向に延び、且つその円周面の一部を覆うケース部41−2とでL字状に形成されている。45は収納ケース41の取付環状部41−1に埋設されたリング状コイルであり、リード線46等によって電子回路基板42の端子47に接続されている。また、電子回路基板42上の電子回路はハーネス48を介して不図示の制御回路に接続されている。
【0011】
次に動作について説明する。
キーシリンダ44のキー差込孔44aにキー49を差し込んで、キー49を操作すると、車両側IDコード送受信部35が作動してコイル45に電流を流す。この通電によりコイル45から生じる磁界がキー49に内蔵されたキー側IDコード送受信部50のコイル51に作用して電力を誘起し、この電力でキー側IDコード送受信部50からIDコードを送信する。このIDコードを受信した車両側IDコード送受信部35はIDコードの照合を行い、一致している場合には、ハーネス48を介してエンジン始動許可信号等を不図示の制御回路に供給するものである。
【0012】
なお、上記電子回路基板42はキーシリンダ44の後面の一部を覆うケース部41−2内に、ケース部41−2がキーシリンダ44の陰になる位置に配置されているので、雨天走行時におけるケース部41−2への浸水をキーシリンダ44が壁になって阻止することができるように構成されている。
【0013】
次に電子回路基板42のケース部41−2への支持構造について詳細に説明する。
図2は、実施の形態1による電子回路基板支持構造の断面図、図3は図2のA−A線に沿った拡大縦断面図、図4は図2のB−B線に沿った拡大横断面図、図5は図4のC−C線に沿った横断面図である。図において、1は電子回路基板42を小径柱体2に圧入するための孔、3は収納ケース41の底面に立設された柱体であり、この柱体3の上面には、同一軸、同一方向に小径柱体2が一体成形され、延設されている。また、この小径柱体2の周面長手方向に沿って電子回路基板42の孔1が圧入嵌合される複数の凸状5が放射状に設けられている。この凸状5の圧入側先端部は圧入をガイドするための曲面であるガイド面5aを設けてある。
【0014】
電子回路基板42の固定は、電子回路基板42の孔1を小径柱体2に圧入することによって行われ、二点破線で示した電子回路基板42の所定の取り付け位置に支持される。この時、小径柱体2の周面に複数の凸状5を設けたことにより、電子回路基板42と小径柱体2との接触面積が小さくなるので、圧入時における電子回路基板42と小径柱体2との摩擦が軽減され、圧入を容易に行うことができる。また凸状5の圧入側先端部に曲面をもたせてガイド面5aとしたことにより、被圧入部である小径柱体2が電子回路基板42の孔1へ挿通され易くなるので各部材どうしの位置が容易に決定され、さらに圧入初期の圧入側先端部にかかる摩擦が軽減されるので滑らかに基板の圧入を行うことができる。
【0015】
以上のように、実施の形態1によれば、被圧入部である小径柱体2の周面長手方向に放射状に複数の凸状5を設け、この凸状5の圧入側先端部にガイド面5aを設けたことにより、各部材どうしの位置決定および基板の圧入を容易に行うことができる。さらに電子回路基板が収納ケース内で樹脂モールドされるので、防水性に優れた電子回路基板の支持をすることができる。
【0016】
実施の形態2.
図6は、図4の拡大横断面図を実施の形態2による電子回路基板支持構造で示したものであり、図7は図6のD―D線に沿った横断面図である。実施の形態1において説明した部分については同一符号を付して重複説明を省略する。図において、6は柱体3の上面に小径柱体2を囲むように設けた複数の凸部である。
【0017】
実施の形態1による電子回路基板支持構造では、圧入時に発生する電子回路基板42の切り屑が、柱体3の上面と電子回路基板42との間に堆積し、電子回路基板42の取り付け位置にずれが起こる可能性がある。実施の形態2においては、図のように隙間形成用突起6を設けたことで、圧入時に電子回路基板42と柱体3との間に突起6によって隙間7ができる。この隙間7に圧入時に発生する切り屑が溜まっていくので、切り屑による取り付け位置のずれが起こることなく、電子回路基板42は二点破線で示した所定の取り付け位置において支持することができる。
【0018】
以上のように、実施の形態2によれば、柱体3の上面に小径柱体2を囲むように複数の凸部6を設けて隙間7を形成したことにより、電子回路基板42の圧入時に生じた切り屑は隙間7に溜まり、切り屑による電子回路基板42の取り付け位置ずれの発生を防止することができる。
【0019】
以上のように、この発明によれば、上面が開口された電子回路基板の収納ケースの底面に立設された柱体と、上記柱体よりも小径で、且つ上記柱体と同一軸、同一方向に延設された小径柱体と、上記電子回路基板に突設された孔に圧入することによって嵌合するように、上記小径柱体の周面長手方向に沿って放射状に設けられた複数の凸状とを備え、電子回路基板が樹脂製収納ケース内で樹脂モールドされるように構成したので、防水性が高く、また、電子回路基板の孔を柱体に圧入するときの摩擦が軽減され、取り付け作業を容易にすることができる。さらに、ねじ止め固定をなくしたことで支持部品の点数が削減され、コスト的にも有利であるという効果がある。また、キーシリンダ部の円周面の一部を覆うケース部がキーシリンダの陰になる位置に配置されていることにより、ケース部への浸水をキーシリンダが壁になって阻止することができる。
【0020】
この発明によれば、小径柱体と柱体との段部に、上記小径柱体と同一方向に設けた複数の凸状の長手方向寸法よりも短い寸法を有する複数の凸部を備え、上記凸部の先端に電子回路基板の下面が当接されて、上記電子回路基板が収納ケース内に収納されるように構成したので、電子回路基板の孔に柱体を圧入するときに生じる切り屑が、突起により形成された隙間に堆積することから、切り屑による電子回路基板の取り付け位置ずれの発生が防止され、電子回路基板を正確な位置に支持固定することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の盗難防止装置が取り付けられたキーシリンダ部の平面図である。
【図2】実施の形態1による電子回路基板支持構造の断面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿った拡大縦断面図である。
【図4】図3おけるB−B線に沿った拡大横断面図である。
【図5】図4におけるC−C線に沿った横断面図である。
【図6】図4の拡大横断面図を実施の形態2による電子回路基板支持構造で示したものである。
【図7】図6におけるD―D線に沿った横断面図である。
【図8】従来の自動二輪車におけるキーシリンダ部の平面図である。
【図9】図8におけるA’−A’線に沿った縦断面図である。
【符号の説明】
1 孔
2 小径柱体
3 柱体
5 凸状
6 凸部
7 隙間
41 収納ケース
42 電子回路基板
Claims (2)
- キーシリンダ部のキー差込孔のある端部に取り付けられる取付環状部と、
上記取付環状部に対して直角方向に延び、且つキーシリンダ部の円周面の一部を覆うケース部がキーシリンダの陰になる位置に配置されるべくL字状に形成されている樹脂製収納ケースと、
上記樹脂製収納ケース部内にモールド剤によって水密的に封止されてなる電子回路基板であって、
上面が開口された上記電子回路基板の上記樹脂製収納ケースの底面に立設された柱体と、上記柱体よりも小径で、且つ上記柱体と同一軸、同一方向に延設された小径柱体と、上記電子回路基板に突設された孔に圧入することによって嵌合するように、上記小径柱体の周面長手方向に沿って放射状に設けられた複数の凸状とを備え、上記電子回路基板が上記樹脂製収納ケース内で樹脂モールドされることによりなる電子回路基板支持構造。 - 柱体と小径柱体との段部に、上記小径柱体と同一方向に設けた複数の凸状の長手方向寸法よりも短い寸法を有する複数の凸部を備え、上記凸部の先端に電子回路基板の下面が当接されて、上記電子回路基板が樹脂製収納ケース内に収納されることを特徴とする請求項1記載の電子回路基板支持構造。
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