JP4148496B2 - 吸収冷温水機用再生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷温水機の再生器に係り、特に、垂直の伝熱管を持つ再生器で、溶液循環をよくする降液管を有する吸収冷温水機用再生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
垂直伝熱管群を備え、垂直伝熱管内に吸収溶液が通り、垂直伝熱管外に熱源となるガス流体が通る吸収冷温水機用再生器では、垂直伝熱管の内部で、吸収溶液が激しく沸騰し、発生した水蒸気が気泡ポンプの作用をして、上昇しようとする。この状態で、垂直伝熱管の下方から充分な量の吸収溶液が供給されないと、発生した水蒸気の気泡は上昇速度が極端に低下し、気泡が管内に長く滞留し、垂直伝熱管壁から内部(吸収溶液や気泡)への伝熱が阻害され、管壁が過度に加熱されることになる。この過熱部分が、吸収溶液によって腐食を起こすという問題が発生する。
【0003】
この過熱を防ぐため、従来、例えば、実開昭57−148673号公報の図3では、垂直伝熱管群を囲む液壁内に仕切り板を設け、液が密度差によって下降する領域を明確にし、伝熱管上部の室から伝熱管下部の室に吸収溶液を供給し、蒸気気泡の上昇速度を速めている。
また、特開平11−248291号公報の図4では、垂直伝熱管群を囲む液壁よりもさらに外部に、降液管を設けている。
図3の方式は、液壁のない構造には適用できない。液壁のある場合明確に降液流を作るために液壁の厚さが大きくなり、液壁内の保有液量が多くなるという欠点がある。
一方、図4の方式は、液壁の有無に関係なく適用できるが、再生器の全体幅が大きくなるばかりでなく、上部室の側面に降液管出口を設けるため、上部室の液深さは降液管の直径以上必要で、浅くすることができず、吸収溶液の保有量が多くなる欠点を有する。下部室も同様に保有量が多くなりがちである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、液壁のない構成にも適用でき、簡単な構造で吸収溶液の保有量が少なくできる吸収冷温水機用再生器を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、上部管板と下部管板と垂直伝熱管群と、該垂直伝熱管群の上部に気液分離室と、前記垂直伝熟管群の下部に溶液供給室とを備え、前記垂直伝熱管内に吸収溶液が通り、垂直伝熱管外に熱源となるガス流体が通る吸収冷温水機用再生器において、前記上部管板と下部管板との間の熱源となるガス流体中に、垂直伝熱管群と、前記気液分離室内の吸収溶液を前記溶液供給室に戻す複数本の降液管とを設け、該降液管は、管外部を断熱材で構成するか、又は、外管と内管の二重構成として内管内を降液管とし、該降液管内の前記ガス流体による加熱量を抑制し、前記降液管内の吸収溶液の見かけ密度を前記垂直伝熱管内の吸収溶液の見かけ密度よりも大きくすることにより下降流としたことを特徴とする吸収冷温水機用再生器としたものである。
前記再生器において、降液管は、液側が鋼鉄製で、ガス流体側が断熱材で構成されているか、又は、外管と内管の二重構成の管であり、外管と内管の間の隙間の上部管板付近に、隙間を円周方向に塞ぐように、邪魔板を設けていることとすることができ、その際、内管の一部が上部管板からさらに上に突き出し、該突き出し部分の一部が半円状にカットされ、該カット部分が前記邪魔板部分と半径方向でほぼ一致しているのがよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、上部管板と下部管板との間に垂直伝熱管群を取付けると共に、上部管板と下部管板との間に垂直形状をした降液管を複数本設ける。
具体的には、垂直伝熱管の外側に断熱材を巻き付け、伝熱管としての機能から、降液管として機能するようにしている。
あるいは、垂直伝熱管内部に管を通し、この挿入管を降液管としている。この際、降液管の外側で発生した蒸気が、降液管に入ってくる溶液を煽らないように、溶液通路を確保する邪魔板を設けるのがよく、さらには、上昇してくる気液二相流と、下降して行く溶液とを分離するため、挿入管の上部に半裁管形状をした分離板を設けるのがよい。
【0007】
次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の吸収冷温水機用再生器の一例を示す断面構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA−A矢視図である。
図1において、1は再生器、2は垂直伝熱管、3は降液管、4は上部管板、5は下部管板、6は溶液供給室、7は気液分離室、8は吸収溶液(希溶液)、9は吸収溶液(濃溶液)、10は冷媒蒸気、11は排ガス(ガス流体)、12は断熱材である。
図1の再生器1の構造は、上部管板4と下部管板5との間に垂直伝熱管2群と降液管3とを取付け、垂直伝熱管2群の上部に、垂直伝熱管群の開口部を覆うように気液分離室7を、また、垂直伝熱管2群の下部に垂直伝熱管群の開口部を覆うように溶液供給室6を設けている。側面は、排ガス11通路を形成する平板としている。
【0008】
垂直伝熱管2内に吸収溶液8が通り、垂直伝熱管2外に熱源となるガス流体11が通る。
このような構造としたことにより、側面を液冷壁(二重壁とし、間に溶液を入れる)とした従来構造より簡易構造となる。直火焚きの場合、高温ガスとなるので、液冷壁とするが、排ガスで例えば300℃程度以下であれば、単なる平板で構成できる。
図1の再生器の動作について説明すると、垂直伝熱管2にて、管内の吸収溶液8は、管外の排ガス11により加熱され、沸騰し、気液二相流となって、気液分離室7に吹出し、冷媒蒸気10と吸収溶液9とに分かれる。垂直伝熱管2下部には溶液供給室6から吸収溶液8が供給される。
【0009】
気液分離室7の吸収溶液9の一部は、降液管3を通って、溶液供給室6に戻り、吸収溶液8として循環する。
降液管3は、垂直伝熱管2群内にあり、熱源となるガス流体11で加熱されるのであるが、管外部の断熱材12より、加熱量を極力抑え、液相状態あるいは蒸気が少し含まれる状態となる。
垂直伝熱管2内の二相状態と比較すると、見かけ密度が大きく、下降流となる。
即ち、降液管3内見かけ密度>垂直伝熱管2内見かけ密度により、降液管内が下降流、垂直伝熱管内が上昇流となる。
側面を液冷壁(二重壁とし、間に溶液を入れる)とした従来構造にも本発明は適用できる。例えば、図4の外に出ている降液管を垂直管群内に設けることができる。
【0010】
図2は、本発明の再生器の別の例を示す降液管3部分の断面構成図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
図2において、13は二重管の隙間部、14は内管、15は分離板、16は邪魔板であり、他は、図1と同じである。
図2では、降液管3を、垂直伝熱管2の内部に、二重管の内管14として設けている。
二重管の隙間部13の吸収溶液8は、外部の加熱源ガス流体11で加熱され、蒸気を発生しているが、内管14の吸収溶液8は、二重管の隙間部13の吸収溶液8により加熱されるため、外部の加熱源ガス流体11で直接加熱される場合よりも加熱量が抑えられる。
従って、前述の、断熱をした場合と同様の効果があり、下降流となる。
なお、垂直伝熱管がフィン付きである場合、二重管の外管をフィンなしとすることで伝熱量に大きな差がでるので、見かけの密度差を大きくすることができる。
隙間部13では、蒸気が発生するので、蒸気の逃がし位置を設け、一方、上部での液の流入位置とを明確に分けている。即ち、内管の半栽部が分離板15となり、隙間の邪魔板16部が液の内管への連絡通路となる。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、上記した構成としたことにより、液壁のない構成にも適用でき、外部に降液管を設けることのない簡単な構造であるので、吸収溶液の保有量が少なくてもよい効率のよい吸収冷温水機用再生器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の再生器の一例を示す断面構成図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA−A矢視図。
【図2】本発明の再生器の降液管部分の別の例を示す断面構成図で、(a)は正面図、(b)、(a)のA−A矢視図。
【図3】公知の再生器の一例を示す断面構成図で、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図4】公知の再生器の他の例を示す断面構成図で、(a)は正面図、(b)は側面図。
【符号の説明】
1:再生器、2:垂直伝熱管、3:降液管、4:上部管板、5:下部管板、6:溶液供給室、7:気液分離室、8:吸収溶液(希溶液)、9:吸収溶液(濃溶液)、10:冷媒蒸気、11:排ガス(ガス流体)、12:断熱材、13:二重管の隙間部、14:内管、15:分離板、16:邪魔板

Claims (4)

  1. 上部管板と下部管板と垂直伝熱管群と、該垂直伝熱管群の上部に気液分離室と、前記垂直伝熟管群の下部に溶液供給室とを備え、前記垂直伝熱管内に吸収溶液が通り、垂直伝熱管外に熱源となるガス流体が通る吸収冷温水機用再生器において、前記上部管板と下部管板との間の熱源となるガス流体中に、垂直伝熱管群と、前記気液分離室内の吸収溶液を前記溶液供給室に戻す複数本の降液管とを設け、該降液管は、管外部を断熱材で構成するか、又は、外管と内管の二重構成として内管内を降液管とし、該降液管内の前記ガス流体による加熱量を抑制し、前記降液管内の吸収溶液の見かけ密度を前記垂直伝熱管内の吸収溶液の見かけ密度よりも大きくすることにより下降流としたことを特徴とする吸収冷温水機用再生器。
  2. 前記降液管は、液側が鋼鉄製で、ガス流体側が断熱材で構成されていることを特徴とする請求項1記載の吸収冷温水機用再生器。
  3. 前記降液管は、外管と内管の二重構成の管であり、外管と内管の間の隙間の上部管板付近に、隙間を円周方向に塞ぐように、邪魔板を設けていることを特徴とする請求項1記載の吸収冷温水機用再生器。
  4. 前記降液管は、内管の一部が上部管板からさらに上に突き出し、突き出し部分の一部が半円状にカットされ、該カット部分が前記邪魔板部分と半径方向でほぼ一致していることを特徴とする請求項3記載の吸収冷温水機用再生器。
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