JP4148446B2 - 水道メータ及び、そのインナーケース及び、インナーユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、羽根車をインナーケースに収容して備えた水道メータ及びそのインナーケース及びインナーユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図12には、羽根車1をインナーケース2に収容して備えた水道メータが示されている。そのインナーケース2の周壁2Sには、図13に示すように、径方向と交差する方向を向いた複数の導入孔3が形成され、周壁2S内で水道水を旋回させて、羽根車1の回転効率を上げることで、計測精度の向上を図っている。また、周壁2Sの周りを覆う外筒壁(図示せず)をインナーケース2に設け、その外筒壁にて水道水を導入孔3に案内することで、計測精度の更なる向上を図ったものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したインナーケース2は、一般に合成樹脂の射出成形品として製造されている。ところが、従来では、複数の導入孔3が、複数方向を向いてインナーケース2の周壁2Sを貫通しているので、インナーケース2の成形用金型には、その型開き方向と直交する平面内に、複数のスライドピンを設ける必要が生じ、金型製作費が高くなると共に、スライドピンが多くなることで、一品当たりの成形サイクルも長くなり、このため、インナーケースの製造費が高くなっていた。また、インナーケース2の周壁2Sの周りを外筒壁で覆ったものでは、導入孔3を成形するために、インナーケース2を複数の部品に分割する必要が生じ、それら複数の部品を別々に成形してから、組み付けなければならないので、製造費が高くなっていた。さらに、上記した製造費等の問題以外にも、計測精度及び耐久性の更なる向上も求められている。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、水道メータ及び、そのインナーケース及び、インナーユニットの製造費を下げると共に、水道メータの計測精度及び耐久性の向上を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る水道メータのインナーケースは、水道メータの内部で、流量に応じて回転する羽根車の周りを覆う内筒壁と、内筒壁の一端を閉じた底壁とを備えてなるインナーケースであって、射出成形した合成樹脂で構成され、内筒壁のうち底壁寄り位置には、径方向と斜めに交差する方向に向けて、内筒壁内に水道水を取り込むための導入孔が周方向に複数設けられると共に、内筒壁のうち底壁から離れた端部寄り位置には、内筒壁から水道水を排出するための排出孔が設けられたインナーケースにおいて、各導入孔の縁部のうち内筒壁の軸方向に延びた一側縁部から、それら各導入孔を覆うように斜め外方に向けて誘導突片を張り出し形成し、軸方向で導入孔を挟んで底壁から離れる側の内筒壁の内面と、底壁側の内筒壁の外面とを面一とし、内筒壁の周りを覆う両端開放筒形の外筒壁と、導入孔のうち底壁から離れた側の縁部と誘導突片との間を繋ぐと共に、内筒壁と外筒壁との間の隙間を、導入孔が開放した流入部屋と、排出孔が開放した流出部屋とに隔絶する中間壁とを設け、外筒壁には、流入部屋を外方に開放した流入口と、排出部屋を外方に開放した流出口とが形成され、流入口及び流出口は、上下の端縁が外筒壁の軸方向の両端寄り位置に達する大きさをなし、流入口の奥では、中間壁が内筒壁から斜め上方に延びて流入口の上縁部に繋げられる一方、流出口の奥では、中間壁が内筒壁から斜め下方に延びて流出口の下縁部に繋げられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の水道メータのインナーケースにおいて、外筒壁の内面には、周方向の複数位置に、外筒壁の軸方向に延びた複数の乱流生成突条が形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明に係る水道メータのインナーユニットは、請求項1又は2に記載の水道メータのインナーケースと、上下方向に延びた軸部の外周面から複数の羽根を張り出してなりかつインナーケースに収容された羽根車と、羽根車の軸部に備えられ、下端開放、上端有底の円筒体と、インナーケースの底壁から起立し、円筒体内に挿入されて上端部が円筒体の上端部に突き当てられたピンとを備えてなるインナーユニットであって、羽根車には、導入孔から内筒壁内に流入した水道水の水圧を、羽根車をピンから浮かす方向に受ける浮圧壁が設けられ、その浮圧壁は、羽根の上下方向における中間に配置されて円筒体から側方に張り出した円板状をなしかつ、浮圧壁の外径は、羽根の旋回径より小さいところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明に係る水道メータは、請求項1又は2に記載のインナーケース又は請求項3に記載のインナーユニットを備えたところに特徴を有する。
【0012】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明のインナーケースでは、内筒壁の周りを流れる水は、誘導突片に案内されて導入孔から内筒壁内に流れて旋回し、羽根車を回転させることができる。ここで、本発明のインナーケースでは、軸方向で導入孔を挟んで底壁から離れる側の内筒壁の内面と、底壁側の内筒壁の外面とを面一にしたから、内筒壁の内面を成形する金型の外面に、内筒壁の外面及び外筒壁の内面を成形する金型の一部を摺り合わせて、その摺り合わせ部分で、前記導入孔を成形することができる。これにより、内筒壁の周りを外筒壁で覆ったインナーケースにおいて、従来では必要とされたスライドピンを廃止して、製造費の低減を図ることができる。しかも、流出口及び流出口の奥において、外筒壁と内筒壁の中間壁を傾斜構造にすることで、スムーズに水道水が流れる。
【0014】
<請求項2の発明>
請求項2の発明では、外筒壁の内面に設けた乱流発生突条により、乱流が生成され、羽根車がその乱流を受けて回転する。これにより、水道メータの計測精度のばらつきを小さくすることが可能になった。
【0016】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、導入孔から内筒壁内に流入した水道水の水圧を羽根車の浮圧壁で受けることで、羽根車がピンから浮く方向に力を受け、ピンと羽根車との摩擦が低減して、耐久性が向上する。
【0017】
<請求項4の発明>
請求項4の水道メータは、請求項1又は2に記載のインナーケース又は請求項3に記載のインナーユニットを備えたので製造費を下げることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図10に基づいて説明する。
図1に示した本実施形態の水道メータは、本体ケース10の内部を水没部屋10Aと乾燥部屋10Bとに分けた、所謂、乾式水道メータである。具体的には、本体ケース10は、鋳物下ケース11の上端面に鋳物上ケース15を組み付けてなる。鋳物下ケース11は、上端開放の円筒部13の周壁から相反する方向に1対の管部14,14を延設した構造をなし、これら管部14,14が、図示しない水道管に連結される。
【0020】
円筒部13の内周面には、開放端寄り位置に段差部が形成され、その段差部にOリング16を配して、その上方から区画蓋17を被せてある。そして、区画蓋17を境界にして、上方側が前記乾燥部屋10Bをなす一方、下方側が前記水没部屋10Aをなす。
【0021】
乾燥部屋10Bは、円筒部13の上端に鋳物上ケース15を螺合することで密閉されており、内部に積算表示部を収容している。積算表示部は、図示しない複数のギヤを連結してなり、水道水の積算流量を計数して表示する。そして、鋳物上ケース15に備えた上面蓋15Fを開けると、鋳物上ケース15の上壁に設けたガラス窓を通して、積算表示部の表示を見ることができる。
【0022】
水没部屋10Aには、管部14,14が連通しており、図1における左側に示された一方の管部14から水没部屋10Aを通って、右側に示された他方の管部14へと水道水が流される、
【0023】
水没部屋10Aの内部には、本発明に係るインナーユニット20が収容されている。インナーユニット20は、インナーケース21の内部に羽根車50を収容し、そのインナーケース21の収容口を上面蓋39で閉塞してなる。
【0024】
羽根車50は、合成樹脂製の射出成形品であり、図2に示すように、上下方向に延びた軸部51の外周面に、複数の羽根52を張り出し形成して備える。複数の羽根52は、平坦は突片状をなし、図3に示すように、軸部51を周方向で7等配した位置から径方向を向いて真っ直ぐ延びている。
【0025】
軸部51は、図2に示すように、羽根52が一体形成された円筒体53の上面から断面十字形状の支柱体54を延ばしてなり、その支柱54の上端に備えた小皿部55に、マグネットカップリング55Mの一方が固着されている。マグネットカップリングの他方(図示せず)は、前記10B内の積算表示部を構成する図示しない初段ギヤに固定されており、前記区画蓋17を介して、これら両マグネットカップリングが対向配置されている。これにより、羽根車50の回転が、積算表示部の前記初段ギヤの回転として伝達される。
【0026】
支柱54の下端面のうち、円筒体53の内部空間と対向した部分は、支柱54を構成する壁体が上方に向けて一部切除され、後述するピン59との突き当て部58になっている。また、円筒体53の内部には、ピン59との摩擦を低減するための軸受57が勘合されている。
【0027】
軸部51のうち軸方向の下端部寄り位置には、円筒体53の外面から側方に向けて、円板状の浮圧壁56が張り出している。(なお、浮圧壁56の張り出し量は、羽根52の外径程度まで可能とする)。
【0028】
インナーケース21は、合成樹脂製の射出成形品であり、図1に示すように、羽根車50を収容した内筒壁22の周りを外筒壁23で覆ってなる。
【0029】
内筒壁22は、図4に大まかな全体形状が示されており、全体として、下端有底円筒状をなし、軸方向の中間部分から側方に向けて中間壁24が張り出されている。
【0030】
図5に示すように、内筒壁22の下端を閉塞する底壁27の内面には、中心にエンボス部28が設けられ、そのエンボス部28から放射状に複数のリブ28Lが延びている。エンボス部28の中心には、図1に示すように、貫通孔が形成され、そこには金属製のピン59が上方から挿通されている。また、ピン59のうちエンボス部28を貫通した下端部には、抜け止め用金属板59Kが係止されている。
【0031】
図4に示すように、内筒壁22のうち中間壁24より上側には、周方向で3等配した位置に、上方に開放した切り欠き状の排出孔25が形成されている。排出孔25の側縁部からは、図5に示すように、径方向と斜めに交差する方向に向けて案内突条26が突出している。
【0032】
図4に示すように、内筒壁22のうち中間壁24より下側には、周方向の複数位置に導入孔29が形成されている。各導入孔29は、内筒壁22の一部を底壁27の上面(内面)から中間壁24の下面まで切除してなる矩形状をなしている。
【0033】
内筒壁22の外面には、各導入孔29の開口縁のうち内筒壁22の軸方向を向いた一側縁部(例えば、導入孔29に外方から向かって右側の縁部)から、それら各導入孔29を覆うように斜め外方に向けて誘導突片30を張り出し形成されている。また、各導入孔29の下縁部と誘導突片30との間は開放しており、一方、導入孔29の上縁部と誘導突片30との間は、前記中間壁24にて閉塞されている。
【0034】
さて、本実施形態のインナーケース21では、その軸方向で導入孔29を挟んで底壁27から離れる側の内筒壁22の内面22A(図5及び図6参照)と、底壁27側の内筒壁22の外面22B(図7参照)とが面一になっている。より詳細には、内筒壁22の軸方向で、導入孔29を挟んで底壁27から離れる側の内筒壁22の内面22Aの曲率半径(内径)は、図5及び図6において半径R1で示されており、底壁27側の内筒壁22の外面22Bの曲率半径(外径)は、図7において半径R2で示されている。ここで、型抜き用の傾斜を無視した場合に、これら半径R1と半径R2とが同じ大きさ、即ちR1=R2となっている。つまり、前述の通り、導入孔29を挟んで軸方向で並んだ内筒壁22の内面22Aと内筒壁22の外面22Bとが面一になっている。
【0035】
図5に示すように、内筒壁22の周りを覆う前記外筒壁23は、内筒壁22と同心円でかつ両端開放の円筒形状をなしている。そして、図8に示すように、内筒壁22と外筒壁23との間の隙間23Sが、中間壁24によって、導入孔29が開放した流入部屋と排出孔25が開放した流出部屋とに区画されている。また、外筒壁23には、図5に示すように、前記流入部屋を外側に開放する流入口32と、前記流出部屋を外側に開放した流出口33とが形成されいる。
【0036】
より具体的には、図9(A)及び図9(B)に示すように、流入口32及び流出口33とも矩形状をなし、上下の端縁が、外筒壁23の軸方向の両端寄り位置に達している。そして、流入口32の奥では、中間壁24が斜め上方に傾斜して流入口32の上縁部に繋がっている。一方、流出口33の奥では、中間壁24が斜め下方に傾斜して流出口33の下縁部に繋がっている。なお、流出口33の縁部には、矩形パッキン33Pが装着されている。
【0037】
外筒壁23の内面には、図6に示すように、周方向の複数位置に、乱流生成突条34が設けられている。乱流生成突条34は、外筒壁23の軸方向に延びて、互いに並行している。
【0038】
図1に示すように、内筒壁22と外筒壁23との間の隙間23Sの下面開放口は、鋳物下ケース11の底面にて閉塞されている。一方、内外の筒壁22,23の上面の開放口は、合成樹脂製の上面蓋39にて閉塞され、その上面蓋39の中心に形成した貫通孔から、羽根車50の軸部51が突出している。
【0039】
なお、図1に示すように、インナーケース21には、中間壁24から下方に向けて位置決め突部21Pが突出しており、この突部21Pが、鋳物下ケース11に形成された位置決め孔11Pに挿入されて、インナーケース21と鋳物下ケース11との位相が一義的に決められる。これにより、流入口32及び流出口33が、それぞれ管部14,14に対向した状態にセットされる。また、図5〜図7に示すように、インナーケース21には、中間壁24を上下方向に連絡するバイパス路21Bが設けられており、このバイパス21Bに、概円柱状の調整弁(図示せず)が嵌合されている。そして、この調整弁の位相を変更することで、バイパス路21Bの開閉度が変更され、管部14を流れる水道水のうち内筒壁22内を通過する水道水の量を微調整することができる。
【0040】
次に、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
水道メータを水道管の途中に接続すると、一方の管部14を通ってきた水道水が、インナーユニット20のうち外筒壁23に形成した流入口32からインナーユニット20内に流入する。インナーユニット20内で、水道水は、内筒壁22と外筒壁23との隙間23Sを通る。このとき、乱流生成突条34により乱流化されると共に、誘導突片30の案内により、インナーユニット20の径方向と斜めに交差する方向に案内されて、導入孔29から内筒壁22内に流入する。これにより、内筒壁22内で水道水が旋回しながら、内筒壁22内を上方に向かう。そして、排出孔25から隙間23S及び流出口33を通って、他方の管部14へと排出される。
【0041】
内筒壁22に収容された羽根車50は、内筒壁22内で旋回する水道水によって回転される。羽根車50の回転は、マグネットカップリング55Mを介して、積算表示部に伝達され、水道水の流量が計測される。ここで、羽根車50は、導入孔29から内筒壁22内に流入した水道水の水圧を浮圧壁56で受けて、ピン59から浮く方向に力を受ける。これにより、ピン59と羽根車50との摩擦が低減して、耐久性が向上する。
【0042】
上述の如く機能するインナーケース21は、合成樹脂を射出成形機にて製造される。特に、本発明に係る導入孔29は、以下のようにして成形される。即ち、図10には、射出成形機に備えた樹脂成形用金型60の一部が示されており、この樹脂成形用金型60は、内筒壁22の軸方向に型開きする1対の開閉型61,62を備えてなる。一方の開閉型61には、内筒壁22の内面を成形するための内面成形型61Aが設けられ、他方の開閉型62には、内筒壁22の外面と外筒壁23の内面とを成形するための外面成形型62Aが設けられている。そして、両開閉型61,62を型閉じ状態にすると、図10に示すように、内面成形型61Aの外周面に、外面成形型62Aの一部が摺り合わせられる。この状態で溶融樹脂を金型内に充填すると、内面成形型61Aと外面成形型62Aとの摺り合わせ部分(図10の符合S1で示した部分)で、内筒壁22の導入孔29が成形される。
【0043】
このように本実施形態のインナーケース21では、軸方向で導入孔29を挟んで底壁27から離れる側の内筒壁22の内面22Aと、底壁27側の内筒壁22の外面22Bとを面一にしたから、内筒壁22の内面22Aを成形する内面成形型61Aの外面に、内筒壁22の外面22Bを成形する外面成形型62Aの一部を摺り合わせて、その摺り合わせ部分で、前記導入孔29を成形することができる。これにより、従来では必要とされたスライドピンを廃止して、製造費の低減を図ることができる。また、内筒壁22の周りを外筒壁23で覆ったインナーケース21において、従来では、複数の部品に分割していたものを、一体化することができ、製造費の低減を図ることができる。しかも、乱流生成突条34で生成した乱流で、羽根車50を回転させるので、後述の実験結果にも示したように、水道メータの計測精度のばらつきを小さくすることができる。
【0044】
<実施例1>
本発明に係る「乱流生成突条」の効果を調べるべく以下の実験を行った。実験の手順は、以下の[1]〜[6]の通りである。
【0045】
[1]20台の従来の水道メータで通水試験を行い、それら20台のうち流量を多めに計測する傾向にあるもの5台と、少なめに計測する傾向にあるもの5台と選び出し、これら計10台を、従来の水道メータとしてのNo1〜No10のノーマル水道メータとした。
[2]設定流量を、1250,1857,2500,3500[L/H]にして、所定時間の間で各ノーマル水道メータに流して流量を実測した。
【0046】
[3]設定流量毎に、全部のノーマル水道メータによる器差の平均値を求め、その平均値とNo1〜No10のノーマル水道メータの器差の平均値との差を求めた。その結果が、表1に示されている。
[4]設定流量毎に、器差の平均値Χと標準偏差σとを求めた。
【0047】
[5]各ノーマル水道メータに備えたインナーケースの外筒壁の内面に、前記実施形態の乱流生成突条34を設け、No1〜No10の乱流器付き水道メータを製作した。
[6]各乱流器付き水道メータに対し、前記ノーマル水道メータと同様の実験(上記[2]〜[4])を行った。その結果が、表2に示されている。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
[実験結果]
表1に示すように、ノーマル水道メータでは、設定流量毎の測水道メータの器差のばらつきが、
【0051】
σ=0.80、1.15、1.13、1.23、であったのに対し、
【0052】
表2に示すように、乱流器付き水道メータでは、設定流量毎の測水道メータの器差のばらつきは、
【0053】
σ=1.01、0.90、0.84、0.70であり、
【0054】
全体として、乱流器付き水道メータの方が、ノーマル水道メータより器差のばらつきが小さくなった。これにより、本発明の係る「乱流生成突条」により、器差のばらつきを小さくすることが可能であることが分かった。
【0055】
また、これらの結果を、前記した流量を多めに計測する傾向にあるもの5台と、少なめに計測する傾向にあるもの5台とに分けて解析すると、以下のようになった。
【0056】
ノーマル水道メータで、流量を多めに計測する傾向にあるもの5台による設定流量毎の器差のばらつきをσ1とし、少なめに計測する傾向にある5台のばらつきをσ2とし、また、乱流器付き水道メータでも同様に、流量を多めに計測する傾向にあるもの5台のばらつきをσ3、流量を少なめに計測する傾向にあるもの5台のばらつきをσ4とすると、
【0057】
σ1=0.47,0.47,0.43,0.51
σ2=0.24,0.35,0.40,0.38
σ3=0.36,0.39,0.24,0.32
σ4=0.21,0.16,0.37,0.44
【0058】
となり、多めに計測する傾向のものか、少なめに計測する傾向のものかに関わらず、乱流生成突条を設けることで、器差のばらつきを小さくすることができると分かった。
【0059】
<実施例2>
本発明に係る羽根車に備えた「浮圧壁」の効果を調べるべく以下の実験を行った。実験方法は以下の通りである。
[1]従来の羽根車を備えた8台の旧型水道メータと、前記実施形態の浮圧壁56と同様の浮圧壁を有する羽根車を備えた8台の新型水道メータとに、それぞれ1000時間の間、所定の流量で水道水を流す。
[2]設定流量毎に、8台の旧型水道メータの器差平均と、8台の新型水道メータの器差平均とを求めてグラフ化する。
【0060】
[実験結果]
実験結果は、図11のグラフに示すように、浮圧壁を有する羽根車を備えた8台の新型水道メータが、旧型水道メータより、計測精度が良いことがわかる。このことから、羽根車に「浮圧壁」を設けることとで、耐久性が向上することがわかった。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0063】
(1)前記実施形態では、乾式水道メータに本発明を適用したものを例示したが、インナーケースを備えたものであれば、湿式水道メータに本発明を適用してもよい。
【0064】
(2)前記実施形態の羽根車50には、円盤状の浮圧壁56を羽根52とは別個に設けてあったが、例えば、羽根52の下端部を斜めに屈曲させて、羽根車を浮かせる構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る水道メータの側断面図
【図2】羽根車の側断面図
【図3】羽根車の平面図
【図4】内筒壁の下方斜視図
【図5】インナーケースを上方から見た平断面図(図8のA−A断面図)
【図6】インナーケースを下方から見た平断面図(図8のB−B断面図)
【図7】インナーケースの下方から見た下面近傍の平断面図(図8のC−C断面図)
【図8】インナーケースの側断面図(図5のD−D断面図)
【図9】外筒壁の部分側面図
【図10】インナーケースの成型用金型の部分斜視図
【図11】実験2の結果を示したグラフ
【図12】従来の水道メータの部分破断斜視図
【図13】従来の水道メータの平断面図
【符号の説明】
20…インナーユニット
21…インナーケース
22…内筒壁
22A…内面
22B…外面
23…外筒壁
23S…隙間
24…中間壁
25…排出孔
27…底壁
29…導入孔
30…誘導突片
32…流入口
33…流出口
34…乱流生成突条
50…羽根車
56…浮圧壁
59…ピン
60…樹脂成形用金型
61,62…開閉型
61A…内面成形型
62A…外面成形型
Claims (4)
- 水道メータの内部で、流量に応じて回転する羽根車の周りを覆う内筒壁と、前記内筒壁の一端を閉じた底壁とを備えてなるインナーケースであって、射出成形した合成樹脂で構成され、前記内筒壁のうち前記底壁寄り位置には、径方向と斜めに交差する方向に向けて、前記内筒壁内に水道水を取り込むための導入孔が周方向に複数設けられると共に、前記内筒壁のうち前記底壁から離れた端部寄り位置には、前記内筒壁から水道水を排出するための排出孔が設けられたインナーケースにおいて、
前記各導入孔の縁部のうち前記内筒壁の軸方向に延びた一側縁部から、それら各導入孔を覆うように斜め外方に向けて誘導突片を張り出し形成し、
前記軸方向で前記導入孔を挟んで前記底壁から離れる側の前記内筒壁の内面と、前記底壁側の前記内筒壁の外面とを面一とし、
前記内筒壁の周りを覆う両端開放筒形の外筒壁と、前記導入孔のうち前記底壁から離れた側の縁部と前記誘導突片との間を繋ぐと共に、前記内筒壁と前記外筒壁との間の隙間を、前記導入孔が開放した流入部屋と、前記排出孔が開放した流出部屋とに隔絶する中間壁とを設け、
前記外筒壁には、前記流入部屋を外方に開放した流入口と、前記排出部屋を外方に開放した流出口とが形成され、
前記流入口及び前記流出口は、上下の端縁が前記外筒壁の軸方向の両端寄り位置に達する大きさをなし、前記流入口の奥では、前記中間壁が前記内筒壁から斜め上方に延びて前記流入口の上縁部に繋げられる一方、前記流出口の奥では、前記中間壁が前記内筒壁から斜め下方に延びて前記流出口の下縁部に繋げられていることを特徴とする水道メータのインナーケース。 - 前記外筒壁の内面には、周方向の複数位置に、前記外筒壁の軸方向に延びた複数の乱流生成突条が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の水道メータのインナーケース。
- 請求項1又は2に記載の水道メータのインナーケースと、上下方向に延びた軸部の外周面から複数の羽根を張り出してなりかつ前記インナーケースに収容された羽根車と、前記羽根車の軸部に備えられ、下端開放、上端有底の円筒体と、前記インナーケースの前記底壁から起立し、前記円筒体内に挿入されて上端部が前記円筒体の上端部に突き当てられたピンとを備えてなるインナーユニットであって、
前記羽根車には、前記導入孔から前記内筒壁内に流入した水道水の水圧を、前記羽根車を前記ピンから浮かす方向に受ける浮圧壁が設けられ、その浮圧壁は、前記羽根の上下方向における中間に配置されて前記円筒体から側方に張り出した円板状をなしかつ、前記浮圧壁の外径は、前記羽根の旋回径より小さいことを特徴とする水道メータのインナーユニット。 - 請求項1又は2に記載のインナーケース又は請求項3に記載のインナーユニットを備えたことを特徴とする水道メータ。
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