JP4146688B2 - 表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保温保冷箱、床やドアに用いられる軽量断熱パネル、パレット、自動車部材等として用いられる多層ポリプロピレン系樹脂発泡成形品であって、とりわけ自動車のトランクリッド、低温輸送に使用される保冷箱、パレットのように剛性と低温耐衝撃性を要求される用途に適した成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のトランクリッドのような高い曲げ剛性と低温耐衝撃性能を併せ持つ部材は、ソリッドブロー成形製の二重壁構造体といわれるリブ構造を有する成形品が使用されている(例えば、特許第3236680号、特開平10−217320号)。これらの成形品は曲げ剛性と低温耐衝撃性を満足させるために、ソリッドの厚みが大きく、かつ特殊形状のリブが多数配置されている。このため成形品全体が重いものとならざるを得なく、軽量化が求められている。
また食品の低温輸送に使用される保冷箱の場合、従来はポリスチレン系樹脂発泡粒子から成形されたポリスチレン系樹脂発泡体からなる箱等の使い捨て型のものが殆どであり、洗浄可能なリターナブルの通い箱が以前から要求されているが、低温衝撃性、繰返し使用に充分耐える強度を有し、軽量性であるといった物性と価格の全てを満足し得るものは見られないのが実情である。
【0003】
また、多層発泡樹脂層の表面に熱可塑性樹脂層を有する中空の多層パリソンを金型で圧縮しながら成形しパリソンの内面同士を融着させた多層樹脂発泡体を得る方法が、例えば、特開平6−312449号、特開2001−47537号に提案されているが、この方法では、表面樹脂層の強度、特に低温耐衝撃性、曲げ弾性率が必ずしも充分満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低温時の耐衝撃性、曲げ強さなどの機械的物性、耐久性、及び軽量性に優れた表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく、鋭意検討の結果、発泡多層パリソンを型内で、該多層パリソンの内面同士の少なくとも一部を相互に融着した表皮層を有するポリプロピレン系樹脂発泡成形品において、表皮層を形成する発泡多層パリソンの樹脂層が、特定のアイゾット衝撃強度、特に低温耐衝撃強度、および特定の曲げ弾性率を有するポリプロピレン系樹脂と高密度ポリエチレンおよび相溶化剤、またはポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系エラストマー等で構成することにより、低温時の耐衝撃性、曲げ剛性、耐久性に優れ、かつ軽量な表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡層の外側に樹脂層を有する筒状の発泡多層パリソンを、該多層パリソンの内面同士が少なくとも一部において融着するように金型にて挟み込んで成形してなる表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品において、該表皮層は、ポリプロピレン系樹脂、密度0.94〜0.97g/cm 3 のポリエチレン及び相溶化剤からなる樹脂組成物(1)、又は、ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系エラストマーからなる樹脂組成物(2)により構成され、前記樹脂組成物(1)又は(2)中にはポリプロピレン系樹脂が40重量%以上含有し、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも800MPaを有し、低温時のアイゾット衝撃値(ノッチ付き、−25℃)が少なくとも10KJ/m2であることを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品。
【0007】
(2)ポリプロピレン系樹脂発泡成形品に対する表皮層の重量比率が0.35〜0.7、該発泡成形品の単位面積あたりの重量が2〜10kg/m2、厚みが10〜50mmであり、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも1000MPaであることを特徴とする上記(1)に記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品からなるパネル。
【0008】
(3)表皮層の少なくとも片面に繊維表皮材が設けられていることを特徴とする上記(2)記載のパネル。
【0009】
(4)ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を添加し混練して得られる発泡性溶融樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも1000MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2である密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレンを20〜100重量部、および該ポリプロピレン系樹脂と該ポリエチレンとの混合樹脂100重量部に対して相溶化剤を2〜20重量部からなる樹脂組成物(1)を混練して得られる溶融樹脂(B)とを共押出しすることにより、上記発泡性溶融樹脂(A)が発泡してなる発泡層の外側に、上記溶融樹脂(B)よりなる樹脂層を有する発泡多層パリソンを成形し、次いで該多層パリソンの内面同士の少なくとも一部において融着するように成形型にて成形することを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
【0010】
(5)相溶化剤がジエン成分を含む熱可塑性エラストマーおよび該熱可塑性エラストマーの水添物から選択される1種以上であることを特徴とする上記(4)に記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
【0011】
(6)ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を添加し混練して得られる発泡性溶融樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂および該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも40MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2であるポリオレフィン系エラストマーを10〜80重量部からなる樹脂組成物(2)を混練して得られる溶融樹脂(C)とを共押出しすることにより、上記発泡性溶融樹脂(A)が発泡してなる発泡層の外側に、上記溶融樹脂(C)よりなる樹脂層を有する発泡多層パリソンを成形し、次いで該多層パリソンの内面同士の少なくとも一部において融着するように成形型にて成形することを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
【0012】
(7)発泡多層パリソンと金型との間に繊維シートを配置し、型締めの際に多層パリソンと繊維シートを熱圧着するとともに、該多層パリソンを成形型にて成形し、成形品表面の少なくとも一部に繊維表皮材が設けられた発泡成形品を得ることを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれかに記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品は、発泡多層パリソンを所望形状に成形し得る金型に挟みこんで発泡層が潰されない程度に圧縮成形することにより得られ、ポリプロピレン系樹脂発泡層の外側にポリプロピレン系樹脂、密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレンおよび相溶化剤で構成される非発泡樹脂層、またはポリプロピレン系樹脂およびポリオレフィン系エラストマーで構成される非発泡樹脂層が形成された表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品であり、該表皮層はポリプロピレン系樹脂を40重量%以上含有し、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも800MPaを有し、低温時のアイゾット衝撃値(ノッチ付き、−25℃)が少なくとも10KJ/m2を有するものである。
【0014】
本発明を、図面により詳細に説明する。本発明の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品(以下、単に発泡成形品ということがある)の具体的な一例の断面図を図1に示す。図1において表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品1は、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡成形品発泡層(以下、単に成形品発泡層ということがある)12の外側が表皮層13で覆われた構造を有する。
図2は本発明の表皮層付き発泡成形品を得る発泡多層パリソン5の一例を示す一部切欠斜視図を示す。図2の発泡多層パリソン5は、成形品発泡層12を形成する発泡層2の外側に、表皮層13を形成する樹脂層3が積層された構成を有する。
【0015】
本発明における発泡多層パリソン5は、発泡層2を構成するポリプロピレン系樹脂に発泡剤を添加し押出機内で溶融混練して調製される発泡性溶融樹脂(A)と、外面の樹脂層3を構成するポリプロピレン系樹脂、密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレン(以下、単に高密度ポリエチレンということがある)および相溶化剤からなる樹脂組成物(1)を押出機内で混練した溶融樹脂(B)、またはポリプロピレン系樹脂およびポリオレフィン系エラストマーからなる樹脂組成物(2)を押出機内で混練した溶融樹脂(C)とを、共押出用ダイから低圧域に共押出し発泡性溶融樹脂を発泡させることにより外側に上記樹脂組成物(1)または(2)からなる樹脂層3を有し内部に発泡層2を有する発泡多層パリソン5が得られる。
【0016】
本発明の表皮層付き発泡成形品の発泡層12を構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体、プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。プロピレンと共重合可能な他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等の炭素数2〜10のα−オレフィンが例示される。また、上記の共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。さらに二元共重合体の他に三元共重合体であってもよい。またこれらのプロピレン系樹脂は単独でまたは混合して使用される。上記の共重合体を使用する場合は、共重合体中のプロピレン成分が65重量%以上、好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上であることが望ましい。
【0017】
また、上記ポリプロピレン系樹脂には、ポリプロピレン本来の特性を損なわない範囲で、他のポリマー、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン系樹脂等所望に応じて混合することができる。
【0018】
上記のポリプロピレン系樹脂は、低い見かけ密度を有し、厚みのある発泡層を得るためには、230℃におけるメルトフローレイト(MFR)が2〜15g/10分の範囲にあり、またメルトテンション(MT)が3〜30gfの範囲であることが望ましい。
【0019】
上記のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210に記載されている230℃、荷重2.16kgfで測定される値が採用される。
またメルトテンション(MT)は、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型によって測定される。具体的には、ノズル径2.095mm、長さ8mmのノズルを有するメルトテンションテスターを用い、前記のノズルから樹脂温度230℃、押出しピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押出し、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/sec(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/sec2)程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させて行きながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。そして、先ず張力検出用プーリーに掛けた紐状物が切れるまで捲取り速度を増加させ、紐状物が切れたときの捲取り速度をR(rpm)を求める。
次いで、R×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において捲取りを行なって張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物の溶融張力(MT)を経時的に測定し、縦軸にMT(gf)を、横軸に時間(秒)を取ったチャートに示すと、図5に示されるように振幅を示すグラフが得られる。図5において、本発明におけるMTは、振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)とする。
ただし、捲取り速度が500rpmに達しても紐状物が切れない場合には、捲取り速度500rpmにおいて捲取りを行なって得られるグラフから上記の通り測定される値を溶融張力(MT)とする。
【0020】
本発明の表皮層付き発泡成形品において、曲げ弾性率が少なくとも800MPaを有し、低温時のアイゾット衝撃値(ノッチ付き、−25℃)が少なくとも10KJ/m2の表皮層13を形成する樹脂層3は、ポリプロピレン系樹脂を少なくとも40重量%含有させ、更に高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴムやポリオレフィン系エラストマーなどの低温脆性を改善するための重合体を配合することにより調整される。該樹脂層を構成する樹脂組成物の好ましい具体例としては、ポリプロピレン系樹脂、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも1000MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2である密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレンを20〜100重量部、およびポリプロピレン系樹脂と該ポリエチレンとの混合樹脂100重量部に対して相溶化剤を2〜20重量部からなる樹脂組成物(1)、またはポリプロピレン系樹脂、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも40MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2であるポリオレフィン系エラストマーを10〜80重量部からなる樹脂組成物(2)が挙げられる。
表皮層13を形成する樹脂層3のポリプロピレン系樹脂の含有量が40重量%未満であると、厚みによる差異はあるものの軽量性に優れた発泡成形品を得ようとする場合、表皮層の曲げ弾性率が不十分なものとなることから成形品発泡層による補強効果が付加されたとしても得られる発泡成形品の曲げ物性が不十分なものとなってしまう。また、発泡層に表皮層が直接積層される場合は、発泡層と表皮層との接着性が不十分となる虞がある。
尚、樹脂層3に使用されるポリプロピレン系樹脂としては、前述した発泡層2に使用されるポリプロピレン系樹脂と同様のものが挙げられる。
【0021】
上記樹脂組成物(1)において、高密度ポリエチレンは本発明の表皮層付き発泡成形品における表皮層13の耐衝撃性、特に低温時の耐衝撃性の向上に効力を有するものである。そのような効果を発揮し得る高密度ポリエチレンは曲げ弾性率が少なくとも1000MPaであり、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2であることを要する。上記樹脂組成物(1)からなる表皮層を有する本発明の発泡成形品においては、使用される高密度ポリエチレンは上記の両者の物性値を満足することが必要であり、上記の両者の物性値を満足する高密度ポリエチレンが含まれる樹脂組成物(1)からなる表皮層付き発泡成形品は、曲げ強さ及び低温時の耐衝撃性が極めて優れたものとなる。
【0022】
また、本発明において、上記の高密度ポリエチレンを発泡多層パリソン5の樹脂層3の構成成分の一つとして使用することにより、ダイから押出した際、多層パリソン5のドローダウンを抑制することができ、またコルゲートの発生を抑制することができる作用効果をも有し、厚み及び密度が均一で外観が良好な発泡成形品を得ることができる。
【0023】
本発明に用いられる高密度ポリエチレンとしては、耐衝撃性が高く、かつ曲げ弾性率も高いものが要求されるが、一般的に耐衝撃性の高い高密度ポリエチレン原料には、1)高分子量化、2)狭分子量分布化、3)低弾性率化といった設計がなされている。1)高分子量化は脆さの改善に有効であり、2)の狭分子量分布化は、低分子量成分の排除を目的としている。3)の低弾性率化は柔らかくすることで衝撃の応力を分散させるものである。
本発明に使用される高密度ポリエチレンは、1)の高分子量化と2)狭分子量分布化によって耐衝撃性が改良されたものである。このような高密度ポリエチレンは、例えば、出光石油化学社から市販されている商品名:IDEMITSU HD「520MB」、「310E」などがあり入手することができる。
【0024】
高密度ポリエチレンの配合量は、上記樹脂組成物(1)におけるポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、20〜100重量部が使用される。高密度ポリエチレンの配合割合がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、20重量部未満の場合には、得られる発泡成形品において用途によっては低温時の耐衝撃性が不十分なものとなる。一方、高密度ポリエチレンの配合割合がポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、100重量部を超えると、流動性が低下し良好な共押出し発泡が難しくなり、また、得られる発泡成形品において曲げ物性が不十分なものとなる。これらの事情を勘案して、上記樹脂組成物(1)において高密度ポリエチレンの配合量は、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、30〜90重量部が好ましく、更に40〜80重量部が好ましい。
【0025】
本発明において、上記樹脂組成物(1)を構成する相溶化剤としては、例えば、スチレン−エチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレングラフト共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物等が挙げられる。上記相溶化剤のうち、特にジエン成分を含む熱可塑性エラストマーおよび該熱可塑性エラストマーの水添物から選択される1種以上であることが、樹脂組成物(1)を表皮層として有する発泡成形品の低温時の耐衝撃性の改善効果に特に優れる点で好ましい。上記の相溶化剤としては、例えば、住友化学社から市販されている商品名「ダイナロン6200P」、旭化成社から市販されている商品名「タフテックH1141」などがあり入手することができる。
【0026】
本発明における相溶化剤は、表皮層付き発泡成形品の表皮層の耐衝撃性、特に低温耐衝撃性の向上に寄与する重要な成分であり、該相溶化剤の配合量は、上記樹脂組成物(1)におけるポリプロピレン系樹脂と高密度ポリエチレンとの混合樹脂100重量部に対して、2〜20重量部が使用される。該相溶化剤が2重量部未満では低温耐衝撃性の向上は殆ど認められず、一方該相溶化剤が20重量部を超える場合には、表皮層の曲げ剛性等の強度が低下し用途によっては得られる発泡成形品の曲げ物性が不十分なものとなる。したがって、上記樹脂組成物(1)において、相溶化剤の配合量は、該混合樹脂100重量部に対して、5〜20重量部が好ましく、更に5〜15重量部であることが好ましい。
尚、上記樹脂組成物(1)からなる表皮層付き発泡成形品は、自動車のトランクリッドとして好適なものである。
【0027】
本発明の上記樹脂組成物(2)におけるポリオレフィン系エラストマーは、曲げ弾性率が少なくとも40MPaであり、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2を有するものが使用される。
このような物性値を有するポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのポリオレフィン系ゴム、ハードセグメントとしてポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を成分とする複合材料である。このようなポリオレフィン系エラストマーは、例えば、出光石油化学社から市販されている商品名:IDEMITSU TPO「M142E」、「M452E」などがあり入手することができる。
【0028】
上記樹脂組成物(2)からなる表皮層を有する本発明の発泡成形品において、上記ポリオレフィン系エラストマーは表皮層付き発泡成形品の曲げ剛性等のポリプロピレン系樹脂に因る強度を維持しつつ表皮層の耐衝撃性の向上に寄与する機能を有するものであり、上記物性値の両者を満足することが必要である。
上記の両者の物性値を満足するポリオレフィン系エラストマーが含まれる樹脂組成物(2)からなる表皮層付き発泡成形品は、前記樹脂組成物(1)からなる表皮層付き発泡成形品と比べて、曲げ強度において多少劣るものではあるが低温時の耐衝撃性が極めて優れたものとなる。
【0029】
本発明において上記樹脂組成物(2)を構成する上記ポリオレフィン系エラストマーは、樹脂組成物(2)を構成するポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、10〜80重量部が使用される。該オレフィン系エラストマーが10重量部未満では、得られる表皮層付き発泡成形品の所期の目的とする耐衝撃性、特に低温時の耐衝撃性を向上させることができない。一方、80重量部を超える配合量では、表皮層の曲げ剛性等の強度が低下し、得られる表皮層付き発泡成形品の曲げ物性が不十分なものとなってしまう。したがって上記樹脂組成物(2)において、ポリオレフィン系エラストマーの配合量は、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して20〜80重量部が好ましく、更に30〜70重量部であることが好ましい。
尚、上記樹脂組成物(2)からなる表皮層付き発泡成形品は、低温輸送に使用される保冷箱として好適なものである。
【0030】
本発明の表皮層付き発泡成形品の発泡層12を形成するために発泡多層パリソン5の発泡層2を構成するポリプロピレン系樹脂に添加される発泡剤は、物理発泡剤、化学発泡剤のいずれも使用することができるが、発泡倍率の高い発泡層を得るには物理発泡剤を使用することが好ましい。物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水等の無機ガスが挙げられる。また、化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
発泡剤の添加量は、所望する発泡倍率を考慮して決められるが、本発明の表皮層付き発泡成形品においては、概ね、物理発泡剤を基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂1kgに対して、0.15〜0.8モルの割合で使用する。
【0031】
また、本発明の表皮層付き発泡成形品の発泡成形品発泡層12を形成する発泡多層パリソン5の発泡層2を構成するポリプロピレン系樹脂には、タルク等の気泡調整剤が添加される。気泡調整剤は通常ポリプロピレン系樹脂に添加しマスターバッチの形態で使用される。気泡調整剤の添加量は、通常、基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂に対して0.1〜10重量%である。
【0032】
また、発泡成形品発泡層12、表皮層13を形成する発泡多層パリソン5の発泡層2および樹脂層3には、必要に応じて、赤外線吸収剤、難燃剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の各種の添加剤を適宜配合することができる。
【0033】
次に、図3、図4により本発明の表皮層付き発泡成形品1の製造方法を説明する。図3、図4は本発明表皮層付き発泡成形品の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。図3に示すように、例えば、発泡多層パリソン5を形成するに際して各層を形成する基材樹脂をそれぞれ個別の押出機(図示しない)内で溶融混練し、これらをダイ21内で合流し積層させながら押出機から低圧域に押出して発泡多層パリソン5を得る。この際、押出機とダイ21との間に、またはダイ内にアキュムレーターを配置することが好ましい。
【0034】
発泡多層パリソン5から表皮層付き発泡成形品1を製造するには、押出された発泡多層パリソン5を、図3に示すように、発泡多層パリソン5の側面を分割形式の成形型の金型22aと金型22b等複数の分割成形型にて挟むように閉鎖する。成形型を閉鎖して行くとキャビティー24内で発泡多層パリソン5が圧縮されて偏平状に変形されながら、発泡多層パリソンが成形型内面に密着され、図4に示すように成形型の閉鎖が完了すると発泡多層パリソンの内面同士の少なくとも一部が接合され一体化されて本発明の表皮層付き発泡成形品が得られる。なお、図3、図4に示すように成形型に減圧用配管23を設けた成形型を使用し、減圧しながら成形することにより発泡多層パリソンの外側表面と成形型の内面とが充分に密着し、成形型形状を良好に反映した発泡成形品を得ることができ、得られる発泡成形品の外観も良好なものとなる。
尚、発泡多層パリソンの内面同士の少なくとも一部が接合されて形成される本発明の表皮層付き発泡成形品において、発泡多層パリソンの内面同士の接合割合は、該多層パリソンの内面の全表面積に対して、50%以上、更に75%以上、特に80〜100%の面積において接合されていることが、得られる発泡成形品の機械的物性がより向上することから好ましい。
【0035】
また、上記発泡成形品の製造方法において、発泡多層パリソンと成形型との間に、繊維シートを配置し、型締めの際に多層パリソンと繊維シートを熱圧着するとともに、該多層パリソンを成形型にて成形し、成形品表面の少なくとも一部に繊維表皮材が設けられた発泡成形品を得ることができる。上記方法にて得られる繊維表皮材を設けた発泡成形品は、中空ソリッドブロー成形に比べて本発明の上記成形は、成形時の成形型温度が低いこと、成形型に対する成形時の面圧が低いことから繊維表皮材の厚みの減少、ソフト感の減少等の傷みが見られない良好な繊維表皮層付き発泡成形品を得ることができる。尚、上記繊維シートとしては、ポリプロピレン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維等の合成繊維、その他、天然繊維等、からなる織布又は不織布からなる目付量50〜600g/m2、好ましくは目付量100〜500g/m2のシートが挙げられる。
【0036】
発泡多層パリソンとして、ポリプロピレン系樹脂発泡層2の外側に樹脂層3を有する筒状の発泡多層パリソンを使用したものについて、本発明を説明したが、ポリプロピレン系樹脂発泡層2の内側にその他の樹脂層が形成された発泡多層パリソンや、ポリプロピレン系樹脂発泡層2と該発泡層2の外側に形成された樹脂層3との間にその他の樹脂層が形成された発泡多層パリソンを使用して本発明の発泡成形品を得ることができる。上記その他の樹脂層としては、前述のポリプロピレン系樹脂や、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などガスバリヤー性、防湿性、更なる剛性などを発泡成形品に付加できる機能性素材が好ましい。
【0037】
上記のような方法により得られる本発明の表皮層付き発泡成形品1は、該表皮層にポリプロピレン系樹脂が40重量%以上含有し、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも800MPa、好ましくは1000MPaを有し、低温時のアイゾット衝撃値(ノッチ付き、−25℃)が少なくとも10KJ/m2、好ましくは20KJ/m2であることを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品であり、したがって、耐衝撃性、特に低温時の耐衝撃性に優れ表面に衝撃が加わっても簡単にひび割れ、亀裂等が生じない発泡成形品であり、特定の曲げ弾性率を有する表皮層と発泡成形品発泡層との複合効果により曲げ及び圧縮等の機械的強度に優れ、重量物を載置しても撓むことがない発泡成形品である。
【0038】
また、本発明の発泡成形品は表皮層と発泡成形品発泡層との複合効果により表皮層を薄くして軽量性を高めても十分な曲げ強度を得ることができ、図6に示す従来の中空ソリッドブロー成形品と本発明の発泡成形品とを比較した、3mmたわみ荷重と成形品坪量(単位面積当たりの重量)の関係を現すグラフの通り、優れた軽量性と剛性を兼備したものが得られる。したがって、優れた軽量性と剛性を兼備するものが得られる点から本発明の発泡成形品は、ポリプロピレン系樹脂発泡成形品に対する表皮層の重量比率については0.35〜0.7、更に0.4〜0.6のものが好ましく、該発泡成形品の密度については0.5〜0.05g/cm3であることが好ましく、表皮層の厚みについては0.5〜3mm、更に1〜2mmであることが好ましい。
また、本発明の発泡成形品を構成する発泡成形品発泡層の独立気泡率は70%以上、更に80%以上であることが該成形品の圧縮、曲げなどの機械的物性において特に優れたものとなるため好ましい。
【0039】
本発明の発泡成形品を板状に形成してトランクリッドなどのパネルとする場合には、ポリプロピレン系樹脂発泡成形品に対する表皮層の重量比率が0.35〜0.7、該発泡成形品の単位面積当たりの重量が2〜10kg/m2、厚みが10〜50mmであり、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも1000MPaであることが耐衝撃性、特に低温時の耐衝撃性に優れ表面に衝撃が加わっても簡単にひび割れ、亀裂等が生じないパネルであり、特定の曲げ弾性率を有する表皮層と発泡成形品発泡層との複合効果により軽量で優れた剛性を有し、曲げ及び圧縮等の機械的強度に優れ、重量物を載置しても撓むことがない発泡成形品である。
【0040】
更に、本発明の発泡成形品からなるパネルは、3mmたわみ時の曲げ強さ(N)と該パネルの単位面積当たりの重量及び該パネルの厚みとの関係が下記(1)式を満足するものであることが好ましい。下記(1)式を満足することにより、従来の中空ソリッドブロー成形品では得ることの出来なかった優れた軽量性と剛性を兼備したパネルとなる。尚、下記(1)式を満足するパネルが得られる理由は、表皮層と発泡成形品発泡層との複合効果に起因する。即ち、中空ソリッドブロー成形品パネルの強度は、リブなどの構造的な構成、樹脂の種類等にも因る部分もあるが、基本的には該ブロー成形品を構成する樹脂の厚みにより大きく左右され、結局のところ十分な剛性を有するものを得るためには樹脂厚みを厚くする必要があり、そのことが得られるパネルの重量を支配する。それに対し本発明の発泡成形品パネルは表皮層と内部の発泡成形品発泡層とが積層接着してなるものであり、十分な剛性を有するものを得るために、中空ソリッドブロー成形品の樹脂に相当する表皮層の厚みを厚くしなくても発泡成形品発泡層が積層されている効果によって十分な剛性を発揮できる。そのことにより、表皮層の厚みを薄くしてパネルの重量を低減しても剛性が大きく低下することがない。
【数1】
Y≧58X+0.4Z2−6Z−120・・・(1)
Y:3mmたわみ時の曲げ強さ(N)
X:発泡成形品の坪量(g/m2)
Z:発泡成形品の厚み(mm)
尚、3mmたわみ時の曲げ強さ(N):Yは、成形品が3mmたわむのに必要な荷重値。試験はJIS K 7221(1999)に準拠し、試験速度;10mm/min、支点間距離;200mm、加圧圧子半径;25mm、支持台半径;15mmで実施し、試験片寸法は長さ;250mm、幅;70mm、厚さ;発泡成形品の厚みとした。
【0041】
尚、本明細書において発泡成形品発泡層12の見かけ密度は次のようにして求められる。すなわち、表皮層付き発泡成形品1から発泡層のみを、できるだけ全厚みに亘って切り出し、切り出したサンプルの重量(g)を、その外形の寸法より求められる体積(cm3)で除して求められる。但し、上記見かけ密度の測定は20個以上の切り出しサンプルについて行ない、各々の切り出しサンプルから求められる見かけ密度の内、最大値と最小値を除いたものの算術平均値をもって発泡成形品発泡層12の見かけ密度とする。
【0042】
また、本明細書において発泡成形品の密度は、発泡成形品の重量(g)を、発泡成形品の体積(cm3)で除して求められる値である。発泡成形品の体積は水没法などにより求めることができる。
【0043】
また、本明細書において発泡成形品および表皮層の厚みは、発泡成形品の垂直断面より、必要に応じて顕微鏡写真により拡大し、測定することができる。但し、上記厚みの測定は垂直断面において等間隔に20箇所において厚み測定を行ない、求められる20箇所の厚みの内、最大値と最小値を除いた18箇所の厚みの算術平均値をもって発泡成形品または表皮層の厚みとする。
【0044】
また、本明細書において、発泡成形品発泡層の独立気泡率の測定は、ASTM−D2856−70(1976再認定)の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(発泡成形品発泡層から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された成形表皮を持たないカットサンプルをサンプルカップ内に収容して測定する。ただし、厚みが薄く厚み方向に20mmのカットサンプルが切り出せない場合には、複数枚のカットサンプルを使用し、例えば、25mm×25mm×10mmのサイズのカットサンプルを2枚同時に使用して、サンプルカップ内に収容して測定すればよい。)された発泡成形品発泡層(カットサンプル)の真の体積Vxを用い、(2)式により独立気泡率S(%)を計算する。尚、一つの発泡成形品発泡層に対して3箇所の異なる部分からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルについて上記測定を行ない得られた値の平均値を独立気泡率とする。
【数2】
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (2)
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:発泡成形品発泡層を構成する樹脂の密度(g/cm3)。
【0045】
また、本明細書において、表皮層の曲げ弾性率は以下の通り求められる。
すなわち、JIS K 7171(1994)に準拠する形で、試験片の作製並びに測定を実施した。具体的には、表皮層を切出してリペレットしたものを射出成形機にて長さ;80mm、幅;10mm、厚さ;4.0mmの試験片を作製し,試験速度;10mm/min、半径5.0mmの支持台及び圧子で、支点間距離68mmにて測定し、曲げ弾性率を求めた。尚、試験片は測定前に規格に従った状態調節を行った。また、原料の曲げ弾性率については、該原料を使用して射出成形により試験片を作製する以外上記方法と同様にして測定を行なうこととする。
【0046】
また、本明細書において、表皮層のアイゾット衝撃値(KJ/m2)(ノッチ付き、−25℃)は以下の通り求められる。
すなわち、JIS K7110(1999)に準拠する形で、ノッチ付き試験片のアイゾット衝撃値の測定を実施した。具体的には、表皮層を切出してリペレットしたものを用い、射出成形機にてJIS K7110(1999)附属書Aに規定される2号試験片Aノッチ寸法の試験片を作製し、ひょう量0.12Jで測定を行った。試験片の状態調節は−25℃とし、JIS K7110(1999)附属書1に則って、−25℃の恒温室内で必要時間保持し、同室内にて測定を行う手法で実施した。また、原料のアイゾット衝撃値は、該原料を使用して射出成形により試験片を作製すること、試験片の状態調節は23℃、50%RHの恒温室内で必要時間保持し、23℃の同室内にて測定を行なう以外は、上記方法と同様にして測定を行なうこととする。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0048】
実施例1〜9、比較例1〜6
発泡成形品発泡層を形成する発泡多層パリソンの発泡層は、表1,2に示す発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、ステアリン酸ナトリウム5重量部およびタルク10重量部を低密度ポリエチレン100重量部に配合して調整した気泡調整剤マスターバッチ3.1重量部を基材樹脂のポリプロピレン系樹脂に混合し、内径65〜90mmの2連押出機に供給し、加熱溶融混練した後、基材樹脂1kgに対して、表1,2に示す発泡剤注入量の二酸化炭素発泡剤を押出機の途中から圧入し、混練して発泡性溶融樹脂とした。一方、表皮層を形成する樹脂層は表1,2の原料配合に着色剤を配合し、内径65mmの押出機に供給し、加熱溶融混練して非発泡性溶融樹脂とした。
【0049】
次いで、発泡性溶融樹脂の温度を162℃、非発泡性溶融樹脂の温度を185℃に調整して、それぞれの押出機に連結された別々のアキュムレーターに充填し、各アキュムレーターのラムを同時に押すと共にダイの先端に配置されたゲートを開き溶融樹脂をダイ内にて両者を合流させてから共押出しすることにより多層筒状成形物(発泡多層パリソン)を形成した。なお、実施例1〜5、および比較例1〜6においては吐出量65kg/(hr・cm2)、実施例6〜9においては吐出量150kg/(hr・cm2)とした。尚、アキュムレーターからダイ内に注入された各溶融樹脂はダイの先端付近に設置されたゲート付近で合流し、層状になってダイより排出され、樹脂層(外側)/発泡層(内側)からなる多層筒状成形物(発泡多層パリソン)を形成した。
【0050】
次いで、押出された発泡多層パリソンを挟むようにダイ直下に設置された図3に示すような2分割形式の成形型を閉鎖して行き、成形型内面で該発泡多層パリソンを圧縮して扁平状に変形させ、さらに成形型内を減圧して発泡多層パリソンを成形型内面に密着させて成形した後、冷却、離型して幅500mm、長さ1000mm、厚み1mmの表皮層を有する成形品厚み15〜30mmの表皮層付き発泡成形品パネルを得た。尚、上記の成形型には成形型内面に梨地加工を施したものを使用した。得られた成形物は表面平滑性がよく、収縮変形、座屈などが見られず外観が良好なものであった。この表皮層付き発泡成形品の断面を観察したところ発泡多層パリソン内面の発泡層同士が隙間なく融着した発泡成形品であった。なお、表3、表4において繊維シート「あり」は、成形型と発泡多層パリソンとの間にポリプロピレン繊維からなる不織布シートを配置して成形した。得られた表皮層付き発泡成形品の表皮層の曲げ弾性率および低温アイゾット衝撃値、ならびに発泡成形品の特性値を表3および表4に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
表3,4において、
耐衝撃性試験は、発泡成形品から200mm×200mm×厚み(発泡成形品厚み)のサイズに切出した試験片を、−25℃の雰囲気下に3時間以上保持した後、室温(温度23℃、湿度55%)に取出して2秒以内に任意の高さより球形の重錘(0.3kg)を落下させ、JISK7211に準じて落錘衝撃試験を行ない、試験片の損傷状態を目視にて評価した。
◎:落下高さ1m(破壊エネルギー3J)で試験片に損傷が見られない。
○:落下高さ1m(破壊エネルギー3J)では試験片に僅かな損傷が見られるが、落下高さ0.5m(破壊エネルギー1.5J)では損傷が見られない。
×:落下高さ0.5m(破壊エネルギー1.5J)で損傷が見られる。
【0056】
曲げ剛性試験は、JISK7203(1982)に準じて試験片の長さが成形品の長手方向となる長さ250mm×幅70mm×厚み(成形品の厚み)の試験片を作製し、支点の先端R=15mm、加圧の先端R=25mm、支点間の距離200mm、曲げ速度10mm/minとした。曲げ剛性の評価は、3mm撓み時の荷重を測定し、下記の基準に従い評価した。
◎:3mm撓み時の荷重が250N以上。
○:3mm撓み時の荷重が150N以上250N以下。
×:3mm撓み時の荷重が150N未満。
【0057】
実施例10〜13、比較例7〜9
表5に示す原料配合以外は、実施例1と同様にして多層筒状成形物(発泡多層パリソン)をダイより、吐出量65kg/(hr・cm2)で押出し、ダイ直下に設置された箱型形状の分割式成形型を閉鎖して行き、成形型内面で発泡多層パリソンを扁平状に変形させ、さらに成形型内を減圧して発泡多層パリソンを成形型内面に密着させて形成し、冷却、離型して、開口部外寸法:縦420mm、横350mm、容器高さ230mm、容器肉厚20mmの台形状容器を成形した。得られた発泡成形品は表面平滑性に優れ、収縮、座屈などは見られず、外観が良好なものであった。この発泡成形品の断面を観察したところ、発泡多層パリソン内面の発泡層同士が隙間なく融着した厚み1mmの表皮層を有する発泡成形品であった。得られた表皮層付き発泡成形品の表皮層の曲げ弾性率および低温アイゾット衝撃値、ならびに発泡成形品の特性値を表6に示した。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
表6において、
耐衝撃性試験は、容器および蓋成形品を、‐20℃の雰囲気下に3時間以上保持した後、室温(温度23℃、湿度55%)に取出して2秒以内に0.6mの高さよりコンクリート床上に角部より落下させ、成形品の損傷状態を目視にて評価した。
◎:落下試験後の成形品に亀裂、凹み等の損傷が見られた。
○:落下試験後の成形品に凹みは見られるが損傷は見られない。
△:落下試験後の成形品の表皮層にわずかな亀裂があり、かつ凹みを生じた。
×:落下試験後の成形品に大きな亀裂および凹みを生じた。
【0061】
剛性試験は、JISZ0212に準じて容器を3段に重ねた後、4700Nの圧縮荷重を加え、容器の破損、座屈などの異常の有無を下記の基準に従い評価した。
○:容器本体および蓋共に異常なし。
×:容器本体および蓋のいずれかに破損、座屈等の異常が見られた。
【0062】
尚、表1,2及び5中の原料の詳細は以下の通りである。
[PP]
PF814:モンテル・カナダ社製、ポリプロピレン単独重合体。
SD632:モンテル・カナダ社製、ポリプロピレン系樹脂。
J900GP:出光石油化学社製、ポリプロピレン単独重合体。
[HDPE]
520MB:出光石油化学社製、高密度ポリエチレン、密度0.964g/cm3,曲げ弾性率1500MPa、アイゾット衝撃値39KJ/m2以上。
[ポリオレフィン系エラストマー]
M142E:出光石油化学社製、ポリオレフィン系エラストマー、
曲げ弾性率45MPa、アイゾット衝撃値39KJ/m2以上。
M452E:出光石油化学社製、ポリオレフィン系エラストマー、
曲げ弾性率215MPa、アイゾット衝撃値39KJ/m2以上。
[相溶化剤]
Dynaron:住友化学社製、スチレン系エラストマー水添物。
【0063】
【発明の効果】
本発明の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品は、成形品内部に発泡層を有するものであるため同じ樹脂量の従来の中空ソリッドブロー成形品に比べて軽量であると共に、曲げ強度に優れ、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性に優れるものであり、自動車トランクリッド等として好適ものである。したがって、同じ強度の従来の中空ソリッドブロー成形品と比べて本発明の発泡成形品は軽量化が可能である。
【0064】
また本発明の表皮層付き発泡成形品は内部に独立気泡の発泡層を有することができるために、断熱性に優れるとともに、軽量で、曲げ強度に優れ、低温耐衝撃性にも優れているので繰り返し使用に充分耐え得るものであり、低温輸送用の保冷箱に好適である。
また従来の繰り返し使用可能な保冷箱として知られる中空ソリッドブロー成形品にウレタンを注入発泡させた製品は、最終製品を得るまでに複数の工程が必要で工程が煩雑であるが、本発明は1工程で最終製品とすることができる利点がある。
さらに、本発明の表皮層付き発泡成形品はオレフィン系樹脂で形成されておりリサイクル性にも優れている。
また、不織布等の繊維表皮材を発泡成形品の成形と同時に成形品の表面に設けることができ繊維表皮材の傷みが見られない良好な繊維表皮層付き発泡成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表皮層付き発泡成形品の一例を示す断面図。
【図2】本発明の表皮層付き発泡成形品の製造に用いられる発泡多層パリソンの一例を示す一部切欠斜視図。
【図3】本発明の表皮層付き発泡成形品の製造方法の一例を示す説明図。
【図4】本発明の表皮層付き発泡成形品の製造方法の一例を示す説明図。
【図5】溶融張力の測定における溶融張力と時間との関係を示すグラフ。
【図6】本発明の表皮層付き発泡成形品及び従来の中空ソリッドブロー成形品の坪量と曲げ強さの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 表皮層付き発泡成形品
12 発泡成形品発泡層
13 表皮層
2 発泡層
3 樹脂層
5 発泡多層パリソン
Claims (7)
- ポリプロピレン系樹脂発泡層の外側に樹脂層を有する筒状の発泡多層パリソンを、該多層パリソンの内面同士が少なくとも一部において融着するように金型にて挟み込んで成形してなる表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品において、該表皮層は、ポリプロピレン系樹脂、密度0.94〜0.97g/cm 3 のポリエチレン及び相溶化剤からなる樹脂組成物(1)、又は、ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系エラストマーからなる樹脂組成物(2)により構成され、前記樹脂組成物(1)又は(2)中にはポリプロピレン系樹脂が40重量%以上含有し、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも800MPaを有し、低温時のアイゾット衝撃値(ノッチ付き、−25℃)が少なくとも10KJ/m2であることを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品。
- ポリプロピレン系樹脂発泡成形品に対する表皮層の重量比率が0.35〜0.7、該発泡成形品の単位面積あたりの重量が2〜10kg/m2、厚みが10〜50mmであり、かつ表皮層の曲げ弾性率が少なくとも1000MPaであることを特徴とする請求項1に記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品からなるパネル。
- 表皮層の少なくとも片面に繊維表皮材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパネル。
- ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を添加し混練して得られる発泡性溶融樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂、該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも1000MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2である密度0.94〜0.97g/cm3のポリエチレンを20〜100重量部、および該ポリプロピレン系樹脂と該ポリエチレンとの混合樹脂100重量部に対して相溶化剤を2〜20重量部からなる樹脂組成物(1)を混練して得られる溶融樹脂(B)とを共押出しすることにより、上記発泡性溶融樹脂(A)が発泡してなる発泡層の外側に、上記溶融樹脂(B)よりなる樹脂層を有する発泡多層パリソンを成形し、次いで該多層パリソンの内面同士の少なくとも一部において融着するように成形型にて成形することを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
- 相溶化剤がジエン成分を含む熱可塑性エラストマーおよび該熱可塑性エラストマーの水添物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を添加し混練して得られる発泡性溶融樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂および該ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、曲げ弾性率が少なくとも40MPaで、アイゾット衝撃値が少なくとも20KJ/m2であるポリオレフィン系エラストマーを10〜80重量部からなる樹脂組成物(2)を混練して得られる溶融樹脂(C)とを共押出しすることにより、上記発泡性溶融樹脂(A)が発泡してなる発泡層の外側に、上記溶融樹脂(C)よりなる樹脂層を有する発泡多層パリソンを成形し、次いで該多層パリソンの内面同士の少なくとも一部において融着するように成形型にて成形することを特徴とする表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
- 発泡多層パリソンと金型との間に繊維シートを配置し、型締めの際に多層パリソンと繊維シートを熱圧着するとともに、該多層パリソンを成形型にて成形し、成形品表面の少なくとも一部に繊維表皮材が設けられた発泡成形品を得ることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の表皮層付きポリプロピレン系樹脂発泡成形品の製造方法。
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