JP4145833B2 - 自転車用内装変速ハブ - Google Patents

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Description

本発明は、ハブ、特に、自転車のフレームに回転自在に装着される車輪を構成し、自転車の車輪の回転を規制する規制状態と規制を解除する規制解除状態とを取り得る自転車用内装変速ハブに関する。
自転車は、気軽に乗れるため、通勤や通学に広く使用されている。自転車では、悪気がなくてもついつい「チョット拝借」といった盗難事件が頻発している。このような盗難事件を防止するために、車輪の回転を規制する自転車用ハブが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この盗難防止装置は、たとえば自転車のハブに設けられており、ハブのハブシェルとハブ軸とを回転可能な状態で規制及び規制解除するとともに規制状態で発音するようにしたものである。盗難防止装置は、ハブ軸回りに回転自在に装着されたカム部材と、カム部材の回動によりハブ軸方向に移動する移動部材と、移動部材の移動によりハブシェルに回転不能に係合する係合位置と離脱位置とに移動し、かつ係合位置で移動部材に圧接する規制部材とを有している。
また、誤作動による車輪のロックを防止するため、車輪にある適度のトルクが作用すると車輪が回転する程度に規制部材と移動部材との間で回転が規制されている。しかも、規制状態で車輪が回転すると発音するようにしている。
規制操作はハンドルバーに設けられた操作部で行われ、操作部をキーでロックしたり暗証番号で操作するようにしたりして規制操作を保護している。このような盗難防止装置を設けることにより、後輪が回りにくくなり盗難を防ぎやすくなる。
特開平10−230877号公報
前記従来の自転車ハブを用いた盗難防止装置では、移動部材のハブ軸方向の移動をハブ軸回りに回動自在に装着されたカム部材によって行っているので、回転方向を軸方向の移動に変換する機構が必要になり、移動部材の移動のための機構が複雑になる。
本発明の課題は、盗難防止機能を有する自転車用内装変速ハブを簡素な構成で安価に提供できるようにすることにある。
発明1に係る自転車用内装変速ハブは、自転車のフレームに回転自在に装着される車輪を構成し、フロントフォークの回動を規制するハンドル制御部と制御ケーブルを介して連結可能であり、かつ変速操作部と変速操作ケーブルを介して連結可能なハブであって、ハブ軸と、第1プッシュロッドと、第2プッシュロッドと、ハブシェルと、駆動体と、変速手段と、と、回転規制手段と、規制キーとを備えている。ハブ軸は、第1及び第2端側にそれぞれ開口し軸芯に沿って各別に形成された第1及び第2操作穴と、第1及び第2操作穴の底部近傍に径方向に沿って各別に形成され両端が外周面に開口する第1及び第2貫通溝と、を有する。第1プッシュロッドは、第1操作穴に軸方向移動自在に装着され、変速操作ケーブルにより動作可能なものである第2プッシュロッドは、第2操作穴に軸方向移動自在に装着され、制御ケーブルにより動作可能なものである。ハブシェルは、ハブ軸に回転自在に装着されたものである。駆動体は、ハブシェルに自転車のクランクの回転を伝達するものである。変速手段は、駆動体とハブシェルとの間に配置され複数の変速段を有するものである。回転規制手段は、ハブ軸の外周面に回転不能に装着され、ハブシェルに回転不能に連結される第1位置とハブシェルから離脱する第2位置とに軸方向に移動自在であり、第1位置でハブシェルの回転を規制し第2位置で許可する手段である。規制キーは、第2貫通溝に軸方向に移動自在に設けられ、第2プッシュロッドの軸方向の移動に連動して回転規制手段を軸方向に移動させる。
この自転車用ハブでは、ハブ軸の第2操作穴に装着された第2プッシュロッドを移動させると規制キーにより回転規制手段がハブ軸方向に移動し、第1位置と第2位置との間で移動する。回転規制手段が第1位置に移動するとハブシェルの回転が規制され、第2位置に移動するとハブシェルの回転が規制解除される。ここでは、ハブ軸方向に移動する第2プッシュロッドにより回転規制手段をハブ軸方向に移動させているので移動方向が同じになって規制キーの構成が簡素になり、簡素な構成で安価な自転車用ハブを提供できる。また、駆動される後輪用のハブに盗難防止機能を付加することができる。さらに、比較的高価で盗難にあいやすい自転車に装着されている内装変速機能を有する後輪用のハブに盗難防止機能を付加することができる。さらにまた、変速と回転規制とをハブ軸のそれぞれの端部から操作できるので、変速操作と回転規制操作とを別々に行える。このため、回転規制による盗難防止を他の盗難防止装置と連動して強力に実施することができる。
発明2に係る自転車用内装変速ハブは、発明1に記載の装置において、回転規制手段は、第1位置に配置されたとき、ハブシェルに所定以上のトルクが作用するとハブ軸に対する相対回転を許容する。この場合には、誤操作により走行途中で回動規制手段を第1位置に配置しても、車輪がロックすることなく走行を続けることができる。
発明3に係る自転車用内装変速ハブは、発明2に係るハブにおいて、回転規制手段は、第1位置に配置されたときハブシェルとハブ軸との相対回転により発音する。この場合には、回転規制手段が第1位置にあるとき、回転の規制に加えて発音するので盗難時に周囲にその旨を報知することができ、さらに盗難にあいにくくなる。
本発明に係る自転車用内装変速ハブでは、ハブ軸方向に移動する第2プッシュロッドにより回転規制手段をハブ軸方向に移動させているので移動方向が同じになって規制キーの構成が簡素になり、簡素な構成で安価な自転車用ハブを提供できる。
また、駆動される後輪用のハブに盗難防止機能を付加することができる。さらに、比較的高価で盗難にあいやすい自転車に装着されている内装変速機能を有する後輪用のハブに盗難防止機能を付加することができる。さらにまた、変速と回転規制とをハブ軸のそれぞれの端部から操作できるので、変速操作と回転規制操作とを別々に行える。このため、回転規制による盗難防止を他の盗難防止装置と連動して強力に実施することができる。
図1において、本発明の一実施形態を採用した自転車は軽快車であり、ダブルループ形のフレーム体2とフロントフォーク3とを有するフレーム1と、ハンドル部4と、駆動部5と、前輪6と、3段変速の内装変速ハブ10が装着された後輪7と、前後のブレーキ装置8と、内装変速ハブ10を手元で操作するための変速操作部9とを備えている。
フレーム1には、サドル11、ハンドル部4、前輪6及び後輪7を含む各部が取り付けられている。フレーム体2は、前部に配置されフロントフォーク3を回動自在に支持するヘッドパイプ2aを含むパイプを溶接して形成されている。フロントフォーク3は、上部がパイプ状で下部が二股に分岐して前輪6を支持するものであり、上部のパイプ状の部分は、図3に示すように、ヘッドパイプ2aの上下端に配置された1対の軸受13(上側のみ図示)を介して回動自在に支持されている。軸受13は、ヘッドパイプ2aの上下端に圧入された1対の玉受け13aと玉受け13aに周方向に並べて配置された多数のボール13bと、ボール13bを玉受け13a側に押し付ける玉押し13cとを有している。フロントフォーク3の上部外周面には、軸方向に延びる割溝3dと、雄ねじ部3eとが形成されている。玉押し13cは、雄ねじ部3eに螺合している。
ハンドル部4は、フロントフォーク3の回動を規制するハンドル制御部12と、フロントフォーク3の上部に固定されたハンドルステム14と、ハンドルステム14に固定されたハンドルバー15とを有している。
〔ハンドル制御部の構成〕
ハンドル制御部12は、盗難防止システム20を構成するものであり、フロントフォーク3を介してハンドル部4の回動を規制する規制状態と規制解除状態とを取り得るものである。ハンドル制御部12は、図2および図3に示すように、フロントフォーク3と連動して回転する回転部材74と、ヘッドパイプ2aに回動不能に設けられた固定部材75と、回転部材74と固定部材75との相対回動を規制する回動規制機構76と、回動規制機構76を規制状態でロックするロック機構77とを有している。
回転部材74は、筒状の部材であり、玉押し13cに接触して配置されている。回転部材74は、内周側に割溝3dに係止される軸方向に延びる突起部74aを有している。これにより回転部材74は、フロントフォーク3と一体で回転する。回転部材74の外周上端側には円板状の大径の鍔部74bが一体形成されている。鍔部74bの図3下面には、放射状の凹凸部74cが形成されている。鍔部74bの下面には係止板78が装着されている。
係止板78は回転部材74より大径の環状の部材であり、回転部材74に回転自在に装着され、波板ばね79により鍔部74bに向けて付勢されている。これにより、係止板78は、鍔部74bに所定の力で圧接されている。係止板78の鍔部74bとの接触部には、凹凸部74cと同様な放射状の凹凸部78aが形成されている。係止板78の外周側には、上下に貫通する複数の係止孔78bが周方向に間隔を隔てて配置されている。
固定部材75は、玉受け13aの外周部に径方向外方に突出して一体形成されている。固定部材75に回動規制機構76の規制部29が装着されている。
回動規制機構76は、ヘッドパイプ2aの軸回りに規制位置と規制解除位置とに回動自在に設けられたレバー体28と、レバー体28の揺動に連動して固定部材75に装着され係止板78の係止孔78bに向けて進退する規制部29とを有している。
レバー体28は、合成樹脂製の概ね有底筒状の部材であり、回動規制操作を行うために設けられている。図4に示すように、レバー体28の上底面には、規制部29の進退させるための湾曲して傾斜したカム面28aが形成され、カム面28aと略中心対称の外周面には、回動操作を行うための操作突起28bが形成されている。
カム面28aは、レバー体28の回動に応じて規制部29の規制ピン29c(後述)を進退させるためのものであり、退入位置(凹んだ部分)と進出位置(突出下した部分)とを滑らかな曲線で連結している。また、規制解除位置と規制位置とでそれぞれ僅かなへこみが形成されており、凹みに規制ピン29cが配置され、クリック感が得られるようになっている。
操作突起28bは、径方向外方に向けて突出している。また、カム面28aと操作突起28bとの間の上底面には、軸方向上方に突出する1対の突出部28c,28dが形成されている。一方の突出部28cには、内装変速ハブ10と連結される制御ケーブル80のインナーケーブル80aの先端に固着されたタイコ80bを係止するためのインナー係止部28hが形成されている。また、突出部28cと操作突起28bとの間にはインナーケーブル80a及びその先端のタイコ80bが通過可能な長孔28eが形成されている。さらに下底面には、ロック機構77が規制位置と規制解除位置とで係止される係止長溝28f,28gが周方向に間隔を隔てて形成されている。
規制部29は、固定部材75に設けられたガイド部材29aと、ガイド部材29aに進退自在に装着された規制ピン29cと、規制ピン29cを退入方向に付勢するコイルばね29dとを有している。ガイド部材29aは固定部材75に立設されており、規制ピン29cが通過可能なガイド孔29eを有し、規制ピン29cを係止板78の係止孔78bに対向した位置で進退自在に案内する。規制ピン29cは下端側に大径部29fを有し、先端に先細りのテーパ部29gを有するピンであり、係止孔78bに係止されることが回転部材74の回転を規制する。大径部29fの下面はカム面28aに接触しており、レバー体28の揺動に連動して退入位置(規制解除位置)と進出位置(規制位置)とに進退する。コイルばね29dは、規制ピン29cの周囲に圧縮状態で装着され、大径部29fとガイド部材29aのガイド孔29eとの周囲に両端が係止されている。
ロック機構77は、図3、図5及び図6に示すように、ヘッドパイプ2aに回転不能に設けられたベース部材81と、ベース部材81に装着された錠前82と、錠前によりレバー体28に向けて進退する移動部材83とを有している。
ベース部材81は、ヘッドパイプ2aの上端と玉受け13aとの間に挟持される環状の支持部81aと、支持部81aの両側に一体形成された錠前装着部81b及びケーブル案内部81cとを有している。錠前装着部81bに、図5に示すようには、錠前82が着脱自在に固定されるとともに、移動部材83が進退自在に案内される。ケーブル案内部81cには、図6に示すように、下方から導入された制御ケーブル80のインナーケーブル80aをレバー体28に向けて周方向に湾曲して案内するインナー案内部81dと、アウターケーシング80cが係止されるアウター係止部81eとが形成されている。安定されたインナーケーブル80aは、長孔28eを通ってインナー係止部28hに係止される。
錠前82は、錠前装着部81bに装着される錠前本体82aと、錠前本体82aに対して着脱自在な鍵82bと、鍵82bにより揺動する揺動体82cとを有している。揺動体82cは、揺動ピン82dを有しており、揺動ピン82dが移動部材83に係止されている。なお、鍵82bは、移動部材83が進出位置にあるとき錠前82に対して着脱でき、錠前82により移動部材83が進出位置で保持されるようになっている。
移動部材83は断面がC字状に折り曲げられた板状部材であり、ベース部材81にレバー体28に向けて進退自在に案内されている。移動部材83の途中には、揺動ピン82dに係合する切欠き部83aが形成されている。この切欠き部83aに揺動ピン82dが係合することにより、揺動体82cの揺動が移動部材83のレバー体28に向かう直線的な上下移動に変換される。移動部材83の先端には、C字の両端がかけたI字形状の係止突起83bが形成されており、この係止突起83bがレバー体28の下底面に形成された係止長孔28f,28gのいずれかに係止される。移動部材83は、ベース部材81に圧縮状態で配置されたコイルばね84により進出方向に付勢されている。移動部材83は、係止突起83bが係止長溝28fに係止されたとき、レバー体28を規制位置でロックし、係止長溝28gに係止されたとき規制解除位置でロックする。これにより、回動規制機構76のレバー体28が規制状態及び規制解除状態でそれぞれロックされる。
このような構成のハンドル制御部12では、ロック機構77によりレバー体28が規制位置でロック状態に維持されかつ鍵82bを持っていない限りそのロック状態を解除できないので、フロントフォーク3(ハンドル部4)の回動規制状態が維持される。このため、この回動規制状態でハンドル部4を操作しにくくなるので盗難にあいにくくなり、ハンドル制御部12を盗難防止装置として機能させることができる。
ハンドルバー15の両端には、図1に示すように、ブレーキ装置8を構成するブレーキレバー16とグリップ17とが装着されている。また右端にはさらに変速操作部9が設けられている。変速操作部9は、ブレーキレバー16の内側でハンドルバー15に装着されており、インナーケーブルとアンターケーシングとからなる変速ケーブル73により内装変速ハブ10と連結されている。変速操作部9は、インナーケーブルを巻取操作するための巻取レバーと巻取レバーによる巻取操作を解除してインナーケーブルを繰り出す解除レバーとを有する一般的な構成であり詳細な説明を省略する。
駆動部5は、フレーム体2の下部(ハンガー部)に設けられたギアクランク18と、ギアクランク18に掛け渡されたチェーン19と、内装変速ハブ10とを有している。
〔内装変速ハブの構成〕
内装変速ハブ10は、減速、直結及び増速の動力伝達経路を含む計3段変速ハブである。この内装変速ハブ10は、図7に示すように、自転車のフレーム体2の後爪2bに固定されるハブ軸21と、ハブ軸21の一端側外周に配置された駆動体22と、ハブ軸21及び駆動体22のさらに外周に配置されたハブシェル23と、遊星歯車機構(変速手段の一例)24と、動力伝達経路を選択するための変速操作機構25と、変速操作機構25を動作させるための第1ベルクランク26と、回転規制機構27とを有している。
ハブ軸21は、中央部が大径で両端部が小径で両端にネジが形成された棒状の部材である。ハブ軸21の軸芯部には、図7右端から中央部に向かって変速用の第1操作穴21aが形成されている。第1操作穴21aの底部近傍には、軸芯を貫通する第1貫通溝21bが形成されている。第1貫通溝21bは、図7では省略しているが、図9に示すように、ハブ軸21の軸芯を貫通しかつ軸芯に対して所定の溝傾斜角度β分傾斜し、図7右から左に向かうにしたがい進行方向と逆側に捩じれて形成されている。このような第1貫通溝21bは、所定径のエンドミルを使用して軸芯を貫通する孔を形成したのち、ハブ軸21を進行方向に緩やかに回転させながら軸方向中央側に送ることで形成される。したがって、このような第1貫通溝21bは、両端で交差した貫通孔が軸方向の移動に応じて徐々に回転して螺旋状に連続した形状である。この溝傾斜角度βは、10度から50度の範囲が好ましい。
さらにハブ軸21の軸芯部には、図7左端から中央部に向かって回転規制用の第2操作穴21dが形成されている。第2操作穴21dの底部よりやや軸端側には、軸芯を貫通する第2貫通溝21eが形成されている。第2貫通溝21eは、第1貫通溝21bとは異なりねじれずに直線的に形成された長孔溝である。
駆動体22は、一端がボール30及び玉押し31を介してハブ軸21に回転自在に支持されており、一端部外周にはチェーン19が巻回される小ギア32が固定されている。さらに駆動体22の他端側内周部には、複数のセレーション内歯22aが軸方向に沿って形成されている。
ハブシェル23は筒状部材であり、その内周部の収容空間23aに駆動体22及び遊星歯車機構24を収容している。ハブシェル23は、ボール33,34及び玉押し35を介してハブ軸21回りに回転可能である。また、ハブシェル23の外周部両端には、スポーク7a(図1参照)を支持するためのハブフランジ36,37が固定されている。
〔遊星歯車機構の構成〕
遊星歯車機構24は、ハブ軸21と同芯でかつ一体に形成された太陽ギア40と、ハブ軸21の外周に配置されたギア枠41と、太陽ギア40に噛み合う3つの遊星ギア42(図では1つの遊星ギアのみを示している)と、リングギア43とを有している。
ギア枠41は筒状の部材であり、ハブ軸21に回転自在に支持されている。ギア枠41には円周方向に3つの切欠き41aが形成されており、この各切欠き41aに遊星ギア42がピン44により回転自在に支持されている。またギア枠41の一端内周部にはセレーション内歯41bが形成されている。
リングギア43は、ほぼ円筒状に形成されており、遊星ギア42から駆動体22の外周側まで延びている。リングギア43の他端内周部には内歯43bが形成されている。遊星ギア42は、前述のように太陽ギア40に噛み合うと同時に、リングギア43の内歯43bにも噛み合っている。
また、リングギア43の一端側には切欠き43aが形成されており、この切欠き43aに、第1ワンウェイクラッチ50を構成するクラッチ爪53がピン54により揺動自在に支持されている。このクラッチ爪53は、図8に示すように、捩じりコイルバネ55により起立方向に付勢されている。第1ワンウェイクラッチ50は、リングギア43からハブシェル23に進行方向の回転駆動力のみ伝達する。クラッチ爪53は、ハブシェル23の内周面に形成されたラチェット歯23bにリングギア43が進行方向に回転したときのみ噛み合う。この第1ワンウェイクラッチ50は、リングギア43が進行方向に回転する伝達可能状態であっても後述するクラッチ部材の移動によりクラッチ爪53がラチェット歯23bに噛み合う動力伝達状態と、ラチェット歯23bから退避する動力遮断状態とに切り換え可能である。
駆動体22とリングギア43との間には、駆動体22からリングギア43に進行方向の回転駆動力のみを伝達する第2ワンウェイクラッチ51が配置されている。また、ギア枠41とハブシェル23との間には、ギア枠41からハブシェル23に進行方向の回転駆動力のみを伝達する第3ワンウェイクラッチ52が配置されている。これらの2つのワンウェイクラッチ51,52は、第1ワンウェイクラッチ50と異なり伝達可能状態での切り換えは行えない。
〔変速操作機構の構成〕
変速操作機構25は動力伝達経路を選択するものであり、クラッチ部材45と、クラッチ操作部46とを有している。
クラッチ部材45は、駆動体22とギア枠41とを連結状態と離脱状態とに切り換えるとともに、第1ワンウェイクラッチ50を動力伝達状態と動力遮断状態とに切り換えるものである。クラッチ部材45は、ハブ軸21の外周に軸方向に移動自在かつ回転自在に配置されている。
クラッチ部材45は、図8に示すように筒状の部材であり、その一端側の外周部にはセレーション外歯45aが形成されており、セレーション外歯45aはセレーション内歯22aにスライド自在に係合している。また、クラッチ部材45の他端側には大径部45bが形成されておりその外周部にはセレーション外歯45cが形成されている。セレーション外歯45cは、ギア枠41に形成されたセレーション内歯41bに係合可能である。大径部45bと一端側との間にはテーパ面45dが形成されている。このテーパ面45dは、第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ爪53を実線で示す起立位置(動力伝達位置)から2点鎖線で示す退避位置(動力遮断位置)に倒すために設けられている。クラッチ部材45が左側から右端の減速位置に移動すると、クラッチ爪53がテーパ面45dに沿って大径部45bに乗り上げ退避姿勢に倒れる。
クラッチ部材45の内周面には、図7に示すように2つの段差部45e,45fが軸方向に間隔を隔てて形成されている。左側の段差部45fには、図8に示すように複数のカム面47が周方向に間隔を隔てて形成されている。カム面47は、図9に示すように、一端側に凹んだ平坦面47aと、平坦面47aの進行方向Aの下流側に連なるアール面47bと、上流側に連なる傾斜面47cとを有している。この傾斜面47cの軸芯に対する傾斜角度αは、第1貫通溝21bの溝傾斜角度βより大きくかつ20度から70度の範囲が好ましい。
クラッチ操作部46は、クラッチ部材45をハブ軸21の軸方向に移動させるとともに、クラッチ部材45と係合してクラッチ部材45の回転駆動力を軸方向への変位に変換するものである。クラッチ操作部46は、図7に示すように、第1操作穴21a内を軸方向に移動する第1プッシュロッド48と、第1プッシュロッド48によりギア枠41側に押圧される変速キー49とを有している。
第1プッシュロッド48は、図7に示すように、所定長さを有する操作体65と、操作体65の先端に軸方向に移動可能に装着された作動体66と、操作体65と作動体66との間に配置された第1コイルバネ60とを有している。操作体65は、ロッド部68とロッド部68にねじ込まれた当接部69とを有している。ロッド部68の先端には大径部68bが形成されている。このネジ部68aが当接部69にねじ込まれている。また、大径部68bが作動体66の内部に形成されたガイド孔66aにスライド自在に装着されている。なお、ガイド孔66aは操作体65側が小径になっており、操作体65が抜けないようになっている。第1コイルバネ60は、作動体66の端面と当接部69の端部との間に圧縮状態で介装され、作動体66と操作体65とを離反する方向に付勢し、作動体66が変速キー49を押圧すると、クラッチ部材45をギア枠41側に付勢する。
変速キー49は、図8に示すように、断面が三角形状の棒状部材であり、押圧されると第1貫通溝21b内を進行方向と逆方向に旋回しながら、すなわち捩じれながら軸方向に移動する。図9に示すように、変速キー49の第1貫通溝21bへの接触面49bは第1貫通溝21bに沿うような角度に形成されている。たとえば、第1貫通溝21bの溝傾斜角度βが30度の場合、接触面49bのハブ軸芯に対する角度も略30度である。また、変速キー49は、クラッチ部材45の他端内周部に装着された止め輪63により、クラッチ部材45の内部でそれより外方への移動を規制されている。したがって、実際には図8に示すようにクラッチ部材45の外方に飛び出すことはない。これにより変速キー49は、第1プッシュロッド48に押圧されてクラッチ部材45を図7左方に移動させる。
また、変速キー49は、クラッチ部材45の内部でカム面47に当接可能である。変速キー49がカム面47の平坦面47aに当接した状態でクラッチ部材45が進行方向Aに回転すると、変速キー49はカム面47の傾斜面47cにより第1貫通溝21bの案内面21c側に押圧され軸方向左方への移動が規制され、クラッチ部材45が軸方向右方に移動する。すなわち、クラッチ部材45の回転駆動力を軸方向への変位に変換して変速操作をアシストする。
変速キー49の両端には切欠き部49aが形成されており、そこには、一端がハブ軸21に係止された第2コイルバネ61が係止されている。この第2コイルバネ61により変速キー49は常にクラッチ部材45側に付勢されている。また、変速キー49とクラッチ部材45との間には第3コイルバネ62が介装されている。第3コイルバネ62は、図示しない規制部材により所定長さに全長が規制されており、圧縮されると変速キー49がクラッチ部材45に当接する前に両者を離反する方向に付勢する。これにより、移動中においてクラッチ部材45は変速キー49からの距離が一定になり正確に位置決めされる。
ここで、第1〜第3コイルバネ60,61,62の付勢力は、この順に小さくなっている。すなわち、バネ力がこの順に小さくなっている。ここで、第1コイルバネ60のバネ力が第2コイルバネ61より小さいと、第1プッシュロッド48で変速キー49を押圧しても第1コイルバネ60が撓んで変速キー49が移動しない。また、第2コイルバネ61のバネ力が第3コイルバネ62より小さいと、第2コイルバネ61で変速キー49を押圧しても変速キー49がカム面47に入らず、変速操作をアシストできない。
なお、第1コイルバネ60は、第1操作穴21a内で操作体65と作動体66との間の比較的大きな空間に配置されているので、巻数を増やしてバネ定数とバネ力とを低くすることが可能である。このため、第2及び第3コイルバネ61,62のバネ定数とバネ力とをさらに低くすることができ、増速側への変速時に第1プッシュロッド48を押圧する力、すなわち変速操作部9における巻取レバーの操作力を軽減することができる。この結果、インナーケーブルの張力も小さくなり、インナーケーブルが破断しにくくなる。
〔第1ベルクランクの構成〕
第1ベルクランク26は、ハブ軸21の図7右軸端に装着されている。第1ベルクランク26は、軸端に装着された支持ブラケット70と、支持ブラケット70に揺動自在に支持されたリンク部材71とを備えている。この支持ブラケット70に変速操作ケーブル73のアウターケーシング73aが係止され、リンク部材71にインナーケーブル73bが係止されている。リンク部材71の先端は第1プッシュロッド48の基端に当接している。ここでは、変速操作部9によりインナーケーブル73bを引くことでリンク部材71が揺動し第1プッシュロッド48が押圧されて増速側への変速操作が行われる。また、インナーケーブルを緩ませることで第2コイルバネ61により変速キー49を介してクラッチ部材45が押圧されて減速側への変速操作が行われる。
〔変速動作〕
このような遊星歯車機構24およびワンウェイクラッチ50〜52により、この内装変速ハブ10は、
駆動体22−リングギア43−遊星歯車機構24−ギア枠41−ハブシェル23で構成される減速動力伝達経路と、
駆動体22−リングギア43−ハブシェル23で構成される直結動力伝達経路と、
駆動体22−クラッチ部材45−ギア枠41−遊星歯車機構24−リングギア43−ハブシェル23で構成される増速動力伝達経路とを有している。
変速は、変速操作ケーブル73を介して第1プッシュロッド48を第1ベルクランク26で操作することにより行う。
〔減速−増速側での動作〕
第1プッシュロッド48が押し込まれていない状態では、クラッチ部材45は右端の減速位置に配置され、駆動体22からの回転は減速動力伝達経路を介して減速され、ハブシェル23に伝達される。すなわち、駆動体22に入力された回転は、第2ワンウェイクラッチ51を介してリングギア43に伝達される。このとき、クラッチ部材45により第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ爪53は、図8に2点鎖線で示す退避姿勢に回動し第1ワンウェイクラッチ50は動力遮断状態になっている。このため、リングギア43に伝達された回転は、さらに遊星歯車機構24、ギア枠41および第3ワンウェイクラッチ52を介してハブシェル23に伝達される。この場合は、太陽ギア40、遊星ギア42およびリングギア43の歯数によって決定される変速比によって、入力回転は減速されて出力される。
一方、変速操作部9の巻取レバーが操作されると、第1ベルクランク26のリンク部材71が揺動し第1プッシュロッド48が1段分押し込まれる。この結果、第1コイルバネ60のバネ力が第2コイルバネ61のバネ力より強いので、変速キー49が第1プッシュロッド48を介してリンク部材71により押されて第1貫通溝21bに案内され、ハブ軸回りに回転しながら図7左方に移動し、止め輪63を介してクラッチ部材45も押されて直結位置に移動する。そして、直結位置にクラッチ部材45が配置されると、テーパ面45dにより退避姿勢にさせられていた第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ爪53は、捩じりコイルバネ55のバネ力により図8に実線で示す起立姿勢に復帰する。この状態では、第1ワンウェイクラッチ50は、進行方向の回転のみリングギア43からハブシェル23に伝達可能になる。したがって、駆動体22からの回転は直結動力伝達経路を介してそのままハブシェル23に伝達される。すなわち、駆動体22に入力された回転は、第2ワンウェイクラッチ51を介してリングギア43に伝達され、さらに第1ワンウェイクラッチ50を介してハブシェル23に伝達され、駆動体22の回転はリングギア43を介して直接ハブシェル23に伝達される。なお、このとき、リングギア43から遊星歯車機構24を介してギア枠41に回転が伝達されギア枠41が減速回転するが、ハブシェル23の回転がギア枠41より速いため、ギア枠41から第3ワンウェイクラッチ52を介してハブシェル23に回転が伝達されることはない。
直結状態から巻取レバーが操作されてさらに第1プッシュロッド48が押し込まれると、変速キー49がさらに左方に移動し、クラッチ部材45もそれに応じて増速位置に移動する。そして、図7に示す、最も増速位置にクラッチ部材45が配置されると、クラッチ部材45のセレーション外歯45cとギア枠41のセレーション内歯41bとが噛み合う。この増速位置への移動の際に、セレーション外歯45cとセレーション内歯41bとが噛み合う位置に配置されているときには、クラッチ部材45がギア枠41に当接した後、そのままクラッチ部材45は左方の増速位置に移動する。しかし噛み合わない位置に配置されているときには、クラッチ部材45がギア枠41に当接した時点で変速キー49及びクラッチ部材45は左方への移動を一旦停止する。すると、第1プッシュロッド48の作動体66が後退し第1コイルバネ60が圧縮して変速キー49が押圧される。そして、クラッチ部材45が回転して2つの歯45c,41bが噛み合う位置になると、第1コイルバネ60のバネ力により変速キー49を介してクラッチ部材45が移動し2つの歯45c,41bが噛み合う。
この状態では、駆動体22に伝達された回転は、増速伝達経路を介してハブシェル23に伝達される。すなわち、駆動体22からクラッチ部材45を介してギア枠41に伝達され、さらにギア枠41に伝達された回転は、遊星歯車機構24、リングギア43及び第1ワンウェイクラッチ50を介してハブシェル23に伝達される。この場合は、太陽ギア40、遊星ギア42及びリングギア43の歯数によって決定される変速比で入力回転は増速して出力される。なお、このとき、駆動体22から第2ワンウェイクラッチ51を介してリングギア43に向けて回転が伝達されようとするが、リングギア43の回転の方が駆動体22より速いので第2ワンウェイクラッチ51から回転は伝達されない。
このような減速側から増速側への変速時には、駆動体22とリングギア43との間で直接回転が伝達されるため、力が作用していないクラッチ部材45を移動させればよい。このため、クラッチ部材45を押すための第1コイルバネ60のバネ力は小さくてよく、しかも第2コイルバネ61のバネ力はそれよりも小さいので軽い力で変速操作を行える。
〔増速−減速側でのアシスト動作〕
図7に示す増速位置で変速操作部9の解除レバーが操作されると、第1コイルバネ60による付勢力がなくなり、第2コイルバネ61により変速キー49が押圧されて第1プッシュロッド48は一段分右方に後退する。そして、変速キー49が第3コイルバネ62を介してクラッチ部材45を押圧してクラッチ部材45を直結位置に移動しようとする。ペダルを踏んでおらず駆動力が伝達されていないときにはクラッチ部材45がギア枠41から離脱し、クラッチ部材45は直結位置に移動する。しかし、ペダル踏んでいるとクラッチ部材45からギア枠41に駆動力が伝達されているので、セレーション内歯41bとセレーション外歯45cとが摩擦力により噛み合ったままになることがある。このような場合、第2コイルバネ61のバネ力だけではクラッチ部材45が図7右方に移動しない。このような状態で、図9に示すように、変速キー49がクラッチ部材45のカム面47の平坦面47aに当接すると、クラッチ部材45の進行方向Aへの回転により変速キー49が第1貫通溝21bに挿入された部分の全長で案内面21c側に押圧され摩擦力により軸方向に逃げにくくなる。この結果、変速キー49が傾斜面47cに乗り上げると、クラッチ部材45が右方に移動する。そしてセレーション内歯41bとセレーション外歯45cとの噛み合いが外れると、クラッチ部材45は、変速キー49を介して第2コイルバネ61により押圧されて直結位置に移動する。すなわち、変速キー49とクラッチ部材45のカム面47との接触によりクラッチ部材45の回転運動が軸方向の変位に変換され変速をアシストする。
ここで、変速キー49は、第2コイルバネ61により押圧されかつ第1貫通溝21bが軸芯に対して傾斜しかつ螺旋状に捩じれているので、前述したように軸方向左方に逃げにくくなっている。したがって、第2コイルバネ61の付勢力及び変速キー49と案内面21cとの摩擦力に見合う力以下の駆動力が伝達されたときには、変速キー49は軸方向に逃げない。しかし、それより大きなきな駆動力が作用すると、クラッチ部材45が移動せずに変速キー49が第2コイルバネ61の付勢力及び案内面21cとの摩擦力に打ち勝って軸方向左方に逃げることがある。ここで、上記摩擦力は、溝傾斜角度βにより設定可能である。この溝傾斜角度βを大きくしすぎると、第1プッシュロッド48で変速キー49を押したときに、変速キー49が左方に移動しにくくなる。また、溝傾斜角度βを小さくしすぎると、第1プッシュロッド48による押圧時の抵抗は少なくなるが、摩擦力も低減する。従って、この溝傾斜角度βは10度から50度の範囲が好ましい。なお、この溝傾斜角度βとカム面47の傾斜面47cの傾斜角度αと3つのコイルバネ60〜62のバネ力を調整することで、アシスト時に変速キー49が逃げる限界の駆動力を調整可能である。
一方、設定された駆動力より大きな駆動力が作用して変速キー49が軸方向に逃げてクラッチ部材45が移動しない場合にも、ギアクランク18が上死点又は下死点付近に到達して駆動力が小さくなると、変速キー49によるアシスト力によりクラッチ部材45が押圧され右方に移動する。このため、急な坂道等で非常に大きな駆動力が作用しているときには変速が行われず、変速ショックが少なくなるとともに、セレーション歯やワンウェイクラッチ等の駆動力の伝達部分が破損しにくくなる。
クラッチ部材45が移動すると、第3コイルバネ62により変速キー49は、カム面47から離れる。このため、クラッチ部材45が回転しても変速キー49との接触による異音が発生することはない。そして、直結位置に配置されると、前述したように直結伝達経路を介して回転が駆動体22からハブシェル23に伝達される。
直結位置にクラッチ部材45が配置された状態で解除レバーが操作されると、さらに第1プッシュロッド48が後退し、変速キー49がクラッチ部材45を押圧する。このとき、クラッチ部材45のテーパ面45dが第1ワンウェイクラッチ50のクラッチ爪53に接触してクラッチ爪53を起立姿勢から退避姿勢に倒そうとする。しかし、クラッチ爪53は、リングギア43からハブシェル23に動力を伝達しているので、第2コイルバネ61の付勢力だけでは退避姿勢に倒しにくい。この場合にも変速キー49がクラッチ部材45のカム面47に当接すると、前述と同様にアシスト力が発生してクラッチ部材45を軸方向に移動させ、クラッチ爪53を倒すことができる。
ここでは、減速側から増速側への増速変速操作の際には、クラッチ部材45を介さずに回転をリングギア43に直接伝達しているので、変速時の操作力を軽減できる。しかも、増速側から減速側への減速変速操作の際にはクラッチ部材45の回転力を軸方向の変位に代えてアシストしているので、増速側への変速時にもペダルを踏んだままで軽い操作力で変速可能になる。
〔回転規制機構の構成〕
回転規制機構27は、ハンドル制御部12に制御ケーブル80を介して連結されており、ハンドル制御部12及び制御ケーブル80とで盗難防止システム20を構成している。
回転規制機構27は、ハブシェル23に所定以上のトルクが作用するまで回転を規制する規制状態とハブシェル23の規制解除状態とを取り得る規制部(回転規制手段の一例)90と、規制部90の状態を切り換える切換操作部91と、切換操作部91を動作させるための第2ベルクランク92とを有している。
規制部90は、図10及び図11に示すように、ハブ軸の外周面に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されたロック部材95と、ロック部材95に回転自在に装着された係止部材96と、係止部材96に接触する座金部材97と、座金部材97を介して係止部材96を押圧する皿ばね98と、皿ばね98のばね力を調整するためのナット部材99とを有している。
ロック部材95は、鍔部95aを有する円筒状の部材であり、内周面に、ハブ軸21の外周面に形成されたセレーション歯21fに噛み合う凹凸部95bが形成されている。また円筒部の外周面に座金部材97及び皿ばね98を回転不能に係止するための係止溝95cと雄ねじ部95dとが形成されている。さらに鍔部95aの図10左側面には音出し及び規制用の放射状の凹凸部95eが形成されている。ロック部材95は、図10に示す規制解除位置と図11に示す規制位置とに軸方向に移動自在にある。ロック部材95は、ハブ軸21の外周側に配置された第4コイルばね93により規制位置側に付勢されている。
係止部材96は円板状の部材であり、外周にハブシェル23の内周面に周方向に間隔を隔てて形成された係止歯23cに噛み合う係止凹部96aを有している。この係止凹部96aが係止歯23cに噛み合うと、係止部材96はハブシェル23に対して回転不能になる。また、係止部材96と鍔部95aの凹凸部95eと対向した側面には、凹凸部95eに噛み合う凹凸部96bが放射状に形成されている。ここで両凹凸部95e,96bが噛み合った状態で両者が相対回転すると発音する。
座金部材97は、皿ばね98の押圧力を係止部材96に伝えるための部材であり、ロック部材95に回転不能に装着されている。皿ばね98はロック部材95に回転不能に装着され、係止部材96に押圧力を加えるためのものである。ナット部材99は、雄ねじ部95dに螺合しており、皿ばね98の押圧力を調整するものである。この押圧力を調整することにより規制状態での回転規制の度合いを調整できる。
規制部90は、係止部材96がハブシェル23の係止歯23cに噛み合う規制位置と係止歯23cから離脱する規制解除位置とに移動し、規制位置でハブシェル23が規制状態になりハブシェル23の回転、つまり後輪7の回転を規制する。
規制操作部91は、ベルクランク92により押圧されて第2操作穴21d内を軸方向に移動する第2プッシュロッド101と、第2プッシュロッド101により中心側に押圧される規制キー102とを有している。
第2プッシュロッド101は、棒状の部材であり、ハブ軸21の図7左端から僅かに先端が突出している。第2プッシュロッド101は、第2ベルクランク92により押圧されて、図10に示す規制解除位置から図11に示す規制位置に移動する。
規制キー102は、第2貫通溝21e内を規制位置と規制解除位置とに移動する。規制キー102には、第1プッシュロッド101の基端(図7右端)が当接している。また、規制キー102の両端には、ロック部材95の内周部が係止されている。これによりロック部材95は規制キー102により図7右方への移動が規制されている。なお、図7左方への移動は規制されていないが第4コイルばね93により図7右方に付勢されているので、ロック部材95は常に規制キー102に接触している。規制キー102は第2操作穴21dに装着された第5コイルばね94により図10左方、つまり規制解除位置側に付勢されている。この第5コイルばね94の付勢力は第4コイルばね93の付勢力より強い。このため、第2ベルクランク92が規制解除位置に揺動すると、第2プッシュロッド101が規制キー102を介して第5コイルばね94により付勢され、第2プッシュロッド101が規制解除位置側に移動する。
第2ベルクランク92は、ハブ軸21の図7左軸端に装着されている。第2ベルクランク92は、軸端に装着された支持ブラケット105と、支持ブラケット105に揺動自在に支持されたリンク部材106とを備えている。この支持ブラケット105に制御ケーブル80のアウターケーシング80cが係止されるアウター係止部(図示せず)が設けられ、リンク部材106にインナーケーブル80aが係止されるインナー係止部(図示せず)が設けられ、それぞれ係止されている。リンク部材106の先端は第2プッシュロッド101の先端に当接している。ここでは、ハンドル制御部12のレバー体28によりインナーケーブル80aを引くことでリンク部材106が揺動し第2プッシュロッド101が押圧されて規制位置への切換操作が行われる。また、インナーケーブル80aを緩ませることで第5コイルバネ94により規制キー102を介してロック部材95が押圧されて規制解除位置側への切換操作が行われる。
〔盗難防止システムの動作〕
盗難防止システム20においては、規制を切り換えるために、鍵82bを錠前本体82aに装着して回し、揺動体82cを揺動させて移動部材83をレバー体28から退入させる。これにより、移動部材83の係止突起83bが係止長溝28gから離脱し、レバー体28が回動自在になる。この状態でレバー体28を図2に二点鎖線で示す規制解除位置から実線で示す規制位置に回す。レバー体28を規制位置側に回すと鍵82bを元に戻し鍵82bを外す。これにより、移動部材83がレバー体28の係止長溝28fに進出して係止され、レバー体28が規制位置で保持され、かつ鍵82bを抜くことにより規制解除位置側に移動できなくなりロックされる。
レバー体28が規制位置側に回動すると、規制ピン29cがカム面28aの作用により上方の進出位置に移動し、係止板78のいずれかの係止孔78bに係止される。これにより、係止板78が回動不能になり、係止板78の凹凸部78aに凹凸部74cで接触する回転部材74の回動が規制され、さらにフロントフォーク3の回動が規制される。このとき、係止板78は波板ばね79により押圧されているので、ハンドル部4に大きなトルクが作用すると、フロントフォーク3を介してそのトルクが回転部材74に伝達される。すると、係止板78が下方に逃げて回動部材74と係止板78との間ですべりが生じる。このため、大きなトルクを作用させればハンドル部4を回動させることができる。
またレバー体28が規制位置に回動すると、制御ケーブル80のインナーケーブル80aが引っ張られ、第2ベルクランク92が規制解除位置から規制位置に揺動する。これにより第2プッシュロッド101が押圧され、規制キー102が図7右方に移動し、第4コイルばね93により付勢されたロック部材95が規制解除位置から規制位置に移動する。この結果、係止部材96がハブシェルの係止歯23cに噛み合い、係止部材96がハブシェル23に対して回動不能になる。係止部材96は、圧接されたロック部材95によりハブ軸21に対して回転が規制されているので、ハブシェル23の回転も規制される。このため、レバー体28を規制位置に回動させるだけで、ハンドル制御部12を規制状態にすることができるとともに、内装変速ハブ10の回転規制機構27を規制状態にすることができる。逆に規制解除位置に回動させれば両者とも規制解除状態になる。
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、盗難防止システムにおいて、ハンドル制御部及び回転規制機構において、いずれも規制状態のときに所定以上のトルクで回転部材やハブシェルを回転できるように構成したが、回転できないようにロックしてもよい。この場合には盗難防止効果がさらに高まる
本発明の一実施形態を採用した自転車の左側面図。 そのハンドル制御部の外観斜視図。 ハンドル制御部の断面図。 レバー体の平面部品図 ハンドル制御部の一部断面図。 ハンドル制御部の一部断面図。 内装変速ハブの断面図。 変速操作機構の要部斜視図。 変速キーとカム面との関係を示す模式図。 回転規制機構の規制解除状態における断面拡大図。 回転規制機構の規制状態における断面拡大図。
符号の説明
1 フレーム
7 後輪
10 内装変速ハブ
12 ハンドル制御部
21 ハブ軸
21d 第2操作穴(第1ガイド部)
21e 第2貫通溝(第2ガイド部)
23 ハブシェル
27 回転規制機構
80 制御ケーブル
92 第2ベルクランク
95 ロック部材
96 係止部材
101 第2プッシュロッド
102 規制キー

Claims (3)

  1. 自転車のフレームに回転自在に装着される車輪を構成し、フロントフォークの回動を規制するハンドル制御部と制御ケーブルを介して連結可能であり、かつ変速操作部と変速操作ケーブルを介して連結可能な自転車用内装変速ハブであって、
    前記自転車のフレームに回転不能に装着され、第1及び第2端側にそれぞれ開口し軸芯に沿って各別に形成された第1及び第2操作穴と、前記第1及び第2操作穴の底部近傍に径方向に沿って各別に形成され両端が外周面に開口する第1及び第2貫通溝と、を有するハブ軸と、
    前記第1操作穴に軸方向移動自在に装着され、前記変速操作ケーブルにより動作可能な第1プッシュロッドと、
    前記第2操作穴に軸方向移動自在に装着され、前記制御ケーブルにより動作可能な第2プッシュロッドと、
    前記ハブ軸に回転自在に装着されたハブシェルと、
    前記ハブシェルに前記自転車のクランクの回転を伝達する駆動体と、
    前記駆動体と前記ハブシェルとの間に配置され複数の変速段を有する変速手段と、
    前記第1貫通溝に前記軸方向に移動自在に設けられ、前記第1プッシュロッドの前記軸方向の移動に連動して前記変速手段を前記複数の変速段のいずれかで動作させる変速キーと、
    前記ハブ軸の外周面に回転不能に装着され、前記ハブシェルに回転不能に連結される第1位置と前記ハブシェルから離脱する第2位置とに前記軸方向に移動自在であり、前記第1位置で前記ハブシェルの回転を規制し第2位置で許可する回転規制手段と、
    前記第2貫通溝前記軸方向に移動自在に設けられ、前記第2プッシュロッドの前記軸方向の移動に連動して前記回転規制手段を前記軸方向に移動させる規制キーと、
    を備えた自転車用内装変速ハブ。
  2. 前記回転規制手段は、前記第1位置に配置されたとき、前記ハブシェルに所定以上のトルクが作用すると前記ハブ軸に対する相対回転を許容する、請求項1項に記載の自転車用内装変速ハブ。
  3. 前記回転規制手段は、前記第1位置に配置されたとき前記ハブシェルと前記ハブ軸との相対回転により発音する、請求項2に記載の自転車用内装変速ハブ。
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