JP4143671B2 - 工業的蒸発装置 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な工業的蒸発装置に関する。さらに詳しくは、液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置に関する。
液中の揮発成分及びまたは低沸点成分を蒸発除去させて該液を濃縮するための工業的蒸発装置としては種々のものが知られている。例えば、改定6版化学工学便覧(非特許文献1:改訂6版 化学工学便覧、403〜405頁、化学工学会編、1999年参照)には、液中燃焼方式、自然循環式浸管型、自然循環式水平管型、垂直短管型、垂直長管上昇膜型、水平管下降膜型、垂直長管下降膜型、強制循環式水平管型、強制循環式垂直管型、コイル型、攪拌膜型、遠心式薄膜型、プレート型、フラッシュ蒸発方式が記載されている。これらの工業的蒸発装置のなかで、液を上方から下方に流下させる方式は、水平管下降膜型、垂直長管下降膜型、強制循環式水平管型、強制循環式垂直管型、攪拌膜型であるが、攪拌膜型を除き全て多管円筒形熱交換器と同様の形式のものである。攪拌膜型は外套加熱の円筒形または円錐形伝熱面内でかきとり板を回転させ、伝熱面上に液膜を形成させると同時にそれをかきとり、蒸発の均一化と伝熱の促進を図りながら蒸発濃縮させる方式である。 また、熱交換器型の水平管下降膜型、強制循環式水平管型は、水平に設置された管外面に液体を液膜の状態で流しながら蒸発濃縮させる方式であって、管自身は内部を流れる水蒸気や熱媒などの加熱媒体によって加熱されている。
液体の流れからみれば、本発明に最も近いタイプの工業的蒸発装置は、垂直長管下降膜型、強制循環式垂直管型であるが、これらは垂直に設置された管内を液体が膜状に下降する間に蒸発濃縮させる方式であって、本発明のガイドの外部表面に沿って流下させる方式ではなく、しかも管内を液体が流下する管自身は管外部(胴部)を流れる加熱媒体によって加熱されており、本発明のようにそれ自身加熱源のないガイドとは異なっている。
また、ポリマーなどの溶融物を多孔板から蒸発ゾーンにストランド状または糸状に押し出し、自由落下させながらポリマー溶融物を蒸発濃縮させるストランド蒸発器も知られている(特許文献1:米国特許第3110547号明細書;特許文献2:特公昭30−2164号公報参照)。しかしながら、ストランド蒸発器は濃縮すべき液体を自由落下させるため、蒸発ゾーンにおける滞留時間が短いので蒸発効率が悪いし、蒸発ゾーンでストランドや糸状物が横方向に揺れ動き互いに融着しやすく連続的に安定に操作することが困難である等の欠点がある。線状の支持体に沿ってモノマー混合物やプレポリマーを流下させながらポリアミドやポリエステルなどを製造する装置(例えば、特許文献3:米国特許第3044993号明細書;特許文献4:特公昭48−8355号公報;特許文献5:特開昭53−17569号公報;特許文献6:特開昭60−44527号公報;特許文献7:特開昭61−207429号公報参照)も提案されている。さらに、ループ状のワイヤーを蒸発ゾーンに設置し、該ワイヤーループに沿って高粘度のポリマー融液を流下させながら蒸発濃縮またはガス抜きを行う装置が提案され、特にポリカーボネート溶液または溶融物の蒸発濃縮およびガス抜きのために使用することが有利であることが記載されている(特許文献8:特表2004−516172号公報参照)が、この方法は、本発明者らが既に提案しているワイヤーや有孔面状ガイドに沿って溶融重合原料を流下させながら重合させてポリカーボネートを製造する方法およびその装置(特許文献9:国際公開第99/36457号参照)と実質的に同じである。しかしながら、このようなワイヤーや有孔面状ガイドを有する装置で、蒸発処理された液体が1時間あたり1トン以上であるような工業的規模で長期間安定的に蒸発操作を実施できる装置の規模や使用に関する具体的な開示や示唆がなされるまでには到っていなかった。
さらにこれまでの蒸発装置においては、液の一部の長時間滞留による、着色、ゲル化、架橋化、超高分子量化、固化、焼け、炭化等の変性を避ける為の工夫について記載されているものはなかった。特に粘度の比較的高い液体からの低沸点物質の蒸発装置において、このような変性が起これば、この変生物が少しずつ、あるいは或る時期に集中して濃縮された液に混合し、着色や固形異物の混入という、ポリマーなどの濃縮製品にとって致命的な問題を引き起こすことが長時間の連続運転を行うことで初めてあきらかになった。
しかしながら、このような長時間運転に基づく変性に関しては、これまでの蒸発装置では、全く考慮されていなかったことは明らかである。例えば、線状支持体を用いる蒸発装置である特許文献5の図1によれば、多孔板の孔部と中空体内部側壁面との間にポリマーが長期間滞留し加熱される、いわゆる「デッドスペース」が多く存在していることは明白で、この「デッドスペース」を減少させる工夫等は全く行っていない。従って、高粘度物供給口(7)から供給された高粘度物は、多孔板(3)と中空体内部側壁面との間の「デッドスペース」に長期間滞留するので、上記の問題が必ず発生する。また、最近の提案である特許文献8においてさえ、ディストリビュータ管3(図2)、および多孔板への供給ゾーン(図3a)における「デッドスペース」を減少させる工夫は全くなされていない。
本発明が解決しようとする課題は、液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置において、蒸発処理された該液体が1時間あたり1トン以上であるような工業的規模で長期間安定的に実施できる装置を具体的に開示することであり、さらには、該液体の一部の長期滞留による変性に起因する問題の無い工業的蒸発装置を具体的に開示することである。
本発明者等は、先に提案した溶融プレポリマーをワイヤーなどのガイドに沿わせて落下させながら重合させるガイド接触流下式重合器を種々の用途に用いる検討を重ねた結果、上記の課題を解決できる下記に示す特徴をもつ特定の構造を有する工業的蒸発装置を見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、
1.液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置であって、該蒸発装置が、
(1) 該液体受給口、多孔板を通して蒸発ゾーンの該ガイドに該液体を供給するための液体供給ゾーン、該多孔板と側面ケーシングと底部ケーシングとに囲まれた空間に該多孔板から下方に延びる複数の該ガイドが設けられた蒸発ゾーン、該蒸発ゾーンに設けられた蒸発物抜出し口、底部ケーシングの最下部に設けられた液体排出口を有するものであって、
(2) 該液体供給ゾーンにおいて、該液体受給口から多孔板に供給される液体の流れが主として多孔板の周辺部から中央部の方向に流す機能を有する流路制御部品が該液体供給ゾーンに設置されており、
(3) 該蒸発ゾーンの側面ケーシングの水平面における内部断面積A(m)が、式(1)を満足するものであって、
0.7 ≦ A ≦ 300 式(1)
(4) 該A(m)と、液体排出口の水平面における内部断面積B(m)との比が、式(2)を満足するものであって、
20 ≦ A/B ≦ 1000 式(2)
(5) 該蒸発ゾーンの底部を構成する底部ケーシングが、上部の側面ケーシングに対してその内部において、角度C度で接続されており、該角度C度が式(3)を満足するものであって、
110 ≦ C ≦ 165 式(3)
(6) 該ガイドの長さ h(cm)が、式(4)を満足するものであって、
150 ≦ h ≦ 5000 式(4)
(7) 複数の該ガイド全体の外部総表面積S(m)が式(5)を満足するものであって、
2 ≦ S ≦ 50000 式(5)
(8) 該液体受給口から多孔板の上面までの該液体供給ゾーンにおいて該液体が存在することのできる空間容積V(m)と、孔の上部面積を含む多孔板の上部面積T(m)が式(6)を満足するものであって、
0.02(m) ≦ V/T ≦ 0.5(m) 式(6)
(9) 該空間容積V(m)と、蒸発ゾーンの空間容積Y(m)が式(7)を満足する:
10 ≦ Y/V ≦ 500 式(7)
ことを特徴とする工業的蒸発装置、
2.蒸発処理された液体が1時間あたり1トン以上であることを特徴とする前項1に記載の工業的蒸発装置、
3.該液体供給ゾーンの内部側壁面と該多孔板とのなす角度E度が式(8)を満足する:
100 ≦ E < 180 式(8)
ことを特徴とする前項1または2に記載の工業的蒸発装置、
4.該蒸発ゾーンの該ケーシングが内径D(cm)、長さL(cm)の円筒形であって、その下部に接続された底部ケーシングがコーン形であり、該コーン形ケーシングの最下部の液体排出口が内径d(cm)の円筒形であって、D、L、d が式(9)、(10)、(11)および(12)を満足する:
100 ≦ D ≦ 1800 式(9)
5 ≦ D/d ≦ 50 式(10)
0.5 ≦ L/D ≦ 30 式(11)
h−20 ≦ L ≦ h+300 式(12)
ことを特徴とする前項1ないし3のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
5.hが式(13)を満足する:
400 < h ≦ 2500 式(13)
ことを特徴とする前項1ないし4のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
6.1つの該ガイドが外径 r(cm)の円柱状または内側に液体及び/またはガス状物質が入らないようにしたパイプ状のものであって、r が式(14)を満足する:
0.1 ≦ r ≦ 1 式(14)
ことを特徴とする前項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
7.該複数のガイドが、前項6記載のガイド複数からなり、それら個々のガイドが横方向の支持材で結合されたものであることを特徴とする前項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
8.該複数のガイドが、前項6記載のガイド複数からなり、それら個々のガイドが横方向の支持材で固定された格子状または網状ガイド、複数の格子状または網状のガイドを前後に配置しそれらが横方向の支持材で固定された立体的なガイド、および複数の個々のガイドが前後左右の横方向を支持材で固定されたジャングルジム状の立体的なガイド、のいずれかであることを特徴とする前項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
9.該液体が縮合系ポリマーを製造するためのモノマー及び2種以上のモノマー混合物、及び/または該縮合系ポリマーのプレポリマー、及び/または該縮合系ポリマーの溶融液であって、該低沸点物質が重縮合反応で生成する副生物質及び/またはオリゴマーであり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該縮合系ポリマーのプレポリマー及び/または該ポリマーの重合度を向上させるための縮合系ポリマー用重合装置であることを特徴とする前項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
10.該縮合系ポリマーがポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類であることを特徴とする前項9記載の工業的蒸発装置、
11.該液体が熱可塑性ポリマーAの溶融液であって、該低沸点物質が該ポリマー中に含有するモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該熱可塑性ポリマーAの純度を向上させるための精製装置であることを特徴とする前項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
12.該熱可塑性ポリマーAがポリスチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリル酸エステル系ポリマー、ポリメタクリル酸エステル系ポリマー、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする前項11記載の工業的蒸発装置、
13.該液体が熱可塑性ポリマーBの溶液であって、該低沸点物質が該熱可塑性ポリマーを溶解させている溶媒及び/または該ポリマー溶液中に含有しているモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該溶液から該熱可塑性ポリマーを分離回収するとともに該熱可塑性ポリマーの純度を向上させるための分離回収・精製装置であることを特徴とする前項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置、
を提供する。
本発明の工業的蒸発装置は、大量の液体を効率的に、長時間安定的に、蒸発濃縮させることができる装置であって、1時間あたり1トン以上の濃縮液を製造でき、しかも液体の変性が長時間において起こらない蒸発濃縮装置である。特に粘度が比較的高い液体の蒸発・濃縮において優れた効果を発揮する装置である。このような比較的高い粘度を有する液体を蒸発濃縮させるこれまでの装置では、液の一部が長時間加熱されたままで滞留する場所があり、そのことによって滞留した液が、着色、ゲル化、架橋化、超高分子量化、固化、焼け、炭化等の変性が起こり、それらの変生物が徐々にまたは集中的に濃縮液に混入することによって、濃縮液の色や物性を悪化させていることがわかった。本発明はこのような欠点のない連続蒸発装置であって、特に縮合系ポリマーの重合装置、熱可塑性ポリマーの精製装置、熱可塑性ポリマー溶液からの該ポリマーの分離回収およびまたは精製装置として優れた効果を発揮するものである。すなわち、熱変性物の生成に起因する着色や異物の混入のない高性能・高純度ポリマーを長時間、安定的に、1時間あたり1トン以上の高生産性で製造できる装置である。さらに本発明の蒸発装置が重合器の場合、分子量のバラツキを非常に少なくすることができる。
本発明は、連続式蒸発装置として上記の課題を解決するためには、種々の条件を満足させることが必要であることを見出したものである。本発明の蒸発装置の概念を示す断面図(図1、図2)及び部分を示す断面図(図3、4)を用いて、本発明をより具体的に説明する。
液体受給口1は、液体供給ゾーン3の上部に設けることが好ましい。液体受給口1は一箇所でも複数箇所でもよいが、液体が液体供給ゾーン3でできるだけ均一に多孔板2へと供給されるように配置することが好ましく、一箇所の場合は液体供給ゾーン3の上部の中央部に設けることが好ましい。液体供給ゾーン3において、液体受給口1から多孔板2に供給される液体の流れが主として多孔板2の周辺部から中央部の方向に流す機能を有する流路制御部品20が該液体供給ゾーン3に設置されていることが必要である。この流路制御部品20は液体の流れを多孔板2の周辺部から中央部に向かわせることによって、多孔板2の孔部(例えば21)と液体供給ゾーン3の内部側壁面22との間のスペースに液体が長期滞留することを防ぐ効果がある。主として多孔板2の周辺部から中央部に向かって流された液体は、その間に存在する孔からガイド4に供給されるようになる。
この流路制御部品20の形状は、その効果を発揮できればどのようなものであってもよいが、その横断面の外形は多孔板2の横断面の外形と相似形であることが好ましい。ここで、流路制御部品20の横断面とは、流路制御部品20を横方向の面で切断した場合最大の面積を示す場所のことである。この流路制御部品20と液体供給ゾーン3の内部側壁面22との間の間隔は、処理すべき液体の量、粘度などによって好ましい範囲は異なるが、蒸発処理すべき液体の粘度が比較的高い、ポリマーの重合器、ポリマーの精製装置などとして用いる場合、通常1cm〜50cmの範囲が好ましく、より好ましくは2cm〜30cmであり、さらに好ましくは3cm〜20cmである。液体供給ゾーン3の上部内部壁面23と流路制御部品20との間の間隔はどのようなものであってもよいが、液体供給ゾーン3内における液体の滞留時間をできるだけ少なくするようにすることが好ましい。
この意味でこの間隔は通常1cm〜200cmであり、好ましくは2cm〜170cmであり、より好ましくは3cm〜150cmである。液体供給ゾーン3の上部内部壁面23と流路制御部品20との間の間隔は、液体受給口1から液体供給ゾーン3の内部側壁面22に到るまでほぼ同じ間隔となるような流路制御部品20とすることもできるし、その間隔を徐々に狭くしていく、あるいは、逆に徐々に広げていくような流路制御部品20とすることもできる。また、流路制御部品20と多孔板2との間隔は通常1cm〜50cmであり、好ましくは2cm〜30cmであり、より好ましくは3cm〜20cmである。多孔板2と流路制御部品20との間の間隔は、液体供給ゾーン3の内部側壁面22から多孔板の中央部に到るまでほぼ同じ間隔となるような流路制御部品とすることもできるし、その間隔を徐々に狭くしていく、あるいは逆に徐々に広げていくような流路制御部品とすることもできるが、好ましくは、ほぼ同じ間隔か、あるいは徐々に狭くしていくような流路制御部品である。
この流路制御部品20は、液体受給口1から供給された液が多孔板2の孔に直接導かれることを邪魔しているので、ある種の邪魔板と考えてもよいものである。なお、多孔板2の面積が広い場合は、供給された液の一部を多孔板2の周辺部を経由させずに多孔板2の中央部付近に短絡させることも好ましく、その為に、流路制御部品20の中央部付近、あるいはその他適当な部分に一箇所またはそれ以上の孔を設けることも好ましい。液体供給ゾーン3において「デッドスペース」を作らせないためには、さらに液体供給ゾーンの内部側壁面22と多孔板2とのなす角度E度が式(8)を満足することが好ましい:
100 ≦ E < 180 式(8)。
ここで、該内部側壁面22が平面状の場合、その平面に垂直で且つ多孔板2の上面に垂直な面での切断面における該内部側壁面22と多孔板2とのなす角度がEである。また、該内部側壁面22が凹面の曲面の場合、その凹面に垂直で且つ多孔板2の上面に垂直な面での切断面においてなす曲線が立ち上がり始める点における接線と多孔板2の上面とのなす角度がEである。 より好ましいEの範囲は、120≦E<180 であり、さらに好ましくは、145≦E<180 である。また、液体供給ゾーン3の上部内壁面23と内側壁面22との接合部付近も「デッドスペース」とならないように工夫することも好ましく、これらの両面がなす角度を90℃より大きくするか、90℃またはそれに近い場合は、接合部付近を凹面状にして液が滞留しないようにすることが好ましい。
本発明においては、該液体受給口1の下部(液体受給口1と液体供給ゾーン3の上部内壁との接合部)から多孔板2の上面までの該液体供給ゾーン3において該液体が存在することのできる空間容積V(m)と、孔の上部面積を含む多孔板の上部面積T(m)が式(6)を満足することが必要である。
0.02(m) ≦ V/T ≦ 0.5(m) 式(6)。
V(m)は本発明の蒸発装置を連続運転中は該液体供給ゾーン3における実質的な液体の容積であって、該流路制御部品の容積は除くものである。液体供給ゾーンにおける液体保持量はV(m)であるが、この量は少ない方が液体供給ゾーンにおける滞留時間が少なくて熱変性による悪影響がないが、蒸発処理された液体が1トン/hr以上で且つ、長期間安定的に所定の濃縮度または重合度の濃縮液体及び/またはポリマーを得るためには、多孔板の孔に該液体を可能な限り均等に供給することが重要である。そのためには、V/Tの値がこの範囲であることが必要であることを見出したのである。より好ましいV/Tの値の範囲は、0.05(m)≦V/T ≦0.4(m) であり、さらに好ましくは、0.1(m)≦V/T ≦0.3(m)である。
本発明においては、該空間容積V(m)と、蒸発ゾーンの空間容積Y(m)が式(7)を満足することが必要である:
10 ≦ Y/V ≦ 500 式(7)。
熱変性による物性の低下を招かずに、長時間安定的に効率よく、単位時間あたり大量の液体を蒸発処理するためには、Y/Vの値がこの範囲であることが必要であることを見出したのである。より好ましいY/Vの値の範囲は、15≦Y/V≦400 であり、さらに好ましくは、20≦Y/V≦300である。
なお、本発明でいう蒸発ゾーンの空間容積Y(m)とは、多孔板の下面から液体排出口までの空間容積であって、ガイドの占める容積を含むものである。
蒸発ゾーン5の側面ケーシング10の水平面(a−a‘面)における内部断面積A(m)が、式(1)を満足するものであることが必要である:
0.7 ≦ A ≦ 300 式(1)。
さらに、該A(m)と、液体排出口7の水平面(b−b‘面)における内部断面積B(m)との比が、式(2)を満足することも必要である:
20 ≦ A/B ≦ 1000 式(2)。
蒸発濃縮された液体やポリマー、または製造されたポリマーの品質を低下させることなく溶融粘度の高められたこれらの溶融物を排出するためには、A/Bは式(2)を満足していなければならない。
さらに、該蒸発ゾーンの底部を構成する底部ケーシング11が、上部の側面ケーシング10に対してその内部において、角度C度で接続されており、該角度C度が式(3)を満足することも必要である:
110 ≦ C ≦ 165 式(3)。
設備費を低下させるためには、Cはできるだけ90度に近い方がいいのであるが、ガイド4の下端から落下してくる濃縮された液体やポリマーの品質を低下させることなく溶融粘度の高められたこれらの溶融物を排出口7に移動させるためには、Cは式(3)を満足していなければならない。
さらに、該ガイド4の長さ h(cm)が、式(4)を満足することも必要である:
150 ≦ h ≦ 5000 式(4)。
hが150cmより短い場合、濃縮や重合を進めることはできるが、その程度が十分ではないので、好ましくない。hが5000cmより長い場合、ガイドの上部と下部での液体の粘度の違いが大きくなりすぎるため、濃縮度のバラツキや重合度のバラツキが大きくなりやすいので好ましくない。
さらに、該ガイド4の外部総表面積S(m)が式(5)を満足する必要がある:
2 ≦ S ≦ 50000 式(5)。
Sが2mよりも小さいと、1時間あたり1トン以上である目的とする蒸発処理された液体量や製造ポリマーの生産量を達成できないし、設備費を低下させつつこの生産量を達成し、且つ物性にバラツキをなくすためには、Sは50000m以下にすることが必要である。
このような種々の条件を満足する本発明の蒸発装置は、これまでの蒸発装置の課題を解決するだけでなく、驚くべきことに、先に記載の優れた効果を発揮するものであり、着色がなく高品質・高性能の濃縮液体やポリマーを、1時間あたり1トン以上の量でしかも、数1,000時間以上、たとえば5,000時間以上の長期間、安定的に製造することができることが見出された。
本発明の蒸発装置が、このような優れた効果を有する工業的蒸発装置であるのは、恐らく上述の種々の理由に加えて、それらの条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果が現れたためであると推定される。例えば式(4)および(5)を満足する高表面積のガイドは、比較的低温度で供給される大量の液体やプレポリマーやポリマーの効率的な内部攪拌と表面更新に非常に有効であって、低沸点物質の蒸発を効率的に行うことができ、高品質の濃縮液体やポリマーを1時間あたり1トン以上の大量に得ることに役立つとともに、式(3)を満足する角度Cはガイドから落下してくる大量の高品質の濃縮液体やポリマーが排出口7から排出されるまでの時間を短縮でき熱履歴を減らせるためと推定される。
なお、このような工業的規模での蒸発装置の性能は、大規模な製造設備を用いる長時間運転によって初めて確立できるものであるが、その際の製造設備費は考慮すべき重要な因子であることは、論を待たない。本発明の蒸発装置は従来の蒸発装置や重合器に比べ、性能に対する設備費を低くすることができることが、本発明の別の効果である。
本発明の工業的蒸発装置における特定の条件や寸法・角度等に要求される範囲は、上記のとおりであるが、さらに好ましい範囲は次のとおりである。蒸発ゾーン5の側面ケーシング10の水平面における内部断面積A(m)のより好ましい範囲は、 0.8 ≦ A ≦ 250 であり、さらに好ましくは、 1 ≦ A ≦ 200 である。また、該A(m)と、液体排出口7の水平面における内部断面積B(m)との比のより好ましい範囲は、 25 ≦ A/B ≦ 900 であり、さらに好ましくは、 30 ≦ A/B ≦ 800 である。また、蒸発ゾーン5の底部を構成する底部ケーシング11が、上部の側面ケーシング10に対してその内部においてなす角度C度のより好ましい範囲は、 120 ≦ C ≦ 165 であり、さらに好ましくは、 135 ≦ C ≦ 165 である。なお、複数の蒸発装置を用いて順に濃縮度あるいは重合度を上げていく場合には、それぞれに対応する角度を、C1、C2、C3、・・・とすれば、 C1≦ C2 ≦ C3 ≦ ・・・ とすることが好ましい。
また、ガイド4の必要な長さ h(cm)は、処理すべき液体の量や粘度や温度、低沸点物質の量や、沸点、蒸発ゾーンの圧力や温度、必要とする濃縮度あるいは重合度など要因の違いによって異なるが、より好ましい範囲は、 200 ≦ h ≦ 3000 であり、さらに好ましくは、 400 < h ≦ 2500 である。また、必要なガイド全体の外部総表面積S(m)も、上記と同様の要因の違いによって異なるが、そのより好ましい範囲は、 10 ≦ S ≦ 40000 であり、さらに好ましくは、 15≦ S ≦ 30000 である。 本発明でいうガイド全体の外部総表面積とは、液体が接触して流下するガイドの表面積全体を意味しており、例えばパイプなどのガイドの場合、外側の表面積を意味しており、液体を流下させないパイプ内側の面の表面積は含めない。
本発明の工業的蒸発装置において、蒸発ゾーン5の側面ケーシング10の水平面における内部断面の形状は多角形、楕円形、円形等、どのような形状であってもよい。蒸発ゾーン5は、通常減圧下で操作されるため、それに耐えるものであればどのようなものでもよいが、好ましくは円形または、それに近い形状である。従って、本発明の蒸発ゾーン5の側面ケーシング10は、円筒形であることが好ましい。この場合、円筒形の側面ケーシング10の下部にコーン形の底部ケーシングが設置され、該底部ケーシングの最下部に円筒形の液体排出口7が設けられることが好ましい。
本発明の工業的蒸発装置において、蒸発ゾーン5の側面及び底部ケーシングが、それぞれ前記の円筒形及びコーン部からなっており、濃縮された液体、またはポリマーの液体排出口7が円筒形である場合、該側面ケーシングの円筒形部の内径をD(cm)、長さをL(cm)とし、該液体排出口7の内径をd(cm)とした時、D、L、dが式(9)、(10)、(11)および(12)を満足していることが好ましい:
100 ≦ D ≦ 1800 式(9)
5 ≦ D/d ≦ 50 式(10)
0.5 ≦ L/D ≦ 30 式(11)
h−20 ≦ L ≦ h+300 式(12)。
本発明の蒸発装置において、D(cm)のより好ましい範囲は、 150 ≦ D ≦ 1500 であり、さらに好ましくは、 200 ≦ D ≦ 1200 である。また、D/d のより好ましい範囲は、 6 ≦ D/d ≦ 45 であり、さらに好ましくは、 7 ≦ D/d ≦ 40 である。また、L/Dのより好ましい範囲は、0.6 ≦ L/D ≦ 25 であり、さらに好ましくは、 0.7 ≦ L/D ≦ 20 である。 また、L(cm)のより好ましい範囲は、 h − 10 ≦ L ≦ h +250 であり、さらに好ましくは、 h ≦ L ≦ h + 200 である。なお、D、d、L がこれらの関係を同時に満足しない場合は、本発明の課題を達成することが困難になる。
本発明の蒸発装置が、速い蒸発速度や速い重合速度で、着色が無く機械的物性に優れた高品質・高性能の濃縮液体やポリマーを、工業的規模で長期間安定的(ポリマー製造の場合分子量のバラツキ等が無く)に製造できる正確な理由は明らかではないが、以下のことが考えられる。すなわち、本発明の蒸発装置においては、原料の液体は液体受給口1から、液体供給ゾーン3および多孔板2を経由して、ガイド4に導かれ、ガイド4に沿って流下しながら濃縮されるか、あるいは重合度が上昇していく。この場合、液体や溶融プレポリマーはガイドに沿って流下しながら効果的な内部攪拌と表面更新が行われ、低沸点物質の抜出しが効果的に行われるため、速い速度で濃縮や重合が進行する。濃縮や重合の進行とともにその粘度が高くなってくるために、ガイド4に対する粘着力が増大し、ガイド4に粘着する液体や溶融物の量はガイド4の下部に行くに従って増えてくる。このことは、液体や溶融プレポリマーのガイド上での滞留時間、すなわち蒸発時間や重合反応時間が増えることを意味している。しかも、ガイド4に支えられながら自重で流下している液体や溶融プレポリマーは、重量当たりの表面積が非常に広く、その表面更新が効率的に行われているので、これまでの蒸発装置や機械的攪拌式重合器ではどうしても不可能であった高粘度領域での蒸発濃縮や重合後半の高分子量化が容易に達成できるのである。これが本発明の蒸発装置の持つ、優れた特徴の1つである。
蒸発や重合の後半では、ガイドに粘着する液体や溶融物の量が増えてくるが、その粘度に見合った粘着保持力しかないので、複数のガイドの同じ高さにおいては、ほぼ同じ粘度をもつほぼ同じ量の液体や溶融物が、それぞれのガイドに支えられていることになる。一方、ガイドには上部から液体や溶融物が連続的に供給されているので、ほぼ同じ粘度をもつ液体やほぼ同じ溶融粘度をもつ重合度のより高められた溶融物が、ガイドの下端から底部ケーシングに連続的に落下して行くことになる。すなわち底部ケーシングの下部には、ガイドを流下しながら生成したほぼ同じ粘度の液体やほぼ同じ重合度のポリマーが溜まってくることになり、蒸発度のバラツキのない濃縮液体や分子量のバラツキのないポリマーが連続的に製造されることになる。このことは本発明の蒸発装置の持つ他の優れた特徴の1つである。底部ケーシングの下部に溜まった濃縮液体やポリマーは、液体排出口7を経て、排出ポンプ8によって連続的に抜き出され、ポリマーの場合は、通常押出し機等を経て連続的にペレット化される。この場合、押出し機で添加剤等を添加することも可能である。
本発明の蒸発装置を構成する多孔板2は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多孔板2横断面の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。多孔板の孔の横断面は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cmであり、好ましくは0.05〜10cmであり、特に好ましくは0.1〜5cmの範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。
また、本発明の蒸発装置を構成するガイドとは、それ自身内部に熱媒や電気ヒーターなどの加熱源を持たないものであって、水平方向断面の外周の平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1,000,000の範囲であり、好ましくは50〜100,000の範囲である。水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、ガイドは中空状のものでもよい。本発明のガイドはそれ自身加熱源をもっていないので、ガイドの表面での液体の熱変性の懸念が全くないことは大きな特徴である。
ガイドは、針金状のものや細い棒状のものや内側に液体や溶融プレポリマーが入らないようにした細いパイプ状のもの等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。また、網状のものや、パンチングプレート状のものであっても良い。ガイドの表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。好ましいガイドは、針金状や細い棒状等の円柱状のもの、前記の細いパイプ状のもの網状のもの、パンチングプレート状のものである。
工業的規模(生産量、長期安定製造等)での高品質の濃縮液体やポリマーの製造を可能とする本発明のガイド接触流下式蒸発装置において、特に好ましいのは、複数の針金状または細い棒状または前記の細いパイプ状のガイドの上部から下部までにおいて横方向の支持材を用いて上下の適当な間隔で各々のガイド間を結合したタイプのガイドである。例えば、複数の針金状または細い棒状または前記の細いパイプ状のガイドの上部から下部までにおいて横方向の支持材を用いて上下の適当な間隔、例えば1cm〜200cmの間隔で固定した金網状ガイド、複数の金網状のガイドを前後に配置しそれらを横方向の支持材を用いて上下の適当な間隔、例えば1cm〜200cmの間隔で結合させた立体的なガイド、または複数の針金状または細い棒状または前記の細いパイプ状のガイドの前後左右を横方向の支持材を用いて上下の適当な間隔、例えば1cm〜200cmの間隔で固定したジャングルジム状の立体的なガイドである。横方向の支持材は各ガイド間の間隔をほぼ同じに保つために役立つだけでなく、全体として平面状や曲面状になるガイド、あるいは立体的になるガイドの強度の強化に役立っている。これらの支持材はガイドと同じ素材であってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明において、1つのガイドが外径 r(cm)の円柱状または内側に液体やガス状物質や溶融プレポリマーがはいらないようにしたパイプ状のものである場合、r が式(14)を満足していることが好ましい:
0.1 ≦ r ≦ 1 式(14)。
本発明におけるガイドは、液体や溶融プレポリマーを流下させながら、蒸発濃縮や重合反応を進めるものであるが、液体や溶融プレポリマーをある時間保持する機能も有している。この保持時間は、蒸発時間や重合反応時間に関連するものであり、蒸発や重合の進行とともにその液粘度や溶融粘度が上昇していくために、その保持時間および保持量は増加していくことは前記のとおりである。ガイドが液体や溶融プレポリマーを保持する量は、同じ溶融粘度であってもガイドの外部表面積、即ち、円柱状またはパイプ状の場合、その外径によって異なってくる。
また、本発明の蒸発装置に設置されたガイドは、ガイド自身の重量に加え、保持している液体や溶融プレポリマーやポリマーの重量をも支えるだけの強度が必要である。このような意味において、ガイドの太さは重要であり、円柱状またはパイプ状の場合、式(14)を満足していることが好ましい。 r が0.1より小さいと、強度的な面で長時間の安定運転ができにくくなってくるし、r が1よりも大きいと、ガイド自身が非常に重くなり、たとえばそれらを蒸発装置に保持するために多孔板の厚みを非常に厚くしなければならないなどの不都合があるだけでなく、液体や溶融プレポリマーやポリマーを保持する量が多くなりすぎる部分が増え、濃縮度のバラツキや分子量のバラツキが大きくなるなどの不都合が起こってくる。このような意味で、より好ましい r の範囲は、 0.15 ≦ r ≦ 0.8 であり、さらに好ましいのは、 0.2 ≦ r ≦ 0.6 である。
このようなガイドの好ましい材質は、ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム及びその他の合金等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。特に好ましいのはステンレススチールである。また、ガイドの表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、溶媒やフェノール等での洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。
ガイドと多孔板との位置関係及びガイドと多孔板の孔との位置関係については、液体や原料溶融プレポリマーやポリマーがガイドに接触して流下していくことが可能である限り特に限定されない。ガイドと多孔板は互いに接触していてもよいし、接触していなくてもよい。ガイドを多孔板の孔に対応させて設置するのが好ましいがこれに限定されない。なぜならば、多孔板から落下する液体や原料溶融プレポリマーやポリマーが適当な位置でガイドに接触するように設計されていてもいいからである。
ガイドを多孔板の孔に対応させて設置するのが好ましい具体例としては、 (1)ガイドの上端を流路制御部品の下部面などに固定して、ガイドが多孔板の孔の中心部付近を貫通した状態でガイドを設けるやり方や、 (2)ガイドの上端を多孔板の孔の上端の周縁部に固定して、ガイドが多孔板の孔を貫通した状態でガイドを設けるやり方や、 (3)ガイドの上端を多孔板の下側面に固定するやり方、などが挙げられる。
この多孔板を通じて液体や原料溶融プレポリマーやポリマーをガイドに沿わせて流下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で流下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、多孔板から液体や原料溶融プレポリマーやポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。好ましいのは、供給ポンプを用いて加圧下、所定量の液体や原料溶融プレポリマーやポリマーを蒸発装置の液体供給ゾーンに供給し、多孔板を経てガイドに導かれた液体や原料溶融プレポリマーやポリマーが自重でガイドに沿って流下していく方式である。
本発明の蒸発装置は、液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体から、該低沸点物質を蒸発させる装置であるが、この液体はどのようなものであってもよい。この液体は常温であってもよいが、通常加熱された状態で受給口から蒸発装置に供給される。また、この蒸発装置の外壁面には通常ジャケット等が設置されていることが好ましく、必要に応じてこのジャケットに水蒸気や熱媒等を通じて加熱することによって、液体供給ゾーンや流路制御部品や多孔板の加熱及び/または保温と、蒸発ゾーンや多孔板の保温等を行うことが好ましい。
本発明の蒸発装置は液体の単なる濃縮のための装置として用いられるだけでなく、縮合系ポリマー用重合装置や、モノマーやオリゴマーや副生物などの低沸点物質を含む熱可塑性ポリマーの精製装置や、熱可塑性ポリマー溶液からの該ポリマーの分離回収装置など、粘度の比較的高い液体を対象とする蒸発装置として用いることが特に好ましい。
従って、該液体が縮合系ポリマーを製造するためのモノマー及び2種以上のモノマー混合物、及び/または該縮合系ポリマーのプレポリマー、及び/または該縮合系ポリマーの溶融液であって、該低沸点物質が重縮合反応で生成する副生物質及び/またはオリゴマーであり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該縮合系ポリマーのプレポリマー及び/または該ポリマーの重合度を向上させるための縮合系ポリマー用重合装置として本発明の工業的蒸発装置を使用することは好ましい。このような縮合系ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族−脂肪族ポリエステル及び種々のコポリエステル、グリコール酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸のポリエステル及び種々のコポリエステル、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との脂肪族−脂肪族ポリエステル及び種々のコポリエステル、ポリアリレート、液晶ポリエステル等の芳香族−芳香族ポリエステル及び種々のコポリエステル、等のポリエステル類; ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン12、ナイロン4、ナイロン3、ナイロン11等の脂肪族ポリアミド及び種々のコポリアミド、ナイロン6T、ナイロン6I、ポリメタキシリレンアジパミド等の脂肪族−芳香族ポリアミド及び種々のコポリアミド、等のポリアミド類; 脂肪族ポリカーボネートや芳香族ポリカーボネート及び種々のコポリカーボネート、等のポリカーボネート類; ポリエステルポリカーボネート類などが好ましい。本発明の蒸発装置を用いることによって、着色やゲル状物質や固形異物がなく、分子量のバラツキのない、高純度、高性能の縮合系ポリマーを長時間安定的に製造できる。
また、該液体が熱可塑性ポリマーAの溶融液であって、該低沸点物質が該ポリマー中に含有するモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該ポリマーの純度を向上させるための精製装置として本発明の工業的蒸発装置を使用することは好ましい。このような該熱可塑性ポリマーAとしては、ナイロン6、ナイロン46等のナイロン類; ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、及び種々のコポリマー、等のポリスチレン系ポリマー; ポリ塩化ビニル及び種々のコポリマー、等のポリ塩化ビニル系ポリマー; ポリ塩化ビニリデン及び種々のコポリマー、等のポリ塩化ビニリデン系ポリマー; AS樹脂、ABS樹脂及び種々のコポリマー、等のアクリロニトリル系ポリマー; ポリプロピレン等のポリオレフィン類; ポリアクリル酸エステル系ポリマー; PMMA及び種々のコポリマー、等のポリメタクリル酸エステル系ポリマー; 熱可塑性エラストマーであることが好ましい。本発明の蒸発装置では、比較的低温でこれらの熱可塑性ポリマーA中に含まれるいわゆる残モノマー等の不純物を効率的に除去することができ、熱分解などが無く、着色のない高純度、高性能の熱可塑性ポリマーAを得ることができる。
また、該液体が熱可塑性ポリマーBの溶液であって、該低沸点物質が該熱可塑性ポリマーを溶解させている溶媒及び/または該ポリマー溶液中に含有しているモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該溶液から該熱可塑性ポリマーを分離回収するとともに該熱可塑性ポリマーの純度を向上させるための分離回収及び/または精製装置として本発明の工業的蒸発装置を使用することは好ましい。このような熱可塑性ポリマーBの溶液としては、芳香族ポリカーボネートの塩素系溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン)溶液、溶媒(例えば、トルエン、ヘキサン)などを用いて溶液重合で製造されるSBRやBRやEPDMなどのポリマー溶液が好ましい。さらには塩素系溶媒が残存する芳香族ポリカーボネートの溶融液や重合溶媒が残存するエラストマー類から、溶媒等を除去することも好ましい。本発明の蒸発装置では、比較的低温でこれらの溶媒や不純物を効率的に除去することができ、熱分解などが無く、着色のない高純度、高性能の熱可塑性ポリマーBを得ることができる。
本発明の工業的蒸発装置は、比較的粘度の高い液体から低沸点物質を蒸発除去するのに特に適している。例えば、本発明の工業的蒸発装置を縮合系ポリマーの重合器として用いた場合、これまでの重合器では液の一部が長時間加熱されたままで滞留する場所があり、そのことによって滞留した液が、着色、ゲル化、架橋化、超高分子量化、固化、焼け、炭化等の変性が起こり、それらの変生物が徐々にまたは集中的にポリマーに混入する欠点が避けられなかったが、このような欠点がないだけでなく、従来の重合器にはない優れた効果を有している。
即ち、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから得られる溶融プレポリマーを重合させて芳香族ポリカーボネートを製造する場合の反応の温度は、通常200〜350℃の範囲が必要とされ、特に重合の後半ではその粘度が急激に高くなり、その超高粘度物質から平衡反応で生成してくる芳香族モノヒドロキシ化合物を抜き出さねばならないため、これまでの重合器、例えば、横型2軸撹拌式超高粘度ポリマー用リアクターを用いても、300℃以上の高温で、しかも133Pa以下の高真空下で長時間反応させなければならない上に、しかもシート用などの高分子量体は製造困難であった。
しかしながら、本発明の重合器では内部攪拌を伴う効率的な表面更新が行われているので、比較的低温で重合反応を進行させることができる。したがって、好ましい反応温度は、100〜290℃であり、さらに好ましいのは、150〜270℃である。従来の機械的攪拌式重合器の場合よりも低温で十分に重合を進めることができるのが、本発明の重合器の特徴であり、このことも、着色や物性低下のない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造することができるひとつの原因となっている。さらにこれまでの重合器では、高真空下での撹拌機のシール部からの空気等の漏れこみ、異物混入などが起こる欠点があったが、本発明の重合器は機械的攪拌がなく、攪拌機のシール部もないので空気等の漏れこみや異物混入は非常に少ないため、高純度・高性能の芳香族ポリカーボネートを製造することができる原因となっている。このような優れた効果は、他の縮合系ポリマー、特にポリエステル、ポリアミドに対しても同様に発揮される。ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66を製造する場合にこれらの優れた効果が顕著である。
例えば、これまでのポリエチレンテレフタレートの重縮合反応は、通常265〜290℃で行われているが、重合度が上昇するに従って最終的には280℃以上の高温を維持して実施されており、ポリブチレンテレフタレートの重縮合反応は、通常240〜270℃で行われているが、重合度が上昇するに従って最終的には260℃以上の高温を維持して実施されている。重合温度が高くなればなるほど色相やポリマー物性が損なわれることはよく知られている。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルの重合の場合、アセトアルデヒド、アクロレイン等のアルデヒド類やアリルアルコール等の不飽和アルコール類や環状2量体、環状3量体等の環状オリゴマーの副生量は、重合温度が高くなればなるほど増大することも知られている。
しかしながら、本発明の蒸発装置を縮合重合器として用いることによって、ポリエステル類の重合温度は、通常10℃以上、好ましくは20℃以上も低くすることが可能であり、しかも効率的な表面更新が行われ、平衡反応によって生成した低沸点副生物の除去が効率的に行えるので、高い重合速度でポリエステルを製造できる。従って、本発明の蒸発装置を重合器として用い、例えばポリエチレンテレフタレートの重合を行えば、240〜265℃でも速い反応速度で重合でき、アセトアルデヒド含有量が半減した、オリゴマーの少ない、色相のよい、高純度、高性能のポリマーを高生産性で製造することができる。
また、例えばこれまでのナイロン66の重縮合反応は、通常230〜290℃で行われているが、重合度が上昇するに従って最終的には270℃〜290℃の高温を維持して実施されており、ナイロン6の重縮合反応は、通常250〜270℃で行われているが、重合度が上昇するに従って最終的には270℃付近の高温を維持して実施されている。そして、これまでのナイロン類の重縮合では、重合器での平均滞留時間は、通常10〜20時間のオーダーであり、高温での長期滞留が必須であるため、ポリマーが熱変性し易く、着色や物性低下が起こりやすかった。特にナイロン66の場合、熱による変性や着色やゲル化が非常に起こり易いこともよく知られている。また、ナイロン6の場合、これまでの重合器を用いた場合、モノマー(10%前後)及びオリゴマー(2〜3%)が大量にポリマー中に残存していることもよく知られている。ナイロン類の平衡定数は温度が高いほど小さくなる(例えば、222℃及び254℃での平衡定数は、ナイロン6の場合、それぞれ480及び254であり、ナイロン66の場合、それぞれ365及び300)ので、低温で重合できれば残モノマーを低下させることが可能であるが、これまでの重合器では不可能であった。
しかしながら、本発明の蒸発装置を縮合重合器として用いることによって、ナイロン類の重縮合温度は、通常10℃以上、好ましくは20℃以上も低くすることが可能であり、しかも効率的な表面更新が行われ、平衡反応によって生成した低沸点副生物の除去が効率的に行えるので、高い重合速度でナイロン類を製造できる。従って、本発明の蒸発装置を重合器として用い、例えばナイロン66の重合を行えば、210〜270℃で、最終的に250〜270℃の温度でも速い反応速度で重合でき、熱変性による着色やゲルの生成のない色相のよい、高純度、高性能のポリマーを高生産性で製造することができる。さらに、これまでの重合器を用いて溶融重合で製造された縮合系ポリマーは、通常の用途(例えば衣料用繊維用途)にはポリマーとしての十分な性能を有するが、さらに重合度をあげて高機能化用途(例えばタイヤコード用途、ボトル用途、エンジニアリング樹脂用途等)に使用するためには、通常これらのポリマーをさらに固相重合させる必要があったが、本発明の蒸発器を用いれば、固相重合で製造されるのと同等の重合度を有するポリマーが容易に得られることも、本発明の蒸発器の特徴である。
なお、本発明の工業的蒸発装置を用いて、縮合系ポリマーを製造する場合、重合反応の進行にともなって、平衡反応によって副生する低沸点物質を反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを重合器に導入して、これらの低沸点物質をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。あるいはこれらを併用した方法も好ましく用いられるが、これらの場合も重合器に大量の不活性ガスを導入する必要はなく、内部を不活性ガス雰囲気に保持する程度でもよい。
また、本発明の工業的蒸発装置を用いて、縮合系ポリマーを製造する場合の反応圧力は、副生する低沸点物質の種類や製造するポリマーの種類や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートからの溶融プレポリマーから芳香族ポリカーボネートを製造する場合、数平均分子量が5,000以下の範囲では、400〜3,000Pa範囲が好ましく、数平均分子量が5,000〜10,000の場合は、50〜500Paの範囲が好ましい。数平均分子量が10,000以上の場合は、300Pa以下が好ましく、特に20〜250Paの範囲が好ましく用いられる。
本発明の工業的蒸発装置を重合器として用いて、縮合系ポリマーを製造する場合、この蒸発装置1基だけで、目的とする重合度を有するポリマーを製造することも可能であるが、原料とする溶融モノマーや溶融プレポリマーの重合度や、ポリマーの生産量などに応じて、2基以上の蒸発装置を連結して、順に重合度をあげていく方式も好ましい。この場合、それぞれの蒸発装置において、製造すべきプレポリマーまたはポリマーの重合度に適したガイドや反応条件を別々に採用することができるので、好ましい方式である。例えば、ガイド接触流下式第1重合器、ガイド接触流下式第2重合器、ガイド接触流下式第3重合器、ガイド接触流下式第4重合器・・・・を用い、この順に重合度を上げていく方式の場合、それぞれの重合器がもつガイド全体の外部総表面積をS1、S2、S3、S4・・・・とすれば、 S1≧S2≧S3≧S4≧・・・・ とすることができる。
また、重合温度も、それぞれの重合器において同じ温度でもよいし、順に上げていくことも可能である。重合圧力も、それぞれの重合器で、順に下げていくことも可能である。このような意味において、例えば、ガイド接触流下式第1重合器、ガイド接触流下式第2重合器の2基の重合器を用いてこの順に重合度を上げていく場合、該第1重合器のガイド全体の外部総表面積S1(m)と該第2重合器のガイド全体の外部総表面積S2(m)とが式(15)を満足するようなガイドを用いることが好ましい:
1 ≦ S1/S2 ≦ 20 式(15)。
S1/S2が1よりも小さいと、分子量のバラツキが大きくなり長期間安定製造が困難になる、所定の生産量が得にくい、などの不都合が起こり、S1/S2が20よりも大きいと、第2重合器でのガイドを流下する溶融プレポリマーの流量が多くなり、その結果、溶融プレポリマーの滞留時間が少なくなり必要とする分子量のポリマーが得られにくくなる、などの不都合が生じてくる。このような意味でさらに好ましい範囲は、1.5≦ S1/S2 ≦ 15 である。
本発明の工業的蒸発装置または重合設備においては、1時間当り1トン以上の濃縮液体またはポリマーを容易に製造することができるが、縮合系ポリマーを溶融モノマーまたは溶融プレポリマーから製造する場合、通常重合反応によって副生した低沸点物質を系外に排出しながら重合させるので、1時間当り1トンよりも多量の原料の溶融モノマーまたは溶融プレポリマーが、重合器または重合設備に供給される必要がある。従って、蒸発装置に供給される液体である溶融モノマーまたは溶融プレポリマーの量は、その重合度および製造すべきポリマーの重合度によって変化するが、通常、ポリマーの生産量1トン/hr当り、10〜500kg/hr多い、1.01〜1.5トン/hrの範囲である。また、低沸点物質を含む液体や熱可塑性ポリマーからの蒸発濃縮や蒸発精製の場合、低沸点物質の含有量及び必要とする濃縮率や精製率にもよるが、供給される液体は通常、1.001〜100トン/hrの範囲、好ましくは1.005〜50トン/hr、より好ましくは1.01〜20トン/hrである。
本発明の工業的蒸発装置は、請求項に記載の条件を満たし、且つそれに相応した機械的強度を有するものであれば、どのようなものでもよいし、連続運転に必要な他のいかなる機能を有する装置・設備を付加したものであってもよい。また、本発明の工業的蒸発装置は、本発明の工業的蒸発装置を複数結合したものであってもよいし、蒸発以外の他のいかなる機能を有する装置・設備を付加したものであってもよい。
次に、実施例及び参考例により本件発明を説明する。
[実施例1]
図2および図3に示すような厚さ約2cmの円盤状の流路制御部品20およびガイド4を有する工業的蒸発装置。円盤状の流路制御部品20は液体供給ゾーン3の上部内壁23からの間隔が約8cmとなるように上部から懸垂固定されている。また、液体供給ゾーン3の内部側壁面22と流路制御部品20との間隔は約9cmで、多孔板2と流路制御部品20との間隔は約8cmである。なお、この円盤状の流路制御部品20の周縁部は垂直断面が半径約1cmの半円となるように細工されており、周縁部に液体が滞留しないように工夫されている。また、液体供給ゾーンの内部側壁面23と多孔板2との接続部の断面は図6に示すような内側が凹状に細工されており、その立ち上がり部の角度Eは約170度である。この蒸発装置の材質は、全てステンレススチールである。排出ポンプ8は、濃縮液体が高粘度の場合、ギアポンプが好ましく、それほど粘度が高くない場合は通常の送液ポンプである。この工業的蒸発装置は円筒形の側面ケーシング10とコーン形の底部ケーシング11を有するものであって、L=1,000cm、h=900cm、D=500cm、d=40cm、C=155度 、S=250m 、であり、A=19.625m 、A/B=156.25、D/d=12.5、L/D=2、r=0.3cm である。該液体受給口1(受給口と液体供給ゾーンの上部内壁との接合部)から多孔板2の上面までの該液体供給ゾーン3において該液体が存在することのできる空間容積V(約3.17m)と、孔の上部面積を含む多孔板の上部面積T(約19.63m)との比、V/Tの値は、約0.161(m)である。蒸発ゾーンの空間容積Yは約222.8mであり、Y/Vの値は、約70である。これらは式(1)から式(14)を全て満足している。供給ゾーン3においては、供給口1から供給された低沸点物質を含む液体は、流路制御部品20の上面と供給ゾーン3の上部内壁面23の間、および供給ゾーン3の内部側壁面22と流路制御部品20との間を経由して、主として多孔板2の周辺部から中央部の方向に流れながら、多孔板2の孔(21等)から各ガイド4に均一に分配されるように配慮されている。蒸発装置下部には不活性ガス供給口9が備えられており、上部には低沸点物質の蒸発物抜出し口6(通常はガス凝縮器及び減圧装置に接続している)が備えられている。蒸発装置の外側はジャケット、または熱媒用加熱管が設置されており、熱媒で所定の温度に保持できるようにしてある。
[参考例1]
実施例1の工業的蒸発装置を縮合系ポリマーの重合器として用い、芳香族ポリカーボネートが製造された。ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)とから製造された260℃に保たれた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは4,000)が、供給ポンプによって供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。該溶融プレポリマーは多孔板2の周辺部から中央部に向かって流れながら多孔板の孔から、蒸発ゾーン5(重合反応ゾーン)に連続的に供給された、溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。重合反応ゾーンは蒸発物抜出し口6を通して80Paに保持されている。ガイド4の下部から重合器の底部11に入ってきた生成芳香族ポリカーボネートは、該底部での量が一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から5.5トン/hrの流量で連続的に抜き出された。
運転を開始してから50時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは10,500であり、良好なカラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb値3.2)であった。また、引張伸度は98%であった。運転開始から、60時間後、100時間後、500時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後、4,000時間後、5,000時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、10,500、10,550、10,500、10,550、10,500、10,500、10,550、10,500であり、安定であり、カラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb値)も全く同じ3.2であった。長期滞留に基づく着色物や異物などの不純物の混入は全く検出されなかった。
このようにして製造された芳香族ポリカーボネートは、触媒として用いられたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の含有量はこれらの金属元素に換算して、0.04〜0.05ppmであった。
[実施例2]
図2および図3に示すような流路制御部品20およびガイドを有する工業的蒸発装置2基を直列に配置した縮重合系ポリマーの重合設備。この重合設備(第1重合器および第2重合器)を用いて芳香族ポリカーボネートの製造をおこなった。これらの蒸発装置の材質は、すべてステンレススチールである。それぞれの蒸発装置の排出ポンプ8はギアポンプである。ガイド接触流下式第1重合器は円筒形の側面ケーシング10とコーン形の底部ケーシング11を有するものであって、L=950cm、h=850cm、D=400cm、d=20cm、C=150度 、S=750m 、A=12.56m 、A/B=400、D/d=20、L/D=2.375、r=0.3cm である。なお、流路制御部品20は横断面の直径は少し小さいが実施例1に記載のものと同様の形状をしており、液体供給ゾーンの壁面(23及び22)との間隔および多孔板2との間隔は実施例1に記載のものと同様である。また、液体供給ゾーンの内部側壁面23と多孔板2との接続部の断面は実施例1と同様に図6に示すような内側が凹状に細工されており、その立ち上がり部の角度Eは約170度である。該液体受給口1の下部(受給口と液体供給ゾーンの上部内壁との接合部)から多孔板2の上面までの該液体供給ゾーン3において該液体が存在することのできる空間容積V(約2.03m)と、孔の上部面積を含む多孔板の上部面積T(約12.56m)との比、V/Tの値は、約0.162(m)である。蒸発ゾーンの空間容積Yは約135mであり、Y/Vの値は、約67である。これらの値は式(1)から式(14)を全て満足している。なお、第2重合器は実施例1と同じものである。
[参考例2]
ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.06)とから製造され、265℃に保たれた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは2,500)が、供給ポンプによって第1重合器の供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。第1重合器内の多孔板2を通して重合反応ゾーンに連続的に供給された、該溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。第1重合器の重合反応ゾーンは真空ベント口6を通して800Paの圧力に保持されている。ガイド4の下部から重合器の底部11に入ってきた重合度の高められた芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー(数平均分子量Mnは5,500)は、該底部での量が一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から一定の流量で連続的に抜き出された。この溶融プレポリマーが、供給ポンプによって第2重合器の供給口1より供給ゾーン3に連続的に供給された。第2重合器内の多孔板2を通して重合反応ゾーンに連続的に供給された、該溶融プレポリマーは、ガイド4に沿って流下しながら重合反応が進められた。第2重合器の重合反応ゾーンは真空ベント口6を通して50Paの圧力に保持されている。ガイド4の下部から第2重合器の底部11に入ってきた生成芳香族ポリカーボネートは、該底部での量が一定となるように排出ポンプ8によって排出口7から6トン/hrの流量で連続的に抜き出された。
運転を開始してから50時間後に第2重合器の抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは11,500であり、良好なカラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb値3.2)であった。また、引張伸度は99%であった。運転開始から、60時間後、100時間後、500時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後、4,000時間後、5,000時間後に抜き出し口12から抜き出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、11,500、11,550、11,500、11,550、11,500、11,500、11,550、11,500であり、安定であり、カラー(3.2mm厚さの試験片をCIELAB法で測定したb値)も全く同じ3.2であった。長期滞留に基づく着色物や異物などの不純物の混入は全く検出されなかった。
このようにして製造された芳香族ポリカーボネートは、触媒として用いられたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の含有量はこれらの金属元素に換算して、0.03から0.05ppmであった。
本発明の蒸発装置は、液体中に該液体より低沸点の物質を有する液体を、着色や異物混入や物性低下などの欠点を伴わずに、効率的に大量の液体を濃縮するのに適した工業的蒸発装置として利用することが好ましい。該液体が比較的粘度が高い場合の蒸発装置として利用するのが特に好ましい。本発明の工業的蒸発装置の特に好ましい用途は、縮合系ポリマー用重合装置、熱可塑性ポリマー溶融液の精製装置、熱可塑性ポリマー溶液からの該ポリマーの分離回収・精製装置である。
本発明の工業的蒸発装置の概略を表す断面図。 本発明の円筒形工業的蒸発装置の概略を表す断面図。 本発明の工業的蒸発装置の上部を模式的に表す断面図。 本発明の工業的蒸発装置の上部を模式的に表す断面図。 液体供給ゾーンの内部壁面と、多孔板および流路制御部品との間の「デッドスペース」をなくす工夫を模式的に示す断面図。 液体供給ゾーンの内部壁面と、多孔板および流路制御部品との間の「デッドスペース」をなくす工夫を模式的に示す断面図。1:液体受給口、2:多孔板、3:液体供給ゾーン、4:ガイド、5:蒸発ゾーン、6:蒸発物抜出し口、7:液体排出口、8:液体排出ポンプ、9:所望により使用される不活性ガス供給口、10:蒸発ゾーンの側面ケーシング、11:蒸発ゾーンの底部ケーシング、12:液体抜き出し口、20:流路制御部品、21:多孔板の孔の例示、22:液体供給ゾーンの内部側壁面、23:液体供給ゾーンの上部内部壁面。

Claims (13)

  1. 液体中に該液体より低沸点の物質を含有する液体を、それ自身加熱源のないガイドの外部表面に沿って流下させ、その間に該低沸点物質を蒸発させる装置であって、該蒸発装置が、
    (1) 該液体受給口、多孔板を通して蒸発ゾーンの該ガイドに該液体を供給するための液体供給ゾーン、該多孔板と側面ケーシングと底部ケーシングとに囲まれた空間に該多孔板から下方に延びる複数の該ガイドが設けられた蒸発ゾーン、該蒸発ゾーンに設けられた蒸発物抜出し口、底部ケーシングの最下部に設けられた液体排出口を有するものであって、
    (2) 該液体供給ゾーンにおいて、該液体受給口から多孔板に供給される液体の流れが主として多孔板の周辺部から中央部の方向に流す機能を有する流路制御部品が該液体供給ゾーンに設置されており、
    (3) 該蒸発ゾーンの側面ケーシングの水平面における内部断面積A(m)が、式(1)を満足するものであって、
    0.7 ≦ A ≦ 300 式(1)
    (4) 該A(m)と、液体排出口の水平面における内部断面積B(m)との比が、式(2)を満足するものであって、
    20 ≦ A/B ≦ 1000 式(2)
    (5) 該蒸発ゾーンの底部を構成する底部ケーシングが、上部の側面ケーシングに対してその内部において、角度C度で接続されており、該角度C度が式(3)を満足するものであって、
    110 ≦ C ≦ 165 式(3)
    (6) 該ガイドの長さ h(cm)が、式(4)を満足するものであって、
    150 ≦ h ≦ 5000 式(4)
    (7) 複数の該ガイド全体の外部総表面積S(m)が式(5)を満足するものであって、
    2 ≦ S ≦ 50000 式(5)
    (8) 該液体受給口から多孔板の上面までの該液体供給ゾーンにおいて該液体が存在することのできる空間容積V(m)と、孔の上部面積を含む多孔板の上部面積T(m)が式(6)を満足するものであって、
    0.02(m) ≦ V/T ≦ 0.5(m) 式(6)
    (9) 該空間容積V(m)と、蒸発ゾーンの空間容積Y(m)が式(7)を満足する:
    10 ≦ Y/V ≦ 500 式(7)
    ことを特徴とする工業的蒸発装置。
  2. 蒸発処理された液体が1時間あたり1トン以上であることを特徴とする請求項1に記載の工業的蒸発装置。
  3. 該液体供給ゾーンの内部側壁面と該多孔板とのなす角度E度が式(8)を満足する:
    100 ≦ E < 180 式(8)
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の工業的蒸発装置。
  4. 該蒸発ゾーンの該側面ケーシングが内径D(cm)、長さL(cm)の円筒形であって、その下部に接続された底部ケーシングがコーン形であり、該コーン形ケーシングの最下部の液体排出口が内径d(cm)の円筒形であって、D、L、d が式 (9)、(10)、(11)および(12)を満足する:
    100 ≦ D ≦ 1800 式(9)
    5 ≦ D/d ≦ 50 式(10)
    0.5 ≦ L/D ≦ 30 式(11)
    h−20 ≦ L ≦ h+300 式(12)
    ことを特徴とする請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  5. hが式(13)を満足する:
    400 < h ≦ 2500 式(13)
    ことを特徴とする請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  6. 1つの該ガイドが外径 r(cm)の円柱状または内側に液体及び/またはガス状物質が入らないようにしたパイプ状のものであって、r が式(14)を満足する:
    0.1 ≦ r ≦ 1 式(14)
    ことを特徴とする請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  7. 該複数のガイドが、請求項6記載のガイド複数からなり、それら個々のガイドが横方向の支持材で結合されたものであることを特徴とする請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  8. 該複数のガイドが、請求項6記載のガイド複数からなり、それら個々のガイドが横方向の支持材で固定された格子状または網状ガイド、複数の格子状または網状のガイドを前後に配置しそれらが横方向の支持材で固定された立体的なガイド、および複数の個々のガイドが前後左右の横方向を支持材で固定されたジャングルジム状の立体的なガイド、のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  9. 該液体が縮合系ポリマーを製造するためのモノマー及び2種以上のモノマー混合物、及び/または該縮合系ポリマーのプレポリマー、及び/または該縮合系ポリマーの溶融液であって、該低沸点物質が重縮合反応で生成する副生物質及び/またはオリゴマーであり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該縮合系ポリマーのプレポリマー及び/または該ポリマーの重合度を向上させるための縮合系ポリマー用重合装置であることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  10. 該縮合系ポリマーがポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類であることを特徴とする請求項9記載の工業的蒸発装置。
  11. 該液体が熱可塑性ポリマーAの溶融液であって、該低沸点物質が該ポリマー中に含有するモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶融液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該熱可塑性ポリマーAの純度を向上させるための精製装置であることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
  12. 該熱可塑性ポリマーAがポリスチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリル酸エステル系ポリマー、ポリメタクリル酸エステル系ポリマー、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項11記載の工業的蒸発装置。
  13. 該液体が熱可塑性ポリマーBの溶液であって、該低沸点物質が該熱可塑性ポリマーを溶解させている溶媒及び/または該ポリマー溶液中に含有しているモノマー、オリゴマー、副生物であり、該溶液から該低沸点物質を蒸発除去することによって、該溶液から該熱可塑性ポリマーを分離回収するとともに該熱可塑性ポリマーの純度を向上させるための分離回収・精製装置であることを特徴とする請求項1ないし8のうち何れか一項に記載の工業的蒸発装置。
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