JP4143514B2 - 油分測定装置 - Google Patents

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本発明は、油分測定装置に関するものであり、より詳細には自然水や、工場、下水処理場などからの排水に含まれる油分、さらには電子部品などの固形物や土壌などに付着する油分を測定する油分測定装置に関する。
前記自然水や排水などの液体中に含まれる油分(HC成分)を測定する方法として、日本工業規格JIS K0102に規定される工場排水試験方法があり、その24.2には、ヘキサン(n−ヘキサン)抽出物質の測定方法(重量法)が規定されている。
図6は、前記重量法による測定方法を説明する図であり、図6(A)は油分抽出溶媒を用いた油分の抽出方法を説明する図、図6(B)は油分抽出液の中から油分を取出す方法を示す図、図6(C)は油分の重量を測定する方法を説明する図である。
図6(A)に示すように、自然水や排水などの液体試料91に含まれる油分を測定する場合には、試料91にn−ヘキサンなどの有機溶媒からなる油分抽出溶媒92を分液ロート93内に入れ、数滴の塩酸94を滴下し、攪拌後、分液ロート93によって水95を分液して廃棄する。
次いで、図6(B)に示すように、油分が溶け込んでなる油分抽出液96を分液ロート93から取出し、前記油分抽出液96から油分抽出溶媒92を揮発させることにより揮発残留物97を得た後に、図6(C)に示すように、揮発残留物97の重量を天秤98などを用いて測定する。
すなわち、従来は、自然水や排水などの液体試料91に含まれる油分を測定する場合、油分抽出溶媒92を用いて油分を抽出した後に、この油分抽出液96に溶け込んだ油分よりも低い沸点を有する油分抽出溶媒92を揮発させることにより、目的とする油分を取出した後にその重さを計測していた。一方、電子部品などの固形物や土壌などに付着または吸着されている油分を測定する場合には、n−ヘキサンなどの有機溶媒からなる油分抽出溶媒92を用いて前記固形物等に付着されている油分を洗い流すことにより、前記油分抽出液96を生成していた。
しかしながら、上述した油分の測定方法では、試料91から油分を抽出するために煩雑な手間がかかることは避けられなかった。また、油分抽出溶媒92は油分を抽出するだけのために消費されるのでランニングコストが引き上げられるという問題もあった。加えて、測定手順の中に油分抽出溶媒92を揮発させる必要があるので、油分抽出溶媒92として用いられるn−ヘキサンなどの有機溶媒よりも沸点の低い油分(ガソリンなどの揮発性の油分)は測定できなかった。
さらに、最終的な測定が操作者の手作業によって行われるので、検出限界があるだけでなく、測定結果の再現性が悪くならざるを得なかった。とりわけ、試料91に含まれる油分の量が微量であればあるほど、前記方法による定量は難しくなっていた。
特許文献1はこれらの問題点を解決するべく、前記n−ヘキサンのような油分抽出溶媒92の代わりにトリクロロフルオロエタン(フロンS−316)など、指定フロンでないフロン系溶媒の液体を用いて抽出し、この油分を抽出した後のフロン系溶媒に赤外光を照射することにより、これに含まれる油分の量を赤外分光によって測定する方法を示している。
図5は分光を用いて測定対象試料の成分を測定するときに用いる光の波長を説明する図である。図5に示すように、赤外分光を用いる場合には波長2500〜25000nm(波数4000〜400cm-1)の範囲の赤外線を分光して、各波長における赤外吸収スペクトルを測定する。そして、油分は波数2900cm-1付近の赤外線を吸収するので、この波数の赤外吸収の強さを測定することにより、試料91に含まれる油分の定量分析を行うことができる。前記油分抽出溶媒92としてJISに定められた有機溶媒はHC成分を含んでいるため、油分抽出溶媒92によって波数2900cm-1付近に赤外吸収が生じてしまうが、前記フロン系溶媒には油分の吸収帯域における赤外吸収がないので、このフロン系溶媒内に油分を含ませた状態で測定を行っても、測定値に悪影響を与えることがない。
したがって、前記油分をフロン系溶媒によって抽出することにより、このフロン系溶媒を揮発させることなく、油分抽出液に対して直接的に赤外線を照射して、油分抽出液を透過した赤外光の赤外吸収の中から油分の吸収帯域における赤外吸収の大きさを測定して、油分測定を行うことができる。
加えて、前記フロン系溶媒を用いて油分測定を行う手法では、油分抽出溶媒92の揮発を行う必要がないだけでなく、天秤のような手作業による測定を行う必要がないので、油分の測定にかかる手間を軽減できるだけでなく、微量油分であっても測定できる。また、油分抽出溶媒として用いるフロン系溶媒は精製して再利用することができるので、フロン系溶媒の使用が地球環境に悪影響を与えることもない。
ところが、S−316のようなフロン系溶媒は、オゾン層破壊係数が大きいフロンガスの製造段階において生じる副産物であり、フロンガスの使用が全面的に禁止される方向にある。つまり、今後フロンガスの製造が全面的に廃止されることにより、新たなフロン系溶媒を供給できなくなることが予想される。そこで、特許文献2は、フロン系溶媒を用いることなくn−ヘキサンなどの有機溶媒を油分抽出溶媒として用いて油分を測定する一つの方法を示している。
特開平7−270310号公報 特開平11−352122号公報
しかしながら、特許文献2に示される油分の測定方法においては、測定対象試料から有機溶媒やフロン系溶媒などによって油分を抽出する必要があるので、測定時に溶媒を用いて油分を抽出することに伴う煩わしさがあった。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、油分抽出溶媒を用いて油分を抽出することなく、液体中の油分を簡便に、しかも正確に測定することができる油分測定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の油分測定装置は、液体中に油分が含まれている液体試料をそのまま収容する透明な容器と、この容器内に収容された液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、請求項2に係る発明の油分測定装置は、固形物に付着する油分をHC成分を持たない液体により洗い流した液体試料を収容する透明な容器と、この容器内に収容された液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、請求項3に係る発明の油分測定装置は、固形物の表面に付着する油分を油分抽出溶剤により固形物から抽出した後、その油分抽出溶剤を揮発させた揮発残留物としての油分をHC成分を持たない液体中に分散させて生成した液体試料を収容する透明な容器と、この容器内に収容された液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴としている。
前記攪拌機としては、前記容器内の液体試料に接触した状態で該液体試料に超音波を照射する超音波ホモジナイザを用いることが好ましい(請求項)。
請求項1ないし3に記載の発明では、液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光(レイリー光)を照射することにより、液体による光の吸収や蛍光が測定対象成分の分光分析に悪影響が及ぼされるのが防止される。つまり、ラマン散乱光を生じさせるために照射するレーザ光の波長を適宜調整することによって、油分の分析に用いる光の波長を液体による光量変化が生じる光の波長と異ならせることができ、油分の定量分析を正確に行うことができる。
しかも、本発明によれば、自然水や排水などの液体中の油分を測定するにあたっては、ヘキサンのような有機溶媒やフロン系溶媒などからなる油分抽出溶媒を用いて油分の抽出を行う必要がなく、自然水や排水などの液体をそのまま容器に収容し装置にセットして簡便に油分の定量分析を行うことができる。また、従来のようにヘキサンなどの油分抽出溶媒を揮発させる必要がないので、沸点の低い油分であっても測定することができる。
また、ラマン散乱光により生じるラマンスペクトルは赤外吸収スペクトルと同じように生じるので、HC成分に基づくラマンスペクトルは、レイリー光から2900cm-1程度ラマンシフトした位置に生じる。したがって、油分を分散させる液体として水を用いたとしても、これによる光量変化の少ない波長のレーザ光をレイリー光として照射することにより、水による光量変化の影響を受けることなく油分の定量分析を正確に行うことができる。
さらに、液体試料を攪拌して油分の分散状態を保ちながら、レーザ光を照射することにより、液体試料内の油分を均質化した状態で油分の定量分析を行って、より正確な測定を行うことができる。
油分の分散状態を保つための攪拌機として、容器内の液体試料に接触した状態で該液体試料に超音波を照射する超音波ホモジナイザを用いる場合(請求項)には、液体試料内に油分を効果的に分散させることができるので、より正確な測定を行うことができる。超音波振動を用いた攪拌は非接触状態で行うことも可能であって、攪拌のための装置がレーザ光やラマン散乱光の妨げとなることがない。つまり、より正確な分析を行うことができる。
図1は本発明の油分測定装置1の一構成例を概略的に示す図である。図1において、2はHC成分を含まない液体2aの一例としての水に油分2bが分散している液体試料(以下、単に試料という)、3はこの試料2を収容する容器、4は容器3内の試料2に接触させた状態で試料2に超音波を照射する超音波ホモジナイザ、5は試料2に対してレーザ光Lを照射するレーザ光源、6はレーザ光源5から出射するレーザ光Lの波長の光だけを反射するノッチフィルタ、7は試料2に対するレーザ光Lの照射に伴って生じるラマン散乱光Lを分光する分光器、8は分光されたラマン散乱光Lを検出する検出器、9は検出されたラマン散乱光Lのラマンスペクトルを用いて液体2aに分散させた油分2bの量を演算する演算処理部である。
試料2は、例えば自然水や、工場、下水処理場などからの排水であり、これには測定対象となる油分2bが分散している。そして、液体2aは、油分2bと反応することのない液体であり、例えば水や重水が好ましい。
前記水は、波数が約3000cm-1付近(波長3.3μm付近)の赤外線を吸収したり、蛍光を起こすなどして、光量変化を生じさせるものである。したがって、HC成分を含まない液体として水を用いる場合、波数3000cm-1から少なくとも4000cm-1以上離れた波長のレーザ光を照射して、生じたラマン散乱光を分光することにより、水に分散した油分に基づくラマンスペクトルから、水による光量変化の影響を無くすことができる。つまり、水2aによる光量変化の少ない波長の光を用いて油分2bの定量分析を行う場合、試料2は水2aの中に油分2bを分散させたものでよいので、操作者は試料2から油分2bを抽出するような前処理を行うことなく、採取した試料2をそのまま測定することができる。
容器3は、ガラス容器や透明の樹脂容器である。本実施例では、容器3の形状は有底円筒形状であるが、この容器3は、レーザ光Lが入射し易いように、水平断面視四角形など任意の形状を採用することができ、例えばバイアルピンなどであってもよい。
超音波ホモジナイザ4は、試料2内の油分2bを全体的に分散させることができる程度の出力を有する攪拌機である。この超音波ホモジナイザ4は、試料2に浸漬させる超音波プローブ4aを有する。したがって、超音波ホモジナイザ4は、試料2に対して効率よく超音波を照射して油分2bの分散を確実なものとすることができる。しかしながら、超音波の照射装置は、本実施例に示した形状に限られるものではない。すなわち、超音波ホモジナイザ4は、容器3を漬けるように収容できる水2aを満たした槽内に、この水2aを介して容器3に超音波を照射するように構成したものであってもよい。
超音波ホモジナイザ4は、攪拌のための装置(超音波プローブ4aなど)がレーザ光Lやラマン散乱光Lの光路から離れた位置に配置された状態で、試料2を十分に攪拌させることができるので、これらの装置が測定の邪魔になることがない。なお、攪拌機は超音波ホモジナイザ4に限られるものではなく、ポンプを用いた攪拌機など、種々の形態のものを用いることができる。
光源5は、例えば少なくとも前記試料2を構成する液体2aによる光量変化の少ない波長514nmのレーザ光Lを照射するアルゴンレーザよりなる。また、光源5からのレーザ光Lを十分に短い波長とすることにより、このレーザ光Lの照射に伴って試料2から生じるラマン散乱光Lが、試料2を構成する液体2aによる光量変化の少ない波長域となるようにすることができる。
具体的には、試料2が水2aに油分2bを分散させたものである場合には、ラマン散乱光Lの波長域も3.4μmより十分に短い(波数2900cm-1より十分に大きい)光となることが望ましい。したがって、レーザ光Lは波長2500nm以下(波数4000cm-1以上)であることが望ましい。
分光器7は、ラマン散乱光Lのうち、ストークス散乱を異なる角度に分光するように構成されている。また、検出器8は分光されたラマン散乱光Lの所定の範囲(例えばラマンシフト700〜4000cm-1)を検出するように配置されている。
前記演算処理部9は、検出器8によって検出されたラマン散乱光Lのラマンスペクトルを用いて、試料2中の油分2bを定量するための演算処理を行うもので、例えばパソコンよりなる。
上記のように構成された前記油分測定装置1を用いて自然水や、工場、下水処理場などからの排水などの試料2を測定するには、試料2を容器3に入れた状態で、この容器3をそのまま油分測定装置1にセットして、測定を開始する。このとき、超音波ホモジナイザ4は試料2に超音波を照射することにより、試料2中の油分2bを全体に分散させることができる。そして、超音波ホモジナイザ4によって油分2bを試料2の全体に分散させた状態で、前記光源5から波長514nmのレーザ光Lを試料2に照射する。
前記レーザ光Lの照射により、試料2に含まれる成分がラマンシフトしたラマン散乱光Lを起こす。ノッチフィルタ6がレーザ光Lと同じ波長の反射光や散乱光(レイリー光)を反射し、ラマンシフトしたラマン散乱光Lだけを透過する。つまり、分光器7にはレイリー光を除くラマン散乱光Lのみが入射する。
そして、本実施例ではラマンシフト4000cm-1までの範囲でラマンスペクトルを検出できるように、分光器7が設定されている。つまり、波長514〜648nmのラマン散乱光Lは分光器7によって、異なる角度に分光されて検出器8に入射する。(図5参照)したがって、この波長域(514〜648nm)に生じるラマンスペクトルは、水2aによる蛍光や吸収の影響を受けることがない。
なお、光源5が照射するレーザ光は上述した波長の光であることに限定されるものではない。すなわち、例えば光源5が波長1064nmのレーザ(レイリー光)を照射し、ラマンシフト4000cm-1までの範囲のストークス散乱からラマンスペクトルを検出する場合には、波長1850nm以下(波数5405cm-1以上)の光のみを用いてHC成分の分析を行うことができる。したがって、この波長域(1064〜1850nm)に生じるラマンスペクトルにも、水2aによる蛍光や吸収の影響がない。
図2は水2aの赤外吸収スペクトルと油分2bの分光スペクトルを比較して示す図である。図2(A)は波長514nmのレーザ光Lを照射したときに生じるラマン散乱Lのスペクトルを示す図、図2(B)は赤外線を照射したときに生じる赤外吸収スペクトルを示す図である。
図2(B)に示すように、赤外吸収スペクトルにおいて生じるOHの吸収スペクトルSiOHは、波数が約2500〜4000cm-1程度の部分において大きく起こり、全体的に水2aの蛍光による赤外光の光量変化が生じる。そして、OHの吸収スペクトルSiOHや水2aの蛍光による赤外光の光量変化が約2900cm-1に起こるHC成分の赤外吸収スペクトルSiHCと大部分において重なっている。このため、HC成分の赤外吸収スペクトルSiHCを他の原因による光量変化と明確に分けることができなくなり、この赤外吸収スペクトルSiHCによって油分2bの定量分析を行うことは難しい。
ところが、図2(A)に示すように、光源5が水2aによる光量変化の少ない波長のレーザ光Lを照射して得られたラマン散乱光Lからは、HC成分によってラマンシフト約2900cm-1の位置に生じるラマンスペクトルSrHCと、水2aを構成するOH成分のラマンシフト約3000〜3600cm-1の位置に生じるラマンスペクトルSrOHとを検出することができるが、これらのラマンスペクトルSrHC,SrOHには、ほとんど重なりがない。つまり、水分中に分散する油分2bの定量分析を正確に行うことができる。
図2(A)に示すように、分光されたラマン散乱光Lに生じるラマンスペクトルSrOH,SrHCは、赤外吸収の吸光スペクトルSiOH,SiHCに対応するものである。したがって、演算処理部9は、検出器8によって検出された各角度におけるラマン散乱光Lの強度を比較することによりラマンシフト約2900cm-1の位置に生じるラマンスペクトルSrHCの大きさから、油分2bの定量分析を行う。
本発明の油分測定装置1は、試料2として水2aに油分2bを分散させたものを用いることができるので、自然水や工場、下水処理場などからの排水などの試料2をそのまま油分測定装置1にセットすることができ、従来のように試料2から油分2bを抽出する必要がない。すなわち、水2aに分散させた油分2bを極めて容易に検出することができる。また、従来のように油分抽出溶媒を気化させる必要がないので、ガソリンなどの揮発性(低沸点)の油分2bであっても、その分析を行うことができる。
図3は前記油分測定装置1を用いて電子部品などの小片物に付着する油分2bを測定する方法を説明する図である。図3において、10は電子部品などの小片物である。これらの小片物10はHC成分を持たない液体としての水2aを満たした容器3内に投入される。そして、この水2aと小片物10を収容した容器3をそのまま前記油分測定装置1にセットする。
そして、図1に示す超音波ホモジナイザ4は小片物10を収容した状態で超音波を照射することにより、小片物10の表面に付着していた油分2bを小片物10から洗い流して液体2a全体に分散させて、既に詳述した手順により、全ての小片物10に付着していた油分2bの定量分析を行うことができる。なお、前記超音波ホモジナイザ4によって試料2中に油分2bを分散させた後に、油分2bを取り除いた小片物10を容器3から取り出してもよい。
図4は前記油分測定装置1を用い大型の固形物20に付着する油分2bを測定する方法を説明する図である。図4において、20は金属板などの大型の固形物、21はこの大型の固形物20の表面を濡らすと共にこれに付着する油分2bを取り除くためのn−ヘキサンなどからなる油分抽出溶媒、22は前記油分抽出溶媒21を受け止める受け皿、23はこの受け皿22に残された揮発残留物、24は受け皿22内に注ぎ込まれる蒸留水である。
すなわち、大型の固形物20の場合は、油分抽出溶媒21を用いてその表面に付着する油分を取り出して受け皿22内に溜めた後に、油分抽出溶媒21を揮発させることにより、固形物20に付着していた油分2bを揮発残留物23として受け皿22内に移すことができる。次いで、受け皿22に残された揮発残留物23を蒸留水24(水2a)によって分散させて、試料2を生成し、この試料2を容器3に移した後に、油分測定装置1にセットすることにより、固形物20に付着していた油分2bの量を測定することができる。
本発明の油分測定装置の一例を概略的に示す図である。 ラマン散乱光のスペクトルと赤外吸収スペクトルを比較して示す図である。 小片物に付着する油分の測定方法を説明する図である。 大型の固形物に付着する油分の測定方法を説明する図である。 ラマン散乱光に生じるラマンシフトと赤外吸光を比較して示す図である。 従来の油分測定方法を説明する図である。
符号の説明
1 油分測定装置
2 試料
2a 液体(水)
2b 油分
3 容器
4 攪拌機(超音波ホモジナイザ)
5 光源
7 分光器
8 検出器
9 演算処理部
レーザ光
ラマン散乱光
分光されたラマン散乱光
SrHC ラマンスペクトル

Claims (4)

  1. 液体中に油分が含まれている液体試料をそのまま収容する透明な容器と、この容器内に収容された液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴とする油分測定装置。
  2. 固形物に付着する油分をHC成分を持たない液体により洗い流した液体試料を収容する透明な容器と、この容器内に収容された前記液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴とする油分測定装置。
  3. 固形物の表面に付着する油分を油分抽出溶剤により固形物から抽出した後、その油分抽出溶剤を揮発させた揮発残留物としての油分をHC成分を持たない液体中に分散させて生成した液体試料を収容する透明な容器と、この容器内に収容された液体試料を攪拌して前記油分を分散させる攪拌機と、この攪拌機により油分の分散状態を保ちながら、前記容器内の液体試料に、該液体試料の液体による光量変化の少ない波長域に設定されたレーザ光を照射する光源と、このレーザ光の照射により生じたラマン散乱光を分光する分光器と、この分光器により分光されたラマン散乱光に生じる二つのラマンスペクトルを検出する検出器と、検出されたラマンスペクトルのうち油分によるラマンシフトの位置に生じるラマンスペクトルの大きさから前記液体試料中の油分を定量するための演算処理を行う演算処理部とを備えていることを特徴とする油分測定装置。
  4. 前記攪拌機が、前記容器内の液体試料に接触した状態で該液体試料に超音波を照射する超音波ホモジナイザである請求項1ないし3のいずれかに記載の油分測定装置。
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