JP4143292B2 - 多段アルキル化法 - Google Patents

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Description

【0001】
【本発明の分野】
本発明はモレキュラー・シーブ・アルキル化触媒上において蒸気相でベンゼンをエチル化した後、該蒸気相の反応生成物を液相でアルキル化し、次いで別の工程としてトランスアルキル化を行なう芳香族化合物のアルキル化/トランスアルキル化法に関する。
【0002】
【本発明の背景】
モレキュラー・シーブ触媒上で行なわれる芳香族化合物の転換方法は化学工業においては公知である。このような芳香族化合物の転換方法にはベンゼンのような芳香族基質をアルキル化してアルキル芳香族、例えばエチルベンゼン、エチルトルエン、クメンまたは高級芳香族化合物にする反応、およびポリアルキルベンゼンをモノアルキルベンゼンにするトランスアルキル化反応が含まれる。このようなアルキル化およびトランスアルキル化による転化方法は液相、気相、または液相と気相の両方が存在する条件下で行なうことができる。
【0003】
アルキル化およびトランスアルキル化反応は一つの反応器の中で同時に行なうことができる。例えば、幾つかの直列に連結された触媒ベッドを下記のようなアルキル化反応器の中で用いる場合、芳香族基質を触媒ベッドの間に段階間で注入することが通常行なわれているが、これはアルキル化反応器の内部でトランスアルキル化反応を増強する傾向がある。例えば、エチレンを用いてベンゼンをエチル化してエチルベンゼンをつくる場合、反応器内部のアルキル化生成物にはエチルベンゼンばかりでなく、ポリエチルベンゼン、主としてジエチルベンゼンおよびそれより少量のトリエチルベンゼン、並びに他のアルキル化芳香族化合物、例えばクメンおよびブチルベンゼンが含まれる。エチレンを段階間で注入すると、さらにアルキル化反応が行なわれるばかりでなく、トランスアルキル化反応が起こり、この場合例えばベンゼンおよびジエチルベンゼンはトランスアルキル化を起こしてエチルベンゼンを生じる。従って一連の分離段階を通じた下流側に別にトランスアルキル化反応器が連結されているとは云え、アルキル化反応器の内部におけるポリアルキルベンゼンの生成を最低限度に抑制し、以後の処理および分離段階を容易にすることは一般的に是認された方法である。
【0004】
Dwyerに対する米国特許4,107,224号には蒸気相アルキル化の例が見出だされる。この場合4個の直列に連結された触媒ベッドをもった原料を下方へ流す反応器の中でゼオライト触媒上でベンゼンの蒸気相におけるエチル化が行なわれる。反応器から出る生成物は分離システムに通され、この中でエチルベンゼン生成物が回収され、ポリエチルベンゼンはアルキル化反応器に循環され、ここでベンゼンとのトランスアルキル化反応が行なわれる。Dwyerの触媒は拘束係数(constraint index)が約1〜12の範囲にあることが特徴であり、ZSM−5(8.3)、ZSM−11(8.7)、ZSM−12(2)、ZSM−35(4.5)、ZSM−38(2)および同様物が含まれる。ここで括弧の中の数字は拘束係数である。
【0005】
モレキュラー・シーブ、シリカライトは公知のアルキル化触媒である。Watson等に対する米国特許4,520,220号には、平均の結晶の大きさが8μより小さくシリカ/アルミなの比が少なくとも約200であるシリカライト触媒を、ベンゼンまたはトルエンのような芳香族基質をエチル化してそれぞれエチルベンゼンまたはエチルトルエンを製造する反応に使用することが記載されている。Watson等が記載しているように、このアルキル化は約350〜500℃、望ましくは約400〜475℃の温度範囲において、水蒸気を一緒に供給しまたはしないで、多段ベッドアルキル化反応器の中で行なわれる。Watson等の反応器の条件は気相アルキル化の条件に対して一般的に与えられている条件である。
【0006】
シリカライトを用い、蒸気相反応の条件下においてベンゼンのエチル化を行ない、ポリエチルベンゼンを含む生成物をアルキル化反応器に循環させて戻す他の方法はWagnespackの米国特許4,922,053号に記載されている。この場合アルキル化は一般的に370〜470℃の温度範囲、大気圧ないし最高約25気圧の圧力において、シリカライトまたはZSM−5のような触媒上で行なわれる。触媒は水分に敏感であり、反応区域の中に水分が入らないように注意すべきであると記載されている。アルキル化/トランスアルキル化反応器は4個の直列に連結された触媒ベッドを備えている。ベンゼンおよびエチレンを第1の触媒ベッドへの反応器の頂部に導入し、これと組み合わせてポリエチルベンゼン溜分を第1の触媒ベッドの頂部に循環させ、また反応器の異なった位置においてポリエチルベンゼンおよびベンゼンを段階間で注入する。
【0007】
アルキル化触媒としてシリカライトを使用する他の方法には、オルト異性体の含量が抑制されたジアルキルベンゼンを製造するためにアルキルベンゼン基質をアルキル化する方法がある。Butler等の米国特許4,489,214号に記載されているように、モノアルキル化された基質、即ちトルエンまたはエチルベンゼンのアルキル化を行なう触媒としてシリカライトを使用し対応するジアルキルベンゼン、例えばエチルトルエンまたはジエチルベンゼンが製造される。特にButler等が記載しているように、350〜500℃の温度範囲において蒸気相の条件下でトルエンをエチル化してエチルトルエンが製造される。Butler等が記載しているように、反応生成物中に存在するオルトエチルトルエンの量は、使用される蒸気相反応の条件下における熱力学的平衡の量よりも実質的に少ない。
【0008】
Ward等の米国特許4,185,040号には、低ナトリウム含量のモレキュラー・シーブ触媒を使用するアルキル化の方法が記載されている。この触媒はベンゼンおよびエチレンからエチルベンゼンを、またベンゼンおよびプロピレンからクメンを製造するのに特に有用であると云われている。ゼオライトのNa2O含量は0.5重量%よりも少なくなければならない。適当なゼオライトの例にはX、Y、L、B、ZMS−5、およびΩ結晶形が含まれ、ここで水蒸気で安定化された水素Yゼオライトが好適である。特に約0.2%のNa2Oを含む水蒸気で安定化されたアンモニウムYゼオライトが記載されている。Ward等の特許には種々の触媒の形が記載されている。円筒形の押出し物を使用することができるが、特に好適な触媒の形はいわゆる「三葉状」の形であり、これは三つ葉のクローバーの特徴に似た形をしている。押出し物の表面積/容積の比は85〜160/インチの範囲になければならない。アルキル化工程は上向きまたは下向きの流れを用いて行なうことができ、下向きの流れの方が好適であり、また好ましくは少なくとも実質的のすべてのオレフィン・アルキル化剤が消費されるまで少なくとも若干の液相が存在するような温度および圧力の条件で行なうことができる。Ward等は、液相が存在しない場合、大部分のアルキル化条件において触媒の失活が迅速に起こることを記載している。
【0009】
Wightの米国特許4,169,111号には、アルキル化およびトランスアルキル化反応器の中で結晶性のアルミノシリカライトを用いるエチルベンゼンの製造法が記載されている。アルキル化およびトランスアルキル化反応器の中の触媒は同一または相異なることができ、シリカ/アルミナのモル比が2〜80、好ましくは4〜12の低ナトリウム含量ゼオライトを含んでいる。例示的なゼオライトとしてはは、X、Y、L、B、ZSM−5およびΩ結晶形が含まれ、約0.2%のNa2Oを含む水蒸気で安定化されたYゼオライトが好適である。アルキル化反応器は下方へ流すモードで、若干の液相が存在する温度および圧力の条件下で操作される。アルキル化反応器からの生成物は熱交換器の中で冷却されてベンゼン分離用蒸溜塔に供給され、ここからベンゼンは塔頂部で回収されてアルキル化反応器に循環される。エチルベンゼンおよびポリエチルベンゼンから成るベンゼン分離用蒸溜塔からの最初の高沸点塔低部分は最初のエチルベンゼン用蒸溜塔へ供給され、ここからエチルベンゼンが工程生成物として回収される。エチルベンゼン蒸溜塔からの塔低生成物は第3の蒸溜塔に供給されるが、この蒸溜塔は10〜90%、好ましくは20〜60%のジエチルベンゼンを含む実質的に純粋なジエチルベンゼン塔頂溜分が得られるように操作される。ジエチルベンゼン塔頂溜分はアルキル化反応器に循環され、残りのジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼン並びに高分子量化合物を含む側流溜分はベンゼンと共に反応器へ供給される。反応器からの流出流は熱交換器を通じてベンゼン蒸溜塔へ循環される。
【0010】
Barger等の米国特許4,774,377号には、別々になったアルキル化およびトランスアルキル化反応器を使用し、トランスアルキル化生成物を中間の分離区域へ循環させるアルキル化/トランスアルキル化法が記載されている。Bargerの方法では、温度および圧力の条件はアルキル化およびトランスアルキル化反応が実質的に液相で起こるように調節される。トランスアルキル化反応の触媒はX型、Y型、超安定Y型、L型、Ω型およびモーデナイト型ゼオライトを含むアルミノシリカライト・モレキュラー・シーブであり、最後のものが好適である。アルキル化区域に使用される触媒は固体の燐酸含有材料である。アルミノシリカライト・アルキル化触媒も使用でき、アルキル化反応区域には0.01〜6容積%の範囲の水を供給する。アルキル化反応区域からの生成物は第1および第2の分離区域に供給される。第1の分離区域において水を回収する。第2の分離区域では、中間的な芳香族生成物およびトリアルキル芳香族化合物および重い生成物を分離してジアルキル芳香族化合物だけを、即ちエチルベンゼン製造工程ではジエチルベンゼンだけを、或いはクメン製造工程ではジイソプロピルベンゼンだけを含むトランスアルキル化反応区域への供給物をつくる。ベンゼン基質もトランスアルキル化反応を行なうトランスアルキル化反応区域へ供給し、トランスアルキル化区域からの生成物は第1の分離区域へと循環される。アルキル化およびトランスアルキル化区域は下向き、上向きまたは水平に流す配置で操作することができる。
【0011】
Butlerのヨーロッパ特許明細書467,007号には、種々のモレキュラー・シーブ触媒を使用する別々になったアルキル化およびトランスアルキル化区域を有し、トランスアルキル化反応器からの生成物は中間的な分離区域へ循環させる他の方法が記載されている。この場合予備精溜区域の後にベンゼン分離区域を配置し、エチルベンゼン/ポリエチルベンゼン部分をこのベンゼン分離区域の塔底から回収し、塔頂ベンゼン溜分をアルキル化反応器へ循環させる。予備精溜区域により塔頂ベンゼン溜分をつくり、これをベンゼン蒸溜塔からの塔頂溜分およびベンゼン、エチルベンゼンおよびポリエチルベンゼンから成る塔底部分と共に循環させる。この後に続く二つの分離区域はベンゼン分離区域とトランスアルキル化反応器の間に挿入され、工程生成物としてのエチルベンゼンおよび重い残渣部分を回収する。最後の分離区域からのポリエチルベンゼン部分はトランスアルキル化反応器へ供給され、その生成物は直接第2のベンゼン分離用蒸溜塔に供給されるか、或いは間接的に或る一つの分離器を通した後第2のベンゼン分離用蒸溜塔へ供給される。Butlerによれば、アルキル化反応器は液相においてゼオライト−β、ゼオライト−Yまたはゼオライト−Ωのような触媒を用いるか、或いは蒸気相においてシリカライトまたはZSM−5のような触媒を用いて操作される。蒸気相でアルキル化を行なった後液相でトランスアルキル化を行なうButlerの方法では、実質的な量の水がアルキル化反応器への供給流の中に含まれる恐れがある。この場合トランスアルキル化反応器への供給流を脱水して含水量を低下させることができる。トランスアルキル化の触媒はゼオライト−Yまたはゼオライト−Ωの形であることができる。
【0012】
【本発明の概要】
本発明に従えば、モレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒、好ましくはシリカ/アルミナ比が少なくとも275の単斜晶形のシリカライト上においてベンゼンのアルキル化を行なった後、液相でアルキル化を行ない、次いでポリアルキル化された芳香族成分をトランスアルキル化することによりエチルベンゼンを製造する方法が提供される。本発明を実施する場合、ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料をモレキュラー・シーブ・アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域へ供給する。この反応区域は、ベンゼンをガス状態に維持し、ベンゼンを気相でエチル化してエチルベンゼンとジエチルベンゼンを含むがキシレンは少量しか含まないポリアルキル化された芳香族成分との混合物から成るアルキル化された生成物を生じるような温度および圧力の条件で操作される。第1のアルキル化区域からの生成物の全部または一部をさらに余分のエチレンと共に第2のアルキル化反応区域に供給する。この第2のアルキル化反応区域は、ベンゼンを液相に保つか或いはベンゼンを超臨界相に保つ温度および圧力の条件で操作される。第2のアルキル化反応区域はモレキュラー・シーブ触媒、好ましくはゼオライト−Y、ゼオライトΩ、ゼオライトβ、ゼオライト・ランタンβから成る群から選ばれる中程度の細孔の大きさのモレキュラー・シーブを含み、ベンゼンとエチルベンゼンの混合物を生じる条件下において操作される。第2のアルキル化反応区域からの生成物はエチルベンゼンを分離し回収し、またジエチルベンゼンを含むポリアルキル化された芳香族化合物成分を分離し回収するための中間回収区域へ供給される。本発明の好適具体化例においては、ポリアルキル化成分の少なくとも1種をベンゼンと共にトランスアルキル化反応区域に供給する。トランスアルキル化反応区域は、好ましくは液相において、ポリアルキル化された芳香族部分を不均化させ、未反応のベンゼンを含みジエチルベンゼン含量が減少し且つエチルベンゼン含量が増加した不均化反応生成物を生じるような条件で操作される。好ましくはトランスアルキル化区域からの不均化反応生成物は中間回収区域へ供給される。
【0013】
【本発明の詳細な説明】
本発明方法は、シリカライトアルキル化触媒上において蒸気相でベンゼンをアルキル化した後、液相或いはベンゼンに対する超臨界領域においてさらにアルキル化工程を行ない、次いでエチルベンゼンを回収し残渣生成物のトランスアルキル化を行なう方法である。蒸気相でのアルキル化工程に使用される好適なシリカライト触媒は、望ましくないポリアルキル化された芳香族化合物、特にキシレン、および沸点約185℃以上の高沸点アルキル芳香族成分の生成に対し特に低い活性をもっている。エチルベンゼンの製造の際には、ベンゼン基質およびアルキル化剤のエチレンを、アルキル化反応の化学量論的な当量よりもベンゼンが僅かに過剰になるような相対的な量で注入する。これらの条件下において、供給流中のエチレン成分は化学量論的なコントロールを行なう反応成分である。即ちエチルベンゼンの製造速度は、エチレンの注入速度を増加させそれに伴ってベンゼン/エチレンのモル比を減少させることによって増加し、或いはエチレンの注入速度を減少させそれに伴ってベンゼン/エチレンのモル比を増加させることによって減少する。勿論このことはベンゼンの供給速度が一定であることを仮定している。エチレンの流速を増加させる際、従ってベンゼン/エチレンのモル比を規定の設計パラメータよりも低くなるまで減少させる際の困難な点は、望ましくない副成物の生成がしばしば増加することである。本発明の好適な具体化例においては、シリカ/アルミナ比が高く、好ましくは結晶の大きさが小さい主として単斜晶形のシリカライトから成るアルキル化触媒を使用し、これによって供給流のエチレン含量を実質的に増加させ、キシレン含量および高沸点のポリアルキル化された芳香族成分の含量を比較的僅かしか或いは全く増加させないようにすることができる。特定的に述べればこの触媒は、エチレンの速度を25%増加(ベンゼン/エチレンの比を20%減少)させた場合、キシレンの生成量の増加はエチルベンゼンの生成量に対し10%以下であるような応答をキシレンが示すという特徴をもっている。同様に沸点が185℃以上の重いポリアルキル化された芳香族成分に対しては、これらの条件下における対応する増加量はエチルベンゼンの生成量に比べ5%以下である。アルキル化反応器からの流出流中でキシレン含量が低いことは、下流でエチルベンゼンを分離することに関して特に重要である。何故ならキシレン、特にm−およびp−異性体はエチルベンゼンと極めて近い沸点をもっているからである。同様に、最高の沸点が約185℃であるジエチルベンゼンを下流のトランスアルキル化反応器に供給する前に行なわれる下流の分離工程に関しても重い成分の含量が低いことは望ましいことである。
【0014】
本発明方法は通常第1のアルキル化反応区域において芳香族基質を蒸気相でアルキル化した後、別のトランスアルキル化反応を行なう一般的に是認された方法に従っている。しかし、蒸気相でアルキル化することによってつくられた生成物を、直接エチルベンゼンを回収しベンゼンを循環させる中間分離区域に通す代わりに、この生成物の一部または部分を液相または随時ベンゼンに対する超臨界領域で操作される第2のアルキル化反応器に供給する。本発明の好適な具体化例においては、多数の並列に配置された蒸気相反応器の一つが再生モードに置かれている操作サイクルの一部の間、蒸気相におけるアルキル化反応からのジエチルベンゼン生成物を実質的に増加させるモードで、シリカ/アルミナ比が高いシリカライトアルキル化触媒を蒸気相のアルキル化工程に使用する。アルキル化反応器は、シリカライト触媒上においてアルキル化を行ない、通常の操作条件で達成されるより実質的に高いジエチルベンゼン含量が得られるような比較的高い空間速度で操作することができる。特定的に云えば、ジエチルベンゼン含量の増加分は増強された空間速度の1/2の空間速度において生成されるジエチルベンゼン含量の約0.2以上である。正常な操作条件の間にジエチルベンゼン含量が熱力学的な平衡値に近い値に減少するまで空間速度が減少した後、比較的短い時間の間にこのような空間速度の増強が行なわれる。ジエチルベンゼンの生成量の増加は、それに伴い副成物のキシレンに比べエチルベンゼンが生成する方へ選択性が移動することによって相殺される。換言すれば、生成物中のキシレン含量は生成物中のエチルベンゼンに関し0.06重量%よりも低い値まで減少することが好ましい。さらにo−キシレンの含量は、アルキル化反応区域の温度および圧力の条件におけるo−キシレンの熱力学的な平衡値よりも低い比較的低いレベルである。特定的に云えば、o−キシレン含量は平衡値の約半分以下の値に減少させることができる。この点に関し、キシレンの3種の異性体の平衡値の比は約400℃の所望のアルキル化温度においてo−キシレン24.3%、m−キシレン52.3%、p−キシレン23.4%である。本発明方法によれば、反応生成物中のo−キシレンを反応生成物中の全キシレン含量の約10重量%以下にすることができる。
【0015】
蒸気相におけるアルキル化工程に使用される好適なシリカライトは、シリカ/アルキル化の比が高いことに加えて、芳香族アルキル化工程に伝統的に用いられて来たシリカライトに比べ結晶の大きさが小さい。当業界に公知のように、シリカライトはZSM−5に類似したモレキュラー・シーブ触媒であるが、典型的にはシリカ/アルミナ比が高く、そのためアルミニウム/単位セルの比が1より小さいことが特徴であり、さらにまた通常ZSMゼオライトに見られるよりは平均の結晶の大きさよりも幾分大きい結晶の大きさをもっていることを特徴としている。当業界に公知のように、合成したばかりの形で斜方晶形の対称性をもつシリカライトは,例えばDebras等の米国特許4,599,473号記載のカ焼法により単斜晶形の対称に変えることができる。ZEOLITES誌、1985年、第5巻、369〜383頁に「ペンタシル形の材料の物理化学的キャラクタリゼーション、I.前駆体およびカ焼したゼオライト、およびII.前駆体の熱分析」と題してDebras等が記載しているように、シリカライトは典型的には比較的大きな結晶の大きさをもっている。即ち、平均として単位セル当たりのアルミニウム原子のの数が1よりも小さい場合(シリカ/アルミナの比が約200)、シリカライトは典型的には平均の結晶の大きさが恐らく5〜10μまたはそれ以上である。上記のButler等の米国特許4,489,214号には、結晶の大きさが1μより大きく、1〜2μから最高8μの範囲のシリカライト上でトルエンをエチル化する実験が記載されている。シリカライトはさらにモレキュラー・シーブ結晶の表面の内部へ入って行く際のアルミニウム勾配が正であるような、変化するアルミニウム勾配をもつことを特徴としている。即ち、シリカライトは比較的アルミニウムが少ない芯の部分と比較的アルミニウムに富んだ外殻の部分とをもつことを特徴としている。「アルミニウムに富む」と云う言葉は相対的な意味であり、シリカライトに対しては微結晶の外殻の部分でもアルミニウムの含量は低い。
【0016】
前に示したように、蒸気相におけるアルキル化反応器からの生成物は、その全部または一部が液相のアルキル化反応器として設計された第2の反応器へ供給される。通常第2の反応器は、ベンゼンまたは他の芳香族基質が液相にある温度および圧力、即ちベンゼンまたは他の芳香族基質の臨界温度よりも十分低い温度で芳香族基質を液相に保つのに十分な圧力において操作される。しかし、それ以後のアルキル化反応は、芳香族基質が超臨界相にある、即ち臨界温度および臨界圧力より高い温度および圧力条件下において操作されるから、本明細書では「液相反応器」という言葉が使用され、これは超臨界領域および液相領域で操作される反応器を意味するものとする。下記に説明するように、第2の液相アルキル化反応器に使用されるモレキュラー・シーブ触媒は第1の気相アルキル化反応器の中のモレキュラー・シーブ触媒よりも大きい細孔の有効大きさをもっていることが好ましい。
【0017】
本発明の好適具体化例においては、シリカ/アルミナ比が高いシリカライトを含む多段反応区域においてベンゼンを蒸気相でエチル化し、次いで液相でアルキル化を行なった後、液相でトランスアルキル化反応を行ない、トランスアルキル化反応器から回収された不均化生成物を中間回収区域へ循環する方法である。液相でのアルキル化反応器からの生成物はこの中間回収区域へ供給される。この区域は、反応器への供給流を効果的につくり、トランスアルキル化反応器からの生成物を液相アルキル化反応器の下手にあるベンゼン回収区域へ循環させるように操作される多数の分離区域を含んでいることが好ましい。この一体化された操作モードにおいては、トランスアルキル化生成物は第2の液相反応器からの生成物と共に多段ベンゼン回収区域の一つまたは両方へ供給される。以後の分離段階はトランスアルキル化反応器へ分割供給流を供給するような方法で操作することができる。
【0018】
蒸気相のアルキル化反応器はシリカライト・アルキル化触媒を含む少なくとも3個の直列に連結された触媒ベッドを含んだ多段反応区域である。さらに好ましくは4個またはそれ以上の触媒ベッドを用いる。下記にさらに詳細に説明するように、シリカライト・アルキル化触媒は、結晶性のモレキュラー・シーブ構造および接合剤成分の両方の中のナトリウムに関し高い単斜晶形性と少ないナトリウム含量をもつことで特徴付けられるシリカライトであることが好ましい。第2の液相アルキル化反応器の中の好適な触媒は好ましくはゼオライトYまたはゼオライトβであり、ゼオライトβまたはゼオライトLa−Beta(ランタンβ)が特に好適である。トランスアルキル化反応器の中で使用する好適な触媒はシリカライト触媒よりも細孔の大きさが大きいモレキュラー・シーブである。好ましくはトランスアルキル化触媒はゼオライトYである。
【0019】
上記のゼオライト自身は当業界に公知である。例えばゼオライトYはWardの米国特許4,185,040号に記載され、ゼオライトβはWadlingerの米国特許3,308,069号およびCalvert等の米国特許4,642,226号に記載されている。ゼオライト・ランタンβはShamshoum等のヨーロッパ特許明細書507,761 B1号に記載されており、ゼオライトβからイオン交換によりランタンを前駆体のゼオライトβモレキュラー・シーブ構造の中に導入することによりつくることができる。例えばLa−Betaは無水のアンモニウムβゼオライトを硝酸ランタンを用いてイオン交換した後、硝酸処理をしたアルミナと一緒に混練りし、押出してカ焼することによりつくることができる。ゼオライトY、ゼオライトβおよびゼオライトLa−Betaに関するこれ以上の説明は上記Wardの米国特許4,185,040号、Wadlingerの米国特許3,308,069、Calvert等の米国特許4,642,226号、およびShamshoum等のヨーロッパ特許明細書507,761 B1号を参照されたい。これらの特許は参考のために全文が添付されている。
【0020】
本発明の好適な応用の一つは、一つまたは両方のアルキル化反応器からの生成物が4段の分離工程と組み合わされ、この分離工程は次にトランスアルキル化反応器へポリエチルベンゼン供給流を供給するような多段アルキル化反応器を含むシステムにおける応用である。ここに説明されるような本発明の具体化例においては、二組の並列アルキル化反応器(一つの組は蒸気相のアルキル化に対し、他の組は液相アルキル化に対応)および一組の並列トランスアルキル化反応器を使用する。これによって、並列のアルキル化反応器がアルキル化モードで同時に操作され、その間周期的に一つの反応器が運転を止められ、供給流は完全に運転中の反応器に供給される好適な操作モードが得られる。下記に図示され説明されている具体化例においては、二つの並列の反応器を用いるが、同様に3個またはそれ以上の反応器を並列にして使用できることを理解されたい。トランスアルキル化反応器および液相アルキル化反応器に対しても同様な形態を用いることができる。これによって一つのアルキル化および/またはトランスアルキル化反応器を操作させながら残りの反応器の中で同時に触媒の再生を行なうことができる。二つの並列の反応器を用いると仮定すると、この操作は供給流の流速が同じ場合、二つの異なった空間速度で反応器を操作し、反応器の再生中の空間速度を、両方の並列反応器を操作する場合の約2倍にできることが分かるであろう。
【0021】
好ましくは、第1の蒸気相におけるアルキル化反応器は上記の触媒ベッドを少なくとも4個含んでいる。もっと多くのベッドを備えることもでき、アルキル化反応器の中に少なくとも6個の触媒ベッドを備えることがしばしば有利である。反応器は、温度範囲を入口の所で約630〜800°Fに、出口の所で約700〜850°Fにして蒸気相アルキル化(芳香族基質およびアルキル化剤の両方が蒸気相にある)を行なうように操作される。圧力は約250〜450psiaの範囲であることができ、温度が上昇するにつれて一つのベッドから次のベッドへと圧力は低下する。例として反応器の頂部に供給されるベンゼンおよびエチレンは温度約740°F、圧力約430psiで反応器に入る。アルキル化反応は発熱反応であり、例えば最初の触媒ベッドから最後の触媒ベッドへと温度は順次上昇する。段階間の温度は第1の触媒ベッドに対する750°Fから第2の触媒ベッドの後での765°F、第3の触媒ベッドの後での820°Fを経た後、最後の触媒ベッドの後での約840°Fに上昇することができる。
【0022】
通常本発明の型の多段反応区域の操作において、ベンゼン−エチレン混合物は反応区域の頂部の所で第1の触媒ベッドに導入され、また次の触媒ベッドの段階の幾つかの間にある中間混合区域の中に導入される。本発明においては、エチレンをベンゼンと共に反応器の上端部の所にある第1の触媒ベッドの頂部に供給する。またエチレンおよびベンゼンの段階間での注入は逐次配置された触媒ベッドの間で行なわれる。ベンゼン対エチレンのモル比は、アルキル化反応器の頂部に注入する時には約18であり、その後では漸次減少する。何故ならエチレンおよびベンゼンが段階間で注入されるがその際ベンゼンの量は漸次減少し、またベンゼンがアルキル化されてエチルベンゼンおよびポリエチルベンゼンになるからである。
【0023】
本発明において最初の蒸気相におけるアルキル化区域に使用される好適なシリカライト・アルキル化触媒は触媒を安定化するのに水を存在させる必要はない。従って本発明においてはシリカライトに関連してしばしば使用されるような水または水蒸気を一緒に供給する工程を用いる必要はない。前述のように通常段階間でエチレンを注入し、また段階間でベンゼンを注入することもできる。段階間の注入点におけるベンゼン対エチレンのモル比は0(ベンゼンを注入せず)ないしは最高約5の間で変えることができる。多くの場合ベンゼンはモル比でエチレンの量よりも少ない量で使用することができる。換言すれば触媒ベッドの間でベンゼンを注入しないか、或いは注入する場合は比較的少量で、即ちベンゼン対エチレンの比を1より少なくして使用することができる。他方ベンゼン/エチレンのモル比を最高5にすることができる。この操作は、蒸気相でのアルキル化の場合の通常の温度に比べ幾分低い温度で操作することと組み合わされる。本発明の好適具体化例においては、アルキル化反応器の頂部に注入されるベンゼン流の温度を720°F程度またはそれより低くすることができる。勿論アルキル化反応は発熱反応であり、上記のようにアルキル化反応塔を通して順次温度は上昇するであろう。
【0024】
本発明に使用されるシリカライトのアルキル化触媒は高シリカのモレキュラー・シーブの中のペンタシル族に属するモレキュラー・シーブである。このようなペンタシル族のモレキュラー・シーブは例えばChem.Soc.Special Publ.誌、33巻、133〜139頁(1980年)の「高シリカ結晶性材料のペンタシル族」と題するKokotailo等の論文に記載されている。シリカライトのモレキュラー・シーブ・アルキル化触媒はトランスアルキル化反応器に使用される好適なゼオライト−Y、および第2の液相アルキル化反応器に使用される好適なゼオライトβ(La−Betaを含む)に比べ幾分小さい細孔の大きさをもっている。シリカライト触媒は5〜6Åの範囲内の最高の有効大きさまたはウィンドウをもっている。ゼオライトYは約7Åの細孔の大きさをもっている。ゼオライトβは長軸が約7.5Å、短軸が約5.5Åの楕円形の細孔をもっている。ゼオライトLa−Betaはゼオライトβと似た幾何学的な形の細孔の大きさをもっている。好適なシリカライト触媒は通常の場合に比べ1μより幾分小さい結晶の大きさをもっている。好ましくは結晶の大きさは幾分小さく、約0.5μであり、これに対してButler等の前記米国特許4,489,214号記載のような同様の触媒は結晶の大きさが恐らく1〜2μないし最高8μである。
【0025】
本発明に使用する好適なシリカライトはアルミナ結合剤を用い、押出し物の公称の直径が1/16インチ、長さが約1/8〜1/4インチの「三葉状」の形に押出されたものである。下記に説明するように、シリカライト触媒は低いナトリウム含量をもっているが、このことは下記に詳細に説明するように、本発明の好適な具体化例において、異常な高純度をもちまた異常に大きい細孔の大きさをもつアルミナ結合剤を使用することによって補足される。「三葉状」の断面はほぼ三つ葉のクローバーのような形をしている。この形の目的は、通常の円筒形の押出し物から期待されるよりも押出された触媒の表面を増加させることである。シリカライト触媒は単斜晶形のシリカライトとして特徴付けられている。単斜晶形のシリカライトはCohen等の米国特許4,781,906号およびDeClippeir等の米国特許4,772,456号記載の方法で製造することができる。好ましくはこの触媒は100%近くが単斜晶形であるが、70〜80%が単斜晶形で20〜30%が斜方晶形であるようなシリカライト触媒を本発明の好適具体化例に使用することができる。シリカライトは75〜80重量%の量で存在し、アルミナ結合剤は20〜25重量%の量で存在している。シリカライトのシリカ/アルミナ比は少なくとも250である。特に好適なシリカ/アルミナ比は300〜350であり、この範囲内のシリカライトを後で説明する本発明を例示するための実験に使用した。シリカライトは約20〜30のα値をもっていることができる。「α値」は、Shihabiの米国特許4,284,529号およびShihabiの米国特許4,559,314号に記載されているように、ヘキサンのクラッキングに対する触媒の活性によって特徴付けられている。この触媒は典型的には少量のナトリウムおよび鉄を含んでいる。
【0026】
前述のように、シリカライト・アルキル化触媒は、アルミニウムに富んだ外殻と外殻に比べてアルミニウムが少ない内部部分によって特徴付けられる結晶構造をもっている。シリカライト触媒は乾燥しており、水の含有量は少なく、また水は意図して包含させられてはいない。特定的に云えば、シリカライト触媒はナトリウムを約200ppm以下、好ましくは100ppm以下の量で含み、また鉄を約500ppm以下、好ましくは300ppm以下の量で含んでいる。アルミナ結合剤は「キャタパル(catapal)アルミナ」のような高純度のアルミナである。好ましくはアルミナ結合剤は異常に大きな細孔の大きさと異常に低いナトリウム含量によって特徴付けられる。前述のように、シリカライト自身は結晶構造の中のナトリウム含量は低い。アルミナ中において低いナトリウム含量を維持するために、シリカライト構造中の触媒部位の多くの部分が活性水素の形に保たれている。即ち結合剤のナトリウム含量が低いことは、結合剤のナトリウムと結晶中の酸部位との間のイオン交換のために、結晶性の触媒が中和するのを最低限度に抑制する傾向をもっている。アルミナ結合剤はさらに、触媒を押出して分割して粒子にした後の細孔の大きさが比較的大きい特徴をもっている。特定的に云えば、シリカライト自身の細孔の大きさとの混乱を避けるために「最大の」最高の大きさと呼ばれる結合剤の細孔の大きさは、約1,000Åまたはそれ以上である。好適な細孔の大きさの範囲は約1,000〜1,800Åである。この比較的大きな細孔をもつ結合剤は、触媒粒子自身に適用されるようなアルミナの拡散機構を避けるかまたは少なくとも最低限度に抑制することにより触媒の効率を向上させ、従って触媒粒子内部でシリカライト・モレキュラー・シーブへの到達を一層容易にすることができる。モレキュラー・シーブ構造自身の細孔の大きさは通常約5〜6Å程度であると期待することができる。シリカライト触媒は好ましくはナトリウムを少量しか、即ち酸化ナトリウムとして約70〜200ppmしか含まず、また約200〜500ppmの少量の酸化鉄しか含んでいない。この触媒は触媒の合成中添加された「促進剤」金属を含んでいる必要はない。
【0027】
次に添付図面の図1を参照すれば、本発明を用いて実施されるアルキル化/トランスアルキル化工程の模式図が示されている。図1に示されているように、ベンゼン対エチレンのモル比が約10〜20のエチレンとベンゼンとの混合物を含む生成物流はライン1を経て熱交換器2を通りアルキル化区域4に供給される。アルキル化区域4は、上記のような好適な高シリカ/アルミナ比をもつシリカライト触媒を含む多数の直列に連結された触媒ベッドを有する一つまたはそれ以上の多段反応器を具備している。アルキル化区域4はアルキル化反応を蒸気相で維持するような、即ち芳香族基質が蒸気相にある温度および圧力の条件で、好ましくはジエチルベンゼンの生成を促進し同時にキシレンの生成を遅延させる空間速度を与える供給速度で操作される。アルキル化区域4は、上記の好適なシリカ/アルミナ比が高いシリカライトを含む多数の直列に連結された触媒ベッドを有する1個またはそれ以上の多段反応器から成っている。アルキル化区域4はアルキル化反応を蒸気相に保つ、即ち芳香族基質を蒸気相に保つ温度および圧力の条件で、ジエチルベンゼンの生成を増加させながらキシレンの生成を遅らせる空間速度を与える供給速度で操作される。
【0028】
第1のアルキル化反応器の生成物の全部および一部を第2の液相アルキル化反応器4Aに供給する。好ましくは気相のアルキル化反応器からの生成物の全部を液相アルキル化反応器に供給するが、本発明のこの具体化例を図1に示す。図示のように、第1のアルキル化反応器からの生成物をライン5を介して第2のアルキル化反応器4Aに供給する。エチレンはライン3を介して第2のアルキル化反応器に供給する。第2のアルキル化反応器は反応器4に関して上記と同様な多段反応器の形をとることができるが、但し第2の反応器は液相(或いは超臨界相)で、好ましくは細孔の大きさが幾分大きいモレキュラー・シーブを用いて操作される。
【0029】
第2のアルキル化反応器4Aからの生成物はライン5Aを介して中間的なベンゼン分離区域6に供給されるが、この区域6は1個またはそれ以上の蒸溜塔の形をしていることができる。ベンゼンはライン8を介して回収され、ライン1を通して第1のアルキル化反応器へ循環される。別法として、ライン8を介して回収されたベンゼンの全部または一部をライン5を介して供給し、ここで第1の気相アルキル化反応器をバイパスして第2の液相アルキル化反応器に直接供給される。大部分の場合、ライン1のベンゼンをライン8と一緒にし、次いで一緒にした供給流の一部をユニット4および4Aに供給する。エチルベンゼン、およびポリエチルベンゼンおよびキシレンを含むポリアルキル化されたベンゼンを含有したベンゼン分離区域6からの塔底部分を、ライン9を経てエチルベンゼン分離区域10へ供給する。エチルベンゼン分離区域は同様に1個またはそれ以上の逐次連結された蒸溜塔を含んでいる。エチルベンゼンはライン12を通して回収され、適当な目的、例えばビニルベンゼンの製造に適した目的に使用される。ポリエチルベンゼン、主としてジエチルベンゼンを含むエチルベンゼン分離区域10からの塔底部分をライン14を介してトランスアルキル化反応器16に供給する。ベンゼンはライン18を介してトランスアルキル化反応器へ供給される。トランスアルキル化反応器は液相条件下で操作されることが好ましいく、これは第1の気相アルキル化反応区域に使用されるシリカライト触媒よりも幾分大きな細孔の大きさをもつモレキュラー・シーブ触媒、好ましくはゼオライト−Yを含んでいる。トランスアルキル化反応区域からの生成物はライン20を介してベンゼン分離区域6に循環される。
【0030】
図1は、第1の蒸気相のアルキル化反応器からの反応生成物を全部第2の液相アルキル化反応器へ供給する本発明の具体化例を示す。これは通常本発明の好適具体化例である。しかし、本発明の他の具体化例においては、蒸気相のアルキル化反応からの生成物を分割し、その一部は第2の液相アルキル化反応器に供給され、他の部分はベンゼン分離区域6に供給される。本発明のこの具体化例を図2に示す。図2では同様な機素は図1に使用したのと同じ参照番号が付けられている。図2に示すように、蒸気相のアルキル化反応器からの生成物はライン5を介して比例弁7に供給される。比例弁7はライン5の仲の生成物を分割し、その一部がライン7aを経て反応器4Aへ供給され、残りがライン7bを介してベンゼン分離区域6へ供給されるように操作される。本発明のこの具体化例に従って操作を行なう場合、ライン5中の生成物の大部分を第2の液相アルキル化反応器4へ供給し、少量部分をライン7bを経てベンゼン分離区域6へ供給することが好ましい。もっと特定的に云えば、ライン7aを介して液相アルキル化反応器4aへ供給される量は反応器4からの生成物の80〜100重量%の範囲であり、7bを経てベンゼン分離区域へ供給される量は約0〜20重量%の範囲である。
【0031】
図1および2のいずれの具体化例においても、液相アルキル化反応器は通常気相におけるアルキル化反応器の温度よりも十分低い温度で操作されるであろう。従って、気相反応器からの生成物は熱交換区域(図示せず)に通され、この中で生成物流は液相アルキル化反応器の圧力において液相の生成物が生じるような温度まで冷却される。液相アルキル化反応器の中の圧力に依存して、熱交換器の段階を圧縮段階と一緒に組み込み、ここで液相アルキル化反応器への供給流を気相アルキル化反応器中の圧力よりも高い値まで加圧することが必要である。
【0032】
次に図3を参照すれば、ここでは蒸気相アルキル化、液相アルキル化、およびアルキル化/トランスアルキル化工程に含まれる成分を分離し循環させるのに適した多段中間回収区域を組み込んだシステムが詳細に示されている。図3に示されているように、流入供給流にはライン31から新しいエチレンが、またライン32を通して新しいベンゼンが供給される。ライン32には新しいベンゼンと循環されたベンゼンとから成るベンゼン流をアルキル化に望ましい温度まで加熱する予熱器34が備えられている。供給流は二方向三位置弁36および入口ライン30を通して並列になったアルキル化反応区域38および38Aの片方または両方の頂部に供給される。この反応区域は多数の直列に連結された触媒ベッドを備え、その各々の中にはシリカライト・アルキル化触媒が含まれている。この反応器は平均温度が好ましくは700〜800°Fの範囲に入り圧力が約200〜450psiのベンゼンを気相に保つ条件下で操作される。
【0033】
図3に示したこのシステムの正常の操作においては、大部分の操作サイクルの間両方の反応区域38および38Aは、両方が同時に作動している並列の操作モードで操作される。この場合弁36は、ライン30の流入流がほぼ等量で両方の反応器を流れるように分割されるような配置にある。周期的に一つの反応器は触媒の再生のために運転を止めることができる。弁36は、ライン30からのすべての供給流が反応器38に供給され他方反応器38Aの触媒ベッドは再生を行なうか、またはその逆の操作ができるような配置にある。再生操作については後で詳細に説明するが、通常は反応器を並列アルキル化モードで操作している時間に比べ比較的短い時間の間行なわれる。反応器38Aの中の触媒ベッドの再生が完了したら、この反応器を再び運転させ、適切な時点において反応器38の運転を止めて再生を行なう。その結果個々の触媒ベッドを操作するモードは比較的低い空間速度で長い時間行なわれ、一つの反応器の運転が止められている場合には、増強された比較的高い空間速度で周期的に比較的短い間操作される。例えば両方の反応器38および38Aが運転されているシステムの正常の操作の間、供給流は約32/時間LHSVの空間速度で各反応器に供給される。反応器38Aの運転が止められ且つ供給速度は変わらない場合、反応器38に対する空間速度はほぼ2倍の64/時間LHSVになるであろう。反応器38Aの再生が完了したら、この反応器を再び運転させ、各反応器に対する空間速度は反応器38の運転が止められる時点まで再び35/時間に減少するであろう。反応器38の運転が止められると、反応器38Aへの流速は勿論増加し、反応器38Aの中の過渡的な空間速度は再び70/時間LHSVになる。
【0034】
好適な反応器の形態を詳細に図4に示す。ここに図示されているように、反応器38はベッドA、B、C、DおよびEとして示されている5個の直列に連結された触媒ベッドから成っている。エチレン供給流はライン39および比例弁39a、39bおよび39cを介して供給され、エチレンの適切な段階間の注入が行なわれる。理解されるように、並列反応器38Aは反応器38に関して図4に示されたのと同様な多岐管構造をもつ形態をしている。
【0035】
図3に戻れば、アルキル化反応器38および38Aの片方および両方からの流出流は二方向三位置出口弁44および出口ライン45を通り第2の組の液相アルキル化反応器40および40aに供給される。図3に示した流れ図は図1に模式的に示した好適な具体化例に対応し、蒸気相アルキル化反応区域からのすべての生成物流を液相アルキル化区域に供給している。従ってライン45中の生成物はライン33を経て供給されるエチレンと共に二方向三位置入口弁46を通って液相反応器40および40aの片方または両方へ供給される。液相反応器40および40aは典型的には温度約300〜600°F、平均圧力約500〜800psiaの条件で操作される。前述のように、液相アルキル化反応器に使用されるモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒は、その細孔の大きさが第1の組のアルキル化反応器の中に用いられるシリカライト・モレキュラー・シーブの平均の細孔の大きさよりも大きい。液相アルキル化反応器に使用されるゼオライトは好ましくはゼオライトYまたはゼオライトβ(ランタンβを含む)であるか、或いはゼオライトYとゼオライトβとの混合物である。前記のように、第2の組の液相アルキル化反応器の中で使用される触媒は好ましくはゼオライトβまたはゼオライト・ランタンβである。また上記のように、第2の組の液相アルキル化反応器は超臨界領域で操作することもできるが、本発明の目的に対しては第2の組の液相アルキル化反応器は通常は好適な液相の領域で操作されると仮定する。
【0036】
第2の組のアルキル化反応器40および40aは反応器38および38Aに関して説明した上記と同様に並列にして間欠的な再生モードで操作することができる。即ち、比例弁46は通常は生成物流45を大体同じ割合に分割し両反応器40および40aにほぼ同じ量で並列に流すような配置にある。片方の反応器の触媒が再生を必要とするようになったら、この反応器の運転を止め、弁46の配置をライン45中のすべての生成物流45が他の反応器へ供給されるようにすることができる。これによって、第1の組の反応器に関して上記に説明したのと同様に液相反応器中の空間速度がほぼ2倍になるであろう。
【0037】
液相アルキル化反応器40および40aからの生成物は二方向三位置出口弁43を通りライン47aを経て二段階ベンゼン回収区域へと供給される。この区域は第1段階として予備精溜塔47を含んでいる。予備精溜塔47はベンゼンを含む軽い塔頂溜分をつくり、これをライン48を介して加熱器34の入口側へ供給し、ここでライン32のベンゼンと混合し、次いでアルキル化反応器の入口ライン30へ供給するように操作される。ベンゼン、エチルベンゼンおよびポリエチルベンゼンを含む重い液体溜分はライン50を経てベンゼン分離区域の第2段階52へ供給される。段階47および52は任意の適当な型の蒸溜塔の形をしていることができ、典型的には約20〜60段の蒸溜塔である。蒸溜塔52からの塔頂溜分は残ったベンゼンを含み、これはライン54およびライン48を経てアルキル化反応器の入口部に循環される。即ちライン48および54は図1の出力ライン8に対応している。ライン48と54の一緒にされた流れは分岐弁55を通って流される。この弁55は循環されるベンゼンの一部を或いは全部でさえも分岐して第2の液相アルキル化区域へと流すのに用いることができる。即ちベンゼンの循環流を完全に第1の組のアルキル化区域へと向かわせることができ、これが正常の操作モードであるが、或いはまたベンゼンの循環流の一部を第2の組のアルキル化反応器40および40aへと分割することができる。稀な場合にはライン48および54の一緒にされたベンゼン循環流の全部を弁55を通して第2の組の液相アルキル化反応器の入口弁46へ循環させることができる。蒸溜塔52からのさらに重い塔底部分はライン56を介してエチルベンゼンを回収するための第2の分離区域58へ供給される。蒸溜塔58の塔頂溜分は比較的純粋なエチルベンゼンから成り、ライン60を経て貯蔵されるかまたは適当な生成物処理工程に送られる。例えばエチルベンゼンは、それを脱水素してスチレンを製造するスチレン工場への供給流として使用することができる。ポリエチルベンゼンを、重い芳香族化合物、例えばクメンおよびブチルベンゼン、および通常少量のエチルベンゼンを含む塔底部分はライン61を経て第3のポリエチルベンゼン分離区域62に供給される。下記に説明するように、ライン61には比例弁63が備えられ、これは塔底部分の一部を直接トランスアルキル化反応器へ分岐させるのに使用することができる。蒸溜塔62の塔底部分は残渣を含み、これはライン64を介して工程から取り出し任意の適当な方法でさらに使用することができる。蒸溜塔62の塔頂溜分はジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼン(通常比較的少量)を含むポリアルキル化芳香族成分並びに少量のエチルベンゼンから成り、運転中のトランスアルキル化反応区域へ供給される。アルキル化反応器に関して上記に説明したように、弁67および68を含む入口および出口多岐管を通って並列に配置されたトランスアルキル化反応器65および66が備えられている。反応器65および66の両方は同時に運転することができ、並列の操作モードで両方を作動させる。別法として、一つのトランスアルキル化反応器だけを運転し、他の反応器では再生操作を行ない触媒ベッドを焼いてコークス化を行なう。蒸溜塔58から回収されるエチルベンゼンの量を最小限度に抑制することにより、トランスアルキル化の供給流のエチルベンゼン含量を低く保ち、トランスアルキル化反応をエチルベンゼンが生成する方向へ導く。蒸溜塔62の塔頂部から取り出されたポリエチルベンゼン溜分はライン69を通って供給され、ライン70を介してベンゼンと混合される。次にこの混合物はライン51を介してオンラインでトランスアルキル化反応器65へ供給される。ライン70を経て供給されるベンゼン供給原料は水分含量が比較的低く、約0.05%またはそれ以下であることが好ましい。好ましくは水分含量を約0.02重量%またはそれ以下まで、さらに好ましくは0.01重量%以下まで減少させる。トランスアルキル化反応器の内部でベンゼンおよびアルキル化されたベンゼンを液相に保つために、トランスアルキル化反応器は上記の方法で操作される。典型的にはアルキル化反応器およびトランスアルキル化反応器は、トランスアルキル化反応器の内部の平均温度が約150〜550°F、平均圧力が約600psiになるように操作される。トランスアルキル化反応器に使用される好適な触媒は上述の特性をもったゼオライトYである。ベンゼン対ポリエチルベンゼンの重量比は少なくとも1:1、好ましくは1;1〜4:1の範囲になければならない。
【0038】
ベンゼン、エチルベンゼンおよび減少させられた量のポリエチルベンゼンを含むトランスアルキル化反応器からの生成物はライン72を介して回収される。典型的にはライン72は図示のように予備精溜塔47へ循環するための入口ライン47aへ連結されているであろう。しかし液相トランスアルキル化反応器からの流出流は蒸溜塔47および57のいずれかまたは両方へ供給されることができる。好ましくはこのシステムは全部または大部分の液相アルキル化生成物が図示のように蒸溜塔47へ供給される方法で操作されるであろう。
【0039】
分離システムの操作に戻れば、或る一つの操作モードにおいてはエチルベンゼン分離用蒸溜塔58からの全塔底部分を第3の分離用蒸溜塔62に供給し、この区域からの塔頂溜分をトランスアルキル化反応器へ供給する。この操作モードでは触媒の再生を行なう間のトランスアルキル化反応器の中の触媒の使用サイクルを比較的長くし触媒の活性を増加させ得ると云う利点が得られる。本発明の他のモードではエチルベンゼン分離用蒸溜塔58からの生成物の一部を弁63を通して直接トランスアルキル化反応器へ供給することによってこの利点が得られる。蒸気相のアルキル化を使用し、本発明によって以後の液相アルキル化を液相トランスアルキル化と組み合わせることにより大部分の量のエチルベンゼン蒸溜塔からの塔底部分を直接トランスアルキル化反応器へ送り、塔底から失われる可能性がある残渣の量を減少させることができる。この操作モードはトランスアルキル化を遅滞させエチルベンゼンの生成を増加させるアルキル化反応区域での操作と両立でき、それと一緒に行なえば特に利点がある。第2段階の液相アルキル化反応を用いることによりエチレンによるアルキル化をさらに十分に行ない、それに対応して中間回収区域に含まれる精溜塔の容量を増加させずに、エチルベンゼン蒸溜塔58から引き出されるエチルベンゼンの量を増加させることができる。
【0040】
図3に示されているように、第2の分離区域58からの塔底部分の一部は蒸溜塔62をバイパスさせ、弁63およびライン88を経て直接トランスアルキル化反応器65へ供給する。エチルベンゼン蒸溜塔からの塔底部分の第2の部分は弁63およびライン90を介して第3の分離用蒸溜塔62に送られる。蒸溜塔62からの塔頂溜分はライン88の中のバイパス流と一緒に混ぜ合わされ、得られた混合物はライン67を経てトランスアルキル化反応器に供給される。蒸溜塔58からの塔底生成物の大部分を蒸溜塔62に対してバイパスさせることにより、システムから失われる残渣を減少させることができる。好ましくはこの操作モードにおいて蒸溜塔58からの塔底生成物の実質的な量を直接トランスアルキル化反応器に送り、ポリエチルベンゼンの蒸溜塔62をバイパスさせる。ライン88を経て直接トランスアルキル化反応器に供給される第1の部分対ライン90を経て最初にポリエチルベンゼンへ供給される第2の部分の重量比は、通常約1:2〜約2:1の範囲内にあるであろう。しかし、この相対的な量はもっと広く変化させ、第1の部分対第2の部分の重量比の範囲を約1:3〜3:1にすることもできる。
【0041】
前述のように、蒸気相のアルキル化反応は液相のアルキル化反応と共に比較的穏やかな条件で行なうことが好ましい。アルキル化反応器の中の条件が比較的穏やかであるにも拘わらず、十分なアルキル化が行なわれ、蒸気相のアルキル化反応器だけを使用した場合よりもエチルベンゼンの生成が増加し、幾つかの回収区域において蒸溜装置の容量を増大させる必要はない。簡単な液相の操作において比較的穏やかな条件を用いることが好適ではあるが、本発明は、ベンゼンの臨界温度および臨界圧力よりも高い超臨界領域で操作する温度および圧力の両方の条件をベンゼン基質に対して課し、第2のアルキル化段階を擬液相状態において行なうこともできる。上記のように、この場合には第2のアルキル化反応器は温度約290℃以上、圧力は700psiを超える圧力で操作されるであろう。通常はこれよりも幾分高い温度および圧力で操作される。この場合ベンゼンの超臨界領域において臨界相で行なわれる第2の圧力反応器の操作では、温度は300〜350℃の範囲、圧力は650psiより高いであろう。
【0042】
以上本発明を特定の具体化例を用いて説明したが、当業界の専門家はその変形を示唆することができ、本発明のこのようなすべての変形は特許請求の範囲に入るものとする。
【0043】
本発明の主な特徴および態様は次の通りである。
【0044】
1.エチルベンゼンの製造法であって、
(a)モレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
(b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
(c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
(d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部をモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
(e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
(f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第2のアルキル化反応区域を操作し、
(g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物を、該アルキル化生成物からベンゼンを分離しまたエチルベンゼンを分離して回収するための回収区域へ供給し、
(h)該回収区域から回収されたベンゼンを該第1および第2のアルキル化反応区域の少なくとも一つに循環させる、
ことから成る方法。
【0045】
2.該第1のアルキル化反応区域から回収されたアルキル化生成物の実質的全部を該第2のアルキル化反応区域へ供給する上記第1項記載の方法。
【0046】
3.該第1のアルキル化反応区域からの該生成物の第1の部分を該第2のアルキル化反応区域へ供給し、該第1のアルキル化反応区域からの該生成物の第2の部分は該第2のアルキル化反応区域をバイパスさせて直接該回収区域へ供給する上記第1項記載の方法。
【0047】
4.該第1のアルキル化反応区域の中のモレキュラー・シーブ触媒は細孔の大きさが小さいか中間的な大きさのモレキュラー・シーブであり、該第2の芳香族アルキル化区域の中のモレキュラー・シーブ触媒は細孔の大きさが中程度の大きさのモレキュラー・シーブであり、その細孔の有効大きさは該第1のアルキル化反応区域の中の触媒の細孔の有効大きさよりも大きい上記第1項記載の方法。
【0048】
5.該第2のアルキル化反応区域中の該触媒はゼオライトβまたはゼオライトLa−Betaである上記第4項記載の方法。
【0049】
6.該第1のアルキル化反応区域中の触媒はシリカ/アルミナ比が250より大きい単斜晶形のシリカライトであり、該第2のアルキル化反応区域中の触媒はゼオライトY、ゼオライトΩ、ゼオライトβおよびゼオライト・ランタンβから成る群から選ばれる上記第1項記載の方法。
【0050】
7.該回収されたベンゼンの大部分を該第1アルキル化反応区域へ循環させる上記第1項記載の方法。
【0051】
8.該第1のアルキル化反応区域中の触媒はシリカ/アルミナ比が少なくとも275のシリカライトである上記第1項記載の方法。
【0052】
9.該シリカライトは平均の結晶の大きさが1μよりも小さい単斜晶形のシリカライトである上記第8項記載の方法。
【0053】
10.該単斜晶形のシリカライト触媒は平均の結晶の大きさが約0.5μまたはそれ以下であり、アルミナの結合剤を用い表面積/容積の比が少なくとも50/インチである結晶の粒子を与えるようにつくられている上記第9項記載の方法。
【0054】
11.エチルベンゼンを製造し且つ別にポリエチルベンゼンのトランスアルキル化を行なう方法であって、
(a)モレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
(b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
(c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼン、エチルベンゼンおよびポリアルキル化された芳香族成分の混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
(d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部をモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
(e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
(f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼン、エチルベンゼンおよびポリアルキル化された芳香族成分の混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件において該第2のアルキル化反応区域を操作し、
(g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物の少なくとも一部を、該アルキル化生成物からエチルベンゼンを分離して回収し、またジエチルベンゼンを含むポリアルキル化された芳香族成分を分離して回収するための中間的な回収区域へ供給し、
(h)該ポリアルキル化された成分中のジエチルベンゼンを含む該ポリアルキル化された芳香族成分の少なくとも一部をモレキュラー・シーブ・トランスアルキル化触媒を含むトランスアルキル化区域に供給し、
(i)ベンゼンを該トランスアルキル化区域に供給し、
(j)該ポリアルキル化された芳香族部分の不均化反応を起こさせ未反応のベンゼンを含みジエチルベンゼン含量が減少し且つエチルベンゼン含量が増加した不均化反応生成物を生じる温度および圧力の条件下で該トランスアルキル化反応区域を操作する、
ことから成る方法。
【0055】
12.該不均化反応生成物の少なくとも一部を該中間回収区域へ供給する上記第11項記載の方法。
【0056】
13.該第1のアルキル化反応区域中のモレキュラー・シーブ触媒は細孔の大きさが小さいか中間的な大きさのモレキュラー・シーブであり、該第2の芳香族アルキル化区域の中のモレキュラー・シーブ触媒は細孔の大きさが中程度の大きさのモレキュラー・シーブであり、その細孔の有効大きさは該第1のアルキル化反応区域の中の触媒の細孔の有効大きさよりも大きい上記第11項記載の方法。
【0057】
14.該第1のアルキル化反応区域中の触媒はシリカ/アルミナ比が250より大きい単斜晶形のシリカライトであり、該第2のアルキル化反応区域中の触媒はゼオライトY、ゼオライトΩ、ゼオライトβおよびゼオライト・ランタンβから成る群から選ばれる上記第11項記載の方法。
【0058】
15.該トランスアルキル化反応区域はゼオライトYトランスアルキル化触媒を含み、該トランスアルキル化区域の中の供給原料を液相に保つのに有効な温度および圧力の条件で操作される上記第14項記載の方法。
【0059】
16.該第2のアルキル化反応区域中の該触媒はゼオライトβまたはゼオライトLa−Betaである上記第15項記載の方法。
【0060】
17.エチルベンゼンの製造法であって、
(a)平均の結晶の大きさが1μより小さくシリカ/アルミナの比が少なくとも250である単斜晶形のシリカライトから成るモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
(b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
(c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
(d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部を、細孔の有効大きさが該第1のアルキル化反応区域の中の触媒の細孔の有効大きさよりも大きい中間的な大きさのモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
(e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
(f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第2のアルキル化反応区域を操作し、
(g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物を、該アルキル化生成物からベンゼンを分離しまたエチルベンゼンを分離して回収するための回収区域へ供給し、
(h)該回収区域から回収されたベンゼンを該第1および第2のアルキル化反応区域の少なくとも一つに循環させる、
ことから成る方法。
【0061】
18.該第2のアルキル化反応区域中の触媒はゼオライトY、ゼオライトΩ、ゼオライトβおよびゼオライト・ランタンβから成る群から選ばれる上記第17項記載の方法。
【0062】
19.該第2のアルキル化反応区域中の該触媒はゼオライトβまたはゼオライトLa−Betaである上記第18項記載の方法。
【0063】
20.該単斜晶形のシリカライト触媒は平均の結晶の大きさが約0.5μまたはそれ以下であり、アルミナの結合剤を用い表面積/容積の比が少なくとも50/インチである結晶の粒子を与えるようにつくられている上記第19項記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるアルキル化/トランスアルキル化方法の理想化された模式的ブロック図。
【図2】図1の変更された工程の模式図。
【図3】並列に連結された別々のアルキル化およびトランスアルキル化反応器を含み、反応成分を分離し循環させるための中間的な多段回収区域をもった本発明の工程の模式図。
【図4】多数の直列に連結された触媒ベッドを具備し、供給成分の段階間注入を行なうアルキル化区域の模式図。

Claims (3)

  1. エチルベンゼンの製造法であって、
    (a)モレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
    (b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
    (c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
    (d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部をモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
    (e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
    (f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第2のアルキル化反応区域を操作し、
    (g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物を、該アルキル化生成物からベンゼンを分離しまたエチルベンゼンを分離して回収するための回収区域へ供給し、
    (h)該回収区域から回収されたベンゼンを該第1および第2のアルキル化反応区域の少なくとも一つに循環させる、
    ことを特徴とする方法。
  2. エチルベンゼンを製造し且つ別にポリエチルベンゼンのトランスアルキル化を行なう方法であって、
    (a)モレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
    (b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
    (c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼン、エチルベンゼンおよびポリアルキル化された芳香族成分の混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
    (d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部をモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
    (e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
    (f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼン、エチルベンゼンおよびポリアルキル化された芳香族成分の混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件において該第2のアルキル化反応区域を操作し、
    (g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物を、該アルキル化生成物からエチルベンゼンを分離して回収し、またジエチルベンゼンを含むポリアルキル化された芳香族成分を分離して回収するための中間的な回収区域へ供給し、
    (h)該ポリアルキル化された成分中のジエチルベンゼンを含む該ポリアルキル化された芳香族成分をモレキュラー・シーブ・トランスアルキル化触媒を含むトランスアルキル化区域に供給し、
    (i)ベンゼンを該トランスアルキル化区域に供給し、
    (j)該ポリアルキル化された芳香族部分の不均化反応を起こさせ未反応のベンゼンを含みジエチルベンゼン含量が減少し且つエチルベンゼン含量が増加した不均化反応生成物を生じる温度および圧力の条件下で該トランスアルキル化反応区域を操作する、
    ことを特徴とする方法。
  3. エチルベンゼンの製造法であって、
    (a)平均の結晶の大きさが1μより小さくシリカ/アルミナの比が少なくとも250である単斜晶形のシリカライトから成るモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第1のアルキル化反応区域をつくり、
    (b)ベンゼンおよびエチレンを含む供給原料を該第1のアルキル化反応区域に供給し、
    (c)ベンゼンが気相にあり該モレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンを気相でエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第1のアルキル化反応区域を操作し、
    (d)該第1の反応区域から該アルキル化生成物を回収し、該第1の反応区域からの該生成物の少なくとも一部を、細孔の有効大きさが該第1のアルキル化反応区域の中の触媒の細孔の有効大きさよりも大きい中間的な大きさのモレキュラー・シーブ芳香族アルキル化触媒を含む第2のアルキル化反応区域に供給し、
    (e)該第2のアルキル化反応区域にエチレンを供給し、
    (f)ベンゼンが液相または超臨界相にあり該第2のモレキュラー・シーブ触媒の存在下において該ベンゼンをエチル化してベンゼンとエチルベンゼンとの混合物から成るアルキル化生成物を生じる温度および圧力の条件で該第2のアルキル化反応区域を操作し、
    (g)該第2のアルキル化反応区域からアルキル化生成物を回収し、該第2のアルキル化反応区域からの該生成物を、該アルキル化生成物からベンゼンを分離しまたエチルベンゼンを分離して回収するための回収区域へ供給し、
    (h)該回収区域から回収されたベンゼンを該第1および第2のアルキル化反応区域の少なくとも一つに循環させる、
    ことを特徴とする方法。
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