JP4142997B2 - データ放送ts送出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばデジタルテレビジョン放送の付加サービスとして提供されるデータ放送のTS(以下、データ放送TSと称する)を再構成し、送出するためのデータ放送TS再構成装置、データ放送TS送出装置及びデータ放送TS再構成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のBS/CSデジタル放送にあってはデータ放送サービスが提供されており、近時放送開始予定の地上波デジタル放送にあっても、同様のデータ放送サービスが予定されている。
一般に、データ放送では、例えば特許文献1に記載されているように、番組を構成する複数のコンポーネント(ES:Elementary stream)をセクションと呼ばれるデータに分割し、カルーセルという単位で繰り返し送出する。カルーセルはセクションデータの集まりである。受信装置では、このカルーセルを受信し、番組を構成する全てのコンポーネントを受信した時点で番組内容の表示が完成する。
【0003】
コンポーネントは複数のモジュールから構成されており、送出時にはセクションデータに分割されて送出される。天気予報画面を例にとると、画面フレームを構成するBML文書、日本地図を示すイメージファイル、天気マークを示すイメージファイル、気温等を示すテキストファイルがコンポーネントを構成するモジュールとなり、送出時にはさらにセクションデータに分割される。
【0004】
ところで、地上波デジタル放送では、メインキー局からサブキー局へ、サブキー局からローカル局へコンテンツを配信して互いにコンテンツを共有化しておき、個々の局でデータ放送TSを生成して送出する運用が行われることとなっている。しかしながら、この運用では、各局がそれぞれ共通コンテンツを含むデータ放送TSを生成する必要があり、設備拡張の面で多大なコストがかかる。
そこで、キー局で生成されたTSをサブ局、ローカル局へ配信し、配信された局側で必要な情報の差し替えを行うようにして、設備拡張を最小限に止めることが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−359001号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来のデータ放送システムにおいて、例えば地上波デジタル放送の運用では、各局で共有コンテンツと個別コンテンツを用意して、個々にデータ放送TSを生成し送出する運用が予定されており、設備拡張の面で多大なコスト増が問題視されている。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、各局間あるいは局内でデータ放送TSのネット配信を行い、そのカルーセルの差し替えを任意に行うことができ、これによって個々の局の設備拡張を最小限に止めることが可能なデータ放送TS再構成装置及びその方法と、この装置を利用して局内外のデータ放送TSを再構成しつつ多重送出可能なデータ放送TS送出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るデータ放送TS再構成装置及びその方法は、複数のモジュールを組み合わせたカルーセルを含むデータ放送TS(Transport Stream)を受信する受信装置(ステップ)と、この装置(ステップ)で受信されたTSから前記モジュールを復元するモジュール復元装置(ステップ)と、この装置(ステップ)で復元されたモジュールのうち一部または全部を差し替えて前記カルーセルを再構成するカルーセル再構成装置(ステップ)と、この装置(ステップ)で再構成されたカルーセルをTSに変換する変換装置(ステップ)とを具備する構成とする。
【0009】
上記構成によるデータ放送TS再構成装置及びその方法では、受信されたデータ放送TSからいったんモジュールを復元し、復元されたモジュールの一部または全部を差し替えてカルーセルを再構成し、TSに戻して送出するようにしているので、各局間でデータ放送TSのネット配信を行い、そのカルーセルの差し替えを任意に行うことが可能となり、これによって個々の局の設備拡張を最小限に止めることができる。
【0010】
また、本発明に係るデータ放送TS送出装置は、互いに独立して、複数のモジュールを組み合わせたカルーセルを含むデータ放送TS(Transport Stream)を受信して前記カルーセルの再構成を行う複数のTS再構成装置と、前記複数のTS再構成装置でそれぞれ再構成されたデータ放送TSを多重する多重装置と、この装置で多重されたデータ放送TSを送出する送出装置とを具備し、前記複数のTS再構成装置それぞれは、データ放送TS(Transport Stream)を受信する受信装置と、この装置で受信されたTSから前記モジュールを復元するモジュール復元装置と、この装置で復元されたモジュールのうち一部または全部を差し替えて前記カルーセルを再構成するカルーセル再構成装置と、この装置で再構成されたカルーセルをTSに変換する変換装置とを備える構成とする。
上記構成によれば、互いに異なるデータ放送TSを個別に再構成し、多重して送出することが可能となり、各局において柔軟な対応が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るデータ放送TS再構成装置を適用した送出装置の一実施形態を示すもので、ここでは2系統のデータ放送TSを受信処理する場合の構成を示している。
【0012】
図1において、第1、第2TS受信装置11,21は、それぞれ例えばキー局等の他局からネット配信されるデータ放送TS(以下、他局配信TS)、自局ネットワークにより配信されるデータ放送TS(以下、自局配信TS)を受信し、制御情報(例えば指定PID(パケット識別子)、タイミング信号等)により指定番組のセクションを抽出する。各受信装置11,12で得られたセクションは、それぞれ第1、第2モジュール復元装置12,22に送られて個々のモジュールのデータが復元された後、第1、第2カルーセル再構成装置13,23に送られる。
【0013】
一方、第1、第2モジュール優先度算出装置14,24は、それぞれ第1、第2受信装置11,21からセクションを取り込み、各モジュールの出現頻度を算出して、その算出結果からモジュール優先度を算出する。各算出装置14,24で得られたモジュール優先度はそれぞれ第1、第2カルーセル再構成装置13,23に送られる。
【0014】
上記第1、第2カルーセル再構成装置13,23は、それぞれ差し替えモジュールを取り込み、第1、第2モジュール復元装置12,22で復元されたモジュールの一部または全部と差し替えて、カルーセルを再構成した後、TSに変換して送出する。このとき、モジュール優先度に基づいて、TS送信元の優先度を反映させる。各カルーセル再構成装置13,23でカルーセルが再構成されたTSはTS多重装置15に送られる。
【0015】
また、NPT誤差管理・補正装置16は、第1、第2受信装置11,21から受信TSを取り込み、他局配信TSのNPT(Normal Play Time)、PCR(Program Clock Reference)と自局配信TSのNPT、PCRを管理し、内部STC(System Time Clock)に基づいて、他局配信TS及び自局配信TS内に含まれるNPT発火型イベントメッセージの発火時刻を自局NPT値基準に補正する。補正結果はTS多重装置15に送られる。
【0016】
また、上記受信TSに対してカルーセル差し替え処理が不要な場合には、スルー処理装置17によりタイミング調整して、TSのままTS多重装置16に送る。また、カルーセル生成装置18では、新たに自局で作成したカルーセルをTSに変換してTS多重装置16に送る。
【0017】
上記TS多重装置16は、カルーセル再構成装置13,23、スルー処理装置17及びカルーセル生成装置18それぞれから送出されるTSを多重し、NPT発火型イベントメッセージの発火時刻を補正値に差し替えて、データ放送送出用TSを生成する。生成されたTSは送出装置19により所定のローカル局あるいはサービスエリアに向けて送出される。
【0018】
上記構成において、以下にその動作を説明する。
第1、第2TS受信装置11,21では、入力された自局/他局の配信TSを受信し、それぞれPID毎に管理を行ってデータ放送のカルーセルを構成するセクションを抽出する。抽出されたセクションは第1、第2モジュール復元装置12,22に送られ、順次モジュールのデータが復元されて第1、第2カルーセル再構成装置13,23に送られる。
【0019】
一方、第1、第2モジュール優先度算出装置14,24では、それぞれ受信TSのセクションから個々のモジュールの出現頻度を算出し、その算出結果からモジュール優先度を算出する。具体的には、TSのDII(Download Info Indication)に記載される全てのモジュールが揃うまでの間、送出されるセクションの連続出現回数をモジュール単位でカウントする。
【0020】
図2を参照して、モジュール優先度算出方法について説明する。今、図2(a)に示すように3つのモジュール(モジュールID1〜3)で構成されるコンテンツのセクション数がそれぞれ7,1,2であり、1カルーセルが図2(b)に示す順序で配列されているとする。TSのDIIには全てのモジュールのIDが記載されている。
【0021】
そこで、モジュール優先度算出装置14,24では、DIIから得られたモジュールID毎にセクション数をカウントし、全てのモジュールが揃った時点でそれぞれの連続回数を求め、その比率からモジュール優先度を算出する。図2の例では、モジュールID0が2回、モジュールID1が1回、モジュールID2が1回連続して出現しているため、この場合のモジュール優先度は2:1:1となる。各受信系統の算出されたモジュール優先度は、対応するカルーセル再構成装置13,23に送られる。
【0022】
カルーセル再構成装置13,23では、復元されたモジュールを必要に応じて差替え、算出されたモジュール優先度より並び順を入れ替えてカルーセルを再構成する。
一方、NPT誤差管理・補正装置16は、入力された自局・他局のNPT値、PCR値を管理する。そして、受信TSにNPT参照メッセージがあり、NPT発火型イベントメッセージが存在する場合は、内部STCに基づいて管理しているNPT値、PCR値よりNPT発火時刻を再計算し、補正する。
【0023】
図3及び図4を参照してNPT誤差管理・補正方法について説明する。図3はNPT時刻差分を求める様子を示し、図4はその処理の流れを示すフローチャートを示している。
図3に示すタイミングで自局/他局NPTパケットが受信された場合、(1)式が成立するので、(2)式からNPT時刻差分が得られる。
NPT_own_new=NPT_own+(Cur_STC_own-Cur_STC_other) …(1)
NPT時刻差分=NPT_other−NPT_own_new …(2)
但し、
Cur_STC_own:自局NPTパケット受信時の内部STCカウント値
NPT_own:自局NPTパケット受信時の自局NPT値
Cur_STC_other:他局NPTパケット受信時の内部STCカウント値
NPT_other:他局NPTパケット受信時の他局NPT値
NPT_own_new:他局NPTパケット受信時の自局NPT値
以上の関係に基づいて、NPT誤差管理・補正装置16では、図4に示す処理手順によりNPT誤差を管理し補正する。
図4において、まず、自局NPTパケットの受信を判別し(ステップS1)、受信された場合には、自局NPTパケット受信時の内部STCカウント値Cur_STC_ownを保持すると共に(ステップS2)、自局NPTパケットに示される自局NPT値NPT_ownを保持する(ステップS3)。続いて、他局NPTパケットの受信を判別し(ステップS4)、受信された場合には、TS配信されたNPTパケット受信時の内部STCカウント値Cur_STC_otherを保持すると共に(ステップS5)、TS配信されたNPTパケットに示される他局NPT値NPT_otherを保持する(ステップS6)。
【0024】
次に、ステップS2,S5で保持した内部STCカウント値Cur_STC_own,Cur_STC_otherの差分を算出することで、自局NPTパケット受信から他局NPTパケット受信までの経過時間を求める(ステップS7)。次に、ステップS3で保持した自局NPT値NPT_ownにステップS7で求めた経過時間を加算して、他局NPTパケット受信時の自局NPT値NPT_own_newを算出する(ステップS8)。次に、ステップS6で保持した他局NPT値NPT_otherからステップS8で算出した自局NPT値NPT_own_newを減算することで、他局NPT値NPT_otherと自局NPT値NPT_own_newとの差分を算出する(ステップS9)。最後に、ステップS9で算出した差分値と別途管理されているPCR値に基づいて、発火時刻を補正する(ステップS10)。
【0025】
一方、受信TSに対してカルーセル再構成を行わない場合には、スルー処理装置17によりTSのままTS多重装置15に送られる。また、カルーセル生成装置で18は、上位システムより受信する編成情報、コンテンツ情報に従い、自局分カルーセルデータの生成を行う。ここで生成されたカルーセルデータはTSパケット化されてTS多重装置15に送られる。
【0026】
TS多重装置15では、カルーセル再構成装置13,23、スルー処理装置17、カルーセル生成装置18から送出されるTSデータを多重し、1本のデータ放送TSとする。生成されたTSは送出装置19により所定のローカル局あるいはサービスエリアに向けて送出される。
【0027】
上記のような構成とすることにより、受信したTSからモジュールを復元し、必要に応じてカルーセルの再構成を実現することが可能となる。このとき、配信元が意識したモジュール優先度でのTS配信が可能となる。カルーセル復元を行った後はデータを失うことなく、ビットレート変更に容易かつ柔軟に対応可能となる。
【0028】
また、機能により装置を分けることも、統合することも可能である。1台で実施する場合は、TS受信/カルーセル差し替え/多重を行うことも可能である。この場合には、1装置の導入で、TS伝送時のTS受信によるネット番組への対応、ネット番組の一部または全ての差し替え、自局データ放送の送出が可能となり、装置数を減らすことができ、省スペース・コスト削減を実現することができる。また、他局配信TSと自局配信TSを多重し、1本のTSとして送出するため、トータルビットレートでのレート管理、制限が容易に可能となる。これによりビットレートの破綻を防ぐことができると共に、与えられた帯域の有効利用が可能となる。
【0029】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、TS受信系統を2系統としたが、さらに系統数を増加しても同様に実施可能である。また、必ずしも自局/他局を混在させる必要はなく、受信入力は限定されない。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、各局間あるいは局内でデータ放送TSのネット配信を行い、そのカルーセルの差し替えを任意に行うことができ、これによって個々の局の設備拡張を最小限に止めることが可能なデータ放送TS再構成装置及びその方法と、この装置を利用して局内外のデータ放送TSを再構成しつつ多重送出可能なデータ放送TS送出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る本発明に係るデータ放送TS再構成装置を適用した送出装置の一実施形態を示すブロック図。
【図2】 上記実施形態で実施されるモジュール優先度算出方法を説明するための例を示す図。
【図3】 上記実施形態で実施されるNPT時刻差分を求める様子を示す図。
【図4】 上記実施形態で実施されるNPT誤差管理・補正方法の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…第1TS受信装置,21…第2TS受信装置、12…第1モジュール復元装置、22…第1、第2モジュール復元装置、13…第1カルーセル再構成装置13,23…第2カルーセル再構成装置、14…第1モジュール優先度算出装置、24…第2モジュール優先度算出装置、15…TS多重装置、16…NPT誤差管理・補正装置、17…スルー処理装置、18…カルーセル生成装置、19…送出装置。

Claims (4)

  1. それぞれが1または複数のモジュールを組み合わせた複数のコンポーネントによって構成されるデータ放送番組であって、前記番組を構成する複数のコンポーネントそれぞれのモジュールをセクションデータに分割して前記番組中の全モジュールの識別情報を記載したDII( Download Info Indication )と共にカルーセル方式で繰り返し放送するデータ放送システムに用いられるデータ放送TS送出装置において、
    互いに独立して、任意のデータ放送TSを受信してカルーセル期間中の任意のモジュールの再構成を行う複数のTS再構成装置と、
    前記複数のTS再構成装置でそれぞれ再構成されたデータ放送TSを多重する多重装置と、
    この多重装置で多重されたデータ放送TSを送出する送出装置とを具備し、
    前記複数のTS再構成装置それぞれは、
    前記データ放送TS(Transport Stream)を受信する受信装置と、
    この受信装置で受信されたデータ放送TSから前記モジュールを復元するモジュール復元装置と、
    前記受信装置によって受信されたデータ放送TSから前記DIIに記載される全モジュールが前記モジュール復元装置で復元されるまで、前記受信装置で受信されるデータ放送TSに含まれるセクションデータについてそれぞれモジュール毎の連続出現回数をカウントし、そのカウント結果の比率から各モジュールを送出する優先度を算出するモジュール優先度算出装置と、
    前記モジュール復元装置で復元されたモジュールのうち一部または全部のモジュールを差し替え、前記優先度算出装置で算出された優先度に基づいて並び順を入れ替えることで前記カルーセルを再構成するカルーセル再構成装置と、
    このカルーセル再構成装置で再構成されたカルーセルをTSに変換し再構成されたデータ放送TSとして前記多重装置に出力する変換装置とを備えることを特徴とするデータ放送TS送出装置。
  2. 前記複数のTS再構成装置それぞれは、さらに、前記受信装置で受信されたTS内の時間管理情報を基準値に基づいて補正する時刻管理情報補正手段を備えることを特徴とする請求項記載のデータ放送TS送出装置。
  3. 前記複数のTS再構成装置の少なくともいずれかは、前記受信装置で受信されたデータ放送TSを前記多重装置にスルーさせるスルー手段を備えることを特徴とする請求項記載のデータ放送TS送出装置。
  4. 前記多重装置は、前記複数のTS再構成装置から出力される再構成TSとは別にデータ放送TSを入力して前記再構成TSに多重することを特徴とする請求項記載のデータ放送TS送出装置。
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