JP4142230B2 - 放射線のエネルギ分布調整機構、並びに、これを用いた放射線の照射装置 - Google Patents

放射線のエネルギ分布調整機構、並びに、これを用いた放射線の照射装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線のエネルギ分布調整機構、並びに、これを用いた放射線の照射装置に係り、特に、臨床用陽子線治療システムに用いるのに好適な、例えば患者の外部から患部に向けて照射される放射線のエネルギ分布を、任意形状に調整するための放射線のエネルギ分布調整機構、並びに、これを用いた放射線の照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒子加速器により真空中で荷電粒子を高速、高エネルギに加速し、これによって発生するX線、電子線、中性子線、陽子線、π中間子線、重粒子線等、又はコバルト遠隔治療装置からのγ線等を、患者体外から経皮的に病巣に照射する外部放射線治療は、固形癌の治療において、外科手術と共に重要な治療法となっている。特に、患部周辺の正常組織へのダメージを少なくできることから、患者のQOL(Quality Of Life)が重視される今後の医療現場において、ますます需要が高まると考えられる。
【0003】
この外部照射による放射線治療では、周辺正常組織又は重要臓器を避け、患部にできるだけ正確に患部形状と一致する照射線量分布を与えることが重要である。陽子線治療は、図1に示すように、物質に入射した陽子線が、停止する直前にブラッグピークPで最大の線量を与えるという性質を利用して、癌組織のみを該ブラッグピークPで被うことにより、この理想を実現しようとするものである。
【0004】
放射線治療の作業に際しては、図2に示す如く、まずステップ100で、患部のX線CT画像を撮影する。その撮影画像を基に、ステップ110で、患者の体輪郭、患部領域、周辺重要臓器を考慮して治療計画を立てる。この治療計画で決定された、照射門数と方向、放射線強度に基づいて、ステップ120で、照射する放射線を微調整するための固定補助具の選定、加工が行われる。次いで、ステップ130で、患者の位置決め132を行った後、放射線照射134による照射治療が行われる。
【0005】
図3に、放射線治療システムの構成を示す。この放射線治療システムでは、加速器等の放射線発生装置10で作られた放射線が、放射線輸送装置12を通って、患者8に放射線を照射するためのガントリノズル14に導かれる。ガントリノズル14では、放射線を、放射線観測・調整機構16で一様なエネルギ分布に整えた後、放射線エネルギ形状形成機構18において、患部に照射したい任意のエネルギ分布に調整し、これを患者8の外部から患部に向けて照射する。患者体内における線量分布は、放射線のエネルギ分布によって決まるため、患部形状を考慮して予め計画されている。
【0006】
即ち、加速器から得られる放射線、例えば陽子線は、細いビーム状であり、そのエネルギ(ブラッグピークPの深さ)も一定である。一方、癌組織は、様々な大きさと複雑な形状を持ち、その体内における深さも一定ではなく、又、陽子線が通過しなければならない組織の密度も一様ではない。従って、陽子線治療を行うためには、陽子線ビームを、(1)癌全体が一度に照射できるくらいの幅広いビームに拡大し、(2)癌の深さに応じて、そのエネルギを調整し、(3)奥行きのある癌組織全体が一様に照射できるよう、癌の厚みに応じてエネルギ分布を持たせ、更に、(4)癌の輪郭や陽子線が通過する組織の不均一さに応じた補正を加える必要がある。
【0007】
そこで、従来の外部放射線治療においては、患者体内における線量分布を補償するために、前記放射線エネルギ形状形成機構18では、照射部位の皮膚面が平坦で無い場合や、照射すべきターゲットが皮膚面と傾きを持っている場合に、線量分布の歪みを補償するための補償フィルタのようなエネルギ分布修正器具が用いられてきた。
【0008】
この補償フィルタとしては、例えば従来の放射線治療で用いられている、通過したビームの空間的等線量曲線が一定の傾きを持つような濾過板であるくさびフィルタや、皮膚面に置き、照射表面の凹凸を平坦にするために使用されるボーラスがある。又、最近の重粒子線治療では、治療する患者毎に患部形状を複数の照射方向から再現するための患者ボーラスを作成する治療法も試みられている。
【0009】
更に、照射する放射線を最終的に調整する機構では、前記エネルギ分布修正器具と、不必要な放射線が照射される領域を遮蔽して照射野を整形する照射野整形器具を同時に用いるのが通常である。
【0010】
高エネルギ放射線用としては、不必要なビーム部分を遮蔽することにより、不整形な矩形の照射野を作成するブロックコリメータ、図4に示す如く、左右からくし状に配置された、幅数mm〜1cm程度の棒状のコリメータをそれぞれ動かすことで、照射すべきターゲットの形に合わせた照射野に設定できるマルチリーフコリメータ、予め、患者の患部形状を照射方向に射影し、放射線が通過しない板を、その形状にくりぬくことにより、照射野を患部形状に限定する患者コリメータ等がある。前記マルチリーフコリメータは、最近の高エネルギ放射線治療装置に標準装備されつつある。
【0011】
具体的には、例えば陽子線治療では、図5に示すようにして、照射対象の形状に合わせたエネルギ分布を形成している。即ち、照射部であるガントリノズル14まで送られてきた、細い陽子ビーム20に、例えば厚さ数mmの鉛でできた散乱体22により、横方向に広がりを持たせて、幅広いビーム24に拡大する。該散乱体22を頂点とする円錐状に広がって伝搬する拡大ビーム24から、後述するコリメータを用いて、中心軸付近の、エネルギが比較的均一な部分を切り出すと、下方の治療台(図示せず)上で、治療に必要な直径十数cmの照射野が得られる。
【0012】
前記拡大ビーム24は、治療対象(例えば患者8の体内の腫瘍8C)の深さに応じて、陽子線の最大到達深さを調整するためのファインディグレーダ26に入射される。該ファインディグレーダ26は、例えば2個のくさび型をした対向するアクリルブロック26a、26bから構成され、該ブロック26a、26bの重なり方を調節することによって、陽子線が通過する部分の厚みを連続的に変化させることができる。陽子線は、通過した物質の厚みに応じてエネルギを失い、到達できる深さが変わるので、このファインディグレーダ26の調節により、図1に示したブラッグピークPを、治療が必要な深さに合わせることができる。
【0013】
該ファインディグレーダ26を透過した陽子線は、腫瘍8Cの厚みに対応して陽子線のエネルギ深さに分布ΔPを持たせるためのリッジフィルタ28に入射される。該リッジフィルタ28は、例えば階段状に厚みの変化する三角柱状の金属棒を簾状に並べたものであり、厚みの異なる部分を通過した陽子線は、異なる深さにブラッグピークPを作るので、階段の幅と高さの調節により、それらを適当に重ね合わせて、ピークの幅ΔPを拡大することができる。
【0014】
前記リッジフィルタ28を通過した陽子線は、陽子線の平面形状を粗く整形するためのブロックコリメータ30に入射される。後述する最終コリメータに加えて、ここで、ブロックコリメータ30による整形を行っているのは、患者8の近くでブロックコリメータによる2次放射線が発生しないようにするためである。
【0015】
前記ブロックコリメータ30を通過した陽子線は、例えば樹脂製の不整形フィルタであるボーラス32に入力され、腫瘍8Cの最大深さの断面形状と組織の不均一性に関する補正が行われる。このボーラス32の形状は、腫瘍8Cの輪郭線と、例えばX線CTのデータから求められる周辺組織の電子密度とに基づいて、算出される。
【0016】
該ボーラス32を通過した陽子線は、例えば真鍮等の最終コリメータ34に入射され、腫瘍8Cの平面形状の輪郭に合わせた最終調整が行われた後、治療用陽子線36として、患者8に照射される。
【0017】
以上のようなエネルギ分布調整機構を用いた従来の放射線治療の概略を図6及び図7に示す。図6は、患者の頭部8Hに対してくさびフィルタ33を用いて、線量分布Dを形成したX線照射の例である。図7は、患者の肝臓8Lに対する陽子線直交二門照射の例である。この例では、患者の患部形状に応じた患者ボーラス32を加工して使用し、患部形状に集中された線量分布Dを得ている。これらの2つの例において、エネルギ分布調整機構は、照射方向に対して固定されている。
【0018】
又、従来の治療計画は、前述のエネルギ分布修正器具の組合せを、経験則に基づき試行錯誤的に行っていた。これは、重粒子線治療における治療計画についても同様であり、更なる治療効果と治療速度の向上のため、照射方法の改善が望まれていた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、従来の放射線治療システムの放射線エネルギ分布調整機構では、治療効率という点で、以下のような問題点を有していた。
【0020】
(1)照射パターンが、比較的単純な修正具の組合せによってのみ構成されているため、複雑な患部形状や、重要臓器を避ける照射に対して、機構的制限が大きい。特に、陽子線や重粒子線のような、透過性の高い線質を用いた場合は、マルチリーフコリメータであっても、小さな腫瘍には使えない。
【0021】
(2)線量分布修正器具と照射野整形器具は、共に放射線照射時には固定されており、異なった照射パターンを与えたい時には、照射毎に、その修正具を装備し直さなくてはならない。
【0022】
(3)患者ボーラスのように治療毎に作成する修正具を用いる場合は、その修正具の作成時間とコストに問題がある。
【0023】
(4)治療毎に修正具を作成する場合、一度使用した修正具は放射線廃棄物となるので、廃棄する場合の取扱いが困難である。
【0024】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、修正具を取り替えることなく、患者体内の患部形状に合わせた3次元線量分布を実現できるようにすることを第1の課題とする。
【0025】
本発明は、又、放射線治療を高精度化すると共に、実照射時間を短縮して、患者の負担を軽減することを第2の課題とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、照射される放射線のエネルギ分布を、任意形状に調整するための放射線のエネルギ分布調整機構において、放射線エネルギ吸収体で作成された、内径が異なる複数のリングボーラスからなるリングボーラス群と、各リングボーラスを、通過した放射線の必要な深さ方向到達線量に応じて、それぞれ放射線照射路内に挿入するためのリングボーラス挿入手段と、必要な平面的線量分布に応じて、不要な照射領域に対する放射線を遮蔽するためのコリメータとを備えることにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0027】
又、前記複数のリングボーラスの内径を、可としたものである。
【0028】
又、前記複数のリングボーラスを、周方向に分割することにより、少ないストロークでリングボーラスの出入を可能とし、装置を小型化できるようにしたものである。
【0029】
又、前記コリメータの放射線照射開口を、単純な幾何形状として、製造を容易としたものである。
【0031】
又、任意形状の放射線を照射するための放射線照射装置において、前記放射線のエネルギ分布調整機構と、該エネルギ分布調整機構中のリングボーラスを、通過した放射線の必要な深さ方向到達線量に応じて自動的に出入するためのリングボーラス駆動機構とを備えることにより、前記第2の課題を解決したものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
本発明に係る放射線のエネルギ分布調整機構の第1実施形態は、図8に示す如く、図5に示したブロックコリメータ30に代わる円形コリメータ40と、患者ボーラス32に代わるリングボーラス機構42と、最終コリメータ34に代わる、放射線照射開口が単純な幾何形状(ここでは三角形)とされた幾何形状コリメータ50とを備えている。
【0034】
なお、治療グレードに応じて、他にマルチリーフコリメータや患者コリメータ等を併用することもできる。
【0035】
前記リングボーラス機構42は、放射線エネルギ吸収体で作られた、例えば同じ板厚で、内径が互いに異なる複数(図では5枚)のリングボーラス44A〜44Eと、各リングボーラス44A〜44Eをそれぞれ必要に応じて出入するための、例えばボールねじからなるリングボーラス駆動機構46A〜46Eと、前記リングボーラスとコリメータの組合せにより再現可能なエネルギ分布で分割されたターゲットを照射するために、操作端末52からの指示に応じて前記リングボーラス44A〜44Eのうち使用しないものを収納したり、あるいは、前記幾何形状コリメータ50を他の開口形状を有する幾何形状コリメータに交換するためのリングボーラス・コリメータ制御装置54とを備えている。
【0036】
本実施形態は、予め3次元患部形状を楕球面の一部分の組合せで全て被覆できるような治療計画が行われる場合に、入射した放射線が、計画された楕球面状の線量分布を形成するような放射線エネルギ分布を持つように動作する。
【0037】
もしくは、ある評価基準に基づいて最適化された照射パターンが用いられる。
【0038】
ここで、評価基準とは、ターゲット内の線量や、その一様性、周辺正常組織への影響、DVH(dose volume histogram)に基づく結果などが考えられる。なお、最適化によって得られた照射パターンの一つ一つは、直接ターゲット形状の一部と必ずしも一致している必要性はない。
【0039】
ここで、照射した放射線の等エネルギ線又はエネルギピークのみに着目し、これをエネルギ分布として表わすものとすると、リングボーラス群の全部分に、放射線が垂直方向から一様に入射したとき、リングボーラス群を通過した放射線は、各リングボーラスによって、一様にエネルギを吸収されることで、患者体内入射後の放射線到達距離に差を生じる。これを等エネルギ面で図示すれば、リングボーラスの組合せに応じた回転対称の楕球面状のエネルギ分布Eが形成される。更に、不要な照射領域に対する放射線を必要な照射開口形状(三角形の他、円形、楕円形、矩形等も可)の幾何形状コリメータ50で切り取ることにより、計画された線量分布Dが最終的に体内で形成される。
【0040】
なお、図8においては、円形コリメータ40とリングボーラス44が別体とされていたが、図9に示す変形例のように、円形コリメータ40にリングボーラス44を埋め込んで一体型としてもよい。リングボーラス44A、44Bの内径の違いによる通過後のエネルギ分布の変化の例を図10に、合成されたエネルギ分布の例を図11に示す。
【0041】
計画によって求められる、1回の照射によって与えられる線量分布の形状は、直接ターゲット形状の一部分と一致してもよいし、複数照射の重ね合わせで結果的にターゲット形状と一致するようにしてもよい。後者の場合、1回の照射ごとに与えられる線量分布の形状は、必ずしもターゲット形状の一部とは一致しなくてよい。
【0042】
ここでは、1回ごとの形状が一致する場合の治療例を説明する。
【0043】
前記操作端末52からは、図12に示す如く、ターゲット形状データ及び手動分割又は自動分割アルゴリズムが前記リングボーラス・コリメータ制御装置54に入力される。
【0044】
該リングボーラス・コリメータ制御装置54は、前記操作端末52から入力されるターゲット形状データを記憶するターゲット形状データ記憶メモリ56と、該ターゲット形状データ記憶メモリ56から入力されるターゲット形状データ及び前記操作端末52から入力される手動分割又は自動分割アルゴリズムに従って、ターゲットを3次元分割するターゲット3次元分割装置58と、該ターゲット3次元分割装置58の出力に基づいて分割ターゲットの射影形状を計算する分割ターゲット射影形状計算装置60と、該分割ターゲット射影形状計算装置60の出力に基づいて、必要なコリメータパターンとなるように幾何形状コリメータ50を切換えるための信号をコリメータ制御装置70に出力するコリメータパターン出力装置62と、リングボーラス機構42に含まれるリングボーラスパターンを記憶するリングボーラスパターン記憶メモリ64と、該リングボーラスパターン記憶メモリ64及び前記ターゲット3次元分割装置58の出力に基づいて、分割ターゲットの照射エネルギ分布を決定する分割ターゲット照射エネルギ分布決定装置66と、該分割ターゲット照射エネルギ分布決定装置66の出力に応じて、必要なリングボーラスパターンが得られるように、前記リングボーラス駆動機構46A〜46Eを駆動するための信号をリングボーラス制御装置72に出力するリングボーラスパターン出力装置68とを含んで構成されている。
【0045】
以下、図13を参照して、前記実施形態を用いた放射線治療作業の手順を説明する。
【0046】
治療計画での照射データ計算処理200では、ステップ210でX線CT画像から復元された立体患部形状を読み込み、ステップ220で患部形状を3次元データとして復元する。次いで、ステップ230で、復元された3次元形状のうち、本発明による照射領域を決定する。次いでステップ240で、楕円面を再現するためのリングボーラスの組合せパターン(どのような内径のリングボーラスを、どのような厚みで、何枚使うか)を計算する。次いでステップ250で、照射領域を限定するためのコリメータパターンを計算する。最後にステップ260で、ガントリ位置データを計算する。
【0047】
次いで、実際の照射に移る前に、アライメント処理300へ進み、ステップ310でガントリ位置を読み込むと共に、ステップ320で患者の位置を読み込み、ステップ330でガントリの初期位置を計算する。
【0048】
そして、放射線照射処理400では、計算されたデータを基に、ステップ410でガントリ位置を移動し、ステップ420でボーラスパターン及びコリメータパターンを設定し、ステップ430で照射する。このステップ410乃至430を、ステップ440で全門照射が終了したと判断されるまで照射方向毎に実施する。全門照射終了後、ステップ450で照射を停止する。
【0049】
本実施形態においては、リングボーラス駆動機構を設けて、リングボーラスの出入を自動化しているので、従来、照射方向毎に作成され、照射方向が変わる毎に交換されていた修正具の人手による取り替えが不要であり、照射方向を迅速に変えることができるので、患者の負担が少ない治療が行える。なお、リングボーラスの出入を人手により行うことも可能である。
【0050】
又、本実施形態においては、リングボーラスが円形とされ、一方向に引き抜くようにされていたので、リングボーラス駆動機構の数が少なくても良く、安価・軽量に構成できる。なお、図14や図15に示す変形例のように、2分割(図14)や3分割(図15)とすることもできる。これらの場合には、リングボーラスの移動距離が少なくなり、ガントリノズルを小型化することができる。
【0051】
又、本実施形態においては、内径が異なる複数のリングボーラスと幾何形状コリメータを組み合わせているので、構成が簡略である。なお、内径が可変のリングボーラスを用いたり、あるいは、幾何形状以外の形状を有するコリメータを組み合わせることも可能である。又、円形コリメータや幾何形状コリメータの代りに、図4に示したマルチリーフコリメータを用いても良い。
【0052】
又、本実施形態においては、リングボーラスの板厚を同一としているので、計算が容易である。なお、板厚を変えて、少ない枚数で必要な深さ方向の線量変化が得られるようにすることもできる。
【0053】
前記実施形態においては、本発明が、陽子線治療システムに適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、陽子線以外の放射線治療システム、あるいは一般の放射線照射システムにも、同様に適用できることは明らかである。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、放射線の照射パターンを、単純な形状の放射線エネルギ吸収材料同士の組合せで実施することができる。
【0055】
従って、従来のくさびフィルタ等の固定機構を用いた治療計画に比べ、楕球面を用いて近似的に3次元形状を再現する線量分布が実現できるため、放射線治療の本来の利点である周辺正常組織の保護という点で治療効果が高い。
【0056】
又、高エネルギ放射線治療において、患者毎のボーラスを作成する時間が不要となり、患者ボーラスが作成されるまでの待ち時間を減らして、治療全般を高速化することができる。従って、単位時間当たりの照射時間の変更許容範囲を大幅に増大させ、更なる高度な治療計画も可能となる。
【0057】
又、患者毎に作成する修正具等の放射性廃棄物となる廃材が発生せず、廃棄処理の問題も生じない。
【0058】
更に、照射パターンの単純化は、治療計画の計算機支援における最適化プロセスの高速化にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】陽子線治療の原理を示す線図
【図2】一般的な放射線治療作業手順を示す流れ図
【図3】同じく放射線治療システムの一例を示すブロック図
【図4】従来よりブロックコリメータとして用いられているマルチリーフコリメータの構成を示す平面図
【図5】陽子線治療におけるエネルギ分布調整と照射野形成の原理を示す斜視図
【図6】従来のエネルギ分布修正器具を用いた放射線治療の概略を示す、脳の断面図
【図7】同じく肝臓部分の断面図
【図8】本発明に係るエネルギ分布調整機構の実施形態の構成を示す、一部ブロック図を含む斜視図
【図9】前記実施形態で用いられているリングボーラスの変形例を示す線図
【図10】図9のリングボーラス、及び、その組合せによって得られるエネルギ分布の例を示す線図
【図11】図10のリングボーラスを組み合わせることによって得られるエネルギ分布の例を示す線図
【図12】前記実施形態で用いられている操作端末及びリングボーラス・コリメータ制御装置の構成を示すブロック図
【図13】前記実施形態を用いた放射線治療作業の手順を示す流れ図
【図14】本発明の変形例である、2分割されたリングボーラス及びその駆動機構を示す斜視図
【図15】同じく、3分割されたリングボーラス及びその駆動機構を示す斜視図
【符号の説明】
8…患者
8C…腫瘍
8H…頭部
8L…肝臓
10…放射線発生装置
12…放射線輸送装置
14…ガントリノズル
16…放射線観測・調整機構
18…放射線エネルギ形状形成機構
40…円形コリメータ
42…リングボーラス機構
44A〜44E…リングボーラス
46A〜46E…リングボーラス駆動機構
50…幾何形状コリメータ
52…操作端末
54…リングボーラス・コリメータ制御装置
70…コリメータ制御装置
72…リングボーラス制御装置

Claims (5)

  1. 照射される放射線のエネルギ分布を、任意形状に調整するための放射線のエネルギ分布調整機構において、
    放射線エネルギ吸収体で作成された、内径が異なる複数のリングボーラスからなるリングボーラス群と、
    各リングボーラスを、通過した放射線の必要な深さ方向到達線量に応じて、それぞれ放射線照射路内に挿入するためのリングボーラス挿入手段と、
    必要な平面的線量分布に応じて、不要な照射領域に対する放射線を遮蔽するためのコリメータと、
    を備えたことを特徴とする放射線のエネルギ分布調整機構。
  2. 前記複数のリングボーラスの内径が、可変とされていること特徴とする請求項1に記載の放射線のエネルギ分布調整機構。
  3. 前記複数のリングボーラスが、周方向に分割されていること特徴とする請求項1又は2に記載の放射線のエネルギ分布調整機構。
  4. 前記コリメータの放射線照射開口が、単純な幾何形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の放射線のエネルギ分布調整機構。
  5. 任意形状の放射線を照射するための放射線の照射装置において、
    請求項1乃至のいずれかに記載の放射線のエネルギ分布調整機構と、
    該エネルギ分布調整機構中のリングボーラスを、通過した放射線の必要な深さ方向到達線量に応じて自動的に出入するためのリングボーラス駆動機構と、
    を備えたことを特徴とする放射線の照射装置。
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