JP4141640B2 - 固着構成要素を有する脊椎間インプラント - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は脊椎間インプラントに関する。
【０００２】
ＦＲ−２ ７２７ ００３号では、椎間板を取り除いた後、椎間板のあったところに入れる脊椎間インプラントを開示しており、このインプラントの本体は、隣接し合う椎体同士の間でそれらに面して接触する２つの平面を有する。またこの脊椎間インプラントは、固着ねじ用のハウジングを２つ有しており、これらハウジングは、ねじがそれぞれの接触平面から突き出て隣接し合う椎体に固着されるように配置されている。さらに各ねじは、対象接触面に対して傾斜し、ねじのヘッドが本体の側面からも突き出るようになっており、インプラントが椎体同士の間に入った後も、ねじをまわすことができる。しかし、ねじ軸が傾斜しているため、ねじを正しい位置に差し込むのは難しい。そのうえ、ねじへのアクセスがしにくいままで、高い固着性を有したねじの位置づけは無理である。
【０００３】
ＵＳ−５ ７０２ ３９１号で開示する脊椎間インプラントは、本体、本体の外側面から滑動可能に突き出るピンと、本体の軸方向の管路内を滑動可能な球形カムとを含む。管路のマウス部分に設けられた作動ピースによって、カムに推力がかかり、傾斜路の作用（a ramp effect）でピンが動いて突き出て、かくして対象椎骨のプレート部分にインプラントを固着させるようになっている。このインプラントによって、椎骨間における固着が、極めて容易に強固なものとなった。必然的にこのインプラントは取外しにくくなっている。一方、このインプラントとは異なり、上記ＦＲ−２ ７２７ ００３に開示されたインプラントの場合は、ねじをゆるませることによってインプラントと椎骨のプレート部分との間の固着が解かれるようになっていることこそが必要なのである。
【０００４】
そこで本発明の目的は、据付けも取外しも容易なインプラントを提供することである。
【０００５】
この目的を達成するために本発明は、本体と、椎骨と接触する本体の接触面から本体に対して可動に突き出る少なくとも１つの固着構成要素と、本体に対して滑動可能で、かつ、固着構成要素を係合させる傾斜路の作用で固着構成要素を変位させることができる、少なくとも一つのカムとを含む脊椎間インプラントにおいて、カムと固着構成要素が、カムが２つの対向し合う変位方向で固着構成要素を動かせるように配列されていることを特徴とするインプラントを提供する。
【０００６】
こうしてカムによって、つまりカムに作用すれば、固着構成要素が動く。もはや直接、固着構成要素に作用しないので、固着構成要素へアクセスできなければならないということに関して生じていた拘束は大幅に減った。この結果、手術中に固着構成要素を正しいところに駆動することがより容易となった。そのうえ、もはや、固着構成要素に直接にアクセスする必要はないので、固着構成要素の位置づけについて、その固着機能を確実に発揮させることを可能とするだけでなく確実にするべく、きわめて多様な方法での変形ができるようになった。したがって、固着構成要素の据付け作業はより容易になり、同時に固着性も高められた。
【０００７】
さらに、このカム作用は逆から辿ることも可能なので、この固着構成要素もしくは各固着構成要素を延長位置から後退位置まで戻るように作動することも可能となった。こうしてインプラントは容易に取り外せる。カムが固着構成要素を駆動するとき、カムは固着構成要素にプラスの作用をかけていることとする。椎骨という実体によって固着構成要素にかかる外圧の作用を受けている状態で、体内にインプラントを貫入させることができるような、道筋をつけたということだけがカムの作用ではない。つまり、インプラントが正しい位置におさまったあと長時間経っても、インプラントを取り外せるということが、特にカムの作用として重要である。
【０００８】
さらに、本発明のインプラントは、以下の特徴のうち１つもしくはそれより多くの特徴を示す。
カムが、本体外側からカムを駆動する作動器とねじ係合によって共働できるようになっているねじ山を有すること、
カムが、本体に対して滑動可能に取り付けられていること、
カムが、本体からカムを引き抜けるように、カムの移動方向に対応して、下部が切り取られた面を提供する端部を有すること、
インプラントが、少なくとも２つの固着構成要素と少なくとも２つのカムとを含み、カムが固着構成要素をそれぞれ動かせるようになっていること、
２つのカムが、これらカムのねじ山が共通の作動部と協働するように配列されていること、
固着構成要素が、接触面の主面に対して傾斜していること、
インプラントが同じ接触面から突き出るようになっている少なくとも２つの固着構成要素を含むこと、
インプラントが、同じ接触面から突き出るようになってかつ相互に平行に並ぶ方向を成す２本の列に配置された、少なくとも４つの固着構成要素を含むこと；
本体が、椎骨とそれぞれ接触する２つの接触面と、接触面同士の間を延びる少なくとも１つの孔部とを有すること、
接触面から突き出るようになっている固着構成要素の一部分が、椎骨に向かって滑動する構成要素の方向に対応して下部を切り取られた面を有すること、そして、
インプラントが、少なくとも２つの固着構成要素と、これらの固着構成要素に堅固に接続された固着構成要素キャリヤーとを提供していることである。
【０００９】
本発明の他の特徴や利点が、５つの好適な実施の形態についての以下の記述からさらに明らかとなる。ただし、これらの実施の形態は実例としてあげたものであって本発明を限定するものではない。
【００１０】
インプラントの第１の実施の形態について、図１乃至図５を参照しながら説明する。インプラント１０２は本体４を含み、この本体は、おおよそ四角形から作られる平行六面体で、ある一つの方向に扁平に押し付けたような、２面の広い面６つまり上面と底面、そして４面の側面８を成している。本体の縁部と角はみな丸みを帯びて、インプラントしようとする人体の組織を傷つけないようにしている。上面６と底面６は外形的にはおおよそ平らであるが、それぞれ横方向に鋸刃状もしくは千鳥形の型彫りがなされ、歯の頂きが連続して相互に平行な縁を成している。これらの縁が、図５に示したように、治療する椎骨９の椎体のプレート部分への、本体の上面や底面の係合を確実にする。
【００１１】
本体４は２つの貫通孔部１０を有し、この孔部は、本体の２本の両側縁部に接近して延びており、かつ、上面６と底面６の両面を開口するようにこれらの面の間で延びている。さらに、各側面８は穴１２を有し、この穴は、上面６と底面６との間にあり各孔部１０にむかって開口している。インプラントが正しい位置におさまると、孔部１０は移植組織で充たされ、かくしてこの移植組織は、孔部１０と穴１２とを通って、椎骨のプレート部分に向かって増殖していけるようになる。
【００１２】
本体４は円筒管路１４を有し、この管路の軸１６は、孔部１０から離れた２つの対向し合う角部を貫通して延び、さらに上面６と底面６とをそれぞれ含む２つの主面（ｇｅｎｅｒａｌ ｐｌａｎｅｓ）に平行である。管路１４の両端部は開口している。これら両端部のうちの末端部付近には、小径となったねじセグメント１８を提供している。管路１４におけるねじセグメント以外の部分は、ねじセグメント１８よりも大径となった平滑セグメント２０を構成している。
【００１３】
本体４は円筒通路２２を有し、この通路は平滑セグメント２０から上面６へそして平滑セグメント２０から底面６へと延びる。通路２２はすべてがそれぞれ軸２４を有しており、この軸２４はセグメント２０において軸１６に交差する。そしてこの場合は直角に交差する。さらにこの場合、このような通路２２は１２本である。１２本の通路２２は６本の通路２２のグループ２つに分けられる。各グループで、６本の通路２２は、互いに平行で、２本ずつが対になって軸方向にひとならびになって、さらに軸１６を含む共通平面に載っている。図３および図４は、２つのグループのうちの一方のグループ内の６本の通路がこれらの図面で見えるように、この共通平面上にのっている断面を示したものである。この共通平面は、上面６と底面６とをそれぞれ含む２つの主面に対して傾斜しており、通路２２の軸２４も同様に傾斜するようになっている。これらの傾斜は対称的で、通路２２のグループの角度は共に同じとなる。６本の通路２２からなる各グループでは、３本の通路２２が上面６に開口し、３本の通路２２が底面６に開口している。上面６へ開口している通路２２は、同じグループの底面６へ開口している通路２２の１本と軸方向にひとならびになっている。各グループでは、同じ面へ開口している３本の通路が同じピッチずつ離れている。かくして、各面６において、通路２２が互いに平行な配列方向を成す２列に分かれて開口し、各列の通路２２は相互に対向し合うように傾斜している。
【００１４】
各通路２２は、本実施の形態においてはピン２６となっている固着構成要素を滑動可能に受け入れる。さらにこのピン２６は平滑な円筒状の本体を有し、この本体では、面６に近づくほうの端部が突端となって反対側の端部はヘッドになっている。そしてこのヘッドは球形の一部を成す凸面で、その球の半径は通路２２の半径よりも大きく、その凸面の幅は対象通路２２の径より大きい。ヘッドは、セグメント２０内に設置されており、これによって、ピン２６は、対象面６を貫通して抜けてしまうことがないように、保持される。
【００１５】
インプラントは、軸１６上に存する１つの軸を中心とした環状の円筒形であるカム１３０を有する。カムは、軸方向の末端部が、ねじ切りされた円筒面１３４となって、本体のセグメント１８にねじ係合できるようになっている。カムはまた、軸方向の基端部１３６がヘッドとなって、このヘッド１３６の径は本体のセグメント２０の径より大きく、本体外側でひっかかって留まるようになっている。ヘッドは６面を有する６角形ソケットのようなソケットを提供しており、こうして、キーのような適当な道具で、カムを軸中心に回転させることが可能となる。
【００１６】
カム１３０は、その両端部の間に、幅広の３面の円筒面１３８、これらの幅広円筒面１３８より幅狭の３面の円筒面１４０、およびねじ切りされた末端部１３４方向に傾斜する３面の円錐台面１４２を提供している。これらの面は図２の順序どおりでなくとも、基端から末端への方向に幅広円筒面１３８、円錐台面１４２、および幅狭円筒面１４０を含み、円錐台面１４２が円錐台面以外の２つの円筒面をレベル差を有してつないでいるものを１グループとし、それが３グループ連なったなかで配分されていればよい。面における軸１６沿いの長さは、面の種類ごとに同一である。面が軸１６沿いに有する長さによって、図３に示されるようにねじ切りされたカムの末端部１３４がセグメント１８の基端部のところだけで係合している場合は、４本のピン２６のヘッドが幅狭円筒面１４０に抗して、それらのピン軸２４はいずれも軸１６に垂直となる同一平面上に載った状態でこれら４本のピンのヘッドと幅狭円筒面が接触するようになっており、そして一方で、図４に示されるようにカム１３０のヘッドが本体にひっかかって留まっている場合は、ピン２６のヘッドが幅広円筒面１３８に抗して、上記４本のピンのヘッドと幅広円筒面１３８が接触するようになっている。また幅狭円筒面１４０が有する径の大きさによって、以下「後退位置」と呼ぶ図３の位置にあるときは、ピン２６の突端が対象面６を越えて突き出ずもしくは突き出ても非常にわずかで、ピンが椎体どうしの間に据え付けられたインプラント１０２に有意な影響を与えないようになっている。さらに幅広円筒面１３８が有する径の大きさによって、以下「延長位置」と呼ぶ図４の位置にあるときは、ピン２６は、たとえばピンの長さの４分の１から３分の１ぐらいが面６から突き出て、対象椎体に十分深く貫入して、インプラントが抜き出されないようになっている。
【００１７】
インプラントは以下のようにしてはめ込む。椎間板を取り除き、孔部１０に移植組織を満たした後、上記のとおり、インプラント１０２を椎間板が取り除かれた椎体９同士の間に挿入する。インプラントの本体４の高さは取り除いた椎間板の厚みと一致する。インプラントの挿入時は、ねじ切りされたセグメント１８がカムの後ろに実質的に残存している。そして上面６と底面６は、それぞれの椎骨のプレート部分と平行に接触しながら面するようになっている。つまりインプラントの挿入は、図３で示されるような後退配置で行われる。
【００１８】
インプラントがいったん正しい位置におさまってから、キーを用いてカム１３０の前方にあるヘッドを駆動し、カムを軸１６中心に回転させることができる。そしてカムの末端部１３４とセグメント１８とがねじ係合して、カムは軸１６沿いに螺旋経路を進むようになる。こうして、４本のピンから成るグループごとに、ピンに近接する円錐台面１４２がヘッドと接触しながら進み、ここで円錐台面１４２が傾斜路を成し、この傾斜路がセグメントに向かって変位し、４本のピンを本体外側に向かって滑動するように付勢する。ピン２６は、外側に向かって延びるにつれ、椎骨のプレート部分に貫入し、インプラントを椎骨に固着させる。ついで、これら４本のピン２６は、延長配置において、ピンに近接する幅広円筒面１３８に抗して、それぞれの面６から突き出るようになる。カム１３０の駆動が完了すると、カムのヘッドは本体を抗しカムの末端部１３４はセグメント１８の末端部にあるという状態となる。
【００１９】
この第１の実施の形態の変形として、カム１３０と本体４とのねじ係合のかわりに、単にカムをその軸に平行に推力をかけた後でカムが本体に対して動かないようにスナップ止めもしくはクリップ止めを行ってもよい。そのあとカムを、本体に対して滑動可能に動けるようにする。このような状況において、カムの軸に対する断面は円形である必要はなく、たとえば矩形であってもよい。
【００２０】
インプラントの第２の実施の形態を図６および図７を参照して記述する。第１の実施の形態の構成要素と異なる構成要素は、第１の実施の形態における参照符号に１００を加えたもので表されている。
【００２１】
インプラント２０２では、本体４が先の実施の形態とほぼ同一の配置構成をしている。ただし、大径平滑セグメント２０が、この第２の実施の形態ではカム管路１４の全長を成している点で異なる。この場合、第１の実施の形態のカム１３０のかわりに、３つのカム２３０とねじ２５０とから成る１セットを用いる。ねじ２５０の駆動ヘッド２３６は、カム１３０のヘッドと同様に、本体にひっかかって留まるようになっている。ねじは、ねじ切りされたロッド２５２を有する。
【００２２】
３つのカム２３０は互いに同じものである。各カム２３０はほぼ円筒形状である。カムは、ねじ切りされた円筒形管路２５３を有し、この管路はロッド２５２とねじ係合で共働するようになっている。さらに各カム２３０は４本のスロット２５４を有し、各スロットが４本のピン２６のうち特定の１つとそれぞれに組合って、カムによる作動を受けられるようになっている。また各スロット２５４は、カムの軸１６に対して放射状になった平面上で延びている。各スロット２５４は、浅瀬状高所部分２３８、この浅瀬状高所部分２３８より深くなっている低所部分２４０、そしてレベル差を有した高所部分２３８と低所部分２４０とのつなぎを形成する中間部分２４２を有する。いずれのカムにおいても、４つのスロット２５４の高所部分は、カムの基端部側にくる。また各スロットは、軸１６に垂直な方向に、外向きに開口した円弧形の型彫りを有しており、この円弧は半円分より大きく彫られており、さらにその半径はスロット沿いに一様で、またこの円弧の縁部が、相互に平行な２つの脇面として、中間部分と低所部分と同じレベルで外向きに延びている。各スロットは、どちらか一方の端部を通って対象ピン２６のヘッドを軸方向で受け入れ、かつ、カムの半径方向にヘッドが抜けないようにもしている。各スロット２５４の底部が第１傾斜路になって、カムが管路１４の末端部に向かって滑動すると、対象ピン２６は外向きに滑動する。この実施の形態の利点は作動を逆から辿ることも可能ということである。つまり各ピン２６のヘッドを対象スロット２５４内で捕らえて保持するので、そのあとはスロットの縁部が第２傾斜路となって、カム２５４が管路の基端部に向かって滑動すると、ピンは後退位置へ戻ることができるということである。
【００２３】
インプラントの各部品は以下のように組み立てられる。ピン２６を本体４の通路２２で受けた後、カム２３０の１つは列の中間でピン２６と組み合う中央位置まで滑動する。これを可能にするために、カム２３０は、列のどちらか一方の端部で４本のピン２６を「通過することが」できなければならない。例えば末端部を通ってカムを挿入するならばその末端部で４本のピン２６を「通過することが」できなければならない。これは、管路１４の末端部にカム２３２を挿入し、ピン２６をそれぞれのスロット２５４へ挿入することによって可能となる。ピンが始めから突き出ているので、管路の中心に向かってカムに推力をかけ続ければ、スロットに傾斜路があることで、ピン２６を後退配置に動かすことができる。カムに推力をかけ続けると、末端部のピンはスロットの低所部分２４０を出る。カムに推力をかけ続けて、列の中間のピンをスロット２５４の高所部分２３８に挿入し、最終的に、これらのピンはカムの低所部分２４０までもってこられる。それから、末端配置を占めるカム２３０も同様に挿入する。そのあと、基端部を通って、基端配置を占めるカム２３０も同様に挿入する。ピン２６がすべて、後退配置で、いったんスロットの低所部分２４０に配されてから、ねじ２５０をカム２３０にねじ込んで、それらをねじ係合させる。
【００２４】
インプラントををいったん椎骨間に据え付けてから、ねじ２５０を管路１４の末端部に向かって押し込み、それによってカム２３０が同じ方向に滑動するようになっている。ついで、スロット２５４の底部の傾斜路によって、ピンはそれぞれの通路沿いに滑動し、低所部分２４０から高所部分まで移動し、かくして延長位置へ至る。上記の実施の形態と同様に、作動を逆から辿ることも可能なので、以上の組立工程を逆から辿る工程によって、インプラントを椎骨間から取り外すことができる。
【００２５】
図８および図９は第３の実施の形態を示したもので、第１の実施の形態と異なるものは、その参照符号に３００を加えたもので表されている。本体４は、平面図ではおおよそ円盤を半分にした形状で、後方部を占める平板な側壁８と、前方部を占める湾曲した側壁８とによって成る。前記と同様に、各側壁８は穴１２を有し、この穴１２は孔部１０に向かって開口している。この場合、本体４は上部４ａと底部４ａとを含み、これらの上部と底部は上面６と底面６とに平行な接合面内で合わさり、さらに上部４ａと底部４ａの各部は、前記上面６と底面６のいずれか１つを担持し、ねじ５で相互に固定されている。なおこの実施の形態では１２本の通路があり、ただしこれらの通路は、通路の軸がいずれも上面６と底面６とに対し垂直となるように、方向づけられている。
【００２６】
カムの管路１４はカムの軸１６に垂直なほぼ矩形の断面を有し、カムはその半分ずつが、本体の上部４ａと底部４ｂのそれぞれの中で構成される。カム４３０は雄型方形セクションを有し、管路１４内の雌型方形セクションが、雄型方形セクションを受け入れて対応している。雄型方形セクションはその軸沿いに滑動するようになっている。カムはほぼ、平行６面体の方形形状である。カム４３０の長手方向側面４６０は２面で６本のスロット４５４を有し、各スロットは特定のピン２６を受け入れるようになっている。このために各ピンは、ヘッドのかわりにスロットが受け入れる突出部を有し、この突出部が他方のピン列に向かって延びて各ピンはおおよそＬ型となる。各スロット４５４は、相互に平行な平面状の傾斜路もしくは傾斜面４６２を２面提供しており、これら傾斜面は対象側面４６０に垂直で、しかも、スロット４５４における対象面６から遠ざかるほうの端部が、カムの基端部から遠ざかるほうの端部となるように、カムの滑動方向に対し傾斜している。
【００２７】
カム４３０は、カムを軸沿いに通過するねじ切りされた中ぐりを提供している。インプラント４０２はねじ４５０を有し、このねじはカム４３０とねじ係合して共働するように、ねじ切りされたロッドを提供している。ねじ４５０はカラー４６６を受け入れる溝を有しており、このカラー４６６は、カム４３０が本体で自由に滑動する間に、ねじ４５０が本体で自由に回転するように、本体に固定されたものである。
【００２８】
インプラント４０２を後退位置のピン２６を用いて椎骨９の間に挿入した後、ねじのヘッド４３６を駆動すると、このねじの回転によって、カム４３０は管路１４の末端部へ滑動するようになっている。この場合、この末端部は閉鎖されており、スロットの面４６２が対象面６に向かって傾斜していることによって、ピン２６が滑動し、突き出して延長位置を取るようになっている。
【００２９】
インプラント４０２の作動は逆から辿ることも可能である。つまり、カム４３０が管路１４の基端部に向かって滑動すると、対象面６に面していないほうのスロットにおける傾斜面４６２が、ピン２６を後退位置へ戻すのである。特に、ねじ４３６のヘッドと組み合う基端部は、湾曲した側壁８の左側の部分へ開口している。この場合、ピン２６は突き出ることになっているセグメントにおける突端付近に外周溝７０を提供しており、これらの溝とともに、ピンが突き出るように滑動する方向に対応して、下部を切り取られた面をそれぞれ提供し、また、骨が溝内で成長できるようにさせることによって、溝がピンの固着を確実にしている。
【００３０】
図１０および図１１は第４の実施の形態を示したもので、第１の実施の形態と異なるいくつかのものは、その参照符号に４００を加えたもので表されている。この場合、各面６に４本のピン２６があり、これらのピンは第３の実施の形態と同様に方向づけられている。スロット５６２は第３の実施の形態のスロットと類似している。ただし、カム５３０を管路１４の末端部へ滑動することによってピン２６が突き出るようにするために、スロットの方向づけは第３の実施の形態と逆である。インプラント５０２はねじ５５０を有し、このねじは、カムの管路の軸上で本体４とねじ係合を行ない、管路の基端部においてカム５３０を管路の末端部に向けて付勢するようになっている。
【００３１】
図１２を参照すると、カムの基端部は下部を切り取られており、この部分５７２がねじ５５０の端部を滑動可能に受け入れ、ねじをカム５３０に抗して保持できるようになっている。切り取られた部分から遠いほうの壁部と切り取られた部分の縁部との間で、カム５３０は脇面５７６を有するスロット５７４を提供し、この脇面５７６はさらに、管路の基端部へ向かって滑動するカムに対応して、切り取られた部分を提供する。たとえば、この面５７６がカムの軸１６に対し垂直で基端部から遠いほうの環状面であってもよい。
【００３２】
インプラントを取り外すには、ねじ５５０を取り外し、次いで、管路１４にツールを挿入し下部を切り取られた面５７６に抗して捕らえられるようにし、カムを管路の基端部に向かって引く。これによってピン２６は後退配置へ戻る。この実施の形態では、カム５３０を通過するねじ切りされた中ぐりを設ける必要がない。このことによってカム５３０の寸法が縮小でき、移植組織を受け入れる孔部１０の寸法を大きくすることができる。
【００３３】
インプラントの第５の実施の形態は図１３乃至１７を参照して記述される。インプラント６０２は本体４を含み、この本体は、平面図ではおおよそ豆のような形状で、この豆の臍は後方部にある。また本体は、ある一つの方向に扁平に押し付けたような、２面の広い面６つまり上面と底面、そして周面状の側壁８を成している。上面６と底面６は外形的にはおおよそ平らであるが、それぞれ横方向に鋸刃状もしくは千鳥形の型彫りがなされ、歯の頂きが連続して相互に平行な縁を成している。これらの歯が、治療する対象となる椎骨の椎体のプレート部分への、本体の上面６や底面６の係合を確実にする。
【００３４】
本体４は２つの貫通孔部１０を有し、この孔部は、上面６と底面６の両面を開口するようにこれらの面の間で延びている。インプラントが正しい位置におさまると、孔部１０は移植組織で充たされ、かくしてこの移植組織は、孔部１０を通って、椎骨のプレート部分に向かって増殖していけるようになる。
【００３５】
本体４は円筒管路１４を有し、この管路の軸１６は、２つの孔部１０どうしの間で、上面６と底面６とをそれぞれ含む２つの総面に平行に延びている。さらにこの軸１６は、２つあるうちの一方の孔部１０によって、側面８のうちの１面だけである平面部分から隔てられている。また管路１４は、一方の端部でのみ開口している。
【００３６】
本体４は、上面と底面のそれぞれへ開口している２本の通路２２を有する。各通路２２では、主要面（上面と底面）に垂直な軸に沿った断面は一様で、端が湾曲した矩形断面となっている。各通路は片側で、その通路が隣接する方の孔部１０に通路全長にわたって開口している。さらにこの通路は反対側で、管路１４に通路の中間部分で側路を成して開口している。２つの通路は管路１４のどちらの側にも、互いに位置合せして延びている。こうして通路２２が、２つの孔部１０を管路１４と連通させる。
【００３７】
主要面のそれぞれの付近で、各通路２２は１対の固着構成要素を受け入れる。各固着構成要素はピン２６となっており、このピンは平滑円筒本体を有する。さらにこの本体は、面６に近い方の端部に突端を提供している。各ピン２６は、本体の主要面６に垂直に抗して滑動するように、通路のそれぞれの湾曲縁部に抗して延びている。
【００３８】
インプラントは、主要面６のそれぞれと組み合う２つのピンキャリヤーもしくは固着構成要素キャリヤー６８０を含む。各ピンキャリヤー６８０は、平面図ではおおよそＨ型を成し、互いに平行な矩形の分岐６８２を２つと、分岐の中間部同士を連結する中間セグメント６８４とを有する。各ピンキャリヤー６８０には、対象の主要面６と組合う４本すべてのピンが堅固に固定されている。４本のピン２６の基部は、分岐６８２のそれぞれの端部にあり、すべての基部がピンキャリヤーの同一面上にある。図１５および図１６に示されるように、ピン２６が延長位置と後退位置のどちらにあるかにかかわらず、２つのピンキャリヤー６８０は、常に互いに位置合せされているので外郭が一致する。分岐６８２はそれぞれ通路２２内で延びいずれも同じ型を有しており、一方、中間セグメント６８４は管路１４に交差して延びる。
【００３９】
インプラントの有するカム６３０は、このカムを滑動可能に円筒管路１４内を案内するため、カムの後方左側と右側に左円筒面６３１と右円筒面６３１を、そしてカムの前方上側と底側に上円筒面６３１と底円筒面６３１とを有する。ここで、カムの後方とは、カムの管路１４の入り口に最も近い端部のことである。各ピンキャリヤー６８０に対し、カム６３０は対応する滑動路６３３と保持面６３５を有する。これらは特に図１４および図１７に示されている。滑動路６３３は、長手方向の両縁部に開口しかつ軸１６に対して傾斜している極めて平らな管路によって形成され、カムが前方端部から中間部へ向かって進むと、対応する主要面に向かうようになっている。また滑動路６３３は、滑動路の前方端部で閉じ滑動路の後方端部で開き、さらに滑動路の内側面６４１は保持面６３５から連続して延びている。この内側面は軸１６と対象主要面６とに対し平行になっている。後で説明されるように、中間セグメント６８４は、滑動路６３３および保持面６３５に抗する推力によって、動かせる。互いに傾斜する滑動路６３３と互いに平行な保持面６３５によって、カムが船の錨のような形状になっている。
【００４０】
カムの後方端部で、カムは雌ねじ切りされた中ぐり６３７を有し、この中ぐりのねじ山は、適切なツールのねじ山とかみ合って、カムを押したり引いたりして駆動している。
【００４１】
このインプラントは、次のようにして使用する。最初は、図１５に示されるようにピン２６は後退位置にある。椎間板を取り除き、上述のとおり孔部１０を移植組織で満たしたあと、インプラント２を、取り除かれた椎間板と組合う椎骨の椎体同士の間に挿入する。インプラントの本体４の高さは、取り除かれた椎間板の厚みとほぼ同一である。上面６や底面６は、それぞれの椎骨のプレート部分に位置合せされており、かつ平行であって、さらに接触もしている。カムは後方部で管路１４の入り口近くにある。
【００４２】
ツールをカムの中ぐり６３７へねじ込み、カム６３０を前方へ押す。対象となる滑動路６３３の内側面６４１を介して、各中間セグメント６８４に傾斜路の作動をかけると、ピンキャリヤー６８０が４つのピン２６と一緒に、主要面６に対し垂直に動くようになっている。
【００４３】
主要面６からピン２６が突き出るようになったあと、カムに推力をかけ続けることによって、図１４に示したように、中間セグメント６８４が保持面６３５に抗するようになり、かくして、ピン２６を延長位置にロックし、そのときインプラントが椎骨のプレート部分に固着される。次いでねじをゆるめて、ツールをカムから外す。
【００４４】
一方、インプラントを取り外すことが必要な場合、ツールを管路１４を通してカムの中ぐり６３７に再度接続する。ついでカムを引っ張って後方へ滑動させる。すると中間セグメント６８４は、保持面６３５に沿って進み、それから滑動路６３３の外側面６４３に対する傾斜路の係合によって、軸１６の方向へインプラントの内側に向かって動くようになり、これによってピンは後退しもはや突き出ることはなくなる。かくして、カムによって、ピン２６が対向し合う両方向に駆動できるようになり、つまり逆に辿って作動させることもできるということである。
【００４５】
各グループですべての４本のピンを固定しているため、ピンごとの円筒通路がなくとも、極めて正確に通路２２内をピンの案内ができる。さらにこの案内は、２つの部分から成る、ひと連なりの傾斜面６４１、６３５もしくは６４３を用いて、いずれか任意の変位方向で４本すべてのピンに対して可能である。
【００４６】
各ピン２６が、チップを形成する突端の基部において、外周溝７０を有し、この溝が下部を切り取られた領域を形成しているので、椎骨のプレート部分にピンを確実に固着させることができる。
【００４７】
本体４は２つの部分から構成されており、これら２つの部分は、主要面６に対し平行で軸１６を含む接合面（図示されず）において組み立てられる。このような仕組みがあることによって、カム６３０とピンキャリヤー６８０とが本体に挿入できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態を構成するインプラントの斜視図で、組立てた状態を示している。
【図２】 本発明の第１の実施の形態を構成するインプラントの斜視図で、分解した状態を示している。
【図３】 図１のインプラントの断面図で、据付け工程中のものを示している。
【図４】 図１のインプラントの断面図で、据付け工程中のものを示している。
【図５】 ２つの椎骨同士の間のインプラントを示す、図４に類似した図である。
【図６】 本発明の第２の実施の形態を構成するインプラントの図で、分解したときの斜視図を示している。
【図７】 本発明の第２の実施の形態を構成するインプラントの断面図である。
【図８】 本発明の第３の実施の形態を構成するインプラントの斜視図である。
【図９】 図８のインプラントでその本体の上部を取り除いたときの斜視図である。
【図１０】 本発明の第４の実施の形態を構成するインプラントの斜視図で、組立てた状態を示している。
【図１１】 本発明の第４の実施の形態を構成するインプラントの斜視図で、分解した状態を示している。
【図１２】 図１１のカムおよびねじの部分軸方向断面図である。
【図１３】 本発明の第５の実施の形態を示すインプラントの斜視図である。
【図１４】 図１３のインプラントのXIV−XIV面についての断面図である。
【図１５】 図１３のインプラントのカムと固着構成要素キャリヤーとの斜視図で、固着構成要素が後退位置にあるときを示している。
【図１６】 図１３のインプラントカムと固着構成要素キャリヤーとの斜視図で、固着構成要素が延長位置にあるときを示している。
【図１７】 図１６のXVII−XVII中間面についてのカムと固着構成要素キャリヤーとの断面図である。

Claims (13)

1. 脊椎間のインプラントであって、本体（４）と、本体に対して可動であるとともに椎骨（９）と接触する本体の接触面（６）から突き出る少なくとも２つの固着構成要素（２６）と、本体（４）に対して滑動可能であるとともに、固着構成要素と係合する傾斜路の作用により本体に対して少なくとも２つの固着構成要素（２６）を変位させることができるようになっている、少なくとも１つのカム（２３０；４３０；５３０；６３０）とを含むインプラントにおいて、カム（２３０；４３０；５３０；６３０）と各々の固着構成要素（２６）とが、カムが固着構成要素（２６）を２つの正反対の変位方向に強制的に動かすことができるように配列されていることを特徴とするインプラント。
2. カム（２３０；４３０；６３０）が作動器を含み、本体（４）外側からカムを駆動する作動器（２５０；４５０）とねじ係合によって協働するようになったねじ山を有する、請求項１記載のインプラント。
3. 作動器（４５０）が、本体（４）に対して回転するように取り付けられるようになっている、請求項２記載のインプラント。
4. カム（４３０；５３０）が、本体（４）に対して滑動するように取り付けられている、請求項１乃至３のいずれかに記載のインプラント。
5. カム（５３０）が、本体（４）からカムが抜き出せるように、カムの移動方向に対応して下部が切り取られた面（５７６）を提供する端部を有する、請求項１乃至４のいずれかに記載のインプラント。
6. 少なくとも２つの固着構成要素（２６）と、固着構成要素をそれぞれ動かすようになっている少なくとも２つのカム（２３０）とを含む、請求項１乃至５のいずれかに記載のインプラント。
7. ２つのカム（２３０）が、これらのカムのねじ山がインプラントの共通の作動器（２５０）と協働するように配列される、請求項６記載のインプラント。
8. 固着構成要素（２６）が、接触面（６）の主面に対して傾斜している、請求項１乃至７のいずれかに記載のインプラント。
9. 同じ接触面（６）から突き出るようになっている少なくとも２つの固着構成要素（２６）を含む、請求項１乃至８のいずれかに記載のインプラント。
10. 同じ接触面（６）から突き出るようになってかつ相互に平行に並ぶ方向を成す２本の列に配置された少なくとも４つの固着構成要素（２６）を含む、請求項１乃至９のいずれかに記載のインプラント。
11. 本体（４）が、椎骨（９）とそれぞれ接触する２つの接触面（６）と、これら接触面（６）同士の間で延びる少なくとも１つの孔部（１０）とを有する、請求項１乃至１０のいずれかに記載のインプラント。
12. 接触面（６）から突き出るようになっている固着構成要素（２６）の一部分が、椎骨（９）に向かう構成要素（２６）の滑動方向に対応して下部を切り取られた面（７０）を有する、請求項１乃至１１のいずれかに記載のインプラント。
13. 少なくとも２つの固着構成要素（２６）と、これらの固着構成要素に堅固に結合された構成要素キャリヤー（６８０）とを提供する、請求項１乃至１２のいずれかに記載のインプラント。

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