JP4141599B2 - 飲料抽出機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーヒー、紅茶などの飲料を美味しく抽出できる飲料抽出機に関し、好ましくは20〜30名程度の小オフィス用または一般家庭用に適した小型コンパクトな飲料用抽出機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より小オフィス用の飲料抽出機として、いわゆる大型タイプのコーヒーメーカ等が使用されていたが、抽出後にコーヒーが煮詰まったり、コーヒーの粉を毎回セットしたり、後片付けがやっかいであるなど好ましいものではなかった。
【0003】
このため、コーヒー等の粉などを入れたパックをセットし好きなときに美味しく飲める飲料抽出機が開発された。
【0004】
図5は飲料パックの一例を示し、飲料パックはシート350により形成されて周囲がシールされた概ね平坦な可撓性のある袋状であって、上部に湯の導入および位置決めのためのフランジつきノズル351を有し、内部にフィルタ材352が保持され、下部に剥離可能なシール部353を有するものである。シール部353は感圧シールまたは感熱シールからなり、圧力または熱を受けると接着力が弱くなり液体や気体の圧力でシール部353を剥離でき、コーヒー等を取り出すことができる。354はフィルタ材352内に保持されたコーヒー等の粉末である。
【0005】
飲料抽出機の湯等の液体を吐出するインジェクタ(図示せず)をノズルに突き刺し、インジェクタより飲料パック内に湯を注入し、その圧力でシール部353を破り、飲料パックの下に設けたコップに抽出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
インジェクタをノズルに突き刺し、飲料パック内に液体を注入し、その圧力で飲料パックのシール部353を破るまでにインジェクタとノズル351の隙間から液体が零れ出る可能性があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、インジェクタをノズルに差し込んだ状態でインジェクタとノズルとの間の隙間を確実に塞ぐことができる飲料抽出機を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の飲料抽出機は、液体を吐出するインジェクタから飲料パックのノズルを通して前記液体を前記飲料パック内に注入することにより飲料液を抽出する飲料抽出機であって、
前記インジェクタが、前記ノズルに進入する金属パイプからなる抽出パイプと、この抽出パイプの外周に装着されて前記抽出パイプを前記ノズルに進入したときノズル側端面が前記ノズルの表面に密接することにより前記ノズルに進入した前記抽出パイプと前記ノズルとの間の第1の隙間を密閉する弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、前記抽出パイプに外嵌するチューブであって、前記弾性部材の前記ノズル側においてその内周面と抽出パイプとの間に第2の隙間を設けるとともに、前記弾性部材の前記ノズル側端面が前記ノズルの表面に密接した状態で前記抽出パイプが前記ノズルに進入するとき、外に膨らむように弾性変形する薄肉部を前記第2の隙間の位置に有し、
さらに前記弾性部材の前記ノズルに接しない側に前記弾性部材を前記抽出パイプに固定する固定部材を設けたものである。
【0009】
請求項1記載の飲料抽出機によれば、インジェクタをノズルに差し込んだ状態でインジェクタとノズルとの間の隙間を確実に塞ぐことができる。
【0010】
また弾性部材が、抽出パイプに外嵌するチューブであって、ノズル側の内周面に抽出パイプとの隙間を設ける薄肉部を有するため、例えば抽出パイプをステンレス製にし、弾性部材がシリコン樹脂にしたときのように両部材がくっつきやすくても、弾性部材をより抽出パイプに沿って弾性変形させやすくなり、より確実に隙間を密閉することができるとともに、抽出パイプをノズルに挿入容易にできる。
【0012】
請求項2記載の飲料抽出機は、請求項1において、薄肉部の一部をさらに薄くして外方に撓みを起こりやすくするたわみ部を形成したものである。
【0013】
請求項2記載の飲料抽出機によれば、請求項1と同様な効果のほか、たわみ部を有するため弾性部材が抽出パイプに沿って弾性変形しやすくなり、抽出パイプの挿入容易性と弾性部材の密閉性を向上できる。
【0014】
請求項3記載の飲料抽出機は、請求項2において、前記抽出パイプの軸方向に摺動可能とし、前記弾性部材の前記薄肉部の一部に圧入され保持された摺動補助部材を設けたものである。
【0015】
請求項3記載の飲料抽出機によれば、請求項2と同様な効果のほか、摺動補助部材により、さらに弾性部材が抽出パイプに沿って弾性変形しやすくなり、抽出パイプの挿入容易性と弾性部材の密閉性を向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図1から図5により説明する。すなわち、この飲料抽出機は、液体を吐出するインジェクタ6から飲料パック20のノズル36を通して液体を注入することにより飲料液を抽出するものである。
【0019】
図1において、この飲料抽出機の本体1は筒状であり、内部に容器2を設け、底部に制御回路の制御基板3を設け、一側上部に制御回路の操作基板4を設け、操作基板4に隣接してパック穴明け兼用の操作レバー5を設けている。
【0020】
容器2は、例えば水等の液体を収納し底部に出水孔7を形成している。出水孔7は後述の仕切り板14の頂部に接近するため容器2の底部より高くしている。8は水位ゲージ、9は給水の必要を知らせるための給水センサである。
【0021】
加熱手段10は、容器1内の液体を加熱するもので、容器2の底部に設けられている。実施の形態は電熱ヒータであり、容器1、液体またはその両方を直接加熱する構成でもよい。11、12は温度センサであり、加熱手段10の制御に用いられる。
【0022】
蓋13は本体1の容器2の上部を覆うように構成している。蓋13は本体1の上部にヒンジ部19により開閉自在に取付けられている。
【0023】
仕切り板14は、頂部に排泡弁15を有し、容器2内に配置して加熱手段10および出水孔7のある側とない側とに仕切る。この仕切り板14は周縁部が容器2の底面に例えば隙間を設けて載置され、出水孔7の上方を排泡弁15のある頂部とする冠状をなしている。また仕切り板14により温度センサ11、12も容器2内で仕切られている。温度センサ11で仕切り板14内の温度を検出し、温度センサ12で仕切り板14の外の容器1内の温度を検出する。排泡弁15は仕切り板14の内側の頂部に集まる泡の浮力で押し上げられて開き、湯は出さずに仕切り板14の下側の泡のみを容器1側に出す作用をする。16は活性炭フィルタであり、仕切り板14の内面に設けている。
【0024】
送水装置17は、出水孔7より容器2内の液体を送り出すダイヤフラム式の液体ポンプを用いている。ダイヤフラム式の液体ポンプの吸入口を出水孔7に配管32により接続し、吐出口を飲料固定部18に抽出するためのインジェクタ6に配管30により接続している。インジェクタ6は操作レバー5の下側に垂直下方に向けて本体1に上下移動可能に配設し、操作レバー5の押し動作に連動してインジェクタ6が下方に移動するようにしている。したがって、操作レバー5を押すと、インジェクタ6が下がるとともに、操作レバー5が下がる最下位の位置を検出手段(図示せず)で検出し、制御回路の制御で送水装置17が動作を開始し、仕切り板17の内側のお湯をインジェクタ6に送るようにしている。また送水装置17とインジェクタ6との間に圧力が一定以上になると外部に逃す圧力弁21を介在している。圧力弁21は湯の圧力が一定以上になると湯の圧力を容器2内に解放するように配管31を圧力弁21の解放口と容器1との間に接続している。
【0025】
送気装置28は、空気を飲料パック20に圧送する空気ポンプからなる。この送気装置28は吐出部を送水装置17とインジェクタ6との間に逆止弁22を介して配管33により接続している。また送気装置28は送水装置17に連動して飲料パック20に供給されるように制御されるが、飲料パックを空気で開封することができるものに対しては飲料パック20の開封に送気装置28を利用することもできる。
【0026】
飲料固定部18は、送水装置17より送り出された液体により抽出される飲料パック20を設置する。この飲料固定部18は、飲料パック20をその下端部が下方に露出するように収納保持する保持体であり、飲料固定部18の下端部が過圧力に対して着脱可能な軸により本体1に回動自在に取付けられ、上端部が本体1に接近する閉じた垂直姿勢の位置と本体1から離れた開いた傾斜姿勢の位置との間を回動可能に取付けている。飲料固定部18の開いた位置では飲料パック20を着脱でき、閉じた位置では飲料パック20のノズルがインジェクタ6に対向する。飲料固定部18を本体1に対して着脱可能にしているのは、開いた状態で強い力が加わったときに破損することなく外れることができるようにするためである。
【0027】
したがって、操作レバー5を押すとインジェクタ6が下がり飲料パック20のノズル36を突き破り、つぎに操作レバー5が最下位となる位置を検出手段により検出して制御回路により送水装置17が動作し、お湯がインジェクタ6より飲料パック20内に注湯される。
【0028】
23はフィルタであり、出水孔7を覆うものであるが、フィルタ23のメッシュの開口面積の大きさを送水装置17の流水経路の最小径よりも小さくしている。
【0029】
24は飲料固定部16の下方で本体1に着脱自在に設けた受皿、25はコーヒーを受けるコーヒーコップ、26は電源コードである。
【0030】
送水装置17と送気装置28の流通経路について説明する。上記したように、操作レバー5が手動で押されるとインジェクタ6が下がり飲料パック20のノズルを突き破る。続いて送水装置17が作動し出水孔7よりお湯を吸湯しインジェクタ6を通して飲料パック20内に給湯される。飲料パック20内がある圧力になると感温シールまたは感圧シールが剥がれ飲料パック20の下方が開いてコーヒーがカップ25に注がれる。このとき逆止弁22のため送気装置28に湯が流れ込むことはない。またインジェクタ6側が一定以上の高い圧力になると圧力弁21が動作して容器1内に湯を逃がしインジェクタ6側を減圧する。
【0031】
つぎに送水装置17で一定量(例えばコーヒーを飲料するのに必要な量)送水すると送水装置17が停止し、続いて送気装置28が動作し、逆止弁22を介してインジェクタ6より飲料パック20内に空気が送られ、しずくがなくなるまで内部の液体をカップに押し出す。
【0032】
図2は、インジェクタ6の詳細を示す。このインジェクタ6は、ノズル36に進入する金属パイプからなる抽出パイプ40と、この抽出パイプ40の外周に装着されてノズル36に進入した抽出パイプ40とノズル36との間の隙間を密閉する弾性部材41を有する。抽出パイプ40は例えばステンレス製であり、その先端はノズル36の注湯口の閉塞部を突き破る刃を形成するため斜面にしている。弾性部材41は例えばシリコン樹脂製の円筒などの粘弾性の筒状であり、抽出パイプ40に嵌合している。また弾性部材41は、抽出パイプ40に外嵌するチューブであって、ノズル36側の内周面に抽出パイプ40との隙間42を設ける薄肉部43を有する。薄肉部43の一部をさらに薄くして外方の撓みを起こりやすくするたわみ部44を形成している。さらに薄肉部43の一部に圧入され保持され、抽出パイプ40に摺動可能な摺動補助部材45を設けている。この摺動補助部材45は抽出パイプ40に対して滑りやすく好ましくは比較的硬い樹脂等の材料を用いて形成し、たわみ部44よりもノズル36側の内周面に嵌着している。弾性部材41の先端は、ノズル36に差し込まれた抽出パイプ40とノズル36の間の隙間を密閉しやすくするため、先細となるテーパ面41aを形成している。一方弾性部材41のノズル36に接しない側に弾性部材41の軸方向を固定するための固定部材46を抽出パイプ40に例えば溶接等により固設している。固定部材46の下面に弾性部材41を受ける受け体47を設け、受け体47の下面凹部に弾性部材41の後端部を嵌着し固定している。48は操作レバー5に連動する連動部材であり、注湯する際には操作レバー5を押すことにより、通常はばね(図示せず)でノズル36から離れる方向付勢されているインジェクタ6を連動部材48が固定部材46に係合して固定部材46を押し下げる。
【0033】
図3は、インジェクタ6がノズル36の注湯口36aの閉塞部51に接近した状態である。閉塞部51は抽出パイプ40の先端を押し込むことにより破断できる程度の厚さにするかまたは部分的に破断用の薄肉部分を形成している。またノズル36の先端面は弾性部材41のテーパ面41aを受けるように先端面の中心部に逆円錐状部36bを形成している。図3の状態の弾性部材41は復元力により抽出パイプ40に沿って伸長している。50は抽出パイプ40の後端に連結され送水装置17側と連結する可撓性の連結パイプである。
【0034】
図4は、インジェクタ6が操作レバー5によってノズル36内に押し込まれ、ノズル36の注湯口36aの閉塞部51を突き破った状態である。このとき、抽出パイプ40がノズル36内に進入するにつれて弾性部材41の先端のテーパ面41aがノズル36の逆円錐状部36bに密接し、ノズル36と抽出パイプ40の隙間に位置し、弾性部材41が抽出パイプ40の軸方向に押される。このとき弾性部材41の後端は抽出パイプ40に固定された固定部材46に固定されているので摺動補助部材45が抽出パイプ40を摺動し、たわみ部44が外に膨らむように弾性変形し、その復元力で弾性部材41の先端がノズル36の表面に密接し隙間を塞ぐ。この状態で送水装置17を作動すると容器2から湯が送られ飲料パック20内に注入される。なお飲料パック20はお湯の注入によりある圧力になるとシール部が破れフィルタ内のコーヒーが抽出されてカップ25に落ちるが、飲料パック20が破れるまでに弾性部材41でノズル36を密閉しているのでノズル36からコーヒーが零れることは防止される。
【0035】
なお、容器2内に仕切り板14を設けて部分加熱していが仕切り板14はなくてもよい。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の飲料抽出機によれば、インジェクタをノズルに差し込んだ状態でインジェクタとノズルとの間の隙間を確実に塞ぐことができる。
【0037】
また弾性部材が、抽出パイプに外嵌するチューブであって、ノズル側の内周面に抽出パイプとの隙間を設ける薄肉部を有するため、例えば抽出パイプをステンレス製にし、弾性部材がシリコン樹脂にしたときのように両部材がくっつきやすくても、弾性部材をより抽出パイプに沿って弾性変形させやすくなり、より確実に隙間を密閉することができるとともに、抽出パイプをノズルに挿入容易にできる。
【0038】
請求項2記載の飲料抽出機によれば、請求項1と同様な効果のほか、たわみ部を有するため弾性部材が抽出パイプに沿って弾性変形しやすくなり、抽出パイプの挿入容易性と弾性部材の密閉性を向上できる。
【0039】
請求項3記載の飲料抽出機によれば、請求項2と同様な効果のほか、摺動補助部材により、さらに弾性部材が抽出パイプに沿って弾性変形しやすくなり、抽出パイプの挿入容易性と弾性部材の密閉性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の概略断面図である。
【図2】インジェクタの拡大断面図である。
【図3】インジェクタのノズルの進入前の状態の断面図である。
【図4】インジェクタがノズルに進入後の状態の断面図である。
【図5】飲料パックを示し、(a)は正面図、(b)は両側を破断した状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
2 容器
5 操作レバー
6 インジェクタ
7 出水孔
10 加熱手段
11、12 温度センサ
13 蓋
14 仕切り板
15 排泡弁
17 送水装置
18 飲料固定部
20 飲料パック
28 送気装置
36 ノズル
40 抽出パイプ
41 弾性部材
43 薄肉部
44 たわみ部
45 摺動補助部材
46 固定部材
Claims (3)
- 液体を吐出するインジェクタから飲料パックのノズルを通して前記液体を前記飲料パック内に注入することにより飲料液を抽出する飲料抽出機であって、
前記インジェクタが、前記ノズルに進入する金属パイプからなる抽出パイプと、この抽出パイプの外周に装着されて前記抽出パイプを前記ノズルに進入したときノズル側端面が前記ノズルの表面に密接することにより前記ノズルに進入した前記抽出パイプと前記ノズルとの間の第1の隙間を密閉する弾性部材とを備え、
前記弾性部材は、前記抽出パイプに外嵌するチューブであって、前記弾性部材の前記ノズル側においてその内周面と抽出パイプとの間に第2の隙間を設けるとともに、前記弾性部材の前記ノズル側端面が前記ノズルの表面に密接した状態で前記抽出パイプが前記ノズルに進入するとき、外に膨らむように弾性変形する薄肉部を前記第2の隙間の位置に有し、
さらに前記弾性部材の前記ノズルに接しない側に前記弾性部材を前記抽出パイプに固定する固定部材を設けた飲料抽出機。 - 前記薄肉部の一部をさらに薄くして外方に撓みを起こりやすくするたわみ部を形成した請求項1記載の飲料抽出機。
- 前記抽出パイプの軸方向に摺動可能とし、前記弾性部材の前記薄肉部の一部に圧入され保持された摺動補助部材を設けた請求項2記載の飲料抽出機。
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