JP4140281B2 - 包装材の切取り部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は包装材のレーザー加工により得られた切取り部構造に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来から包装材には合成樹脂材料や紙材料などを用いて複数の層を積層した層構成を有するものが多く採用されていて、このシート状の包装材から各種形態の包装体が形成されている。
このようなシート状の包装材からなる包装体では、包装材の一部分を切り開いたり切り取ったりして開封している。そして、近年においては開封が所定の位置で行われるようにするために、製袋前の包装材や包装体となった状態の包装材にレーザー光線を照射してミシン目を形成した切取り部が設けられるようになってきている。
【0003】
ところで、合成樹脂材料や紙材料などを積層した包装材に対する上記レーザー加工では、超高エネルギーを受けた部位の合成樹脂組織や紙繊維組織が昇華しているため、外観上、切取り部では単に切れ目が付いただけの状態となっている。
しかしながら、包装材には、デザイン印刷が施されたり酸素などに対するバリア性を与えるなどの要求に対応する各種の層構成があるため、昇華欠損した部分が並んでなるミシン目が存在しているだけでは、ミシン目位置が明確に示されるようにしたい場合でもミシン目が見え難かったり、逆にミシン目を目立たせたくない包装デザインである場合にミシン目が目立つなどしており、レーザー加工を行なうだけではミシン目の識別性の調整や包装材表面のデザインとの調和が図れないという問題がある。
【0004】
例えば、図5に示すように包装材1は包装体外方側に、表面化粧材層2として純白紙などからなる紙層3を形成し、その下層に、可視光遮蔽を目的としたアルミ薄層又はアルミ蒸着層などからなる反射層4、ポリエチレンフィルム層からなるベース層5とした層構成とすることがある。この場合、紙層3側から反射層4に達するようにレーザー加工Xを施して得られたミシン目6は、紙層3の白さとミシン目6のレーザー加工による欠損部7(レーザー光線の照射を受けて樹脂組織や紙繊維組織などが除去されたカット部分)に位置する前記反射層4の光沢が重なる状態となる。
言い換えればミシン目6を有する切取り部8はこのミシン目6が見え難くなっており、上記包装材1から、ミシン目6が明確に識別できる包装体を製造するという要求には応じられないものとなっている。
また、図6に示すように包装材1に、包装体外方側から、ナイロン樹脂層とした保護層9、インキ印刷よりなる表面化粧材層2、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミ蒸着を施したバリア性のある反射層4、ポリエチレンフィルム層からなるベース層5とした層構成のものがある。そして、反射層4に達するようにレーザー加工Xを施せば、反射層4のアルミ光沢が見えるミシン目6が形成される。しかし、反射層4のアルミ光沢は目立ち易いものであって、デザイン上、好ましくなく、この包装材1からミシン目6が目立たない包装体を得ることができない。
【0005】
図7に示す包装材1は、包装体外方側から、ナイロン樹脂層の保護層9、インキ印刷からなる表面化粧材層2、ポリエチレンフィルム層のベース層5とした層構成である。そして、ベース層5に達するようにレーザー加工Xを施せばミシン目6はほぼ透明な状態となる。逆にこのミシン目6は識別性がかなり低いというものになる。
特に、図8に示すように前記表面化粧材層2が透明デザインである場合、即ち、表面化粧材層2がベタ印刷ではなく、網点ドットパターンや線パターンなどのように透明となる領域が占める割合が高い印刷絵柄を構成している場合には、ミシン目6の識別性がさらに低下する。そのため、ミシン目6を切取り部8に配する包装体ではミシン目自体が見付け難いという問題がある。なお、レーザー加工はベース層5を除去しないように調整されている。
【0006】
図5から図8において、A−A線から右部分はレーザー加工した状態を示し、左部分はレーザー加工前の状態を示しており、左部分での斜め仮想線領域は欠損部となる部分を示している。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、レーザー加工によって形成されるミシン目の欠損部に、このミシン目を得るためのレーザー光線の照射を受けても色味や光沢が残るようにすることを課題とし、ミシン目の識別性や包装材表面の化粧面との釣り合いを調整できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、不連続のパターンとした表面化粧材層の下に、レーザー光線を反射する物質であるアルミニウムペーストを含有したインキからなり、前記表面化粧材層に対応して同じ不連続のパターンとした下地層を積層し、前記下地層の下にベース層が位置している層構成を有する包装材に、レーザー光線を前記表面化粧材層側から前記下地層に達しさせ前記ベース層を非除去に調整されたレーザー加工によるミシン目を有した切取り部を設け、前記ミシン目のレーザー加工による欠損部で、下地層とベース層とがそれぞれ不連続にして表出していることを特徴とする包装材の切取り部構造を提供して、上記課題を解消するものである。
【0009】
本発明に至るに際して検討した技術を図1から図3に示す形態に基づいて先に説明する。なお、図5から図8に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。
図1は第一の形態を示していて、図5に示す従来例と対応している。まず、包装材1は包装体外方側から、純白紙などからなる紙層3とした表面化粧材層2、下地層10、アルミ薄層又はアルミ蒸着層などからなる反射層4、ポリエチレンフィルム層からなるベース層5とした層構成を有している。そして、この層構成を有する包装材1に対して包装体外方側からレーザー光線照射によるレーザー加工Xを施して切取り部8が形成される。
上記下地層10は、レーザー光線を吸収しない、又は反射する物質としてアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属化合物が含まれているインキを印刷、またはコーティングしてなるものである。
レーザー加工Xによりミシン目6を形成するに際して、レーザー光線でミシン目6の欠損部7を形成した部分では、そのレーザー光線が下地層10から下層に作用しない状態となり(下地層10がレーザー光線を吸収しなかったり、反射するため)、下地層10自体が欠損部7から表出して下地層10のインキの色が確認できるようになる。
【0010】
上述したように包装材1において表面化粧材層2を純白紙などの紙層3としていることから、下地層10のインキを、レーザー光線の作用を下層に影響させない物質として酸化チタンなどの白色系のものを多く含有させた白色インキとした場合には、欠損部7の下地層10と欠損部7周りの表面化粧材層2とが同系の白色となり、ミシン目6が目立たない切取り部8が得られる。また、下地層10のインキの色を白色系と異なる色とすれば、ミシン目6の識別性が高められた切取り部8が得られるようになる。
包装材1は純白紙などの紙層3によって最上層の表面化粧材層2を形成しているが、前記紙層3が純白紙に限定されるものではなく、色紙であってもよい。即ち、紙層3(表面化粧材層2)の色に応じて下地層10のインキの色を選択することで、切取り部7においてもミシン目6の識別性を高めたり、包装材表面のデザインとの調和を図るようにするなどの調整が行なえるようになる。
【0011】
図2は第二の形態を示していて、図6の従来例と対応している。包装材1は包装体外方側から、ナイロン樹脂層とした保護層9、インキ印刷よりなる表面化粧材層2、印刷またはコーティングよりなる下地層10、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミ蒸着を施したバリア性の反射層4、ポリエチレンフィルム層からなるベース層5とした層構成を有している。そして、この層構成を有する包装材1に対して包装体外方側からレーザー光線照射によるレーザー加工Xを施して切取り部8が形成される。
第一の形態と同じように、レーザー光線でミシン目6の欠損部7を形成した部分では、そのレーザー光線が下地層10から下層に作用しない状態となり、下地層10自体が欠損部7から表出して下地層10のインキの色が確認できるようになる。
この包装材1の場合、下地層10のインキの色を、表面化粧材層2の色と同系色とした場合には、ミシン目6が目立たない切取り部8が得られる。即ち、従来例のように反射層4の光沢が目立つという状態にはならない。そして、下地層10のインキの色を、表面化粧材層2の色と異系色とした場合には、ミシン目6の識別性が高められた切取り部8が得られる。勿論、下地層10の色彩は選択することができ、反射層4の光沢が目立つ従来例のように包装体のデザインが損なわれるというはない。
【0012】
図3は第三の形態を示していて、図7の従来例と対応している。包装材1は包装体外方側から、ナイロン樹脂層の保護層9、インキ印刷からなる表面化粧材層2、下地層10、ポリエチレンフィルム層のベース層5とした層構成である。
そして、切取り部8は、上記実施の形態と同じように、レーザー光線でミシン目6の欠損部7を形成した部分において、レーザー光線が下地層10から下層に作用しない状態となり、下地層10自体が欠損部7から表出して下地層10のインキの色が確認され、従来例のように透明とはならない。
この包装材1の場合、下地層10のインキの色を、表面化粧材層2の色と同系色とした場合には、透明とはならないミシン目6を有した切取り部8が得られ、包装体のデザインを損なうことがない。そして、下地層10のインキの色を、表面化粧材層2の色と異系色とした場合には、ミシン目6の識別性がより一層高められた切取り部8が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図4に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
上記各形態において、下地層10はベタ印刷、またはコーティングにより形成されているものであるが、本発明ではこの下地層10を直線パターン、破線パターン、鎖線パターン、ドットパターン、地紋パターンなどであり、パターンの密度がミシン目のカット部(欠損部)に表れる密度である。
【0014】
そこで本発明の実施の形態を図4で示していて、図8の従来例と対応している。包装材1は図3に示す形態と同じように包装体外方側から、ナイロン樹脂層の保護層9、インキ印刷からなる表面化粧材層2、下地層10、ポリエチレンフィルム層のベース層5とした層構成である。さらに、表面化粧材層2は網点ドットパターンや線パターンなどの透明となる領域が占める割合が高い不連続のパターンとされた印刷絵柄であり、この表面化粧材層2と下地層10とが同じ印刷パターンであって不連続のパターンで印刷形成されて透明デザインの包装材1としている。
この包装材1において上記下地層10は、レーザー光線を反射する物質であるアルミニウムペーストからなるインキを印刷してなるものである。そして、切取り部8では、レーザー光線照射により形成された欠損部7において、下地層10とベース層5とが残存していて、図4に示されているように下地層10とベース層5とがそれぞれ不連続にしてその欠損部7から表出することでこの下地層10のアルミニウム色が確認され、従来例のように透明とはならない。即ち、透明材としたこの包装材1であっても、下地層10が表出するミシン目6の欠損部7においてアルミニウム色が確認できてミシン目6の識別性が高められた切取り部8が得られる。なお、レーザー加工はベース層5を除去しないように調整されている。
【0015】
【発明の効果】
以上説明した本発明により、レーザー加工によるミシン目を有する切取り部において、ミシン目の識別性を調整できるとともに、包装材の化粧面やデザインに調和したミシン目を有する切取り部を得ることができるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 包装材の切取り部構造の一例を示すもので、(イ)はレーザー加工前の状態の切取り部を断面で示す説明図、(ロ)はレーザー加工が施される切取り部を断面で示す説明図である。
【図2】 同じく包装材の切取り部構造の他の一例を示すもので、(イ)はレーザー加工前の状態の切取り部を断面で示す説明図、(ロ)はレーザー加工が施される切取り部を断面で示す説明図である。
【図3】 同じく包装材の切取り部構造のさらに他の一例を示すもので、(イ)はレーザー加工前の状態の切取り部を断面で示す説明図、(ロ)はレーザー加工が施される切取り部を断面で示す説明図である。
【図4】 本発明の包装材の切取り部構造の一例を示すもので、(イ)はレーザー加工前の状態の切取り部を断面で示す説明図、(ロ)はレーザー加工が施される切取り部を断面で示す説明図である。
【図5】 紙層を表面化粧材層とした従来例の切取り部を断面で示す説明図である。
【図6】 反射層を有する従来例を断面で示す説明図である。
【図7】 反射層を有しない従来例を断面で示す説明図である。
【図8】 透明デザインの従来例を断面で示す説明図である。
【符号の説明】
1…包装材
2…表面化粧材層
6…ミシン目
7…欠損部
8…切取り部
10…下地層
X…レーザー加工
Claims (1)
- 不連続のパターンとした表面化粧材層の下に、レーザー光線を反射する物質であるアルミニウムペーストを含有したインキからなり、前記表面化粧材層に対応して同じ不連続のパターンとした下地層を積層し、前記下地層の下にベース層が位置している層構成を有する包装材に、レーザー光線を前記表面化粧材層側から前記下地層に達しさせ前記ベース層を非除去に調整されたレーザー加工によるミシン目を有した切取り部を設け、前記ミシン目のレーザー加工による欠損部で、下地層とベース層とがそれぞれ不連続にして表出していることを特徴とする包装材の切取り部構造。
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