JP4139297B2 - 電線余長吸収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固定側の車両ボディとこれに開閉自在に取り付けられるドアとの間に渡って配索されたワイヤハーネスの余長を吸収する電線余長吸収装置に関するものである。
周知のように、自動車等の車両には各種の電気部品が搭載されており、これらの電気部品には、ワイヤハーネスを通じて電源電流や信号電流が供給されている。
ワイヤハーネスは、複数の電線を結束した線状束であり、用途や配索箇所に応じて種々のタイプのものが使用されている。例えば、開閉自在な可動体としての自動車ドアには、パワーウインドモータやドアロックユニット、スイッチユニットやオートドア開閉ユニット等が搭載されており、これらの電気部品の接続には、複数の配線導体が並行に整列されたフレキシブル・フラット・ケーブルが使用されている。
ドア等に用いられるワイヤハーネスは、開閉動作に伴う移動量が大きいため、ドア等を閉じたときには余長部分が形成され、この余長部分が車両ボディとドア等との間に挟まり損傷することがある。このような問題の解決を図った電線余長吸収装置の従来技術の一例としては、図10〜図12に記載されたものがある。
図示するように、この電線余長吸収装置10は、不図示のワイヤハーネスと、ケース本体31及びカバー37からなるケース30と、ケース30に内蔵される余長吸収ユニット12とから構成されている。
ワイヤハーネスには、可撓性に優れるフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等のいわゆるフラットワイヤハーネスが適用される。ケース本体31は、開口部を有する横長矩形状の箱体である。カバー37は、ケース本体31の開口部を塞ぐ蓋体である。ケース本体31の枠壁には係止片32が複数設けられ、カバー37の縁壁38には係止突起38a(図12)が設けられ、係止片32と係止突起38aとが係合することにより、ケース本体31にカバー37が取り付けられるようになっている。
余長吸収ユニット12は、座部材13と、ガイドピン27と、圧縮コイルばね23と、ハーネス巻掛け部材15とからなっている。ガイドピン27はケース本体31の長手方向に配置され、その一側端部が座部材13を介してケース本体31の後壁31cに固定されている。
図12は、ガイドピン27の固定状態を示したものである。ケース本体31の前壁31bには平行に配置された一対のリブ状挟み部50,50が設けられ、カバー37の縁壁38にも一対のリブ状挟み部51,51が設けられ、ケース本体31にカバー37を取り付け際に、ガイドピン27の一側端部が、ケース本体31及びカバー37のリブ状挟み部50,51に上下方向から挟まれて固定されるようになっている。
図10に示すように、圧縮コイルばね23はガイドピン27に外挿され、ワイヤハーネスをケース30内に引き込む方向に付勢するように取り付けられている。ハーネス巻掛け部材15は、胴部15aと、仕切部15bと、胴部15aの両側に連なりガイドピン27に取り付けられる枠部15cとからなっており、ワイヤハーネスがUターン状に巻掛けられた状態で、ハーネス引き込み方向及びハーネス引き出し方向に往復移動できるようになっている。
これにより、ワイヤハーネスの余長部分は、ドア等の開閉動作に伴いケース30に引き込まれたり、ケース30から引き出されたりして、常に緊張状態に保持され、余長部分の挟み込みなどによる損傷が防止されるようになっている。
しかしながら、上記従来の電線余長吸収装置10では、解決すべき以下の問題点がある。
ケース本体31にカバー37をのせ、ケース本体31の係止片32をカバー37の係止突起38aに係合させることで、ガイドピン27がケース本体31のリブ状挟み部50とカバー37のリブ状挟み部51とに挟まれて固定されるようになっているが、電線余長吸収装置10の組立時においてガイドピン27にがたつきが生じるという問題がある。
このがたつきは、ガイドピン27の寸法公差や、係止片32と係止突起38aとの隙間や、ケース本体31とカバー37のリブ状挟み部50,51の寸法公差などが重なって生じるものである。個々の部品の寸法公差が厳しく管理されたとしても、ガイドピン27のがたつきは個々の部品の公差の総和によって生じるため、ガイドピン27のがたつきを完全にゼロにすることは困難である。
ガイドピン27にがたつきがあると、ワイヤハーネスの引き込み時や引き出し時に動作不良が生じたりする心配がある。また、車両の振動に起因して異音が発生する心配もある。例えば、ガイドピン27に設けられたガイド溝28aが曲がって、ハーネス巻掛け部材15がガイド溝28aに沿ってスムーズに進退できなくなったり、曲がったガイドピン27に圧縮コイルばね23が引っかかったりする心配がある。
本発明は、上記した点に鑑み、ケース本体に取り付けられるガイドピンのがたつきを少なくすることができ、ケース本体に内蔵された内蔵物の動作不良を防止することができる電線余長吸収装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ケース本体と、該ケース本体の開口を覆うカバーと、各々が垂直材と水平材とで十字状に構成されて、前記ケース本体の長手方向に離間した壁面に互いに平行でかつ壁面に直交するように両端が取り付けられた2本のガイド部材と、該2本のガイド部材の各々に外挿されたコイルばねと、ワイヤハーネスのハーネス引き込み方向及びハーネス引き出し方向に往復移動可能に前記ガイド部材に取り付けられ、前記コイルばねにより前記ワイヤハーネスを引き込む方向に付勢されたハーネス巻掛け部材と、を備え、前記ワイヤハーネスの余長部分が、前記ワイヤハーネスが前記ハーネス巻掛け部材に巻掛けされて前記ケース本体内に収容されるようにした電線余長吸収装置であって、前記ケース本体の壁面に、前記ガイド部材の端部と当接して、前記ガイド部材の垂直材に沿った垂直方向と水平材に沿った水平方向との2軸方向に前記ガイド部材を位置決めし固定する固定部を設けた、ことを特徴とする。
上記構成によれば、ケース本体からワイヤハーネスが引き出され、そうでない場合は、ケース本体にワイヤハーネスが引き込まれるから、ワイヤハーネスに引張力が作用して断線を生じたり、ワイヤハーネスの余長部分が固定側の車両ボディと可動側のドアとに挟まれて断線を生じたりすることが防止される。そして、前記ケース本体の壁面に、前記ガイド部材の端部と当接して、前記ガイド部材の垂直材に沿った垂直方向と水平材に沿った水平方向との2軸方向に前記ガイド部材を位置決めし固定する固定部を設けることで、ケース本体とカバーとの間の隙間の影響を受けずに、ガイド部材をがたつきなく固定することができる。ガイド部材とケース本体とのがたつきを少なくするためには、固定部の間隔及びガイド部材の寸法管理だけを行えばよく、管理項目が少なくなり寸法管理も容易化し、成形作業性も向上する。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電線余長吸収装置において、前記固定部が、前記ケース本体の内壁に突設され、前記ガイド部材の端部の水平材と垂直材とが交差して形成された互い違いの隅部にそれぞれ係合する一対の挟み部として構成され、前記一対の挟み部が、各々、前記ガイド部材の端部の水平材の側面と当接する当接面を備えると共に、前記ガイド部材の端部の垂直材の側面と当接する当接面を備えていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記固定部が、前記ケース本体の内壁に突設され、前記ガイド部材の端部の水平材と垂直材とが交差して形成された互い違いの隅部にそれぞれ係合する一対の挟み部として構成され、前記一対の挟み部が、各々、前記ガイド部材の端部の水平材の側面と当接する当接面を備えると共に、前記ガイド部材の端部の垂直材の側面と当接する当接面を備えているから、ガイド部材が4面で拘束され、ガイド部材の軸直角断面内における2軸方向のがたつきをより効果的に防止することができる。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の電線余長吸収装置において、前記一対の挟み部のうち、前記ケース本体の開口側に位置する一方の挟み部に、前記ケース本体の開口側からケース本体内に向けて取り付けられる前記ガイド部材が乗り越える傾斜面を形成したことを特徴とする。
上記構成によれば、ケース本体の開口寄りに位置する一方の挟み部に、傾斜面が形成されているから、ガイド部材をケース本体に取り付ける際に、ガイド部材が傾斜面に乗り上げ、そして傾斜面を完全に乗り越えることで、一対の挟み部の間にガイド部材が挟まって固定される。このため、ケース本体に対するガイド部材の組付性が向上する。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の電線余長吸収装置において、前記固定部が、前記ケース本体の壁面に形成され、前記ガイド部材の端部が挿入される孔部として構成され、前記孔部の孔縁が、前記ガイド部材の端部に突設された突部と当接するように構成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、前記ガイド部材を位置決めし固定する固定部及びガイド部材の端部を簡易な構成とすることができる。
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、ガイド部材の端部がケース本体に設けられた固定部により位置決めして固定される。従って、ケース本体とカバーとの間の隙間の影響を受けることなく、固定部の間隔及びガイド部材の寸法管理だけを行うことで、ケース本体に取り付けられるガイドピンのがたつきを少なくすることができる。また、ガイドピンのがたつきに起因する内蔵物の動作不良を防止することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、前記固定部が、前記ケース本体の内壁に突設され、前記ガイド部材の端部の水平材と垂直材とが交差して形成された互い違いの隅部にそれぞれ係合する一対の挟み部として構成され、前記一対の挟み部が、各々、前記ガイド部材の端部の水平材の側面と当接する当接面を備えると共に、前記ガイド部材の端部の垂直材の側面と当接する当接面を備えているガイド部材が4面で拘束されるとともに、軸直角断面内における2軸方向の位置決めが行われる。従って、ガイド部材の軸直角断面内における2軸方向のがたつきをより効果的に防止することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、ケース本体の開口寄りに位置する挟み部に、傾斜面が形成されているから、ガイド部材をケース本体に取り付ける際に、ガイド部材が傾斜面に乗り上げ、そして傾斜面を完全に乗り越えることで、一対の挟み部の間にガイド部材が挟まって固定される。従って、ケース本体に対するガイド部材の組付性を向上することができる。
また、請求項4記載の発明によれば、ガイド部材を位置決めし固定する固定部及びガイド部材の端部の構成を簡易な構成とすることができる。従って、ケース本体及びガイド部材の成形性が向上するとともに、組み付けが容易となる。
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係る電線余長吸収装置の第1の実施形態を示すものである。従来例と重複する構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略することとする。
電線余長吸収装置10は、固定側の車両ボディ(図示せず)と可動側のドア(図示せず)との間に渡って配索されたワイヤハーネス25の余長部分26を吸収する装置である。ドアには、回動自在に開閉される開閉ドアやスライド自在に開閉されるスライドドアが含まれるものとする。また、可動側は、ドアに限られず開閉可能なトランクやハッチなどの開閉体であってもよい。
図1に示すように、この電線余長吸収装置10は、フラット回路体としてのワイヤハーネス25と、合成樹脂製のケース30と、ケース30に内蔵された余長吸収ユニット12とから構成されている。
ワイヤハーネス25には、並設された帯状の配線導体(図示せず)の周囲が絶縁体からなる被覆部25aで覆われた可撓性のフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)が適用される。なお、湾曲状に折り曲げることができるものであればよく、図示しないフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)などを適用することもできる。
FFCやFPCは、図示しない車両用搭載機器間で主に信号電流を流す被覆電線である(電源電流を流すものもあるが、配線導体が太くなるため可撓性に劣りやすい傾向にある)。配線導体数は、車両ボディ側又はドア側のコネクタ(図示せず)に収容された端子の数に対応している。配線導体を覆う被覆部25aは、いわゆる絶縁シートであり、ポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂などを構成材料としている。
FFCやFPCは、可撓性を有しているため、配索経路に応じて所望の形態に曲げて使用できることが一つの特徴になっている。このため、FFCやFPCを電線余長吸収装置10でUターン状に折り返して収納しても、何ら損傷せず、電気的接続の信頼性が損なわれることはない。
ケース30は、ケース本体31とカバー37とからなっている。ケース本体31は、上部に開口を有する箱状を成し、下壁としての基壁31aと、基壁31aの縁から上方に立ち上がる枠壁とから成っている。上壁は、開口形成されている。枠壁は、横長矩形状を成していて、相対向する前壁31b(図10)及び後壁31cと、相対向する両側の側壁31d,31d(図2)とから成っている。前後壁31b,31c及び両側の側壁31d,31dには、カバー37を係止するためのL字状の係止片32が設けられている(図2,図11)。
前壁31bの内面には、後述するガイドピンを位置決めして固定する固定部としてのリブ状挟み部(挟み部)40及び凸状挟み部(挟み部)45がそれぞれ設けられている(図2)。後壁31cは一部開口形成されており、一部開口はそれぞれハーネス導入口34及びハーネス導出口35になっている。ワイヤハーネス25は、ハーネス導入口34から引き込まれ、ケース本体31内でUターン状に折り返され、ハーネス導出口35から引き出されるようになっている。ワイヤハーネス25の余長部分26がケース本体31に収容されると、ハーネス導入口34側のワイヤハーネス25は動かず、もっぱらハーネス導出口35側のワイヤハーネス25が引き込まれたり、引き出されたりして往復自在に移動する。
ケース本体31内に収容されたワイヤハーネス25は、ワイヤハーネス25が引き込まれる方向に付勢されており、ハーネス導出口35側のワイヤハーネス25に引張力を作用させることで、ケース30外へ引き出されるようになっている。引張力を解除すると、圧縮コイルばね23の引き込み力で再び余長部分26はケース本体31内に収容されるようになっている。
図2及び図3に示すように、リブ状挟み部40及び凸状挟み部45は、1本のガイドピン(ガイド部材)27に対して各1つずつ上下に配置されている。ガイドピン27は、並行に一対配置されている(図2)。
リブ状挟み部40は、基壁31a寄りの下側に位置し、側壁31dに平行に条設されている。凸状挟み部45は開口寄りの上側に位置している。リブ状挟み部40と凸状挟み部45の上下方向の間隔は、寸法管理が成されていて、ガイドピン27の座部(端部)47が挟まれた際に上下方向(垂直方向)にがたつきを生じない間隔に設定されている。リブ状挟み部40と凸状挟み部45の水平方向の間隔は、座部47が挟まれた際に水平方向にがたつきを生じない寸法に設定されている。
凸状挟み部45は、傾斜面45aと、垂直当接面45b(図4)とを有していて、リブ状挟み部40より低い突出高さに形成されている。傾斜面45aは、ガイドピン27の取付方向に漸次上昇するように形成されている。ガイドピン27をケース本体の開口側からケース本体31の基壁31a側に押し込むと、ガイドピン27がこの傾斜面45aに乗り上げ、乗り越える。垂直当接面45bは、前壁31bに対して垂直に形成されていて、座部47に対する当接面である。
リブ状挟み部40と凸状挟み部45は、互い違いに相対して位置している。互い違いに位置させたのは、ガイドピン27の軸直角断面内においてガイドピン27を2軸方向に位置決めするためと、ガイドピン27の取り付けを容易に行うためである。
すなわち、ガイドピン27の座部47は、互いに交差する水平材48と垂直材49とを有していて、水平材48と垂直材49とが交差して形成された互い違いの隅部47aに、リブ状挟み部40と凸状挟み部45とがそれぞれ係合し、ガイドピン27の座部47が4面で拘束され、ガイドピン27が軸直角断面内における2軸方向に位置決めされ、がたつきが防止されるようになっている。
水平材48及び垂直材49の各側面48a,49aは、リブ状挟み部40と凸状挟み部45の当接面になっている。水平材48の側面48aには、リブ状挟み部40の先端面40aと凸状挟み部45の垂直当接面45bが当接して、ガイドピン27が垂直方向に位置決めされ、垂直材49の側面49aには、リブ状挟み部40と凸状挟み部45の側面が当接して、ガイドピン27が水平方向に位置決めされる。
なお、ケース本体31の後壁31bにも、リブ状挟み部40及び凸状挟み部45を設けて、ガイドピン27の両端部を着脱自在に固定するようにしてもよい。前壁31b及び後壁31cにリブ状挟み部40及び凸状挟み部45を設けた場合は、ガイドピン27の倒れを防止することができる。
図2に示すように、カバー37は、ケース本体31の開口を覆うことができる形状に形成されており、天井壁37aと、天井壁37aの縁から下方に垂れ下がる縁壁38とからなっている。縁壁38は、ケース本体31の枠壁の外側に重なり合う。カバー37の下側は、開口形成されている。カバー37の縁壁38には、ケース本体31の枠壁に形成された係止片32と係合する係止突起38aが設けられている。
ワイヤハーネス25の余長部分26がケース30に収容されることで、Uターン状に湾曲した余長部分26が外部干渉から保護されて断線や損傷を生ずることが防止される。また、相対向するカバー37の天井壁37a及びケース本体31の基壁31aによって、余長部分26の浮き上がりなども防止される。
余長吸収ユニット12(図1)は、座部材13と、ガイドピン27と、圧縮コイルばね23と、ワイヤハーネス25が巻掛けられるハーネス巻掛け部材15とからなっている。
座部材13は、合成樹脂を構成材料とし、射出成形法にて一体成形されていて、胴部13aと、胴部13aの両側に位置する平板部13cと、胴部13aと平板部13cとを仕切る仕切部13bとからなっている(図10)。
胴部13aの一方の側面には外向きに凸の湾曲面が形成され、他方の側面には内向きに平坦面が形成されている。湾曲面は、ワイヤハーネス25が引き込まれた際に、ワイヤハーネス25をケース30内にスムーズに引き込むように誘導する。すなわち、この座部材13は、ハーネス導出口35から引き出されたり、引き込まれたりするワイヤハーネス25を誘導するように作用する。なお、座部材13とガイドピン27とを一体成形してもよい。
胴部13aの両端には、仕切部13bが突出して形成されている。両側の仕切部13bの間隔は、ワイヤハーネス25の幅より少し幅広に形成されている。これにより、ワイヤハーネス25は、幅方向に位置決めされ、横ずれして圧縮コイルばね23と干渉しないようになっている。
平板部13cは、仕切部13bを介して胴部13aの両側に続き、胴部13aの平坦面と平行に形成されている。この平板部13cは、ハーネス巻掛け部材15の両側の枠部(取付部)15cと対向して位置しており、両側の平板部13c,13cには、ガイドピン27がそれぞれ立設されている。
ガイドピン27は、合成樹脂製の棒状をなす真直部材で、垂直材と水平材とで十字状に構成されている。ガイドピン27の一側端部である座部47は、ケース本体31の前壁31bでリブ状挟み部40と凸状挟み部45(図2)の間に挟まれて固定され、ガイドピン27の他側端部は、座部材13に固定される。
ガイドピン27の長さ寸法は、ケース30の長さ寸法より少し短い寸法に設定されている。ガイドピン27の長さ寸法がケース30の長さ寸法より長いと、ガイドピン27をケース30に内蔵することができないからである。
また、ガイドピン27の最大外径は、圧縮コイルばね23の内径よりも少し小さい寸法に設定されている。最大外径がばねの内径より大きいと、ガイドピン27を圧縮コイルばね23の中に挿入することができないからである。
図1に示すように、圧縮コイルばね23は、針金をコイル形に巻いて作った円筒状のばねであり、並行に一対配置されている(一方のみ図示する)。圧縮コイルばね23を一対配置することで、ハーネス巻掛け部材15をバランス良く安定して往復動作させることができる。これは、圧縮コイルばね23の付勢力が強くなり、ワイヤハーネス25のケース30内への引き込みが素早く行われ、可動側のドアの閉動作に伴うワイヤハーネス25の追従性が高まるためである。また、圧縮コイルばね23の変形も防止され、ドアの開閉動作の繰り返しによる疲労寿命も向上する。
伸びきった状態の圧縮コイルばね23の長さ寸法は、ガイドピン27より長い寸法に設定されており、ガイドピン27の長さの略1.5倍程度である。圧縮コイルばね23の長さ寸法を長くすると、ワイヤハーネス25の引き込み力が大きくなり、引き込み性は良くなるものの、長すぎると、ワイヤハーネス25を引き出す際の引張力を強くしなければならず、引き出し性が悪くなってしまうからである。
従って、本実施の形態では、ワイヤハーネス25の引き込みと引き出しの両動作をスムーズに行うために、圧縮コイルばね23の長さ寸法をガイドピン27の長さ寸法の1.5倍程度に設定している。圧縮コイルばね23の巻き数や線径についても、ワイヤハーネス25の引き込みと引き出しの両動作をスムーズに行うことができるように、所定の巻き数及び線径に設定されている。
このような圧縮コイルばね23は、ガイドピン27の外側を螺旋状に巻回するような格好でガイドピン27に外挿され、圧縮状態においては、一端はガイドピン27の一側端部に当接し、他端はハーネス巻掛け部材15の端部に当接し、両端が長手方向に突っ張った状態に取り付けられている。
ハーネス巻掛け部材15は、図10に示したものと同様であり、合成樹脂を構成材料とし、胴部15aと、仕切部15bと、枠部15cとからなっている。胴部15aと枠部15cは、仕切部15bを介して連なっている。このハーネス巻掛け部材15は、ワイヤハーネス25の引き込み方向及び引き出し方向に往復移動する。
胴部15aには、ワイヤハーネス25がUターン状に折り返すように巻掛けられるようになっている。胴部15aの両側に設けられた仕切部15bは、胴部15aに巻掛けられたワイヤハーネス25が横ずれしないように幅方向に位置決めする。枠部15cには、ガイドピン27の先端部29が取り付けられるようになっている。枠部15cとガイドピン27の係止構造については、別出願で詳細に説明するため、本明細書での説明は省略することとする。
次ぎに、図1や図10に示されている電線余長吸収装置10の組立について説明する。
先ず、座部材13に取り付けられたガイドピン27の外側に圧縮コイルばね23を外挿する。そうすると、圧縮コイルばね23がガイドピン27の先端より突出する。圧縮コイルばね23の長さ寸法は、ガイドピン27の長さ寸法の1.5倍程度の長さに形成されているためである。
そして、圧縮コイルばね23を縮ませながら、ハーネス巻掛け部材15をガイドピン27の先端側に取り付ける。圧縮コイルばね23をガイドピン27の長さと同等の長さに圧縮しないと、圧縮コイルばね23をケース本体31に内蔵することができないからである。
続いて、圧縮コイルばね23を縮めたままの状態で、圧縮コイルばね23などをケース本体31に組み付ける。組み付けに際しては、ガイドピン27の座部47をケース本体31の前壁31bに設けられたリブ状挟み部40と凸状挟み部45との間に挟み込み、ガイドピン27の他側端部をケース本体31の後壁31cに押し当てるようにして組み付ける。
ガイドピン27とハーネス巻掛け部材15は係止手段により固定されているため、余長吸収ユニット12をケース30に内蔵する際に、圧縮コイルばね23が外れたりすることはない。
このように本実施形態の構成によれば、ケース本体31の前壁31bには、リブ状挟み部40と凸状挟み部45とが配設されているから、ガイドピン27の座部47は、リブ状挟み部40と凸状挟み部45との間に挟み込まれ、垂直方向及び水平方向の両方向に位置決めされて、がたつきが防止される。
次に、図6〜図9に基づいて電線余長吸収装置の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明する。本実施形態は、第1の実施形態のようにケース本体31の前壁31bにリブ状挟み部40及び凸状挟み部45を設ける代わりに、ガイドピンを位置決めして固定する固定部として貫通形成された孔部100(図9)を設けたものである。孔部100には、ガイドピン(ガイド部材)55の突部70aが挿入され、突部70aが上下の孔縁(挟み部)60,65に挟まれることで、ガイドピン55がケース本体75にがたつきなく固定されるようになっている。
図6に示すように、ガイドピン55は、樹脂成形された真直部材で、垂直材と水平材とで十字状に構成され、長手方向に真直に延在する鍔状のガイドリブ57と、孔部100に挿入される突部70aとを有している。ガイドリブ57は、図示しないハーネス巻掛け部材の溝部に進入することにより、ハーネス巻掛け部材がスライドガイドされ、ガイドピン55に沿いながらその長手方向に往復移動できるようになっている。
ガイドピン55は、並行に一対並べられた状態でケース本体75(図7)に収容されるようになっている。収容されたガイドピン55は、他方の端部72をケース本体75の後壁31cに着座させ、一方の端部70をケース本体75の前壁31bに当接させている。一方の端部70に突設された突部70aは、前壁31bに貫通形成された孔部100に挿入され、孔部100の孔縁60,65でがたつきを生じないように挟まれるようになっている。
図7に示すように、ケース本体は、第1の実施形態と略同様であり、上部に開口を有する箱状に形成されている。前壁31bの両側(図8(a))には、ガイドピン55の突部70aに対応する寸法に孔部100が形成されている。孔部100は、図9に示すように、スロット状を成しており、孔部100の孔縁60,65が挟み部となっている。ケース本体75の一側の側壁には、ハーネス導出口34及びハーネス導入口35が形成されている。
後壁31cは、ガイドピン55の他方の端部72に対する座面となっている。後壁31cにも、スロット状の孔部105が両側に設けられていて、図示しないガイドピン55の他方の端部に突設された突部が係合されるようになっている。
すなわち、ガイドピン55は、両方の端部70,72に突設された突部70aを孔部100,105に係合させることにより、ケース本体75にがたつきなく確実に固定されるようになっている。本実施形態は、簡単な構成でガイドピンをケース本体に固定することができるものであり、ガイドピン55及びケース本体75の成形性が向上するとともに、組付作業性の向上が図られるようになっている。その他の構成については、第1の実施形態と重複する説明となるため、省略することとする。
なお、本発明は、第1の実施形態において、1本のガイドピン27に対するリブ状挟み部40と凸状挟み部45の数を各一つに限定するものではなく、1本のガイドピン27に対してリブ状挟み部40と凸状挟み部45を各2つ設け、向き合うように相対させてもよい。リブ状挟み部40と凸状挟み部45を各2つ設けた場合は、ガイドピン27の軸直角断面内における2軸方向のがたつきが防止されることに加えて、ねじりによる中心軸回りの回転を阻止することができるメリットがある。
本発明に係る電線余長吸収装置の第1の実施形態を示す断面図である。 図1に示すガイドピンがケース本体に固定された状態を示す断面図である。 同じく図1に示すガイドピンがケース本体に固定された状態を示す斜視図である。 図2のA−A線に沿って切断した断面図である。 図2のB−B線に沿って切断した断面図である。 本発明に係る電線余長吸収装置の第2の実施形態のガイドピンを示す斜視図である。 図6に示すガイドピンが収容されるケース本体を示す斜視図である 図7に示すケース本体を平面及び正面から見た図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 図8(b)のC−C線に沿って切断した断面図である。 従来の電線余長吸収装置の一例を示し、カバーを取り外した状態の斜視図である。 図10に示す電線余長吸収装置にカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。 図10に示すガイドピンがケースに固定された状態を示す断面図である。
符号の説明
10 電線余長吸収装置
12 余長吸収ユニット
15 ハーネス巻掛け部材
23 圧縮コイルばね
27,55 ガイドピン(ガイド部材)
31,75 ケース本体
40 リブ状挟み部(挟み部)
45 凸状挟み部(挟み部)
45a 傾斜面
47 座部(端部)
47a 隅部
48 水平材
49 垂直材
60,65 孔縁(挟み部)
70a 突部
100 孔部

Claims (4)

  1. ケース本体と、
    該ケース本体の開口を覆うカバーと、
    各々が垂直材と水平材とで十字状に構成されて、前記ケース本体の長手方向に離間した壁面に互いに平行でかつ壁面に直交するように両端が取り付けられた2本のガイド部材と、
    該2本のガイド部材の各々に外挿されたコイルばねと、
    ワイヤハーネスのハーネス引き込み方向及びハーネス引き出し方向に往復移動可能に前記ガイド部材に取り付けられ、前記コイルばねにより前記ワイヤハーネスを引き込む方向に付勢されたハーネス巻掛け部材と、を備え、
    前記ワイヤハーネスの余長部分が、前記ワイヤハーネスが前記ハーネス巻掛け部材に巻掛けされて前記ケース本体内に収容されるようにした電線余長吸収装置であって、
    前記ケース本体の壁面に、前記ガイド部材の端部と当接して、前記ガイド部材の垂直材に沿った垂直方向と水平材に沿った水平方向との2軸方向に前記ガイド部材を位置決めし固定する固定部を設けた、
    ことを特徴とする電線余長吸収装置。
  2. 前記固定部が、前記ケース本体の内壁に突設され、前記ガイド部材の端部の水平材と垂直材とが交差して形成された互い違いの隅部にそれぞれ係合する一対の挟み部として構成され、
    前記一対の挟み部が、各々、前記ガイド部材の端部の水平材の側面と当接する当接面を備えると共に、前記ガイド部材の端部の垂直材の側面と当接する当接面を備えていることを特徴とする請求項1記載の電線余長吸収装置。
  3. 前記一対の挟み部のうち、前記ケース本体の開口側に位置する一方の挟み部に、
    前記ケース本体の開口側からケース本体内に向けて取り付けられる前記ガイド部材が乗り越える傾斜面を形成したことを特徴とする請求項2記載の電線余長吸収装置。
  4. 前記固定部が、前記ケース本体の壁面に形成され、前記ガイド部材の端部が挿入される孔部として構成され、
    前記孔部の孔縁が、前記ガイド部材の端部に突設された突部と当接するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電線余長吸収装置。
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