JP4139124B2 - めっき装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき装置及び方法に係り、特に半導体基板に形成された微細配線パターン(窪み)に銅(Cu)等の金属を充填して埋込み配線を形成する等の用途に使用されるめっき装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウエハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。このため、基板にめっき処理を施して、基板に形成された配線パターンに銅またはその合金を充填する方法が提案されている。
【0003】
これは、配線パターンに銅またはその合金を充填する方法としては、CVD(化学的蒸着)やスパッタリング等の各種の方法が知られているが、金属層の材質が銅またはその合金である場合、即ち、銅配線を形成する場合には、CVDではコストが高く、またスパッタリングでは高アスペクト(パターンの深さの比が幅に比べて大きい)の場合に埋込みが不可能である等の短所を有しており、めっきによる方法が最も有効だからである。
【0004】
図6は、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示すもので、先ず、図6(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やLow−K材膜等の絶縁膜2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線溝4を形成し、その上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてのシード層7を形成する。
【0005】
そして、図6(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、コンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6及びバリア膜5を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図6(c)に示すように銅膜6からなる配線が形成される。
【0006】
ここで、半導体基板上に銅めっきを施す方法としては、カップ式やディップ式のようにめっき槽に常時めっき液を張ってそこに基板を浸す方法と、めっき槽に基板が供給された時にのみめっき液を張る方法、また、電位差をかけていわゆる電解めっきを行う方法と、電位差をかけない無電解めっきを行う方法など、種々の方法がある。
【0007】
図7は、いわゆるフェイスダウン方式を採用して、例えば表面に給電層としてシード層7(図6(a)参照)等の導電膜を形成した半導体ウエハ等の基板Wの該表面(被めっき面)に電解めっきを施して銅膜6(図6(b)参照)を形成するめっき装置の従来の一般的な構成の概要を示す。
【0008】
このめっき装置は、上方に開口し内部にめっき液10を保持する円筒状のめっき槽12と、このめっき槽12の上端開口部を塞ぐ位置に基板Wを下向き保持して配置する基板ホルダ14と、この基板ホルダ14で保持した基板Wのシード層(導電膜)7に接触して通電させるカソード電極16を有している。めっき槽12の内部には、めっき槽12内のめっき液10の流れをより均一にする拡散板18とアノード20がめっき液10中に浸漬され上下に位置して水平に配置されている。めっき槽12の底部中央には、上方に向けためっき液10の噴流を形成するめっき液噴射口22が形成され、めっき槽12の上部外側には、めっき液受け(図示せず)が配置されている。
【0009】
これにより、めっき槽12の上部に基板Wを下向きに配置し、めっき液10をめっき槽12の底部から上方に噴出させて、基板Wのシード層(被めっき面)7にめっき液10の噴流を当てつつ、アノード20とカソードとなる基板Wのシード層7の間にめっき電源24から所定のめっき電流を流すことで、基板Wのシード層7の表面にめっき膜を形成するようにしている。この時、めっき槽12をオーバーフローしためっき液10は、めっき液受けから回収される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、LSI用のウエハや液晶基板は、年々大面積となる傾向にあり、これに伴って、基板の表面に形成されるめっき膜の膜厚のバラツキが問題となってきている。つまり、基板に陰極電位を与えるために、基板に予め形成した導電膜(シード層)の周縁部に電極との接点を設けているが、基板の面積が大きくなると、基板の周辺の接点から基板中央までの導電膜の電気抵抗が大きくなり、基板面内で電位差が生じてめっき速度に差が出て、めっき膜の膜厚のバラツキに繋がってしまう。特に、導電膜が薄い場合や、基板直径が大きい場合には、電解めっきによって形成されるめっき膜の膜厚分布のバラツキが大きくなり、著しい場合は基板の中央付近で全くめっき膜が形成されないことが起こる。
【0011】
この現象を、電気化学的に説明すると以下のようになる。
図8は、図7に示す従来の一般的な電解めっき装置の電気的等価回路図を示す。つまり、共にめっき液10中に没したアノード20とカソードとなる基板Wのシード層7等の導電膜の間にめっき電源24からめっき電流を流してシード層(導電膜)7の表面にめっき膜を形成すると、この回路中には、以下のような抵抗成分が存在する。
R1:電源−陽極間の電源線抵抗および各種接触抵抗
R2:陽極における分極抵抗
R3:めっき液抵抗
R4:陰極(めっき表面)における分極抵抗
R5:シード層の抵抗
R6:陰極電位導入接点−電源間の電源線抵抗および各種接触抵抗
【0012】
図8から明らかなように、シード層7の抵抗R5が他の電気抵抗R1〜R4及びR6に比して大きくなると、このシード層7の抵抗R5の両端に生じる電位差が大きくなり、それに伴ってめっき電流に差が生じる。このように、陰極導入接点から遠い位置ではめっきの膜成長速度が低下してしまい、シード層7の膜厚が薄いと抵抗R5が更に大きくなって、この現象が顕著に現れてしまう。さらに、この事実は、基板の面内で電流密度が異なることを意味し、めっきの特性自体(めっき膜の抵抗率、純度、埋込特性など)が面内で均一とならない。
【0013】
これらの問題を回避する方法としては、導電膜の厚さを厚くしたり、電気導電率を小さくしたりすることが考えられる。しかし、基板は、めっき以外の製造工程でも様々な制約を受けるばかりでなく、例えば、微細パターン上にスパッタ法で厚い導電膜を形成するとパターン内部にボイドが発生し易くなってしまうため、容易に導電膜の厚みを厚くしたり、導電膜の膜種を変更したりすることはできない。
【0014】
また、陰極電位導入用の接点を基板の一面に配置すれば、基板面内における電位差を小さくすることが可能であるが、電気接点とした部位はLSIとして使用できないなど現実的でない。更に、めっき液の抵抗値(図8中の抵抗R3,R2またはR4)を高くすることも有効であるが、めっき液の電解質を変更することはめっき特性全体の変更を意味し、例えば、めっき液中のめっき金属イオン濃度を下げればめっき速度を十分高くとれないなどの制約が出てくる。
【0015】
以上のように、基板の周辺部に接点を設け、基板表面の導電膜を用いて電解めっきを行う工程においては、基板のサイズが大きくなるとめっき膜厚が基板の面内で大きく異なってしまうという問題が発生し、被処理基板面内での膜厚及びプロセスの均一化が重要な半導体工業においては、特にこの問題が大きな制約となっている。
【0016】
本発明は上記に鑑みて為されたもので、導電膜の厚みや膜種、めっき液の電解質等を変更することなく、基板面内に均一な膜厚のめっき膜を成膜できるようにしためっき装置及び方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板を保持する基板ホルダと、該基板の被めっき面に接触し通電させて該被めっき面をカソードとなすカソード電極と、前記基板ホルダで保持した基板の被めっき面に対峙した位置に配置されるアノードと、前記アノードと基板の被めっき面を、内部に保持しためっき液に接触させるめっき槽と、前記基板の被めっき面と前記アノードとの間にめっき電流を流すめっき電源と、前記めっき電流の流れと平行にめっき槽内のめっき液中に浸漬させて円周方向に沿って配置した複数の導線と該導線を流れる電流を制御する制御部を有し、該導線に前記めっき電流とは逆方向に電流を流して、前記めっき槽内のめっき液中のめっき金属イオンに前記基板の中心を通る軸線に向けたローレンツ力が作用するように、めっき液中に強さを調整した磁界を発生させる磁界発生装置を有することを特徴とするめっき装置である。
【0018】
これにより、めっき液中のめっき金属イオンに作用させた力によって、通常カソード電極との接触部である基板の周縁部に集まるめっき液中のめっき金属イオンを基板の中央部に向けて押出すように移動させ、めっき速度を基板の全面に亘ってより均一にすることができる。
【0019】
特に、めっき液中に発生させた磁界とめっき電流によりめっき液中のめっき金属イオンに作用するローレンツ力(磁力)によって、めっき液中のめっき金属イオンを基板の中央部に向けて押出すように移動させることができる。
【0021】
また、めっき液中に発生させる磁界の強さを調整して、めっき液中のめっき金属イオンに作用するローレンツ力を調整することで、状況に応じて、めっき金属イオンをめっき液中により均一に分布させることができる。
【0022】
請求項に記載の発明は、前記基板ホルダは、該基板ホルダで基板を保持した状態で該基板と一体に回転自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき装置である。これにより、めっき中に基板ホルダを基板と一体に回転させることで、めっき槽内のめっき液を攪拌して、めっき液を基板に均等に当てるとともに、例えばフェイスダウン方式を採用した時に、基板の下面(被めっき面)に気泡が残ってしまうことを防止することができる。
【0023】
請求項に記載の発明は、カソード電極と通電してカソードとなる基板の被めっき面と、該被めっき面に対峙した位置に配置したアノードとをめっき槽内のめっき液に接触させ、前記基板の被めっき面と前記アノードとの間にめっき電流を流してめっきを行うにあたり、前記めっき電流の流れと平行にめっき槽内のめっき液中に浸漬させて円周方向に沿って配置した複数の導線に、流れを制御した電流を前記めっき電流とは逆方向に流して、前記めっき槽内のめっき液中のめっき金属イオンに前記基板の中心を通る軸線に向けたローレンツ力が作用するように、めっき液中に強さを調整した磁界を発生させることを特徴とするめっき方法である。
【0025】
請求項に記載の発明は、めっき初期時に、前記磁界を用いて基板の被めっき面の中央部に接触するめっき液中のめっき金属イオン濃度を高めてめっきを行い、めっきの進行に伴って前記磁界を弱めるか、または磁界の発生を停止させることを特徴とする請求項記載のめっき方法である。これにより、めっき初期時の、例えば給電層としての導電膜(シード層)の膜厚が薄く、この抵抗が高い時に、基板の周縁部に集中し易いめっき液中のめっき金属イオンを基板の中央部に集めることで、基板の周縁部にめっき膜が厚く堆積することを防止し、めっき膜の膜厚が増加して、給電層としての抵抗が低くなった時に、磁界を弱めるか、または磁界の発生を停止させることで、めっき膜の膜厚を全体としてより均一にすることができる。
請求項に記載の発明は、基板を回転させながらめっきを行うことを特徴とする請求項3または4記載のめっき方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、いわゆるフェイスダウン方式を採用して、例えば表面に給電層としてシード層7(図6(a)参照)等の導電膜を形成した半導体ウエハ等の基板Wの該表面(被めっき面)に電解めっきを施して銅膜6(図6(b)参照)を形成するようにした、本発明の実施の形態のめっき装置の概要を示す。
【0027】
このめっき装置は、上方に開口し内部にめっき液10を保持する円筒状のめっき槽12と、このめっき槽12の上端開口部を塞ぐ位置に基板Wを下向き保持して配置する基板ホルダ14と、この基板ホルダ14で保持した基板Wのシード層(導電膜)7に接触して通電させるカソード電極16を有している。めっき槽12の内部には、アノード20がめっき液10中に浸漬されて水平に配置されている。めっき槽12の底部中央には、上方に向けためっき液10の噴流を形成するめっき液噴射口22が形成され、めっき槽12の上部外側には、めっき液受け(図示せず)が配置されている。カソード電極16は、めっき電源24の陰極に、アノード20は、めっき電源24の陽極にそれぞれ接続されている。
【0028】
更に、このめっき装置には、めっき槽12で保持しためっき液10に磁界32を発生させる、この例では、合計4個の磁界発生装置30が備えられている。この各磁界発生装置30は、磁界発生電源34と、この磁界発生電源34から延びるケーブル36とを有している。そして、このケーブル36には、導線38が備えられている。この導線38は、外被を除去して導体を露出させた裸線でもよいが、セラミックや樹脂などのコーティングがあることが好ましい。この導線38は、めっき槽12内のアノード20の上方で、かつめっき槽12を円周方向に4等分した位置に上下方向に延びるように配置されている。これにより、この各導線38に上から下に電流を流すことで、右ねじの法則により、図2に示すように、上から見て右回りの磁界32がそれぞれ発生し、この4つの磁界32により、めっき槽12の中央部に、上から見て右回りのトータルした磁界40が発生し、この磁界40とめっき電流の方向の関係で、めっき槽12の中央に向けた磁力が作用するようになっている。
【0029】
すなわち、この例では、下から上にめっき電流を流し、このめっき電流の流れる方向と平行な方向に複数の導線38を円周方向に沿った等間隔で配置し、この導線38に、めっき電流とは逆方向に、すなわち上から下に電流を流すことで、上から見て右回りの磁界32を発生させ、このめっき電流とトータルした磁界40との関係で、図3に示すフレミングの左手の法則により、めっき槽12の中央に向けた磁力が作用する。
【0030】
磁界発生装置30には、磁界発生電源34からケーブル36に供給される電流を制御する制御部42が設けられている。これによって、各導線38を流れる電流を制御して、この各導線38の回りに形成される磁界32の大きさを調整できるようになっている。
【0031】
次に、このめっき装置の使用例について説明する。
先ず、例えば図6(a)に示す、表面にシード層7を形成した基板Wを、基板ホルダ14で下向き(フェィスダウン)にして保持し、このシード層7とカソード電極16とを接触させる。この状態で、めっき液10をめっき槽12の底部から上方に噴出させて、基板Wのシード層(被めっき面)7にめっき液10の噴流を当てつつ、アノード20とカソードとなる基板Wのシード層7の間にめっき電源24から所定のめっき電流を流すことで、基板Wのシード層7の表面にめっき膜を形成する。この時、各磁界発生装置30により、各導線38に上から下に向かって電流を流すことで、各導線38の回りに上から見て右回りの磁界32を発生させ、このめっき電流とトータルした磁界40との関係で、図3に示すフレミングの左手の法則により、めっき槽12の中央に向けた磁力を作用させる。これにより、このめっき液10の流れに沿って流れるめっき金属イオン(銅イオン)を、ローレンツ力で、図1に実線で示すように、めっき槽12の中央部に押出すように移動させ、めっき速度を基板Wの全面に亘ってより均一にする。
【0032】
つまり、シード層7の膜厚が薄く、この抵抗値が高いと、このシード層7の内部を電流が流れ難くなって、図1の波線で示すように、めっき金属イオンが、カソード電極16との接点部である基板Wの周縁部に集まり、基板Wの周縁部により厚いめっき膜が堆積して、めっき膜の膜厚のバラツキに繋がってしまうが、この例によれば、めっき液10中のめっき金属イオンをローレンツ力でめっき槽12の中央部に強制的に移動させることで、基板Wの全域に亘って、より均一な膜厚のめっき膜を堆積させることができる。この時、めっき槽12をオーバーフローしためっき液10は、めっき液受けから回収される。
【0033】
ここで、ローレンツ力(磁力)の強さは、導線38を流れる電流の大きさに比例するので、この導線38を流れる電流を制御することで、磁界、ひいてはローレンツ力の強さを調整することができる。例えば、めっき初期時に、導線38に多くの電流を流し、この時に作用するローレンツ力によって、基板Wの被めっき面の中央部におけるめっき金属イオン濃度を高めてめっきを行い、めっきの進行に伴って磁界を弱めるか、または磁界の発生を停止させるようにしてもよい。これにより、めっき初期時の、例えば給電層としてのシード層(導電膜)7の膜厚が薄く、この抵抗が高い時に、基板の周縁部に集中し易いめっき液中のめっき金属イオンを基板の中央部に集めて、基板の周縁部にめっき膜が厚く堆積することを防止し、めっき膜の膜厚が増加して、給電層としての抵抗が低くなった時に、磁界を弱めるか、または磁界の発生を停止させることで、めっき膜の膜厚を全体としてより均一にすることができる。
【0034】
そして、めっき終了後、めっき電流を停止し、めっき液10のめっき槽12内への供給を停止して、めっき後の基板Wを基板ホルダ14からロボット等で受取り、これを次工程に搬送する。
【0035】
図4は、本発明の他の実施の形態のめっき装置を示すもので、このめっき装置は、ハウジング50を有し、該ハウジング50の下端に内方に突出させて設けたリング状の爪部50aとシリンダ52の作動に伴って上下動するリング状の押圧片54で基板Wの周縁部を挟持して保持する基板ホルダ56を備えている。この爪部50aの上面には、基板Wと接触して通電するカソード電極57が配置されている。そして、この基板ホルダ56は、モータ58を介して回転するように構成されている。一方、基板ホルダ56の下方には、外周部にめっき液供給路60と、このめっき液供給路60と連通してめっき液10を水平方向に噴出する複数のめっき液噴出ノズル62を有するめっき槽64が配置されている。そして、めっき液噴出ノズル62からめっき槽64の内部に噴出されためっき液10は、上方へ向かう流れと下方に向かう流れに分岐し、上方に向かった流れは基板ホルダ56で保持した基板Wに接触し、溢流堰66をオーバーフローしてめっき液受け68に流れ込み、下方に向かった流れはアノード70を浸漬し、このアノード70の外周を流れて外部に流出するようになっている。
【0036】
そして、めっき液噴出ノズル62の上方でハウジング50の爪部50aの下方位置に、前述と同じ構成の磁界発生装置30が複数配置されている。つまり、この磁界発生装置30は、上下方向に延びる導線38を有し、この導線38に上から下に電流を流すことで、この導線38の回りに上から見て右回りの磁界が発生するようになっている。
【0037】
この例によれば、基板ホルダ56で保持した基板Wを、モータ58を介して該基板ホルダ56と一体に回転させながらめっきを行うことができ、これによって、めっき槽64内のめっき液10を攪拌して、めっき液10を基板Wに均等に当てるとともに、基板Wの下面(被めっき面)に気泡が残ってしまうことを防止することができる。
【0038】
図5は、いわゆるディップタイプに適用した本発明の更に他の実施の形態のめっき装置を示す。このめっき装置は、内部にめっき液10を保持する上方に開口したボックス状のめっき槽72と、基板Wを着脱自在に保持する基板ホルダ74とを備えている。めっき槽72の内部には、アノード76が鉛直方向に配置されて収納され、基板ホルダ74で保持した基板Wは、このアノード76と対向する位置に配置されるようになっている。
【0039】
めっき槽72の底部には、めっき液供給口78が設けられ、側部には、めっき液排出路80が備えられている。これによって、めっき液供給口78から供給されためっき液10は、めっき槽72の内部を満たしてアノード76と基板Wを浸漬し、めっき液排出路80を区画する隔壁82をオーバーフローしてめっき液排出路80内に流入して、外部に排出される。更に、この例では、基板Wとアノード76との間に、基板Wの大きさに見合った中央孔84aを設けたレギュレーションプレート(マスク)84を配置している。これにより、基板Wの周辺部の電流密度をレギュレーションプレート84で下げて、めっき膜の膜厚をより均等化することができるようになっている。
【0040】
そして、基板Wとアノード76との間の鉛直面に沿った位置に、前述とほぼ同じ構成の磁界発生装置30が複数配置されている。つまり、この磁界発生装置30は、導線38が備えられ、この導線38は、水平方向に延びるように配置されている。これにより、この導線38にめっき電流の流れ方向と逆の方向、つまりアノード76側から基板W側に向けて電流を流すことで、右ねじの法則により、図5に示すように、左からみて右回りの磁界32をそれぞれ発生させ、この磁界32とにより、前述の同様に、めっき槽12の鉛直面における中央部に向けた磁力が作用するようになっている。
【0041】
この例によれば、めっき槽72内にめっき液10を供給して隔壁82の上端をオーバーフローさせながら、基板Wとアノード76との間にめっき電流を流してめっきを行うのであり、この時、磁界発生装置30の導線38にめっき電流が流れる方向と逆の方向に電流を流し、これによって、めっき液10の流れに沿って流れるめっき金属イオン(銅イオン)を、ローレンツ力で、めっき槽72の鉛直面に沿った中央部に押出すように移動させ、めっき金属イオンをめっき液10中により均一に分布させて、めっき速度を基板Wの全面に亘ってより均一にすることができる。
【0042】
図9は、前述のめっき装置を備えた基板処理装置の平面配置図を示す。この基板処理装置は、ロード・アンロード部510、各一対の洗浄・乾燥処理部512、第1基板ステージ514、ベベルエッチ・薬液洗浄部516及び第2基板ステージ518、基板を180゜反転させる機能を有する水洗部520及び4基のめっき処理部522を有している。更に、ロード・アンロード部510、洗浄・乾燥処理部512及び第1基板ステージ514の間で基板の受渡しを行う第1搬送装置524と、第1基板ステージ514、ベベルエッチ・薬液洗浄部516及び第2基板ステージ518の間で基板の受渡しを行う第2搬送装置526、第2基板ステージ518、水洗部520及びめっき処理部522の間で基板の受渡しを行う第3搬送装置528が備えられている。
【0043】
基板処理装置の内部は、仕切り壁523によってめっき空間530と清浄空間540に仕切られ、これらの各めっき空間530と清浄空間540は、それぞれ独自に給排気できるようになっている。そして、仕切り壁523には、開閉自在なシャッタ(図示せず)が設けられている。また、清浄空間540の圧力は、大気圧より低く、かつめっき空間530の圧力より高くしてあり、これにより、清浄空間540内の空気がめっき装置の外部に流出することがなく、かつめっき空間530内の空気が清浄空間540内に流入することがないようになっている。
【0044】
図10は、基板処理装置内の気流の流れを示す。清浄空間540においては、配管543より新鮮な外部空気が取込まれ、この外部空気は、ファンにより高性能フィルタ544を通して清浄空間540内に押込まれ、天井545aよりダウンフローのクリーンエアとして洗浄・乾燥処理部512及びベベルエッチ・薬液洗浄部516の周囲に供給される。供給されたクリーンエアの大部分は、床545bから循環配管552を通して天井545a側に戻され、再び高性能フィルタ544を通してファンにより清浄空間540内に押込まれて清浄空間540内を循環する。一部の気流は、洗浄・乾燥処理部512及びベベルエッチ・薬液処理部516内から配管546により外部に排気される。これにより、清浄空間540内は、大気圧より低い圧力に設定される。
【0045】
水洗部520及びめっき処理部522が存在するめっき空間530は、清浄空間ではない(汚染ゾーン)とはいいながらも、基板表面にパーティクルが付着することは許されない。このため、配管547から取込まれ高性能フィルタ548を通して天井549a側からファンによりめっき空間530内に押込まれたダウンフローのクリーンエアを流すことにより、基板にパーティクルが付着することを防止している。しかしながら、ダウンフローを形成するクリーンエアの全流量を外部からの給排気に依存すると、膨大な給排気量が必要となる。このため、めっき空間530内を清浄空間540より低い圧力に保つ程度に配管553より外部排気を行い、ダウンフローの大部分の気流を床549bから延びる循環配管550を通した循環気流でまかなうようにしている。
【0046】
これにより、循環配管550から天井549a側に戻ったエアは、再びファンにより押込まれ高性能フィルタ548を通ってめっき空間530内にクリーンエアとして供給されて循環する。ここで、水洗部520、めっき処理部522、搬送装置528及びめっき液調整タンク551からの薬液ミストや気体を含むエアは、前記配管553を通して外部に排出されて、めっき空間530内は、清浄空間540より低い圧力に設定される。
【0047】
従って、シャッタ(図示せず)を開放すると、これらのエリア間の空気の流れは、図10に示すように、ロード・アンロード部510、清浄空間540及びめっき空間530の順に流れる。また、排気はダクト552及び553を通して、図12に示すように、集合排気ダクト554に集められる。
【0048】
図12は、基板処理装置がクリーンルーム内に配置された一例を示す外観図である。搬入・搬出エリア520のカセット受渡し口555と操作パネル556のある側面が仕切壁557で仕切られたクリーンルームのクリーン度の高いワーキングゾーン558に露出しており、その他の側面は、クリーン度の低いユーティリティゾーン559に収納されている。
【0049】
上記例では、基板処理装置を半導体基板配線用のめっき装置を例に説明したが、基板は半導体基板に限定されるものではなく、まためっき処理する部分も基板面上に形成された配線部に限定されるものではない。また、上記例では銅めっきを例に説明したが、銅めっきに限定されるものではない。
【0050】
図13は、半導体基板配線用の他の基板処理装置の平面構成を示す図である。図示するように、半導体基板配線用の基板処理装置は、半導体基板を搬入する搬入部601、銅めっきを行う銅めっき槽602、水洗浄を行う水洗槽603,604、化学機械研磨(CMP)を行うCMP部605、水洗槽606,607、乾燥槽608及び配線層形成が終了した半導体基板を搬出する搬出部609を具備し、これら各槽に半導体基板を移送する図示しない基板移送手段が1つの装置として配置され、半導体基板配線用の基板処理装置を構成している。
【0051】
上記配置構成の基板処理装置において、基板移送手段により、搬入部601に載置された基板カセット601−1から、配線層が形成されていない半導体基板を取り出し、銅めっき槽602に移送する。該銅めっき槽602において、配線溝や配線孔(コンタクトホール)からなる配線部を含む半導体基板Wの表面上に銅めっき層を形成する。
【0052】
前記銅めっき槽602で銅めっき層の形成が終了した半導体基板Wを、基板移送手段で水洗槽603及び水洗槽604に移送し、水洗を行う。続いて該水洗浄の終了した半導体基板Wを基板移送手段でCMP部605に移送し、該CMP部605で、銅めっき層から配線溝や配線孔に形成した銅めっき層を残して半導体基板Wの表面上の銅めっき層を除去する。
【0053】
続いて上記のように銅めっき層から配線溝や配線孔からなる配線部に形成した銅めっき層を残して半導体基板Wの表面上の不要の銅めっき層の除去が終了した半導体基板Wを、基板移送手段で水洗槽606及び水洗槽607に送り、水洗浄し、更に水洗浄の終了した半導体基板Wは乾燥槽608で乾燥させ、乾燥の終了した半導体基板Wを配線層の形成の終了した半導体基板として、搬出部609の基板カセット609−1に格納する。
【0054】
図14は、半導体基板配線用の他の基板処理装置の平面構成を示す図である。図14に示す基板処理装置が図13に示す装置と異なる点は、銅めっき槽602、水洗槽610、前処理槽611、銅めっき膜の表面に保護膜を形成する蓋めっき槽612、CMP部615、水洗槽613、614を追加し、これらを含め1つの装置として構成した点である。
【0055】
上記配置構成の基板処理装置において、配線溝や配線孔(コンタクトホール)からなる配線部を含む半導体基板Wの表面上に銅めっき層を形成する。続いて、CMP部605で銅めっき層から配線溝や配線孔に形成した銅めっき層を残して半導体基板Wの表面上の銅めっき層を除去する。
【0056】
続いて、上記のように銅めっき層から配線溝や配線孔からなる配線部に形成した銅めっき層を残して半導体基板Wの表面上の銅めっき層を除去した半導体基板Wを水洗槽610に移送し、ここで水洗浄する。続いて、前処理槽611で、後述する蓋めっきを行うための前処理を行う。該前処理の終了した半導体基板Wを蓋めっき槽612に移送し、蓋めっき槽612で配線部に形成した銅めっき層の上に保護膜を形成する。この保護膜としては、例えばNi−B無電解めっき槽を用いる。保護膜を形成した後、半導体基板Wを水洗槽606,607で水洗浄し、更に乾燥槽608で乾燥させる。
【0057】
そして、銅めっき層上に形成した保護膜の上部をCMP部615で研磨し、平坦化して、水洗槽613,614で水洗浄した後、乾燥槽608で乾燥させ、半導体基板Wを搬出部609の基板カセット609−1に格納する。
【0058】
図15は半導体基板配線用の他の基板処理装置の平面構造を示す図である。図示するように、この基板処理装置は、ロボット616を中央に配置し、その周囲のロボットアーム616−1が到達する範囲に銅めっきを行う銅めっき槽602、水洗槽603、水洗槽604、CMP部605、蓋めっき槽612、乾燥槽608及びロード・アンロード部617を配置して1つの装置として構成したものである。なお、ロード・アンロード部617に隣接して半導体基板の搬入部601及び搬出部609が配置されている。
【0059】
上記構成の半導体基板配線用の基板処理装置において、半導体基板の搬入部601から配線めっきの済んでいない半導体基板がロード・アンロード部617に移送され、該半導体基板をロボットアーム616−1が受け取り、銅めっき槽602に移送し、該めっき槽で配線溝や配線孔からなる配線部を含む半導体基板の表面上に銅めっき層を形成する。該銅めっき層の形成された半導体基板をロボットアーム616−1によりCMP部605に移送し、該CMP部605で銅めっき層から配線溝や配線孔からなる配線部に形成した銅めっき層を残して半導体基板Wの表面上の余分な銅めっき層を除去する。
【0060】
表面の余分な銅めっき層が除去された半導体基板はロボットアーム616−1により、水洗槽604に移送され、水洗処理された後、前処理槽611に移送され、該前処理槽611で蓋めっき用の前処理が行われる。該前処理の終了した半導体基板はロボットアーム616−1により、蓋めっき槽612に移送され、該蓋めっき槽612で、配線溝や配線孔からなる配線部に形成され銅めっき層の上に保護膜を形成する。保護膜が形成された半導体基板はロボットアーム616−1により、水洗槽604に移送されここで水洗処理された後、乾燥槽608に移送され、乾燥した後、ロード・アンロード部617に移送される。該配線めっきの終了した半導体基板は搬出部609に移送される。
【0061】
図16は、他の半導体基板処理装置の平面構成を示す図である。この半導体基板処理装置は、ロード・アンロード部701、銅めっきユニット702、第1ロボット703、第3洗浄機704、反転機705、反転機706、第2洗浄機707、第2ロボット708、第1洗浄機709、第1ポリッシング装置710及び第2ポリッシング装置711を配置した構成である。第1ロボット703の近傍には、めっき前後の膜厚を測定するめっき前後膜厚測定機712、研磨後で乾燥状態の半導体基板Wの膜厚を測定する乾燥状態膜厚測定機713が配置されている。
【0062】
第1ポリッシング装置(研磨ユニット)710は、研磨テーブル710−1、トップリング710−2、トップリングヘッド710−3、膜厚測定機710−4、プッシャー710−5を具備している。第2ポリッシング装置(研磨ユニット)711は、研磨テーブル711−1、トップリング711−2、トップリングヘッド711−3、膜厚測定機711−4、プッシャー711−5を具備している。
【0063】
コンタクトホールと配線用の溝が形成され、その上にシード層が形成された半導体基板Wを収容したカセット701−1をロード・アンロード部701のロードポートに載置する。第1ロボット703は、半導体基板Wをカセット701−1から取り出し、銅めっきユニット702に搬入し、銅めっき膜を形成する。その時、めっき前後膜厚測定機712でシード層の膜厚を測定する。銅めっき膜の成膜は、まず半導体基板Wの表面の親水処理を行い、その後銅めっきを行って形成する。銅めっき膜の形成後、銅めっきユニット702でリンス若しくは洗浄を行う。時間に余裕があれば、乾燥してもよい。
【0064】
第1ロボット703で銅めっきユニット702から半導体基板Wを取り出したとき、めっき前後膜厚測定機712で銅めっき膜の膜厚を測定する。その測定結果は、記録装置(図示せず)に半導体基板の記録データとして記録され、なお且つ、銅めっきユニット702の異常の判定にも使用される。膜厚測定後、第1ロボット703が反転機705に半導体基板Wを渡し、該反転機705で反転させる(銅めっき膜が形成された面が下になる)。第1ポリッシング装置710、第2ポリッシング装置711による研磨には、シリーズモードとパラレルモードがある。以下、シリーズモードの研磨について説明する。
【0065】
シリーズモード研磨は、1次研磨をポリッシング装置710で行い、2次研磨をポリッシング装置711で行う研磨である。第2ロボット708で反転機705上の半導体基板Wを取り上げ、ポリッシング装置710のプッシャー710−5上に半導体基板Wを載せる。トップリング710−2はプッシャー710−5上の該半導体基板Wを吸着し、研磨テーブル710−1の研磨面に半導体基板Wの銅めっき膜形成面を当接押圧し、1次研磨を行う。該1次研磨では基本的に銅めっき膜が研磨される。研磨テーブル710−1の研磨面は、IC1000のような発泡ポリウレタン、又は砥粒を固定若しくは含浸させたもので構成されている。該研磨面と半導体基板Wの相対運動で銅めっき膜が研磨される。
【0066】
銅めっき膜の研磨終了後、トップリング710−2で半導体基板Wをプッシャー710−5上に戻す。第2ロボット708は、該半導体基板Wを取り上げ、第1洗浄機709に入れる。この時、プッシャー710−5上にある半導体基板Wの表面及び裏面に薬液を噴射しパーティクルを除去したり、つきにくくしたりすることもある。
【0067】
第1洗浄機709において洗浄終了後、第2ロボット708で半導体基板Wを取り上げ、第2ポリッシング装置711のプッシャー711−5上に半導体基板Wを載せる。トップリング711−2でプッシャー711−5上の半導体基板Wを吸着し、該半導体基板Wのバリア層を形成した面を研磨テーブル711−1の研磨面に当接押圧して2次研磨を行う。この2次研磨ではバリア層が研磨される。但し、上記1次研磨で残った銅膜や酸化膜も研磨されるケースもある。
【0068】
研磨テーブル711−1の研磨面は、IC1000のような発泡ポリウレタン、又は砥粒を固定若しくは含浸させたもので構成され、該研磨面と半導体基板Wの相対運動で研磨される。このとき、砥粒若しくはスラリーには、シリカ、アルミナ、セリア等が用いられる。薬液は、研磨したい膜種により調整される。
【0069】
2次研磨の終点の検知は、光学式の膜厚測定機を用いてバリア層の膜厚を測定し、膜厚が0になったこと又はSiOからなる絶縁膜の表面検知で行う。また、研磨テーブル711−1の近傍に設けた膜厚測定機711−4として画像処理機能付きの膜厚測定機を用い、酸化膜の測定を行い、半導体基板Wの加工記録として残したり、2次研磨の終了した半導体基板Wを次の工程に移送できるか否かの判定を行う。また、2次研磨終点に達していない場合は、再研磨を行ったり、なんらかの異常で規定値を超えて研磨された場合は、不良品を増やさないように次の研磨を行わないよう半導体基板処理装置を停止させる。
【0070】
2次研磨終了後、トップリング711−2で半導体基板Wをプッシャー711−5まで移動させる。プッシャー711−5上の半導体基板Wは第2ロボット708で取り上げる。この時、プッシャー711−5上で薬液を半導体基板Wの表面及び裏面に噴射してパーティクルを除去したり、つきにくくすることがある。
【0071】
第2ロボット708は、半導体基板Wを第2洗浄機707に搬入し、洗浄を行う。第2洗浄機707の構成も第1洗浄機709と同じ構成である。半導体基板Wの表面は、主にパーティクル除去のために、純水に界面活性剤、キレート剤、またpH調整剤を加えた洗浄液を用いて、PVAスポンジロールによりスクラブ洗浄される。半導体基板Wの裏面には、ノズルからDHF等の強い薬液を噴出し、拡散している銅をエッチングしたり、又は拡散の問題がなければ、表面と同じ薬液を用いてPVAスポンジロールによるスクラブ洗浄をする。
【0072】
上記洗浄の終了後、半導体基板Wを第2ロボット708で取り上げ、反転機706に移し、該反転機706で反転させる。該反転させた半導体基板Wを第1ロボット703で取り上げ第3洗浄機704に入れる。第3洗浄機704では、半導体基板Wの表面に超音波振動により励起されたメガソニック水を噴射して洗浄する。そのとき純水に界面活性剤、キレート剤、またpH調整剤を加えた洗浄液を用いて公知のペンシル型スポンジで半導体基板Wの表面を洗浄してもよい。その後、スピン乾燥により、半導体基板Wを乾燥させる。
【0073】
上記のように研磨テーブル711−1の近傍に設けた膜厚測定機711−4で膜厚を測定した場合は、そのままロード・アンロード部701のアンロードポートに載置するカセットに収容する。
【0074】
図17は、他の半導体基板処理装置の平面構成を示す図である。この半導体基板処理装置の図16に示す半導体基板処理装置と異なる点は、図16に示す銅めっきユニット702の代わりに蓋めっきユニット750を設けた点である。
銅膜を形成した半導体基板Wを収容したカセット701−1は、ロード・アンロード部701に載置される。半導体基板Wは、カセット701−1から取り出され、第1ポリッシング装置710または第2ポリッシング装置711に搬送されて、ここで銅膜の表面が研磨される。この研磨終了後、半導体基板Wは、第1洗浄機709に搬送されて洗浄される。
【0075】
第1洗浄機709で洗浄された半導体基板Wは、蓋めっきユニット750に搬送され、ここで銅めっき膜の表面に保護膜が形成され、これによって、銅めっき膜が大気中で酸化することが防止される。蓋めっきを施した半導体基板Wは、第2ロボット708によって蓋めっきユニット750から第2洗浄機707に搬送され、ここで純水または脱イオン水で洗浄される。この洗浄後の半導体基板Wは、ロード・アンロード部701に載置されたカセット701−1に戻される。
【0076】
図18は、更に他の半導体基板処理装置の平面構成を示す図である。この半導体基板処理装置の図17に示す半導体基板処理装置と異なる点は、図17に示す第1洗浄機709の代わりにアニールユニット751を設けた点である。
前述のようにして、第1ポリッシング装置710または第2ポリッシング装置711で研磨され、第2洗浄機707で洗浄された半導体基板Wは、蓋めっきユニット750に搬送され、ここで銅めっき膜の表面に蓋めっきが施される。この蓋めっきが施された半導体基板Wは、第1ロボット703によって、蓋めっきユニット750から第3洗浄機704に搬送され、ここで洗浄される。
【0077】
第1洗浄機709で洗浄された半導体基板Wは、アニールユニット751に搬送され、ここでアニールされる。これによって、銅めっき膜が合金化されて銅めっき膜のエレクトロンマイグレーション耐性が向上する。アニールが施された半導体基板Wは、アニールユニット751から第2洗浄機707に搬送され、ここで純水または脱イオン水で洗浄される。この洗浄後の半導体基板Wは、ロード・アンロード部701に載置されたカセット701−1に戻される。
【0078】
図19は、基板処理装置の他の平面配置構成を示す図である。図19において、図16と同一符号を付した部分は、同一又は相当部分を示す。この基板研磨装置は、第1ポリッシング装置710と第2ポリッシング装置711に接近してプッシャーインデクサー725を配置し、第3洗浄機704と銅めっきユニット702の近傍にそれぞれ基板載置台721、722を配置し、第1洗浄機709と第3洗浄機704の近傍にロボット723を配置し、第2洗浄機707と銅めっきユニット702の近傍にロボット724を配置し、更にロード・アンロード部701と第1ロボット703の近傍に乾燥状態膜厚測定機713を配置している。
【0079】
上記構成の基板処理装置において、第1ロボット703は、ロード・アンロード部701のロードポートに載置されているカセット701−1から半導体基板Wを取り出し、乾燥状態膜厚測定機713でバリア層及びシード層の膜厚を測定した後、該半導体基板Wを基板載置台721に載せる。なお、乾燥状態膜厚測定機713が、第1ロボット703のハンドに設けられている場合は、そこで膜厚を測定し、基板載置台721に載せる。第2ロボット723で基板載置台721上の半導体基板Wを銅めっきユニット702に移送し、銅めっき膜を成膜する。銅めっき膜の成膜後、めっき前後膜厚測定機712で銅めっき膜の膜厚を測定する。その後、第2ロボット723は、半導体基板Wをプッシャーインデクサー725に移送し搭載する。
【0080】
〔シリーズモード〕
シリーズモードでは、トップリングヘッド710−2がプッシャーインデクサー725上の半導体基板Wを吸着し、研磨テーブル710−1に移送し、研磨テーブル710−1上の研磨面に該半導体基板Wを押圧して研磨を行う。研磨の終点検知は上記と同様な方法で行い、研磨終了後の半導体基板Wはトップリングヘッド710−2でプッシャーインデクサー725に移送され搭載される。第2ロボット723で半導体基板Wを取り出し、第1洗浄機709に搬入し洗浄し、続いてプッシャーインデクサー725に移送し搭載する。
【0081】
トップリングヘッド711−2がプッシャーインデクサー725上の半導体基板Wを吸着し、研磨テーブル711−1に移送し、その研磨面に該半導体基板Wを押圧して研磨を行う。研磨の終点検知は上記と同様な方法で行い、研磨終了後の半導体基板Wは、トップリングヘッド711−2でプッシャーインデクサー725に移送され搭載される。第3ロボット724は、半導体基板Wを取り上げ、膜厚測定機726で膜厚を測定した後、第2洗浄機707に搬入し洗浄する。続いて第3洗浄機704に搬入し、ここで洗浄した後にスピンドライで乾燥を行い、その後、第3ロボット724で半導体基板Wを取り上げ、基板載置台722上に載せる。
【0082】
〔パラレルモード〕
パラレルモードでは、トップリングヘッド710−2又は711−2がプッシャーインデクサー725上の半導体基板Wを吸着し、研磨テーブル710−1又は711−1に移送し、研磨テーブル710−1又は711−1上の研磨面に該半導体基板Wを押圧してそれぞれ研磨を行う。膜厚を測定した後、第3ロボット724で半導体基板Wを取り上げ、基板載置台722上に載せる。
第1ロボット703は、基板載置台722上の半導体基板Wを乾燥状態膜厚測定機713に移送し、膜厚を測定した後、ロード・アンロード部701のカセット701−1に戻す。
【0083】
図20は、基板処理装置の他の平面配置構成を示す図である。この基板処理装置では、シード層が形成されていない半導体基板Wに、シード層及び銅めっき膜を形成し、研磨して回路配線を形成する基板処理装置である。
【0084】
この基板研磨装置は、第1ポリッシング装置710と第2ポリッシング装置711に接近してプッシャーインデクサー725を配置し、第2洗浄機707とシード層成膜ユニット727の近傍にそれぞれ基板載置台721、722を配置し、シード層成膜ユニット727と銅めっきユニット702に接近してロボット723を配置し、第1洗浄機709と第2洗浄機707の近傍にロボット724を配置し、更にロード・アンロード部701と第1ロボット703の近傍に乾燥膜厚測定機713を配置している。
【0085】
第1ロボット703でロード・アンロード部701のロードポートに載置されているカセット701−1から、バリア層が形成されている半導体基板Wを取り出して基板載置台721に載せる。次に第2ロボット723は、半導体基板Wをシード層成膜ユニット727に搬送し、シード層を成膜する。このシード層の成膜は無電解めっきで行う。第2ロボット723は、シード層の形成された半導体基板をめっき前後膜厚測定機712でシード層の膜厚を測定する。膜厚測定後、銅めっきユニット702に搬入し、銅めっき膜を形成する。
【0086】
銅めっき膜を形成後、その膜厚を測定し、プッシャーインデクサー725に移送する。トップリング710−2又は711−2は、プッシャーインデクサー725上の半導体基板Wを吸着し、研磨テーブル710−1又は711−1に移送し研磨する。研磨後、トップリング710−2又は711−2は、半導体基板Wを膜厚測定機710−4又は711−4に移送し、膜厚を測定し、プッシャーインデクサー725に移送して載せる。
【0087】
次に、第3ロボット724は、プッシャーインデクサー725から半導体基板Wを取り上げ、第1洗浄機709に搬入する。第3ロボット724は、第1洗浄機709から洗浄された半導体基板Wを取り上げ、第2洗浄機707に搬入し、洗浄し乾燥した半導体基板を基板載置台722上に載置する。次に、第1ロボット703は、半導体基板Wを取り上げ乾燥状態膜厚測定機713で膜厚を測定し、ロード・アンロード部701のアンロードポートに載置されているカセット701−1に収納する。
【0088】
図20に示す基板処理装置においても、回路パターンのコンタクトホール又は溝が形成された半導体基板W上にバリア層、シード層及び銅めっき膜を形成して、研磨して回路配線を形成することができる。
【0089】
バリア層形成前の半導体基板Wを収容したカセット701−1を、ロード・アンロード部701のロードポートに載置する。そして、第1ロボット703でロード・アンロード部701のロードポートに載置されているカセット701−1から、半導体基板Wを取り出して基板載置台721に載せる。次に、第2ロボット723は、半導体基板Wをシード層成膜ユニット727に搬送し、バリア層とシード層を成膜する。このバリア層とシード層の成膜は、無電解めっきで行う。第2ロボット723は、めっき前後膜厚測定機712で半導体基板Wに形成されたバリア層とシード層の膜厚を測定する。膜厚測定後、銅めっきユニット702に搬入し、銅めっき膜を形成する。
【0090】
図21は、基板処理装置の他の平面配置構成を示す図である。この基板処理装置は、バリア層成膜ユニット811、シード層成膜ユニット812、めっきユニット813、アニールユニット814、第1洗浄ユニット815、ベベル・裏面洗浄ユニット816、蓋めっきユニット817、第2洗浄ユニット818、第1アライナ兼膜厚測定器841、第2アライナ兼膜厚測定器842、第1基板反転機843、第2基板反転機844、基板仮置き台845、第3膜厚測定器846、ロード・アンロード部820、第1ポリッシング装置821、第2ポリッシング装置822、第1ロボット831、第2ロボット832、第3ロボット833、第4ロボット834を配置した構成である。なお、膜厚測定器841,842,846はユニットになっており、他のユニット(めっき、洗浄、アニール等のユニット)の間口寸法と同一サイズにしているため、入れ替え自在である。
この例では、バリア層成膜ユニット811は、無電解Ruめっき装置、シード層成膜ユニット812は、無電解銅めっき装置、めっきユニット813は、電解めっき装置を用いることができる。
【0091】
図22は、この基板処理装置内での各工程の流れを示すフローチャートである。このフローチャートにしたがって、この装置内での各工程について説明する。先ず、第1ロボット831によりロード・アンロードユニット820に載置されたカセット820aから取り出された半導体基板は、第1アライナ兼膜厚測定ユニット841内に被めっき面を上にして配置される。ここで、膜厚計測を行うポジションの基準点を定めるために、膜厚計測用のノッチアライメントを行った後、銅膜形成前の半導体基板の膜厚データを得る。
【0092】
次に、半導体基板は、第1ロボット831により、バリア層成膜ユニット811へ搬送される。このバリア層成膜ユニット811は、無電解Ruめっきにより半導体基板上にバリア層を形成する装置で、半導体装置の層間絶縁膜(例えば、SiO)への銅拡散防止膜としてRuを成膜する。洗浄、乾燥工程を経て払い出された半導体基板は、第1ロボット831により第1アライナ兼膜厚測定ユニット841に搬送され、半導体基板の膜厚、即ちバリア層の膜厚を測定される。
【0093】
膜厚測定された半導体基板は、第2ロボット832でシード層成膜ユニット812へ搬入され、前記バリア層上に無電解銅めっきによりシード層が成膜される。洗浄、乾燥工程を経て払い出された半導体基板は、第2ロボット832により含浸めっきユニットであるめっきユニット813に搬送される前に、ノッチ位置を定めるために第2アライナ兼膜厚測定器842に搬送され、銅めっき用のノッチのアライメントを行う。ここで、必要に応じて銅膜形成前の半導体基板の膜厚を再計測してもよい。
【0094】
ノッチアライメントが完了した半導体基板は、第3ロボット833によりめっきユニット813へ搬送され、銅めっきが施される。洗浄、乾燥工程を経て払い出された半導体基板は、第3ロボット833により半導体基板端部の不要な銅膜(シード層)を除去するためにベベル・裏面洗浄ユニット816へ搬送される。ベベル・裏面洗浄ユニット816では、予め設定された時間でベベルのエッチングを行うとともに、半導体基板裏面に付着した銅をフッ酸等の薬液により洗浄する。この時、ベベル・裏面洗浄ユニット816へ搬送する前に、第2アライナ兼膜厚測定器842にて半導体基板の膜厚測定を実施して、めっきにより形成された銅膜厚の値を得ておき、その結果により、ベベルのエッチング時間を任意に変えてエッチングを行っても良い。なお、ベベルエッチングによりエッチングされる領域は、基板の周縁部であって回路が形成されない領域、または回路が形成されていても最終的にチップとして利用されない領域である。この領域にはベベル部分が含まれる。
【0095】
ベベル・裏面洗浄ユニット816で洗浄、乾燥工程を経て払い出された半導体基板は、第3ロボット833で基板反転機843に搬送され、該基板反転機843にて反転され、被めっき面を下方に向けた後、第4ロボット834により配線部を安定化させるためにアニールユニット814へ投入される。アニール処理前及び/又は処理後、第2アライナ兼膜厚測定ユニット842に搬入し、半導体基板に形成された、銅膜の膜厚を計測する。この後、半導体基板は、第4ロボット834により第1ポリッシング装置821に搬入され、半導体基板の銅層、シード層の研磨を行う。
【0096】
この際、砥粒等は所望のものが用いられるが、ディッシングを防ぎ、表面の平面度を出すために、固定砥粒を用いることもできる。第1ポリッシング終了後、半導体基板は、第4ロボット834により第1洗浄ユニット815に搬送され、洗浄される。この洗浄は、半導体基板直径とほぼ同じ長さを有するロールを半導体基板の表面と裏面に配置し、半導体基板及びロールを回転させつつ、純水又は脱イオン水を流しながら洗浄するスクラブ洗浄である。
【0097】
第1の洗浄終了後、半導体基板は、第4ロボット834により第2ポリッシング装置822に搬入され、半導体基板上のバリア層が研磨される。この際、砥粒等は所望のものが用いられるが、ディッシングを防ぎ、表面の平面度を出すために、固定砥粒を用いることもできる。第2ポリッシング終了後、半導体基板は、第4ロボット834により、再度第1洗浄ユニット815に搬送され、スクラブ洗浄される。洗浄終了後、半導体基板は、第4ロボット834により第2基板反転機844に搬送され反転されて、被めっき面を上方に向けられ、更に第3ロボット833により基板仮置き台845に置かれる。
【0098】
半導体基板は、第2ロボット832により基板仮置き台845から蓋めっきユニット817に搬送され、銅の大気による酸化防止を目的に銅面上にニッケル・ボロンめっきを行う。蓋めっきが施された半導体基板は、第2ロボット832により蓋めっきユニット817から第3膜厚測定器846に搬入され、銅膜厚が測定される。その後、半導体基板は、第1ロボット831により第2洗浄ユニット818に搬入され、純水又は脱イオン水により洗浄される。洗浄が終了した半導体基板は、台1ロボット831によりロード・アンロード部820に載置されたカセット820a内に戻される。
アライナ兼膜厚測定器841及びアライナ兼膜厚測定器842は、基板ノッチ部分の位置決め及び膜厚の測定を行う。
【0099】
ベベル・裏面洗浄ユニット816は、エッジ(ベベル)銅エッチングと裏面洗浄が同時に行え、また基板表面の回路形成部の銅の自然酸化膜の成長を抑えることが可能である。図23に、ベベル・裏面洗浄ユニット816の概略図を示す。図23に示すように、ベベル・裏面洗浄ユニット816は、有底円筒状の防水カバー920の内部に位置して基板Wをフェイスアップでその周縁部の円周方向に沿った複数箇所でスピンチャック921により水平に保持して高速回転させる基板保持部922と、この基板保持部922で保持された基板Wの表面側のほぼ中央部上方に配置されたセンタノズル924と、基板Wの周縁部の上方に配置されたエッジノズル926とを備えている。センタノズル924及びエッジノズル926は、それぞれ下向きで配置されている。また基板Wの裏面側のほぼ中央部の下方に位置して、バックノズル928が上向きで配置されている。前記エッジノズル926は、基板Wの直径方向及び高さ方向を移動自在に構成されている。
【0100】
このエッジノズル926の移動幅Lは、基板の外周端面から中心部方向に任意の位置決めが可能になっていて、基板Wの大きさや使用目的等に合わせて、設定値の入力を行う。通常、2mmから5mmの範囲でエッジカット幅Cを設定し、裏面から表面への液の回り込み量が問題にならない回転数以上であれば、その設定されたカット幅C内の銅膜を除去することができる。
【0101】
次に、この洗浄装置による洗浄方法について説明する。まず、スピンチャック921を介して基板を基板保持部922で水平に保持した状態で、半導体基板Wを基板保持部922と一体に水平回転させる。この状態で、センタノズル924から基板Wの表面側の中央部に酸溶液を供給する。この酸溶液としては非酸化性の酸であればよく、例えばフッ酸、塩酸、硫酸、クエン酸、蓚酸等を用いる。一方、エッジノズル926から基板Wの周縁部に酸化剤溶液を連続的または間欠的に供給する。この酸化剤溶液としては、オゾン水、過酸化水素水、硝酸水、次亜塩素酸ナトリウム水等のいずれかを用いるか、またはそれらの組み合わせを用いる。
【0102】
これにより、半導体基板Wの周縁部のエッジカット幅Cの領域では上面及び端面に成膜された銅膜等は酸化剤溶液で急速に酸化され、同時にセンタノズル924から供給されて基板の表面全面に拡がる酸溶液によってエッチングされ溶解除去される。このように、基板周縁部で酸溶液と酸化剤溶液を混合させることで、予めそれらの混合水をノズルから供給するのに比べて急峻なエッチングプロフィールを得ることができる。このときそれらの濃度により銅のエッチングレートが決定される。また、基板の表面の回路形成部に銅の自然酸化膜が形成されていた場合、この自然酸化物は基板の回転に伴って基板の表面全面に亘って広がる酸溶液で直ちに除去されて成長することはない。なお、センタノズル924からの酸溶液の供給を停止した後、エッジノズル926からの酸化剤溶液の供給を停止することで、表面に露出しているシリコンを酸化して、銅の付着を抑制することができる。
【0103】
一方、バックノズル928から基板の裏面中央部に酸化剤溶液とシリコン酸化膜エッチング剤とを同時または交互に供給する。これにより半導体基板Wの裏面側に金属状で付着している銅等を基板のシリコンごと酸化剤溶液で酸化しシリコン酸化膜エッチング剤でエッチングして除去することができる。なおこの酸化剤溶液としては表面に供給する酸化剤溶液と同じものにする方が薬品の種類を少なくする上で好ましい。またシリコン酸化膜エッチング剤としては、フッ酸を用いることができ、基板の表面側の酸溶液もフッ酸を用いると薬品の種類を少なくすることができる。これにより、酸化剤供給を先に停止すれば疎水面が得られ、エッチング剤溶液を先に停止すれば飽水面(親水面)が得られて、その後のプロセスの要求に応じた裏面に調整することもできる。
【0104】
このように酸溶液すなわちエッチング液を基板に供給して、基板Wの表面に残留するめっき金属イオンを除去した後、更に純水を供給して、純水置換を行ってエッチング液を除去し、その後、スピン乾燥を行う。このようにして半導体基板表面の周縁部のエッジカット幅C内の銅膜の除去と裏面の銅汚染除去を同時に行って、この処理を、例えば80秒以内に完了させることができる。なお、エッジのエッジカット幅を任意(2mm〜5mm)に設定することが可能であるが、エッチングに要する時間はカット幅に依存しない。
【0105】
めっき後のCMP工程前に、アニール処理を行うことが、この後のCMP処理や配線の電気特性に対して良い効果を示す。アニール無しでCMP処理後に幅の広い配線(数μm単位)の表面を観察するとマイクロボイドのような欠陥が多数見られ、配線全体の電気抵抗を増加させたが、アニールを行うことでこの電気抵抗の増加は改善された。アニール無しの場合に、細い配線にはボイドが見られなかったことより、粒成長の度合いが関わっていることが考えられる。つまり、細い配線では粒成長が起こりにくいが、幅の広い配線では粒成長に伴い、アニール処理に伴うグレン成長の過程で、めっき膜中のSEM(走査型電子顕微鏡)でも見えないほどの超微細ポアが集結しつつ上へ移動することで配線上部にマイクロボイド用の凹みが生じたという推測ができる。アニールユニットのアニール条件としては、ガスの雰囲気は水素を添加(2%以下)、温度は300〜400℃程度で1〜5分間で上記の効果が得られた。
【0106】
図26及び図27は、アニールユニット814を示すものである。このアニールユニット814は、半導体基板Wを出し入れするゲート1000を有するチャンバ1002の内部に位置して、半導体基板Wを、例えば400℃に加熱するホットプレート1004と、例えば冷却水を流して半導体基板Wを冷却するクールプレート1006が上下に配置されている。また、クールプレート1006の内部を貫通して上下方向に延び、上端に半導体基板Wを載置保持する複数の昇降ピン1008が昇降自在に配置されている。更に、アニール時に半導体基板Wとホットプレート1008との間に酸化防止用のガスを導入するガス導入管1010と、該ガス導入管1010から導入され、半導体基板Wとホットプレート1004との間を流れたガスを排気するガス排気管1012がホットプレート1004を挟んで互いに対峙する位置に配置されている。
【0107】
ガス導入管1010は、内部にフィルタ1014aを有するNガス導入路1016内を流れるNガスと、内部にフィルタ1014bを有するHガス導入路1018内を流れるHガスとを混合器1020で混合し、この混合器1020で混合したガスが流れる混合ガス導入路1022に接続されている。
【0108】
これにより、ゲート1000を通じてチャンバ1002の内部に搬入した半導体基板Wを昇降ピン1008で保持し、昇降ピン1008を該昇降ピン1008で保持した半導体基板Wとホットプレート1004との距離が、例えば0.1〜1.0mm程度となるまで上昇させる。この状態で、ホットプレート1004を介して半導体基板Wを、例えば400℃となるように加熱し、同時にガス導入管1010から酸化防止用のガスを導入して半導体基板Wとホットプレート1004との間を流してガス排気管1012から排気する。これによって、酸化を防止しつつ半導体基板Wをアニールし、このアニールを、例えば数十秒〜60秒程度継続してアニールを終了する。基板の加熱温度は100〜600℃が選択される。
【0109】
アニール終了後、昇降ピン1008を該昇降ピン1008で保持した半導体基板Wとクールプレート1006との距離が、例えば0〜0.5mm程度となるまで下降させる。この状態で、クールプレート1006内に冷却水を導入することで、半導体基板Wの温度が100℃以下となるまで、例えば10〜60秒程度、半導体基板を冷却し、この冷却終了後の半導体基板を次工程に搬送する。
なお、この例では、酸化防止用のガスとして、Nガスと数%のHガスを混合した混合ガスを流すようにしているが、Nガスのみを流すようにしてもよい。
【0110】
図24は、無電解めっき装置の概略構成図である。図24に示すように、この無電解めっき装置は、被めっき部材である半導体基板Wをその上面に保持する保持手段911と、保持手段911に保持された半導体基板Wの被めっき面(上面)の周縁部に当接して該周縁部をシールする堰部材931と、堰部材931でその周縁部をシールされた半導体基板Wの被めっき面にめっき液を供給するシャワーヘッド941を備えている。無電解めっき装置は、さらに保持手段911の上部外周近傍に設置されて半導体基板Wの被めっき面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段951と、排出された洗浄液等(めっき廃液)を回収する回収容器961と、半導体基板W上に保持しためっき液を吸引して回収するめっき液回収ノズル965と、前記保持手段911を回転駆動するモータMとを備えている。以下、各部材について説明する。
【0111】
保持手段911は、その上面に半導体基板Wを載置して保持する基板載置部913を設けている。この基板載置部913は、半導体基板Wを載置して固定するように構成されており、具体的には半導体基板Wをその裏面側に真空吸着する図示しない真空吸着機構を設置している。一方、基板載置部913の裏面側には、面状であって半導体基板Wの被めっき面を下面側から暖めて保温する裏面ヒータ915が設置されている。この裏面ヒータ915は、例えばラバーヒータによって構成されている。この保持手段911は、モータMによって回転駆動されると共に、図示しない昇降手段によって上下動できるように構成されている。
堰部材931は、筒状であってその下部に半導体基板Wの外周縁をシールするシール部933を設け、図示の位置から上下動しないように設置されている。
【0112】
シャワーヘッド941は、先端に多数のノズルを設けることで、供給されためっき液をシャワー状に分散して半導体基板Wの被めっき面に略均一に供給する構造のものである。また洗浄液供給手段951は、ノズル953から洗浄液を噴出する構造である。
めっき液回収ノズル965は、上下動且つ旋回できるように構成されていて、その先端が半導体基板Wの上面周縁部の堰部材931の内側に下降して半導体基板W上のめっき液を吸引するように構成されている。
【0113】
次に、この無電解めっき装置の動作を説明する。まず図示の状態よりも保持手段911を下降して堰部材931との間に所定寸法の隙間を設け、基板載置部913に半導体基板Wを載置・固定する。半導体基板Wとしては例えばφ8インチ基板を用いる。
次に、保持手段911を上昇して図示のようにその上面を堰部材931の下面に当接させ、同時に半導体基板Wの外周を堰部材931のシール部933によってシールする。このとき半導体基板Wの表面は開放された状態となっている。
【0114】
次に、裏面ヒータ915によって半導体基板W自体を直接加熱して、例えば半導体基板Wの温度を70℃にし(めっき終了まで維持する)、次に、シャワーヘッド941から、例えば50℃に加熱されためっき液を噴出して半導体基板Wの表面の略全体にめっき液を降り注ぐ。半導体基板Wの表面は、堰部材931によって囲まれているので、注入しためっき液は全て半導体基板Wの表面に保持される。供給するめっき液の量は、半導体基板Wの表面に1mm厚(約30ml)となる程度の少量で良い。なお被めっき面上に保持するめっき液の深さは10mm以下であれば良く、この例のように1mmでも良い。この例のように供給するめっき液が少量で済めばこれを加熱する加熱装置も小型のもので良くなる。そしてこの例においては、半導体基板Wの温度を70℃に、めっき液の温度を50℃に加熱しているので、半導体基板Wの被めっき面は例えば60℃になり、この例におけるめっき反応に最適な温度にできる。このように半導体基板W自体を加熱するように構成すれば、加熱するのに大きな消費電力の必要なめっき液の温度をそれほど高く昇温しなくても良いので、消費電力の低減化やめっき液の材質変化の防止が図れ、好適である。なお半導体基板W自体の加熱のための消費電力は小さくて良く、また半導体基板W上に溜めるめっき液の量は少ないので、裏面ヒータ915による半導体基板Wの保温は容易に行え、裏面ヒータ915の容量は小さくて良く装置のコンパクト化を図ることができる。また半導体基板W自体を直接冷却する手段を用いれば、めっき中に加熱・冷却を切替えてめっき条件を変化させることも可能である。半導体基板上に保持されているめっき液は少量なので、感度良く温度制御が行える。
【0115】
そして、モータMによって半導体基板Wを瞬時回転させて被めっき面の均一な液濡れを行い、その後半導体基板Wを静止した状態で被めっき面のめっきを行う。具体的には、半導体基板Wを1secだけ100rpm以下で回転して半導体基板Wの被めっき面上をめっき液で均一に濡らし、その後静止させて1min間無電解めっきを行わせる。なお瞬時回転時間は長くても10sec以下とする。
【0116】
上記めっき処理が完了した後、めっき液回収ノズル965の先端を半導体基板Wの表面周縁部の堰部材931の内側近傍に下降し、めっき液を吸い込む。このとき半導体基板Wを例えば100rpm以下の回転速度で回転させれば、半導体基板W上に残っためっき液を遠心力で半導体基板Wの周縁部の堰部材931の部分に集めることができ、効率良く、且つ高い回収率でめっき液の回収ができる。そして保持手段911を下降させて半導体基板Wを堰部材931から離し、半導体基板Wの回転を開始して洗浄液供給手段951のノズル953から洗浄液(超純水)を半導体基板Wの被めっき面に噴射して被めっき面を冷却すると同時に希釈化・洗浄することで無電解めっき反応を停止させる。このときノズル953から噴射される洗浄液を堰部材931にも当てることで堰部材931の洗浄を同時に行っても良い。このときのめっき廃液は、回収容器961に回収され、廃棄される。
【0117】
なお、一度使用しためっき液は再利用せず、使い捨てとする。前述のようにこの装置において使用されるめっき液の量は従来に比べて非常に少なくできるので、再利用しなくても廃棄するめっき液の量は少ない。なお場合によってはめっき液回収ノズル965を設置しないで、使用後のめっき液も洗浄液と共にめっき廃液として回収容器961に回収しても良い。
そしてモータMによって半導体基板Wを高速回転してスピン乾燥した後、保持手段911から取り出す。
【0118】
図25は、他の無電解めっき装置の概略構成図である。図25において、前記の例と相違する点は、保持手段911内に裏面ヒータ915を設ける代わりに、保持手段911の上方にランプヒータ(加熱手段)917を設置し、このランプヒータ917とシャワーヘッド941−2とを一体化した点である。即ち、例えば複数の半径の異なるリング状のランプヒータ917を同心円状に設置し、ランプヒータ917の間の隙間からシャワーヘッド941−2の多数のノズル943−2をリング状に開口させている。なおランプヒータ917としては、渦巻状の一本のランプヒータで構成しても良いし、さらにそれ以外の各種構造・配置のランプヒータで構成しても良い。
【0119】
このように構成しても、めっき液は、各ノズル943−2から半導体基板Wの被めっき面上にシャワー状に略均等に供給でき、またランプヒータ917によって半導体基板Wの加熱・保温も直接均一に行える。ランプヒータ917の場合、半導体基板Wとめっき液の他に、その周囲の空気をも加熱するので半導体基板Wの保温効果もある。
【0120】
なおランプヒータ917によって半導体基板Wを直接加熱するには、比較的大きい消費電力のランプヒータ917が必要になるので、その代わりに比較的小さい消費電力のランプヒータ917と前記図24に示す裏面ヒータ915とを併用して、半導体基板Wは主として裏面ヒータ915によって加熱し、めっき液と周囲の空気の保温は主としてランプヒータ917によって行うようにしても良い。また前述の実施例と同様に、半導体基板Wを直接、または間接的に冷却する手段をも設けて、温度制御を行っても良い。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、めっき金属イオンをめっき液中により均一に分布させて、めっき速度を基板の全面に亘ってより均一にすることができ、これによって、導電膜の厚みや膜種、めっき液の電解質等を変更することなく、めっき膜の面内均一性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のめっき装置の縦断正面図である。
【図2】図1のA−A線方向から見た磁界の発生状態の説明に付する図である。
【図3】フレミングの左手の法則による電流と磁界と磁力の関係の説明に付する図である。
【図4】本発明の他の実施の形態のめっき装置の縦断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施の形態のめっき装置の縦断面図である。
【図6】銅配線を形成する例を工程順に示す図である。
【図7】従来のめっき装置を示す縦断面図である。
【図8】図7に示すめっき装置の電気的等価回路図である。
【図9】基板処理装置を示す平面配置図である。
【図10】図9に示す基板処理装置内の気流の流れを示す図である。
【図11】図9に示す基板処理装置の各エリア間の空気の流れを示す図である。
【図12】図9に示す基板処理装置をクリーンルーム内に配置した一例を示す外観図である。
【図13】基板処理装置の他の例を示す平面配置図である。
【図14】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図15】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図16】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図17】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図18】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図19】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図20】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図21】基板処理装置の更に他の例を示す平面配置図である。
【図22】図21に示す基板処置装置における各工程の流れを示すフローチャートである。
【図23】ベベル・裏面洗浄ユニットを示す概要図である。
【図24】無電解めっき装置の一例を示す概要図である。
【図25】無電解めっき装置の他の例を示す概要図である。
【図26】アニールユニットの一例を示す縦断正面図である。
【図27】図26の平断面図である。
【符号の説明】
10 めっき液
12,64,72 めっき槽
14,56,74 基板ホルダ
16,57 カソード電極
20,70,76 アノード
24 めっき電源
30 磁界発生装置
32 磁界
34 磁界発生電源
36 ケーブル
38 導線
40 磁界
42 制御部
50 ハウジング
50a 爪部
54 押圧片
62 めっき液噴出ノズル
84 レギュレーションプレート

Claims (5)

  1. 基板を保持する基板ホルダと、
    該基板の被めっき面に接触し通電させて該被めっき面をカソードとなすカソード電極と、
    前記基板ホルダで保持した基板の被めっき面に対峙した位置に配置されるアノードと、
    前記アノードと基板の被めっき面を、内部に保持しためっき液に接触させるめっき槽と、
    前記基板の被めっき面と前記アノードとの間にめっき電流を流すめっき電源と、
    前記めっき電流の流れと平行にめっき槽内のめっき液中に浸漬させて円周方向に沿って配置した複数の導線と該導線を流れる電流を制御する制御部を有し、該導線に前記めっき電流とは逆方向に電流を流して、前記めっき槽内のめっき液中のめっき金属イオンに前記基板の中心を通る軸線に向けたローレンツ力が作用するように、めっき液中に強さを調整した磁界を発生させる磁界発生装置を有することを特徴とするめっき装置。
  2. 前記基板ホルダは、該基板ホルダで基板を保持した状態で該基板と一体に回転自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき装置。
  3. カソード電極と通電してカソードとなる基板の被めっき面と、該被めっき面に対峙した位置に配置したアノードとをめっき槽内のめっき液に接触させ、前記基板の被めっき面と前記アノードとの間にめっき電流を流してめっきを行うにあたり、
    前記めっき電流の流れと平行にめっき槽内のめっき液中に浸漬させて円周方向に沿って配置した複数の導線に、流れを制御した電流を前記めっき電流とは逆方向に流して、前記めっき槽内のめっき液中のめっき金属イオンに前記基板の中心を通る軸線に向けたローレンツ力が作用するように、めっき液中に強さを調整した磁界を発生させることを特徴とするめっき方法。
  4. めっき初期時に、前記磁界を用いて基板の被めっき面の中央部に接触するめっき液中のめっき金属イオン濃度を高めてめっきを行い、めっきの進行に伴って前記磁界を弱めるか、または磁界の発生を停止させることを特徴とする請求項記載のめっき方法。
  5. 基板を回転させながらめっきを行うことを特徴とする請求項3または4記載のめっき方法。
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