JP4138698B2 - 受信コンバータ - Google Patents

Description

本発明は、衛星放送や衛星通信における電波を受信するための受信コンバータに関するものである。

図１３を参照して、背景技術について説明する。衛星放送や衛星通信における電波を受信するためには受信コンバータが用いられる。電波は、図１３に示すように、パラボラアンテナ２で反射させることによってホーンキャップ１３に集められる。受信コンバータ１は、ホーンキャップ１３から取り込んだ電波を電気信号に変換し、ケーブル３を介して屋内にある受信機４に送信する。

このような受信コンバータの基本的な技術については、たとえば、実開平３−９７８８１号公報（特許文献１）にも開示されている。
実開平３−９７８８１号公報

一般に、受信コンバータ１の内部には回路基板が搭載され、受信コンバータ１は容器形状のシャーシの内部空間をカバーによって密閉する構造となっているが、密閉が不十分だと受信コンバータ１で変換した電波が受信コンバータ１から漏洩する。漏洩した電波が再びパラボラアンテナ２に当たって反射するなどした場合、受信感度が低下したり、他の電気機器に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。

そこで、本発明は、受信コンバータからの電波の漏洩を可能な限り確実に防止し、なおかつ組立が容易な構造を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明に基づく受信コンバータは、電波を受信するための受信コンバータであって、開口部を有する容器形のシャーシと、上記開口部を塞ぐためのカバーとを備える。上記シャーシは、上記開口部の周囲を取り囲む受入れ溝を有する。上記カバーは、上記受入れ溝の内部に圧入される突出部を有する。上記受入れ溝は、互いに対向する内側壁と外側壁とを有する。上記突出部は、上記外側壁に接して圧入される突出部外側面と、上記内側壁に接して圧入される突出部内側面とを有する。上記突出部外側面は、上記受入れ溝の深さ方向に対して傾斜している。

本発明によれば、シャーシとカバーとの間の導通を容易に確保することができ、その結果、シャーシの内部空間の密封をより確実なものとして電波の漏洩をより確実に防止することができる。しかも、シャーシとカバーとの組立が容易となる。

（実施の形態１）
（構成）
図１、図２を参照して、本発明に基づく実施の形態１における受信コンバータについて説明する。図１に示す受信コンバータ１は、電波を受信するための受信コンバータであって、ホーンキャップ１３と導波管１２と容器形状のシャーシ５とを備える。図１におけるＩＩ−ＩＩ線に関する矢視端面図を図２に示す。容器形のシャーシ５は、アルミニウム、亜鉛などの材料から鋳造加工によって成形されており、開口部１４を有する。開口部１４はカバー６によって塞がれている。すなわち、シャーシ５の内部空間はカバー６によって密閉される構造となっている。カバー６は、アルミニウム、鉄などを主成分とする材料からなる。図２に示すようにシャーシ５の内部空間には、回路基板２２が配置されている。

図２におけるＺ部を拡大したところを図３に示す。シャーシ５とカバー６とを分解したところを図４、図５に示す。図４に示すように、シャーシ５は、開口部１４の周囲を取り囲む受入れ溝１５を有する。図５に示すように、カバー６は、受入れ溝１５の内部に圧入される突出部１６を有する。受入れ溝１５は、互いに対向する内側壁１７と外側壁１８とを有する。突出部１６は、外側壁１８に接して圧入される突出部外側面１９と、内側壁１７に接して圧入される突出部内側面２０とを有し、突出部外側面１９は、受入れ溝１５の深さ方向に対して角度αだけ傾斜している。角度αは、突出部外側面１９が突出部内側面２０から遠ざかる向きを正とする角度である。

さらに、突出部外側面１９の傾斜する角度αは、０°より大きく３０°未満の角度であればより好ましい。角度αがこれより大きいと圧入がしにくくなったり、圧入時に破損したりするおそれがあるからである。

この受信コンバータ１（図１参照）においては、図４に示すシャーシ５に、図５に示すカバー６を圧入して組み合わせることによって、図３に示す構造となっている。この圧入の際には、受入れ溝１５内にはシール剤７が充填されていて、シャーシ５とカバー６との間の導通を確実なものとしている。シール剤７は、Ｓｉを主成分とするシール剤または導電性のシール剤である。

（作用・効果）
本実施の形態では、カバー６の突出部外側面１９が角度αだけ傾斜しているので、突出部１６を受入れ溝１５に圧入したときに、突出部１６が弾性変形を起こし、突出部外側面１９が弾性回復力によって外側壁１８に押し付けられることとなって、シャーシ５とカバー６との間の導通を容易に確保することができ、その結果、シャーシ５の内部空間の密封をより確実なものとすることができる。また、本実施の形態では、シャーシ５とカバー６との組立も容易となる。

なお、カバー６の突出部１６においては、図６に示すように、突出部外側面１９を角度αだけ傾斜させることに加えて、突出部内側面２０を角度βだけ傾斜させてもよい。角度βは、突出部内側面２０が突出部外側面１９から遠ざかる向きを正とする角度である。このようになっていれば、突出部内側面２０が弾性回復力によって内側壁１７に押し付けられることとなって、シャーシ５とカバー６との間の導通をより確実に確保することができ、その結果、シャーシ５の内部空間の密封をより確実なものとすることができる。

さらに、突出部内側面２０の傾斜する角度βは、０°より大きく３０°未満の角度であればより好ましい。角度βがこれより大きいと圧入がしにくくなったり、圧入時に破損したりするおそれがあるからである。

（実施の形態２）
（構成）
図７を参照して、本発明に基づく実施の形態２における受信コンバータについて説明する。この受信コンバータは、実施の形態１で示した受信コンバータに比べて、受入れ溝１５の構造が異なる。この受信コンバータでは、受入れ溝１５の内側壁１７および外側壁１８に、突出部１６の圧入を容易にするための傾斜面２１ａ，２１ｂをそれぞれ含む。この例では、内側壁１７および外側壁１８の両方に傾斜面２１ａ，２１ｂをそれぞれ設けているが、傾斜面を設けるのは、内側壁１７および外側壁１８のうちいずれか一方であってもよい。この受信コンバータの他の構成は、実施の形態１で示したものと同様である。傾斜面は、突出部１６の圧入を容易にするためのものであるので、主として受入れ溝１５の入り口近傍に設けられる。

（作用・効果）
この受信コンバータにおいては、受入れ溝１５に対する突出部１６の圧入を容易にするための傾斜面が設けられているので、受入れ溝１５に突出部１６を圧入する組立作業がさらに容易に行なえる。なお、本実施の形態では、実施の形態１で説明した効果も当然得ることができる。

（実施の形態３）
（構成）
図８、図９を参照して、本発明に基づく実施の形態３における受信コンバータについて説明する。この受信コンバータでは、図８に示すシャーシ５ｅと図６に示すカバー６ｅとを備える。図８に示すように、受入れ溝１５の底部には凸部９が設けられている。この凸部９は、シャーシ５ｅの金型に凸部９に対応する凹部を設けることによって作成可能である。また、図９に示すように、突出部１６のうち受入れ溝１５の底部に当接する面に凹部８が設けられている。この凹部８は、カバー６ｅのプレス加工に用いる金型に凹部８に対応する形状を設けておくことによって作成可能である。この受信コンバータの他の構成は、実施の形態１で示したものと同様である。

（作用・効果）
本実施の形態では、このように凸部９と凹部８とを設けていることにより、突出部１６を受入れ溝１５に圧入したときに凸部９と凹部８とが噛み合わさり、シャーシ５ｅとカバー６ｅとの接触面積を大きく確保することができる。その結果、シャーシ５ｅとカバー６ｅとの間の導通をより確実にすることができる。

あるいは、他の構成例として、図１０に示すシャーシ５ｆと図１１に示すカバー６ｆとを備えることとしてもよい。すなわち、上述の例における丸みを帯びた凸部９および凹部８に代えて角張った凸部９ｆおよび凹部８ｆとしてもよい。凸部および凹部の形状は互いに嵌合する形状でありさえすればよい。言い換えれば、受入れ溝の底部には凸部が設けられており、突出部の前記底部に当接する部分には、凸部に対応した凹部が設けられていればよい。

（実施の形態４）
（構成）
図１２を参照して、本発明に基づく実施の形態４における受信コンバータについて説明する。この受信コンバータは、シャーシ５とカバー６ｈとを備える。シャーシ５とカバー６ｈとの間に導電性ゴム部材１０が挟み込まれている。受入れ溝１５の内部にはシール剤７が充填されており、カバー６ｈの先端部２３は、受入れ溝１５の内部に挿入されている。本実施の形態では、突出部は単純に突出した板状の先端部２３であり、この部分は、導電性ゴム部材を介して前記受入れ溝と接している。この受信コンバータの他の構成は、実施の形態１で示したものと同様である。シャーシ５とカバー６ｈとの寸法は、導電性ゴム部材１０を挟み込んで圧迫する程度のものとなっている。

（作用・効果）
この受信コンバータにおいては、シャーシ５とカバー６ｈとの間に導電性ゴム部材１０が介在しており、導電性ゴム部材１０は弾性変形してシャーシ５およびカバー６ｈの形状になじんで密着することができるので、シャーシ５とカバー６ｈとの間の導通を容易かつ確実に確保することができる。

本実施の形態では、カバーの突出部の形状は、単純な先端部２３としたが、突出部の形状はこれに限らず、上記各実施の形態で示したようなものであってもよい。

なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。

本発明に基づく実施の形態１における受信コンバータの側面図である。 図１におけるＩＩ−ＩＩ線に関する矢視端面図である。 図２におけるＺ部の拡大図である。 本発明に基づく実施の形態１における受信コンバータに含まれるシャーシの部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態１における受信コンバータに含まれるカバーの部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態１における受信コンバータに含まれるカバーの変形例の部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態２における受信コンバータに含まれるシャーシの部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態３における受信コンバータに含まれるシャーシの部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態３における受信コンバータに含まれるカバーの部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態３における受信コンバータに含まれるシャーシの変形例の部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態３における受信コンバータに含まれるカバーの変形例の部分断面図である。 本発明に基づく実施の形態４における受信コンバータのシャーシとカバーとの接合部の部分拡大断面図である。 衛星からの電波を受信する一般的なシステムの概念図である。

符号の説明

１ 受信コンバータ、２ パラボラアンテナ、３ ケーブル、４ 受信機、５ シャーシ、６，６ｅ，６ｈ カバー、７ シール剤、８ 凹部、９ 凸部、１０ 導電性ゴム部材、１２ 導波管、１３ ホーンキャップ、１４ 開口部、１５ 受入れ溝、１６ 突出部、１７ 内側壁、１８ 外側壁、１９ 突出部外側面、２０ 突出部内側面、２１ａ，２１ｂ 傾斜面、２２ 回路基板、２３ 先端部。

Claims (7)

1. 電波を受信するための受信コンバータであって、
   開口部を有する容器形のシャーシと、
   前記開口部を塞ぐためのカバーとを備え、
   前記シャーシは、前記開口部の周囲を取り囲む受入れ溝を有し、
   前記カバーは、前記受入れ溝の内部に圧入される突出部を有し、
   前記受入れ溝は、互いに対向する内側壁と外側壁とを有し、
   前記突出部は、前記外側壁に接して圧入される突出部外側面と、前記内側壁に接して圧入される突出部内側面とを有し、
   前記突出部外側面は、前記受入れ溝の深さ方向に対して傾斜している、受信コンバータ。
2. 前記突出部外側面は、前記受入れ溝の深さ方向に対して０°より大きく３０°未満の角度で傾斜している、請求項１に記載の受信コンバータ。
3. 前記突出部内側面は、前記受入れ溝の深さ方向に対して傾斜している、請求項１または２に記載の受信コンバータ。
4. 前記突出部内側面は、前記受入れ溝の深さ方向に対して０°より大きく３０°未満の角度で傾斜している、請求項３に記載の受信コンバータ。
5. 前記受入れ溝は、前記内側壁および前記外側壁のうち少なくとも一方に、前記突出部の圧入を容易にするための傾斜面を含む、請求項１から４のいずれかに記載の受信コンバータ。
6. 前記受入れ溝の底部には凸部が設けられており、前記突出部の前記底部に当接する部分には、前記凸部に対応した凹部が設けられている、請求項１から５のいずれかに記載の受信コンバータ。
7. 前記突出部は、導電性ゴム部材を介して前記受入れ溝と接している、請求項１から６のいずれかに記載の受信コンバータ。

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