JP4138298B2 - 錠装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着磁タンブラを備えたシリンダ錠に関し、さらに詳しくは、異なる複数のキーを段階的に使用不能にできるコンストラクションキーシステムに用いて好適なシリンダ錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、シリンダ錠には、ピン状のタンブラーを内蔵するピンタンブラタイプのものがある。この種のシリンダ錠は、錠箱に固着した外筒と、この外筒の内部に回動自在に内設した内筒とを有し、外筒から内筒へピンタンブラを進入させて、内筒の回転を規制する一方、内筒のキー挿入孔に挿入したキーによってピンタンブラを外筒側へ後退させ、ピンタンブラが軸線に略直行する方向に分離移動可能となるライン、所謂シアラインを外筒と内筒との境界面に一致させることで内筒の回転規制を解除し、すなわち施解錠操作を可能とする。
【0003】
ところで、建築中の建物は、戸締りが可能となった段階で、出入り口扉等に防犯上の対策から錠を取り付け、工事用キーによって戸締りを可能にする必要がある。この錠には、一般的に建物引き渡し後にも使用する正規の錠を代用している。このため、建物引き渡し後においても、工事用キー(コンストラクションキー)の使用が可能なままであると、防犯上好ましくない。
【0004】
そこで、建物用のシリンダ錠には、工事完了後、正規の合鍵、所謂オーナーキーを一度使用すると、シリンダ錠内に設置したコンストラクション装置が作動し、工事用キーが使用不能となり、正規の合鍵(オーナーキー)のみでしか施解錠が行えなくなる所謂コンストラクションキーシステムが採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンストラクションキーシステムは、ピンタンブラを用いるシリンダー錠の場合には比較的採用が容易であるが、着磁タンブラを用いるマグネットタイプのシリンダ錠においては機構が複雑となる。このため、従来、マグネットタイプのシリンダ錠にはコンストラクションキーシステムの機能を備えたものは存在しなかった。
また、近年、コンストラクションキーシステムの普及に伴い、工事用キー(一次キー)と、オーナーキー(二次キー)のみの二段階のキー更新のシステムに加え、工事用キー(一次キー)、管理用キー(二次キー)、オーナーキー(三次キー)等のように二つ以上のキーを段階的に使用不能にできる多段的なコンストラクションキーシステムが要望されるようになってきている。
このようなコンストラクションキーシステムの多段化は、マグネットタイプのシリンダ錠ではさらに実現が困難であった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、コンストラクションキーシステムの採用可能なマグネットタイプのシリンダ錠を提供することにある。また、その第二の目的は、コンストラクションキーシステムの多段化が可能なマグネットタイプのシリンダ錠を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の錠装置は、錠箱に固着し同一内周円上に着磁タンブラ収容穴15及び外筒側凹部17を有した外筒3と、
キー挿入孔5を有し該外筒3の内周面に外周面を接して回動自在に嵌合し且つ回動によって前記着磁タンブラ収容穴15または前記外筒側凹部17に選択的に一致する内筒側凹部19を外周面に凹設した内筒7と、
前記着磁タンブラ収容穴15に位置し付勢手段21によって前記内筒7の外周面に摺接する着磁タンブラ23と、
前記内筒側凹部19に位置することによって該着磁タンブラ23の該内筒側凹部19への進入を阻止する一方、前記外筒側凹部17へ移動自在な切替用磁石体31と、
を具備し、
前記外筒側凹部17は、キーの挿脱が行われる前記着磁タンブラ収容穴15と前記内筒側凹部19とが対向する位置から施錠機構に回動操作力が入力される位置までの回転範囲内における該回転の途中となる前記外筒3の内周面に形成され、
前記切替用磁石体31の内筒7中心方向を向く面における磁極と同磁極の磁石45を対面に収容したキー11を前記キー挿入孔5へ挿入し回転させた際に、前記内筒側凹部19から磁気反発力で前記外筒側凹部17へ前記切替用磁石体31を移動させ、前記内筒側凹部19に前記着磁タンブラ23を進入可能とするとともに、
前記着磁タンブラ収容穴15、前記着磁タンブラ23、前記外筒側凹部17、前記内筒側凹部19及び前記切替用磁石体31を、同一軸上の異なる円周上のそれぞれに複数組配設し、
それぞれの前記切替用磁石体31を、異なるキーに設けた磁石の磁気反発力で前記外筒側凹部17へ移動することを特徴とする。
【0008】
このシリンダ錠1では、工事用キー41に、切替用磁石体31が吸着する磁性体43を設けておくことで、切替用磁石体31を内筒側凹部19に保持させた状態での施解錠が行える一方、磁気反発力を生じさせる磁石45を設けた合鍵11を使用することで、切替用磁石体31を外筒側凹部17へ移動させることができる。これにより、合鍵11を使用した後には、着磁タンブラ23が内筒側凹部19に進入するようになって、この着磁タンブラ23を着磁タンブラ収容穴15へ後退させることのできない工事用キー41は解錠が不能となる。この結果、マグネチックタンブラタイプのシリンダ錠1においても、工事期間中に使用する工事用キー41を、合鍵11の使用後には使用不能にするコンストラクションキーシステムが実現する。
【0010】
また、この錠装置では、同一軸上の異なる円周上に配設したそれぞれの切替用磁石体31を、異なるキーに設けた磁石の磁気反発力で外筒側凹部17へ移動させることで、新たなキーを使用するたびに新たな切替用磁石体31を外筒側凹部17へ移動して、それ以前に使用したキーを順次使用不能にして行くことができる。これにより、複数のキーを一次キー(工事用キー)、二次キー(管理用キー)、三次キー(オーナー用キー)のように段階的に使用不能にでき、コンストラクションキーシステムの多段化を可能とすることができる。
【0011】
請求項2記載の錠装置は、前記外筒3から前記内筒7へ進入して該内筒7の回転を規制する一方、前記キー挿入孔5に挿入したキー11によって前記外筒3側へ後退してシアラインを前記外筒3と前記内筒7との境界面に一致させることで前記内筒7の回転規制を解除するピンタンブラ9a〜9fを、前記キー挿入孔5における任意の位置で前記外筒3と前記内筒7とに亘って複数配設するとともに、該複数のピンタンブラのうちの1つのピンタンブラ9fが、前記キー11の前記キー挿入孔5への挿入状態確認用とされ、前記キー11が最深部まで挿入完了となる対応位置に配設されることを特徴とする。
【0012】
このシリンダ錠1では、ピンタンブラ9fを、キー挿入孔5内に配設したので、キー11を挿入しなければ当該ピンタンブラ9fを後退させて内筒の回動規制を解除することができず、キー11を挿入することを解錠の条件とすることができる。これにより、鍵違いのパターンから着磁タンブラ23を配設する場合の組み合わせにおいて、キー11の差し込み深さを変えることによる施解錠操作を確実に防止することができる。例えば、このピンタンブラ9fの配置位置を挿入完了したキー11の挿入方向最先端部11aに対応する位置に配設することで、キー11を最後まで挿入しなければ当該ピンタンブラ9fを後退させて内筒の回動規制を解除することができず、キー11を最深部まで挿入することを解錠の条件とすることができ、これにより、鍵違いのパターンで、キー挿入孔5の浅部のみに着磁タンブラ23を配設する場合の組み合わせとしても、キー11の差し込み深さを変えることによる施解錠操作を確実に防止することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシリンダ錠の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るシリンダ錠のキー挿入方向に直交方向の断面図、図2は図1のシリンダ錠の断面図で(a)は(b)のA−A断面、(b)は図1のB−B断面を示し、図3は図1のシリンダ錠の断面図で(a)は(b)のC−C断面、(b)は図1のD−D断面を示し、図4は磁石体ホルダの断面視を(a)、平面視を(b)に示した説明図、図5はキーの平面視を(a)、側面視を(b)に示した説明図である。
【0014】
シリンダ錠1は、扉に内蔵した図示しない錠箱に固着する外筒3を有する。外筒3の内側には、キー挿入孔5を有し外筒3の内周面に外周面を接して回動自在となる内筒7を嵌合している。シリンダ錠1は、本実施の形態では、図2(b)に示すように、外筒3と内筒7との間に亘って複数のピンタンブラ9a,9b,9c,9d,9e,9fをキー挿入方向に沿って配設している。一方、図5に示すキー11は、複数の凹部13を有している。この凹部13は、それぞれが後述のシアラインを揃えることができるように、所定の深さとなっている。シリンダ錠1は、キー挿入孔5に挿入されることで、凹部13によってピンタンブラ9a〜9fのそれぞれを筒部直径方向の所定位置に移動し、ピンタンブラ9a〜9fが軸線に略直行する方向に分離移動可能となるラインである所謂シアラインを外筒3と内筒7との境界に一致させることで、ピンタンブラ9a〜9fによる外筒3と内筒7との回転規制を解除する。つまり、施解錠操作が可能となる。
【0015】
本実施の形態においては、複数のピンタンブラ9a〜9fのうち、ピンタンブラ9fは、キー11のキー挿入孔5への挿入状態確認用として、挿入完了したキー11の挿入方向最先端部11aに対応する位置で、外筒3と内筒7とに亘って配設している。
【0016】
キー11は、その側面に、複数の磁石収容部14を備えている。この磁石収容部14のうち、所定のものには磁極が端面となる磁石45を収容している。本実施の形態において、図5に示したキー11は、磁石収容部14の所定のものに磁石を備えた合鍵、所謂オーナーキーとなる。
この他、シリンダ錠1には、図示しない工事用キー、所謂コンストラクションキーが使用可能となる。この工事用キー41は、図5に示したキー11と同様の構造を有するが、複数の磁石収容部14のうち、所定のものに着磁されていない磁性体43を収容していることがキー11と異なる。
【0017】
外筒3は、内周面の周方向である同一内周円上に、複数、本実施の形態では二つの着磁タンブラ収容穴15と、外筒側凹部17とを有している。本実施の形態において、外筒側凹部17は、外筒3の内周面における対向位置となる直径方向の二箇所に、軸線方向に延在する凹溝22を形成し、この凹溝22の開口を、図4に示す複数の穴24aを穿設した長板状のホルダ24で覆うことにより構成している。
なお、外筒側凹部17は、外筒3の側壁を半径方向に貫通する穴を穿設し、この穴の外周面側を閉塞させることによって構成するものであってもよい。
【0018】
内筒7は、外筒3に対する回動によって着磁タンブラ収容穴15または外筒側凹部17に選択的に一致する内筒側凹部19を有している。そして、複数の着磁タンブラ収容穴15のうち、鍵違いのパターンにより設定される所定の組み合わせのものには、付勢手段であるコイルバネ21によって内筒7の外周面に摺接する方向に付勢した着磁タンブラ23を設けている。これら着磁タンブラ収容穴15、着磁タンブラ23、外筒側凹部17、及び内筒側凹部19は、図3(b)に示すように、同一軸上の異なる円周上に複数組配設されている。
【0019】
シリンダ錠1内に設けた複数の着磁タンブラ23は、磁極が軸方向の端面となる磁石を備えて構成され、コイルバネ21の付勢力によって着磁タンブラ収容穴15から内筒側凹部19に進入し、内筒7の回動を規制する。一方、キー11の磁石収容部14の所定のものに着磁タンブラ23と同極を対面させる磁石45を収容したキー11をキー挿入孔5に挿入すると、磁石45の磁極と着磁タンブラ23との磁極が同極となって、着磁タンブラ23がコイルバネ21の付勢力に抗して内筒側凹部19から退出して、内筒7の回転規制を解除する。従って、キー11をキー挿入孔5に挿入することで、ピンタンブラ9a〜9f及び着磁タンブラ23による規制が同時に解除されて、内筒7は、キー11とともに、外筒3に対して回転可能となる。
【0020】
また、内筒7に設けた内筒側凹部19の所定のものには、切替用磁石体31を収容している。切替用磁石体31は、略円板状で、板面が磁極となる構成であり、内筒側凹部19に位置することによって、着磁タンブラ23の内筒側凹部19への進入を阻止している。すなわち、切替用磁石体31を収容した内筒側凹部19は、着磁タンブラ23が進入して内筒7の回転を規制することはない。この切替用磁石体31は、同極の磁石45を備えたキー11、本実施の形態ではオーナーキーをキー挿入孔5へ挿入することによって、内筒7の回転の際に、磁気反発力で上記の外筒側凹部17へ移動するようになっている。なお、この切替用磁石体31は、内筒側凹部19に位置している状態で、対応する着磁タンブラ23の磁極と異なる磁極が対向して配置され、すなわち、内筒側凹部19の底面側と着磁タンブラ23の端面の各磁極が同極とされる。
【0021】
なお、シリンダ錠1は、図2に示すように、キー挿入孔5を挟んでキー挿入側の部分である内筒7の前部に、直径と平行な方向に一対の焼入ピン32を嵌入している。シリンダ錠1は、この焼入ピン32を内筒7の前部に埋設しておくことで、内筒7に同心円状の切り込みを入れる破壊に対する信頼性を向上させている。
【0022】
次に、上記の構成を有するシリンダ錠1の作用を説明する。
図6は図1のシリンダ錠に工事用キーを用いたときの動作説明図、図7は図1のシリンダ錠にオーナーキーを用いたときの動作説明図である。
本動作の説明では、シリンダ錠1に対して、上記の工事用キー41と、合鍵(オーナーキー)であるキー11とを使用する場合を例に説明する。
建物等の建築工事中、戸締りが可能となった段階で、例えば玄関開口部には、シリンダ錠1を組み込んだ扉が取り付けられる。
【0023】
工事期間中の戸締りにおいて、この玄関扉のシリンダ錠1には、図6(a)に示す工事用キー41を使用して施解錠を行う。上記したように、工事用キー41は、複数の磁石収容部14のうち、所定のものに着磁されていない磁性体43を収容している。従って、キー挿入孔5に工事用キー41を挿入すると、ピンタンブラ9a〜9f及び着磁タンブラ23による規制が解除されて、内筒7は、工事用キー41とともに、外筒3に対して回転可能となる。この際、切替用磁石体31は、図6(b)〜(c)に示すように、工事用キー41の磁性体43に吸着し、内筒7の内筒側凹部19に保持されたまま、内筒7とともに回転する。
【0024】
シリンダ錠1は、工事用キー41によって内筒7が図中時計回りに90度回転し、図6(c)に示す位置となることにより、錠箱内の施錠機構に回動操作力を入力し、デッドボルトを扉の木口から進退させて施解錠を行う。施解錠操作の後、工事用キー41は、図中反時計回りに90度回転し、図6(d)に示す位置に戻ることで、キー挿入孔5から抜かれる。従って、工事用キー41を繰り返し使用しても、切替用磁石体31は内筒7とともに連れ回りし、ピンタンブラ9a〜9fと、切替用磁石体31を収容していない他の内筒側凹部19に進入する着磁タンブラ23により施解錠が行われる。
【0025】
一方、建物が完成し、引渡しが行われると、図7(a)に示すように、シリンダ錠1に対してオーナーキーであるキー11が使用される。このキー11は、上記したように、磁石収容部14の所定のものに着磁タンブラ23及び切替用磁石体31と同極を対面させる磁石45を収容している。従って、このキー11を使用し、ピンタンブラ9a〜9f及び着磁タンブラ23による規制を解除して、内筒7を時計回りに回転すると、図7(b)に示す回転位置となったときに、内筒側凹部19に収容されていた切替用磁石体31が、磁気反発力によって外筒側凹部17へ移動する。
【0026】
シリンダ錠1は、キー11によって内筒7が図中時計回りに90度回転し、図7(c)に示す位置となることにより、錠箱内の施錠機構に回動操作力を入力し、デッドボルトを扉の木口から進退させて施解錠を行う。施解錠操作の後、キー11は、図中反時計回りに90度回転し、図7(d)に示す位置に戻ることで、キー挿入孔5から抜かれる。この際、切替用磁石体31が無くなった内筒側凹部19にはコイルバネ21の付勢力によって着磁タンブラ23が進入する。従って、以前に使用していた工事用キー41によっては内筒側凹部19へ進入した着磁タンブラ23を退出させることはできず、この着磁タンブラ23を磁気反発力によって着磁タンブラ収容穴15へ退出させる磁石45を有したキー11、すなわちオーナーキーのみでしか施解錠が行えなくなる。これにより、コンストラクションキーシステムが実現することになる。
【0027】
このように、上記のシリンダ錠1によれば、キー11(オーナーキー)を使用した後には、着磁タンブラ23が内筒側凹部19に進入するので、この着磁タンブラ23を着磁タンブラ収容穴15へ後退させることのできない工事用キー41では解錠が不能となる。この結果、マグネチックタンブラタイプのシリンダ錠1において、工事期間中に使用する工事用キー41を、合鍵であるキー11の使用後には使用不能にするコンストラクションキーシステムが実現する。
【0028】
また、上記のシリンダ錠1によれば、同一軸上の異なる円周上に配設したそれぞれの切替用磁石体31を、異なる複数のキー11に設けた磁石の磁気反発力で外筒側凹部17へ移動させることで、新たなキー11を使用するたびに新たな切替用磁石体31を外筒側凹部17へ移動して、それ以前に使用したキー11を順次使用不能にして行くことができる。これにより、複数のキー11を一次キーとして工事用キー、二次キーとして管理用キー、三次キーとしてオーナー用キーのように段階的に使用不能にでき、すなわち、工事期間中の施解錠、建物完成後の管理期間中の施解錠、建物所有者のみの施解錠、というコンストラクションキーシステムの多段化を実現することもでき、また、これらの組合せを増やせることから、建築現場毎、戸別毎の管理が確実なものとなる。
【0029】
なお、本実施の形態では、ピンタンブラ9fを、挿入完了したキー11の挿入方向最先端部11aに対応する位置で配設したので、キー11を最後まで挿入しなければ当該ピンタンブラ9fを後退させて内筒7の回動規制を解除することができず、キー11を最深部まで挿入することを解錠の条件にできる。これにより、鍵違いのパターンから浅部のみに着磁タンブラ23を配設する場合の組み合わせにおいても、キー11の差し込み深さを変えることによる施解錠操作を確実に防止することができる。
【0030】
また、切替用磁石体31を動作させる磁性体43または磁石45は、キー11,41における磁石収容部14の任意の位置、すなわち、キーの長手方向と両側面との任意の位置に設けることができるが、その態様の一つとして、例えば工事用キー41には各磁石収容部14に磁性体43のみを収容し、管理用キーには一方の側面における任意の位置に磁石収容部14に磁石45を収容し、オーナーキーには他方の側面または両側面の磁石収容部14に磁石45を収容する等の配置パターンを挙げることができる。
【0031】
さらに、本実施の形態では、ピンタンブラ9a〜9fを併用したシリンダ錠1の場合を例に説明したが、本発明に係るシリンダ錠は、ピンタンブラ9a〜9fを設けないマグネチックタンブラタイプの構成としても上記課題を解決できることは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るシリンダ錠によれば、内筒側凹部に切替用磁石体を収容し、この切替用磁石体を、キーに設けた磁石の磁気反発力によって外筒側凹部に移動可能としたので、工事用キーには切替用磁石体が吸着する磁性体を設けておくことで、切替用磁石体を内筒側凹部に保持させた状態での施解錠が行える一方、磁気反発力を生じさせる磁石を設けた合鍵を使用することで、切替用磁石体を外筒側凹部へ移動させることができ、これにより、その後は着磁タンブラが内筒側凹部に進入するようになって、工事用キーでは解錠が不能となる。この結果、マグネチックタンブラタイプのシリンダ錠において、工事期間中に使用する工事用キーを、合鍵の使用後には使用不能にするコンストラクションキーシステムを実現することができる。
【0033】
また、本発明に係るシリンダ錠によれば、着磁タンブラ収容穴、着磁タンブラ、外筒側凹部、内筒側凹部及び切替用磁石体を、同一軸上の異なる円周上のそれぞれに複数組配設し、それぞれの切替用磁石体を、異なるキーに設けた磁石の磁気反発力で外筒側凹部へ移動するので、新たなキーを使用するたびに新たな切替用磁石体を外筒側凹部へ移動して、以前のキーを順次使用不能にして行くことができ、例えば、一次キーとして工事用キー、二次キーとして管理用キー、三次キーとしてオーナー用キーのように段階的に使用不能にでき、すなわち、工事期間中の施解錠、建物完成後の管理期間中の施解錠、建物所有者のみの施解錠、というコンストラクションキーシステムの多段化を実現することが可能となる。
【0034】
さらに、本発明に係るシリンダ錠によれば、キーの挿入によって内筒の回転規制を解除するピンタンブラを、キー挿入孔内に配設したので、キーを挿入しなければ当該ピンタンブラを後退させて内筒の回動規制を解除することができず、キーを挿入することを解錠の条件とすることができる。これにより、鍵違いのパターンから着磁タンブラを配設する場合の組み合わせにおいて、キーの差し込み深さを変えることによる施解錠操作を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダ錠のキー挿入方向に直交方向の断面図である。
【図2】図1のシリンダ錠の断面図で(a)は(b)のA−A線断面、(b)は図1のB−B線断面を示す。
【図3】図1のシリンダ錠の断面図で(a)は(b)のC−C線断面、(b)は図1のD−D線断面を示す。
【図4】磁石体ホルダの断面視を(a)、平面視を(b)に示した説明図である。
【図5】キーの平面視を(a)、側面視を(b)に示した説明図である。
【図6】図1のシリンダ錠に工事用キーを用いたときの動作説明図である。
【図7】図1のシリンダ錠にオーナーキーを用いたときの動作説明図である。
【符号の説明】
1…シリンダ錠
3…外筒
5…キー挿入孔
7…内筒
9a〜9f…ピンタンブラ
11…キー
11a…挿入方向最先端部
15…着磁タンブラ収容穴
17…外筒側凹部
19…内筒側凹部
21…付勢手段(コイルバネ)
23…着磁タンブラ
31…切替用磁石体
45…磁石
Claims (2)
- 錠箱に固着し同一内周円上に着磁タンブラ収容穴及び外筒側凹部を有した外筒と、
キー挿入孔を有し該外筒の内周面に外周面を接して回動自在に嵌合し且つ回動によって前記着磁タンブラ収容穴または前記外筒側凹部に選択的に一致する内筒側凹部を外周面に凹設した内筒と、
前記着磁タンブラ収容穴に位置し付勢手段によって前記内筒の外周面に摺接する着磁タンブラと、
前記内筒側凹部に位置することによって該着磁タンブラの該内筒側凹部への進入を阻止する一方、前記外筒側凹部へ移動自在な切替用磁石体と、
を具備し、
前記外筒側凹部は、キーの挿脱を行う前記着磁タンブラ収容穴と前記内筒側凹部とが対向する位置から施錠機構に回動操作力が入力される位置までの回転範囲内における該回転の途中となる前記外筒の内周面に形成され、
前記切替用磁石体の内筒中心方向を向く面における磁極と同磁極の磁石を対面に収容したキーを前記キー挿入孔へ挿入し回転させた際に、前記内筒側凹部から磁気反発力で前記外筒側凹部へ前記切替用磁石体を移動させ、前記内筒側凹部に前記着磁タンブラを進入可能とするとともに、
前記着磁タンブラ収容穴、前記着磁タンブラ、前記外筒側凹部、前記内筒側凹部及び前記切替用磁石体を、同一軸上の異なる円周上のそれぞれに複数組配設し、
それぞれの前記切替用磁石体を、異なるキーに設けた磁石の磁気反発力で前記外筒側凹部へ移動することを特徴とする錠装置。 - 前記外筒から前記内筒へ進入して該内筒の回転を規制する一方、前記キー挿入孔に挿入したキーによって前記外筒側へ後退してシアラインを前記外筒と前記内筒との境界面に一致させることで前記内筒の回転規制を解除するピンタンブラを、前記キー挿入孔における任意の位置で前記外筒と前記内筒とに亘って複数配設するとともに、該複数のピンタンブラのうちの1つのピンタンブラが、前記キーの前記キー挿入孔への挿入状態確認用とされ、前記キーが最深部まで挿入完了となる対応位置に配設されることを特徴とする請求項1記載の錠装置。
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