JP4138073B2 - ヒト癌退縮抗原タンパク質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医療分野に属し、詳しくは癌または自己免疫疾患を処置する方法、さらに詳しくは細胞傷害性T細胞によって攻撃を受けて退縮する癌退縮抗原およびそれを利用する免疫療法等に関する。
【0002】
生体による腫瘍の排除には免疫系、特にT細胞が重要な役割を果たしていることが知られている。実際、ヒトの腫瘍局所には腫瘍細胞に対して傷害活性を示すリンパ球の浸潤が認められ(Arch.Surg.126:200-205,1990)、メラノーマから自己の腫瘍細胞を認識する細胞傷害性T細胞(CTL)が分離されている(Immunol.Today 8:385、1987、J.Immunol.138:989,1987、Int.J.Cancer 52:52-59 、1992等) 。また、T細胞移入によるメラノーマ治療の臨床結果も腫瘍排除によるT細胞の重要性を示唆している(J.Natl.Cancer.Inst.86:1159,1994) 。
【0003】
自己の腫瘍細胞を攻撃するCTLは、腫瘍抗原ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI抗原に結合した複合体をT細胞受容体(TCR)を用いて認識し、自己の腫瘍細胞を攻撃している。この腫瘍抗原ペプチドは、腫瘍抗原(タンパク質)が細胞内で合成された後、プロテオソームによって細胞質内でペプチドに分解されることによって生成される。一方、MHCクラスI抗原は、上記の腫瘍抗原ペプチドと結合し、シスゴルジを経て成熟側のトランスゴルジへと移動し細胞表面に発現する(臨床免疫27(9):1034-1042 、1995)。
【0004】
【従来の技術】
ヒト癌細胞上のMHCクラスI抗原上に提示され、宿主T細胞の標的分子となる腫瘍抗原タンパク質が1991年にT.Boonにより同定された(Science254:1643-1647,1991) 。この抗原は、この抗原を発現する癌細胞がCTLによって攻撃を受け退縮することから癌退縮抗原と呼ばれ、また、メラノーマ細胞から同定されたことよりMelanoma antigen(MAGE)と名付けられている。
その後、CTLにより認識される腫瘍抗原タンパク質がメラノーマ細胞などから相次いで同定された。今までに同定された腫瘍抗原タンパク質はその由来、構造(変異の有無)や発現様式により以下の4つのカテゴリーに分類される(T.Boon et al.,J.Exp.Med.183:725-729,1996):
【0005】
i)腫瘍特異的共有抗原(Tumor −Specific Shared Antigens)
ここに分類される抗原は正常組織では睾丸と胎盤でのみ発現され、腫瘍組織ではメラノーマ、頭頚部癌、非小細胞性肺癌、膀胱癌など各種の癌に広範に発現が認められる一群のタンパク質である。このカテゴリーの腫瘍抗原タンパク質としては、上記のMAGE、その12種類以上の類似するファミリーを形成するタンパク質群(J.Exp.Med.178:489-495,1993)、BAGE(Immunity 2:167-175、1995)およびGAGE(J.Exp.Med.182:689-698,1995)があり、いづれもメラノーマ細胞から同定されている。また最近、メラノーマに限って広範に発現されるNA17−Aが報告された。それは、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV遺伝子のイントロンに相当する部分が翻訳され、HLA−A2拘束性に抗原ペプチド(VLPOVFIRC)が癌退縮抗原として発現し、CTLにより認識される。
【0006】
ii)分化抗原(Differentiation Antigens )
ここに分類される腫瘍抗原タンパク質は、正常組織ではメラノサイトで発現しており、腫瘍組織ではメラノーマでのみ発現が認められる一群のタンパク質である。これらの組織特異的なタンパク質は腫瘍細胞のメラノーマに強度に発現しているが、他の組織型の癌(腺癌や扁平上皮癌)には認められないことから、メラノーマに特異的な腫瘍抗原タンパク質と考えられる。このカテゴリーの腫瘍抗原タンパク質としては、チロシナーゼ(J.Exp.Med.178:489-495,1993)、MART−1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91: 3515, 1994)、gp100(J.Exp.Med. 179: 1005-1009, 1994) ,gp75(J.Exp.Med. 181: 799-352, 1995)があり、これらの遺伝子はいづれもメラノーマ細胞からクローニングされている。なお、他にMelan-A (J.Exp.Med. 180: 35, 1994)が同定されたが、後にMART−1と同一の分子であることが判明した。
また、ここに分類される抗原は正常のメラノサイトにも発現していることから、メラノサイト破壊性自己免疫疾患での標的分子としての可能性が存在する。特にMART−1/melan-Aはvon −小柳−原田氏病における標的分子と考えられる(S.Sugita, et al., Int.Immunol.8:799-803,1996)。gp100はそれを発現するメラノーマが免疫療法に高い感受性を示すので、in vivoでの癌退縮抗原として作用している可能性がある。
このカテゴリーの腫瘍抗原タンパク質は、メラノーマ以外の腫瘍では発現していないため、他の腫瘍に応用することはできない。
【0007】
iii )個々の腫瘍に特異的な抗原(Antigens Specific for Individual Tumors )
この領域に分類される腫瘍抗原タンパク質は、正常細胞が癌化する過程でおこる遺伝子変化に伴う癌特有の新しい抗原である。遺伝子変化としては点突然変異(point mutation、変異CDK4抗原、変異β−Catenin 抗原、MUM−抗原)、alterative open reading frame(変異gp75抗原)がこれまでに知られている。したがって、このような抗原は癌に特異的であり特異免疫の成立が容易に成立するものと考えられる。しかしながら、一方で各々の遺伝子変化は個々の腫瘍もしくは個々の腫瘍細胞に限って発現していることが殆どである。したがって発現頻度はきわめて低く、癌治療を目的としたワクチン分子として臨床応用され難いという欠点を有する。
【0008】
iv)普遍性抗原(Ubiquitous Antigens)
殆どの正常細胞や癌細胞に非変異体として普遍的に発現される(ubiquitous)抗原がCTLの癌認識分子になっているケースとしては、p15が知られている。p15分子はHLA−A24結合性ペプチドを有する。p15は正常細胞に比して癌細胞により強く発現されている。その観点からは、腺癌等に強発現している癌遺伝子タンパク質であるHER−2/neu抗原も同類として分類される。即ち、HER−2/neuはHLA−A2結合性ペプチドを有し、癌退縮抗原として宿主キラーT細胞により認識される。
ここに分類される抗原を腫瘍抗原タンパク質とした場合、普遍的に発現しているために広範な癌に応用可能と考えられるが、疾病特異性に乏しいため、正常組織に障害を与える可能性があり、またCTL誘導が困難である可能性(トランスのため)が考えられる。
【0009】
MHC−非拘束性と考えられていたMUC−1抗原特異的CTLが同抗原由来ペプチドSTAPPAHGVをHLA−A11拘束性に認識すると報告され、またMAGE−3ペプチドを用いての臨床試験の初期成績が報告された(M.Marchand,et al., Int.J.Cancer 63:883-885,1995 )。これらは、癌退縮抗原を用いての癌ワクチン開発の可能性を示唆している。
【0010】
これまでに同定された上記の抗原ペプチドはHER−2/neuを除き、その殆どがメラノーマから発見されており、発病頻度の高い扁平上皮癌や腺癌では全く報告されていない。しかし、我々は最近、食道扁平上皮癌よりHLA2601拘束性の癌抗原ペプチドが存在し宿主CTLによって認識されることを報告した(M.Nakao, et al., Cancer Res. 55:4248-4252,1995)。したがって、扁平上皮癌にも同様の抗原ペプチドをコードする腫瘍抗原タンパク質の存在することが示唆される。扁平上皮癌は、ヒトの癌で最も多く認められる癌のひとつであり、特に食道癌や肺癌での扁平上皮癌は現在の化学療法や放射線療法に比較的抵抗性を示すことが知られている。その点からも腫瘍抗原ペプチド等を用いた特異的免疫療法の開発が期待される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、扁平上皮癌等の幅広い腫瘍に応用でき、または応用可能な腫瘍が限られていてもその腫瘍の患者のうち多くの人に応用でき、またはその腫瘍の治療や診断を補完しつつ各種腫瘍に応用できる癌療法の一助となる腫瘍抗原タンパク質、腫瘍抗原ペプチド等を提供することにある。
また、腫瘍において高発現している腫瘍抗原タンパク質は、一方で、正常組織にも発現しその腫瘍抗原タンパク質に由来する免疫反応が過剰に起こることで、自己免疫疾患を引き起こしているとも考えられている。例えば、化学療法剤とIL−2を併用してメラノーマの治療を行った場合、白斑症状の出現が認められるとの報告がある(J.Clin.Oncol.10:1338-1343,1992)。これは、メラノーマに出現する腫瘍抗原タンパク質の断片ペプチドとMHC複合体に対してCTLまたは抗体が誘導、産生され、正常組織である皮膚組織に作用することで自己免疫疾患様の症状である白斑症状が出現したためと考えられる。
腫瘍抗原タンパク質に由来する特異的免疫が過剰に惹起されることにより自己免疫疾患が発症した場合には、腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子の発現を妨ぐアンチセンスDNA や腫瘍抗原ペプチドのアンタゴニストなどを用いて、免疫反応を特異的にブロックする治療法が期待される。
【0012】
【課題を解決するための手段】
メラノーマ細胞以外の腫瘍細胞、特に扁平上皮癌等の治療や診断に幅広く応用できる腫瘍抗原タンパク質またはその対応する腫瘍抗原ペプチド等を得るために、扁平上皮癌からの腫瘍抗原タンパク質の同定を試みた。
本発明者らは食道癌患者の末梢血リンパ球からリンパ球腫瘍混合培養法により、HLA-A2402 拘束性の腫瘍抗原ペプチドを認識するCTL(KE-4-CTL)を樹立した。このCTLはHLA-A2402 陽性の食道癌細胞株KE-4を強く障害する。
そこで、サル腎細胞株COS7細胞に、KE-4癌細胞株から作製したcDNAライブラリーの組換えプラスミドとHLA-A2402 cDNAの組換えプラスミドを同時にトランスフェクトし、そのトランスフェクタントにKE-4-CTL細胞を作用させ、KE-4-CTL細胞が活性化されたか否かをIFN-γの産生量で測定しスクリーニングした。その結果、メラノーマ以外の腫瘍細胞KE-4から本発明の腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子をクローニングすることに成功した。
【0013】
すなわち、本発明は、(1)配列番号:1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド分子、(2)配列番号:1のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子、(3)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド分子、(4)配列番号:1の塩基配列において、1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加されたポリヌクレオチド分子、および(5)前記(1)〜(4)のいずれかのポリヌクレオチド分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド分子からなる群より選択されるポリヌクレオチド分子であって、該ポリヌクレオチド分子がコードするタンパク質の一部からなるペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI抗原と結合してT細胞により認識される腫瘍抗原ペプチドであるポリヌクレオチド分子;本発明のポリヌクレオチド分子によりコードされる腫瘍抗原タンパク質;本発明の腫瘍抗原タンパク質の部分ペプチドであってMHCクラスI抗原と結合してT細胞により認識される腫瘍抗原ペプチドまたはその誘導体;本発明の腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドもしくはその誘導体を含有する医薬;本発明の腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドもしくはその誘導体に対する抗体;本発明の腫瘍抗原ペプチドまたはその誘導体をコードするオリゴヌクレオチド分子、好ましくは腫瘍抗原タンパク質をコードしている塩基配列が配列番号:1の塩基配列である該オリゴヌクレオチド分子;配列番号:1の腫瘍抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチド分子のコーディング配列またはその5' ノンコーディング配列中の塩基配列と相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド分子またはその化学的修飾体;本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド分子もしくはその化学的修飾体を含有する医薬;本発明のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド分子を有するプラスミド;および本発明のプラスミドによって形質転換された形質転換体、に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書中で使用している用語の意義を明らかにするとともに、発明の実施形態を説明する。
本発明のポリヌクレオチド分子は、新規な腫瘍抗原タンパク質をコードするものであり、(1)配列番号:1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド分子、(2)配列番号:1のアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子、(3)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド分子、(4)配列番号:1の塩基配列において、1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加されたポリヌクレオチド分子、および(5)前記(1)〜(4)のいずれかのポリヌクレオチド分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド分子、からなる群より選択され、該ポリヌクレオチド分子がコードするタンパク質の一部からなるペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI抗原と結合してT細胞により認識される腫瘍抗原ペプチドである。
【0015】
本発明のポリヌクレオチド分子はDNA またはRNA の形態をとることができ、DNA にはcDNA、ゲノムDNA および合成DNA が包含される。また、DNA およびRNA は一本鎖または二本鎖であってよく、一本鎖の場合はセンス鎖またはアンチセンス鎖の両者が包含され得る。
【0016】
ある塩基配列のうち一部が置換、欠失、挿入または付加されたポリヌクレオチド分子は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版第1−3巻 Sambrook, J. ら著、Cold Spring Harber Labolatory Press 出版 New York 1989年などに記載の方法によって製造することができ、例えば部位特異的変異誘発やPCR法などにより製造できる。本発明のポリヌクレオチド分子はこれらの変異型ポリヌクレオチド分子も包含する。かかる変異型ポリヌクレオチド分子としては、例えば、配列番号:1の塩基配列において1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加されたポリヌクレオチド分子が挙げられる。また、本発明のポリヌクレオチド分子には「本発明のポリヌクレオチド分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド分子」も包含される。ポリヌクレオチド分子としてDNA 分子を代表例にとると、「DNA 分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA 分子」は、例えば前述のMolecular Cloning に記載の方法によって得ることができる。ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、例えば、6×SSC、0. 5%SDSおよび50%ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0. 1×SSC、0. 5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のハイブリダイズのシグナルが観察されることを表す。
【0017】
本発明の腫瘍抗原タンパク質は、前記ポリヌクレオチド分子によりコードされるタンパク質である。
【0018】
「本発明のポリヌクレオチド分子がコードするタンパク質の一部からなるペプチドがMHCクラスI抗原と結合してT細胞により認識される腫瘍抗原ペプチド」とは、腫瘍抗原タンパク質の連続した少なくとも7個、好ましくは7〜10個、特に好ましくは9個の連続するアミノ酸配列からなる部分ペプチドであって、細胞表面のMHCクラスI抗原と結合して細胞表面に提示された場合、その結合体に対して特異的に結合するT細胞が結合するとそのT細胞にシグナルを伝えることのできる、即ちT細胞に認識されるMHCクラスI抗原との結合体を形成できるそのようなペプチドを意味する。なお、ここでいう「結合」とは非共有結合である。
【0019】
ペプチドがMHCクラスI抗原に結合してT細胞に認識されることを確かめる方法としては、例えば、ペプチドを適当な細胞に内因性に発現させるか、または外部から加える(パルスする)ことによりMHCクラスI抗原に結合させることで細胞表面にペプチドを提示させ、つづいて、そのペプチド提示細胞に対して腫瘍抗原タンパク質特異的なT細胞を作用させ、そのペプチド提示細胞が傷害を受けた際に産生されるサイトカイン(インターフェロンαやTNFα、およびCTLが産生するサイトカイン)を測定する方法などがある。また、ペプチド提示細胞の傷害を測定する方法として、51Crで標識したペプチド提示細胞を用いる方法も使用できる。ここで、認識するT細胞としては、CTLを用いるのが好ましい。
【0020】
本発明に係る腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドは例えば、以下のようにして同定することができる。
まず、これらの同定に際し、MHC−クラスIアレルの一致した腫瘍細胞およびこの細胞を攻撃するCTLのセットを用意する。
次いで、腫瘍細胞のMHCクラスI抗原に結合している腫瘍抗原ペプチドを酸性化して抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分離された種々のペプチドを、抗原提示MHCを発現しているが腫瘍抗原タンパク質を発現していない細胞(例えば、同一患者のB細胞など)にパルスし、CTLの反応を調べることにより腫瘍抗原ペプチドを同定し、さらにマススペクトロメタリーなどを用いて配列を決定する方法である。この方法によって、メラノーマ細胞からgp100と同一分子のPme117由来の腫瘍抗原ペプチドが同定されている(Science 264: 716-719, 1994)。
【0021】
あるいは、上記のような腫瘍抗原ペプチドを直接同定する方法とは異なり、腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子を決定してさらにその対応する腫瘍抗原ペプチドを同定する方法もある。これは、分子生物学的手法を用いて腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子をクローニングするものである。腫瘍細胞からcDNAを調製し、そのcDNAを腫瘍抗原タンパク質を発現していない細胞(例えばCOS 細胞など)に抗原提示MHCクラスI抗原遺伝子とともにトランスフェクトして一過的にそれらを発現させ、それに対するCTLの反応性によりスクリーニングを繰り返し行い、腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子を単離する。この方法により、上記のMAGE、チロシナーゼ、MART−1、gp100、gp75の遺伝子がクローニングされている。
【0022】
この腫瘍抗原遺伝子の情報から実際にMHCクラスI抗原に結合して提示されている腫瘍抗原ペプチドを推定、同定するためには次のような方法を用いる。まず、PCR、エキソヌクレアーゼ、制限酵素などにより様々なサイズの腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子のフラグメントを作製し、抗原提示MHCクラスI抗原遺伝子とともに腫瘍抗原タンパク質を発現していない細胞(例えばCOS 細胞など)にトランスフェクトして一過性に発現させ、CTLの反応性により腫瘍抗原ペプチドを含む領域を限定する。その後、ペプチドを合成し、抗原提示MHCクラスI抗原は発現しているが腫瘍抗原タンパク質を発現していない細胞にパルスし、同様にCTLの反応を調べることにより腫瘍抗原ペプチドを同定できる(J.Exp.Med. 176: 1453, 1992 、J.Exp.Med. 179: 24,759、1994) 。
【0023】
また、HLA-A1,-A0201,-A0205,-A11,A31 ,-A6801,-B7 ,-B8 ,-B2705,-37 ,-Cw0401 ,-Cw0602 などのMHCクラスI抗原の型については、結合して提示されるペプチドの配列の規則性(モチーフ)が判明しており (seminars in IMMUNOLOGY 5: 81-94, 1993)、それを参考にして腫瘍抗原ペプチドの候補を調べ、そのペプチドを結合して上記と同様な方法で確認する方法も用いられる(Eur.J.Immunol,24: 759,1994, J.Exp.Med.180: 347,1994) 。
【0024】
本発明においては、配列番号:1のアミノ酸配列において、HLA-A24 抗原に結合して提示される9マーのモチーフを参考にして腫瘍抗原ペプチドの候補を調べたところ、それぞれ配列番号:2〜11に示されるP1〜P10のペプチドが腫瘍抗原ペプチドの候補として挙げられる(表1)。CTLの反応性という観点から、P2(配列番号:3)、P3(配列番号:4)、P8(配列番号:9)、P9(配列番号:10)およびP10(配列番号:11)のペプチドが好ましく、P9のペプチドがより好ましい。
【0025】
【表1】
【0026】
この様にして決定されたペプチドは、通常のペプチド化学において知られている方法で製造することができる。例えば、"Peptide Synthesis", Interscience,New York. 1996、"The Proteins", Vol.2, Academic Press Inc., New York. 1976、「ペプチド合成」丸善(株) 、1975、「ペプチド合成の基礎と実験」丸善(株) 、1985、等に記載されている方法等が挙げられる。すなわち、C末端部位の構成により液相法、固相法のいずれかを選択して合成することができ、なかでも液相法がより好ましい。すなわち、アミノ酸の官能基を適当な保護基で適宜保護および脱保護を行い、アミノ酸を、1残基または数残基づつ結合させることでペプチドを製造することができる。なお、アミノ酸の官能基の保護基については、例えば前述のペプチド化学について記載する書籍等に記載されている。
【0027】
本明細書中、「本発明の腫瘍抗原ペプチドの誘導体」とは、本発明の腫瘍抗原ペプチドのアミノ酸配列のうち1つまたは複数個が置換、欠失、挿入または付加されたペプチドを意味する。好ましい誘導体としては、腫瘍抗原ペプチドのうちでCTLとの結合に関与するエピトープ領域はそのままであってMHCクラスI抗原との結合に関与するアミノ酸残基が置換、欠失、挿入または付加された誘導体が挙げられ、さらに好ましくはその誘導体であって一つのアミノ酸残基のみを置換したものが挙げられる(Immunol. 84: 298-303,1995 )。かかる誘導体は、CTLとの結合性はそのまま維持しつつ、MHCクラスI抗原により強く結合可能であるため、さらに有用な腫瘍抗原ペプチドとして適用ができる。
【0028】
このような誘導体は、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual第2版第1−3巻 Sambrook,J.ら著、Cold Spring Harber Labolatory Press 出版 New York 1989年に記載の方法で調製することができ、部位特異的変異誘発やPCR法などの方法によって調製することができる。
【0029】
従って、本発明の腫瘍抗原ペプチドまたはその誘導体は、後述の本発明のオリゴヌクレオチド分子によりコードされるものである。
【0030】
また、「本発明の誘導体」には、本発明の腫瘍抗原ペプチドまたは該ペプチドの一部のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入または付加した誘導体のアミノ基もしくはカルボキシル基を修飾した誘導体も包含される。
【0031】
アミノ基の修飾基としては、例えばアシル基が挙げられ、具体的には炭素数1から6のアルカノイル基、フェニル基で置換された炭素数1から6のアルカノイル基、炭素数5から7のシクロアルキル基で置換されたカルボニル基、炭素数1から6のアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0032】
カルボキシル基の修飾基としては、例えばエステル基およびアミド基が挙げられ、エステル基の具体例としては、炭素数1から6のアルキルエステル基、フェニル基で置換された炭素数0から6のアルキルエステル基、炭素数5から7のシクロアルキルエステル基等が挙げられ、アミド基の具体例としては、アミド基、炭素数1から6のアルキル基1つまたは2つで置換されたアミド基、フェニル基で置換された炭素数0から6のアルキル基1つまたは2つで置換されたアミド基、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド基等が挙げられる。
【0033】
本発明はさらに、本発明の腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドもしくはその誘導体を含有する医薬を提供する。本発明の腫瘍抗原タンパク質および腫瘍抗原ペプチドは、細胞性免疫が効果的に成立するようにアジュバントとともに投与したり、粒子状の剤型にして投与することができる。アジュバントとしては、文献(Clin. Microbiol.Rev.7:277-289、1994)に記載のものなどが応用可能である。また、剤型としては、リポソーム製剤、直径数μm のビーズに結合させた粒子状の製剤、リピッド(脂質)を結合させた製剤など外因性の抗原ペプチドをMHCクラスI抗原へ効率良く抗原提示させうる投与法が用いられる。また、腫瘍抗原ペプチドをパルスした樹状細胞やマイクロファージなどの抗原提示細胞や腫瘍抗原タンパク質をコードするDNA を導入した細胞を投与する方法も考えられる。製剤中の本発明の腫瘍抗原タンパク質および腫瘍抗原ペプチドの投与量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常0.0001mg〜1000mg、好ましくは0.001mg 〜1000mgであり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。
【0034】
本発明の腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドもしくはその誘導体に対する「抗体」は、例えば、Antibodies; A Laboratory Manual, Lane.H.D.ら編、Cold Spring Harber Laboratory Press 出版 New York 1989年などに記載の方法により、腫瘍抗原タンパク質またはその断片ペプチドを用いて適切な方法で適切な動物を免疫することにより、腫瘍抗原タンパク質を認識する抗体、あるいはその活性を中和する抗体を容易に作製できる。抗体の用途としては、アフィニティークロマトグラフィー、cDNAライブラリーのスクリーニング、免疫学的診断法、医薬等が挙げられる。免疫学的診断法は、イムノブロット法、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光あるいは発光測定法等より適宜選択できる。
【0035】
本発明はさらに、本発明の腫瘍抗原ペプチドまたはその誘導体をコードするオリゴヌクレオチド分子に関する。本発明のオリゴヌクレオチド分子はDNA またはRNA の形態をとることができ、DNA にはcDNA、ゲノムDNA および合成DNA が包含される。また、DNA およびRNA は一本鎖または二本鎖であってよく、一本鎖の場合はセンス鎖またはアンチセンス鎖の両者が包含され得る。
【0036】
ある塩基配列のうち一部が置換、欠失、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド分子は、前記ポリヌクレオチド分子と同様の部位特異的変異誘発やPCR法などにより製造できる。本発明のオリゴヌクレオチド分子は、これらの変異型オリゴヌクレオチド分子も包含する。かかる変異型オリゴヌクレオチド分子としては、例えば、配列番号:1の塩基配列において1もしくは複数個の塩基が置換、欠失、挿入または付加されたオリゴヌクレオチド分子が挙げられる。また、本発明のオリゴヌクレオチド分子には「本発明のオリゴヌクレオチド分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド分子」も包含される。オリゴヌクレオチド分子としてDNA 分子を代表例にとると、「DNA 分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA 分子」は、例えば前記ポリヌクレオチド分子と同様の条件によって得ることができ、ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、例えば、前記ポリヌクレオチド分子において記載された条件が挙げられる。
【0037】
また、本発明の腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドをコードするDNA を発現させることによって、腫瘍抗原タンパク質または腫瘍抗原ペプチドを大量に製造することが可能となる。
【0038】
DNA を発現してタンパク質を生産するには、例えば、前述のMolecular Cloning 等の多くの成書や文献に基づいて実施することができる。発現させたいDNA の上流に翻訳開始コドンを、下流には翻訳終始コドンを付加し、転写を制御するプロモーター配列(例えば、trp、lac、T7、SV40初期プロモーター)等の制御遺伝子を付加し、適当なベクター(例えば、pBR322、pUC19、pSV・SPORT1など)に組み込むことにより、宿主細胞内で複製し、機能する発現プラスミドを作製する。
【0039】
次に、発現プラスミドを適当な宿主細胞に導入して形質転換体細胞を得る。宿主細胞としては、大腸菌などの原核生物、酵母のような単細胞真核生物、昆虫、動物などの多細胞真核生物の細胞などが挙げられる。また、宿主細胞への遺伝子導入法としては、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、電気パルス法などがある。形質転換体は、適当な培地で培養することによって目的とするタンパク質を生産する。以上のようにして得られたタンパク質は一般的な生化学的方法によって単離精製することができる。
【0040】
これらの本発明のプラスミドによって形質転換された形質転換体も本発明の範囲に包含される。
【0041】
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子もしくはその化学的修飾体を含有する医薬に関する。
本発明のポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子を含有する「医薬」は、例えば、本発明のDNA を腫瘍患者等に投与することで腫瘍を治療または予防することができる。本発明のDNA を投与し細胞内に導入する方法としては、ウイルスベクターによる方法およびその他の方法(日経サイエンス、1994年4 月号、20-45 頁、月刊薬事、36(1)23-48(1994)、実験医学増刊、12(15)、(1994)、およびこれらの引用文献等) のいずれの方法も適用することができる。
【0042】
ウイルスベクターによる方法としては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス等のRNA ウイルスまたはDNA ウイルスに本発明のDNA を組み込んで導入する方法が挙げられる。この中で、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス等を用いた方法が特に好ましい。
【0043】
その他の方法としては、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNA ワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNA ワクチン法、リポソーム法が好ましい。
【0044】
これらの本発明のポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子を有するプラスミドも本発明の範囲に含まれる。
【0045】
本発明の腫瘍抗原ペプチドをコードする遺伝子を実際に医薬として作用させるには、遺伝子を直接体内に導入するin vivo方法、およびヒトからある種の細胞を採取し体外で遺伝子を該細胞に導入しその細胞を体内に戻すex vivo方法がある(日経サイエンス、1994年4 月号、20-45 頁、月刊薬事、36(1)23-48(1994)、実験医学増刊、12(15)、(1994)、およびこれらの引用文献等)。in vivo方法がより好ましい。
【0046】
in vivo方法により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、動脈、皮下、筋肉内などに投与することが出来る。in vivo方法により投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとりうるが、一般的には有効成分である本発明のDNA を含有する注射剤等とされ、必要に応じて、慣用の担体を加えてもよい。また、本発明のDNA を含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態とすることができる。
【0047】
製剤中の本発明のDNA 含量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常本発明のDNA として、0.0001mg〜100mg 、好ましくは0.001mg 〜10mgであり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。
【0048】
本発明はさらに、配列番号:1のアミノ酸配列を有する腫瘍抗原タンパク質をコードするポリヌクレオチド分子のコーディング配列またはその5' ノンコーディング配列中の塩基配列と相補的な配列からなるオリゴヌクレオチド分子またはその化学的修飾体に関する。好ましくは、配列番号:1の塩基配列(構造遺伝子部分)からなるポリヌクレオチド分子のコーディング配列またはその5' ノンコーディング配列中の塩基配列と相補的な配列をもつ9塩基以上からなるDNA もしくはRNA である。このようなDNA もしくはRNA とは、二本鎖DNA のアンチセンス鎖のDNA またはそのアンチセンス鎖のDNA に対応するRNA であって9塩基以上からなるもの(以下、アンチセンスオリゴヌクレオチドという)をいう。
【0049】
このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば本発明の腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を基にしてDNA として製造するか、またこのDNA をアンチセンスの向きに遺伝子発現プラスミドに組み込むことで容易に対応するRNA を製造することができる。
【0050】
このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明の遺伝子であるcDNAのコーディング部分、5' ノンコーディング部分のいずれの部分の相補的な配列であってもよいが、好ましくは転写開始部位、翻訳開始部位、5' 非翻訳領域、エクソンとイントロンとの境界領域もしくは5'CAP 領域に相補的配列であることが望ましい。
【0051】
「オリゴヌクレオチド分子の化学的修飾体」とは、DNA またはRNA の細胞内への移行性または細胞内での安定性を高めることができる化学的修飾体を表し、例えば、ホスホチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホトリエステル、アルキルホスホナート、アルキルホスホアミデート等の誘導体("Antisense RNA and DNA" WILEY −LISS刊 1992 P.1-50)が挙げられる。この化学的修飾体は、同文献等に従って製造することができる。
【0052】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体を用いて、腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御することができる。この方法によって腫瘍抗原タンパク質の生産量を減らすことで、自己免疫疾患を治療または予防することができる。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する医薬も本発明に包含される。
【0053】
アンチセンスオリゴヌクレオチドをそのまま投与する場合は、このアンチセンスオリゴヌクレオチドの好ましい長さとしては、例えば5〜200塩基のものが挙げられる。
【0054】
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドを発現プラスミドに組み込む場合は、このアンチセンスオリゴヌクレオチドの好ましい長さとしては、例えば100塩基以上が挙げられ、好ましくは300塩基以上が挙げられ、さらに好ましくは500塩基以上が挙げられる。
【0055】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを発現プラスミドに組み込む場合、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞に導入する方法としては例えば、実験医学12巻 1994年に述べられている方法が挙げられ、リポソームや組換えウイルスなどを利用した方法が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現プラスミドは通常の発現ベクターを用いてプロモーターの後ろに逆向きに、すなわち本発明の遺伝子が3' から5' の向きに転写されるように、本発明の遺伝子をつなぐだけで簡単に作製できる。
【0056】
このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを有するプラスミドも本発明に包含される。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体をそのまま投与する場合、安定化剤、緩衝液、溶媒などと混合して製剤された後、投与時には抗生物質、抗炎症剤、麻酔薬などと同時に用いることもできる。こうして作製された製剤は様々な方法で投与可能である。投与は連日または数日から数週間おきになされるのが好ましい。また、この様な頻回の投与を避けるために徐放性のミニペレット製剤を作製し患部近くに埋め込むことも可能である。あるいはオスモチックポンプなどを用いて患者に連続的に徐々に投与することも可能である。通常投与量は作用部位における濃度が0.1nM-10μM になるように調製する。
【0057】
このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体を含有する医薬も本発明に包含される。
【0058】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0059】
参考例1
食道癌細胞株に対する細胞傷害性T細胞(CTL)株の樹立
67歳男性の食道癌患者末梢血リンパ球をリンパ球腫瘍混合培養法により、インターロイキン2存在下で約60日間、5%炭酸ガス(95%空気)培養器にて培養した。その間、培養28日目以降、頻回に培養して増殖するT細胞の各種癌細胞に対する細胞障害能を51Cr遊離法とIFN−γ測定法にて解析した。その結果、培養39日目〜49日目のT細胞がCD8陽性のキラーT細胞を主体とし、かつMHCクラスI抗原のうちのHLA-A2402 拘束性のCTL活性を示すことが判明した。HLA-A2402 陽性の癌細胞中、扁平上皮癌であるKE-4細胞株(M.Nakao ら, Cancer Research 55,4248-4252, 1995)が最も高い感受性を上記CTLに対して示した。そこで、上記CTL(KE-4-CTLと命名)を大量に液体窒素添加細胞凍結保存用タンクに保存し、CTLの認識する癌退縮抗原遺伝子のクローニングに備えた。
【0060】
参考例2
HLA-A2402 cDNA の組換えプラスミドの調製
中尾ら著、Cancer Res.55:4248-252(1995)の教示に従い、KE-4細胞由来のHLA-A2402 cDNAを発現ベクターpCR3(INVITROGEN社製)に組込み、組換えプラスミドを作製した。
【0061】
参考例3
KE-4 細胞 cDNA ライブラリー作製
mRNA精製システム(ファルマシアバイオテク社製)を用い添付のプロトコールに従い、KE-4細胞から全RNA 画分の分離およびオリゴ(dT)カラムによるポリ(A) + mRNAの調製を行った。mRNAよりスーパースクリプトプラスミドシステム(GIBCO BRL 社製) を用い添付のプロトコールに従い、両端にNot 1アダプターとSal 1アダプターを連結したcDNAを作製した後、このcDNAを発現ベクターpSV-SPORT1(GIBCO BRL社製)の制限酵素Not 1およびSal 1の切断部位に連結して組換えプラスミドを得た。この組換えプラスミドをジーンパルサー(Bio-Rad社製) を用いて25μF, 200Ω, 2.5kV の条件で、電気パルスにより大腸菌のエレクトロマックスDH10B/p3TMセル(GIBCO BRL社製)に導入し、アンピシリン(50μg/ml)を含むLB培地(1%バクトトリプトンTM、0.5%NaCl、pH7.3 )上にて組換えプラスミドが導入されている形質転換体を選択した。
【0062】
参考例4
インターフェロン−γの定量
インターフェロン−γ(IFN-γ)の定量は、エンザイムイムノアッセイ(ELISA )により行った。96ウェルマイクロプレートに一次抗体として抗ヒトIFN-γマウスモノクロール抗体を吸着させ、ウシ血清アルブミンで非特異的結合をブロックした後、検体中のIFN-γを抗体に結合させた。次に二次抗体として抗ヒトIFN-γウサギポリクロール抗体を結合させ、さらにペルオキシダーゼ標識した抗ウサギ免疫グロブリンロバ抗体を結合した後、発色剤としてTMBZ(テトラメチルベンジディン)を反応させ、2N H2SO4 を等量加えて反応を停止させた後、吸光度(450 nm)を測定した。これを標準品のIFN-γより得られた値と比較することにより定量した。
【0063】
実施例1
腫瘍抗原タンパク質遺伝子のスクリーニング
まず、参考例3にて調製した形質転換体のプールから組換えプラスミドDNA を回収する。
アンピシリン(50μg/ml)を含むLB培地の入った96ウェルU底マイクロプレートにウェルあたり100-200 個の形質転換体を加え培養後、その一部をウェル当たり0.3ml のTYGPN 培地(F.M. Ausubelら編、CURRENT PROTCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, Inc.)の入った別の96ウェルU底マイクロプレートに移して37℃で48時間培養し、残りのLB培地のマイクロプレートは凍結保存した。TYGPN 培地で培養した形質転換体の組換えプラスミドDNA は、マイクロプレートでアルカリ溶解法(F.M. Ausubelら編、CURRENT PROTCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, Inc.)により調製した。イソプロパノール沈殿で回収した組換えプラスミドDNA は、50μlの20 ng /ml RN アーゼを含む10mM Tris ,1mM EDTA,pH7.4 溶液に懸濁した。
【0064】
次に、上記にて調製した組換えプラスミドDNA と参考例2にて調製したHLA-A2402 cDNAの組換えプラスミドをCOS7細胞(Gluzan,Y. Cell,23: 175-182, 1981)にリポフェクチン法により同時にトランスフェクトする。
COS7細胞を96ウェル平底マイクロプレートのウェル当たり1 ×104 個を加え、100 μlの10%FCS を含むRPMI培養液で1 日培養した。形質転換体約100 個分のKE-4cDNAの組換えプラスミド25μlに参考例2にて調製したHLA-A2402 cDNAの組換えプラスミド100 ngを加え、さらに約100 倍に希釈したリポフェクチン試薬(リポフェクタミン、GIBCO-BRL 社製)25μlを加えた。得られた混合液 50 μl(リポソームと組換えプラスミドの融合懸濁液)を、培養したCOS7細胞に加えてダブルトランスフェクトした。トランスフェクタントは2 点ずつ用意した。トランスフェクタントは48〜72時間、37℃で培養した後、培養液を除去し、ウェル当たり1 ×104 個のKE-4CTLを加えて100 μlの10%ヒト血清と50U/mlのIL-2を含む培養液で37℃で16〜24時間培養した。培養液を回収し、IFN-γをELISA で測定した。
【0065】
次いで、ELISA によって高いIFN −γ産生が認められた8群について、該当する凍結保存しておいたKE-4cDNAの組換えプラスミドによる形質転換体約100 〜200 クローン/ウェルのプールを用いてさらに以下のようにスクリーニングを行う。
形質転換体のプ―ルを約6時間LB(アンピシリン50μg /mlを含む)培地にて培養し、さらに培養物をアンピシリン(50μg /ml)を含むLB寒天培地のプレートにまいて1日培養し、得られた単一コロニー各群200 コロニー、合計8 ×200 コロニーをそれぞれ96穴マイクロプレートの各ウェルに移し、ウェル当たりの形質転換体が1種類となる条件で上記と同様の方法で培養し、KE-4 cDNA の組換えプラスミドDNA を調製した。さらに上記と同様な方法によりKE-4 cDNA の組換えプラスミドとHLA-A2402 cDNAの組換えプラスミドとをCOS7細胞にダブルトランスフェクトし、引き続いてKE-4- CTLとの混合培養を行い、KE-4- CTLが反応して産生した培養液中のIFN-γを定量し、陽性プラスミドを選択した。この操作により、KE-4- CTLと反応するKE-4細胞cDNA組換えプラスミドクローンが選択され、SART-2と命名した。SART-2について、さらにもう一度、同様な操作を繰り返してKE-4- CTLによるIFN-γの産生を確認した。
【0066】
実施例2
腫瘍抗原遺伝子の塩基配列決定
目的の腫瘍抗原遺伝子のcDNAが組み込まれた組換えプラスミドを持つ形質転換体SART-2をそれぞれ、500ml のアンピシリン(50μg /ml)を含むLB培地で37℃で14〜16時間培養し、遠心分離にて菌体を回収した。菌体からPLASMID MAXI キット(QIAGEN社製)に従い、組換えプラスミドを回収した。cDNAは、SP6 RNAポリメラーゼプロモーター配列とT7 RNA ポリメラーゼプロモーター配列に挟まれた部位に組み込まれている。そこで文献(DNA 4: 165,1985 )に記載のSP6 プロモータープライマーおよびT7プロモータープライマーを合成した。次に、SP6 プロモータープライマーまたはT7プロモータープライマーをFluore-dATP Labeling Mix(ファルマシアバイオテク社製)およびAutoRead Sequencing Kit (ファルマシアバイオテク社製)と組み合わせてジデオキシシークエンシング反応を行い、蛍光DNA シーケンサー(ファルマシアバイオテク社製)を使用し、両端からcDNAの塩基配列を決定した。SART-2cDNAの塩基配列は全長が3998塩基対と決定され、配列番号:1の通りであった。また、SART-2cDNAの塩基配列から推定される最長のオープンリーディングフレームを有するアミノ酸配列を配列番号:1および図1に示す。
【0067】
Gene Worksデーターベースを使用し、配列番号:1に記載の塩基配列の検索を行った。その結果、SART-2遺伝子は、第6染色体長腕(6q22)上に存在していた。
【0068】
実施例3
SART-2 クローンの活性断片の特定
実施例2で得られたSART-2cDNAから、様々なサイズのC末端欠失変異体腫瘍抗原タンパク質をコードする遺伝子の断片を作製した。この断片を含む組換えプラスミドDNA と参考例2にて調製したHLA-A2402 cDNAの組換えプラスミドをCOS7細胞に実施例1に記載の手法によりダブルトランスフェクトし、IFN-γ産生量をELISA によって測定した。得られた結果は、トリプリケートの平均値を示し、関連性のない遺伝子をHLA-A2402 遺伝子とダブルトランスフェクトしたネガティブコントロールへの反応性に対して、いずれも有意差(p<0.05)が認められた(図3)。
【0069】
図3より、C末端欠失変異体腫瘍抗原タンパク質は、全長のSART-2腫瘍抗原タンパク質に比べてIFN-γ産生量が低下しており、低下の程度からSART-2の腫瘍抗原ペプチドは、N末端側とC末端側に存在していることが示唆された。
【0070】
また、HLA-A24 のMHCクラスI抗原の型については、結合して提示されるペプチドの配列の規則性(モチーフ)が判明しており(seminars in IMMUNOLOGY 5:81-94,1993)、それを参考にして腫瘍抗原ペプチドの候補を調べたところ、表1に示される10個のペプチドP1〜P10(配列番号:2〜11)が腫瘍抗原ペプチドの候補として挙げられた。
【0071】
前記ペプチドを常法により合成し、最終濃度10μg/mlとなるように10%FCS 添加RPMI640 培養液に加え、HLA-A2402 cDNAをトランスフェクトしたCOS7細胞にパルスし、前記と同様にIFN-γ産生量を調べることにより腫瘍抗原ペプチドを同定した(図4)。
【0072】
図4より、P2(配列番号:3)、P3(配列番号:4)、P8(配列番号:9)、P9(配列番号:10)およびP10(配列番号:11)が活性があり、このうちP9が最も活性が高いことが示された。
【0073】
実施例4
腫瘍抗原タンパク質の HLA-A2402 拘束性の同定
異なる量(0 〜400ng/ウエル) のSART-2遺伝子を含むプラスミドベクターを、一定量(100ng/ウエル) のHLA-A2402 cDNAまたはHLA-A2601 cDNAとダブルトランスフェクトしたCOS7細胞それぞれに対して、KE-4- CTLが用量依存的に反応するかどうかをIFN-γ産生量を調べることにより検討した(図5)。
【0074】
図5より、SART-2腫瘍抗原タンパク質は、HLA-A2402 拘束性であることが示された。
【0075】
【発明の効果】
本発明の腫瘍抗原タンパク質および腫瘍抗原ペプチドを用いた抗腫瘍免疫を活性化するための医薬、本発明の腫瘍抗原タンパク質に対する抗体等を用いた自己免疫疾患を治療するための医薬、および腫瘍抗原タンパク質をコードするDNA 等を含有する医薬を提供することができ、また腫瘍または自己免疫疾患の診断方法を提供することができる。
【0076】
【配列表】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SART-2cDNAおよびそれから推定される最長のオープンリーディングフレームを有するアミノ酸配列(1文字標記)を示す。
【図2】図2は、SART-2遺伝子の構造を示す模式図である。ORFは、オープンリーディングフレームを示す。
【図3】図3は、SART-2遺伝子欠失変異体を用いてIFN-γ産生量をELISA によって測定したグラフである。図中、NCはネガティブコントロールを示す。
【図4】図4は、表1に示す推定HLA-A24 結合ペプチドを用いてIFN-γ産生量をELISA によって測定したグラフである。
【図5】図5は、SART-2遺伝子がコードする腫瘍抗原タンパク質がHLA-A2402 拘束性であることを示すグラフである。
Claims (8)
- 腫瘍抗原タンパク質である配列番号:1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド分子。
- 配列番号:1に示されるアミノ酸配列からなる腫瘍抗原タンパク質。
- 配列番号:1の1〜2817、1〜2256、1〜2000、1〜1867、1〜1525、1〜1239、1〜1100、1〜825、1〜540、1〜400および1〜200からなる群から選択されるポリヌクレオチド分子によりコードされる腫瘍抗原タンパク質。
- 配列番号:1の1〜2817、1〜2256、1〜2000、1〜1867、1〜1525、1〜1239、1〜1100、1〜825、1〜540、1〜400および1〜200からなる群から選択されるポリヌクレオチド分子。
- 配列番号:2〜7、9〜11いずれかの腫瘍抗原ペプチド。
- 請求項5に記載のペプチドをコードするオリゴヌクレオチド分子。
- 請求項2または3記載の腫瘍抗原タンパク質に対する抗体。
- 請求項5に記載の腫瘍抗原ペプチドに対する抗体。
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