JP4136581B2 - 発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡体の製造方法に関し、フィルム、容器、筐体などのプラスチック製品が利用されている分野において、特に水やアルコールなど液体に接する用途で、使用後の廃棄処理問題の解決を図るための生分解性の製品或いは部品として利用できる、デンプンまたはその誘導体を主成分とする発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、多くのフィルムや容器に利用されている石油合成高分子材料は、その原料の枯渇、及び加熱廃棄処理に伴う熱及び排出ガスによる地球温暖化、更に燃焼ガス及び燃焼後残留物中の毒性物質による食物や健康への影響、及び廃棄埋設処理地の確保など、様々な社会的な問題が懸念されている。
【0003】
アルギン酸やキチンなど天然生分解性高分子は、このような石油合成高分子の廃棄処理の問題点を解決する材料として従来から注目されてきた材料である。生分解性高分子は、石油合成高分子に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく自然環境での分解再合成のサイクルが保たれる等、生態系を含む地球環境に悪影響を与えない。中でもデンプン及びその誘導体は、植物から安定で豊富に供給されることと他の生分解高分子に比べて非常に安価であることから、その応用について古くから検討がなされてきた。
【0004】
しかし、デンプンまたはその誘導体は明確な融点をもった石油合成高分子のように溶融させて成形する事はできない。デンプンまたはその誘導体を成形するためには一旦、水を含有させて流動状態とした後に水を乾燥させる必要がある。この乾燥物は極めて脆く、かつ柔軟性に乏しく、さらには大気中の湿度によって吸湿して膨潤、変形或いは強度の変化を起こす問題がある。
【0005】
そのため、デンプン及びその誘導体は、他の材料との混合物として、食品などの増粘剤や表面塗布剤などの添加物質としての応用が広く一般的であるが、石油合成高分子の代替材料としての応用は少なく、あっても多くの添加物を含むものであり、その構造体の主たる材料として機能しているとは言えないものであった。
【0006】
よって、デンプンまたはその誘導体を石油合成高分子の代替材料とするためには、まず、構造体として成形された後に、補強すること、特に水や有機溶媒などに対して不溶化など耐性を与える必要がある。
水に対して不溶化する方法として、特開2001−329070号が提供されている。このデンプン誘導体の製造方法では、デンプン誘導体と水とのペースト状混合物に電離性放射線を照射して分子同士を橋かけする方法が提案されている。
上記電離性放射線により橋かけする方法を用いると、一般に残留による毒性が環境に与える影響が懸念される架橋剤などを一切使用しないため、生分解性による環境への配慮を目的とするデンプン誘導体を用いる目的に合致した方法となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法で得られた成形体は水を含むため、水を蒸散させると、水が含まれていた部分が空孔となって表面に穴が空いた発泡体構造となる。この発泡体では水と接する面に使用すると浸水が発生するため、耐水性が要求される水の部品あるいは製品には使用できない問題がある。また、前記したように、強度が低い問題もある。
【0008】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、デンプンまたはその誘導体を石油合成高分子の代替材料とし得るまで改質補強し、特に、水と接する用途において、耐水性に優れたものとすることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、デンプンまたはその誘導体と、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートあるいはポリカプロラクトンからなる生分解性樹脂と、水とを混練りする第一工程と、
前記混練した混合物を前記デンプンまたはその誘導体のアルファ化温度以上で加熱しながら加圧成形または押出成形して水を含んだ所要形状の成形体に成形する第二工程と、
上記成形体に電離性放射線を照射して前記デンプンまたはその誘導体を橋架けする第三工程と、
含有する水を加熱蒸散して発泡して発泡層とする第四工程と、
前記発泡層の表面の全面あるいは一方の表面側に溶融した前記生分解性樹脂を塗布し、あるいは、生分解性樹脂を予め薄いシート状に成形して上記発泡体の表面に配置して、加熱または溶媒で接着させて、無孔層を形成する第五工程と、
を有することを特徴とする発泡体の製造方法を提供している。
【0010】
このように、本発明では、デンプンまたはその誘導体と、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートあるいはポリカプロラクトンからなる生分解性樹脂と、水を混合し、この混合物をデンプンまたはデンプン誘導体のアルファ化温度以上で加熱しながら加圧成形あるいは押出成形し、水を含んだ所要形状の成形体を成形する。この成形体に対して電離性放射線を照射して橋かけを行って強度を高めている。この状態で成形体は水を含んでいるため、加熱して水を除去し、この水の除去により発泡体(発泡層)を形成している。
【0011】
上記発泡体の原料となるデンプンとしては、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプンなどが挙げられる。また、これらデンプンを原料とするデンプン誘導体としては、カルボキシメチルデンプン、カルボキシエチルデンプン、メチルデンプン、エチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、酸化デンプン、アセチルデンプン、アミノアセチルデンプン、アリルデンプン、酢酸デンプン、酢酸エステルデンプンなどが挙げらえる。
【0012】
具体的には、まず、水に容易に分散或いは溶解するように粉末状としたデンプンまたはその誘導体およびポリ乳酸等の生分解性樹脂に水を加えて混合する。この混合物は、水を溶媒とした濃度で20〜90%が望ましく、さらにペースト状にならない70〜80%が望ましい。この状態では、デンプンまたはその誘導体の粉末は、湿気を伴った粉末のままの状態である。
【0013】
次に、この混合物を、混合されているデンプンまたはその誘導体のアルファ化温度である55〜65℃近辺よりも高い温度に加熱しながら加圧成形或いは押出成形して所望の形状で、かつ、乾燥させずに水を含んだ状態で成形する。
上記加圧成形の前にも上記アルファ化以上の温度で予備加熱しておくことが好ましい。
【0014】
デンプンまたはその誘導体は、様々な官能基を導入して、その成分であるアミロースのミセル構造化を阻害して、水に容易に分散溶解するようにしている。
上記のように加圧成形時、好ましくは加圧成形時の前にも、アミローズのミセル構造が解離するアルファ化温度以上の温度にすることで、成形および一体化が促進される。したがって、一般に置換度の高いデンプン誘導体ほど、加熱の程度は少なくて良く、水が蒸発することを考えれば70〜100℃にするのが望ましい。
【0015】
本来、デンプンまたはその誘導体の乾燥物は、破断強度などは強いものであるが非常に脆く、特に曲げに弱い。この発泡体の曲げ強度を向上させるために、成形体に電離性放射線を照射している。
すなわち、上記の水を含んだ加熱成形体に対して、重イオン線、アルファ線、ベータ線すなわち電子線、ガンマ線、X線、紫外線等の電離性放射線を照射する。この線種については、重イオンなどの大きな粒子線ではデンプンまたはその誘導体分子に与える影響にムラができる点、X線や紫外線では分子に与えるエネルギーが小さい点からあまり適さず、汎用性から考えると電子線やガンマ線の使用が望ましい。
【0016】
上記電離性放射線の照射量、すなわち線量は、デンプンまたはその誘導体を橋かけするのに必要十分な線量である必要がある。具体的には1kGy以上200kGy未満が望ましく、さらに望ましくは3〜10kGyである。
しかし、後述するデンプンまたはその誘導体をさらに補強する効果をもつセルロース誘導体を混合する場合は、これらの最適橋かけ線量がデンプンまたはその誘導体より高いことから、配合量によって数10Gyから100kGyの範囲であることが望ましい場合がある。
【0017】
このようにして得られた橋かけデンプンまたはその誘導体は、特に高濃度混合物によるものは非常に強度の強い成形体となる。
しかしながら、大気中におくと徐々に水を失い、乾燥して水分を失った分収縮変形を起こす。そこで、この水分を除去して安定な状態にすることが必要である。
【0018】
この水分除去の方法としては、自然乾燥及び凍結乾燥、加熱乾燥などがあるが、所望の成形体を作製する上では、水の含有分を空気に置き換える加熱発泡が工業的には適している。すなわち、所望の形状に保持した状態で、水の融点以上に加熱して水を蒸散させる方法である。
【0019】
上記した含まれた水分が加熱蒸散して気体となって抜けた部分が気泡(空孔)となって残る事で発泡体が形成される。したがって、水分蒸散時の加熱温度が低い場合には、水は集まって大きな孔となり、温度が高い程水はその場で一気に気体となり抜けて木目の細かい発泡構造となる。したがって、加熱する温度および伝熱方法を選択する事で、所望の発泡体を製造することが可能である。
また、一般に低温ほど蒸散に要する時間が必要となり、高温ほど発泡体の強度は低下する。但し、140℃以下では蒸散にかなりの時間を要することや、200℃以上ではデンプンまたはその誘導体の分解が進行するため、実質的には150℃〜200℃とすることが望ましい。
【0020】
以上のようにして得られたデンプンまたはその誘導体の発泡体は、材料強度的には十分使用に耐えるものであるが、これらを使用するに当たって、水分に弱いという極めて重要な弱点がある。すなわち、この発泡体は、水に触れるとそれを吸収して膨潤し強度が低下する。
【0021】
この問題について、発明者は鋭意研究の結果、デンプンまたはその誘導体発泡体に水を通さない層を設ける事で本課題を解決できることを見出した。
特に本発明の目的を鑑みれば、この水不透層は生分解性であることが望ましく、この目的に合致する物として、生分解性の樹脂が非常に有効であることを発見した。
【0022】
上記のように、無孔の表面層を構成する生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートあるいはポリカプロラクトンからなる。
特にポリ乳酸は、化学合成ではなく天然由来の材料である点、融点が非常に高い点や水を含めアルコールなど多くの溶媒に不溶で有る点から好適である。
【0023】
本発明では、これら生分解性の樹脂を、デンプンまたはその誘導体および生分解性樹脂を含む発泡体(発泡層)の表面に層状に一体化している。
この一体化方法としては、生分解性樹脂を融点以上に熱した状態や該樹脂が溶ける溶媒に溶解した状態で、デンプンまたはその誘導体の発泡体の表面に塗布してもよいし、予め薄いシート状に成形した樹脂をデンプンまたはその誘導体の発泡体の表面に配置し、加熱や溶媒で両者を接着させてもよい。
また、この生分解性樹脂の無孔層は、用途によって水に接触する部分あるいは面のみに設けても良いし、全面を被覆してしまうことも可能である。
【0024】
上記のように、デンプンまたはその誘導体を主成分とする成形体は、発泡体構造となるため、その表面に生分解性樹脂の無孔層を設ける事で、耐水性を付与することができ、かつ、この無孔層を構成する材料として生分解性樹脂を用いているため、生分解性の特性を有するデンプンまたはその誘導体からなる発泡体の特性を損なわせることがない。
【0025】
さらに、発泡体の表面に生分解性樹脂の無孔層を設けるだけでなく、この生分解性樹脂を、デンプンまたはデンプン誘導体に水とともに配合し、生分解性樹脂を含有する発泡体としているため、発泡体の曲げ強度を高めることができる。
上記発泡体への生分解性樹脂の混合は、発泡体全体でも良いし、表面設けている無孔層に接する部分に混合してもよい。
【0026】
かつ、曲げに対する柔軟性を向上させるために、デンプンまたはデンプン誘導体と水との混合物に、グリセリンやエチレングリコールなどの可塑剤を添加することが好ましい。また、曲げ強度自身を向上させるには、セルロース誘導体を用いることが好ましい。なお、セルロースや鉱物フィラーを用いても良い。
【0027】
上記セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化セルロース、アセチルセルロース、アミノアセチルセルロース、アリルセルロース、酢酸セルロース、酢酸エステルセルロースなどの挙げられる。
この種のセルロース誘導体とデンプンまたはその誘導体とは、十分に混合させることが出来ると共に一体化させることができる。また、この両者は水との親和性の高い共通点を有することから、補強効果が高められる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係わる発泡体1を示し、デンプンを主成分とする発泡状シート2の全表面にポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂からなる無孔層3を備えている。
【0029】
図2(A)(B)は変形例を示す。(A)の発泡体1’はデンプン誘導体を主成分とする発泡状皿部材2’の内面に無効層3を備えている。(B)の発泡体1”は図1と同様な形状としているが、発泡状シート2”はデンプン誘導体を主成分とするとともに、表面の無孔層3と同一の生分解性樹脂を含有させている。
【0030】
図3は上記した発泡体の第1の製造工程を示す。
第一工程では、デンプンまたはデンプン誘導体の粉末と水とを配合して混合している。
第二工程は、上記混合物を混合物したデンプンのアルファ化温度55〜65℃以上で100℃以下の温度で加熱しながらプレス成形し、所要形状の成形体としている。
第三工程で、上記成形体に電離性放射線を1kGy以上200kGy未満の照射量で照射して、上記デンプンの分子同士を橋かけをしている。
上記工程により水を含んだデンプンからなる成形体を製造している。
第四工程で、上記成形体を加熱して水分を蒸散させて、発泡体を形成している。 第五工程で、上記発泡体の表面に溶融した生分解性樹脂を塗布し、無孔層を形成している。
【0031】
図4は第2実施形態の製造工程を示し、デンプンまたはデンプン誘導体と水とに更に、グリセリンあるいはエチレングリコール等の可塑剤と、カルボキシメチルセルロース等の補強材等を配合している。他は第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0032】
図5は第3実施形態を示し、デンプンまたはデンプン誘導体と水と、グリセリンあるいはエチレングリコール等の可塑剤と、カルボキシメチルセルロース等の補強材等を配合し、さらに、表面の無孔層を形成する生分解性樹脂(ポリ乳酸)を配合している。他は第2実施形態と同様である。
【0033】
図6は第4実施形態を示し、第1実施形態との相違点は、第1工程の混合物を調製した後に、第二工程で混合物を混合するデンプン(またはデンプン誘導体)のアルファ化温度以上で予め加熱している予備加熱工程を追加した点である。この後は加熱状態で加圧成形し、第1実施形態と同様としている。
なお、第2、第3実施形態のデンプン(またはデンプン誘導体)にセルロース誘導体あるいは/および生分解性樹脂を混合した場合にも、第4実施形態の予備加熱工程を加えてもよい。
【0034】
図7は第5実施形態を示し、第一工程でデンプン(またはデンプン誘導体)と水と混合し、第二工程で混合物に対して電離性放射線を照射し、第三工程で水分を蒸散させ、第四工程で生分解性樹脂製のシートを表面に一体的に溶着または接着している。
【0035】
以下に、実施例と、その比較例について詳述する。
「参考実施例1、比較例1」
デンプン誘導体として、日本コーンスターチ製酢酸エステルスターチ#5200を使用した。該デンプン誘導体100重量部を、純水42.9重量部(デンプン誘導体の水溶液として70%濃度に相当)とグリセリン6重量部を加えた溶液に少しずつ加えて混合した。
【0036】
次に、この混合物を密閉容器に入れて、70℃恒温槽に1時間静置し、恒温槽から取り出して室温まで自然冷却したものを、プレス温度100℃、プレス圧140kg/cm2、予熱3分、加圧5分、同圧室温まで水冷の条件で、プレス成形機にてポリエチレンテレフタレートフィルム2枚に挟まれた厚み1mmのシート状に成形した。このシート状成型品に、加速電圧2MeV、電流1mAの電子線を3、10、40kGy照射した。
【0037】
ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、直径約10cmの円状に切り取った上記シート状成型品の両面を、住友電工ファインポリマー製の多孔質PTFEフィルター(型番FP−500)にて覆い、さらに、その上に20メッシュのステンレス金網で両面挟んだ状態で、外径10cm深さ6mm底部内径5cmの皿状のステンレス金型に配置し、金型の隙間2mmとして、プレス温度150℃のプレス成型機を用いて、プレス圧20〜30kg/cm2で隙間を保持した状態で25分加熱乾燥し水分除去および発泡化した。
【0038】
さらに、幅1cm長さ8cmの長方形の板状に切り出した上記シートについて同様に、多孔質PTFEフィルター、さらに20メッシュのステンレス金網で両面を挟んだ状態で隙間1mmの金型内に挿入し、プレス温度150℃のプレス成型機を用いて、プレス圧20〜30kg/cm2で隙間を保持した状態で、25分加熱乾燥し水分除去および発泡化した。
【0039】
最後に、これら皿状および板状発泡体に、ポリ乳酸の3重量%クロロフォルム溶液を均一に塗布、クロロフォルムを乾燥する操作を2回行ったものを実施例1とした。皿状発泡体は全面に塗布したものと皿の内側上面にのみ塗布したものを用意し、板状サンプルは全面に塗布したもののみとした。
ポリ乳酸溶液を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1を作成した。
【0040】
「参考実施例2、3、比較例2、3」
デンプン誘導体100重量部に対して、カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学製、置換度1.29)を5重量部、10重量部加えたこと以外は実施例1と同様にして、各々参考実施例2、3とした。
また、ポリ乳酸溶液を塗布しなかったこと以外は、参考実施例2、3と同様にして、各々比較例2、3とした。
【0041】
「実施例4〜6、比較例4〜6」
デンプン誘導体100重量部に、ポリ乳酸を6重量部、10重量部加えたこと以外は実施例2と同様にして、各々実施例4、5とした。
ポリ乳酸を6重量部加えたこと以外は実施例3と同様にして、実施例6とした。 また、ポリ乳酸溶液を塗布しなかったこと以外は、実施例4〜6と同様にして、各々比較例4〜6とした。
【0042】
以上の参考実施例1〜3、実施例4〜6、比較例1〜6の作製条件の違いを下記の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1中において、耐水性評価の記号の意味は下記の通りである。
◎…12時間で全く変化無し
○…12時間で浸潤無きも一部に白色化層間剥離あり
×…1時間以内に浸潤し液体漏れあり
【0045】
「参考実施例、実施例および比較例の評価」
参考実施例1〜4、実施例4〜6及び比較例1〜6について、以下の(1)耐溶媒性、(2)3点曲げ応力について比較評価した。
【0046】
(1)耐溶媒性
各実施例および比較例の、前述の方法で用意した皿状発泡体に10ccの純水を入れて皿の経時変化を観察した。
その結果、比較例1〜6では、いずれのサンプルも5分以内に皿の底部から気泡が発生し、発泡体の膨潤が観察された。さらに1時間後には全てのサンプルの水は発泡体に吸収され、一部は底面から漏れ出た。底部は膨潤して柔らかくなり、指で押すと容易に破れる状態であった。
【0047】
これに対して、実施例の皿状サンプルは、ポリ乳酸の片面塗布、両面塗布に限らず、いずれのサンプルも変化はなく、12時間後もこの状態を維持したが、実施例1〜3は底部の一部に白色化した部分が認められ、ポリ乳酸層がデンプン誘導体発泡層から剥離して浮いていた。これに対して、デンプン誘導体発泡層にポリ乳酸を混合した実施例4〜6は、該変色など変化は全く認められなかった。
【0048】
以上の結果を表1の最右欄にまとめた。
耐水性は、ポリ乳酸の塗布が必須であり、さらに、デンプン発泡体へのポリ乳酸の混合でその効果が上がることが認められた。さらに、同様の試験をエチルアルコールでも行ったが、発泡体にエチルアルコールが浸潤しても発泡体の膨潤が起こらなかった以外は同様の結果であった。
【0049】
(2)3点曲げ応力
各実施例および比較例の、前述の方法で用意した幅1cm長さ8cm厚み1mmの長方形板状を、支点間距離2.5cm、試験速度20mm/分で曲げたときの最大応力荷重を測定し、次式によって算出した。
3点曲げ応力(kgf/mm2)=3FL/2bh2
式中、Fは最大応力荷重(kgf)、Lは支点間距離(mm)、bはサンプル幅(mm)、hはサンプル厚み(mm)。
【0050】
参考実施例1〜3および比較例1〜3の結果を図8に示す。
実施例、比較例ともに電子線照射によって、曲げ強度は上昇するが、40kGyではすでに減少した。また、参考実施例1〜3では、ポリ乳酸層を塗布する前の比較例1〜3に対して曲げ強度は減少する傾向があることが認められた。
【0051】
実施例4〜6および比較例4〜6の結果を図9に示す。
曲げ強度は図1の参考実施例1〜3よりも全体的に低下するが、ポリ乳酸層の塗布によって強度が低下する参考実施例1〜3とは対照的に、実施例4〜6は塗布前の比較例4〜6よりも向上する傾向が認められた。これは、ポリ乳酸のデンプン誘導体発泡体層への混合が、ポリ乳酸層との親和性を向上させた結果であると考えられる。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、デンプンまたはその誘導体からなり、電離性放射線によって橋かけ効果をたかめた後に、水分を蒸散させて発泡体とした後、生分解性樹脂の無孔層を表面に設けるいるため、強度を有する耐水性の発泡体とすることができる。
【0053】
上記発泡体はデンプンまたはデンプン誘導体からなり、その表面の無孔層も生分解性樹脂で形成し、全てを天然由来の生分解性材料で構成されているため、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少ない。よって、大量に製造、廃棄されるプラスチック製品全般の代替材料、特に水や有機溶媒、油などの液体と接することが考えられる各種の容器類とすることができる。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される医療用器具への適用にも適した材料となる。一時的な強度保持のみでよい用途やその後に柔軟化して分解除去が期待される用途に応用可能である。
【0054】
特に、発泡体の主成分であるデンプンまたはデンプン誘導体に、表面の無孔層を形成する生分解性樹脂を配合して発泡体を成形することにより、補強、特に、デンプンまたはその誘導体成形体の弱点である曲げ曲げ強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の発泡体を示す断面図である。
【図2】 (A)(B)は変形例の発泡体を示す断面図である。
【図3】 本発明の発泡体の製造方法の第1実施形態を示す工程図である。
【図4】 製造方法の第2実施形態を示す工程図である。
【図5】 製造方法の第3実施形態を示す工程図である。
【図6】 製造方法の第4実施形態を示す工程図である。
【図7】 製造方法の第5実施形態を示す工程図である。
【図8】 本発明の参考実施例1〜3および比較例1〜3についての、電子線照射量と3点曲げ応力の関係を示すグラフである。
【図9】 本発明の実施例4〜6および比較例4〜6についての、電子線照射量と3点曲げ応力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 発泡体
2 発泡状シート
3 無孔層
Claims (1)
- デンプンまたはその誘導体と、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートあるいはポリカプロラクトンからなる生分解性樹脂と、水とを混練りする第一工程と、
前記混練した混合物を前記デンプンまたはその誘導体のアルファ化温度以上で加熱しながら加圧成形または押出成形して水を含んだ所要形状の成形体に成形する第二工程と、
上記成形体に電離性放射線を照射して前記デンプンまたはその誘導体を橋架けする第三工程と、
含有する水を加熱蒸散して発泡して発泡層とする第四工程と、
前記発泡層の表面の全面あるいは一方の表面側に溶融した前記生分解性樹脂を塗布し、あるいは、生分解性樹脂を予め薄いシート状に成形して上記発泡体の表面に配置して、加熱または溶媒で接着させて、無孔層を形成する第五工程と、
を有することを特徴とする発泡体の製造方法。
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