JP4135093B2 - サイクロン型遠心分離装置 - Google Patents

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Description

この発明は、流体に含まれる微粉末状クズ等の微細物を分離して除去するサイクロン型遠心分離装置に関するものである。
例えば、機械加工装置では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれ、切削液には微粉末状の切削クズが含まれる。この微粉末状の切削クズが含まれる切削液をフィルタ装置に供給し、このフィルタ装置で切削クズを除去して切削液を供給タンクに戻している(例えば特許文献1)。
このようなフィルタ装置には、例えばフィルタ膜によって切削クズを除去したり、沈殿によって切削クズを除去するものがあるが、いずれも切削液に大量に含まれる微粉末状の切削クズを、小型の装置で短時間に確実に除去することができない等の問題がある。また、フィルタ膜が目詰まりを起こすことがあり、詰まってしまった場合まずフィルタ装置の分解作業をし、そのフィルタ膜を洗浄しなければならない。この洗浄作業や使用不能になると交換作業が発生する。また、フィルタ膜は大抵繰り返し使用すると、濾過精度は悪くなり、詰まり易くなるため、フィルタ膜の殆どが使い捨てフィルタ膜であり、コストがかかる等の問題がある。
このようなフィルタ装置に代えてサイクロン型遠心分離装置を用いると、液体導入通路から微細物を含む液体を所定流速で渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路から微細物を分離した流体を排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるため、目詰まりのような問題は解消される(例えば特許文献2)。
このようなサイクロン型遠心分離装置において、微細物を分離する分離効率を高めるために、液体流出通路の開口にフィルタを設けるものがある(例えば特許文献3)。
特開2001−137743号公報 特開平10−286493号公報 特開平10−286493号公報
ところで、液体流出通路の開口にフィルタを設けると、目詰まりが生じるために、サイクロン型遠心分離装置からフィルタを取り出して、洗浄したり交換する必要があるが、いずれも手数がかかる。
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、微細物を分離する分離性能を向上し、しかも目詰まりを効率的に防止し、濾過性能を長期間維持することができるサイクロン型遠心分離装置を提供することを目的としている。
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、液体導入通路から微細物を含む液体を供給して所定流速で渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路から微細物を分離した流体を排出し、前記渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるサイクロン部を備え、
前記液体流出通路の開口に前記微細物を濾過する金属メッシュを設け、
前記金属メッシュに前記微細物の電荷と同じ電荷を付与し、
前記サイクロン部の軸芯位置に電極棒を配置し、この電極棒に前記微細物の電荷と同じ電荷を付与することを特徴とするサイクロン型遠心分離装置である。
請求項に記載の発明は、前記サイクロン部に前記微細物の電荷とは反対の電荷を付与することを特徴とする請求項1に記載のサイクロン型遠心分離装置である。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1に記載の発明では、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路から微細物を分離した流体を金属メッシュで濾過して排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させ、遠心による分離と濾過による分離を行なうことで、微細物を分離する分離性能が向上する。また、金属メッシュには微細物の電荷と同じ電荷を付与することで、微細物が金属メッシュの電荷で微細物が離れるようになって目詰まりを効率的に防止し、濾過性能を長期間維持することができる。また、サイクロン部の軸芯位置に電極棒を配置し、この電極棒に微細物の電荷と同じ電荷を付与することで、遠心状態で微細物を外側へ移動させるのに加え、電極棒の電荷によって微細物をサイクロン部の内壁方向へ移動させるから、微細物を分離する分離性能が向上する。
請求項に記載の発明では、サイクロン部に微細物の電荷とは反対の電荷を付与することで、遠心状態で微細物を外側へ移動させるのに加え、サイクロン部の電荷によって微細物をサイクロン部の内壁方向へ移動させるから、微細物を分離する分離性能がより向上する。
以下、この発明のサイクロン型遠心分離装置の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明の用語はこれに限定されない。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置は、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物の濾過に、また自動車、工作機、加工業の切削粉等の微細物の回収に、また各工場、水処理等の循環水、排水の濾過に、また半導体、バイオ等の不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物の除去等に使用され、液体に含まれる微細物を分離除去するものに広く使用される。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置の一例を、図1及び図2に示す。図1はサイクロン型遠心分離装置の断面図、図2はサイクロン型遠心分離装置の平面図、図3は電極棒の取付具を示す斜視図である。
この実施の形態では、工作機、加工業の切削粉等の微細物の回収に用いる場合について説明する。この実施の形態では、液体に含まれる微粉末状クズの微細物を除去する場合について用いているが、微細物であればよく、微粉末状クズに限定されない。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1は、鉛直方向にサイクロン部2と粒子捕集箱3とを有する。サイクロン部2は、円筒2a、サイクロンボディ2b、蓋体2cから構成される。円筒2a内にサイクロンボディ2bが挿着され、この上部に蓋体2cが取り付けられている。
サイクロンボディ2bは、SUS等の導体金属で形成され、円筒2aは樹脂等の絶縁体で形成されている。蓋体2cは、樹脂等の絶縁体で形成され、この蓋体2cに軸芯に液体流出通路4を有し、軸芯から偏位した位置に液体導入通路5を有する。
液体流出通路4は、蓋体2cに貫通した管体6により形成され、この管体6はSUS等の導体金属で形成される。液体導入通路5は、蓋体2cに一体成形した管体7により形成される。
サイクロンボディ2bは、上下2段のテーパ部2b1,2b2を有し、下部のテーパ部2b2は連通孔8を介して粒子捕集箱3に連通している。このサイクロン部2で液体導入通路5から微細物を含む液体を供給して所定流速で渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路4から微細物を分離した流体を排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させる。
このサイクロン部2で沈降する分離された微細物は、連通孔8を通して粒子捕集箱3に落下して溜る。粒子捕集箱3は、下部の排出孔3aにドレンバルブ9が接続され、このドレンバルブ9によって粒子捕集箱3に溜る微細物のドレンが排出される。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1は、サイクロン部2の軸芯位置に電極棒10を配置している。この電極棒10は、図1及び図3に示すように、電極棒10の上端10aに固定した取付具11を管体6の内部に取り付けている。取付具11は、4個の取付片11aを有し、管体6の内部に取り付けた状態で取付片11aの間から微細物を分離した流体を排出できるようになっている。また、取付具11はSUS等の導体金属で形成される。
この電極棒10は、図1に示すように、サイクロン部2から連通孔8を通して粒子捕集箱3の中央部まで延びて位置している。電圧印加手段12が管体6、取付具11を介して電極棒10に微細物の電荷と同じ電荷を付与する。この実施の形態では、液体に含まれる微細物が処理工程で静電気が生じて負に帯電するために、管体6、取付具11、電極棒10に負の電位をかけて負極として負の電荷を与えている。
また、電圧印加手段12は、サイクロン部2に微細物の電荷とは反対の電荷を付与する。この実施の形態では、サイクロン部2のサイクロンボディ2bに正の電位をかけて正極として正の電荷を与えている。
また、液体流出通路4の開口に微細物を濾過するように金属メッシュ90が設けられ、この金属メッシュ90は電極棒10と管体6の下端との間に取り付けられている。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1は、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路4から微細物を分離した流体を金属メッシュ90で濾過して排出し、渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させる。このように、遠心による分離と濾過による分離を行なうことで、微細物を分離する分離性能が向上する。
また、サイクロン部2の軸芯位置に電極棒10を配置し、この電極棒10に微細物の電荷と同じ電荷を付与することで、遠心状態で微細物を外側へ移動させるのに加え、電極棒10の電荷によって微細物をサイクロン部2の内壁方向へ移動させるから、微細物を分離する分離性能が向上する。
また、サイクロン部2に微細物の電荷とは反対の電荷を付与することで、遠心状態で微細物を外側へ移動させるのに加え、サイクロン部2の電荷によって微細物をサイクロン部2の内壁方向へ移動させるから、微細物を分離する分離性能がより向上する。
また、金属メッシュ90には、管体6、電極棒10を介して微細物の電荷と同じ電荷を付与することで、微細物が金属メッシュ90の電荷で微細物が離れるようになって目詰まりを効率的に防止し、濾過性能を長期間維持することができる。
また、この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1には、液体導入通路5からの液体導入圧力を検知する液体導入圧力検知センサ20が備えられ、液体流出通路4からの液体流出圧力を検知する液体導入圧力検知センサ21が備えられ、これらの圧力情報が制御手段22に送られる。制御手段22では、液体導入圧力と液体流出圧力に基づき圧力損失を得、この圧力損失が所定以上の場合に電圧印加手段12を制御し、金属メッシュ90に微細物の電荷と同じ電荷を付与するようにしてもよい。
また、制御手段22はタイマ23の時間情報に基づき、電圧印加手段12を制御し、金属メッシュ90に間欠的に微細物の電荷と同じ電荷を付与するようにしてもよい。このように、常時金属メッシュ90に電荷を与えないで、間欠的または圧力損失の少なくとも一方に基づいて微細物の電荷と同じ電荷を付与することで、金属メッシュ90の電荷で微細物が離れるようになって目詰まりを効率的に防止し、濾過性能を長期間維持することができる。
なお、この実施の形態では、管体6、電極棒10を介して金属メッシュ90に微細物の電荷と同じ電荷を付与し、サイクロン部2に微細物の電荷とは反対の電荷を付与するようにしているが、金属メッシュ90に微細物の電荷と同じ電荷を付与する構造であれば、これに限定されない。例えば、管体6、電極棒10を介さないで直接金属メッシュ90に微細物の電荷と同じ電荷を付与してもよく、サイクロン部2に微細物の電荷とは反対の電荷を付与しないで、金属メッシュ90に微細物の電荷と同じ電荷を付与するようにしてもよい。
次に、他の実施の形態のサイクロン型遠心分離装置の一例を、図4及び図5に示す。図4はサイクロン型遠心分離装置の断面図、図5はサイクロン型遠心分離装置の平面図である。この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1は、図1乃至図3の実施の形態のサイクロン部2を構成する円筒2a、サイクロンボディ2b、蓋体2cを一体の樹脂等の絶縁体で形成しており、他の同じ構成は同じ符号を付して説明を省略する。
この実施の形態のサイクロン型遠心分離装置1は、一体の樹脂等の絶縁体で形成したサイクロン部2の内壁にパンチングメタル30を取り付けている。このパンチングメタル30に微細物の電荷とは反対の電荷を付与し、パンチングメタル30を取り付けることで過電流を防止でき、遠心状態で微細物を外側へ移動させるのに加え、サイクロン部2の電荷によって微細物をサイクロン部2の内壁方向へ移動させるから、微細物を分離する分離性能がより向上する。
このサイクロン型遠心分離装置は、製薬、化学、食品、飲料の原料他の微細物の濾過に、また自動車、工作機、加工業の切削粉等の微細物の回収に、また各工場、水処理等の循環水、排水の濾過に、また半導体、バイオ等の不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の異物である微細物の除去等に使用され、液体に含まれる微細物を分離除去するものに広く使用される。
サイクロン型遠心分離装置の断面図である。 サイクロン型遠心分離装置の平面図である。 図3は電極棒の取付具を示す斜視図である。 サイクロン型遠心分離装置の断面図である。 サイクロン型遠心分離装置の平面図である。
符号の説明
1 サイクロン型遠心分離装置
2 サイクロン部
4 液体流出通路
5 液体導入通路

Claims (2)

  1. 液体導入通路から微細物を含む液体を供給して所定流速で渦巻きを生じさせ、遠心状態で微細物を外側へ移動させて液体流出通路から微細物を分離した流体を排出し、前記渦巻きを減速させて分離された微細物を沈降させるサイクロン部を備え、
    前記液体流出通路の開口に前記微細物を濾過する金属メッシュを設け、
    前記金属メッシュに前記微細物の電荷と同じ電荷を付与し、
    前記サイクロン部の軸芯位置に電極棒を配置し、この電極棒に前記微細物の電荷と同じ電荷を付与することを特徴とするサイクロン型遠心分離装置。
  2. 前記サイクロン部に前記微細物の電荷とは反対の電荷を付与することを特徴とする請求項1に記載のサイクロン型遠心分離装置。
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