JP4134968B2 - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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これに対し、シート摩耗を低減するための公知技術として、例えば、特許文献1に記載された燃料噴射ノズルがある。この燃料噴射ノズルは、ノズルボディのシート面にシートラインを設けて、このシートラインにニードルのテーパ面(円錐面)が着座する構成である。
また、先のノズル部(図9参照)の場合と同様に、ニードルの往復動作が繰り返し行われることで、ニードルのテーパ面およびノズルボディのシートラインが摩耗することは避けられず、根本的な解決には至っていない。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、シート摩耗を軽減できる燃料噴射ノズルを提供することにある。
本発明の燃料噴射ノズルは、先端部に噴孔を有するノズルボディと、このノズルボディの内部に往復動可能に収容されるニードルとを備え、ノズルボディには、噴孔より上流側に円錐状のシート面が設けられ、ニードルの先端部には、閉弁時にシート面に着座するシートラインが設けられている。また、ニードルの閉弁時にシートラインがシート面に着座すると同時またはその直後に、ニードルとノズルボディとが軸方向に直接当接する当接部を設けている。この当接部は、シートラインがシート面に着座するシート部より上流側に設けられて、ニードルに設けられたボディ当接部と、ノズルボディに設けられたニードル当接部とから成り、シートラインがシート面に着座すると同時またはその直後に、ボディ当接部がニードル当接部に当接する構成であり、且つ、ボディ当接部は、ニードルの周方向に複数箇所設けられ、それぞれの間に上流側と下流側とを連通して燃料通路の一部を成す切欠きが形成されていることを特徴とする。
また、ニードルの周方向に複数箇所設けられたボディ当接部とボディ当接部との間に燃料通路の一部を成す切欠きが形成されているので、ニードルのボディ当接部がノズルボディのニードル当接部に当接した状態でも、当接部によって燃料通路が遮られることはなく、切欠きを通ってニードルのシートラインまで高圧燃料を導くことができる。
本発明の燃料噴射ノズルは、先端部に噴孔を有するノズルボディと、このノズルボディの内部に往復動可能に収容されるニードルとを備え、ノズルボディには、噴孔より上流側に円錐状のシート面が設けられ、ニードルの先端部には、閉弁時にシート面に着座するシートラインが設けられている。また、ニードルの閉弁時にシートラインがシート面に着座すると同時またはその直後に、ニードルとノズルボディとが軸方向に直接当接する当接部を設けている。この当接部は、ニードルの先端部に突設されたボディ当接部を有し、ニードルのシートラインがシート面に着座すると同時またはその直後に、ボディ当接部の先端がノズルボディの先端部に凹設されたサック室の底面に当接することを特徴とする。
上記の構成によれば、ニードルのシートラインがシート面に着座すると同時(但し、シートラインがシート面に着座する前に、ニードルとノズルボディとが当接部にて当接することはない)、または着座直後に、ニードルとノズルボディとが当接部にて直接当接するので、閉弁荷重がシート部だけに加わることはなく、シート部と当接部との二箇所に分散される。これにより、シート部の面圧を低減できるので、シート摩耗を軽減できる。なお、前記シート部は、ニードルのシートラインがシート面に着座する部位である。
また、当接部を設けるためにノズルボディの形状を変更する必要はなく、ニードルの先端部にボディ当接部を突設するだけで良いため、加工が容易である。さらに、ボディ当接部は、ニードルの先端部(シートラインより下流側)に設けられるので、シートラインより上流側で燃料通路が絞られることはない。
請求項2に記載した燃料噴射ノズルにおいて、当接部は、ニードルの先端部に突設されたボディ当接部と、ノズルボディのサック室に配設されたストッパ部材とから成り、ニードルのシートラインがシート面に着座すると同時またはその直後に、ボディ当接部がストッパ部材に当接することを特徴とする。
この構成では、当接部を設けるためにノズルボディの形状を変更する必要はなく、ノズルボディとは別体のストッパ部材をノズルボディのサック室に配設するだけで良い。また、ニードルのボディ当接部は、ニードルの先端部に突設するだけで良いため、加工が容易である。さらに、ボディ当接部は、ニードルの先端部(シートラインより下流側)に設けられるので、シートラインより上流側で燃料通路が絞られることはない。
請求項1〜3に記載した何れかの燃料噴射ノズルは、高圧燃料を蓄えるコモンレールに接続され、コモンレールより供給される燃料を内燃機関に噴射するコモンレール用インジェクタに用いられていることを特徴とする。
近年、コモンレール用インジェクタでは、噴射圧の増加により、ノズルに掛かる負荷が大きくなっているため、シート摩耗の問題が深刻になっている。これに対し、請求項1〜3に記載した何れかの燃料噴射ノズルをインジェクタに採用することで、シート摩耗の軽減に効果を発揮する。
図1はインジェクタ1のノズル部の断面図である。
インジェクタ1は、例えば、ディーゼル機関用のコモンレール式燃料噴射装置に使用されるもので、図3に示す様に、先端部に噴孔2を有するボディ3と、このボディ3に収容されるニードル4と、このニードル4の背圧(ニードル4を閉弁方向に付勢する燃料圧力)を蓄える制御室5と、この制御室5の燃料圧力を制御するためのバルブ6と、このバルブ6を駆動する駆動手段(後述する)等より構成される。
ニードル4は、収容孔の内周に微小なクリアランスを有して摺動可能に嵌合する摺動部4aと、この摺動部4aより外径が小さく設けられて、摺動部4aの図示下方へ棒状に延設された軸部4bと、この軸部4bの先端に設けられる円錐形状部(以下に説明する)とを有している。
円錐形状部は、図1に示す様に、円錐角が異なる第1円錐部4cと第2円錐部4dとで構成され、円錐角が小さい第1円錐部4cと円錐角が大きい第2円錐部4dとの稜線がシートライン4eとして設けられている。
このニードル4とボディ3には、シート部12の他に、ボディ3とニードル4とが軸方向(ニードル4の閉弁方向)に当接する当接部(後述する)が設けられている。
バルブ室17には、連通路16が接続される制御ポート18と、高圧通路9に通じる高圧ポート19、および低圧通路20に通じる低圧ポート21が設けられている。低圧通路20は、燃料タンク等の低圧側に接続されている。
ピエゾアクチュエータ23は、印加電圧に応じて伸張するピエゾ素子(圧電素子)を複数枚積層して構成され、ボディ3の上部に形成されたピエゾ室26に収容されている。
ピエゾピストン24は、ピエゾ室26の下部に連続して形成された大径シリンダ27に摺動自在に挿入されると共に、ピエゾアクチュエータ23の下端面に当接するピストン頭部24aがスプリング28に付勢されてピエゾアクチュエータ23に押圧されている。
ニードル4は、図1に示す様に、第1円錐部4cの最大外径が軸部4bの外径より小さく設けられて、軸部4bと第1円錐部4cとの間に段差を有している。軸部4bの下端部には、前記段差を利用した4箇所のニードルストッパ33が設けられている。このニードルストッパ33は、軸部4bの外周面に4箇所の切欠き34を周方向等間隔(等間隔でなくても良い)に形成することで、周方向に隣合う切欠き34と切欠き34との間に設けられている。
4箇所の切欠き34は、図2に示す様に、軸部4bの外周面を第1円錐部4cの略最大外径まで円弧状に切り取って形成されている。
また、ニードル4の軸部4bに形成された切欠き34は、当接部35、36の上流側と下流側とを連通する連通路として設けられている。すなわち、ボディ当接部35とニードル当接部36とが当接した状態でも、ニードル4の軸部4bに形成された切欠き34(連通路)を通って、ニードル4のシートライン4eまで高圧燃料を導くことができる。
ピエゾアクチュエータ23に通電されると、ピエゾアクチュエータ23の伸張によりピエゾピストン24が下方に押し下げられ、更に油密室31の油を介してバルブピストン25が押し下げられる。このバルブピストン25に押されてバルブ6が初期位置から制御位置へ移動すると、高圧ポート19と制御ポート18との間が遮断されると共に、低圧ポート21と制御ポート18との間が連通する。これにより、制御室5がバルブ室17を介して低圧通路20と連通することにより、制御室5の高圧燃料が低圧通路20へ排出されて、制御室5の燃料圧力が低下する。制御室5の燃料圧力が低下してニードル4がリフトする(シートライン4eがシート面8から離れる)と、燃料通路10より供給される高圧燃料が噴孔2より噴射される。
実施例1に記載したインジェクタ1によれば、ニードル4のシートライン4eがシート面8に着座した直後(略同時)に、ニードル4のボディ当接部35がボディ3のニードル当接部36に当接するので、閉弁荷重がシート部12だけに加わることはなく、シート部12と当接部35、36との二箇所に分散される。これにより、ニードル4の沈み込みが抑制されて、シート部12の面圧を低減できるので、シート摩耗を軽減できる。特に、コモンレール用インジェクタ1では、160MPa以上の高圧噴射において深刻となっているシート摩耗に対し効果を発揮する。
なお、ニードル4の閉弁時に当接部35、36がシート部12より先に当接することはないので、シート不良による燃料漏れを生じることはない。
この実施例2では、図5に示す様に、ニードル4の先端部(第2円錐部4dの先端部)に棒状のニードルストッパ37を突設した一例を示す。
ニードル4の閉弁時には、図6に示す様に、(a)シートライン4eがシート面8に着座した直後(略同時)に、(b)本発明のボディ当接部35であるニードルストッパ37の先端面が、ボディ3に形成されたサック室7の底面に当接する。あるいは、シートライン4eがシート面8に着座すると同時に、ニードルストッパ37の先端面がサック室7の底面に当接する構成でも良い。
この実施例2においても、実施例1と同様に、ニードル4の沈み込みが抑制されて、シート部12の面圧を低減できるので、シート摩耗を軽減できる。
この実施例2の変形例として、図7に示す様に、ボディ3とは別体のストッパ部材38をサック室7に配設することもできる。すなわち、シートライン4eがシート面8に着座すると同時またはその直後に、ニードルストッパ37の先端面がストッパ部材38に当接する構成でも良い。
この実施例3に示すインジェクタ39は、制御室5の燃料圧力を電磁弁40によって制御する方式である。
電磁弁40は、ソレノイド41が通電されると、電磁力によってアーマチャ42が吸引され、そのアーマチャ42に結合されたバルブ43が図示上方へ移動することで、制御室5に通じるアウトオリフィス15を開放する。制御室5には、インオリフィス13を介して高圧通路9より高圧燃料が流入するが、インオリフィス13の方がアウトオリフィス15より絞り径が小さいため、アウトオリフィス15が開放されると、インオリフィス13を介して制御室5に流入する燃料量より制御室5からアウトオリフィス15を介して流出する燃料量の方が多くなる。この結果、制御室5の燃料圧力が低下するため、コマンドピストン44と共にニードル4がリフトして噴射が開始される。
2 噴孔
3 ボディ(ノズルボディ)
4 ニードル
4e シートライン
7 サック室
8 シート面
34 切欠き(連通路)
35 ボディ当接部(当接部)
36 ニードル当接部(当接部)
38 ストッパ部材
39 インジェクタ(実施例3)
Claims (4)
- 先端部に噴孔を有するノズルボディと、
このノズルボディの内部に往復動可能に収容されるニードルとを備え、
前記ノズルボディには、前記噴孔より上流側に円錐状のシート面が設けられ、
前記ニードルの先端部には、閉弁時に前記シート面に着座するシートラインが設けられている燃料噴射ノズルにおいて、
前記ニードルの閉弁時に前記シートラインが前記シート面に着座すると同時またはその直後に、前記ニードルと前記ノズルボディとが軸方向に直接当接する当接部を設け、この当接部は、前記シートラインが前記シート面に着座するシート部より上流側に設けられて、前記ニードルに設けられたボディ当接部と、前記ノズルボディに設けられたニードル当接部とから成り、前記シートラインが前記シート面に着座すると同時またはその直後に、前記ボディ当接部が前記ニードル当接部に当接する構成であり、且つ、前記ボディ当接部は、前記ニードルの周方向に複数箇所設けられ、それぞれの間に上流側と下流側とを連通して燃料通路の一部を成す切欠きが形成されていることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 先端部に噴孔を有するノズルボディと、
このノズルボディの内部に往復動可能に収容されるニードルとを備え、
前記ノズルボディには、前記噴孔より上流側に円錐状のシート面が設けられ、
前記ニードルの先端部には、閉弁時に前記シート面に着座するシートラインが設けられている燃料噴射ノズルにおいて、
前記ニードルの閉弁時に前記シートラインが前記シート面に着座すると同時またはその直後に、前記ニードルと前記ノズルボディとが軸方向に直接当接する当接部を設け、この当接部は、前記ニードルの先端部に突設されたボディ当接部を有し、前記ニードルのシートラインが前記シート面に着座すると同時またはその直後に、前記ボディ当接部の先端が前記ノズルボディの先端部に凹設されたサック室の底面に当接することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項2に記載した燃料噴射ノズルにおいて、
前記当接部は、前記ニードルの先端部に突設されたボディ当接部と、前記ノズルボディのサック室に配設されたストッパ部材とから成り、前記ニードルのシートラインが前記シート面に着座すると同時またはその直後に、前記ボディ当接部が前記ストッパ部材に当接することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1〜3に記載した何れかの燃料噴射ノズルは、
高圧燃料を蓄えるコモンレールに接続され、前記コモンレールより供給される燃料を内燃機関に噴射するコモンレール用インジェクタに用いられていることを特徴とする燃料噴射ノズル。
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